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農林水産省

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野村農林水産大臣記者会見概要

日時 令和5年4月7日(金曜日)9時19分~9時37分 於: 本省7階講堂
主な質疑事項
  • 大間産マグロの漁獲量未報告事件について
  • 国有林野埋設除草剤の撤去について
  • 食料安全保障の強化について
  • シャインマスカットの開花異常について
  • 大間産マグロの漁獲枠について

質疑応答

  • 大間産マグロの漁獲量未報告事件について

記者

  大間のマグロの漁獲未報告問題の関連で質問させていただきます。青森県が(全国の)市場関係者が(県産クロマグロを取引する際)、報告の有無を照会できる制度を新たに導入して、県も水揚げ日や漁船など、より詳細に把握することを発表しましたが、実際、大間のブランド力の高さから消費者に提供する側も含めて水産関係者の間での漁師の力が強くて、その漁獲報告も強く追及できないといった部分もあるといった話も聞きます。県の仕組みはこういった(新制度は)何か再発防止に繋がると見ていらっしゃるのか、制度の受け止めをお伺いします。また、以前、この話を伺った際には再発防止策について、水産庁の方で早急に検討していくとおっしゃっていましたが、その進捗状況についてもお伺いできますでしょうか。

大臣

  青森県の方で(新たな制度を)検討中のものであるということに対し、未報告の漁獲の範囲がどこまでであったのかという原因も含めて、まずは正確に把握することが必要であることから、徹底して調査するよう要請をしているところです。その調査の状況も踏まえつつ、流通業者が関与した今般のような事案をどのように防止することが可能なのかどうか、対応策を検討する必要があると思っています。国としても、類似事案の再発防止に向けて、現場実態も踏まえながら、太平洋マグロの漁獲や流通に関する監視や制度のあり方も含め、再発防止や管理の強化を検討していくこととしていまして、まだ決め手でこれぞというのは検討中でして、まだはっきりしておりません。ただ、これは由々しき話ですから、国際的な話にも影響していくし、マグロの消費量というのは日本が世界で一番ですから、消費者の皆さん方も大変関心があるだろうと思いますので、これは今、水産庁の方で検討をしています。


記者

  検討されているものは、7月に多分予定されているWCPFC(中西部太平洋まぐろ類委員会)の合同作業部会とかで、クロマグロの資源管理枠を検討する国際会議の作業部会が開かれると思うのですけれども、そういった場で国として報告されるというようなこともあるのでしょうか。

大臣

  まだ、そういった国際的な議論に発展しておりませんので、まずは国内でいろいろ調査して、どういうことをしていけば防止できるのか、もう少し内部でも詰めていかないと簡単にできないと(思います)。皆さんいろいろなご意見、工夫の仕方というのは考えてはいると思うのですが、それらをまとめながら、認知されていくかどうかということも含めて、検討させていただきたいと思います。これというまだ決め手はありません。


  • 国有林野埋設除草剤の撤去について

記者

  ダイオキシンを含む除草剤の撤去について伺います。全国に26トン、15道県42市町村に半世紀ほど前から埋められている件なのですが、岐阜・高知・佐賀・熊本で撤去に向けた方策を調べていると承知しています。この除草剤について、先日TBS系の福岡の放送局、佐賀でしょうか、一部5月にも撤去(処理に着手)するという報道もありました。今、これの撤去に向けて、どのような検討状況で、もし近々に撤去を始めるという方針が決まっているのであれば、教えてください。

大臣

  これはどこかテレビ会社が報道したと思うのですが、一番最初はNHKだったのです。私の地元・鹿児島の伊佐市でこれが議会で大問題になりまして、そして林野庁の方でいろいろ調査をしたのですが、埋めてあるところが非常に深いところだったり、それぞれ埋めた形態が違うようなのです。浅いところにあるとダイオキシンが染み出してくるのではないか、崩れそうな崖の近くだとそれが崩れて、川に流れ込むのではないかとか、いろいろなことを地域住民の方々が心配しています。全部調査をしながら、どういう形状で埋めてあるかというのは、まずは調査をしてみないと分からないということがあります。全国的に非常に多いのです。私もびっくりしたのですけども、北海道、東北、それから中四国、九州が(その中でも)一番多いです。そういったところの市町村も除草剤を埋却したところは分かっていますから、調査をしていって(埋設状態を)公表して、あまりご心配に及ぶことはありませんとなるのかどうか、それは形状によりますから、埋めてある今の状態を(専門家が)どう判断するか。私の地元・鹿児島では非常に深いところに埋めてあったことで、染み出してくる心配はありませんということで、地域の住民の皆さん方は、一応安心しているというのがありますが、他のところがどうなっているのかは全部調べてみないと分からないので、林野庁の方できちんと調査して、それからモデルを作って、全国的にこういうやり方で(掘削処理に向けた取組に着手して)いけば、住民の皆さん方に安心だということも(説明)できるのではないかと思っています。


  • 食料安全保障の強化について

記者

  前回に引き続き有事の際の国民が飢餓に直面するリスクについて伺います。現在の日本の食料自給率は38%とされていますが、有事、つまり戦争において、海上輸送が封鎖されれば、石油タンカー、食料輸送船が日本に届かなくなり、100%輸入頼みの石油及び輸入に多くを頼る種子や肥料、飼料などが枯渇し、備蓄が十分になければ国民は飢餓に直面します。野村大臣は4月4日の会見で肥料などの原料を備蓄することも考えていかなければならないとおっしゃいましたが、肥料だけでなく、主食の米を中心に、戦争が数年続いても、国民が飢えないだけの食料備蓄が必要なはずです。戦争が起こり、海上輸送網がすべて封鎖された場合、日本国民を餓死させないためには、何がなされるべきか、まず十分な備蓄の量と予算について、農水省の考えをお聞かせいただければ幸いです。

大臣

  そう(いう事態に)ならないように、やはりやっていかなければいけないので、有事の際はそういうことも心配なことの一つです。ですから最悪の事を考えながらやっていかなければなりませんが、(現在輸入している農作物)すべてを国産で賄うには、今の国内の農地の二倍の面積が必要です。ですから、日本(産)だけで、国民の胃袋を満たしていくことはできないので、現実的な備蓄、それから増産も考えていかなければいけませんが、やはり不測の事態においても一定の輸入を確保することは極めて重要だと思います。全部敵に回すわけではなくて、友好国から輸入していくとか。今、現実もそうなのです。例えば今、ウクライナあるいはロシアからの小麦がなかなか入りにくい(状況)ですが、日本の場合は、カナダから小麦を入れていますから、あまり心配することはない。それから肥料の中でも、リンは中国からが(輸入の)9割を占めていたのですが、このリンを中国が自国(向けの)生産に踏み切っていまして、(我が国に)リンが入ってこなくなったのでどうしたかというと、アフリカのモロッコからリンを輸入している。そういう形で、友好国なり、その輸入にきちんと応えてくれるような国と常日頃から、不測の事態にならないように、なってもそういう国から輸入させてもらえるようにやっていかなければいけないだろうと考えていますが、まず第一義的には、海上封鎖みたいなことが起こらないよう、世界の平和を願って外交的な交渉をやっていかなければいけないと思います。


  • シャインマスカットの開花異常について

記者

  シャインマスカットの開花異常について伺います。シャインマスカットが開花時期の5月6月になっても、開花しないという症状を訴える農家が全国で相次いでいます。本紙がブドウの主産23道府県の農業試験場などに聞いたところ、山梨や長野をはじめ15県で開花異常が発生したということが分かりました。農水省ではこうした開花異常について発生している地域や原因など何か把握されているでしょうか。また今後何か対策をお考えでしょうか。

大臣

  私も新聞を見てびっくりしたのですけれども、シャインマスカット、これだけの高級ブドウですから、こういったことが起こると大変なことだと。(生産している)農家の皆さんが。ただ、今になって全く新しい現象が起こったかというと、そうではなくて、今までも少し(発生が)あったそうですけれども、例えばシャインマスカットの花、果実のできる花が4,000くらい一園地にあるとすると、その中の3,000くらいを残して1,000くらいは全部摘花しているということです。その中に病気なのか何なのか分かりませんが、そういう(状態)の(花穂)があるとしても確実に摘み切って、摘花していたので、あまり表に出てこなかったけれども、全部が全部ああいう状況になると、もうすべて摘花しなければいけないということです。これの原因は病気ではないという話を担当部署は言っていましたけれども、病気でなければ何なのか、原因究明を急がなければならないと思います。今まで全くなかったかというと、あったけれども、摘花の段階で花を摘み切っていたので、騒ぎにはならなかったけれども、今回は多くがああいう形で、雄しべ・雌しべの花冠が取れなかったということだそうで、今から原因を究明しながらやっていかければいけないと思います。まだ(原因は)ちょっとわからない。


  • 大間産マグロの漁獲枠について

記者

  冒頭の大間のクロマグロについて関連してお伺いします。大間のクロマグロについてはそもそもの漁獲枠に対して漁業者が多過ぎるという指摘も専門家からはあるのですけれども、こうした現状についての農林水産省の受け止めと、対応のできることがあるのであれば、お考えをお願いします。

大臣

  それは漁業者が多いということですか。漁業者が多いから、漁業者を減らせということですか。


記者

  短絡的に言うとそういうこともあるのですけど、ただ、1人1隻当たり、1事業者当たりの漁獲枠が少ないので、そういった問題が起こりうるのではないかという指摘なのですが。

大臣

  今いらっしゃる漁業者の皆さん方に、減らしますという説得あるいは説明がつきますか。みんな一生懸命一攫千金を狙いながら、漁に出かけていっているのに、あなたは去年取れなかったからもうやめてと言うようなことは、私は基本的には職業の自由の原則に反すると思うのです。漁業を生業としている人たちに、あなたはもうマグロ漁やめなさいというのは、それはいくらなんでも難しいと思います。そういうことよりも今、きちんとした管理をしながら、マグロも増えつつありますから、もう少し資源管理に重きを置いて、不平等なやり方をさせない仕組みづくりをしていった方が私はいいと思います。漁業者の人たちは、やはり海に出て漁をしたいわけですから、それまで取り上げるというのはいかがなものかなと思います。例えば農業をしている人に、生産が多くなってきたから米づくりをやめなさいというようなもので、職業の自由というのがあるわけですから。憲法で保障されていますから、そこまで取り上げるということは、私はできないと思います。


報道官

  よろしいでしょうか。それでは、これで大臣会見を終わります。

以上