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農林水産省

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野村農林水産大臣記者会見概要

日時 令和5年3月22日(水曜日)9時42分~10時02分 於: 本省7階講堂
主な質疑事項
  • G7宮崎農業大臣会合について
  • 諫早湾干拓事業に係る訴訟原告団・弁護団からの書簡について
  • 物価・賃金・生活総合対策本部について
  • 北太平洋漁業委員会(NPFC)第7回年次会合について
  • 食料安全保障について
  • 総理のウクライナ訪問について

質疑応答

  • G7宮崎農業大臣会合について

記者

  G7宮崎農業大臣会合の関連でお伺いします。先週大臣は宮崎市に出張し、意見交換や視察などされたかと思います。その際の意見交換の内容や現場を見てお感じになられたことなどお願いします。また、ロシアのウクライナの侵攻が続く中で、食料安全保障が重要な議題になると思われますが、農業大臣会合ではどのような議論を期待されますか。

大臣

  先日18日(土曜日)に宮崎に行ってきました。宮崎では、河野知事、清山宮崎市長、それに宮崎県警本部長、第10管区海上保安本部長も入りまして来月に向けての準備状況の意見交換をしたところです。また、準備の整い(状況)がどうなっているのかということで、現場も見させていただきました。知事や市長との話では、具体的な個々の項目の詰めはしておりませんが、事務方でずっとやってきています。宮崎県と宮崎市から1名ずつ、昨年10月から農水省に駐在していただいて、お互いに意思疎通をしながら、現場のことは地元の人が一番詳しいわけですから、そういう方々にも来ていただいて、準備万端整えてきつつあると思っています。第一印象といいますか、宮崎県としてはポスターや幟を作ったりしながら、G7農業大臣会合に対する意気込みというのが、我々以上にあるのではないかと思っています。宮崎では以前、G8外相会合がありまして、経験があるという意味でも今回のG7農業大臣会合に期待していると受け止めました。大臣会合での(議論の)中身ですけれども、現在、事務方で各国と話を進めていますが、食料安全保障というのが、どこの国でも喫緊の課題になっていますので、これがメインテーマになってくるのではないかと思っているところですが、まだ完全にこれでいきましょうという形では固まっていません。ただ、我々が判断するところでは、各国とも同じように食料安全保障に対する関心が大変高いと思っています。


  • 諫早湾干拓事業に係る訴訟原告団・弁護団からの書簡について

記者

  諫早湾干拓事業のことでお尋ねします。前回も質問したのですけれども、農水省から出した訴訟弁護団・原告への手紙の返書が多分届いていると思うのですけれども、それを御覧になった受け止めと今後の対応方針を教えてください。

大臣

  先週、文書が来たということで、私も9日付の(国の手紙への)返信を見ましたけれども、この書簡の中身には、有明海の再生の早期実現を願う気持ちは我々と一緒だということが書いてありまして、まず相手方の考えを詳しく聞くように事務方には話をしたところです。早く私ども(訴訟弁護団)も含めて、一緒に話をしませんかというような文章でしたけれども、その前にどういったことを詰めていくのかということは、相手方の考えが文面では分からなかったので、直接聞くよう話をしたところです。


記者

  それは事務方の職員の方が佐賀県へ行って、意見聴取するみたいな感じなのでしょうか。

大臣

  そうですね。一人一人の漁業者の話ではなくて、代表する形で弁護士さんがいますから、こちらも誰を立てるかは別にして、弁護士さんとその辺の話をしてみてくれないかと(いう指示をしたところです)。すぐにお互いに話合いに入りましょうということはなかなか難しいと思います。


  • 物価・賃金・生活総合対策本部について

記者

  畜産酪農対策についてお聞きします。本日の物価・賃金・生活総合対策本部では、飼料価格の高騰を受けて、(令和4年度)第3四半期の緊急対策を拡大するとの表現がありました。また、令和5年度第1四半期以降も、配合飼料価格が高止まりした場合について、「補填反映後の飼料コストの急増を適切に抑制する新たな特例を基金内に創設する」という記述もありました。これらについて改めて対策のねらいをお聞かせください。

大臣

  本日の物価・賃金・生活総合対策本部におきまして、酪農については、配合飼料価格が高騰し、これに加えて粗飼料(価格)も上がってきていることに対する補填に取り組むことを決定しました。どういう内容で検討していくかは、まだ具体的には申し上げられないのですけれども、購入粗飼料と、それから配合飼料の令和4年度第4四半期、それから(来年度)第1四半期(以降)、こういうところ(の対策)がありますが、(配合飼料の)今年の1月から3月までの(今年度)第4四半期の対策は、昨年(10~12月の今年度)第3四半期(の緊急対策)より拡大するという決定となりました。今までは拡大という言葉は使っていなかったのですが、今回、拡大することで、中身はこれからですが、軽減を図ります。


記者

  令和5年度以降の対策ということで、新たな特例というふうなお話ありましたけれども、こちらについても改めてお伺いしてよろしいですか。

大臣

  (配合飼料価格の高騰対策について)今年(度)の第4四半期は、拡大するという決定ですが、4月以降については特別な対策をということで、(価格が)高止まりした場合でも補填反映後の飼料コストの急増を適切に抑制できるよう検討しますが、特例の具体的な内容についてはまだ詰め切っていません。率直に言って、農水省だけではできない話なので、党の方のお話を聞きながら、あるいは財務省とも話をしなければいけませんので、どういう特例を設けていくのかは今検討中です。


  • 北太平洋漁業委員会(NPFC)第7回年次会合について

記者

  本日からサンマの国際会議が始まりましたけれども、日本はどのようなことを主張されるのか。また、期待される議論とか、成果とかを教えてください。

大臣

  今日から北太平洋漁業委員会(NPFC)の年次会合が札幌で開催され、サンマの資源管理について中心的に議論されますが、サンマは資源が歴史的低水準に低迷していますので、資源管理の強化が図られるよう、関係国・地域に積極的に働きかけを行っていくということです。サンマの漁獲量の低さは、びっくりするのですけれども、2020年からすると21年と22年はサンマの漁獲枠を40%削減したにもかかわらず、結果として(この枠に比べて)非常に低い漁獲量になっています。今回も漁獲高の制限をどうしていくのか、資源管理をどう強化するかということが、会合の議論の中心になるだろうと思います。これは日本だけの話ではなくて、会合に参加しているロシア、中国、台湾、韓国といった国も(漁獲高が)減っていますので、サンマについての資源の確保が話の中心になってくると思います。


  • 食料安全保障について

記者

  日本の食料安全保障について伺います。台湾有事や朝鮮半島有事など東アジアでの戦争勃発が想定され、防衛費を2倍に引き上げるなど、岸田政権は有事に備えています。ですが、有事の食料安全保障の備えについては、非常に心許ない思いがします。仮に東アジアで戦争が始まり海上輸送が止まれば、島国であり食料自給率が先進国の中で最も低い日本は、あっという間に飢餓のリスクに見舞われます。東大大学院教授の鈴木宣弘教授は世界同時食料危機が迫っており、日本の食料自給率は37%と言われているが、種や肥料の海外依存度も考慮すれば、自給率は10%程度に過ぎず、仮に有事となれば、日本中が飢餓の恐怖に見舞われる恐れがあると指摘しています。種子法廃止、種苗法改定、売れない子牛を薬殺するための奨励金、米や砂糖の減産要請などといった政策は、食料安全保障の観点から見ると日本にとって大きなマイナスではないでしょうか。野村大臣の御見解をお聞かせください。

大臣

  食料の安全保障については、昨年来いろいろと議論を行ってきたところですが、昨年末に第3回食料安定供給・農林水産業基盤強化本部におきまして、「食料安全保障強化政策大綱」を策定して、政府としての一定の方向性は示したところです。更に、総理の方から食料・農業・農村基本法の改正案を来年度中に国会に提出(を視野に検討)するよう指示も受けていまして、その議論を現在行っているところです。したがって、この(検討の)中身に何を入れていくのか。特に、この法律ができてから20年経つのですが、その頃の背景と比べ、現在、今おっしゃったようないろいろな問題を抱えていることは我々も認識していますので、食料・農業・農村基本法の見直しに向けて(基本法検証)部会を開いています。これを今まで11回開催していまして、項目ごとに議論をしていただいていますので、6月頃には大まかな方向を取りまとめて、そして来年度の国会に提出するように法案として詰めていきたいと思っています。農産物・生産資材の過度な輸入依存からの脱却というのが大きなテーマになっていて、これが構造転換に繋がっていくと我々は認識をしていまして、やはり「日本にあるものは日本のものを使おう、日本の国内で生産しよう」、こういう基本的な考え方の下に、専門家の皆さん方に議論をしていただいて、広く国民的なコンセンサスを形成できるようにしたいと思っているところです。


  • 総理のウクライナ訪問について

記者

  岸田総理がウクライナを訪問されて、ゼレンスキー大統領と会談されました。非常に意義深いことではないかと思うのですけれども、その所感と、一方でロシアからの日本に向けた圧力が高まることも懸念されています。日ロ漁業交渉とか穀物へのアクセスであるとか、いろいろ影響があるかと思うのですけれども、その所感とその影響に対するお考えをお聞かせください。

大臣

  直接的に岸田総理のウクライナ訪問で影響があるのかは、我々の段階では計り知れないところですけれども、岸田総理のウクライナ訪問については、我々も昨日のニュースで見ただけで、中身は聞いていませんし、国会でもこの話はまだ1回も議論されていなかったのですが、私どもも4月に農業大臣会合を開催しますので、これが一つの話題になってくるだろうと(思います)。G7の首脳が全てウクライナに行ったことを前提にしながら、我々としても、農業面でどういった対策や支援ができるのかというのは一つのテーマになると思いますので、そういう意味では、(G7)議長国たる日本の岸田総理がウクライナに直接行かれたことで、大変前向きな議論が同じ土俵の上でできると思います。ですから今後、関係省庁と連携しながら、G7サミットが5月に(広島で)ありますから、これに向けて、農業大臣会合はじめ、各大臣会合の中でも相当、議論になっていくのではないかと思います。


報道官

  よろしいでしょうか。それでは、これで大臣会見を終わります。

以上