坂本農林水産大臣記者会見概要
日時 | 令和6年2月2日(金曜日)11時59分~12時09分 於: 本省講堂 |
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主な質疑事項 |
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冒頭発言
大臣
私の方から2点、ご報告がございます。1点目は、我が国では未発生のアフリカ豚熱ですが、近年東アジアでも感染が広がっています。特に2月10日から春節を迎える中国などでは、我が国への旅行者の著しい増加が見込まれます。また、韓国では、我が国への定期便が発着する釜山広域市において、今月に入り、急激に感染が拡大しているとの情報もあります。そこで、本日付けで都道府県宛てに最大限の注意喚起をお願いするための通知を発出しました。さらに、旅行者の方々におかれましては、アフリカ豚熱のウイルスを国内に持ち込むことのないよう、肉類の持込みを厳に慎んでいただくこと、ウイルスが靴などに付着して持ち込むことがないよう、細心の注意を図っていただくようお願い申し上げます。また、畜産事業者の皆様には、ウイルスを農場に入らせないよう飼養衛生管理を改めて徹底していただくようお願いします。アフリカ豚熱は、普通の豚熱と異なり、ワクチンもなく、環境中に長く残ることから、一度侵入を許すと、我が国の畜産業に壊滅的な被害を生じることとなります。そのアフリカ豚熱の侵入リスクが、かつてないほど高まっています。関係者の皆様には、この危機感を共有いただき、ウイルスは見えないですが、侵入防止に向けてそれぞれが意識をして取り組むことが重要です。ご協力よろしくお願いします。
2点目は、今年もスギ花粉の本格的な飛散シーズンが始まります。昨日、「花粉症に関する関係閣僚会議」において、スギ人工林の伐採・植替え等の加速化に向けて、年度内に「スギ人工林伐採重点区域」を公表すること、スギ花粉米の実用化に向けた課題と解決策等の整理を行う「官民連携検討会」を1月に開催したことなど、花粉症対策についての進捗状況を報告しました。詳細については、この後、事務方から説明会を行います。私からは以上です。
(※豚熱侵入防止パネルを提示)これがアフリカ豚熱の侵入を防ぐためのお願いのパネルですので、旅行者の皆さん方、そして畜産事業者の皆さん方、よろしくお願い申し上げます。
質疑応答
記者
能登半島地震から1か月が過ぎました。農林水産業の被害については調査中で今も分からないところがあります。被害状況について現時点として、どのような認識をお持ちか、教えてください。また、生業の再開に向けての課題、展望も含めてお願いします。
大臣
令和6年能登半島地震の発生から1か月が経過しました。改めて今般の地震により、お亡くなりになられた方々にお悔やみ申し上げますとともに、被害にあわれた全ての方々に心よりお見舞いを申し上げます。農林水産省としては、地震発生直後から、避難生活を余儀なくされている皆様への食料支援のほか、被害状況の把握や職員派遣など、災害応急対策等に力を入れてきました。先月の25日に、政府一体となって策定した「被災者の生活と生業(なりわい)支援のためのパッケージ」における農林水産関係の支援策を取りまとめ、現在、この支援策の周知に省を挙げて取り組んでいるところです。一昨日から、石川県、富山県、新潟県及び福井県の自治体や関係団体等を対象として説明会を開催しているところです。今後、農林水産業の復旧・復興に向けて、地域の方々のご意見を反映した地域の将来ビジョンの作成への支援や同ビジョンに基づくインフラの復旧・復興などを着実に行っていくこととしています。これらの取組により、被災された農林漁業者の一日も早い生業再建や世界農業遺産の里山里海等のブランドを活かした創造的復興に向けて、引き続き、被災自治体等と連携して、全力で取り組んでまいります。
記者
能登半島地震の被害を受けた水田では、かなりの面積で水路やため池が損傷し、今年の米の作付けが困難な状況になっています。この状況についての受け止めと、営農再開に向けた政府の対応方針を聞かせてください。
大臣
今般の地震による水田等の被害状況については、現在把握に努めているところですけれども、水稲の作付けに必要な農地・農業用施設、共同利用施設等への被害が生じていると報告を受けています。能登の基幹産業である水稲作が継続できるよう万全を尽くす考えです。引き続き、被災自治体等と連携して、被害状況を速やかに把握し、春の作付けに向けて、水田等の応急復旧や水稲の作付継続に際しての種子・種苗の供給等、被災者の生活と生業支援のためのパッケージに盛り込んだ施策等を周知し、被災農家に寄り添って対応してまいります。なお、米の作付けについては、まずは能登地方の市町や石川県の検討を注視しつつ、必要な助言や水稲作付けができない水田における他作物への転換支援など必要な施策を行っていく考えです。
記者
世界農業遺産に認定されている白米千枚田でも広範囲で地割れを確認するなど、被害が明らかになってきました。地元の象徴である白米千枚田の被害に多くの方が胸を痛めております。一方で、先日の食料・農業・農村(政策)審議会の企画部会で、有識者の方から白米千枚田の再生について疑問の声が上がっていました。白米千枚田の被害と復興の在り方について考えを聞かせてください。
大臣
白米千枚田は、世界農業遺産「能登の里山里海」を代表する景観として地域の方々の誇りであり、また、日本の宝でもあることから、その復旧は重要であると考えています。先月21日、私自身もヘリコプターで上空から白米千枚田の亀裂やアクセス道路の陥没などを確認しました。農林水産省としても、現在、MAFF-SATを現地に派遣し、県と連携して千枚田の農地や水路等の被災の全容の把握に努めているところです。引き続き、被害の全容の把握に努めつつ、先月25日に取りまとめた「被災者の生活と生業支援のためのパッケージ」に基づき、里山里海のブランドを活かした創造的復興に向け、地域の意向に寄り添いながら、千枚田の復旧を支援してまいります。
記者
復旧支援していきたいということですけれども、一部委員から、再建に対して疑問の声が上がっていましたけれども、それに対してはどのように受け止めていますか。
大臣
米作りの原点ですから、私たちの先輩たちが、いかに苦労して米を作ってきたか、それに対して子供たちがそれをどう学び取るかという学習の場でもありますので、これはしっかりと復旧・復興に向けて、支援をしてまいります。
報道官
よろしいでしょうか。それでは、これで大臣会見を終わります。
以上