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農林水産省

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野村農林水産大臣記者会見概要

日時 令和4年12月9日(金曜日)8時50分~9時06分 於: 本省7階講堂
主な質疑事項
  • 高病原性鳥インフルエンザによる卵価への影響等について
  • JA共済事業向けの総合的な監督指針の改正等について
  • 自民党の米政策に関する要望について

質疑応答

  • 高病原性鳥インフルエンザによる卵価への影響等について

記者

  鶏の卵の価格についてお伺いします。先月、今月とJA全農たまごの卸売価格は平年より高い水準となっておりますが、背景には餌高や鳥インフルの影響があると見られていますが、背景について大臣のお考えをお伺いしたいのが一つです。また、こうした影響は今後も続くことが予想されますが、今後の価格への影響をどう御覧になっているか、また国として今後何かしらの価格対策を行う必要があるかどうかについても、併せてお考えをお伺いできればと思います。

大臣

  2点御質問いただきましたが、確かにおっしゃるように、年末の今の時期というのは、大体卵が需要を増えてきまして、例年、卵の需要が増えて価格が上昇していくというのが通例であります。さらには、コロナの影響で減少しました外食需要等が回復基調にあると。こういったことから、飼料価格の上昇に伴う価格転嫁等によりまして、足元では前年同期比で131%の価格になっております。今シーズンの鳥インフルエンザ(発生農場)における(飼養)羽数の(国内)全体に占める割合は、採卵鶏で2.7%であります。関係者によりますと、発生県からの輸出停止に伴う国内仕向量の増加や流通在庫での調整により、鳥インフルエンザの影響は一定程度緩和されており、最近の鶏卵価格の上昇は、必ずしも鳥インフルエンザ発生の影響であるというふうには、考えておりません。例年の傾向を顧みますと、年明けには一旦需要が落ち着きますので、鶏卵価格は低下すると、こういうふうに見込んでおります。今後も需要と価格の動向を注視していきたいと思っております。それから、もし今後も価格が上昇したら、国としてはどうするのかということでありますが、鶏は、その飼育期間を延ばすということで、(通常)ある程度卵を産みますと、玉が大きくなったりというようなことが出てくるものですから途中で淘汰して(リタイアさせて)いくんですが、それを延ばしていくという、いわば卵をまだ産み続けさせるわけですけれども、規格外の卵が出てくる恐れはあるんですけれども、それはそれとして、もう少し飼養期間の延長を農家にお願いをして、不足が出ないように安定供給を図っていきたいと、こんなふうに思っております。


  • JA共済事業向けの総合的な監督指針の改正等について

記者

  JAの共済事業に関してお尋ねいたします。農林水産省は今月7日、JAに対する監督指針を強化する改正案を公表しました。上司が職員の自腹による契約、いわゆる自爆営業を強いるような行為を明確に不祥事と位置付けた点などがポイントだと思いますが、今回の改正のねらいを教えてください。それとJAの職員の方に取材する中で、この自腹営業の背景には過度な目標設定があり、暗黙の了解として長年行われてきたという証言がございます。大臣御自身もかつてJA鹿児島県中央会におられましたが、当時、過度な目標や自腹営業、契約に関することを見聞きされたことはなかったでしょうか。また御自身もそういう契約を強いられた御経験はなかったでしょうか。最後に問題の背景ですが、多くのJAが金融事業に依存する経営構造になっていることがあると思われていますし、かねてからその問題性は指摘されていました。今回の改正を通して農協にどのような経営を望むのか。形だけで終わるのではという懐疑的な声も現場から聞かれますが、農水省としてどのような指導、後押しをしていくお考えかお聞かせください。

大臣

  今の御質問ですけれども、確かに監督指針を改正するということでありますが、今お話のありました自爆営業というのはどういうことかといいますと、例えば、目標が達成できなくて、自分に共済を掛けて、そして3か月なり、4か月くらい後に解約をしてしまう。それでいわば目標を達成したと。こういったようなことが以前は行われておりました。今おっしゃったように、組織的にやっているわけではなくて、これは駄目だと、不適正なやり方だと。不正じゃないんです。不正というのは悪いこと、横領だとかそれと全く質が違いますから。自分の、あるいは身内にかけたり自分に掛けたりして、そしてどうせ解約するという前提で掛けて、そして3ヶ月間なり4ヶ月間で解約してしまうというようなやり方をする職員もおりました。ですから、これはよくないということで、中央会なり、それから全共連・共済連の方から、そういうことはやめてくれということで、従来、共済の推進については、個人の目標、ノルマといいますか、そういう形でやっていたのを、今はグループ推進ということで、部署、部署でその目標達成に向けての数字を目標に立てさせたわけですが、あまり最近は聞かない話だったんですが、これ(パブリックコメント)を出してから新聞で大きく取り上げられて、ちょっと皆さん戸惑っております。この自腹の契約というのは良くないというのを、私も農協に2年間出向しておりましたから、私も当然2年間、共済の推進をやりました。なかなか地方の場合は、田舎の場合と言った方がいいでしょうけれども、大体皆さんもう加入しておりますから、なかなか新規の契約が取れないんです。だからそういう意味では新しい商品開発なりそういうのをしながら、職員ができるだけ共済の加入の促進ができるようにということでやっているんですけど。だから、今おっしゃったようなこと、職員に聞きますとね、目標を達成できない職員ほど、そういうことを言い出すんですよ。よく分かるんです。できない人は。私も農協に2年間出向している間に、2、3人連れて、厚生連病院というところがあるんですが、病院のお医者さんに推進をかけたら、2人だけで、私は2億円の推進目標だったんですが、2億円はすぐ取れました。だからそういったような形で、知恵を少し出せばいいんですけれども、やっぱり行きやすいところに行って、次から次へとお願いするというようなこともありました。だから、今おっしゃったように、自爆推進というのはあったことは事実ですが、これはまた組織の皆様方にも徹底して、(そのようなことがないように)言わなければいかんなと思っております。これはあくまでも不正事件ではないんです。農協のお金を使い込んだとかというようなものではなくて、共済の目標を達成するために、身内や自分にかけて、そして解約することを前提に入ってしまうやり方ですから。ただ推進の一つの典型で不適正な処理であることは間違いない。不正じゃないです。そのことだけははっきりと申し上げておきます。


記者

  一方で監督指針のですね、強化改正案の中では、その強いる行為というに関しては不祥事だというふうに位置付けてあると思いますが。

大臣

  不適正な処理です。


記者

  その行為自体は不祥事という認識では変わらない。

大臣

  私は夕べも担当課長にあなたのところの新聞を見ながら言ったんだけど、不正と書いてあるじゃないかと。おかしいだろうがと。担当課長ともう何回もやりとりしたんです。絶対これは事件ではないんです。刑事事件だとか民事事件でも何でもないです。これは不適正な処理をやったというだけの話であって、自分で何か悪いことをしたという、悪いことと言えば悪いことなんでしょうけれど、しかし不正なのかって言われれば不正ではない。不適正な処理をやっているということです。そこを間違わないようにしてください。


記者

  金融事業に依存する経営構造が問題にあると思いますが、そこの改善という点ではどういうふうに農水省としては指導されていますでしょうか。

大臣

  農協法改正のときに随分議論しました。そしてまたいろんな有識者の人たちからも指摘を受け、あるいは規制改革会議からもいろいろ言われて、今おっしゃいましたように信用事業、共済事業に偏っているんじゃないかと、こういうのがありまして、経済事業にやっぱり力を入れるべきだということで、どんどん今そういう形で経済事業にシフトしました。経済事業というのはもともとあまり収益の上がらない事業、そしてまた施設が非常にいる事業なんです。だからそういう意味では部門的に見れば、経済事業は赤字で、信用事業、共済事業でそれをカバーしているというのが農協の収支構造です。だけどそれは良くないということで、今それを是正しつつあります。だから、できるだけ信用事業、特に共済事業等については、特に地方についてはマーケットがもうあまりありませんので、できるだけそういうことはもうやめようというふうに言っています。昔はね、農協の職員が来たら電球を消せというのがよくあったんです、笑い話で。もう必ず(家に)上がりこんできて、共済に入ってくれ入ってくれって言って、そして印鑑を最後はつかざるを得なくなるようなことがあったというのはよく聞くものでした。だけどそういうことはやっぱり良くないということで、是正はしつつあります。でもやっぱり中には、1人、2人、一農協にはそういう人たちもおりますから、だからそういうのが皆さんの耳に入ったんだろうと思います。組織的にやっているわけじゃありません。


  • 自民党の米政策に関する要望について

記者

  話題変わって米の関係でお伺いします。昨日、自民党の江藤議員らが農水省に来られまして、米政策の決議の申入れをされたと思うんですけど、この受け止めをお願いしたくてですね。特に基本法の検証を進める中で、水活交付金の全体について在り方の検討を進めることを求められた件とですね、あと備蓄なんですけど、農水省が需要減に応じた備蓄水準の見直しというのを必要だというふうにしている一方で、決議では、食料安保の強化に向けて運用を検討するように求められております。このことについてどう対応するかお願いいたします。

大臣

  (水田活用の直接支払)交付金については、今回大きな見直しを行いました。ただ、私は大臣になってから、農産局の人たちに「お前たちはばらまくだけじゃ駄目なんだぞ」と。「きちっとこれは国民の税金を3400億円使って、そしてそれが実行に移されないと何にもならない」ということを口を酸っぱくして言って、それで見直しますとか、記者会見でまだ固まってないような話を、飼料用米についてはもうきちっと種子を確保しながらやりますとか、もう特定の品種でないと駄目だとか、何でも飼料用米と言えば金が出るというような状況、こんなのは駄目だと言って、それはここ(会見)でも言って、まだ固まってもない話を皆さん方に言ってしまったんで事務方は慌てていたんですが、そういうふうになりました。だからやっぱりここはですね、交付金を3400億円も税金を使っている。3400億円というと水産庁と林野庁は3000億円そこそこなんです、予算が。それだけの金を米だけに使って効果が出ないというのはおかしいぞということを盛んに申し上げて、今度見直そうということで見直してもらいました。大変いろんな事務方の皆さんは難儀をしたと思うんですが、幸いに自民党の部会でよく詰めていただいて、また修正もしていただいて、昨日、江藤元大臣あるいはまたいろんな方々が20名近く、国会議員が20名も私のところに来たのは初めてなんですが、米だけでこれだけの人が来たなと思って、僕はむしろ感謝を申し上げました。ありがとうございましたと。それは交付金の見直しをしたというのはですね、今までの米政策の中でなかなか難しいことだったんです。だけれども、それを何とか見直しをして、そしてまた自民党の皆さんの御理解も得られたということで、良かったなと思っております。それから(米の)備蓄の話はですね、これは農水省がどうのこうのではなくて、(食料・農業・農村政策審議会)食糧部会でもそういうことが、消費が減っている中で備蓄を100万トン必要なのかというのは言われておりましたので、見直さなければいかんのではないかということはありました。だけれどもそれを実際どういうふうなスケジュール感で見直すのかということは、中身の議論はまだしておりません。ですからこれは今、基本政策(基本法の検証)を今検討していただいておりますので、その中で食料の安全保障という視点から検討をしていただこうということで、私どもは、自分たちでどうするとか、減らすとか増やすとか、そういう議論はむしろ外部の有識者の皆さん方の御意見を伺いながら検討していこうと。並行して検討していこうということですから、来年の夏頃でないと、この結論は出てこないというふうに思います。


報道官

  よろしいでしょうか。それでは、これで大臣会見を終わります。

以上