このページの本文へ移動

農林水産省

メニュー

野村農林水産大臣記者会見概要

日時 令和4年11月29日(火曜日)9時26分~9時54分 於: 本省7階講堂
主な質疑事項
  • (大臣から)2027年国際園芸博覧会の認定について
  • 米の現物市場について
  • ワシントン条約(CITES)第19回締約国会議の結果について
  • 乳製品のカレントアクセスについて
  • 高病原性鳥インフルエンザの発生に伴う卵価等への影響について
  • 大西洋まぐろ類保存国際委員会(ICCAT)年次会合の結果について

冒頭発言

大臣

  今日は私の方から一つだけ御報告があります。昨日28日ですが、博覧会国際事務局の総会におきまして、神奈川県横浜市で開催する2027年の国際園芸博覧会の認定申請が了承されました。各国に対して参加招請の活動が出来る状況となりました。農林水産省としても、我が国の高品質な花きと花き園芸文化のすばらしさを内外に発信する絶好の機会と捉え、各国に対する参加招請活動を始め、園芸博の開催準備に取り組んでまいります。詳細は、この後、プレスリリースいたします。これが御報告でございます。

質疑応答

  • 米の現物市場について(1)

記者

  大きく2点ありまして1点ずつお伺いできればと思うんですけれども、1点目が米の現物市場についてです。先週金曜日の自民党の部会で農水省は新しい方針として、開設時期であるとか運営主体について説明されましたけれども、開設に向けた期待などありましたら教えてください。よろしくお願いいたします。

大臣

  米の取引につきましては、御承知のように先物取引というのが以前ありました。大阪の堂島(取引所)がやっていたんですが、これについて今までは暫定的に(試験上場という形で)認めていたんですけど、昨年をもって打ち切りました。それはなぜかというと、先物というのはやっぱり投機性があると。主食である米に対して投機的な相場形成というのはいかがなものかというのが自民党内からも相当出てまいりまして、農水省としても今まで仮免みたいなものを与えていたんですが、それを打ち切った経過があります。その代わり、現物(市場)で先物取引の投機的なものではなくて、生産者なり、あるいは流通業者なり、こういう人々を集めた現物の取引をしていけばいいのではないかということで、1年以上かけて農水省内で検討をしてまいりましたが、いよいよその方向がおおよそ固まってきたということでございまして、令和5年1月に情報共有の場を開始するとともに、5年3月には、公益財団法人流通経済研究所から現物市場の事業運営方法を開示いただき、5年秋の取引開始に備えることといたしております。今後生産者側から販売価格を提示したいといった課題に応えつつ、需給動向を反映した価格指標が示される市場ができることを期待いたしているところでございます。


  • ワシントン条約(CITES)第19回締約国会議の結果について

記者

  2点目なんですけれども、ワシントン条約の締約国会議についてです。先週末までパナマで開かれた会議で、日本にとっての影響という意味では、特にサメの規制でヨシキリザメを含むメジロザメ科の規制、附属書IIへ掲載というのが決まりましたけれども、これについての受け止めと対応方針など、教えていただければと思います。よろしくお願いいたします。

大臣

  御承知のように、11月14日から25日にパナマで開催されましたワシントン条約の第19回締約国の会議で、ヨシキリザメを含むメジロザメ科54種を一括して附属書IIへ掲載する提案が可決されました。日本に影響があるのはヨシキリザメでありまして、かまぼこだとか、こういったものの原料になるものでありますけれども、ぜひこれは除いて欲しいということを関係国にも要請をし、また私自身もここ(農林水産省)にお見えになった関係国の方にもお願いを実はしておったところでありますが、我が国は本提案に反対したんですけれども、残念な結果となったということであります。我が国としては、水産資源は科学的知見に基づいて、地域漁業管理機関または各国により資源管理を行うべきとの考えであり、サメ類の持続的利用に向けて関係国・地域とも連携をしてまいりたいということであります。当面というか、今のところは、日本に対して大きな影響はないと。日本の漁船が獲ってくるヨシキリザメについては、例えばその漁獲高の制限だとか、そういうものがありませんので、日本の加工業者に対しては影響はないということでありますけれど、仮に輸入なり輸出するときにはちょっと煩雑さが出てくるという程度だということを事務方から聞いておりまして、今のところは日本で流通するヨシキリザメに問題はないのではないかと、こういう認識です。


  • 乳製品のカレントアクセスについて

記者

  乳製品のカレントアクセスについて伺いたいんですけれども、一つは入札と応札の状況なんですけれども、円安で輸入乳製品が値上がりしていて、最近あまり応札がないという指摘がありますけれども、現状どうなっているか教えてください。もう1点ミニマムアクセスと同じように、政府統一見解で通常の場合には、当該数量の輸入を行うべきというふうに考え方を示されていて、カレントアクセスも同様だということですけれども、需給が緩んでいる今は通常の場合ではないということで、見直しを求める声もあります。そういう声を踏まえて、どのように対応するか、改めてお聞かせいただければと思います。

大臣

  これは(衆議院)予算委員会でも出ましたし、また明日から始まります参議院の予算委員会でも、北海道の皆さん(議員)が多いわけですから、多分そういったような質問も出てくるだろうなということは予測できるんですが、よく分かっていただきたいのは、第一の質問は、一部バターの不落が入札にあったということでありますが、おっしゃるとおり9月、10月の入札では一部不落があったことは承知をいたしておりますけれど、直近11月のバターの入札では輸入品価格の下落によりまして、全量が落札されたということで、こういったような不落があるとかというのは、しょっちゅう起こっている話ではないんでしょうけれども、やはり物の取引ですから、あったりなかったりということはあるそうですけれども、11月のバターの入札では幸いに全量が落札されたということでございます。多分理由は、輸入品ですから為替の動向にやっぱり左右されるというようなことや、国産バターに対する引きが強くなってきているということもあって、こういったようなことが起こっているんだろうというふうに思っております。それから、カレントアクセスの問題でありますけれど、これは国会の方でも私の方で答弁をさせていただきましたが、要はWTOでこれはもう前から米が一番問題になりまして、お米の生産調整といいますか、いわば減反をしてもらう話が出てきたときに、何で国内の生産者には減反を押し付けて、そしてアメリカから、アメリカだけではないんですけれども、アメリカを始め他の国から何で77万トンも輸入するんだと、こうおっしゃっておられることは、よく分かるんでありますが、これはもうすでに、国際的なWTOでの話し合いの中でこれが決まっておりまして、ウルグアイラウンドの農業協定に対する米のミニマムアクセス機会の設定に関する政府統一見解というのがありまして、これは、輸出国が凶作で輸出余力がない、客観的に輸入は困難な状況もあるわけで、こういう時は例外的なケースだと。ただ今は通常のケースだというのを申し上げたんですが、いわゆる輸出国から日本に対して、そんな余裕はないというのであれば、これは例外的なケースなんですけれど、輸出する能力は十分あるにもかかわらず、日本がそれを拒否するということは、やっぱりWTOの中で決めたルールですから、これはなかなか難しいと。米でさえもそういうことが、ずっと長いこと議論されてきました。今回、酪農についても同じような、このカレントアクセスについて御質問がありましたけれども、米と同じですよということで申し上げているところでございまして、日本からこれを拒否するというわけにはいきませんので、これは、客観的に輸入が困難な状況にない場合は、通常の場合として、そういう場を提供しなければならないと、こんなふうになっておりますので、なかなか難しいということは国会でも言ってきているところです。


  • 米の現物市場について(2)

記者

  先ほどの幹事社の質問に対してのお答えで確認させていただきたいんですけれども、米の先物市場のところで、去年、議論を打ち切り、議論というか、打ち切ったというふうな発言をされたんですけれども、真意をちょっと伺いたいんですけれども。先物市場の設置自体の議論を打ち切ったという意味なのか、私の受け取りとしては、本上場申請の可否について判断して去年は認めなかったという理解でいるんですけど、その辺の違いちょっと違うというか、考え方をちょっと伺えればと思います。

大臣

  米の先物取引は、東京と、それから大阪の2ヶ所でやっていたんですが、東京の方はもう御存知のように東京市場が閉めてしまって、そしてそれを大阪の堂島(取引所)に移したんですよ。それで、東京の方からまず最初、米の先物の取引をやりたいというような申請が上がってきたんですが、様子を見ましょうよということで、実績を4年か、5年間ぐらい見たんですけれど、取引が非常に少ないんです。最初は、これが市場形成を、米の相場を形作っていくのではないかと、こういうような期待も少しあったんですけども、ほとんどと言っていいぐらい実績が出ませんでした。その後堂島に移ってからも、もう少しその実績を見させてくれということで、堂島に移って2年間ぐらい、そのまんま、いわば仮免許、仮の免許を与えていたんですが、これも伸びなかったということで、もういいじゃないかと、内部からも、いつまでこんなことをやらせるんだというのがありましたものですから、農水省としては、これに対する仮免も取り上げたということでございます。


記者

  そうすると先物市場の設置自体も議論しないということになるんでしょうか。仮に上場申請されたとしても受けないということなんでしょうか。

大臣

  一回申請が上がってきて、様子を5年間ぐらい見たんだけれども、皆さんも御存知のように、小豆の先物取引で北海道の皆さんが大変大損をしたというのがマスコミにも出たことがあって、やはりこの先物取引に対する不信感というのがやっぱりあるのではないかと。これは私はやったことがないから分からないんですけど、要は先物取引。ただ、アメリカなんかは小麦だとかいろんなものが先物取引で3ヶ月先の取引が行われておりますけど、日本ではやっぱりまだ定着してなかったと。あんまり理解されてなかったということではないかなと思うんですが、ならば、それに代わるものとして、米の(現物の)相場を作っていく。現物ならば相対で取引していくわけですから、そういう透明性の高いものをやったらどうかということで、この1年間ぐらい検討を内部でやってきたということで、これがうまくいくのではないかというふうに思っております。それはなぜそんなこと言うかというと、昨年の米の価格は、実は私の地元のところなんですが、鹿児島が一番早いんです。早期米で。それでここの価格を出すときに、どのぐらいの価格で出したら農家の皆さん方にも、あるいは世間的にもいいかなということで、大変鹿児島の経済連の皆さん苦しんだんですよ。一挙に下げてしまうとこれが(全国の)相場感になってしまって全国の米が下がってしまう。あるいは、下げ方についてもどのぐらいの幅なのかというのも大変苦労した経過がありまして、私も相談を受けていたんですけれど、なかなかいくらというのは言いきれなくて、ただ売り込みが3000円下げたとか、あるいは1000円下げたとか、いろんな方々がそういうような形で、鹿児島の方に米の買いに入ったんだけれども、どのぐらいならばいいのかという相場感がないんですよ。だから現物取引だと相場がある程度できてくるから、そういうことをやったらどうかということで、まずは検討してみてくれと農水省に宿題を出して、そしてこの1年がかりでやっておりましたら、先ほど言ったようなことで、おおよそやれるんじゃないかと。これは流通業者それから生産者側も入って、そこの中で、どのぐらいの価格ならば、あるいはどこの銘柄だったらこのぐらいならばやれるよというのが、明らかになってくるのではないかと、こんなふうに思ってやっているところでございまして、今後、私は大いに期待したいと思っております。


  • 高病原性鳥インフルエンザの発生に伴う卵価等への影響について

記者

  鳥インフルエンザに関してなんですが、昨日20例目の感染が福島の方で確認されて野中副大臣が行かれると思うんですが、今年は例年に比べてその感染のスピードが早いように感じます。でそれの対策と、鶏肉であるとか卵であるかとか、そういったものの価格の上昇についてどういう懸念をされているかということをお聞きしたいと思います。

大臣

  今御質問の中にありましたように毎年大体11月になってから鳥インフルは出ているんですが、今年は10月から初めて出てしまってびっくりしているんですけれども、10月28日、岡山で出ました。過去最も早い鳥インフルでありまして、その後あちこち出まして、今、最終的に20例も出てきてしまったわけであります。それで今日、野中副大臣が福島に入りまして、福島で初めての鳥インフルが出ました。今朝(疑似患畜と)確定をしたんですが、野中副大臣が10時に知事と会うことになっておりまして、初めてのことですから、どんな手立てでどういうふうなスタートを切らしたらいいのかというのは、初めてのところだと大変でございますので、野中副大臣を派遣したところであります。そこで、昨日も(衆議院)予算委員会が終わってから対策本部を開きまして、どうするか指示をしましたが、その前に役所の方で専門家を呼びまして、防疫対策をどうするかということについて、昨日、専門家の意見を踏まえた「緊急提言」を出しました。一つは農場敷地内や鶏舎周囲の消毒の徹底。これはもう当たり前のことなんですが、それと長靴の消毒・交換。それから野生動物の侵入防止。これらは今までもやってきたんですが、加えて事例を見てみますと、ほとんどが周りに池がある。鳥インフルエンザが出たところはほとんど池があるということでありましたので、二つ目に、ため池周辺等の消毒、それからため池の水抜き、水を抜いてしまうと。そのことについて発生地域での対策として、専門家の方からの御提言がありましたので、昨日、都道府県や関係者に通知をしたところでございまして、今年のこの発生ぶりは異常だなということを私どもも見ているところでございます。
  価格のところでございますけれど、全農発表の卵価を見てもらえれば分かるんですが、少しずつ上がってきていることは事実であります。これは正月を迎えるに当たって、少しずつ今の段階というのは、価格が上昇気味の傾向としてはあるんですが、今回の場合、この鳥インフルとの関係でどのぐらい上がったかということは、なかなか計り知れないところでございますけれども、例年は年末の需要期に向けて上昇していくと。そしてまたさらに生産コスト、いわゆる餌代も上がったし、それから生産コスト上昇によって減産傾向もあることから、2割程度上がっているということであります。これに対する対策というのは、強制換羽と言って、例えばあと半年しか(卵を)産まない鶏をあと3ヶ月(採卵期間を)延ばそうとか、そういうようなやり方。通常は羽数を大体半年から1年以内に大体淘汰(リタイア)してしまうんですけれども、それを少し延ばしてもう少し卵を産まそうとか、こんなことをやっていただく以外に、急に鶏を増やすわけにはいきませんので、そういうやり方をやっていこうかなということで、今畜産局の方では検討して、そして(更に鳥インフルエンザの感染が広がった場合には、)そのことをお願いをするということになろうと思います。でないと国民の皆さん方にとっては物価が上がるということですから、卵も今は2割ぐらい上がっていますので、少しここは押さえ気味にいかないといけないのではないかということは感じております。


  • 米の現物市場(3)、大西洋まぐろ類保存国際委員会(ICCAT)年次会合の結果について

記者

  2点ありまして、先ほどから出ている米の現物市場について、消費者へのメリットはどんなことが期待されますか、というのがまず1点と、2点目が先日会議が終わりました大西洋クロマグロの国際組織のICCAT(アイキャット)の会議が終わって、漁獲枠は、東水域、特に世界でも日本でも過去最高になった件について、今後、来年以降の日本の流通への影響はどのようにお考えか、以上2点お願いします。

大臣

  (米の現物市場について)消費者への影響というのは、もちろん消費者も入った中で、まだこれは今設計をしている段階ですから、大体方向は見えてきたんですけども、どういう方々に入ってもらって、もちろん生産者、流通業者、それから消費者が入るのかどうか、僕はまだ設計の中を見てませんので分からないんですが、要は、そういう生産者あるいは流通の売る側・買う側、その両者が入った中での検討ですから、そういう意味では公平性があるし、透明性もあると。こういう意味で消費者にとっては非常に納得のいく価格に設定されるんではないかとこんなふうに思います。一方的なやり方だけではありませんので。そして先ほど言いました先物(市場)は、投機筋が入ってくると、急に上げたりとか下げたりとかっていう、意図的な操作が行われる場合もありますが、これは現物を目の前にして、これはいくらだ、これはいくらでやろうという取引が始まっていきますので、そういう意味では今までよりもずっと透明性のある価格設定ができるのではないかと思います。そういう意味では消費者にとってもメリットがあるというか、納得感のある価格設定ができるのではないかと、こんなふうに思っております。まだやってみないから分からないですよ。国内で初めてですから。それから、マグロのICCATなんですが、クロマグロの漁獲可能量(TAC)が、本年の3万8726トンから4万3296トンに増枠されたということで、我が国への割当量も295トン増えて、3778トンとなったということで、消費者の皆さん方に、いわばクロマグロの量が増えて、口に入る量が増えるのではないかと、日本にとってありがたい話だなとこんなふうに思っております。増えましたということです。


報道官

  よろしいでしょうか。それでは、これで大臣会見を終わります。

以上