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農林水産省

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江藤農林水産大臣記者会見概要

日時 令和7年2月21日(金曜日)10時06分~10時20分 於: 本省会見室
主な質疑事項
  • (大臣から)漁業災害補償法の一部を改正する法律案の閣議決定について
  • (大臣から)福島県出張について
  • (大臣から)高病原性鳥インフルエンザ及び水際検疫について
  • 令和6年産米の相対取引価格について
  • 米の生産量について
  • 農林中金の理事長の辞任について
  • ウクライナ情勢について
  • 米のスポット価格について

冒頭発言

大臣

   私から3点、報告があります。本日の閣議において、漁業災害補償法の一部を改正する法律案が閣議決定されました。この法律案は、近年の海洋環境の変化等を踏まえ、漁業災害補償制度が、今後とも、漁業経営の安定に資する役割を着実に果たせるよう、改正を行うものです。
  2点目は、24日(月曜日)、笹川副大臣と福島県に出張します。担い手不足など、東日本大震災の被災地における、農業復興に向けた課題解決のために、スマート農業の現場視察を行います。
  また、第30回原子力災害からの福島復興再生協議会に出席し、地元の関係者と復興・再生に向けた取組について意見交換を行います。
  3点目は、鳥インフルエンザと、動植物の水際検疫についてです。今シーズンの鳥インフルエンザは、1月に続発しましたが、現場の皆様の御尽力により、2月1日以降、発生していません。現場の方々の緊張感を持った対応に心から感謝し、敬意を表したいと思います。そのような中で、宮崎県、愛媛県及び鹿児島県では、防疫措置完了後、28日が経過し、清浄地域に復帰しました。2月18日から、主要な輸出先である香港向けの家きん由来製品の輸出を再開することができました。まだシーズンは続いていますので、引き続き緊張感を持って取り組んでまいります。
  次に、春節期間の水際検疫についてです。春節期間には多くの入国者があり、アフリカ豚熱をはじめとした病気の侵入を防ぐため、厳格な水際検査を指示していました。
  昨日、検疫の担当者から直接話を聞きました。昨年の違反件数は、動物で20万件、植物で26万件と過去最高となり、今年の春節の期間には、違反件数が、動物でコロナ前の約3倍、植物でも約1.3倍となったところです。しっかり止めていただいた検疫官の方々は頑張ってくれました。動植物の検疫は、検疫探知犬もハンドラーも頑張っています。こういった方々の労をねぎらいたいと思います。水際対策は、今後の大変重要な課題ですので、日本の(農)畜産(業)を守るためにしっかり取り組んでまいりたいと考えています。私からは以上です。



質疑応答

記者

  先日、米の相対取引価格が発表され、単月で過去最高を更新しましたが、受け止めをお願いします。また、備蓄米放出を最初に言及したのが1月24日(金曜日)と思いますが、今回の相対取引価格には、まだ影響が現れていないと聞いていますが、2月の相対取引価格にどう影響するとみていますか。

大臣

  1月の全銘柄平均で、60キロ当たり2万5,927円ということで、1990年以来の最高値です。これはまさに、目詰まりが起こっている証左と受け止めています。何度も申し上げていますように、米自体は間違いなくある。昨日(の衆議院予算委員会で)田村議員から(21万トンの米を)東京ドームに集めたら、6メートルの高さになるとご指摘がありました。1か所に集めているわけではありません。全国様々なところにあります。農水省としても、小規模なところにも、今後、聞き取りをする方向で、どこにどれだけのものがあるかは、できるだけ掴める努力をしていますので、価格については、目詰まりが起こっている証左と受け止めています。2月の(相対取引)価格は、私がどうこう申しますと、堂島の先物価格に影響を与えることは明白ですから、コメントは避けさせていただきます。


記者

  米はあるとおっしゃっていましたけれども、一部の専門家からは、米が通年通して在庫が不足していると指摘もあります。農水省としては不足しているとは思っていないということでよろしいでしょうか。

大臣

  専門家という方がどれぐらいの方なのか、私にはよくわからないですが、普通に考えて、18万トン余計に生産されているんです。大変な量です。それで集荷が21万トン落ちる。集荷業者の方々の価格の提示の仕方や、様々な商環境の中で、取引の多様化もあって、ビジネスベース、流通ベースにしっかり乗っていないという意味であれば、足りないのは正しい判断だと思います。米がないのかと言われれば、間違いなくあるわけです。今回21万トンを出すことにしましたけれども、集荷業者から卸に渡す段階(※正しくは、卸売業者から小売店)では、しっかり精米してと、はっきり申し上げています。精米すれば、美味しく食べられるのが1ヶ月ぐらいしかありません。最長3ヶ月ぐらいもちますけれども、1ヶ月ぐらいで食べた方がいいです。政府備蓄米については、スタックすることは不可能ということになります。(卸売業者は)市場に出すしかないということであれば、そういったものは解消されていくと思っています。流通全体を見れば、スタックしている部分はどこかに隠れてしまっていますから、足りないということですけれども、総量として足りないという認識は持っていません。

記者

  生産量の目安を出して、需要ぎりぎりの供給という声も上がっていますが、生産量を見直す考えは現時点でありますか。

大臣

  平成30年に生産数量の張り付けはやめました。これ以降は、食糧法(主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律)に基づいて、必要な情報を、法律に基づいて提供することによって、各県において生産者の方々が、需要と供給のバランスを見ながら、自主的なご判断で米を作るのか、飼料用米を作るのか、WCSを作るのか、畑作に転換するのか、ご判断されたということです。国がかつて、批判ではないですが、民主党政権時代に戸別所得補償を行っていましたが、生産数量を守った人にだけ戸別所得補償を行っていたわけです。そういう厳しい縛りは、国はかけてないです。これからどれだけ作るかというのは、今、農水省で掴んでいる状況では、4万ヘクタールぐらい主食用米の作付が増えそうな雰囲気です。それは、全国にある水田協議会が、それぞれ農家の方々と話し合って考えることであって、数量とか、これぐらいの需要があるとか、人口動態は、高齢化も進み、少子化も進んでいるわけで、インバウンドとか変数もあります。そういったトレンドは現場にお届けした上で、総量は決められるものだと理解しています。

記者

  農林中金について、昨日、奥理事長が、これまでの外債の運用に関する巨額の含み損を計上し、引責という形で辞任される意向を表明されました。これについての受け止めと、これまで有識者検証会を開いて、提言報告書にまとめたと思いますが、それを踏まえて、今後農林中金がどのような組織、体制に変わっていくことが望ましいと考えているか聞かせてください。

大臣

  奥理事長がお辞めになりました。組織のトップとして、しっかりとしたご決断をされたと思っています。理事の方も5人、今回ご退任になられます。物事には、世論に対するけじめは必要ですから、新しい体制にこれから移行する上で、このご決断は、評価できるものだと思います。農林中金の運営には、農林中金法(農林中央金庫法)があります。今は理事の兼職を禁止するとか、様々な制約がある。もう少し農林中金らしい、名前が業務内容と合致するような、内容であって欲しいとずっと思っていました。今回の様々なご提言、対応方針は、しっかりとした報告書の提案に沿ったものとなっています。我々としては、法改正も含めてしっかりやってまいりますし、農林中金が今後5年間の構造改革に貢献できるような組織になっていただければありがたいと期待を持っています。




記者

  ロシアによる、ウクライナ侵略から、まもなく3年を迎えます。農水省はロシア(※正しくはウクライナ)の農業の復興支援に取り組まれていますし、大臣も昨年12月にウクライナの経済閣僚と会談の場を持たれたと思います。この3年で世界の食料安全保障が改善したのか、所感があれば聞かせてください。

大臣

  世界の穀倉地帯と言われるウクライナは、世界の小麦生産では大きな規模を持っているところです。正常化してくれて、そういったディールができるようになることは、望ましいことです。しかし、その前に、外国に頼れるという感覚を、何とかしたいと思っています。基本法(食料・農業・農村基本法)を改正して、これから基本計画を作って、数値目標、KPIも含めて、これから検討を進め、発表していく段階になるわけです。ウクライナが平和な国に戻り、命が失われることがないような状況になることを祈っています。日本がしかるべき支援をこれまでと変わらず行って、ウクライナの方々の側に立って、日本は今後対応していくものだと思います。


記者

  業者間での譲り合いのような形で調達するスポット価格について、これまで上がっている銘柄もある中、やや数字的には下がった銘柄もありました。これからの備蓄米の買戻し条件付きの販売も含めて、今の動きと、今後の足元での取引価格についての見解、受け止めを聞かせてください。

大臣

  価格はあくまでも市場で決まるべきものという姿勢は変えていません。食糧法のどの条項を読んでも、価格の上昇時に備蓄米を放出するということは、書かれていません。財政法上も、いかがなものかとの指摘もないわけではありません。備蓄米は国民の財産ですから、出すということであれば、法律上、整合性があるのか、農水省としてもしっかり検討しなければなりません。
  スポット価格についてですけれども、数トンとか、数十トンの話で、あまりにもごく一部なので、これがトレンドを表しているとはとても言えません。どう受け止めるかと言われても、余りの量の小ささですから、そういうのもあるのか、くらいの話です。これについてコメントすることはできないと思います。



報道官

  それでは、大臣会見を終わります。

以上