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農林水産省

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野村農林水産大臣記者会見概要

日時 令和5年4月11日(火曜日)9時30分~10時00分 於: 本省7階講堂
主な質疑事項
  • サンマの不漁の要因について
  • 技能実習制度及び特定技能制度の見直しについて
  • 花粉症緩和米の実用化について
  • 高病原性鳥インフルエンザへの対応について
  • 有明海におけるノリの不作について
  • G7農業大臣会合について

質疑応答

  • サンマの不漁の要因について

記者

  先週金曜日にサンマの不漁の原因についてのレクがありまして、複合的な要因でサンマが獲れなくなっている。例えば餌が減っているとか、海流の変化で日本近海に来なくなったとか、また海流の変化で、サンマの仔稚魚が育ちやすい場所に行けなくなっているとか、そうした問題が指摘されましたけれども、農水省・水産庁として、今後その不漁対策として考えている点、一つは国際的な資源管理の枠組みだと思うのですけれども、それ以外に方策がありましたら教えていただけますか。

大臣

  今、お話がありましたように、今年は特にサンマが不漁でした。この要因について、水産研究・教育機構が原因の調査結果を公表しました。受け止めとしましては、やはりこの資源回復に向けた、今後の対応というのも必要だし、これは人間の力ではどうしようもできないのだろうと思うのですが、原因としては、海流の変化で今までは日本に近いところの沖合の水域に(サンマが)いたのが、(現在は)離れたところの沖合から我が国水域に回遊しづらい状況にあるというのが1点。二つ目が餌環境の悪化といいますか、沖合の水域もやはり変化していまして、サンマの成長が悪化しているのは、餌が日本近海では(減少していて)取れないからということで、サンマ資源にとって好ましくない環境にあるということを聞いています。今後のサンマの資源回復に向けましては、北太平洋漁業委員会に対して、これらの科学的な成果を当然共有しなければならないし、公海での適切な資源管理がより推進されるように取り組んでいかなければいけないと思っています。魚については、獲れるものと獲れないものの魚種が変わってきつつあるものですから、日本としても、漁業者の人達にとっても大変困った状況だと思います。例えばサンマも獲れなければサバも獲れないという状況で、(今後)どうすればいいのかは、これは日本だけの問題ではなくて世界的にも、台湾とか中国とかも獲れていないわけですから、こういうところともどうしていくのか関係機関で話し合いも進めながらやっていかなければなりませんが、(参考となる先行した)見本がないわけです。動物みたいに囲って、飼育していれば別ですけども。海の中を泳いでいる魚をどうしたら(日本側の漁獲で)取り戻せるかというのは、海流の問題だったり餌の問題だったりということがあるものですから、いずれも簡単ではないと思います。


  • 技能実習制度及び特定技能制度の見直しについて

記者

  昨日の政府の有識者会議で、技能実習制度の廃止と新たな制度の設立について、たたき台が示されたことについて伺います。農林水産分野でも多くの技能実習生をこれまで受け入れてきたと思うのですが、これまでの制度での課題と、新しい制度に期待することについて、お伺いできればと思います。

大臣

  私も昨日、担当局から報告を聞いたのですが、今日の新聞各紙の見出しは全部、見直し検討ということではなくて、制度を廃止すると書いてありましたけれども、(たたき台の)中身をよく読んで、昨日の会合の内容なども聞いてみますと、私は率直に言えば、(今の制度の)見直しなのだろうと思います。今のままでは良くないのではないかというような内容になっていたと思うのですが、ただ、センセーショナルに廃止と書くと、(単純に)今後はこの外国人研修制度がなくなるというような感じにも受け止められるものですから、これはちょっと発表の仕方もおかしかったのではないかと担当部局には言いましたが、内容は、これは見直しだと思います。昨日、第5回目のこの(制度の在り方に関する)有識者会議があったわけですが、中間報告書のたたき台が事務局より示されたというのは聞いております。中身を見てみましたけれども、このたたき台においては、実習制度に関わる人材確保と人材育成を目的とした新たな制度の創設を検討すべきとされています。いわば、人材確保と育成という、二つの視点について書いてありましたので、これらを中心に今後検討が進められていくと思っています。有識者会議ですから、いろいろ学者の先生方も(委員として)入っていますが、その中に全国農業会議所(の担当者)も入っていますので、そこと連携を取りながら、どういう方向性に持っていけばいいのかというのは、(検討会で)引き続き議論がされていきますので、その過程で、我々としても農業会議所の方ともよく話をしてみたいと思います。


記者

  今のその人材確保がメインになっていて、実態とかけ離れているものをより実態に即した制度として、実習生にも転籍だったりをしやすくするというようなその方向性についての受け止めはいかがでしょうか。

大臣

  どういうような方向性になっていくのか、中身も見ましたけれども、人材育成と人材確保という二つの文字があっただけで、具体的にそれをどうするというのは、今からの議論だと思っていますので、まだそこまでは考えておりません。


  • 花粉症緩和米の実用化について

記者

  スギ花粉症対策でお聞きします。先週の記者会見で、花粉症緩和米の実用化に向けて取り組んでいきたいとお話しされましたけれども、この花粉症緩和米の研究が始まってからもう20年以上経っていて、それでもまだ実用化に至っていないという現状があります。このスギ花粉症米、何が実用化の障壁になっているとお考えでしょうか。また、今後この実用化に向けて、どういうことに取り組んでいかれるお考えでしょうか。

大臣

  この花粉症は、なった方にしか分からないキツさがあるのだろうと思いまして、先般の決算委員会でもそういう質問が出たのですが、私もちょっとその気が今年はあるなと自分で思っています。くしゃみがよく出るものですから。これは決め手の薬というのは、まだでき上がっておりませんし、先の委員会でも触れましたが、花粉症緩和米というもの(の研究)を農研機構の方でしていまして、これが効果があるのではないかと言っていますが、これは食品でなくて、医薬品として扱われるべきとされているとも言われておりますので、医薬品として実用化するには、製薬メーカーの製品開発なり、販売の参画が必要だろうと思っています。ですから農研機構がやっている花粉症緩和米とかが一つのヒントになって、薬品メーカーが研究して薬品として売り出していただければ、非常に助かるのではないかなと思います。


記者

  まだ研究段階だと思うのですけれども、実用化に向けて進めていくことについて何か。

大臣

  農研機構でも臨床研究はやってきていますが、やはり薬品メーカーが絡んでこないと、薬として売り出すとか(はできないし)、(現時点では薬品として)大々的にきちんと立証されたというものではないものですから、今後どういうふうな形になっていくのか(分かりません)。ただ、総理が関係閣僚会議を開いて、きちんとやりますということをおっしゃったので、近々にこの閣僚会議も開かれるだろうと思っていますし、どういう組織になって、閣僚会議の下にどういうメンバーの人たちが入ってくるのか。総理があれだけのことを委員会でおっしゃったわけですから、(花粉症緩和米についても)薬として実用化されるまでやっていくのかは分かりませんが、とにかく一歩も二歩も前に進んだことは事実だろうと思います。


  • 高病原性鳥インフルエンザへの対応について

記者

  鳥インフルエンザの感染状況についてお伺いします。地域的な話題なのですけども、北海道の千歳市で、3月末以降に3件連続して発生していまして、市内で飼育していたうちの8割くらいが殺処分になっています。未だに北日本で感染が続いていることに関して、受け止めと懸念する点があればお聞かせください。

大臣

  (渡り)鳥が北上していって、今(鳥インフルエンザの発生報告が)出てきているのは北海道だけで、北海道の皆さんには本当に気の毒だし、気を付けていただきたいと思います。昨年も5月まで、鳥インフルエンザが収まらなかったのです。今年も4月に発生しましたので、5月頃まで、暖かくなるまでは気を付けないと(いけません)。(渡り)鳥の北帰行の(日本での)最終の行き先が北海道だったのだろうと思うのですが、北海道でもこれまで5件(発生し)、(殺処分)羽数も多いですから、今、卵不足も言われているので、最大限の緊張感を持って、(飼養)衛生管理にきちんと取り組んで欲しい、それしかないです。今のところは(これをしなければ)防ぎようがなく、(今後の見通しは)はっきりしたお答えができず、(渡り鳥次第なので)鳥に聞きたいところですが、(いずれにせよウイルスを)渡り鳥が運んでいる(のが原因である)ことは間違いないと思います。


記者

  もう1点、発生した養鶏場なのですけれども、北海道庁の方でも感染対策について評価している養鶏場で発生したのですけれども。地元の関係者から、もし鳥インフル発生した場合に、今のところは全数を処分するという対応なのですけれども、それを続けるのであれば、より手厚い休業補償の支払いとか、そういった支援体制の強化を求める声が一部で上がっています。政府や農水省として支援体制の仕組みについて、改善点など新たな方策について、お考えあればお聞かせください。

大臣

  今年は特に今までで最高の羽数を殺処分したので、何とかできないのかという話があります。この前の記者会見の時、もう少し待てばブラジルから殻付き卵が入荷しますと言いまして、今朝確認をしたのですが、まだブラジルから入ってきてはいないそうです。近々には入るということで、商社の皆さん方の話を聞くと、手配はされているようですけれども。今後どういう形で、この後始末をどうするかというところがやはり大きな問題で、(発生した場合、今は農場)全ての殺処分をしているわけですが、今朝も(担当から)話を聞きましたが、鶏舎ごとの(飼養衛生管理の)枠が分けられていれば、そこの養鶏農家の全ての鶏を殺処分する必要はないということです。ただし経営者がきちんと(施設及び飼養)管理を(完全に分けることを)されていればの前提なのですけれども。専門家の皆さんからも、全部が全部殺処分しなくて良いのではないかという御意見もあるし、この辺は、きちんと飼養衛生管理基準の中で書いてあるということなので、もう少し具体的にこれを(周知して)下ろしていかないと(いけません)。もう農水省が全部は殺処分する必要はない、発生した鶏舎の鶏だけを殺処分すれば良いということになってしまうと、また(感染が)広がっていく危険性もあるので、どういうことならば感染した鶏舎だけの殺処分で済ませられるかというのは、もう少し具体的に検討して、具体的に農家に伝えないと、農水省が良いと言ったということになってしまうぞということは言っているのです。ですから、もう少しきちんと整理をして、こういう場合はそこの鶏舎だけの処分でいいですということも、きちんと具体的な例示をしたいと思っています。


  • 有明海におけるノリの不作について

記者

  有明海の今期の養殖ノリの不作に関してお伺いします。昨日の衆院の決算行政監視委員会で、副大臣から今期の有明海のノリの生産はほぼ終了したということで、有明海特措法22条を発動するような状況には至らなかったという御答弁がありました。漁業者からは、特別な救済措置を求める要望もあったと思うのですけれども、水産庁が22条発動に至らないと判断された根拠と所感を伺えますでしょうか。

大臣

  これは、昨日の衆議院の(決算行政監視)委員会で、野中副大臣がそういう答弁しましたが、私も(別の)委員会で聞かれまして、野中副大臣と全く同じ答弁をしています。ですから、(御質問のお答えとしては)昨日野中副大臣が答弁したとおりです。なぜかというと、(特措法22条の)その中にある「著しい被害」には二つの基準がありまして、一つは複数県にそれが跨っている。有明海の場合は福岡とか、佐賀とか、熊本もそうですが、(著しい被害が)複数県になっていることです。それともう一つ、被害が甚大であるというのがあるのですが、被害が甚大というのをどの辺まで見るかということがあるのです。今回の有明海のノリ被害は、(後で)天候がまた良くなって、(金額は前年同期比で)84%。前年比でいうと甚大と言えるのかどうかというのは非常に難しい問題であります。もう一つは、今までもそうだったのですが、ノリなどの被害に対しては、「漁業共済」と「積立ぷらす」という制度がありますから、これらで補填ができるということでいいということも漁業者からも聞いていますし、それから、この(有明海特措法)22条の適用をするのは、複数県に跨がって、しかも被害が相当出る(場合)ということで、(今般は)当初そういう見込みだったのですが、(その後)天候が回復しまして、ある程度の販売、売り上げは(あって)、(9回目までの)入札結果では、前年(同期)比で、特に熊本県は123%という非常に良い成績を収めているものですから、ここはなかなか(22条の適用が)難しいなと思います。昨日、野中副大臣が答弁したとおりです。


記者

  広域的な被害という要件があるということだと思うのですけれども、裏を返せば局所局所では、すごく被害が甚大で、前年の8割とかに届かないような漁家さんもいらっしゃると思うのですけれども。そちらもやはりその共済であるとか、積立ぷらすで十分な補填というか、賄っているというような所感をお持ちでしょうか。

大臣

  そういったような制度で、きちんと100%とは言いませんけど、ある程度守られているのではないかと、こんな理解をしています。


  • G7農業大臣会合について

記者

  来週末に予定されている宮崎でのG7農業大臣会合についてお伺いします。ウクライナ危機後、食料安全保障や食料の安定供給について国際会議等で議論され対応されてきていると思いますが、現在の世界的な食料供給状況について、その現状認識をお伺いしたいというのと、もう1点、持続可能な農業と生産性向上の両立など、テーマに今回挙げられていますが、今回のG7で大臣が目指されることについて、教えてください。

大臣

  あと10日で、G7の農業大臣会合が宮崎で開かれるということでありまして、今回のテーマは、食料の安全保障を主要テーマに議論をしようということで、7か国各国に呼びかけて了解をいただいています。食料の安全保障、我々もこのことをずっと言ってきていますが、各国も気候変動、あるいはウクライナ戦争等々もあって、食料に対する危機感は、みんなお持ちですから、食料の安全保障をテーマにしながら、各国で話し合いをしましょうということでした。特に、農業の生産性向上と持続可能性の両立を実現させるということ(で議論を取りまとめていきたいと考えています)。今までは農業の生産性向上はあまり議題になっていませんでした。それはなぜかというと、このG7の中には、アメリカとかEUの中にも輸出国があるわけです。日本とか他の国が生産性を上げてしまうと輸出が難しくなってくるので、生産性向上というところにはあまり力点が置かれてこなかったという今までのG7の経緯があります。けれども今回は、特に我が国はこのことを主張させていただいたのですが、農業の生産性向上、これはもう日本がどうしても取り組まなければならない当面の最大の課題で、そうでなければ自給率が上がってこないのは、もう皆さんが御承知のとおりです。日本としては、ここに大きく踏み込んで、議論をさせていただきたいと(主張し)、皆さんの了解が取れていますので、議論をさせていただこうと思っています。この点が今までと大きく違って、今後の農業生産の在り方についてのターニングポイントになると思っていまして、今までにないG7の議論の内容になっていくのではないかと思っていますし、そうしたいと思っています。


記者

  今の食料の安定供給という面での現状認識について、ちょっと御意見いただければと思います。

大臣

  日本は全てが輸入で賄えなくても日本の中で生産できますというほどの広大な農地面積は持たないわけですから、小麦にしても大豆にしても、全てを日本国内で賄おうとすると面積が足りません。ですから輸入もしなければならないのですが、安定的なやっぱり輸入、相手先をきちんと確保しておくこと、しかも複数にわたって確保しておかないと、万が一、海上封鎖になったとか、あるいは今日の新聞だったですか、アメリカが寒波等で牛肉が不足気味だというのが載っていたようですが、そういったようなことになってきたときに、輸入できなくなってくると大変なので、やはり輸入相手先というのは、友好国としてお付き合いをずっとしながら、万が一に備えておく必要も一方ではあるし、一方で一番大事なのは、国内で生産できるものはできるだけ国内で生産していくというのが基本的なスタンスだと、それがターニングポイント(になるということ)だろうと思います。


報道官

  よろしいでしょうか。それでは、これで大臣会見を終わります。

以上