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農林水産省

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江藤農林水産大臣記者会見概要

日時 令和7年4月18日(金曜日)9時10分~9時32分 於: 本省会見室
主な質疑事項
  • (大臣から)政府備蓄米の流通状況について
  • 赤澤経済再生担当大臣と米国大統領の関税交渉について
  • 財政制度等審議会の分科会によるMA米に対する提言について
  • 政府備蓄米の買受価格等について
  • 米国との2回目の関税交渉に向けた対応について
  • 政府備蓄米の流通状況について
  • 宮崎県における野生イノシシの豚熱感染事例について
  • 靖国神社春季例大祭への参拝について

冒頭発言

大臣

   本日、私から1点、ご報告をさせていただきます。これまで備蓄米の買戻し条件付きの売渡しを行ってまいりましたが、その際、売り渡した備蓄米につきまして、卸(売業者)に対しての販売した数量・金額に加えて、卸が小売、外食・中食に対して販売した数量・金額について、報告の義務付けをし、これを公表することとしておりました。今般、事務方からその内容の報告を受けましたので、ざっくりとした概要だけ私のほうから報告をさせていただきます。
  今回の報告は、3月17日から30日までという短い間の報告ですから、実際に集荷業者さんが引き取った数量は4,071トンと非常に少ないわけですが、このうち2,761トンが13の卸売業者に引き渡されておりました。集荷業者の買受価格は60キロ当たり税抜きで2万1,352円。卸売業者への販売価格は60キロ当たり税抜きで2万2,402円ですので、集荷業者の方々は、運送経費のみ上乗せをして、利益は乗せていないということが、数字の上でも明らかになったと私は受け止めております。
  また、来週には3回目の入札を行いますが、集荷業者を対象としているから備蓄米が高いのではないか、というような世論が一部にあると聞いております。集荷業者を飛ばして直接卸に出したらどうか、というご意見もあると私も聞き及んでおりますが、皆さんご存じのように、先日の意見交換会では、大量の米を全国により早く、効率的に供給するには、現行の集荷業者を中心とした売渡しが合理的であるというご意見が全てでした。卸に直接出して欲しいというご意見は1つもなかったということです。
  そして、卸売業者などの入札となると、全国で600社いるわけですから、入札資格要件の審査はやるかもしれませんが、数百社入札するとなれば、当然価格は高騰することが予想されると。それは我々としても非常に困るというご意見が卸の方々から出ました。バランスよく政府備蓄米が行き渡る工夫をお願いしたいということでしたので、このような意見交換会でのご意見を踏まえて、今回、入札に関する要領を改正いたします。卸売業者が、玄米販売が可能な対象者の範囲を緩和することで、地方の中小の事業者の方々にも、備蓄米が今までよりも届きやすいように、この改正をしたところです。引き続き、できる限り、町のお米屋さんも含めて、しっかり米が届くように、情報を収集し、意見交換をしながら、流通業界の方々とも協力してこれからも対応してまいりたいと考えております。



質疑応答

記者

  昨日、赤澤大臣がアメリカとの初回の関税交渉に臨み、トランプ大統領との会談も開かれたとのことですが、まずは率直な受け止めをお聞かせください。また、アメリカ側が非関税障壁と指摘している、米の輸入制度に関連し、先日、財政制度等審議会の分科会がMA(ミニマム・アクセス)米のうち、主食用米輸入枠を拡充することなどを求める提言を出しましたが、これに対する農林水産大臣としてのご感想を伺えればと思います。

大臣

  正直、赤澤大臣は大変よくやってくれたと思っています。トランプ大統領がゼレンスキー大統領と激しくやり合っているような場面もテレビで見ていたので、果たしてどのような会談になるのか、私もドキドキしておりましたが、言うべきことはちゃんと言ったようですし、私は高く評価したいと思います。その上で、今月中にも、もう1回という話もありますし、総理もしかるべき時期には渡米するという意思も示されておられます。まだ私としても詳細は伺っておりませんが、赤澤大臣にも直接会って、そのときの空気感や具体的な内容など、聞けるものはしっかり意見聴取、情報収集をしたいと思っております。 MA(米)についての話が出ましたが、皆様方もよくご存じのとおり、MAはガット・ウルグアイ・ラウンド農業交渉の合意に伴うものです。平成5年の閣議了解を踏まえ、国産米の需給に影響を与えないように対応することがはっきり決まっております。平時からこれを利用するということになると、閣議了解との整合性が取れない、難しい部分があります。このようなご提案、(財政審から)様々なご提案は、毎年いただきますから、農林水産省として受け止めますが、事実関係として、このMAはどういうふうに処理すべきなのか、どう扱うべきものなのかということは、基本は変わらないものだと思っています。


記者

  冒頭発言の件について、大臣は税抜きで2万2,402円とおっしゃいましたが、税込みで計算すると、2月までの24年産の相対取引価格と、200円程度しか差がないかと思います。この点について、相対とそんなに差がないことが、スーパーでの価格の高止まりに繋がっているなど、お考えはございますか。

大臣

  これは様々な評価があると思います。実際、今私も週に2回は必ずスーパーを回るようにしておりますが、ブレンド米と書かれている米については、中には3,400円程度のものも私は見つけました。備蓄米を放出したことによって、すべてが下がったわけではありません。ブランド米は下がらないです。ブランド米は、(すでに)卸の方々も高い値段で調達してしまっています。それらを下げるというのは、まさに彼らにとっては損切りですから、直接ブランド米に影響を与えるということは難しい。ただ、在庫をしている米で、例えば、新潟コシヒカリを持っていて、備蓄米で新潟コシヒカリを手に入れた(場合)、同じコシヒカリですから、それを混ぜてもらえば備蓄米の方が当然価格は安いので、自分たちがストックしている新潟コシヒカリの価格よりは、下げて出すことができるということもあります。この価格については、あくまでも入札で、しかも国の財産ですので、いくらで売りますというようなことになったら、これはこれで問題です。入札の結果、こういうことになっておりますが、私が申し上げておきたいのは、集荷業者の方々も、今回は非常事態だということを十分ご理解いただいて、商売っ気は抜きで、流通経費のみで、卸に出していただいた。これは、できれば世間の方々にも知っていただきたい事実だと思っております。

記者

  日米の交渉について、今月中に2回目の訪米が予定されていると思います。1回目よりも具体的な交渉が進んでいくと思うのですが、1回目には参加しなかった農水省の職員などが2回目に参加されるご予定はありますか。

大臣

  (赤澤大臣は、)まだ帰ってきていませんから、そういう話はまだ全くしていません。あまりIF(イフ)ということは考えても意味がないという評価もあるかもしれませんが、こういう場合はどうだろうという、いわゆる頭の体操はしています。農林水産省はまったく何もやる気がない、何も対応するつもりはないと、この段階で言っているわけではない。ただ、具体的な話もまだ赤澤先生から聞いておりませんし、具体性のないものに対して、ああするこうするということは、かえってこれは、私も直接、貿易交渉の担当ではありませんでしたが、国益会の会長をずっとやり、副大臣のときにはTPPを経験し、大臣のときには日米の貿易交渉、日英の貿易交渉、さまざま経験してきました。こちらがどう考えているか早めに出すことは、外交上は決して有利に働きません。しかも今回は先方から、高いハードルがいきなり設定されたというような内容ですから、より慎重さが求められるだろうと思います。あれだったらこうするつもりです、というような話は厳に慎まねばならないだろうと思っております。




記者

  備蓄米に関して、冒頭にもありましたように、2週間での販売状況についてお聞かせいただきましたが、まず集荷から卸への流通量のスピード感や、その先の小売や外食店への引渡しの状況などは、いかがお受け止めか。また、3月の消費者物価が今朝発表されましたが、米中心に3.2%全体で上昇しています。この上昇の受け止めと、米の価格の高止まり、高騰という点について、今後、どのようにやっていくのか、目標地点、目指しているところについてもお聞かせいただきたいと思います。

大臣

  もう何度も申し上げておりますが、価格に直接コミットするつもりはないです。価格はあくまでも市場で決まる。ただ、価格が安定するような環境を整える努力を、農林水産省としてするということですから、価格の水準等については、私の方からお答えすることはできないです。
  町のレストランや、末端への行き方については、話が細にわたりますので、この後、事務方からさらに細かい報告をさせます。もうしばらく時間がかかります。まだ概略しかまとまっていません。夕方までにはまとめさせますので、ぜひ事務方から、細かい報告内容について聞いてください。



記者

  消費者物価指数の上昇と、米の価格の上昇に関しての受け止めはいかがでしょうか。

大臣

  消費者の方々はご苦労されていると思います。主食ですから。それは重く受け止めますとしか言いようがないです。


記者

  豚熱に関して、宮崎県都城市で確認されてから1週間が経過し、改めて、国内有数の畜産地帯で防疫に取り組む難しさや危機感など、大臣の所感について、教えていただければありがたいです。

大臣

  最初聞いたときに、ついに来たかと思いました。私は常に、来ないという慢心はよくないということを、飼養衛生管理基準を遵守する上で心に常に持っていただきたいということを申し上げてきました。しかし、来ないで欲しいという気持ちは大変強く持っている。都城は特に鹿児島とも近く、そのスケール感を考えると、とんでもないわけです。その日のうちに、都城市長と、宮崎県知事とは電話で、意見交換をさせていただきました。まだあの段階では疑似(患畜)で、陽性の確定はしておりませんでしたが、早速対策本部を開いて、山の中ではなく、水路にいたということですから、ゆゆしき事態だと省の中では確認したところです。なんとしても豚舎の方に入らないように、現場の方々は大変でしょうけども、頑張っていただきたいと思います。
  11日に対策本部を開催いたしました。そこで指示したことは3つです。速やかな経口ワクチンの散布。これは野生イノシシに対する感染の拡大を防止するということです。そして、飼養豚についてはワクチン接種済みですが、前回の例で、接種はしているが適切な時期に接種をしてなかった、間隔が空いてしまっていた、というようなことが確認され、ワクチンを接種していたのに感染してしまったという例がありました。適期接種がしっかりできているかどうか、飼養豚について確認していただきたい。それからワクチンだけではなく、飼養衛生管理基準の徹底は言うまでありません。それから鳥フルのときは宮崎で1件出ましたが、1件だけで食い止めました。これは素晴らしいお手本となる例だったと私は思います。いかに地域の方々が頑張ったかの証左です。まだ出ておりませんが、もし出たら、怪しい、違うかもしれないというような症状であってもしっかり通報する、早期通報を徹底していただくようにお願いしております。
  先週の12日は、農林水産省の本省の職員とイノシシの専門家を派遣して、現地調査を行っており、県では16日からの2日間で経口ワクチンの散布を終了しました。非常に素早い対応に感謝したいと思います。とにかくこれは緊張感を持ってやります。豚は大変な容積がありますので。もう1つは、各地で残念ながら豚熱は発生しているわけですが、レンダリングの機械が効果を発揮しております。宮崎は特に、口蹄疫を経験して、埋却地について極めて厳しいリミットがかかっているということもあります。まだ発生はしておりませんが、できるだけ素早い対応ができるように、このレンダ(リング)の機械の移動についても、今調整中です。


記者

  21日から靖国神社で春季例大祭が開催されますが、御参拝されるご予定や、真榊の御奉納をされるご予定はありますでしょうか。

大臣

  今、この場ではお答えはいたしません。個人として判断させていただきたいと思っております。

記者

  トランプ氏と赤澤大臣との協議に関して、赤澤大臣について、言うべきことは言ったという発言があったかと思いますが、トランプ氏はコメの関税について700%という事実と違うような発言などがありましたが、こういったことも含めて赤澤大臣から説明があったということでよろしいでしょうか。

大臣

  私は報道ベースしか、まだ知りません。報道ベースでは、関税を撤廃して欲しいと言うことを言ったのでしょう。あなたが持っている情報と私が持っている情報は、今はまだ差異がないのです。ただ、日本から出る段階で、こういうことを主張するつもりだというものは、閣僚ですから私も情報を得ていたので、それについてはしっかり言っていただいたのだろうと思います。

記者

  それは農業関係ですか。

大臣

  正直、今の段階では分かりません。まだ会っていないので。

記者

  備蓄米の冒頭のことで、価格にはコミットしないというのは理解したのですが、この流通のスピードについて、今、偏りが一部で出ていることは大臣がおっしゃっていますけれども、全体としてスムーズに流れているかどうかの評価を教えてください。

大臣

  評価する人によると思います。例えば、私は4月10日現在ぐらいには、都内のスーパーでブレンド米を見つけましたので、早いなと思いました。しかし、例えば、九州、離島は見ないではないかということがあると思います。やはり、備蓄米倉庫が東北に多く存在しているということも事情としてあります。そして3月、4月は、特に人事異動の時期であったりと、トラックの手配が難しかったりする部分もあったのだと思います。スムーズだというふうに私として申し上げるつもりはありません。ただ、今までにはないことをやっているわけですから、全てがうまくいくということは、なかなか難しいと思います。
  集荷、卸、それから小売という、既存の流通経路は使っていますので、そういった方々がこれまでのやり方に則ってやるということは順調にできたのでしょう。しかし、卸と日頃全くお付き合いがない人が、卸に電話して、ちょっと分けてくださいと言っても、前々からお付き合いのある人がいれば、お宅に回せる分はありませんというようなこともある。今回、卸から卸への横の移動も、本来は要件として認めていませんでしたが、卸の扱える守備範囲が広がれば、今まで以上に幅広くお米を届けられる体制ができるのではないかと思っております。これは、意見交換会の中で業者さんからいただいたご示唆です。こうしてもらえればもっとうまくやれるということに、じゃあそうしましょうということです。今回、2回目がいよいよ出て、タイムギャップがありますけれども、3月、4月の分も月末に出します。できる限り、国民の皆様方に安心してもらえるような結果が出せるように、努力したいと思っております。



報道官

  それでは、大臣会見を終わります。

以上