野村農林水産大臣記者会見概要
日時 | 令和5年3月7日(火曜日)11時09分~11時25分 於: 本省7階講堂 |
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主な質疑事項 |
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冒頭発言
大臣
今日は私から1点御報告がございます。3月10日(金曜日)ですけれども、「農山漁村女性の日」です。これは、農林水産業や農山漁村の発展に向け、女性が農林水産業の重要な担い手として、よりいっそう力を発揮していくことを促進するために、農林水産省が昭和63年に定めたものでございます。本年は、この「農山漁村女性の日」の制定35周年を迎えることから、農林水産省内の食堂等において、全国の女性農業者の食材を用いたメニューの提供や加工品の販売を行う「農業女子フェア」を初めて開催いたします。一般の方も御利用いただけますので、この機会に皆さん方も是非女性農業者のこだわりの食材をお召し上がりいただければと思います。また、全国で「農山漁村女性の日」の関連行事が行われます。詳細はこの後、プレスリリースいたします。以上が、私からの報告でございます。
質疑応答
- 酪農経営対策について
記者
まず1点目、生乳の廃棄について伺います。今月から乳牛の殺処分に対して1頭当たり15万円の(奨励金)交付が始まりましたが、これには批判的な意見も多く見られます。農水省として他に何か、もうちょっとポジティブ、プラスになるような農家の支援というのを検討していないのでしょうか。
大臣
酪農経営が非常に厳しいのは、私どもも十分認識していまして、総理から、いろいろな対策を講じなさいという指示がありました。一つは、(配合飼料の)餌対策として、まだ最終的にどのぐらい(の金額)にするのかという数字は出ていませんが、激変緩和措置を講じなさいという指示が一つありました。二つ目は、粗飼料の価格が非常に上がってきたものですから、輸入粗飼料に対する対策をやっぱり講ずる必要があるだろうということで、これも金額もまだ確定しておりませんが、粗飼料対策をやろうということを考えているところです。それと御指摘の(生乳の生産)抑制対策の15万円(の奨励金)も一緒にやろうということで、3点セットで今回は取り組んでいきたいと思っているところです。
- 韓国政府の旧朝鮮半島労働者問題に関する措置に伴う対応について
記者
次に、韓国の輸入規制について、徴用工問題の解決策が提示されたことを受けて、半導体の輸出規制撤廃に向けた動きなども昨日ありましたが、農水省として輸入規制撤廃に関して、韓国側から何か提示だったり、働き掛けは既にあったのかどうか教えてください。
大臣
昨日、(尹)大統領の談話が発表されて、それだけの情報しかありません。何か規制緩和をするのに、農水省の方で何かあるかというのは、まだ私は報告を受けておりません。
- 輸入小麦の政府売渡価格の激変緩和措置について
記者
最後に、小麦の政府売渡価格について、一部報道で値上げ率を5%程度に抑えると言われていますが、具体的なことをお聞かせいただければと思います。
大臣
これも総理から、物価・賃金・生活総合対策本部の中で激変緩和対策を講じてくださいという指示を受けていまして、現在その検討を進めていますが、まだ農水省として、決定・確定はいたしておりません。現在検討中です。
- 諫早湾干拓事業に係る訴訟原告団・弁護団の要請について(1)
記者
先日に引き続き、諫早湾干拓事業の関係でお尋ねします。先ほど、原告団・弁護団が農水省を訪れて、開門を求める上で協議をして欲しいということで要請をされました。そのことに対して、まず受け止めをお伺いしたいのと、2点目がノリの不作の対策で、有明海・八代海の再生特措法22条に基づく緊急支援についても要請をされました。それに関してお考えをお聞かせください。
大臣
私は(本日)衆議院農林水産委員会、それから参議院予算委員会があったものですから、原告団・弁護団らとの面会の申し入れが昨日ありましたが、野中副大臣に対応していただき、報告を受けました。開門を求める方々からは、今期のノリの不作への救済と原因究明のための開門を求める発言があったという報告を聞いています。また同席した事務方からも報告を受けたところですが、改めて、有明海再生を求める切実な思いを確認したところでして、国としては、先般、皆さま方に大臣談話を御報告しましたが、御賛同いただけるように今後努力を続けてまいりたいと思っているところです。
記者
ノリの不作対策で有明海・八代海再生特措法の22条適用を求める要請をされましたけど、それに対するお考えもお聞かせください。
大臣
以前から(特措法)22条の赤潮等による漁業被害者等の救済の中で対応してくれというお話がありますが、収入が大幅に減少しても、漁業共済と積立ぷらすが経営の下支えを果たして(収入の)9割補填になっていますので、まずはこれを適用したらどうかということを(国として)申し上げているところで、損害賠償とかそういったことについては、まだ話はしていません。我々はやはり、今国が作っている制度の中で対応していきたいと思っています。
- 諫早湾干拓事業に係る訴訟原告団・弁護団の要請について(2)
記者
諫早湾干拓事業で質問ですけれども、国が原告団に対して支払っている間接強制金が12億円ほどありますが、これに対して返還を求める考えはありますか。
大臣
これはまだどうするかというのは決まっていませんので、関係省庁と連携して適切に対応するとしか今のところはお答えできません。
- 農林水産分野のJ-クレジット制度について
記者
国の温室効果ガス削減認証J -クレジット制度についてお伺いします。先週、J-クレジット制度の取組の対象に、農業分野で新たに「中干し期間の7日間延長」が追加されました。中干しの延長は、メタンの発生量を削減する効果があると伺っておりますが、改めてこのねらいと期待をお聞かせください。
大臣
農林水産分野の温室効果ガスの排出量のうち、メタンが4割を占めているということで、さらにその4割の中の54%が水田由来のメタンが占めているというデータがあります。そこで、水稲栽培におけるメタンの削減が大きな課題ということで、J-クレジット制度で認められた水稲栽培における中干し期間を現行の実施日数と比べ7日間延長するということなら、このくらいだったら現場も取り組めるのではないかと思っていまして、かつ、メタン排出が3割程度削減できるという大変有意義な手法だと我々は考えています。この中干し期間の延長が温暖化に効果が高いことや、J-クレジット制度の活用により、その販売収入も農家に入るということを、しっかり周知しながら取組を広げていきたいと思っています。
記者
今現在、農業分野(の方法論に基づく取組)が2件にとどまっているという現状もあります。J-クレジット制度の活用というところで。林業分野だともっと多くの件数がある中で、水田の中干期間の延長を行うことで、その促進が期待できるのでしょうか。
大臣
まだそこまでは、私も報告を受けておりませんが、いずれにしても、これを契機に中干しの期間を1週間延長する。これによって農業分野でのメタンの削減を拡大していけるだろうと思いますし、期待が持てると思います。
- 東日本大震災からの農林水産分野の復旧・復興等について
記者
東日本大震災の発生から、今週土曜日で12年が経過するのですけれども、現状の農林水産分野の復興状況と、現在顕在化している課題、どういうふうに見てらっしゃるか、お考えをお聞かせください。それと併せて、震災で生産者が早めに離農したり、避難されてその土地から離れたりして、生産者が減っているという中で、営農再開などで導入した設備機器の更新時期が近づいても対応できないなど、離農の理由になったりしていると聞きます。また、高齢化も進む一方で、そうした担い手不足をどう確保するか、農地の維持も含めてどのように対応していくお考えかお聞かせください。
大臣
担い手不足にどう対応していくかということですが、被災地に私も3回ぐらい行ったことがあるのですが、今、復興していて(圃場は)大規模化されています。そうなりますと、1人で(耕作は)できないので法人化をして、そこで若い人たちの、(地元に)戻ってくる人たちの受け皿になっているところを見せてもらったのですけれども、二つ良いところがあって、一つは、営農再開された方の経営が非常に順調になっていること。(圃場)面積も拡大し、非常に機械化も進んでいて、まさしく我々が思ったような方向で経営をされている。もう一つは、(視察した法人では)若い人たちを8人雇用していました。その若い人たちと話をしましたら、皆さん法人の水田と畜産もやっていたようですが、それらを学びながら、自分たちはあと2年、3年以内には独立して、このような経営を私もやっていきたいという8人の若い人たちがいました。その中に女性も1人いたのですが、自分は農家(出身では)ないけれども、ここに来て大変農業の魅力を感じて、私もここを出たら、自分で農業をやりたいという話もありましたので、担い手が現在のところは不足していますが、地元にお帰りになる若い人たちがいたら、是非そういったところに入って、それで自分で独立する道を是非模索していただきたいと思った次第でして、決して諦めることはないと思いました。
報道官
よろしいでしょうか。それでは、これで大臣会見を終わります。
以上