17年7月号文字情報
味の再発見! 昔ながらのニッポンの郷土料理 第3回
宮崎県 冷や汁
魚のうまみ、ごま、麦みそが織り成す、夏の味
宮崎の夏は早い。今年も早くから気温が三十度を超えた。県人の夏疲れを癒やすのが冷や汁である。きりりと冷えたみそ味の汁に、みょうがやきゅうりがたっぷり。これをご飯にかけていただく。
「食欲のないときでも、するする入りますよ」
そう教えてくれた人々の笑顔が思い出される。
昔は農作業の合間によく食べたそうな。水分と塩分、ミネラルなどを一度に補給できて、重宝されたのだろう。この冷や汁、決してただの「冷たいみそ汁」ではないところがミソである。その違いをご説明しよう。
第一に、魚のうまみが欠かせない。まず白身魚やあじの干ものなどを焼いてみそと合わせる。魚のうまみを、だしにするのである。魚は家によってさまざまで、かますの干ものを使う人もいれば、煎った煮干しでやる人もあり。「まぐろの缶詰でやります。焼かずに済むから簡単」なんて人も。それぞれ試してみたが、いずれも風味が変わって面白い。
次に、ごまが必須であること。魚の身とみそ、ごまを一緒にしてすり鉢でよくすることで、冷や汁独特のコクが生まれてくる。ごまではなくて落花生でやる人もある。
最後に、すり上げたみそを火であぶること。ここが冷や汁のキモとなる。あぶったみその少しこんがりとした香ばしさは、食欲を誘うことこの上ない。「冷や汁があれば夏バテ知らず」と言った人の気持ち、わかるなあ。
以上の3点が、冷や汁らしさを作るものと私は思う。
加える具は先に挙げたみょうが、きゅうりのほか、青じそのせん切りも相性抜群。豆腐を入れることも多い。「トマトやレタスなどを加え、自分なりに工夫して楽しんでます」という声もよく聞かれた。現地で今なお人気の高い郷土料理である。
[写真1]
撮影/島 誠 料理制作/三好弥生
[写真2]
日南海岸(宮崎県日南市)
[写真3]
みそは地方ごとに風味が違うもの。九州地方でよく使われる麦みそは、さっぱりと軽い味わいが身上だ。冷や汁はこれでないと味が決まらない。
文/白央篤司
フードライター。研究テーマは日本の郷土食と「健康と食」で、月刊誌『栄養と料理』(女子栄養大学出版部)などで執筆。著書に『にっぽんのおにぎり』(理論社)『ジャパめし。』(集英社)などがある。
ブログhttp://hakuoatsushi.hatenablog.com/[外部リンク]
魚のうまみ、ごま、麦みそが織り成す、夏の味
宮崎の夏は早い。今年も早くから気温が三十度を超えた。県人の夏疲れを癒やすのが冷や汁である。きりりと冷えたみそ味の汁に、みょうがやきゅうりがたっぷり。これをご飯にかけていただく。
「食欲のないときでも、するする入りますよ」
そう教えてくれた人々の笑顔が思い出される。
昔は農作業の合間によく食べたそうな。水分と塩分、ミネラルなどを一度に補給できて、重宝されたのだろう。この冷や汁、決してただの「冷たいみそ汁」ではないところがミソである。その違いをご説明しよう。
第一に、魚のうまみが欠かせない。まず白身魚やあじの干ものなどを焼いてみそと合わせる。魚のうまみを、だしにするのである。魚は家によってさまざまで、かますの干ものを使う人もいれば、煎った煮干しでやる人もあり。「まぐろの缶詰でやります。焼かずに済むから簡単」なんて人も。それぞれ試してみたが、いずれも風味が変わって面白い。
次に、ごまが必須であること。魚の身とみそ、ごまを一緒にしてすり鉢でよくすることで、冷や汁独特のコクが生まれてくる。ごまではなくて落花生でやる人もある。
最後に、すり上げたみそを火であぶること。ここが冷や汁のキモとなる。あぶったみその少しこんがりとした香ばしさは、食欲を誘うことこの上ない。「冷や汁があれば夏バテ知らず」と言った人の気持ち、わかるなあ。
以上の3点が、冷や汁らしさを作るものと私は思う。
加える具は先に挙げたみょうが、きゅうりのほか、青じそのせん切りも相性抜群。豆腐を入れることも多い。「トマトやレタスなどを加え、自分なりに工夫して楽しんでます」という声もよく聞かれた。現地で今なお人気の高い郷土料理である。
[写真1]
撮影/島 誠 料理制作/三好弥生
[写真2]
日南海岸(宮崎県日南市)
[写真3]
みそは地方ごとに風味が違うもの。九州地方でよく使われる麦みそは、さっぱりと軽い味わいが身上だ。冷や汁はこれでないと味が決まらない。
文/白央篤司
フードライター。研究テーマは日本の郷土食と「健康と食」で、月刊誌『栄養と料理』(女子栄養大学出版部)などで執筆。著書に『にっぽんのおにぎり』(理論社)『ジャパめし。』(集英社)などがある。
ブログhttp://hakuoatsushi.hatenablog.com/[外部リンク]
特集1 農泊
農山漁村に宿泊してさまざまな体験を楽しむ。そんな「農泊」が今、注目を集めています。
田植えや野菜・山菜採り、釣りなどを体験し、収穫した食材を使って郷土料理を堪能する。
ふだんの旅行やレジャーとはひと味違う、農泊ならではの貴重な体験をしてみませんか?
泊まる、楽しむ、味わう農泊には魅力がいっぱい
農泊とは「農山漁村において日本ならではの伝統的な生活を体験し、地域の人々との交流を楽しむ滞在(農山漁村滞在型旅行)」のことです。全国のさまざまな地域で、民間団体や地元の有志により宿泊の受け入れや体験プログラムが提供されていて、新たに参入する地域、利用者数とも増加傾向にあります。
ではなぜ、農泊が注目を集めるのでしょうか。その理由は、旅の3大要素である「泊まる」「楽しむ」「味わう」の充実にあります。
宿泊の魅力はなんといっても、豊かな自然に囲まれた農家民宿で農家の暮らしがそのまま体験できること。また、古民家や廃校舎を活用した宿泊施設もあります。
楽しみ方は地域ごとに特色があり、田植えや稲刈り、野菜や山菜の収穫、海釣り、バターやジャムなどの加工品づくりなど、豊富な農林漁業体験ができます。地域によってはカヌーやボートを使っての川下りといったアクティビティ体験もあり、野山を散策しながらゆったりとした時間を過ごすのもいいでしょう。
夜には、その日に自分たちで収穫した旬の食材を使い、地元の人と一緒に郷土料理を作って食べることができます。
野菜や海産物など、地域の食材を使った料理を提供する農家レストランもありますし、直売所では地域で生産した現地の旬の食材を手に入れることもできます。
したいことに合わせて地域や体験内容が選べる
農泊は、北から南までさまざまな地域で体験できます。そのため、各地域ごとに、また季節によって風景や自然、食材、体験できる内容に特色があり、その中から行きたい場所、したいことを選べるというのも魅力の一つです。
宿泊先の方々は、温かく迎え入れてくれます。お客様としてではなく、家族の一員として接してくれます。まるで田舎に里帰りしたかのような、どこか懐かしくもあり、楽しく充実した時を過ごせるのです。農作業や遊び、食事などを通して、たとえ短期間であっても地元の人との深い交流も満喫できます。
この夏は、農泊ならではの貴重な体験旅行に注目です。
[写真1]
ここが農泊の魅力!
[イラスト1]
◎体験を楽しむ
農家や漁師の方にふだんの作業を体験させてもらったり、農山漁村ならではのアクティビティも楽しめます。
[イラスト2]
◎農山漁村に宿泊する
農家宅や古民家に宿泊できます。農山漁村の皆さんとの触れ合いは、貴重な体験になるはず。
[イラスト3]
◎地元料理を味わう
訪れた季節ごとに出合える新鮮な農水産物。地元だからこそ味わえる料理もたくさんあります。
[グラフ1]
■ 滞在中に行いたいこと
出典:農山漁村に関する世論調査 平成26年6月(内閣府)
[グラフ2]
■ 農林漁業体験への興味
出典:食生活及び農林漁業体験に関する調査 平成27年度(農林水産省)
取材・文/小野 均
イラスト/あべかよこ
田植えや野菜・山菜採り、釣りなどを体験し、収穫した食材を使って郷土料理を堪能する。
ふだんの旅行やレジャーとはひと味違う、農泊ならではの貴重な体験をしてみませんか?
泊まる、楽しむ、味わう農泊には魅力がいっぱい
農泊とは「農山漁村において日本ならではの伝統的な生活を体験し、地域の人々との交流を楽しむ滞在(農山漁村滞在型旅行)」のことです。全国のさまざまな地域で、民間団体や地元の有志により宿泊の受け入れや体験プログラムが提供されていて、新たに参入する地域、利用者数とも増加傾向にあります。
ではなぜ、農泊が注目を集めるのでしょうか。その理由は、旅の3大要素である「泊まる」「楽しむ」「味わう」の充実にあります。
宿泊の魅力はなんといっても、豊かな自然に囲まれた農家民宿で農家の暮らしがそのまま体験できること。また、古民家や廃校舎を活用した宿泊施設もあります。
楽しみ方は地域ごとに特色があり、田植えや稲刈り、野菜や山菜の収穫、海釣り、バターやジャムなどの加工品づくりなど、豊富な農林漁業体験ができます。地域によってはカヌーやボートを使っての川下りといったアクティビティ体験もあり、野山を散策しながらゆったりとした時間を過ごすのもいいでしょう。
夜には、その日に自分たちで収穫した旬の食材を使い、地元の人と一緒に郷土料理を作って食べることができます。
野菜や海産物など、地域の食材を使った料理を提供する農家レストランもありますし、直売所では地域で生産した現地の旬の食材を手に入れることもできます。
したいことに合わせて地域や体験内容が選べる
農泊は、北から南までさまざまな地域で体験できます。そのため、各地域ごとに、また季節によって風景や自然、食材、体験できる内容に特色があり、その中から行きたい場所、したいことを選べるというのも魅力の一つです。
宿泊先の方々は、温かく迎え入れてくれます。お客様としてではなく、家族の一員として接してくれます。まるで田舎に里帰りしたかのような、どこか懐かしくもあり、楽しく充実した時を過ごせるのです。農作業や遊び、食事などを通して、たとえ短期間であっても地元の人との深い交流も満喫できます。
この夏は、農泊ならではの貴重な体験旅行に注目です。
[写真1]
ここが農泊の魅力!
[イラスト1]
◎体験を楽しむ
農家や漁師の方にふだんの作業を体験させてもらったり、農山漁村ならではのアクティビティも楽しめます。
[イラスト2]
◎農山漁村に宿泊する
農家宅や古民家に宿泊できます。農山漁村の皆さんとの触れ合いは、貴重な体験になるはず。
[イラスト3]
◎地元料理を味わう
訪れた季節ごとに出合える新鮮な農水産物。地元だからこそ味わえる料理もたくさんあります。
[グラフ1]
■ 滞在中に行いたいこと
出典:農山漁村に関する世論調査 平成26年6月(内閣府)
[グラフ2]
■ 農林漁業体験への興味
出典:食生活及び農林漁業体験に関する調査 平成27年度(農林水産省)
取材・文/小野 均
イラスト/あべかよこ
農泊List01
徳島県三好市地元のお母さんと一緒に郷土料理を作って、いただく
体験できること:古民家宿泊、そば打ち、集落ガイドツアー
受け入れ戸数:8棟
問い合わせ先:桃源郷 祖谷の山里
http://tougenkyo-iya.jp/[外部リンク]
最新の内装設備を持つ古民家に宿泊
徳島県西部の山深く、日本三大秘境の一つとされる急峻な渓谷の斜面に古民家が点在する、それが東祖谷(いや)落合集落です。
この場所で、再生した古民家を宿泊施設として提供しているのが「桃源郷 祖谷の山里」。8棟のかやぶき屋根の古民家があり、1棟貸し切りで宿泊ができます。
外観や床、柱、はりなどは昔の趣ですが、バスルーム、空調設備、床暖房などの設備を持ち、ホテルとはひと味違った雰囲気が楽しめます。受付を済ませたら、あとは宿泊者が自由に利用するスタイルです。
体験プログラムには、昔ながらの道具を使ったそば打ち体験があります。また、落合集落は重要伝統的建造物群保存地区に選定されていて、保存会の方の案内によるガイドツアーも用意されています。
食事をいろいろなスタイルで楽しむ
古民家にはIHキッチン、調理器具などがそろっているので、自炊をすることができます。
また、宿泊先で地元のお母さんと一緒に郷土料理を作ったり、集落の一般家庭へ出向いて家庭料理を作って食卓を囲むことも可能。地元飲食店から、徳島で昔から使われる重箱「遊山箱(ゆさんばこ)」に地元の食材を使って作った料理を詰めて配達してもらうこともできます。
さらには、バーベキューグリルのセットの貸し出しがあり、庭先で絶景を眺めながら、バーベキューを楽しむこともできます。
[写真1]
古民家ならではの囲炉裏のある部屋で、ゆったりとした時間を過ごせる。
[写真2]
落合集落は高低差約390メートルにもおよぶ急斜面の集落に、古民家が点在している。
[写真3]
アイランドキッチンを備えたダイニングで快適に時間を過ごせる古民家「雨読(うどく)」。
[写真4]
リフォームされたかやぶきの古民家を、1泊一人当たり7,000円・税込み(6名で利用の場合)から宿泊できる。
農泊List02
兵庫県篠山市築160年の古民家に泊まりそばやフランス料理を堪能する
体験できること:古民家宿泊、田植え、茶摘み、もちつき、しめ縄づくり、まき割りなど
受け入れ戸数:2棟
問い合わせ先:集落丸山
http://maruyama-v.jp[外部リンク]
市街地から近く昔ながらの風景が残る村
兵庫県中東部に位置する篠山(ささやま)市街地から車で10分ほど谷筋を北上すると、のどかな農村地帯である集落丸山に到着します。そこには、とても市街地の近くにあるとは思えないほど静かで、豊かな自然に恵まれた昔ながらの日本の暮らしが存在します。
かつては限界集落といわれた小さな集落ですが、地元有志の出資に加え、国や県からの補助金と金融機関からの借り入れにより、空き家となった古民家を持ち主から借り受け、改修して滞在施設とレストランに再生しました。これにより、村に活気が戻りました。
2棟は、いずれも貸し切りで利用できます。築160年以上の古民家でありながら、バス、トイレ、キッチン、無線LAN環境などが整備され、懐かしさに浸りながらも、快適な時間を過ごすことができます。
食事を楽しみながらゆったりと時間を過ごす
集落丸山に宿泊する楽しみの一つは、地元の食材を使った料理を提供する食事どころにあります。自炊も可能ですが、里山の幸に舌鼓を打つのもいいでしょう。
古民家裏手の蔵を改造して作ったフランス料理店「ひわの蔵」は人気があり、ここを利用するために宿泊を予約する人もいるほどです。集落の少し奥には、ミシュランガイドに掲載されたそば懐石のお店「ろあん松田」があります。そばも絶品ですが、季節ごとの旬の食材を使った料理も人気です。
昼間には、集落の日々の生活をそのまま体験することもできます。季節ごとに内容は変わりますが、田植えや茶摘み、もちつき、しめ縄づくり、まき割り体験ができるので、事前に確認してから出かけましょう。
[写真5]
小川のせせらぎが聞こえ、ゆったりと時間が流れるのどかさが魅力。
[写真6]
室内はきれいにリフォーム済み。1棟最大5名まで宿泊でき、宿泊料は5人で借り切ると、一人当たり13,000円・税抜き。
[写真7]
宿泊した人だけが味わえる、集落のお母さんの手作り朝ごはん。
農泊List03
群馬県みなかみ町農作業や山歩きに川遊び伝統技法の体験もできる
体験できること:田植え、稲刈り、野菜・果物の収穫、手打ちうどんづくり、もちつき、ラフティング、カヌーなど
受け入れ戸数:約130戸
問い合わせ先:みなかみ町 体験旅行
http://www.m-tr.jp[外部リンク]
東京から車で2時間半豊かな自然に恵まれた町
群馬県の最北端に位置するみなかみ町は利根川の源流にあり、矢木沢・奈良俣ダムなどが首都圏の水がめとして知られます。利根川の水はもとより、山のわき水にいたるまで、きれいな水に恵まれています。
また、日本百名山の谷川岳をはじめとする2000メートル級の山々に囲まれた平野部には水田が広がり、水上温泉郷、月夜野(つきよの)・上牧(かみもく)温泉郷、猿ヶ京三国温泉郷と、古くから温泉地としても親しまれています。
宿泊者の希望に合わせ体験できる内容が豊富
みなかみ町は、「子ども農山漁村交流プロジェクト」の受け入れ体制整備地区であり、早くから農泊に力を入れてきました。昨年度の受け入れ人数は1万人を超え、家族単位での利用も可能です。
運営は、一般社団法人 みなかみ町体験旅行。常務理事の北山郁人(いくと)さんによると「農業体験のほか、各種アクティビティを組み込むことも可能。気軽にお問い合わせください」とのこと。
農業体験では、季節に合わせて田植えや稲刈り、山菜採りをしたり、きゅうり、なす、ピーマン、とうもろこし、りんご、ぶどう、すいか、いちごなどの野菜や果物の収穫が体験できます。もちろん、収穫したものは農家の家族と一緒に調理をして、夕食や朝食でおいしくいただけます。
アクティビティでは、利根川の水流を使った大型ボートで川下りをするラフティングや滝を滑り降りるキャニオニング、シャワークライミングなどの川遊びが人気です。その他、パラグライダーやバンジージャンプにマウンテンバイク、冬にはスキーにスノーシューと、さまざまなアドベンチャー体験も可能です。
もう一つの楽しみは、温泉地ならではの入浴タイム。近くの温泉施設を利用して、ゆったり、のんびりとした時間を過ごせます。
また、みなかみ町には昔ながらの里山の風情が残る「たくみの里」があり、各所にあるたくみの家々で、お面づくりや竹・わら・ガラス細工、陶芸をはじめとする、さまざまな伝統技法が学べます。
[写真1]
うどんの手打ち体験。自分で打ったうどんは、昼食でいただける。
[写真2]
利根川の急流を大型ボートで下るラフティングはスリル満点。
[写真3]
熟練のツアーガイドに乗り方を教えてもらいながら、カヌーも楽しめる。
[写真4]
田んぼを使ったどろんこ遊びは、子どもたちに大人気のアクティビティ。
[写真5]
収穫した野菜や山菜などを使って、作り方を習いながら一緒に調理する。
[写真6]
布団の上げ下ろしを自分たちで行うのも農泊体験の一つ。
[コラム1]
農泊は農業体験だけではなく地元の人々との交流も楽しむ
受け入れ先の農家では、まるで里帰りをした家族のように温かく迎えてくれます。写真の杉木さんは、農泊の受け入れ先第一号のリーダー的存在。ご夫妻に限らず農家の方は、さまざまな体験を通して人と人が心でつながることを大切にしています。寝食をともにすることで得られる経験は貴重です。
[写真7]
ていねいに種まきや野菜の収穫方法を教えてくれる。
[写真8]
杉木敬太郎、久子さんご夫妻。
撮影/今村敏彦
農泊List04
栃木県大田原市現代に受け継がれてきた昔ながらの農村生活を体験
体験できること:田植え、稲刈り、うどの収穫、いちごの収穫、酪農など
受け入れ戸数:約140戸
問い合わせ先:大田原ツーリズム
http://www.ohtawaragt.co.jp[外部リンク]
見渡す限りの広大な平野に美しい田園風景が広がる
栃木県北東部に位置する大田原(おおたわら)市は、耕種農業や畜産業がさかんな田園地帯です。春から秋にかけての眺望は、美しいのひと言。田植え前に田に水が入ると一面が湖のように光り輝き、夏には緑、秋には稲穂の黄金色へと変わります。また、市の中央を、鮎の漁獲量日本一の清流・那珂(なか)川が流れます。
平坦な土地が広がる大田原市では、今や少なくなった、親・子・孫の三世代で営む専業農家がみられます。築100年以上の建物も多く残り、そこには、連綿と受け継がれてきた文化と歴史が根ざしています。大家族で暮らすということをはじめ、日本古来の文化と生活を体験できるのが大きな特徴です。
農家民宿では、季節ごとに田植えやうど、いちご、すいか、とうもろこしなどの収穫の他、いちごジャムやピザ、梅干しづくりといった体験ができます。
畜産では、えさやりのほか、タイミングが合えば子牛の誕生に立ち会えることもあります。
[写真9]
本州では他に類を見ない、広々とした開放感あふれる田園地帯で自然を堪能できる。
[写真10]
農業体験では、季節を代表する野菜や果物の収穫を手伝う。
[写真11]
酪農を営む農家宅で牛の世話などの体験もできる。
[写真12]
那珂川上流の黒羽エリアで、伝統的な漁法の「鮎(あゆ)やな」を見学できる。
農泊List05
和歌山県田辺市校舎を利用した宿泊施設と農家でみかんと梅の収穫体験
体験できること:みかんの収穫と加工体験、梅の収穫、野菜の収穫、お菓子づくりなど
宿泊棟:4人部屋×6、8人部屋×1
受け入れ戸数:14戸
問い合わせ先:秋津野ガルテン
http://www.agarten.jp/syukuhaku/[外部リンク]
年間を通して温暖な気候の三方を山に囲まれた農村地
和歌山県のほぼ中央に位置する田辺市の西部にあるのが、農泊体験場所の上秋津(かみあきづ)地区です。
農業は、かんきつ栽培が中心。地形や気候の利を活かし、山の斜面にはみかん畑が広がり、平地では梅を主体にすももなどの栽培が行われています。
小学校利用の宿泊施設と農家民宿の利用が可能
上秋津は、農業の衰退は地域の衰退という考えから、地域住民の出資で農業法人の株式会社秋津野を設立。農作物の直売所やジュース製造などを事業化してきましたが、人口増による小学校の移転計画が持ち上がりました。その校舎を地域住民が買い取り、都市と農村の交流を目指して誕生したのがグリーン・ツーリズム施設の「秋津野ガルテン」です。
施設では、お菓子・スイーツづくり体験工房「バレンシア畑」や、秋津野みかん教室「からたち」、地元の食材を使って農村のお母さんたちがバイキング料理を提供する農家レストラン「みかん畑」などもあり、自由に過ごすことができます。
農業体験は、通年でみかん、5~6月ごろには梅の収穫などができますが、内容は宿泊先によって異なります。
[写真1]
宿泊・体験施設として開業した「秋津野ガルテン」。手前が宿泊棟で、奥が体験棟になっている。宿泊料は一人当たり3,700円・税込み(4名利用)から。
[写真2]
温州みかんを始め、ポンカン、はっさくなど、多品種のみかんが実る上秋津では、ほぼ一年中みかんの収穫体験ができる。
[写真3]
収穫したみかんでジャムづくりなどの体験もできる。
[写真4]
校舎を改装して利用している体験棟の内部。
[写真5]
農家レストラン「みかん畑」。
農泊List06
岩手県遠野市民話の里で、懐かしい日本の原風景にふれる
体験できること:田植え、稲刈り、野菜の収穫と料理、乗馬、民話、郷土芸能など
受け入れ戸数:約65戸
問い合わせ先:遠野 山・里・暮らしネットワーク
http://www.tonotv.com/members/yamasatonet/[外部リンク]
昔ながらの生活が残る永遠の日本のふるさと
岩手県の中東部に位置し、周りを山々に囲まれた遠野市は、土地に伝わる言い伝えや昔話を集めた説話集、柳田國男(くにお)の『遠野物語』の舞台として知られます。
『遠野物語』に出てくるようなかやぶきの古民家など、日本の原風景がそのまま残されているのが最大の魅力。昔ながらの日本の暮らしや信仰、文化が色濃く残っていることから、「永遠の日本のふるさと」とも呼ばれています。懐かしくもあり不思議な雰囲気は、忘れていた大切な何かを思い出させてくれます。
畑での農作業から季節料理馬の世話など内容は豊富
運営は、グリーン・ツーリズムによる地域の活性化を目的に設立されたNPO法人 遠野 山・里・暮らしネットワーク。もともと、遠野市では複数のグリーン・ツーリズムのグループが個別に農業体験などの提供をしていましたが、より大きな力を生み出すためにネットワーク化し、誕生しました。
体験内容は宿泊先によって異なり、たとえば農作業では稲作や種まき、花の世話などができます。これからの季節は、夏野菜を収穫してピザやカレー、郷土料理にしていただきます。季節の果物を使ったアイスづくりも楽しめます。
馬産地のため畜産も盛んで、えさやりなど通年で馬や牛の世話ができ、乗馬体験も可能です。
また、語りべのいる古民家で昔話や民話に耳を傾けたり、時にはお酒を酌み交わしながら、地元の人と一緒に郷土芸能の練習をする、といったメニューも用意されています。
[写真6]
清らかな流れの渓流釣りポイントがあり、ヤマメやイワナが釣れる。
[写真7]
収穫した野菜などを使った郷土料理を囲んで、団らんのひととき。
[写真8]
新鮮な夏野菜を収穫したら、ピザやカレーにしていただく。
[写真9]
馬にまたがり、自然の中でのんびり散歩を楽しむ馬産農家の引き馬体験。また、宿泊先によっては本格的な乗馬体験も楽しめる。
農泊List07
島根県県全域にある滞在先で田舎暮らし体験を
体験できること:田植え、稲刈り、野菜の収穫、郷土料理づくりなど
受け入れ戸数:約240戸
問い合わせ先:しまね田舎ツーリズム推進協議会
http://www.oideyo-shimane.jp[外部リンク]
三地域からなる島根県はエリアごとに特徴が異なる
島根県は、東部の出雲地域、西部の石見(いわみ)地域、離島の隠岐(おき)地域の三つからなり、それぞれに異なる特徴を持っています。
出雲地域は、出雲大社がパワースポットとして注目を集める他、ヤマタノオロチの神話ゆかりの地などが多数存在するエリアです。
また、石見地域では世界遺産の石見銀山、地域の生活に根づいた石見神楽など、歴史と文化を感じることができます。
そして隠岐地域は、ユネスコ世界ジオパークに認定されていて、絶景と希少な生態系、独自の文化を兼ね備えた、地球の仕組みを知ることができる場所として注目されています。
田舎の魅力を再発見観光では味わえない感動を
日本海や中国山地など、豊かな自然に囲まれた島根県では「しまね田舎ツーリズム」という名称で、県が主体となって農泊や田舎暮らし体験を推進しています。これは、田舎ならではの生活体験を通じて、地域の自然や文化、歴史にふれるとともに、地元の人との交流を楽しんでもらう活動です。
田舎ツーリズムは、県内各地に広がり、受け入れ先ごとに自然環境や風土、季節に応じた様々な体験プログラムが用意されています。
田植え、野菜の収穫といった農作業体験や、地元の方と一緒に作る郷土料理は、「食」の豊かさや大切さを学べます。また、春の山菜採りや夏の川遊び、秋のきのこ狩りのように季節ごとの自然を楽しみ、厳しさを知ることで、その恵みを体感することができます。
地域の中で綿々と営まれ、受け継がれてきた生活の一部を体験し、交流することで、観光旅行とは異なった感動や刺激が味わえます。
情報発信は、「しまね田舎ツーリズム推進協議会」が行っていますが、問い合わせや予約申し込みは、各受け入れ施設で対応しています。
[写真1]
心地よい風に吹かれながら、ゆったりとした時間の流れに身を任せてみる。
[写真2]
自分で収穫した旬の食材で作る郷土料理は、格別の味わい。
[写真3]
出雲、石見、隠岐地域からなる島根県は、地域ごとに気候や文化などが様々。
[写真4]
かまどでご飯を炊くのも、農泊ならではの経験。
[写真5]
岩壁や船上からの海釣り体験ができる施設も。
農泊を楽しむために
宿泊先は農家民宿のほか、最近では古民家や廃校舎を改装した施設なども。より深い思い出を作れるよう、申し込み手順と注意事項を確認しておきましょう。1.行きたい場所や体験したいことを決める
まずは、農林漁業体験、田舎暮らしをしたい場所で農泊が行われているかを確認します。場所の名前と農泊というキーワードでインターネット検索すれば見つかることが多いです。
また、地域が漠然としているのなら、農泊を行っている運営団体のホームページを探したり、県や市の観光案内ページなどで地域の特徴を調べたりして、行きたい場所を探し出しましょう。
行きたい場所が決まったら、その地域にはどのような受け入れ先があるのか、どのような体験項目があるのかなど、気になることを調べます。
また、季節によって体験できる内容は変わるので、行きたい時期に合わせた情報収集も重要です。
大切なことは、農泊で何を体験し、何を得たいのか、目的を明確にすること。明確な目的があれば、充実した農泊になるでしょう。
[イラスト1]
2.古民家や廃校舎に泊まるには
一棟貸しの古民家や廃校舎を活用した宿泊施設は、旅館やホテルのように、ホームページから申し込めるところが多いです。ただ、体験は宿以外で行うものも多いので、電話での問い合わせもしたほうがいいでしょう。
食事は、夕食の出る宿のほか、近くの農家レストランでの食事や近隣の農家で一緒に食事を作る場合などさまざま。自炊ができる宿もありますが、周辺で食材を買えるお店が非常に限られている場合も。買い出しができるお店を事前に確認しておくとよいでしょう。
[イラスト2]
3.農家に泊まるには
宿泊するのは一般の農家のお宅です。旅館やホテルとは違い、寝巻きや着替え、洗面道具などを持っていく必要のある宿が一般的です。また、体験内容に合わせて、動きやすい衣類や靴なども用意していきます。
予約はホームページや電話で直接するほか、地域の窓口団体が仲介してくれる場合もあります。泊まる際の注意点や不安な点は事前にしっかり確認するとともに、要望も伝えておきましょう。
もう一つ心得ておきたいのは、宿泊者は単なるお客様ではなく、田舎に帰ってきた家族のような気持ちでもてなしてもらえることです。家主の農家さんとの交流を通じて家族のようになれるのが農家民宿の醍醐味です。ぜひもう一つのふるさとを見つけてください。
[画像1]
ホームページなどで体験内容や自宅からのアクセス方法などを確認。
[画像2]
季節によって体験できる内容は異なるので、しっかり確認。
※いずれも「みなかみ町体験旅行」のホームページより
特集2 道の駅
多くの道の駅は、地域の味覚はもちろん、子どもと一緒に楽しめる施設も備わっています。さまざまな魅力を持つ全国の駅を紹介します。
地場産品を豊富にそろえ人々の交流を促進
ドライブの際に気軽に立ち寄れ、休憩や食事、買い物などができる道の駅。安全で快適に道路を利用できるように、道路交通環境の提供と、地域のにぎわいの場としての役目を併せ持っています。
地域の人や観光客と触れ合ったり、それぞれの地域でとれた新鮮な野菜や果物、魚などを購入できたり、味わったり。独自の技術で加工した地場産品といった、地域ならではの商品が手に入ることも特徴の一つです。
食事や買い物だけでなく遊びの場を併設する駅も
各地域が企画しているスタンプ集め「道の駅スタンプラリー」や、沿道の文化や歴史、名所の情報を活用した、個性豊かなサービスも行っています。
さらに既存のテーマパークなどの施設が道の駅に変わったり、そうした施設に隣接して新たに道の駅が設けられたり、複合レジャー施設となっていることもめずらしくありません。従来の枠にとらわれない新たな発見ができるので、目的地への寄り道ポイントではなく、目的地として道の駅を選ぶ人も増えています。
[コラム1]
道の駅とは?
道の駅は基本的に3つの機能を備えています。24時間、無料で利用できる駐車場、トイレなどの「休憩機能」。道路・地域の観光情報や緊急医療情報といった「情報発信機能」。文化教養・観光レクリエーション施設などの地域振興施設となり、地域と交流する「地域連携機能」です。全国には1117駅あります(平成29年4月現在)。
SLまで見られる道の駅。特産品や遊具も充実
道の駅 もてぎ[栃木県・芳賀郡]
栃木県で最初にできた道の駅。地域をはじめ、町内の約180名の生産者が登録している「朝採り野菜直売所」が評判。土産店では地場産品・手作り・無添加・少量高品質にこだわったオリジナルのゆずドレッシングやジャム、えごま油などが並び、こちらも好評。6次産業化の新たな取り組みの一環として昨年オープンした「バウム工房ゆずの木」には、もてぎ産こしひかりの米粉と、地域産の卵を使用したバウムクーヘンが並ぶ。
[写真1]
栃木県・道の駅もてぎからは真岡鐵道(もおかてつどう)を走るSLが間近で見られる(指定日のみ運行)。
[写真2]
十石(じっこく)河川公園へ続くエリアは季節の花で彩られている。
[写真3]
自家製ミルクアイスに生のもてぎ産完熟とちおとめを混ぜた「おとめミルクアイス」310円(12月~5月限定)。
[写真4]
真岡鐵道のSLにちなんだ、世界にひとつしかない遊具。
[写真5]
毎朝届く新鮮な農産物がたくさん。午後になると品薄に。
[写真6]
らーめん十石屋の「ゆず塩ら~めん」(640円)。
休日は最大1時間待ちの人気ぶり。
※価格は税込み価格です。
取材・文/Office彩蔵
撮影/島 誠
地場産品を豊富にそろえ人々の交流を促進
ドライブの際に気軽に立ち寄れ、休憩や食事、買い物などができる道の駅。安全で快適に道路を利用できるように、道路交通環境の提供と、地域のにぎわいの場としての役目を併せ持っています。
地域の人や観光客と触れ合ったり、それぞれの地域でとれた新鮮な野菜や果物、魚などを購入できたり、味わったり。独自の技術で加工した地場産品といった、地域ならではの商品が手に入ることも特徴の一つです。
食事や買い物だけでなく遊びの場を併設する駅も
各地域が企画しているスタンプ集め「道の駅スタンプラリー」や、沿道の文化や歴史、名所の情報を活用した、個性豊かなサービスも行っています。
さらに既存のテーマパークなどの施設が道の駅に変わったり、そうした施設に隣接して新たに道の駅が設けられたり、複合レジャー施設となっていることもめずらしくありません。従来の枠にとらわれない新たな発見ができるので、目的地への寄り道ポイントではなく、目的地として道の駅を選ぶ人も増えています。
[コラム1]
道の駅とは?
道の駅は基本的に3つの機能を備えています。24時間、無料で利用できる駐車場、トイレなどの「休憩機能」。道路・地域の観光情報や緊急医療情報といった「情報発信機能」。文化教養・観光レクリエーション施設などの地域振興施設となり、地域と交流する「地域連携機能」です。全国には1117駅あります(平成29年4月現在)。
SLまで見られる道の駅。特産品や遊具も充実
道の駅 もてぎ[栃木県・芳賀郡]
栃木県で最初にできた道の駅。地域をはじめ、町内の約180名の生産者が登録している「朝採り野菜直売所」が評判。土産店では地場産品・手作り・無添加・少量高品質にこだわったオリジナルのゆずドレッシングやジャム、えごま油などが並び、こちらも好評。6次産業化の新たな取り組みの一環として昨年オープンした「バウム工房ゆずの木」には、もてぎ産こしひかりの米粉と、地域産の卵を使用したバウムクーヘンが並ぶ。
[写真1]
栃木県・道の駅もてぎからは真岡鐵道(もおかてつどう)を走るSLが間近で見られる(指定日のみ運行)。
[写真2]
十石(じっこく)河川公園へ続くエリアは季節の花で彩られている。
[写真3]
自家製ミルクアイスに生のもてぎ産完熟とちおとめを混ぜた「おとめミルクアイス」310円(12月~5月限定)。
[写真4]
真岡鐵道のSLにちなんだ、世界にひとつしかない遊具。
[写真5]
毎朝届く新鮮な農産物がたくさん。午後になると品薄に。
[写真6]
らーめん十石屋の「ゆず塩ら~めん」(640円)。
休日は最大1時間待ちの人気ぶり。
※価格は税込み価格です。
取材・文/Office彩蔵
撮影/島 誠
道の駅は地域に根ざした触れ合いの場
広大な敷地内にアトラクションがいっぱい!
丹後王国「食のみやこ」[京都府・京丹後市]
敷地が甲子園球場の約8倍もの広さの西日本最大級の道の駅。丹後の食が楽しめる園内には、飲食店や特産品店の他、ゴーカートやアスレチックなどの遊戯施設も充実。「森の散策路」でトレッキングをしたり、「動物広場」でポニーに乗ることもできる。敷地内の農園や果樹園では、季節限定で収穫体験も可能。天然ラジウム温泉があるホテルも併設。
[写真1]
アイスクリームなどの手作り教室を毎日開催。
[写真2]
ゲートの向こうに豊かな自然が広がる。
[写真3]
農家直送の新鮮な野菜を直売。
[写真4]
やぎや羊といった動物たちとも触れ合える。
花のテーマパークと道の駅が両方楽しめる複合施設
道の駅 デンパーク安城[愛知県・安城(あんじょう)市]
花と緑の公園「安城産業文化公園デンパーク」(入園料/大人600円、小中学生300円)に隣接した道の駅。デンマーク風車がシンボルの公園内には、長さ55メートルのローラー滑り台や、色とりどりの花が咲く巨大温室などがある。道の駅の産直コーナーでは、地域で採れたばかりの新鮮な野菜や果物、地ビールなどを販売。
[写真5]
農業が盛んなことから「日本デンマーク」と呼ばれた安城市の農産物が並ぶ産直コーナー。
芝生の上で思いっきり遊ぶもよしのんびりと過ごすのもよし
道の駅 季楽里(きらり)あさひ[千葉県・旭市]
野菜や果物、肉、魚貝、花など、バラエティに富んだ特産品がそろう直売所をはじめ、地域の食材を使った自然食バイキングレストラン、パン、スムージー、イタリアンジェラート、ソフトクリームなどの飲食店も人気。遊具や野外ステージを備えた芝生広場には、8月下旬までの土、日、祝日限定で手ぶらで楽しめるバーベキュー施設も開設。
[写真6]
交通や観光などの情報に加え、さまざまな遊びも提供するインタラクティブサイネージ。
港で水揚げされたばかりの鮮魚が手に入る
道の駅 萩しーまーと[山口県・萩市]
萩漁港に直結しており、新鮮な魚貝や水産加工品が手に入る。購入した魚を館内のレストランに持ち込み、好みの調理法で堪能する名物「勝手御膳」(1名につき540円、お盆期間は休止)も人気のサービス。
[写真7]
昔懐かしい「公設市場」を再現した販売所。
有明海の干潟を活用した体験プログラムが充実
道の駅 鹿島[佐賀県・鹿島市]
有明海を一望できる立地で、年1回、国内外から大勢の参加者が集う干潟運動会「鹿島ガタリンピック」会場としても知られる。自家消費用の野菜販売から始まった直売所「千采市(せんじゃいち)」では旬の野菜や魚貝を販売。
[写真8]
泥だらけになって干潟を「ガタスキー」で滑る。
芳しい木の香りの駅
道の駅 あっさぶ[北海道・厚沢部(あつさぶ)町]
香りのよい地域産のヒノキアスナロ材で建てられた道の駅。物産館では木工芸品や野菜、みそのほか、厚沢部町特産のメークインを使った焼酎などを取りそろえている。
[写真9]
独特なこけし滑り台
道の駅 虹の湖公園[青森県・黒石市]
ダム湖に面した道の駅で、伝統工芸品のこけしをデザインしたジャンボローラー滑り台などの大型遊具やパターゴルフ場がある。B級グルメ「つゆ焼きそば」も人気。
[写真10]
ムービング遊具も4基併設
道の駅 ひたちおおた[茨城県・常陸太田市]
ビュッフェレストランと直売所で地域の旬の野菜を提供。子ども広場にはジャンボ遊具が設置され、人気スポットになっている。7月にはオープン1周年記念イベントを開催予定。
[写真11]
名産、富士湧水ポーク
道の駅 つる[山梨県・都留(つる)市]
農産物直売所、地産地消レストランに加え、小川で水遊びができる芝生広場がある。「富士湧水(ゆうすい)ポークを使ったソーセージ作り」などの各種体験教室もある。
[写真12]
ブルーベリーを無料で
道の駅 川場田園プラザ[群馬県・川場村]
武尊(ほたか)山のふもとに広がる道の駅。日帰り温泉も楽しめる。遊び場には、子どもが喜ぶアスレチック遊具を多数設置。ブルーベリーを無料で摘みとる体験ができる公園も。
[写真13]
美術館や診療所も
道の駅 南魚沼[新潟県・南魚沼市]
直売所の他、「今泉記念館」も併設。水遊び場やふわふわドームがある「憩いの広場」は地域の子どもたちにも人気。急な体調不良やけがにも対応する診療所も備える。
[写真14]
オートキャンプ場を併設
奥飛騨温泉郷上宝(ごうかみたから)[岐阜県・高山市]
清流に育まれた「本わさび」や「奥飛騨山椒」を販売。露天風呂のあるオートキャンプ場を併設し、夏休みには釣堀(有料)がオープン。魚のつかみどりを体験できる。
[写真15]
遊覧船の船着場がある
道の駅 伊東マリンタウン[静岡県・伊東市]
泳ぐ魚の姿を観察できる海中展望遊覧船が発着。伊豆みやげを集めたショップや地域の新鮮食材を使ったレストランがあり、海が見える温泉で日帰り入浴も人気。
[写真16]
みかんと海の物産の数々
道の駅 パーク七里御浜[三重県・御浜町]
季節ごとに違った品種のみかんを出荷するみかんの町、御浜(みはま)町の道の駅。海が見える駅内には「みかんジュース」を製造する工場があり、工程見学も可能。
[写真17]
テーマパークが道の駅に
神戸フルーツ・フラワーパーク大沢(おおぞう)[兵庫県・神戸市]
遊園地や温泉などの複合施設に、農産物や加工品の直売所、食堂、カフェ、観光案内所が集結した「ファームサーカス」を加え、今年から道の駅に。食育イベントも開催。
[写真18]
完熟トマトが人気
道の駅 にちなん 日野川の里[鳥取県・日南町]
トマトジュースやトマトソフトクリームが人気のショップや、地域の特産品をそろえた直売所、地域食材を豊富に使ったメニューが自慢のレストランがある。
[写真19]
ペンギンにも出会える
虹の森公園まつの[愛媛県・松野町]
直売所「かごもり市場」には特産の桃やマンゴーなどが。四万十(しまんと)川をテーマにした水族館もあり、ペンギンと触れ合うイベントを開催。ガラス工房で吹きガラス体験も。
[写真20]
※価格は税込み価格です。
丹後王国「食のみやこ」[京都府・京丹後市]
敷地が甲子園球場の約8倍もの広さの西日本最大級の道の駅。丹後の食が楽しめる園内には、飲食店や特産品店の他、ゴーカートやアスレチックなどの遊戯施設も充実。「森の散策路」でトレッキングをしたり、「動物広場」でポニーに乗ることもできる。敷地内の農園や果樹園では、季節限定で収穫体験も可能。天然ラジウム温泉があるホテルも併設。
[写真1]
アイスクリームなどの手作り教室を毎日開催。
[写真2]
ゲートの向こうに豊かな自然が広がる。
[写真3]
農家直送の新鮮な野菜を直売。
[写真4]
やぎや羊といった動物たちとも触れ合える。
花のテーマパークと道の駅が両方楽しめる複合施設
道の駅 デンパーク安城[愛知県・安城(あんじょう)市]
花と緑の公園「安城産業文化公園デンパーク」(入園料/大人600円、小中学生300円)に隣接した道の駅。デンマーク風車がシンボルの公園内には、長さ55メートルのローラー滑り台や、色とりどりの花が咲く巨大温室などがある。道の駅の産直コーナーでは、地域で採れたばかりの新鮮な野菜や果物、地ビールなどを販売。
[写真5]
農業が盛んなことから「日本デンマーク」と呼ばれた安城市の農産物が並ぶ産直コーナー。
芝生の上で思いっきり遊ぶもよしのんびりと過ごすのもよし
道の駅 季楽里(きらり)あさひ[千葉県・旭市]
野菜や果物、肉、魚貝、花など、バラエティに富んだ特産品がそろう直売所をはじめ、地域の食材を使った自然食バイキングレストラン、パン、スムージー、イタリアンジェラート、ソフトクリームなどの飲食店も人気。遊具や野外ステージを備えた芝生広場には、8月下旬までの土、日、祝日限定で手ぶらで楽しめるバーベキュー施設も開設。
[写真6]
交通や観光などの情報に加え、さまざまな遊びも提供するインタラクティブサイネージ。
港で水揚げされたばかりの鮮魚が手に入る
道の駅 萩しーまーと[山口県・萩市]
萩漁港に直結しており、新鮮な魚貝や水産加工品が手に入る。購入した魚を館内のレストランに持ち込み、好みの調理法で堪能する名物「勝手御膳」(1名につき540円、お盆期間は休止)も人気のサービス。
[写真7]
昔懐かしい「公設市場」を再現した販売所。
有明海の干潟を活用した体験プログラムが充実
道の駅 鹿島[佐賀県・鹿島市]
有明海を一望できる立地で、年1回、国内外から大勢の参加者が集う干潟運動会「鹿島ガタリンピック」会場としても知られる。自家消費用の野菜販売から始まった直売所「千采市(せんじゃいち)」では旬の野菜や魚貝を販売。
[写真8]
泥だらけになって干潟を「ガタスキー」で滑る。
芳しい木の香りの駅
道の駅 あっさぶ[北海道・厚沢部(あつさぶ)町]
香りのよい地域産のヒノキアスナロ材で建てられた道の駅。物産館では木工芸品や野菜、みそのほか、厚沢部町特産のメークインを使った焼酎などを取りそろえている。
[写真9]
独特なこけし滑り台
道の駅 虹の湖公園[青森県・黒石市]
ダム湖に面した道の駅で、伝統工芸品のこけしをデザインしたジャンボローラー滑り台などの大型遊具やパターゴルフ場がある。B級グルメ「つゆ焼きそば」も人気。
[写真10]
ムービング遊具も4基併設
道の駅 ひたちおおた[茨城県・常陸太田市]
ビュッフェレストランと直売所で地域の旬の野菜を提供。子ども広場にはジャンボ遊具が設置され、人気スポットになっている。7月にはオープン1周年記念イベントを開催予定。
[写真11]
名産、富士湧水ポーク
道の駅 つる[山梨県・都留(つる)市]
農産物直売所、地産地消レストランに加え、小川で水遊びができる芝生広場がある。「富士湧水(ゆうすい)ポークを使ったソーセージ作り」などの各種体験教室もある。
[写真12]
ブルーベリーを無料で
道の駅 川場田園プラザ[群馬県・川場村]
武尊(ほたか)山のふもとに広がる道の駅。日帰り温泉も楽しめる。遊び場には、子どもが喜ぶアスレチック遊具を多数設置。ブルーベリーを無料で摘みとる体験ができる公園も。
[写真13]
美術館や診療所も
道の駅 南魚沼[新潟県・南魚沼市]
直売所の他、「今泉記念館」も併設。水遊び場やふわふわドームがある「憩いの広場」は地域の子どもたちにも人気。急な体調不良やけがにも対応する診療所も備える。
[写真14]
オートキャンプ場を併設
奥飛騨温泉郷上宝(ごうかみたから)[岐阜県・高山市]
清流に育まれた「本わさび」や「奥飛騨山椒」を販売。露天風呂のあるオートキャンプ場を併設し、夏休みには釣堀(有料)がオープン。魚のつかみどりを体験できる。
[写真15]
遊覧船の船着場がある
道の駅 伊東マリンタウン[静岡県・伊東市]
泳ぐ魚の姿を観察できる海中展望遊覧船が発着。伊豆みやげを集めたショップや地域の新鮮食材を使ったレストランがあり、海が見える温泉で日帰り入浴も人気。
[写真16]
みかんと海の物産の数々
道の駅 パーク七里御浜[三重県・御浜町]
季節ごとに違った品種のみかんを出荷するみかんの町、御浜(みはま)町の道の駅。海が見える駅内には「みかんジュース」を製造する工場があり、工程見学も可能。
[写真17]
テーマパークが道の駅に
神戸フルーツ・フラワーパーク大沢(おおぞう)[兵庫県・神戸市]
遊園地や温泉などの複合施設に、農産物や加工品の直売所、食堂、カフェ、観光案内所が集結した「ファームサーカス」を加え、今年から道の駅に。食育イベントも開催。
[写真18]
完熟トマトが人気
道の駅 にちなん 日野川の里[鳥取県・日南町]
トマトジュースやトマトソフトクリームが人気のショップや、地域の特産品をそろえた直売所、地域食材を豊富に使ったメニューが自慢のレストランがある。
[写真19]
ペンギンにも出会える
虹の森公園まつの[愛媛県・松野町]
直売所「かごもり市場」には特産の桃やマンゴーなどが。四万十(しまんと)川をテーマにした水族館もあり、ペンギンと触れ合うイベントを開催。ガラス工房で吹きガラス体験も。
[写真20]
※価格は税込み価格です。
輝く! 未来を担う生産者 vol.3
あすみ農園/大分県
農業+観光で大分の活性化を目指す
4年前、農業経験ゼロの20代の女性が、大分県で単身、新規就農。多くの人に教えられ、失敗を糧に、温泉だけではない大分県の魅力を農業を通じて広めたいと頑張っています!
経験ゼロで会社員から農業の道へ
大分県別府市。眼下に別府湾を望む標高300メートルほどの土地で、農業に単身取り組み、注目を集めている女性がいます。「あすみ農園」の村上明日美さんです。
実は村上さん、4年前までは東京の食品関係の商社に勤めていました。出身地は山口県。まったく地縁のない大分県で就農したきっかけは、勤務先の関連会社が別府で宿泊施設を始めるにあたり、野菜を提供してくれる農業従事者を探していたことでした。
「人材がなかなか見つからなかったんです。そこで、農業経験はゼロでしたが、自分がやりたいな、と思って立候補しました」
大学は東京農業大学でしたが、学んだのは農業経済。実際に畑作業をしたことはありません。そこで、急遽(きゅうきょ)、大学の先生の助言で土壌学を学び、自動車免許も慌てて取得して退社。そして2カ月後には、別府へ。
関連会社が村上さんに用意した農地は4000平方メートル。地元のお年寄りや農家の先輩たちに教わりながら、農機具の使い方、農薬、化学肥料の上手な使い方、収穫して出荷するまでの作業など、一つ一つを体で覚え、野菜作りに取り組む日々が始まりました。
農業の大変さを実感。だからこそ楽しい!
就農2年目で、野菜の納品先だった関連会社から離れ、屋号を、「あすみ農園」に。珍しい西洋野菜を中心に生産しています。
「一般的な野菜は全国で作られているので、競争相手が少ない野菜を、と思ったのです」
地元の旅館やレストランへの卸し、イベントでの販売などが現在の販路です。
「日照りや長雨など気候にも大きく影響されるし、農業は本当に大変だなぁ、と実感しました。でも、失敗も苦労も含めて、どれもが楽しい。会社員時代は、朝起きて地下鉄で出勤、終電近くまで働いて帰宅し就寝。太陽の光さえろくに浴びていませんでした。それがこちらでは太陽の光で目覚め、鳥の鳴き声を聞きながら顔を洗う毎日。もう、東京でのような生活には戻れません」
草刈り要員のやぎを除けば、働き手は自分一人。「かぼちゃなどの重い野菜は軽トラックまで運ぶのが大変!」と苦労談は尽きませんが、村上さんの表情はどこまでも明るく輝いています。
「縁故がなければ、自分でつながりをつくろう」と旺盛な好奇心を活かして、いろいろな集まりやイベントにも積極的に参加。昨年から日本みつばちを飼育し、はちみつを販売しているのも、知人から「やってみない?」と誘われたのがきっかけです。
農業と観光、食育を結びつけ、大分に恩返しを
大分移住計画のサポーターや農業青年連絡協議会の一員としても活動しているのは、自分が"大分の人たちに温かく受け入れていただいた"経験を、次の人たちへつなげたいから。同時に、いろいろなワークショップを開催しているのは、「農業と観光、食育を結びつけ、大分県の魅力を広く発信したいから」だといいます。
そのため、あすみ農園でも農泊の受け入れができる体制が整えられないか、農業を通して人と人が交流できる方法はないか、など現在あれこれ模索中。村上さんの夢は大きく広がるばかりです。
[写真1]
別府湾や猿で有名な高崎山を見渡せる、高台の段々畑にて。「ふと顔を上げると海が見える。最高の環境です」。
[写真2]
この時期、あすみ農園で作っている野菜の数々。下から時計回りに、オレガノ、オクラの一種のスターオブダビデ、ロメインレタス、とうがらしの仲間のビッキーニョ。
[写真3]
ほ場に設置された日本みつばちの巣。
[写真4]
採取したはちみつはイベントなどで販売。ラベルからパッケージまで村上さんが手がけた。
いっぱいある趣味からも人とのつながりが広がっています!
[写真5]
「老人福祉施設などで演奏できたらいいな、と思って」ハープを練習中。
[写真6]
大学時代は馬術部に所属。今も暇を見つけて乗っている。
[写真7]
着物が大好きで、イベントにも着物姿で参加。
[写真8]
草刈り要員のやぎのイセちゃん。やぎの導入も知人から勧められた。
Profile
村上明日美さん
1986年、山口県生まれ。東京農業大学卒業後、東京の商社に4年間勤務したのち、2013年5月に、大分県別府市で新規就農。2015年、屋号を「あすみ農園」とする。農業女子プロジェクト、おおいたAFF女性ネットワークなど数多くの団体の一員としても活躍している。
所在地/大分県別府市小倉3組
http://asumi.farm/[外部リンク]
取材・文/岸田直子
撮影/原田圭介
農業+観光で大分の活性化を目指す
4年前、農業経験ゼロの20代の女性が、大分県で単身、新規就農。多くの人に教えられ、失敗を糧に、温泉だけではない大分県の魅力を農業を通じて広めたいと頑張っています!
経験ゼロで会社員から農業の道へ
大分県別府市。眼下に別府湾を望む標高300メートルほどの土地で、農業に単身取り組み、注目を集めている女性がいます。「あすみ農園」の村上明日美さんです。
実は村上さん、4年前までは東京の食品関係の商社に勤めていました。出身地は山口県。まったく地縁のない大分県で就農したきっかけは、勤務先の関連会社が別府で宿泊施設を始めるにあたり、野菜を提供してくれる農業従事者を探していたことでした。
「人材がなかなか見つからなかったんです。そこで、農業経験はゼロでしたが、自分がやりたいな、と思って立候補しました」
大学は東京農業大学でしたが、学んだのは農業経済。実際に畑作業をしたことはありません。そこで、急遽(きゅうきょ)、大学の先生の助言で土壌学を学び、自動車免許も慌てて取得して退社。そして2カ月後には、別府へ。
関連会社が村上さんに用意した農地は4000平方メートル。地元のお年寄りや農家の先輩たちに教わりながら、農機具の使い方、農薬、化学肥料の上手な使い方、収穫して出荷するまでの作業など、一つ一つを体で覚え、野菜作りに取り組む日々が始まりました。
農業の大変さを実感。だからこそ楽しい!
就農2年目で、野菜の納品先だった関連会社から離れ、屋号を、「あすみ農園」に。珍しい西洋野菜を中心に生産しています。
「一般的な野菜は全国で作られているので、競争相手が少ない野菜を、と思ったのです」
地元の旅館やレストランへの卸し、イベントでの販売などが現在の販路です。
「日照りや長雨など気候にも大きく影響されるし、農業は本当に大変だなぁ、と実感しました。でも、失敗も苦労も含めて、どれもが楽しい。会社員時代は、朝起きて地下鉄で出勤、終電近くまで働いて帰宅し就寝。太陽の光さえろくに浴びていませんでした。それがこちらでは太陽の光で目覚め、鳥の鳴き声を聞きながら顔を洗う毎日。もう、東京でのような生活には戻れません」
草刈り要員のやぎを除けば、働き手は自分一人。「かぼちゃなどの重い野菜は軽トラックまで運ぶのが大変!」と苦労談は尽きませんが、村上さんの表情はどこまでも明るく輝いています。
「縁故がなければ、自分でつながりをつくろう」と旺盛な好奇心を活かして、いろいろな集まりやイベントにも積極的に参加。昨年から日本みつばちを飼育し、はちみつを販売しているのも、知人から「やってみない?」と誘われたのがきっかけです。
農業と観光、食育を結びつけ、大分に恩返しを
大分移住計画のサポーターや農業青年連絡協議会の一員としても活動しているのは、自分が"大分の人たちに温かく受け入れていただいた"経験を、次の人たちへつなげたいから。同時に、いろいろなワークショップを開催しているのは、「農業と観光、食育を結びつけ、大分県の魅力を広く発信したいから」だといいます。
そのため、あすみ農園でも農泊の受け入れができる体制が整えられないか、農業を通して人と人が交流できる方法はないか、など現在あれこれ模索中。村上さんの夢は大きく広がるばかりです。
[写真1]
別府湾や猿で有名な高崎山を見渡せる、高台の段々畑にて。「ふと顔を上げると海が見える。最高の環境です」。
[写真2]
この時期、あすみ農園で作っている野菜の数々。下から時計回りに、オレガノ、オクラの一種のスターオブダビデ、ロメインレタス、とうがらしの仲間のビッキーニョ。
[写真3]
ほ場に設置された日本みつばちの巣。
[写真4]
採取したはちみつはイベントなどで販売。ラベルからパッケージまで村上さんが手がけた。
いっぱいある趣味からも人とのつながりが広がっています!
[写真5]
「老人福祉施設などで演奏できたらいいな、と思って」ハープを練習中。
[写真6]
大学時代は馬術部に所属。今も暇を見つけて乗っている。
[写真7]
着物が大好きで、イベントにも着物姿で参加。
[写真8]
草刈り要員のやぎのイセちゃん。やぎの導入も知人から勧められた。
Profile
村上明日美さん
1986年、山口県生まれ。東京農業大学卒業後、東京の商社に4年間勤務したのち、2013年5月に、大分県別府市で新規就農。2015年、屋号を「あすみ農園」とする。農業女子プロジェクト、おおいたAFF女性ネットワークなど数多くの団体の一員としても活躍している。
所在地/大分県別府市小倉3組
http://asumi.farm/[外部リンク]
取材・文/岸田直子
撮影/原田圭介
MAFF TOPICS
MAFFとは農林水産省の英語表記「Ministry of Agriculture, Forestry and Fisheries」の略称です。「MAFF TOPICS」では、農林水産省からの最新ニュースなどを中心に、暮らしに役立つさまざまな情報をお届けいたします。
「白書」の由来はイギリス政府が議会に提出した白い表紙の報告書。日本では一般的に政府の年次報告書を指します。
農林水産省では現在、「食料・農業・農村白書」、「食育白書」「森林・林業白書」、「水産白書」の4つの白書を作成しています。
内容は、近年の動向の解説、図説や統計データを用いた分析、コラムや全国各地で行われている取り組み事例の紹介など。それぞれに厚みがあって手に取ることは少ないと思いますが、より多くの方に読んでいただけるよう、さまざまな工夫をしています。下に示した事例がその一例。目を引いたものだけを読んでも面白いと思います。もちろん通して読めば農林水産省の施策のすべてがわかります。また、「ジュニア農林水産白書」は、食料や農林水産業、農山漁村について、子ども向けにイラストを交えて紹介しています。
農林水産省Webサイトには白書の内容をまとめた概要版も掲載していますので、ご覧ください。また、地方農政局や大学等全国各地で白書の概要を解説する説明会を開催しています。
[画像1]
子ども向けの表紙だけは色合い豊かに。
農畜産物の生産や輸出などを知る
食料・農業・農村白書
「農業競争力強化プログラム」より
こんな事例がいっぱい!
野菜を街に届ける野菜バス
静岡県は、農業者が生産した少量・多品目の野菜を定期巡回トラック(「野菜バス」)で集荷し、共同配送することで流通経費の削減を図るシステムの構築に向けた実証実験事業を平成28年度から行っています。
県から委託を受けた物流、IT、食品事業者等で構成される「生産・流通プロセス一体型システム開発協議会」では、県西部と中部の2ルートで、「野菜バス」(2トントラック)を1日1便巡回させています。
最寄りの野菜バス停留所に野菜を持ち込み、実需者の最寄りの停留所まで届けます。
今後、事業の検証結果を踏まえ、新たな県内配送サービスの継続的な運営手法を確立するとともに、将来的には首都圏とつなぐルートも実現したいと考えています。
[写真1]
「野菜バス」による野菜の集荷。
写真提供:静岡県
水産物の生産や消費などを知る
水産白書
「我が国の水産物の需要・消費をめぐる動き」より
[写真2]
店頭には全国の魚が並ぶ。
[写真3]
店員さんは魚に合ったさばき方や調理方法をアドバイス。
写真提供:(株)フーディソン
こんな事例がいっぱい!
都会の新しい魚屋さん
魚屋さんのイメージを覆すような新しい鮮魚店が注目を集めています。その店の名前は「sakana bacca(サカナバッカ)」。平成26年に1号店をオープンし、東京都内に店舗を展開しています。カフェかインテリアショップを思わせる店内にさまざまな魚を丸ごと陳列。ITを駆使して集荷・出荷を簡略化することで、獲れた翌日には店頭に並ぶよう体制を整えています。
お店のデザインや経営システムは斬新な一方で、販売の際には従来の魚屋さんのように消費者との対話を重視。さばき方や調理法を教えるほか、要望に応じた魚を提供しています。
食生活の現状や食育の取り組みなどを知る
食育白書
「食生活をめぐる現場と食育実践」より
[写真4]
「まるのうち保健室」でのカウンセリング。
[写真5]
カフェで提供した限定メニュー。
写真提供:Will Conscious Marunouchi実行委員会
こんな事例がいっぱい!
明日を美しく健康に働く
Will Conscious Marunouchi(ウィルコンシャスまるのうち)実行委員会は、平成26年から東京・丸の内にて「まるのうち保健室」を開催し、働く女性の健康支援に取り組んでいます。カフェ等で、ヘモグロビン・体組成・骨密度の測定や食生活調査を実施するとともに、測定結果を用いて、研修を受けた保健室公認カウンセラーによる食生活や生活習慣の改善提案を受けることができます。
参加者からは、「自分の体をよく知ることができ、生活習慣を振り返るよい機会になった」という声が寄せられています。
今後は、参加者のデータをもとに、働く人が気軽に健康的な生活を送ることができる街づくりを進めていきます。
森林の整備や保全などを知る
森林・林業白書
「木材産業と木材利用」より
[写真6]
丸太の船への積み込み風景(鹿児島県志布志(しぶし)港)。
写真提供:鹿児島県
[写真7]
アンテナショップ内の様子(韓国・城南市)
写真提供:美作材輸出振興協議会
こんな事例がいっぱい!
各地域における木材輸出の取り組み
鹿児島県と宮崎県では、県境を越えた4森林組合が連携して木材輸出戦略協議会を設立。主に中国・韓国向けにスギ・ヒノキ丸太の輸出に取り組んでいます。同協議会で集出荷することによって安定的な供給が図られ、平成27年度には輸出量が輸出開始時の9倍近い4万立方メートルとなりました。
岡山県では津山圏域の木材産業関連業者で作られた美作(みまさか)材輸出振興協議会が、平成28年8月、県産ヒノキ製材品を展示・販売するアンテナショップを韓国城南(ソンナム)市に開設しました。
白書情報はこちらへ!
農林水産省白書
https://www.maff.go.jp/j/wpaper/
昨年は「何ができるか考えよう! 親子で学ぶ、食と暮らしの安全」をテーマに、生活に直結する食品安全や暮らしの安全についてのミニセミナー、ポスター展示、ワークショップ等を行いました。今年も食品安全や暮らしの安全についてのさまざまな情報を提供し、イベントを行います。親子で学ぶことで、自分でできること、気をつけることについて、一緒に考えてみる機会になるのではないでしょうか。
イベントには、企業・団体等がさまざまなブースを出展します。
入場には事前登録が必要です。また、各種体験プログラムは、「予約(抽選制)」、「整理券制」などがあります。下のQRコードから詳細を確認して、ご来場ください。
夏休み2017 宿題・自由研究大作戦!
日時:
<東京>7月21日(金曜日)~23日(日曜日)9時~16時
<仙台>7月28日(金曜日)、29日(土曜日)9時~16時
<大阪>8月3日(木曜日)、4日(金曜日)9時~16時
会場:
<東京>東京ビッグサイト 東6ホール
<仙台>夢メッセみやぎ
<大阪>インテックス大阪1号館
※大阪会場へは出展せず、西日本では別イベントを予定。
入場無料(事前登録制)
[問い合わせ先]
宿題・自由研究大作戦 事務局 Tel: 03‐3434‐0380
詳細はこちらへ!
夏休み2017 宿題・自由研究大作戦!
西日本での出展予定
https://www.maff.go.jp/j/syouan/johokan/risk_comm/
[写真8]
場内ステージ。「知ろう! 考えよう! 親子で学ぶ、食品中の放射性物質」を開催。
[写真9]
ブースでのワークショップ。どちらもたくさんの親子が参加。
※写真は平成28年のものです。
取材・文/細川潤子
News1 農林水産の"今"がわかる白書に注目!
事例も充実普段の生活にも関連「白書」の由来はイギリス政府が議会に提出した白い表紙の報告書。日本では一般的に政府の年次報告書を指します。
農林水産省では現在、「食料・農業・農村白書」、「食育白書」「森林・林業白書」、「水産白書」の4つの白書を作成しています。
内容は、近年の動向の解説、図説や統計データを用いた分析、コラムや全国各地で行われている取り組み事例の紹介など。それぞれに厚みがあって手に取ることは少ないと思いますが、より多くの方に読んでいただけるよう、さまざまな工夫をしています。下に示した事例がその一例。目を引いたものだけを読んでも面白いと思います。もちろん通して読めば農林水産省の施策のすべてがわかります。また、「ジュニア農林水産白書」は、食料や農林水産業、農山漁村について、子ども向けにイラストを交えて紹介しています。
農林水産省Webサイトには白書の内容をまとめた概要版も掲載していますので、ご覧ください。また、地方農政局や大学等全国各地で白書の概要を解説する説明会を開催しています。
[画像1]
子ども向けの表紙だけは色合い豊かに。
農畜産物の生産や輸出などを知る
食料・農業・農村白書
「農業競争力強化プログラム」より
こんな事例がいっぱい!
野菜を街に届ける野菜バス
静岡県は、農業者が生産した少量・多品目の野菜を定期巡回トラック(「野菜バス」)で集荷し、共同配送することで流通経費の削減を図るシステムの構築に向けた実証実験事業を平成28年度から行っています。
県から委託を受けた物流、IT、食品事業者等で構成される「生産・流通プロセス一体型システム開発協議会」では、県西部と中部の2ルートで、「野菜バス」(2トントラック)を1日1便巡回させています。
最寄りの野菜バス停留所に野菜を持ち込み、実需者の最寄りの停留所まで届けます。
今後、事業の検証結果を踏まえ、新たな県内配送サービスの継続的な運営手法を確立するとともに、将来的には首都圏とつなぐルートも実現したいと考えています。
[写真1]
「野菜バス」による野菜の集荷。
写真提供:静岡県
水産物の生産や消費などを知る
水産白書
「我が国の水産物の需要・消費をめぐる動き」より
[写真2]
店頭には全国の魚が並ぶ。
[写真3]
店員さんは魚に合ったさばき方や調理方法をアドバイス。
写真提供:(株)フーディソン
こんな事例がいっぱい!
都会の新しい魚屋さん
魚屋さんのイメージを覆すような新しい鮮魚店が注目を集めています。その店の名前は「sakana bacca(サカナバッカ)」。平成26年に1号店をオープンし、東京都内に店舗を展開しています。カフェかインテリアショップを思わせる店内にさまざまな魚を丸ごと陳列。ITを駆使して集荷・出荷を簡略化することで、獲れた翌日には店頭に並ぶよう体制を整えています。
お店のデザインや経営システムは斬新な一方で、販売の際には従来の魚屋さんのように消費者との対話を重視。さばき方や調理法を教えるほか、要望に応じた魚を提供しています。
食生活の現状や食育の取り組みなどを知る
食育白書
「食生活をめぐる現場と食育実践」より
[写真4]
「まるのうち保健室」でのカウンセリング。
[写真5]
カフェで提供した限定メニュー。
写真提供:Will Conscious Marunouchi実行委員会
こんな事例がいっぱい!
明日を美しく健康に働く
Will Conscious Marunouchi(ウィルコンシャスまるのうち)実行委員会は、平成26年から東京・丸の内にて「まるのうち保健室」を開催し、働く女性の健康支援に取り組んでいます。カフェ等で、ヘモグロビン・体組成・骨密度の測定や食生活調査を実施するとともに、測定結果を用いて、研修を受けた保健室公認カウンセラーによる食生活や生活習慣の改善提案を受けることができます。
参加者からは、「自分の体をよく知ることができ、生活習慣を振り返るよい機会になった」という声が寄せられています。
今後は、参加者のデータをもとに、働く人が気軽に健康的な生活を送ることができる街づくりを進めていきます。
森林の整備や保全などを知る
森林・林業白書
「木材産業と木材利用」より
[写真6]
丸太の船への積み込み風景(鹿児島県志布志(しぶし)港)。
写真提供:鹿児島県
[写真7]
アンテナショップ内の様子(韓国・城南市)
写真提供:美作材輸出振興協議会
こんな事例がいっぱい!
各地域における木材輸出の取り組み
鹿児島県と宮崎県では、県境を越えた4森林組合が連携して木材輸出戦略協議会を設立。主に中国・韓国向けにスギ・ヒノキ丸太の輸出に取り組んでいます。同協議会で集出荷することによって安定的な供給が図られ、平成27年度には輸出量が輸出開始時の9倍近い4万立方メートルとなりました。
岡山県では津山圏域の木材産業関連業者で作られた美作(みまさか)材輸出振興協議会が、平成28年8月、県産ヒノキ製材品を展示・販売するアンテナショップを韓国城南(ソンナム)市に開設しました。
白書情報はこちらへ!
農林水産省白書
https://www.maff.go.jp/j/wpaper/
News2 夏休みの自由研究はおまかせ!
7月下旬から8月上旬にかけて、東京・仙台・大阪の3都市で「夏休み2017宿題・自由研究大作戦!」が開催されます。農林水産省は消費者庁、内閣府食品安全委員会および厚生労働省とともに東京と仙台の会場に出展します。昨年は「何ができるか考えよう! 親子で学ぶ、食と暮らしの安全」をテーマに、生活に直結する食品安全や暮らしの安全についてのミニセミナー、ポスター展示、ワークショップ等を行いました。今年も食品安全や暮らしの安全についてのさまざまな情報を提供し、イベントを行います。親子で学ぶことで、自分でできること、気をつけることについて、一緒に考えてみる機会になるのではないでしょうか。
イベントには、企業・団体等がさまざまなブースを出展します。
入場には事前登録が必要です。また、各種体験プログラムは、「予約(抽選制)」、「整理券制」などがあります。下のQRコードから詳細を確認して、ご来場ください。
夏休み2017 宿題・自由研究大作戦!
日時:
<東京>7月21日(金曜日)~23日(日曜日)9時~16時
<仙台>7月28日(金曜日)、29日(土曜日)9時~16時
<大阪>8月3日(木曜日)、4日(金曜日)9時~16時
会場:
<東京>東京ビッグサイト 東6ホール
<仙台>夢メッセみやぎ
<大阪>インテックス大阪1号館
※大阪会場へは出展せず、西日本では別イベントを予定。
入場無料(事前登録制)
[問い合わせ先]
宿題・自由研究大作戦 事務局 Tel: 03‐3434‐0380
詳細はこちらへ!
夏休み2017 宿題・自由研究大作戦!
西日本での出展予定
https://www.maff.go.jp/j/syouan/johokan/risk_comm/
[写真8]
場内ステージ。「知ろう! 考えよう! 親子で学ぶ、食品中の放射性物質」を開催。
[写真9]
ブースでのワークショップ。どちらもたくさんの親子が参加。
※写真は平成28年のものです。
取材・文/細川潤子
News3 夏休み恒例の「こども霞が関見学デー」開催
楽しいプログラムがいっぱい毎年好評の「こども霞が関見学デー」が今年も8月2日、3日に開催されます。このイベントは、平成12年度から実施されており、文部科学省をはじめとした府省庁等が連携して、業務説明や省内見学などを行うものです。子どもたちが中央省庁を見学し、さまざまな体験をすることで、夏休みに広く社会を知る体験活動の機会になります。
農林水産省でも子どもが見て、調べて、作って楽しめるイベントを盛りだくさんにそろえています。大臣室・記者会見室の見学、国産の食材・日本の食を考える教室、さまざまな体験ができるワークショップなど。参加することで親子のふれあいが深まり、夏休みの自由研究にも役立つことでしょう。
当日は受付で「霞が関こども旅券」(パスポート)を受け取り、興味に合わせて霞が関を自由に歩き、各府省庁内のプログラムに参加することができます。
また、夏休みのこうした子ども向けのイベントは、農政局等でも開催しています。開催日時、内容等のお問い合わせは最寄りの農政局等で受け付けています。
[写真1]
イベントを体験する子どもたち
「田んぼの水はどこから来るの? 模型を触って遊びながら学ぼう!」農業用水の働きをわかりやすく説明したジオラマの展示。
[写真2]
「おうちでプチ農業体験!~育てて食べてみよう~」マイ畑を作って豆苗を育てる。
[写真3]
「測って、遊ぼう! 統計ランド」実際の調査と同じやり方・道具で木になるりんごの数の計測体験。
[写真4]
「ギョーさん、おさかなを知ろう!」さかなクンによるお魚セミナー。
※写真はすべて平成28年度のものです。
「平成29年度こども霞が関見学デー」
日時:8月2日(水曜日)、3日(木曜日) 10時~16時
受付場所:農林水産省本館正面玄関、本館南玄関、北別館玄関(受付時間は10時~15時45分)
入場無料
※イベントにより、事前予約や当日受付登録が必要です。詳細は下のQRコードよりご確認ください。
最新情報はこちらへ!
こども霞が関見学デー
https://www.maff.go.jp/j/kids/experience/k_d/
多面的機能支払交付金[第3回]
地域が一体となって都市部の地域資源を守る東京都府中市に残る農業用水路「雑田堀(ぞうだぼり)」は、市民が自然と触れ合う大切な場所。平成14年ごろから地元小学校の児童やPTAを中心に清掃活動が行われてきました。平成27年度にこれをもとに流域の農業者と地域住民、地元企業が連携した「Team雑田堀」が立ち上がり、交付金を活用した保全活動が行われています。これまでの清掃活動に加え、用水路の脇に花を植え始めました。また、雑田堀にビオトープができたことをきっかけに、絶滅危惧(きぐ)種の移植など、地域の魅力を高める活動も行っています。
小学校や企業などの農業者以外の人たちが協力し合うことで、それぞれ得意分野が生かされ、都市部に残された農地や用水路の存続を可能にしています。
[写真5]
地域みんなで農地や用水をケアする「Team雑田堀」
雑田堀は江戸時代から使われてきた農業用水の支流。子どもたちが中に入って遊べる、都市部では希少な用水路。
[写真6]
清掃活動後の読み聞かせ。
[写真7]
自分たちで育てた花の苗を植える。
[写真8]
花が咲いてごみのぽい捨ても減った。
[写真9]
ビオトープに絶滅危惧種を移植。
多面的機能支払交付金とは…
農業・農村の有する多面的機能が、適切に維持・発揮されるよう、農用地や水路、農道等の地域資源を保全している地域の共同活動を支援するための交付金です。
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