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農林水産省

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野村農林水産大臣記者会見概要

日時 令和5年2月3日(金曜日)8時50分~9時10分 於: 本省7階講堂
主な質疑事項
  • (大臣から)「水産加工業施設改良資金融通臨時措置法の一部を改正する法律案」の閣議決定について
  • (大臣から)2022年の農林水産物・食品の輸出実績について
  • 恵方巻の廃棄等について
  • 高病原性鳥インフルエンザによる鶏卵需給への影響等について
  • 農林水産物・食品の輸出について

冒頭発言

大臣

  今朝は、私から2点御報告がございます。1点目ですが、先ほど終わりました本日の閣議で、「水産加工業施設改良資金融通臨時措置法の一部を改正する法律案」が閣議決定されました。これは、水産加工業者による製造・加工施設の整備等に対し、株式会社日本政策金融公庫の貸付業務の特例として、長期・低利の資金の貸付けを可能とするものです。(現行法は)今年3月31日まで貸付けを行うことができるとなっておりますが、水産加工をめぐる厳しい原材料の供給事情を踏まえると、長期・低利の融資を引き続き可能とする必要があります。このため、この法律案により現行法の期限を5年間延長し、令和10年3月31日まで、引き続き本資金の貸付けの業務を行うことができることとしました。日切れ法案であります。
  2点目でありますが、大変明るいニュースでして、2022年の農林水産物・食品の輸出実績について御報告いたします。2022年の農林水産物・食品の輸出額は、前年比14.3パーセント増加の1兆4,148億円となり、10年連続で過去最高額を更新しました。輸出額が増加した背景には、新型コロナ感染症で落ち込んだ外食向けが回復したことに加え、円安による競争環境の改善も追い風となりました。品目別に見ると、水産物は中国及び米国向け、アルコール飲料は中国向け、青果物は香港及び台湾向けの伸びが大きくなっております。好調な輸出は関係者の努力の成果の表れでもありますが、今後、2025年2兆円、2030年5兆円の目標達成に向けて、官民一体となった輸出拡大の取組を更に進めていきたいと思っております。私からの報告は以上でございます。

質疑応答

  • 恵方巻の廃棄等について

記者

  本日は節分ということで、恵方巻の廃棄について伺います。大臣も先日の会見でお話しされてたように、農水省は予約販売の推進を呼び掛けて居ます。一方で民間の調査によりますと、昨年までの状況でも恵方巻の廃棄はまだまだ多く見受けられ、特に大手のコンビニエンスストアなどで顕著だということです。大臣はまず恵方巻の廃棄の現状についてどのように認識していらっしゃいますか。また、2点目として食品ロス対策に実効性を持たせるためには、企業ごとの廃棄量の実態を把握することが必要だと思いますが、農水省として、事業者ごとの恵方巻の具体的な廃棄量ですとか、率などの詳細な実態について調査を行ったり、若しくは事業者に実態の公表を促すといったおつもりはありますか。以上お願いいたします。

大臣

  本日2月3日は節分で、恵方巻の慣習がありますが、毎年、皆さん方の記事になるのは食品ロスというか、恵方巻のロス量を区分して正確に把握することですけれども、毎年やっていますが、なかなかこれが難しい。昨日も何でできないのかと担当と話をしたのですが、大きなスーパーは、恵方巻という形でちゃんと区分けをしているらしいのですが、小さいところは、おにぎりとか他のものと一緒にしているので、全体的・総括的な数字の把握は、なかなか難しいということです。ただ、毎年、こういった無駄な廃棄がされないようにと、事業者の皆さん方に通達を出して、できるだけ予約方式にして、需要に見合った販売を呼び掛けているところです。今年はこの呼び掛けに応じて、昨日時点で既に昨年度を上回る89の事業者において予約販売等が実施されたと聞いています。本年の状況は今後、事業者等から丁寧に聞き取りをしながら、どのぐらいの廃棄になったのか把握してみたいと思っておりますが、なかなか正確な数字は掴めませんというのが、現場の皆さん方の御意見でございました。それから、企業ごとの(廃棄量)ですが、先ほど申し上げましたように、大手のスーパー等についてはレジで打ち込むので分かっておりますが、小さいところでは、恵方巻だけを別途に集計するようなことをやっていないところがあるものですから、おにぎり、いなり、あるいは恵方巻と細分化した区分をしていないのがほとんどでありまして、実態としては、このぐらいだろうという程度しか分からないところであり、今後どんなことができるかを内部でも少し検討させてみたいと思います。


  • 高病原性鳥インフルエンザによる鶏卵需給への影響等について

記者

  鳥インフルについて1点。1,200万羽を超える殺処分数になり、採卵鶏の割合で言えば、8パーセントを超え、昨日、茨城でも大規模な発生があり、遺伝子検査は今日だとお聞きしていますが、一部のコンビニでは卵を使った商品の切替えなども進んでいるようです。スーパーの棚から卵がなくなるという事態には陥っていないようですが、大臣として、国民にとって大切なタンパク源でもある卵について供給不足にならないために何か考えている御見解があればお願いします。

大臣

  毎回、記者会見で卵の話は皆さん方からお話を伺っており、昨年12月に私は、(12月末のMサイズの卸売価格が)ちょうど300円/キロぐらいだったのを、年が明けたら落ちますと申し上げまして、1月の最初の全農たまごの値段は260円/キロになっていました。これで落ち着いてくるかなと思っていましたが、その後、今お話がありましたように、まだまだこの鳥インフルエンザの発生が止まらない。昨日も茨城で(111万羽)発生し、殺処分ということで大変現場は苦しんでいます。殺処分の羽数は(累計で採卵鶏)全体の9.1パーセント、1割弱を殺処分しているわけで、卵が足らないのは全体から見ると当然の話です。農家の皆さん方には、日本養鶏協会等を通じて、できるだけ飼い増しをしてください、普通500日ぐらいの飼養期間を700日ぐらいまで飼い増しをして、できるだけ生鮮卵の供給が途切れないようにしてくださいというお願いをしておりまして、スーパー等ではほとんど、卵がないことはないのですが、一部の加工向けの鶏卵に不足感が出ておりまして、今朝もある大臣から「液卵が足りない」と言われました。加工業者の方々が液卵なり粉卵の追加的な輸入の準備を始めていると聞いているところです。(生産者団体)傘下の生産者に対して、協会を通じて安定供給を呼び掛けておりまして、国民の皆さん方に生鮮卵の不足はまだ出ておりませんが、農家の皆さん方にできるだけ飼い増しをして、国民の皆さん方への生鮮卵の供給が途絶えることがないよう、お願いを今後もし続けたいと思っています。


  • 農林水産物・食品の輸出について(1)

記者

  農産物輸出についてお伺いします。政府は「25年に2兆円」の目標を前倒しする、目指すと掲げていますが、達成については原発事故に伴う輸入規制の撤廃も課題になっていると思います。これについて大臣の御見解と、今年G7を開催されるということで、そういったところでの働き掛けなど、今後の対応について教えてください。それから、処理水の海洋放出についても中国や韓国が懸念を示していますが、こういったことが水産物の輸出解禁のハードルとなることも懸念をされています。そういったこともお伺いさせてください。

大臣

  「25年に2兆円」目標ですけれども、おかげさまで約1兆4,000億円ということで、計画以上、(前年比)約14パーセントの伸びになって、順調といえば順調な輸出の今の状況です。ただ今後の見通しについては、予断を持ってお答えするのは非常に難しいのですが、「25年に2兆円」目標の前倒し達成を目指して、着実に輸出の拡大を図るために、官民力を合わせて、強力に進めてまいりますとしか、今の段階では言えないところで、可能な限り前倒しができれば前倒しをし、達成を早くしたいと思っております。


記者

  原発事故の輸入規制撤廃について、大臣の働き掛けとか、今後の活動についてもお伺いできればと思います。

大臣

  先々週、ドイツへ農業大臣会合に行きまして、特に今輸入規制をしているEUの皆さん方5カ国とバイ会談をしました。その時に必ず申し上げたのが、是非これ(輸入規制)を撤廃してくれと。イギリス、アメリカは撤廃していて、(欧米・ロシアの中で)撤廃していないのはロシアとEU諸国だけですよと言いながら、大臣の皆さん方に、是非ともEU管内での話合いを進めて、できるだけ早く、科学的な知見は出てきているのだから、(それを踏まえて)、撤廃してくださいとお願いをしたわけであります。特に4月にG7(宮崎農業大臣会合)がありますから、是非それまでには結論を持って出席していただけませんかというお願いもしたところです。ALPS処理水(の海洋放出)が出てくると、またどういった反応、対応が出てくるのか、今からのことになると思いますので、今月も、福島に我々関係閣僚が行って、知事、あるいは漁協の皆さんとの意見交換をしたいと思っています。


  • 農林水産物・食品の輸出について(2)

記者

  重ねて農林水産物・食品の輸出についてですが、足元ではアメリカのインフレによる景気後退の懸念など、12月単月では、輸出額がアメリカ向けは下がるといった影響もありますが、先の目標は言いづらいという御回答は今あったのですが、今後の、特に今年の足元での輸出拡大に向けての取組はいかがでしょうか。

大臣

  輸出でいい成績を収められたのですが、中身を見ていくと偏りがあるのではないかという気がしてなりません。一番輸出額が多いのがホタテで、アメリカ、中国、香港向けが多く、後で担当に聞いていただければ分かりますが、水産物に固定化していて、逆に牛肉は輸出が減っているので、なぜかというのはちょっと分析する必要があるのではと思っております。いずれにしても水産物や農畜産物の全てが順調ということにはなっていませんので、その中では偏りがあるということです。コロナ禍の後ですから、これからはマーケットインのやり方でどんどん輸出を伸ばしていきたいと思っています。


  • 農林水産物・食品の輸出について(3)

記者

  引き続き輸出についてですけれども、先ほど大臣の方から明るいニュースという話もあったと思うのですけれども、改めて10年連続で過去最高を更新したことについての受け止めを教えていただきたいのと、円安効果の剥落とか、昨年下半期にも見られた欧米の経済低迷というのが、今後輸出に与える影響をどう見ているかという点についてお伺いしたいです。

大臣

  まだそこまでの分析はしていないのですけれども、今6カ国・地域で輸出支援プラットフォームを作り、そこを中心にして、(農林水産物・食品の)輸出に力を入れているわけですが、現地のニーズとか規制等の情報収集、現地事業者との連携強化、こういったことに軸足を置いた取組を進めていきたいと思っています。まだプラットフォームを6カ国・地域しか作っていませんので、プラットフォームを作りながら、どんどん輸出拡大をしていきたいと思っております。さらにプラットフォームに都道府県が連携して、海外現地の情報なり取組を国内外で共有するための連携フォーラムを開催しており、日本のすばらしい食を海外の皆さん方に是非知っていただきたいという思いで、都道府県とも連携しながらフォーラムも今後やっていきたいと思っています。


記者

  10年連続で過去最高を更新した点についての受け止めを改めてお聞かせください。

大臣

  いずれにしても皆さんの本当に努力(の成果)だと思います。10年ぐらい前まで(農林水産物・食品の)輸出は考えられなかったのですけれども、今、日本の食が世界各国でも評価が高く、どんどん輸出額が伸びていることは、それだけ評価が高くて、そして皆さんの食材として利用いただけていると思っています。2兆円と言わず5兆円目標も掲げているわけですから、力を入れていきたいと思っています。国内では少子化、高齢化が進んでいくわけですから、なかなか(国内では)消費は伸びない。海外のマーケットを活用して、日本の農林水産物・食品を輸出をしていくことに(今後は)力を入れていかなければ、日本の農業生産というのは伸びていかないと思いますので、是非こういったところにも力を入れていきたいと思います。


報道官

  よろしいでしょうか。それでは、これで大臣会見を終わります。

以上