江藤農林水産大臣記者会見概要
日時 | 令和7年3月14日(金曜日)8時59分~9時20分 於: 本省会見室 |
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主な質疑事項 |
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質疑応答
記者
備蓄米の落札結果について、昨日、今日ご自身で公表するとおっしゃったと思いますが、概要や受け止めはいかがでしょうか。
大臣
それは後ほど、しっかりまとめてお話しをした方がいいのではないでしょうか。
記者
本日中ということは間違いないでしょうか。
大臣
今日、(参議院)予算委員会が終わったぐらいのタイミングで。今、一生懸命やってくれていますから、昼過ぎぐらいに作業が終わるので、もう少し待ってもらわないといけない。正確なところをお伝えしなきゃなりませんので。受け止めも含めて、夕刻、私からご報告します。
記者
米の輸出の関係で、(2030年に)35万トンの目標ということですけれども、日本米は短粒種で、なかなか世界的には主流ではないと思いますが、どうやって2030年までに市場拡大していくのか伺います。
大臣
率直に申し上げますと、簡単ではないと思っています。世界の米の、ディールされている総量は、だいたい5,000万トンぐらいです。そのうちの(中)短粒種は1,000万トンです。その中で、マーケットを取っていくことは、いかに日本の米が美味しいとはいえ、そこに価格競争力も加わっていかなければ、なかなか実現は難しいと思います。どれぐらいの価格で出せるのかは、今の為替水準で、(生産コストを60キロ当たり)大体9,500円ぐらいであれば、伍して戦っていけると思います。それには今、3月31日をめどに、地域計画を策定していますが、農地の大区画化や集約化、生産性の向上、スマート(農業)の導入、機械の導入といったものをいろいろやることによって、9,500円は実現される。一部ではすでに実現されています。成功事例もありますから、それを横展開する形になると思います。生産基盤をまず作った上で、すぐにそこに到達することはありませんが、これだけの目標を立てた以上は、まずは生産基盤を作って、輸出に意欲を持ってらっしゃる農家の方々に、その農地を引き受けていただいて、生産すれば実現不可能な数字ではない。簡単ではないと思いますが、実現不可能な数字ではないと思っております。
記者
石破首相が、2月の閣僚懇談会などで、備蓄米を活用して米の安定供給を図るようご指示されていたかと思いますが、本日の公表予定の結果について、報告を既にされているか。もしされていた場合、どのような受け止めがあったか教えてください。
大臣
私から直接総理には、実は報告していません。総理も忙しいし、私もです。結果がまだ出ていませんから、今の段階では報告のしようがないです。私から直接総理に報告する予定はありませんが、総理も今日は(参議院)予算委員会で、午後1時から着席する義務を負われていますので、総理には若干失礼かもしれませんが、総理のお付きの事務方に、事前にお知らせすることになる。そういう手続きになると思いますので、私から直接総理にお話しすることは、今日の予算委員会の都合上、無理かなというところです。
記者
本日の閣議終了後、そのようなお話は。
大臣
ありませんでした。
記者
アメリカのトランプ政権の高官が、日本の米などをやり玉に上げる発言をされて、関税政策に加えるような示唆をましたが、受け止めと、会見を見ての所感を伺います。
大臣
大変若い報道官で、美しい方だと思いました。まずは、報道官の発言は、米がまだ昔の基準(の関税率)でおっしゃっているということがあります。ミニマム・アクセス米については、官房長官も何度もお答えになっていますが、無税で入っている枠があるということを、まずはよくご理解いただきたいと思います。枠外税率については、341円/kgですから、ご発言とは合わないです。いろんなことをおっしゃる政権ですので、その一つ一つにコメントはしませんが、報道官のご発言であり、正式な要請として日本に来たものだと受け止めていません。ただ、そういう発言があったことについては、緊張感を持って受け止めたいと思います。
記者
大臣は国会の中でも、日本は対象に加えるべきではないと発言されていたと思いますが、そのようなお考えですか。
大臣
当然です。特に米については、さまざま貿易交渉がありましたが、5年前の日米の経済連携協定(日米貿易協定)の時の大臣は私です。その時に結んだ2国間の合意がしっかりある。しかも、バイデンさんではなくて、トランプさんだったことは、大変重いと思います。それを尊重することが、日米の信頼関係をこれから深化させる上で、極めて有効だと思っています。そのことをあらゆるチャンネルを使ってしっかりお伝えすれば、理解が得られるものだと、今の段階では信じています。
記者
日ロさけ・ます漁業交渉について、昨日、日本水域の方は妥結しましたが、ロシア水域は、協議を継続するということで、妥結した受け止めと、今日以降、協議を続けていく見通しについて教えてください。
大臣
日本水域については、合意に至りました。よく努力して、頑張ってくれたと思います。数量については、(漁獲量)2,050トン、協力金の下限は1億8千万円。前回と同じ内容ですから、ここで落ち着いて、安堵しているところです。ただ、これは我々が提示した条件を飲んでいただいたところですけれども、ロシア水域については、まだ宿題が残っていますので、水産庁の職員が、一生懸命協議していますから、頑張って欲しい。我々が望むような交渉結果になるように努力したいと思っています。
記者
昨日から騒ぎになっている石破総理の周辺の話で、10万円の商品券の問題が出ていることについて、閣僚の1人としてどう受け止めていますか。
大臣
閣僚としてどう受け止めるかについては、申し上げることは避けさせていただきたいと思います。しかし、昨夜から、総理は誠実にお答えになっていたということですので、国民の受け止めはさまざまあると思いますが、ご理解いただければありがたいなと思います。
記者
そのようなお土産という形で商品を配るという経験は、過去に大臣ご自身もありましたか。
大臣
私自身のことについては、コメントは避けさせていただきます。
記者
輸出の件で、今回、24年産から8倍ぐらいの規模で、大臣も難しいとおっしゃっていました。前々から農水省の幹部の方と話していても、日本の短粒種米は売るのがなかなか難しいと話をされており、輸出が難しいと言われている中で、なぜこのタイミングでそれだけ大きな目標を掲げて輸出を拡大しようという方針になったのか伺いたいです。
大臣
今回の日本国内での米不足も一つのきっかけになったということです。もう一つは、これから基本計画を立てるに当たって、その大きな柱の一つが食料安全保障の確立です。427万ヘクタールの農地が今ございますが、漸減しているのは、ご存知の通りです。食料安全保障を確保するためには、やはり農地をしっかり保全することが大事です。そして、いろいろご意見はありますが、今までの水活は、畑地化することによって支援をするという内容でしたけれども、今回の教訓を受けて、国民への供給力は、水田としてはさらに多く持っておいた方が安全で、その方が国民の皆様方も安心されると思います。輸出向けとして作っていても、米ですから、いつでも国内向けにも振り向けられるわけです。もちろん、外貨を稼ぎ、稼げる農業を実現し、農地を保全するといった意味での海外市場への進出。特に2030年には、海外の食のマーケットは1,500兆円を超えるというマーケットが目の前にあるわけです。
水も違います。海外に持っていくと、日本の短粒種を炊くにふさわしい水の質ではなかったり、軟水であったり硬水であったり、全く炊き上がりが違います。そういった問題もありますが、そういったことを超える一つのツールとして、例えば、パックご飯といったものであれば、炊飯器もいらないです。精米で出すことだけではない。あれは加工品の扱いになりますけれども。そういった形で米を輸出していけば、日本の農地の保全にも繋がり、食料安全保障にも繋がり、外貨を稼ぐことにも繋がる。食べてもらえば間違いなく美味いです。
もう一つ申し上げておきたいのは、これだけの方々がインバウンドで日本に来られて、日本のお米を食べているわけです。この10年間で、海外の日本食のレストランも3倍まで増えているということです。確かに短粒種であることについては、ご指摘の通りかもしれませんが、取れないマーケットではない。すぐには難しいですが、まず基盤を作らなければいけません。
記者
現在、輸出米に関しては、補助金を使って生産を促している部分もあると思います。米の生産量に関しても、国内をまず見ながら需給の見通しを示していますけれども、見通しとか、補助金に関しても、今後政策を見直すことになるのでしょうか。
大臣
米の国内自給の見直しについては、これまで、農林水産委員会でも、予算委員会でも、「需給のギャップが44万トン出た」という厳しいご指摘をいただきました。その説明については、この場ではしませんが、見込みと実際がずれることはあり得る話です。ですから、そのことについて全く反省しないかと言われれば、反省すべき点だと思います。ただ、今年はそうだったけれども、これまでは8,000筆の田んぼを全国でランダムに選んで、坪刈りも、実りがいいところを3か所採っているのではないかという方もいます。前もって田植えの前からどこで坪刈りをするか3か所決めていますから、10アール当たりの単収はどれぐらいなのかというのは、かなり正確です。これまでは何の問題もなく、この調査は有効性を発揮してきたので、これから見直すことは、あまり考える必要はないと思いますが、エビデンスの活かし方は考えていきたいと思います。
記者
輸出米の補助金については。
大臣
補助金はついてないです。これは多用途で、新しい新規のマーケットを開拓する。例えば、セルロース、米粉といった様々な方々に対してご支援を申し上げていることです。しっかり制度を読んでいただければわかっていただけると思いますが、「輸出をするからこれを出す」というものではないと申し上げておきたいと思います。
記者
備蓄米を売渡した後に、最終消費者に届くまでのところで、例えば、スーパーで少し安く売っていれば、もしかしたら買い占めが起きるかもしれないという声もあります。倉庫も地域的に偏在しているという問題もあります。売渡した備蓄米を広く国民のところに届ける上で、どのように取り組むか、対応する予定等はあるのでしょうか。
大臣
大事な指摘だと思います。備蓄米自体があるのが、極めて、東北、北陸の方に多くある。特に近畿圏、西日本にはあまりないですから、21万トン放出されても、満遍なく均等に、うまく米が行き渡らないのではないかという懸念は、(衆議院予算)委員会の中でも言われました。ごもっともな指摘だと思います。これについては、局長通知を出して、この入札に参加して落札された方々、卸の方々にも、「できる限り配慮して」というものを出す予定です。スーパーとか卸売の段階で、たくさん買ってはいけないなどを、義務化することはできません。今日この機会に、もう少しメディアの方々にも報道していただければありがたいのですが、流通を円滑化する上で、重要なファクターであるキーを握っているのは、実は最終消費者です。最終消費者の方々が、必要な分だけ買っていただく。米は美味しく食べていただけるのは、精米後の約1か月間ぐらいしかありません。これから気温もどんどん上がっていきますので、そういうことも考えていただく。安いのが出たから、この機会に今までの3倍も4倍も買っておこうとか。
昨日、参議院農林水産委員会で言われたのですが、ネット上で7月に大災害が起こるという噂が流れているようで、何の根拠かよく知りませんけれども、それによって米を買い占める人が出るのではないかと質問を受けました。これだけSNSが台頭する時代になると、いろんなことがあるかもしれません。ただ消費者の方々が、安定的に合理的な価格でお米を手に取るためには、消費者の方々も、少し考えて購入していただきたい。(オイルショック時に)トイレットペーパーがなくなった時のことを知っている方はこの中にはいないでしょうけれども、あの時も何の根拠もない風評に流されて、あっという間にトイレットペーパーがなくなるという事態が起こったわけです。変な風評に惑わされることなく。
この21万トンを出した上で、さらに政策効果があらわれなければ、必ず追加で放出します。今回が最後ではない。また追加で放出される可能性はあるということも、消費者の方々にもご理解いただいて、店頭に並んだ暁には、私はこうなることを望んでいますが、あまり慌てずにご購入を賜ればありがたいと思います。無理に1人1袋に限定したり、小売に対して1人5キロまでにするなど、そういったことはできません。農水省としても強制することは、法的にも無理です。「なるべくそうしてください」というお願いベースです。
報道官
よろしいでしょうか。それでは、これで大臣会見を終わります。
以上