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農林水産省

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野村農林水産大臣記者会見概要

日時 令和5年5月30日(火曜日)10時15分~10時36分 於: 本省7階講堂
主な質疑事項
  • (大臣から)「令和4年度森林・林業白書」の閣議決定について
  • (大臣から)花粉症に関する関係閣僚会議について
  • (大臣から)農林水産省による「牛乳月間」の取組について
  • 食料・農業・農村基本法の見直しに向けた中間とりまとめについて
  • 花粉症に関する関係閣僚会議について
  • 秋用肥料の卸売価格について

冒頭発言

大臣

  冒頭発言として私の方から3点御報告がございます。1点目は、今日の閣議で決定しました「令和4年度森林・林業白書」、2点目は、「花粉症に関する関係閣僚会議」、3点目は、農林水産省による「牛乳月間」の取組について、この3点について御報告いたします。
  まず1点目。「令和4年度森林・林業白書」が閣議決定されましたが、今回の白書では、特集として気候変動に対応した治山対策、山崩れなど(山地災害へ)の治山対策を取り上げ、森林が国土保全に果たしてきた役割を紹介するとともに、気候変動に対応したこれからの方向性等について記述しております。また、トピックスでは、一つは太陽光発電の適正な導入に向けた林地開発許可制度の見直し。山の中に太陽光発電を作ればいいという方もいましたので、(林地開発による土砂流出等の発生状況を踏まえ)規制をかけようということです。農地にはいろいろ(規制を)かけてあるのですが、林地にはあまりかけてありませんでしたので、林地開発許可制度の見直しをしたというのが1点。二つ目は、長年の懸案事項だったのですが、しいたけの原産地表示のルールの見直し。海外からの菌床のしいたけを、そのまま菌を植え付けて日本に輸入すれば、今までは原産地が日本になっていたのですが、菌を植え込んで日本に輸入したら、これには輸入ということを表示するルールの見直しをしたということです。こうした内容の白書になっておりまして、詳細はこの後、プレスリリースいたします。
  2点目ですが、「花粉症に関する関係閣僚会議」が今日開催され、花粉症(対策)の全体像が決定されました。これには各省庁、農林水産省は発生源対策として当然ですが、厚生労働省、環境省などが絡むわけです。その中で農林水産省としては、3本柱の一つである「発生源対策」として、特徴的なのは、スギ人工林の伐採と利用を加速させるという考え方により、花粉症の発生源のスギの人工林を減少させようということです。数字的には10年後には、現行のスギ人工林を約10年間で2割減少させることを目指して取組を集中的に推進します。(目標として)計数的なものも(計画に)入れるということです。さらに、「発症・曝露対策」として、花粉症の症状緩和を目指して、農研機構でスギ花粉米について、医薬品としての実用化に向けた、更なる臨床研究等を実施してまいります。我が省としては、今申し上げたスギ花粉米(の研究)を農研機構でやっていますが、まだ臨床(研究)が少ないということですので、臨床研究等を拡大するということです。これら(の対策)を進めるためには、国土交通省、環境省、厚生労働省と一体となって取り組む必要があると思っています。
  3点目ですが、6月は牛乳月間です。酪農・乳業の仕事を多くの方に知ってもらうことを目的として、定められたもので、6月を牛乳月間として迎えるにあたり、農林水産省の取組をお知らせしたいと思います。まず、Jミルクとともに立ち上げた「牛乳でスマイルプロジェクト」の350を超える参加メンバーの皆様による、搾乳体験等の参加型の理解醸成活動や、もう一つは農業高校生による学校で生産した生乳を使った乳製品の販売など、酪農応援団を増やすための様々な取組が行われます。また、3月にとりまとめました畜産・酪農緊急対策パッケージにおける、生乳の需給改善に向けた新たな需要拡大対策として、空港での訪日外国人観光客への牛乳配布の第一弾として、6月1日の牛乳の日に合わせて、6月1日木曜日と2日の金曜日、2日にわたりまして、成田空港でロングライフ牛乳の配布をしたいと思っています。配布物はLL牛乳7,200本を配布することにしていまして、成田空港で10時から17時まで、第1ターミナル中央ビル1階で配布を農林水産省(職員)や、団体の皆様と一緒にやりたいと思っていますので、是非取り上げていただければありがたいと思います。以上3点が私からの報告事項です。

質疑応答

  • 食料・農業・農村基本法の見直しに向けた中間とりまとめについて

記者

  私からは冒頭1点、昨日の基本法の件でよろしくお願いします。中間とりまとめが(大臣に)手渡されましたけれども、ここまでの議論を経て来ての所感と今後の取組、方向性についてよろしくお願いします。

大臣

  昨年の9月29日に、基本法の検証・見直しを食料・農業・農村政策審議会に諮問を行いまして、中嶋先生を座長に、これまで16回にわたって集中的に議論をいただきました。そして、昨日、中間とりまとめをいただいたところです。私も出来るかぎり出席して、委員の皆さん方の御意見を伺ってきましたが、大変活発な議論が行われたと肌身で感じ、委員の方々の知見と熱意に大変感謝を申し上げたいと思っているところです。(御質問は)我が省として、審議会における(中間とり)まとめをどう受け止めるかということだと思うのですが、一つは今までの基本法の中身と大きく変わってきたところが3点あると思っています。一つは、委員からも(意見が)出て、基本的な考え方に取りまとめてあるのですが、平時からの国民一人一人の食料安全保障の確立です。今までは、平時ではなくて、いろいろな問題が起きたとき、気象変動やあるいはウクライナ戦争のような突発的なことが起こった時の対応としての安全保障ということであったのですが、平時でも、このことについてどう確立していくのかということです。やはり我が国は自給率が低いということがあり、このことが大きな問題ですので、これらを踏まえて、平時からの食料の安全保障をどう確立していくかというのが、大きなテーマだと思います。もう一つは、気象が著しく変動しており、5月なのに台風が来て、もう既に(各地で)梅雨入りしました。そうすると、どういったことが起こるかというと、うちの政務官が「もう、うちの麦の半分は、雨に浸かってしまって駄目になりそうだ。こんなに早い梅雨入りは考えられなかった。」と言っていましたので、こういった気象変動による環境等に配慮した持続可能な農業・食品産業への転換をどうしていくのか。私の地元・鹿児島では麦は(生産)できないのです。麦を作っても、梅雨に入ってしまうと麦は採れなくなりますから。そういう意味では、熊本もこんなに早く梅雨に入ると麦が作れなくなると言っていましたので、環境等に配慮した、どういう農業を今後(推進していくのか)、品種改良なんかもしていかなければいけないのですが、そのような(持続可能な農業・食品産業への)転換をするということ。三つ目が、人口減少下でも持続可能で強固な食料供給基盤の確立です。もう人が減っていくわけですから、減る部分については何で代替するのかとなると、やはりスマート農業というふうに、我々の立場としては言わざるを得ないと思うのですが、こういった人口減少下でも持続可能な食料供給基盤の確立をどう図っていくかという、過去20年間の基本法の中で、全く想像しえなかったようなことが起こっているものですから、今、三つ申し上げたようなことの観点から、6月を目途に、食料・農業・農村政策の新たな展開方向を取りまとめるということで総理から指示をいただいているところです。


  • 花粉症に関する関係閣僚会議について

記者

  今朝の花粉症の関係閣僚会議についてお伺いします。10年後にスギの人工林を2割減にして、様々な対策によって30年後には、花粉の発生量が半減するということで、いろいろな目標と、新しい目標と、またこれまで、なかなか進まなかった対策も大きく進めようということが決まったと思うのですが、こうした息の長い取組が必要になると思うのですが、意気込みといいますか、どのように林野庁関係の対策を進めていきたいか、一言お願いします。

大臣

  今、林野庁で、色々と検討を進めておりますが、(スギ)人工林を10年後に2割減らし、将来的には(約30年後)花粉量を半減させるという目標を掲げました。(具体的な対策としてスギ)人工林の伐採を10年後には7万ヘクタールまで拡大する。伐採しても使わなければ何もならないので、伐採したスギの活用を促進するために、スギ材の製品の需要を10年後に470万立方メートルまで増加させます。住宅やいろいろなところに使っている輸入品(の木材)を(国産の)スギ材に変えて欲しいと思います。スギ苗木全体に占める花粉の少ない苗木の生産(割合)は今現在5割ですが、これを9割以上に引き上げます。これらを進めるためには、高性能の林業機械の導入等も必要になりますので、こういったような生産性を向上(させるとともに現在と同程度の労働力を確保)するための対策をどうしていくかという10年計画を作りたいと思います。当然、これには予算が必要ですが、林野庁の予算は、現在、約3,000億円の予算ですから、これでは足りませんので、10年間の長期計画の(作成の際には)予算的な裏付けをどうしていくかということも大きな議論となります。こういったことも、今回の花粉症対策としてやっていこうと考えているところです。


記者

  予算化も含めてこうしたことを着実に進めていくというお考えですか。

大臣

  そうです。これはお金が要る話ですから、今の、現状のままでこういったことを計画しても、(対策を実施するには)その裏付けとなる予算をいただかないと、これはできませんということです。そのようなことも今回、議論をさせていただこうと思います。これは総理指示ですから、当然、財務省には、総理指示に基づいた10カ年計画なので、今年は(花粉症対策として)これだけの予算を増額して下さいというお願いをしていかなければならないと思います。


  • 秋用肥料の卸売価格について

記者

  私からは肥料の関係で伺います。今月26日にJA全農が6月から10月に供給する秋肥の価格を発表しました。今年の秋肥と比べると、基準となる高度化成肥料で28%引き下げるなど値下げの情勢ですが、高騰前価格と比べて依然として高い水準と思います。これについて受け止めをお聞かせください。また関連で、農林水産省は昨年の秋肥から、肥料コスト上昇分の7割を補填する支援金を措置されていると思います。この肥料高騰の支援について、今年の秋肥以降、どのように対応されるつもりか、考えをお聞かせください。

大臣

  肥料についての(農家の)経費(負担増)をどうするかということについては、昨年の秋肥、それから(本年の)春肥の(価格)上昇分の7割は国が補填しますということにしていましたが、(本年の)秋肥については、(これまで)触れていなかったのです。その理由としては、今回JA全農が発表したように、秋肥の原材料(価格)が下がることが、国際情勢の変化を見越して、そういった予想も立てられていたからで、秋肥の価格や補填については、いっさい皆さんに申し上げておりませんでした。今回、JA全農が(卸売価格を)発表しまして、(対本年春肥比で)28%ぐらい下がりまして、金額にして(20kgあたり)約1,000円程度下がりました。農家の皆さん方もほっとしているのではないかと思います。全ての生産資材(の卸売価格)が上がる中で、肥料だけ下がったというのは、朗報だと思っています。これまで7割補填をやってきましたが、これを継続するのか、または別な支援対策を行うのかについては、今せっかくここまで化学肥料を(できるだけ)使わないで、ある程度のコストダウンをしている最中でもありますから、是非またそれを(引き続き)取り組んでもらおうと思っていますが、(個々の農家に)ストレートに国からどれだけ補填するというようなやり方では、肥料を使っている農家数も大体100万戸ぐらいあるので、事務的にも大変だと思います。どうするかということはまだ決めておりませんが、検討はしなければいけないと思っています。(今回)すぐに(価格が)値下がったものの、その前の年と比べると、まだ高いのではないかと農家から言われるだろうと思っていますが、(現時点では)肥料の卸売価格をJA全農が示しただけで、JAとか小売りの段階での農業者の肥料コストの影響というのはまだ分からないわけですから、そういったことも見極めていかなければならないということです。引き続き堆肥・下水汚泥資源等の国内資源の利用拡大、このようなことにも力を入れながら、肥料をできるだけ国内にあるものを利用するというのが、今度の食料・農業・農村基本法の考え方にもあります。ですから国内のものを使うということを促進するための対策を考えていかなければいけないだろうと思っています。


報道官

  よろしいでしょうか。それでは、これで大臣会見を終わります。

以上