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農林水産省

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MAFF TOPICS(1) あふラボ


MAFFとは農林水産省の英語表記「Ministry of Agriculture, Forestry and Fisheries」の略称です。
「MAFF TOPICS」では、農林水産省からの最新ニュースなどを中心に、暮らしに役立つさまざまな情報をお届けいたします。

病気に強いレモンの新品種「璃の香(りのか)」が誕生

暮らしに役立つ最新の研究成果を紹介します。

「璃の香」の実がなる風景。色が完全に黄色くなる12月が旬。
「璃の香」の実がなる風景。色が完全に黄色くなる12月が旬。
一般のレモンより大きく、重さは1個200グラム程度。果肉がたっぷり。
一般のレモンより大きく、重さは1個200グラム程度。果肉がたっぷり。
まろやかな酸味は和食によく合う。写真は「鮭のレモンねぎあんかけ」。
まろやかな酸味は和食によく合う。写真は「鮭のレモンねぎあんかけ」。


栽培地域が広がり、国産レモンに新たな可能性
塩レモンをはじめ、お菓子などでも近年レモンがブームです。国産のものも、スーパーなどでよく見かけるようになりました。

レモンは、かんきつに多い細菌性の病気で、果実や葉に病斑ができる「かいよう病」に弱く、雨が多いと病気が多発します。そのため、栽培の適地は雨が少なく気候が温暖な瀬戸内海地域などに限られています。

この問題を解決するため、農研機構(国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構)では、病気に強く、幅広い地域で栽培できるような品種育成に取り組んできました。そうして誕生したのが新品種「璃の香」です。

「璃」は「宝」「ガラス」「水晶」という意味で、この品種の持つ透明感や、すっきり感のある香りを表して名づけられました。

「レモンと日向夏(ひゅうがなつ)を交配させているので、一般のものより酸味と香りが少なく、形は大きくなっています。なによりかいよう病に強いのが特長で、可食部が多く、種子が少なく、収穫性が高いのも利点です。また、一般のものに比べて果皮が薄く、手で皮がむけ、果肉をそのままの形で取り出せます」(農研機構果樹茶業研究部門カンキツ研究領域カンキツ育種ユニット長・吉岡照高さん)

酸味はまろやかで、果汁は和食にもマッチ。璃の香ならではの食べ方を模索し、料理研究家とのコラボで、和食のレシピ集も作成しています。

雨風の影響から病気を発生しやすく、台風の多い日本では栽培に向かなかったレモン。今後は栽培できる地域が広がり、安心でおいしい国産レモンがもっと家庭の食卓に並ぶ日も近いでしょう。

かいよう病発生率
かいよう病発生率 育成地(果樹研究所・静岡市)および全国のかんきつ生産地24カ所で試験栽培した「璃の香」のかいよう病発生程度(2012年)。


あふラボトリビア
丸ごとすごい! レモンパワー

レモンに含まれるビタミンCやクエン酸が、美肌や疲労回復に効果があることは知られていますが、掃除などでもパワーを発揮します。皮の精油成分は洗浄にすぐれ、果汁は強い酸で、消毒作用や消臭作用も。アルカリ性の水あかや石けんかすの除去にも有効です。



取材・文/細川潤子




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