旅する農業遺産

農業遺産は、特徴的かつ伝統的な農林水産業を営む地域であり、世界農業遺産と日本農業遺産の2種類があります。世界農業遺産は国際連合食糧農業機関(FAO)により、日本農業遺産は農林水産大臣により認定されます。今回は、世界農業遺産の一つである岐阜県 長良川上中流域をご紹介します。
世界農業遺産認定地域数は74地域(うち日本国内認定地域数13地域)、日本農業遺産認定地域数は24地域
世界に認められた「長良川システム」
長良川の澄んだ水で育つ鮎は、流域の食や伝統文化、歴史、経済と深く結びついており、伝統漁法の「鵜飼」は観光資源ともなっています。また、長良川の清流は美濃和紙や岐阜提灯、岐阜和傘、郡上本染といった地域の伝統産業も支えています。流域に暮らす人々は、100年後を見据えて源流域に広葉樹を植えたり、毎年鮎の稚魚を放流したりと、美しい清流を守るためにさまざまな取り組みを行ってきました。このように人々の生活と水環境、漁業資源、伝統産業が連携しながら循環していく「長良川システム」は世界でも高い評価を受け、平成27年(2015年)12月、「清流長良川の鮎」が世界農業遺産に認定されました。

岐阜県郡上市の大日ヶ岳に源を発し、伊勢湾までの全長166キロメートルを流れる長良川。流域に多くの人々が暮らす都市部の川でありながら「日本三大清流」の1つに数えられます。そんな長良川で育つ「鮎」は長良川の豊かさをあらわす象徴です。

約1300年前、奈良時代から行われていたという「鵜飼」は、鵜を操って川で鮎をとる伝統漁法で、松尾芭蕉やチャールズ・チャップリンなどの文化人にも愛されていたといいます。ほかにも長良川では、川を下る産卵前の鮎(落ち鮎)をねらう「瀬張り網漁」、かがり火の明かりや川面を櫓で叩く音で鮎を網に追い込む「夜網漁」など伝統の漁が受け継がれています。

森林管理や水防施設、清掃管理など人が適正に関与することで経済的・精神的な価値を保ち、かつ生物多様性を保持している川を「里川」といいます。長良川は、まさに里川です。

布についた糊を川の水で落とす「郡上本染 鯉のぼり寒ざらし」は冬の風物詩。美しい水を利用して、和紙や染物など様々な名産品が生み出されています。


長良川うかいミュージアム
まずは、長良川鵜飼の歴史を学びましょう。絵巻物型スクリーンで鵜飼を臨場感たっぷりに体感できるシアターや足元の鮎を追いかける映像体験など、参加体験型の展示も充実しています。
URL:https://www.ukaimuseum.jp/
アクセス:JR岐阜駅・名鉄岐阜駅から、岐阜バス「N系統路線」もしくは「市内ループ線」でバス停「鵜飼屋」下車、徒歩6分

長良川・小瀬鵜飼
鵜飼漁は河岸から自由に見学できます。鵜匠の手縄さばきや魚をとる鵜を間近で見ることができる鵜飼観覧船は、非日常気分が味わえます。毎年5月11日から10月15日に開催。
URL:https://www.ukai-gifucity.jp/ukai/
長良川鵜飼へのアクセス:JR岐阜駅・名鉄岐阜駅から岐阜バス「高富行き」「市内ループ線左回り」など長良橋経由路線でバス停「長良橋」下車、徒歩1分
小瀬鵜飼へのアクセス:長良川鉄道「関駅」から車で15分

清流長良川あゆパーク
アクティブに遊びたい方はこちらへ。鮎のつかみどりや魚釣りなどの漁業体験ができるほか、鮎の塩焼きや鮎せんべいを食べたり、クイズラリーをしたりと、ファミリーでも楽しめます。
アクセス:長良川鉄道「白山長滝駅」下車、徒歩5分

天然鮎料理みやちか
地元の名物料理を楽しむなら、天然鮎の専門店へ。一番人気は塩焼きや甘露煮、活き造り、雑炊、唐揚げなどが楽しめるフルコース。ヤナ漁の期間中は、食事をすると無料でヤナ体験ができます。
URL:https://www.miyachikaayu.com/
アクセス:長良川鉄道「木尾駅」下車、徒歩10分

美濃和紙の紙すき体験
「美濃和紙の里会館」では、美濃和紙の歴史や技術を多彩な視点から学べます。職人が使う本物の道具を使って和紙を作り、動物や花などの模様をつける「紙すき体験」も人気(要予約※空きがあれば当日参加も可能)。
URL:https://www.city.mino.gifu.jp/minogami/
アクセス:長良川鉄道「美濃市駅」から岐阜バス「牧谷線洞戸栗原行き」でバス停「和紙の里公園前」下車

長滝白山神社
養老年間に泰澄大師が創建して以来、白山信仰の中心として栄えた神社です。境内には国の重要文化財があるほか、毎年1月に行われる「長滝の延年」は国の重要無形民俗文化財に指定。
アクセス:長良川鉄道「白山長滝駅」下車、徒歩3分

長良川鉄道
長良川沿いを縫うように走る観光列車「ながら」に乗って、ローカル列車の旅はいかが。水戸岡鋭治氏がデザインを手がけた車内では、地元の食材を使った料理と長良川の絶景が一度に楽しめます。

絵画のような美しい池
岐阜県関市板取にある名もなき池です。透明度が高く、池の中を優雅に泳ぐ錦鯉と睡蓮の花がとても美しく、まるでモネの代表作「睡蓮」のように見えることから、通称「モネの池」と呼ばれています。
URL:https://www.kankou-gifu.jp/spot/detail_5094.html
アクセス:JR岐阜駅・名鉄岐阜駅から、岐阜バス「岐阜板取線」でバス停「ほらどキウイプラザ」で下車し、板取ふれあいバスでバス停「白谷あじさい園」下車
お問合せ先
大臣官房広報評価課広報室
代表:03-3502-8111(内線3074)
ダイヤルイン:03-3502-8449