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農林水産省

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江藤農林水産大臣記者会見概要

日時 令和6年11月29日(金曜日)9時29分~9時48分 於: 本省会見室
主な質疑事項
  • (大臣から)事業者支援の促進及び金融の円滑化に関するお願いについて
  • (大臣から)ノウフクの日について
  • 令和6年度補正予算案について
  • 野菜価格について
  • 鶏卵価格と鳥インフルエンザの発生状況について
  • 中山間地域等直接支払制度の見直しについて

冒頭発言

大臣

  本日、私から2点、報告があります。1点目は、飼料や生産資材価格の高止まり等により、農林漁業で厳しい経営環境が続いていることを踏まえ、資金繰り(の相談)に丁寧に対応するよう、事業者さんに寄り添ったきめ細かな支援を徹底するよう、昨日(28日)、日本政策金融公庫や各種金融団体に対し、関係大臣の連名で要請を行いました。
  また、特に苦しい肉用牛などには、畜産特別資金を措置しています。これは、償還期間が最大25年の長期低利の借換資金で、農家への経営指導も行い、経営改善もセットで(支援を)行います。積極的に広報を行います。これは良い資金ですが、宮崎県の利用率を調べましたが、なかなか低い。そんなにハードルが高いとは思いませんが、指導が足りなかったことが反省点としてありますので、借り換えていただいて、特に畜産クラスター事業や産地パワーアップ事業などの償還が始まった人たちは苦しいので、そういう人たちを応援していきたいと思います。
  さらに、農業用施設に係る資金の返済計画の変更や、借り換え等に係る相談等に際して、専門家を派遣しないと金融のことは難しいです。例えば、政策金融公庫に農家の方々が相談をしても、なかなか話が噛み合わない現場があるようですから、専門家を招へいして相談に乗っていただき、間に立って、資金繰り等が改善できるように、指導していきたいと思います。
  2つ目は、11月29日は農福連携、「ノウフクの日」です。12月31日まで、全国43か所でノウフクの日の関連イベントが行われます。
  一生懸命、ハンデを持ってらっしゃる方も一つの個性ですが、そういう方々が、皆様方と触れ合いながら、社会の一員として、頑張っている姿をぜひ見ていただいて、そして、そういう方々は逆に集中力が高く、施設園芸や、さまざまな現場で、長い時間は難しいかもしれないけれども、非常に助かっているという評価もいただいているところですので、そういったところに、われわれ、ふつうに、生活できている、しあわせな、われわれもぜひ足を運んで、そういう方々と一体感を持っていただくことが大事ではないかなと思っていますので、皆さん方もぜひ取材をしていただいて、発信していただきますよう、よろしくお願いします。私からは以上です。


質疑応答

記者

  補正予算案が今日閣議決定ということで、補正予算全体の規模が年によって違うので、前年度と比べることにあまり意味がないのかもしれませんが、大きく増えているかと思います。これについて所感を聞かせてください。

大臣

  まだ閣議決定していませんから、閣議決定していないことにコメントすることはできませんけれども、共同利用施設はUR対策で作ったものが多く、非常に古いのです。もう寿命がきているものも多いですから、こういったところを再編・合理化しないとだめだろうと。これだけ基幹的農業従事者が減ったら、農地の大区画化をしないといけないので、これも強化していく。スマート農業技術の導入も加速化すると。
  和牛肉の消費拡大も、前回の補正に比べたら3倍強の金額を出していますので、今までは、一頭に対する支援(フルセット)を行いましたが、枝肉になると、肉の部位としてはサーロイン(、ヒレ、リブロースのロイン系)だけだったのです。1キロ当たり1,600円の支援をしていましたが、現場ではサーロイン(、ヒレ、リブロースのロイン系)ばかりが肉ではない、他の部位も売れないと困るという話がたくさん出てきたので、今回以降は、非ロイン系の肉も支援対象にしますので、ぜひ皆様にもご協力いただいて、卸の皆様にこの支援金を出しますので、当然店頭価格は下がります。この機会に、ぜひ消費者の方々には、お手に取っていただいて、年末おいしい牛肉を、家族で堪能していただければ大変ありがたい。
  今はちょうどブラックフライデーですが、テレビ等で見ましたら、和牛肉の値段さえ下がれば、消費者はたくさん買ってくださっています。値段を下げることによって、消費者の方にも喜んでいただき、出口対策としても機能を発揮するのではないかと思っています。
  今後は、とにかく早くこれ(補正予算)を成立させて、早くお届けしないといけませんので、来年の当初予算についても、必要な予算を確保すべく、全力で頑張っていきたいと思います。




記者

  今日、12月分の野菜の生育状況及び価格の見通しも公表予定ですが、平年と比べて全般的に上がっていると思います。特にキャベツなどで平年比2.4倍ほどになっています。要因に、猛暑や長引く高温の影響が挙げられていて、今後も続くと見込まれるこれらへの対策が必要との指摘もあります。足元の高値に対する受け止めと今後の見通し、また、農水省としてこの猛暑や高温への対策について何か考えがあるのか聞かせてください。

大臣

  これは難しいです。例えばキャベツは、パッと広がってしまっているものもありますし、白菜も芯の部分が白くならず青いままです、温度が下がらないと。天候に左右される農業の実態が改めて明らかになったと思います。
  店頭の価格が上がると、消費者の方々は大変だということはよくわかりますが、1つわかって欲しいのは、店頭価格が上がったイコール農家の収入が上がったのではないということです。価格が倍になったとしても、農家の出荷金額が倍になったのかというと、そんなことはなく、収量が半分になれば、逆に減収になるわけです。消費者の方々も苦労しているけども、生産者も苦労しているということです。私としてはご理解いただきたい。
  政策的にどうするのかという話になると思いますが、これだけ海水温の上昇も加わり、これだけ暑い夏、寒い冬になってくると、米もそうですが、新たな気候に適応した品種開発とかに力を入れていかないといけないと思います。しかし、日本は産地がローテーションしていますから、後続の産地から出てくるので、12月の後半ぐらいになれば、なんとか価格が落ち着いてくるのではないか、そうなればいいなと。落ちますとは断定的には言えませんが、そういう見通しだけは持っています。価格の安定化に向けて、我々としても情報をしっかり把握し、発信していくことが必要と考えています。



記者

  卵の卸売価格の11月分の発表があり、4か月連続で前年を上回り、去年の同月と比べてやや上がっている状況で、夏の高温の影響がその後も続いていたのかという受け止めと、鳥インフルエンザの発生は、先週の段階で、令和4年の同時期と比べると、発生の広がりは抑えられているのが今年の状況と思いますが、匹敵するペースなのか、鳥インフルエンザの発生状況の受け止めも伺います。

大臣

  上半期は200円/キロぐらいでしたが、200円だと赤(字)です。生産者の立場に立つと200円は赤(字)です。すべての採卵鶏の農家がそうとは言いません。その経営規模によって損益分岐点は違いますから。平均して大体200円だと利益が出ない、非常に苦しかったと。今の285円/キロがいいとは言いません。これから年末にかけて、季節的なものは値段も上がりますので、注視していかないといけない。高い時は350円まで上がったので、そこまでいくとさすがに消費者の方も敬遠して、卵が足りないとなれば、海外から液卵や粉卵を輸入するようなる。そうなるとメーカーもそっちの方の商流ができてしまえば、国内生産が回復しても戻ってこずに商流が途絶えてしまうことが起こってしまいます。防疫体制を今やっていただけているおかげで、足踏みぐらいの雰囲気になっていると思います。100%は防げませんが、緊張感があるのとないのでは全然違います。11例目が出て、そのあとバタバタと出てはいませんが、だからといって緊張が解くことはあり得ないと思います。
  今後、値段が上がった場合の国としての考え方ですが、採卵鶏はどれぐらいの期間、卵を採るかは大体、鶏で決まっています。終わったら廃鶏になり、肉になったりするわけです。その飼養期間を延ばすとか、長く飼ってくださいとなると羽数が減らないです。新しいのを入れてもすぐには卵を産まないです。ちょっと飼養する期間を延ばしていただくとか、マヨネーズ等の加工品については、あまりいいことではありませんが、粉卵、液卵を活用していただくことをやりたいと思います。粉卵については、在庫もあり、(現在)国庫補助で施設整備しているところです。外国から輸入しなくても、国内で、国庫補助して施設整備していますから、そこにあるものを出してもらえばいいと。消費者の方々にも迷惑がかかりますし、経営者にも大変なダメージがある鳥インフルエンザですから、これからがまさに本番ですので、緊張感を絶やさずにしっかりやっていきたいと思っています。



記者

  中山間地域直接支払いの関係で、コミュニティーサロン開設や買い物支援など、生活支援に関する加算を来年度から農水省が廃止するという方針を示していますが、先日開かれた第三者委員会では、会議が紛糾して最終評価の修正という異例の事態になりました。委員側は、生活と営農は一体であると指摘して、農水省側は、産業支援のみを重視するような方向を示していましたが、見解を教えてください。
  これに関連して、大臣のお膝元である九州の首長、(集落機能強化)加算を受けていない宮崎の町長さんからも、農村政策を軽視しているという批判が出ていて、全国町村会は再編ではなくて、あくまでも継続が重要である、農水省どうなっているのかと厳しく批判していますが、波紋の広がりについて、どのように受け止めているか教えてください。


大臣

  まず、結論から申し上げますが、私が大臣に就かせていただいて、選挙期間中も含めてその前からさまざまな声は聞いてきました。正直、理解が進んでいないと思いました。しかし、生活と産業は対立するものではありません。これらは一体のものですから、それを区分けすること自体がちょっと違うと思います。
  今は555の組織で、集落機能加算をやっていますが、これは当分の間継続させます。廃止の方針は撤回というと問題ですが、まだ理解が進んでいないということですから、555のところがネットワーク加算には行きたくない、今のままでやりたいとおっしゃるのであれば、しばらくの間はこのままやらせていただきます。ただ、ぜひご協力いただきたいのですが、ネットワーク加算になった方が今までのものよりも支援は手厚くなります。もう一度我々もしっかり説明責任を果たします。
  当該555の区域に対して、ネットワーク加算に移行したら地域がどうなるのか、今までよりも薄くなるのか、厚くなるのか、しっかり説明して、何年か時間がかかってしまうかもしれませんが、移っていただける方は移っていただきたい。
  ネットワーク加算であっても、例えば極端な話、私の集落には富士山があり、富士山の向こう側が同じ県であれば、富士山の向こう側でもネットワークとして認められるわけです。すごく遠いですけれども認められるわけです。そして、一体となってやることは決して悪いことではない。一つ一つの集落の人口が少なくなっている現下の状況においては、遠隔地であっても、ネットワークを結んで、ともに集落を守っていこうという取組は、私はあってもいいと。
  そして、遠くの集落と連携ができなくても、集落内の地域を守る団体と連携することも可能です。外と連携もできるし、内側にいる団体とも連携ができるのが、このネットワーク加算なので、役所も、止めるという言い方がまずくて、私は移行するという説明の仕方が適当だったという反省があります。
  555の地域には、当面の間、今までの制度のまま移行していただいて、555の地域には説明をさせていただいて、私の理解では、ネットワーク加算にした方が有利だと思いますので、そちらの方にご理解をいただければ、今までのものはなくなることもあるかもしれませんが、今の段階で止めるということは申し上げません。


記者

  全国町村会、現場の方や委員からは、555だけでは意味がなく、新しいところもこれに向けて準備をしていたところもある。必ずしもネットワークが合わない集落もあるという現実もあると。生活支援を廃止、軽視する姿勢は、基本法の精神にも反するのではないかという指摘や、棚田加算の方は生活支援ができるのに、どうして中山間地域はだめだという声もありますが、その点はどのようにお考えですか。

大臣

  難しい。これから中山間地域の支援制度については、総合的なことを考えていこうと思っています。来年は中山間地域直接支払いの見直しの年ですが、中山間地域の農地に対する支援のあり方が、このままの体制でいいのか。どうするかはまだ申しませんが、少し考える余地はあると思います。この集落機能加算に参加しようとしていた集落はどれぐらいあるのか、調べてみたいと思います。もしかしたら一つ、二つかもしれません。もしかしたら100とかあるのかもしれません。そういうところに、このネットワーク加算のことをしっかりと説明すれば、そういうのが申請されるならそれでもいいなとおっしゃっていただけるかもしれません。今日の段階では、555のところが、スパッとこの制度から抜けてくれということは止めます。その上で、当分の間と申し上げましたが、その後555を増やすことが可能か、今日は申し上げませんが、考えてみようと。難しいと思いますが、考えてみます。




報道官

  よろしいでしょうか。それでは、これで大臣会見を終わります。

以上