坂本農林水産大臣記者会見概要
日時 | 令和6年1月9日(火曜日)11時28分~11時41分 於: 本省講堂 |
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主な質疑事項 |
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質疑応答
記者
幹事社から2点伺います。まずは年明け最初の会見ということで、年頭所感を伺えればと思います。
大臣
令和6年能登半島地震について、お亡くなりになられた方々に改めてお悔やみを申し上げますとともに、被害にあわれました全ての方々に心よりお見舞いを申し上げます。今後も、人命第一の方針の下、被害状況の迅速な把握、災害応急対策に、関係省庁や地方自治体と連携して、全力で対応してまいります。
本年は、いよいよ基本法の改正に臨む年になります。世界、そして我が国の食をめぐる情勢が大きく変化する中、農業政策の大きな転換点に立っているとの自覚を持ち、本年を食料安全保障改革元年としなくてはなりません。具体的には、食料安全保障の抜本的な強化、環境と調和のとれた農業への転換、人口減少下における生産水準の維持・発展と地域コミュニティの維持を目指す食料・農業・農村基本法改正案を次期通常国会において成立させることに全力を尽くしたいと考えています。さらに、それを踏まえた関連対策に取り組むための予算の確保を図ってまいります。また、基本法改正と併せて、不測時の食料安全保障の強化、農地の総量確保と適正・有効利用、スマート農業の振興、食品原材料の調達安定化の促進を実現するための法案の提出を目指してまいります。さらに、新たな農林水産政策を実行していくに当たり、農林水産業で働く現場の皆さんの声に耳を傾け、日本の農林水産業を日本ならではのものにしていく、豊かな農山漁村を作っていく、国民一人ひとりの食料安全保障を実現していくといった方向に向けて進んでまいります。私自身としては、生産、流通、そして、消費者の手元までも一つの食料政策と考え、食料システムという考え方の下で農政を推進してまいります。
記者
もう1点。能登半島地震について伺います。これまで把握されている被害状況を改めて伺いたいのと、現在、現地に職員を派遣して被災地のニーズの把握や食料の配送などに努めているとしていますが、被災地からはどのような要望があって、それに対してどう対応されていくのか、これからの対応について伺いたいです。
大臣
今般の地震による農林水産関係の被害状況については、現時点で調査中ですが、農地や水路、ため池などの農業用施設の損壊、畜産農家での停電、断水や、畜舎等の損壊、山地災害や、林道施設、木材加工・流通施設等の損壊、漁船の転覆、座礁や漁港施設の損壊などの被害の報告を受けています。詳細については、ホームページに掲載していますので、ご覧いただきたいと思います。引き続き、関係自治体とも連携をして、被害状況の速やかな把握、災害応急対策、適時適確な情報提供に努めてまいります。一方、避難生活を余儀なくされている被災者の皆様への食料等の物資の調達と輸送を加速することが極めて重要な課題と認識しています。農林水産省としては、被災地の要望を踏まえ、業界団体の協力もいただきながら、1月8日(月曜日)までの間に、約79万食の食料品、この中にはアレルギー対応食も含みます。それから2千キログラムの無洗米、さらには5千5百点の乳児用ミルク、うち約4千8百点が液体ミルクです。約45万本の飲料、ミネラルウォーター、野菜ジュース等を配送しています。避難された方々の手元にしっかりと食料が届くよう、引き続き、関係省庁と緊密な連携をとって対応してまいります。昨日夕方、馳石川県知事と電話でお話をしました。馳知事からは具体的な要望ではなく、「できることは全てやっていただきたい」という切々たる訴えをいただいたところですので、機敏に対応してまいります。
記者
地震の被害状況まだ調査中ということですが、現時点で、今回の地震が農林水産現場に与えたインパクトというものを鑑みて、今回の地震というのはどういった地震だと認識していらっしゃるかと、1週間余りが経過しましたけれども、今の段階で、特に求められていること、特に力を入れて取り組まなければならないことはどういうことと認識していらっしゃいますか。
大臣
今回の地震で特徴的なことは、私も熊本地震といつも比較するのですけれども、過疎・高齢化が災害の時に平常時以上に如実に表れると思いました。特に輪島、奥能登の方が、まだ交通が遮断されている、断水が非常に多いといったことがあるので、常日頃の中山間地をはじめとする農村集落の活性化、関係人口も含めた人口の維持・増加といったものが改めて必要だと思いました。1週間の段階で求められていることで言うと、まだ(被害)状況がはっきりしませんので、できるだけ的確な情報を把握することだと思います。昨日は、北國新聞で白米千枚田にやっと個人で入ってルポした記事を読ませていただきました。まだまだ孤立状態のところがありますので、人材をできるだけ投入をして、情報の把握を急ぐことが今やるべき重要なことと考えています。
記者
高齢化が進んでいる地域ということが特徴と思うのですが、被害にあわれた生産者さんたちが、もう一度生産に頑張って取り組もうというのが、高齢化していると難しいというところもあるかと思うのですが、今後そういった方のケアとか、生産の再開などに向けて、どのように考えていらっしゃるかお聞かせください。
大臣
生産再開のための条件整備、インフラ整備、基盤的な整備をしっかりやっていくことが大事だと思います。被災者の生活と生業支援のためのパッケージを可及的速やかに取りまとめる指示が総理からありましたので、まずは被害状況を把握すること、そして生業の再開に向けての支援、これは復旧作業も、予算的な措置も含めてやっていく必要があると思います。
記者
現時点で分かっている地震による影響を教えてください。
大臣
特に漁業については、まだ全容が把握されていません。特に奥能登、珠洲市あたりは、漁港そのものが隆起して、調査がしにくい状況になっています。現在、分かっているところでは、石川県で50漁港、新潟県で3漁港、富山県で10漁港において、防波堤、岸壁、臨港道路の損傷等の被害を確認しています。特に、石川県の被害は甚大でして、海底地盤が数メートル隆起している漁港を確認しています。また、同県下の市町村が管理する一部の漁港の被害は引き続き、調査が必要と思っています。漁船については、石川県で転覆・沈没120隻、座礁が15隻、流出10隻以上、その他の漁船14隻が、新潟県の沿岸に漂着しているという他、新潟県で7隻、富山県で4隻、福井県で1隻の沈没・損傷等の被害を確認しています。水産庁では、MAFF-SATとして、延べ6人の職員を石川県に派遣しているところです。林業の方は、まだ入れるところも遮断されていますので、はっきりした被害状況が掴めていません。
報道官
よろしいでしょうか。それでは、これで大臣会見を終わります。
以上