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農林水産省

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野村農林水産大臣記者会見概要

日時 令和4年10月11日(火曜日)10時39分~11時07分 於: 本省7階講堂
主な質疑事項
  • 全国旅行支援による飲食店への期待する効果について
  • 第12回全国和牛能力共進会について
  • 農業従事者の減少への対策等について
  • 総合経済対策について

質疑応答

  • 全国旅行支援による飲食店への期待する効果について

記者

  今日、政府では、水際対策の緩和と全国旅行支援の開始ということで、観光業に関して一つ節目となる動きがありまして、観光業、各地の農林水産物をはじめ、食品産業への影響もある分野だと思いますので、食品産業への期待がありましたらよろしくお願いいたします。

大臣

  今、御質問がありましたように、今日から全国旅行支援が始まります。大変皆さん、特に飲食関係の皆さん方は首を長くして待っておられたと思うんですが、大変期待をされているようであります。今朝のニュースとか昨夜のニュースを見ますと、飲食店の皆さん方の声は大変弾んでいたというふうに思いますけれども、これを契機にしながら、コロナで沈んでいった景気を飲食店の方から是非また盛り上げていただけたらなと思っておるところです。本日から再開する全国旅行支援では、地域の食や文化などの魅力を取り込んだ旅行商品を割り引くだけではなくて、地域の飲食店などで利用できるクーポンも発行されるというふうに聞いております。昨日は総理に鹿児島に行っていただきまして、牛の品評会と言われている全国和牛能力共進会。今年で12回目、5年に一遍ですから60年で初めて総理に入っていただいて、大変元気が出ましたし、それから飲食の方はクーポンがまだ昨日は発行されておりませんでしたけれども、大変、おかげさまでといいますか、飛行機で総理と一緒に帰ってきたのですが満席で、しかも大型機が鹿児島に久しぶりに、今までと変わって大きい飛行機で、しかも満席だということで、相当の皆さんがやっぱりもう移動されているなと。特に共進会があったものですから、全国からもお見えになった方々の帰り便ですから相当多かったんだろうと、こんなふうに思っておりまして、こういう人の動きというのが飲食業界には大きな影響がありますので、これからこのクーポンを利用した形での飲食がまた盛り上がっていくことを、また外国からの観光客も増えているということも聞いておりますので、早く日常を取り戻し、1日も早く、コロナ以前の活況が戻ることを期待しているところです。


  • 第12回全国和牛能力共進会について(1)

記者

  先ほど言及がありました5年に1度の全共が、終了したんですけれども、大臣の地元の鹿児島が種牛の部で、宮崎が肉牛の部でそれぞれ内閣総理大臣賞を受賞しましたが、結果の受け止めをお願いします。また今大会を通じて見えました和牛改良の将来の展望ですとか、課題などがありましたらお聞かせください。

大臣

  私も9日から審査風景、あるいは発表等々を見ておりましたけれども、農家の皆さん方も、自分の牛がどうなっていくのか、また応援団が各県とも大量に送り込まれまして、拍手が出ていたんですが、岸田総理に内閣総理大臣賞を直接渡してもらうというのは、先ほど申し上げましたように、初めてのことでありますので、鹿児島の皆さん方、あるいは全国の皆さん方も大変喜んでおられまして、今朝の閣議の後、総理にお礼を申し上げたところでございます。総理からは鹿児島大会を契機に和牛の魅力や生産性が向上して将来にわたって和牛生産が成長して、次世代に引き継がれていくことを大いに期待しますと、こういったお言葉もいただいたところでありまして、長年、改良に取り組んできた各県の皆さん方、技術員の皆さん方や、あるいは農家の皆さん方にこうして盛り上げていただいたことに心から感謝を申し上げたいと思います。総理と農水省から私が入ったのですが、そのほかに、森山先生。森山先生は全国中央畜産会の会長として、(生産者との)意見交換会をやりました。(出席した和牛の生産者は)女性がお2人、それから男性が1人だったんですが、私がびっくりしましたのは40歳の女性なんですけれども、子供さんを6人もうけられて、そして今、牛を300頭飼っていると。子育て、それから牛育ての両方にてんてこ舞いだったんだけれども、仲間の皆さんやJA、あるいは行政の皆さんに助けられて、今日までよくやってこられましたということを言っておられました。そこの地区では、鹿児島県全体でもあるんですけれど、そこの地区では和牛(生産者)の女性の会合がありまして、30数名がその会に入っておられるということで、もう1人の方は30歳だったんですが、若い女性が牛飼いをしているというのが本当に嬉しかったというよりも、びっくりしたんです。高校生の部でも、鹿児島県の曽於高校というところが一位を取ったんですけども、夜の懇親会、9日だったんですが、それにもちろん男子生徒もいたんですが、女子生徒が6名も来ていて、懇親会ですから酒が入るわけですけど、私は全く(そうとは知らず成人の)女性としか見ていなくて、酒を注ごうとしたら、「大臣、高校生で飲んでいいんですか」と言われましたけども。もう本当にびっくりして、そして一人一人将来何になるのと聞いたら、「牛を飼います」というのが5人、1人が「私は人工授精師になります」と。こういったようなことで、若い女性の方々が生き生きして、これから卒業したら牛飼いやるんだという女性の生徒さんがおられたものですから、鹿児島の畜産、あるいは鹿児島の農業は捨てたものではないなと、こんなふうに実は思ったんです。今朝も官房長にそのことを言ったんですよ。何だかもう(平均年齢が)67歳だ68歳だといって、高齢化が進んでてこれから先どうなるんだというような話が出るものですから、いやそうじゃないと、地元の鹿児島しか僕は農業を知らないけれども、こうして若い人たちで後を継ぐような人たちも出てきてるんだと言うんですけれども、(全体では)なかなか現状でいくと高齢化が進んで若い後継者が育っていないと、こんなことをよく言われるんです。畜産の関係だけで見ますと非常にまだこれから鹿児島は伸びていくなあと。全国的にも高校生の部の共進会の品評がされたのですが、やっぱり高校生の人達が牛に興味を持ってくれる、あるいは農業に興味を持ってくれる、そういうような催しなり、そういったようなイベントがあれば、まだまだ私は伸びる余地、伸びしろはあるなと、こんなふうに思っておるところです。何を言いたいかというと、捨てたもんじゃないよということ。今朝も官房長に「統計的にはそうかも知らんけど現場を見て御覧よ」と言ったんですけどね。昨日も本当に若い人が多かったです。


  • 農業従事者の減少への対策等について

記者

  基本法の見直しに関連して、今のお話と若干重なってくるところもあると思うんですけれども、生産者の減少についてですね、ちょっと伺いたいんですけれども。若い方が入って来られる一方で、やっぱり全体で見ると基幹的農業従事者とか、農業に従事する人が長期的に減っているかと思います。先日の農政審、基本法の関係で開かれた農政審では、農産物価格の低迷とかを理由に挙げる方もいらっしゃいました。その辺り生産者の減少の要因をですね、どのように見てらっしゃるかということと、この流れに歯止めをかけるために何が必要とお考えかお聞かせいただければと思います。

大臣

  (昨日の)意見交換会の中でも、畜産で300頭とか一番多い人で600頭飼っている、それは男性だったんですがおられました。それで今何が一番必要かと言いましたら、やっぱりこれだけ餌が高くなってきているので、できるだけ自給飼料を作りたいと。それには農地が少ないとか、あるいはまだまだやらなきゃならないけれども、労働力も限定されているので、そういった意味で機械の購入とか、あるいは一番少ない人で、女性の30歳の方だったのですが、18頭しかまだ飼ってないと。今後まだ規模を大きくしていきたい、そして子供に継がせたいとこういうようなお話でしたが、それにはやっぱりなんと言っても、初期投資、それは子牛を買うお金、あるいは飼料(用農地)を拡大していくということになると機械化がやっぱり必要ですから、そういった機械化に対する投資、こういったものに小規模農家であっても国からの支援が欲しいと、こういったようなお話がありまして、非常に私どももそうだなという気持ちになったんですが、要は今から何が必要なのかと。だから農家の人たちが今、餌が高い、あるいは肥料が高いという中で、今朝も幹部の職員の人たちには話したんですけれども、農家はお金をくれと言ってるんではないんだと。構造対策を変えていかないと、これはお金をいくらやったって、それはもう持続的に繋がっていかないだろうと。だから構造を変えるところで今度の経済対策を重点的に検討してみてくれと、今朝そういうことを申しました。ですから、この現場の声というのを我々はちゃんと聞きながら、そしてそれを政策に練り上げていくというふうに持っていこうと思っております。やっぱり今農家が心配しておりますのは、餌が高い、肥料が高いということなので、だからそれを補填してくれという農家もおられます。だけどそれはもう一過性のものですから、先ほど申し上げたように、もう少し今後長く農業経営が続けられるように、私の(主張する)食料安全保障というのはそういう気持ちでずっと農水省の中でも、今日来ております幹部職員の皆さんにもそういうことを言っているんですが、これからの農業を変えていくという視点に立って政策を練り上げて欲しい、あるいは予算措置もそういうものに付けて欲しいということを言っておりますので、これから持続的に農業ができるような、そういったようなことを今度の経済対策は中心として考えていかなければいけないと思っています。当面の対策は、もう既に予備費を使って、肥料対策だ、餌対策だというのはやっていますから。今度はそれから先をどうするかというのがやっぱり農家の皆さんの不安がありますから、そういったところにお金を入れて、そして持続的に今後経営が続けられるような仕組み作りをしていきたいなとこんなふうに思います。


  • 総合経済対策について(1)

記者

  昨日の共進会の会場にて、野村大臣と岸田総理からも経済対策について、現地でお話があったと思います。その中で畜産農家と稲作農家が連携して国産飼料の供給拡大を図る取組を後押しする新たな支援制度を創設するということにも言及されましたが、稲などの国産粗飼料についてはその供給地と需要地が離れている場合、輸送にコストがかかるとか、供給網の構築についても課題があると思います。こうした取組の拡大に向けてどのように課題解決を図られるのか、大臣の考えをお願いします。

大臣

  私も前から言っておりますけれども、とにかく日本の中で稲わらが不足しているということは、到底考えられないんです。それで昨日の意見交換会でも森山先生がおっしゃったんですけれど、全体的には稲わらは余っているんです。例を申し上げますとね、鹿児島県はもう不足しています。マイナスです。だけども秋田県は、稲わらとして、飼料用として使っておりますのは、わずか4%しかない。あとはもうすき込んだり、場合によっては燃やしたり、これはよくないんですけれども。そういうふうにして、稲わらを使うところと使わないところが極端に差があるものですから、これをやっぱり広域流通させなくてはいけない。こういうふうに思っておるんですが、なかなか稲わらというのは、体積だけはあるんですけれども重さはないわけですから、輸送コストをどうカバーするか。これはもちろん農家だけではできないし、中国から鹿児島などは稲わらを輸入しているんですけれど、どうしているかというと、中国の稲わらは、圧縮して、そしてカッティングをして、そして梱包して日本に送ってくるわけです。そうするとすぐ、そのひもを解きさえすれば、牛の飼料箱にパラッと撒けるぐらいになっていて、手間が全くかからない。だから便利は便利なんですけれども、今高くなっているので、そういったような形で流通させる方法もあるのではないかということを今検討してもらっております。いずれにしても、運送代がかかるものですから、そのところのコストをどう押さえ込んでいくのかというのが、大きなこの広域流通のネックになっているところで、それが1点。二つ目は鹿児島の大型農家ほど中国の稲わらを使っているものですから、農家に聞いてみましたら、中国からの輸入稲わらは必要量だけが送られてくると。何を言いたいかと言いますと、一度に購入すると、今度はそれを入れる倉庫がない。稲わらは体積が非常にかさばるものですから、それを入れる倉庫がないと。だから倉庫の費用もかかってしまうという話もありました。ですからその辺をどういう形で、共同利用すればいいかということもあるし、私が今農家に直に、あるいは市町村長からもそんな話が来るものですから、(その方々に)言ってるのが、地方は子供が少なくなって、廃校が出ているんですよ。だから、そういった廃校になった講堂なり体育館を使って、そこを稲わらの倉庫にして、そこを流通の拠点にしたらどうかということも、実は申し上げているんです。なぜそんなこと言うかというと、もう他の業種の人たちが廃校活用して、そういったようなことをやっておられるものですから、これは畜産県・鹿児島としては、あるいは他の県もそうですが、活用しない方法はないなとこんなふうに思いますので、ぜひ、廃校になった、教室ではちょっと天井が低いので、そうすると体育館とか講堂だと天井が高いですから、こう稲わらを積み上げられるんではないかと、こんなふうに素人発想ですが、今そんな話を進めているところです。


  • 総合経済対策について(2)

記者

  昨日、経済対策の中で、牛肉輸出のための高度な衛生管理施設の整備の支援の拡充というような話があったと思うんですけれども、これの詳細についてもう少し詳しく教えてください。

大臣

  確かに外国、日本もそうですけれども、衛生管理というのは、きちっとやっておかないと、一度不評を買うと輸出が止まってしまうという問題がありますから、そういう意味で、衛生管理施設の整備、確かに特に衛生管理をしなくてはならないのは食肉処理場だと思います。ですから、例えば、通常の衛生管理を農家に言う場合は、病気が今、豚でいけば豚熱だとか、あるいは鳥でいくと鳥インフルエンザだとか、こういうのがありますけれど、ここで総理がおっしゃったのは輸出の衛生管理施設整備、高度な衛生管理施設整備のこと。食肉処理場を御覧になっておられる方は分かると思うんですが、なかなかその衛生管理、私が見るところは全て衛生管理がきちっとなってますけれど、そうでないところもあるやにも聞いております。全部が全部、日本の食肉処理場がそうだと思いませんよ。だけどそこでもし発生すると大変なことになりますので、小さい処理場などを大きくまとめる。あるいは他の例えば処理場、枝肉カットだとか、そういったところまで一連の施設があり、食肉にはいわゆる牛を処理するところ、それを今度はカットして枝肉にしていくところ、それ以上に部位ごとに分けていくところといろいろありますから、そんなのが別々にあると、またその間に衛生管理が行き届かない面が出てくるといけないので、それを一括りにしたような施設も必要ではないかというのを今、役所の方では考えています。そういうところも着手しておりますので、総理が昨日おっしゃったのは、そういう意味での衛生管理施設だというふうに思います。


記者

  これは認証施設支援の拡充というような形になるんですかね。対策として打たれるのは。

大臣

  今申し上げたとおりですが、要は、いっぱいあるわけですよ、処理場というのも。例えば皆さん方が知っておられるような立派な近代的な施設のところもあるし、まだ古くて、昔ながらのやり方でやってるところもある。だからそういったところを綺麗にやっぱり衛生管理をするためには、一つにまとめてやる仕組みが必要ではないかというところで、今手がけてるんですよ。だからそれをまだ、今度の経済対策の中でも、どんどん拡充しますよということを、総理がおっしゃったんだというふうに思います。


  • 第12回全国和牛能力共進会について(2)

記者

  先ほどの共進会の質問に関連してお伺いさせてください。今回から審査基準として、脂肪の質ということが従来より重視されるようになりました。こうした脂肪の質の重視ですとか、赤身肉の人気拡大ですとか消費者の嗜好が多様化していると言われていますが、大臣がこのこと、消費者の嗜好の変化についてどう受けとめておられますでしょうか。また消費者のニーズはどういったところにあって、今後和牛が更に受け入れられていくためにはどのような取組が必要だとお考えでしょうか。

大臣

  今度からオレイン酸という脂肪の質、そこのところを初めて今回の12回目で審査の対象にしたということであります。今までは、どれだけの脂肪が入っているかというところを見てやっていて、格付けの一番高いのは「5の12」というものなんですが、それが一番おいしいだろうと言われていたんですが、ただやっぱりオレイン酸が入っているのと入っていないのでは味が違うと。我が地元・鹿児島は2位だったんですが、1位は宮崎。宮崎はものすごくそれに力を入れて作ったわけですが、そうすると、これは消費者の皆さん方が肉をおいしいと感じるのは、オレイン酸があるかないかというところがあるんでしょうけれども、それが量的なものとして、どの程度入っているんだというのを今回初めて科学的に審査対象に入れて(審査を)やったわけですよ。ですからそういった消費者の好みに合うような肉作りをしていかなくてはならないというのが、これからの目指す方向だと思います。それから赤身の話が出ましたけれども、これは飼育日数にもよりますけれども、あるいは血統にもよるんですが、赤身がいいという人もおられるし、それからさしの入ったもの、脂肪分の多いのでないと駄目だという人もおられます。ただ、赤身の志向が強い人もおられることも事実ですから、そういう形で昔からある議論なんです。そういう赤身の肉を作った方がいいのか、あるいはさしの入った肉を作った方がいいのかというのは議論が分かれるところで、これは好みなものですから、それぞれの消費者の。ただ、最近は健康上の問題から赤身をっていう話も出ておるようですから、今後もう少し検討しながら、どちらで勝負をしていくのかというのは、県によっても違うし、また農家によっても違う。農家の皆さん方も自分たちの技術で、さしを入れたいとか、あるいは俺は赤身の肉を作りたいとか農家の気持ちもあるので、それらを大事にしながら、どちらがいいとか、あるいはどういう方向に行くのかというのは、まだまだ見えないと思います。


報道官

  よろしいでしょうか。それでは、これで大臣会見を終わります。

以上