このページの本文へ移動

農林水産省

メニュー

野村農林水産大臣記者会見概要

日時 令和5年2月17日(金曜日)11時00分~11時19分 於: 本省7階講堂
主な質疑事項
  • 生乳の廃棄等について
  • 高病原性鳥インフルエンザによる鶏卵需給への影響等について
  • 生乳取引価格の値上げ交渉について

質疑応答

  • 生乳の廃棄等について

記者

  酪農の現状認識や生乳についてお伺いします。まず1点目として、有効な支援策の実施には酪農現場の実態把握が重要かと思いますが、北海道では生乳の廃棄が行われていることについて、先月の会見で質問が出た際には、農水省として事実関係は把握できていないというお答えでした。こういった廃棄の現状について訴える声は今も上がっていますが、改めて、現状で農水省の認識を教えてください。また、現時点で把握ができていないのであれば、何がその実態把握の妨げになっているのか併せて教えてください。関連してもう1点、生産者や有識者などから輸入枠を減らせないのであれば、輸入相当分、余剰分を国が買い上げる対応策を求める声も上がっています。こうした求めについて、農水省としてどういった対応方針でしょうか。

大臣

  今どこへ行っても酪農の話ばかりで、生産者の方々もお見えになるし、私の地元・鹿児島の酪農組合の方々もお見えになって、現状をいろいろ聞きました。(生乳の)廃棄の現状ですけれども、生産抑制の手法は、前の時(平成18年3月)は確かに廃棄もありました。しかしながら新聞等でも書いていますが、(餌の)給与量の低減など努力をしている農家もいます。例えば私の地元・鹿児島でサトウキビの搾りかすを(肉用)牛に与えて購入飼料の削減を図っているとか、農家自体も努力はしているのですが、酪農は、そういったいろいろなものを組み合わせた形でのもの(生産抑制の手法)があまり聞こえてきませんが、皆さん、努力をされ、いろいろ知恵を絞っていると思います。生乳廃棄をやむを得ず選択されている方もいるのは、テレビで私も拝見しましたし、先般、北海道の酪農の方々がお見えになり、廃棄しているという話もありました。廃棄されてる方の数とか廃棄量の把握は、毎日廃棄しているのか、あるいは一度にどのぐらい廃棄しているとか、いろいろな廃棄の仕方があるので、多大の労力、コストを要することから、それ全体を把握するのはなかなか難しいと思っています。前(平成18年)に廃棄が出たときは、側溝に流したりというような方法ではなく、産業廃棄物として廃棄をやったということで、それだとある程度把握できるのですけれども、(そうではない)今回は個々に(廃棄を)やっているのかどうか把握が難しいので、廃棄の現状把握、実態はつかんでいないというのが今の実情です。指定団体に出荷している方々は、毎日どのぐらい出荷するのが分かっていることから、類推することはある程度可能なのかもしれません。ただそこまでして廃棄したものを調べなければならないかということも出てくると思うので、何かいい知恵があれば、廃棄の実態も何とか把握できるのかなと思うのですが、それには労力なりコストがやはり(かかる)。それを行うのには難しさがあるのではないかと思います。それから、国が買い上げればいいではないかという御意見もよくお聞きしますが、今の酪農の皆さんが困っているのは、(生乳の)需給ギャップが生じていて、全て農家が持ち込んできたものを牛乳なり乳製品に仕向けていける状況にないということがあります。例えば、脱脂粉乳は在庫が相当積み上がっていますが、これをまた国が買ってメーカーのところで在庫を積み上げるのか。国が買い取って国で在庫を持てということになりますと、他の産業との(関係の)問題もあって、これはいろいろな障害も出てくるので、一番今必要なのは、生乳の需給ギャップの解消にどうつなげていくのかということです。そこで農家の皆さん方も自助努力をしていますし、団体も努力をしていますし、そして3月からは、国の方でもそれを支援する仕組みを考えてやろうとしていますので、そうして需給ギャップの改善を図って、生産コストの上昇を適正に価格に反映できる環境を整えることが必要と思います。今日の新聞に載っていましたけれども、今の乳価では生産者は餌代も出ないということで、あと15円、生乳価格を引き上げる交渉を現在、関東ブロックの生乳団体、(また別途の引き上げ交渉を)近畿ブロックの生乳団体がやっているということで、自ら生産者の皆さん方がメーカーと交渉をし出したというのが一つあります。国が買い上げるのはなかなか難しいし、仕組み的にもやはり厳しいものがあると思います。


  • 高病原性鳥インフルエンザによる鶏卵需給への影響等について

記者

  鳥インフルと卵についてお伺いします。今週火曜日にもお伺いしたのですけれども、最新の鳥インフルの影響、殺処分数について教えていただきたいのと、卵の価格が高値をつけたり、スーパーでも安い卵が商品の棚から消えていたりするので、だんだん供給にも影響が出てきているように見受けられますが、養鶏の際の鶏舎単位での飼育について、再度考え方を教えていただけますか。

大臣

  今回の発生事例等は、今朝時点で合計25道県・76事例、(殺処分対象羽数が)1,478万羽。前回の会見時に申し上げた数字と変わっていないので、だんだん終息しつつあるのではないかと思うのですけれども、なかなか終息がまだ見えないところです。(以前は)どこどこで発生したというのがほぼ毎日あったのですが、ここ2、3日全く聞こえてきませんので、少し暖かくなって、終息の方向(に向かうということ)なのかなと思うわけです。卵の価格は、1月になればだんだん落ち着いてきて価格も下がってくるのではないかと申し上げたのですが、見通しと異なりまして、去年12月が300円/キロだったのが、1月最初の価格は260円/キロまで落ちてきて、これで少し元に戻ってくると思ったのですが、それからまた鳥インフルエンザの感染が拡大しまして、殺処分が多くなって1,400万羽を超えたわけですから、当然卵の供給が減ってきたのは事実です。先般も食品産業の社長さん方の会合があっていろいろ話をしましたが、スーパー関係の方々は、棚から卵が消えることはないということでしたけど、価格が上がって消費者に申し訳ないというような言い方をされていました。スーパー等の生食(用の卵)は、生産者の努力もあって、鶏の飼い増しをしながら何とかやっていますが、加工用が非常に(供給が)窮屈になっていて、外食産業でも卵が高くなったので卵料理を中止をしているという話もありました。私はその席で、鶏は大体ヒナから3か月ぐらいすると卵を産み出しますから、もうしばらく待ってくださいと申し上げました。牛、豚みたいに1年かかるというわけでありませんので、(発生農場では殺処分の終了後、)鶏舎の消毒をして、そして3か月待ってからヒナを導入していきます。様子を見ながら。実際ヒナが成鳥になって、親鳥になって卵を産み出すのは、3か月の空舎期間とそれから3か月の育成期間、6か月しないと卵を産まないので、あと半年は待っていただかないとと思っているところです。生産者の方々にも(卵の生産が増やせるよう、一定の期間で)淘汰していく(予定の)親鳥を(先に)延ばしてもらってるところですので、(その代わり)サイズが揃った卵は見つけにくくなってきたと思います。


  • 生乳取引価格の値上げ交渉について

記者

  先ほどの酪農の方で、関東や近畿では値上げの交渉が始まっているということの受け止めをお伺いできればと思います。また、需給ギャップの改善には価格への転嫁がやはり必要になってくると思いますが、そのあたりもお聞かせください。

大臣

  先般、10円(/キロ)を11月から上げたわけですが、今回、新しい年度での価格交渉では、新聞によると15円くらい。15円というのは、全ての指定団体が15円かということではなく、指定団体によっては20円上げる(交渉をする)ところも出てくると思います。地域によって違うのですけれども、15円から20円の範囲で値上げ交渉をするのではないかと思っていますが、上がった分はやはり(商品への)価格転嫁をしていかなければいけない。メーカーに体力があれば(企業努力分を)上げればいいのでしょうが、できないときにはやはり価格転嫁というところが出てきて、これはもう消費者の皆さんの御理解をいただかなければなりません。今、食品の価格は相当上がってきているので、(そうした中で)消費者の皆さん方にも理解していただければありがたいと思っています。ただ、企業努力もありますので、企業努力でやれる部分と、消費者にお願いして、価格転嫁をしながらやっていく部分というのも出てくるのだろうと思います。


記者

  (昨年)11月に上げて、今回また年度を越えて6月と、これまでのタイミングとはずれて、今までの価格交渉のサイクルとはかなり違ってきていますけれども、やはりそれだけ酪農の現状が厳しいという表れと思うのですが、その辺りはいかがでしょうか。

大臣

  おっしゃるとおりだと思います。廃棄をせざるを得ない農家の人もいるという話も聞いていますし、生産者も大変厳しい状況にあって、北海道の皆さんの話だともう400戸ぐらいやめたと。ただ、実態も調べなければなりませんので、役所の方でどのぐらいの農家がやめたか、やめることを表明されている農家を今、調査をしています。統計調査とは別に、独自に調査をして早めに把握して、どういう対策を打てばいいのかを検討していかなければいけないだろうと思っています。


報道官

  よろしいでしょうか。それでは、これで大臣会見を終わります。

以上