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農林水産省

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小泉農林水産大臣記者会見概要

日時 令和7年7月1日(火曜日)10時33分~10時50分 於: 本省会見室
主な質疑事項
  • (大臣から)「食と農をつなぐアワード」の募集開始について
  • (大臣から)新体制による今後の取組の方向性について
  • 令和7年産の水稲の生産や価格への影響について
  • アメリカ大統領のSNSでの発信について
  • 中国向け日本産水産物の輸出再開について
  • コメ増産の方向性について
  • 令和9年度の水田政策の見直しについて

冒頭発言

大臣

  本日、私から2点、ご報告がございます。1点目は、「食と農をつなぐアワード」の応募開始についてです。この度、新たな「農業・農村基本計画」の着実な遂行に向け、改正食料・農業・農村基本法等の理念に則した優良で模範となる取組を行った企業等を表彰する「食と農をつなぐアワード」を創設し、本日から募集を開始いたします。このアワードでは、表彰部門として、食料の安定供給、食品アクセスの確保、持続的食料システムの確立、スマート農業技術等の開発・普及の4つの部門を設け、各分野の専門家である審査委員による審査の上、部門ごとに、大臣賞等3点を選定いたします。
  そして、受賞には至らなかった応募者の皆様にも、概ね1年以上、取組が継続して行われており、先進的な特徴を有しているなどの一定の基準を満たす場合、活動認定証を交付しますので、より多くの皆様にこのアワードにご参加いただきたいと考えています。応募期間は、本日から8月12日までとなりますので、多くの皆様にご応募いただければと思います。
  2点目は、7月1日付けで幹部職員が新体制となった機会に合わせまして、今後の取組の基本的な方向性について、申し上げます。まず、農業分野については、これまでに地域の方々で話し合って作成いただいた「地域計画」について、10年後の受け手がいない農地が、中国・四国地方では6割にのぼるほか、全国平均では3割以上という実態が明らかになっており、このままでは、耕作者がいなくなる、これを抑止するための改革を、スピード感をもって取り組んでいかなければならないという思いを募らせています。ついては、省全体で一体感をもって取り組んでいくため、以下、主なテーマについてお話をさせていただきます。
  まず、経営局では、将来の担い手が不足する地域において、重点的に、新規就農や、他の地域の農業法人・企業の参入といった外部からの担い手の誘致と、新規就農や外部からの参入のハードルを下げる、基盤整備等の条件整備を同時並行で進めることとし、農地バンクの機能発揮に向けた仕組みを含め、必要な予算・制度面での対策を検討してまいります。
  また、輸出・国際局では、担い手のいない農地を活用し、輸出産地を集中的に育成していくため、コスト競争力を有し、ニーズに合った品質と量を安定的に供給できる企業の参入を促進するための制度を検討し、地域をしっかりと守っていきます。併せて、海外の事業者や消費者の需要開拓を強力に推進するため、海外拠点を強化するとともに、その活動の経済的基礎となる民間拠出の財源措置や、知的財産の育成者権管理機関の創設についても検討してまいります。
  懸案のコメにつきましては、農産局において、食料システムの関係者の声を丁寧に伺いながら、生産者と消費者双方の思いが一致するような、新しい時代に繋がるコメ政策の構築を目指してまいります。このため、まずは、現下の米価高騰を鎮静化するための備蓄米の円滑な流通にスピード感を持って取り組むとともに、備蓄量の回復に向け、産地の増産を進めてまいります。また、今回の米価高騰の要因や対応の検証を的確に行い、問題点を洗い出すためにも、コメ流通の見える化を進めるための各種調査について速やかに実施してまいります。これらの課題については、事務次官・官房長を中心として、フォローを行ってまいります。また、その他の部局においても、今後、各局から話を聴きながら、課題に対応していきたと思います。
  林業分野では、林野庁において、「植えて育てる」に加えて、全国各地で「使っていく」取組を拡げてまいりたいと思います。街の木造化を進めることは、森林が吸収した二酸化炭素を長期間貯蔵する等により、地球温暖化防止にも大いに貢献しますので、森の国らしい国づくりに向け、全国で街の木造化を加速する「森の国・木の街」プロジェクトを立ち上げることといたします。この推進に当たっては、例えば、環境省と連携して、事業者が温室効果ガスの排出量を「算定・報告・公表」する仕組み(SHK制度)に、令和8年度から木材利用の効果を位置づけるといった新たな取組を行ってまいります。地方公共団体や多くの企業に対し、木材利用によるメリットを広く周知することにより、街ぐるみでの木材利用を推進していきます。
  最後に、水産分野では、水産庁において、水産業強靭化の実装に向けた大胆な変革を進めてまいります。まず、持続的な漁業を実現するための水産資源管理の基礎となる、水産研究・教育機構によるリアルタイムな海洋観測網の充実や、漁業者の感覚を反映するための漁船の漁獲データの活用等を進めていきます。次に、海洋環境の変化に対応するための新たな操業に転換する漁業者を強力に後押しすることとし、199トンが上限のさんま漁船のトン数制限や、いか釣り漁船の水中集魚灯の使用規制等について見直しを検討するとともに、地域の操業ルールの見直しを促進するため、都道府県との調整を進めてまいります。これらの検討・調整の際には、関係者との調整を丁寧に行うとともに、未来志向の意識改革を進めてまいります。最後に、若者にとって漁業を魅力ある職業とする働き方改革、職場環境の改善を進めるため、居住環境やインターネット環境の整った漁船導入の推進、海技資格を有する人材の確保等を進めて行きます。これらの政策を実現するため、守りの予算から攻めの予算に舵を切ってまいります。本日は、私からは以上です。
   


質疑応答

記者

  今年収穫されるコメについてお伺いします。今月の天候について、気象庁による見通しが平年より雨が少なく、8月、9月は全国的に気温が高い見込みと発表されています。そこで、今年の収穫されるコメの生産への影響やコメ価格の影響について懸念される点をお聞かせください。

大臣

  近年、猛暑が続いていることを踏まえ、高温に伴う生育不良等の被害防止に向けた栽培管理等の技術指導の実施や、土づくりや追肥等の高温対策に必要な機械・設備の導入等を支援をしているところです。現時点では、令和7年産の水稲の生育について深刻な影響は報告はされていませんが、今後も細心の注意を払いながら、現場の状況の把握に努めていきたいと思います。また、需給動向や価格動向についても注視していきたいと思います。


記者

  昨日、アメリカのトランプ大統領が自身のSNSで、「日本は我々のコメを受け取ろうとしない。深刻なコメ不足なのに。」といった投稿をしました。関税措置を巡って、日本のコメの輸入に関して苦言を呈した形になりますが、これに対する大臣の受け止めを教えてください。

大臣

  ご指摘のトランプ大統領の投稿は承知をしておりますが、その内容を含めて、アメリカ政府関係者の発言の一つ一つにコメントすることは差し控えたいというふうに思います。その上で、日米間ではアメリカの関税措置に関する協議が続けられているところであって、先般の赤澤大臣訪米中の閣僚級協議においても、日米間で精力的に協議を続けていくことで一致したと聞いております。農水省としては、引き続き我が国にとって最大限のメリットを獲得するため、関係省庁と連携をして協議に対応していきます。


記者

  中国の輸出再開という話の中で、5月の段階で施設登録が再度必要ということだったと思うんですけど、事業者の方から6月20日に1度締め切りということで、募集があったというふうに聞いているんですが、実際どのぐらいの事業者が施設再登録というので申し込みをされているのかというのと、この後の進捗に関して一緒に教えてください。

大臣

  今ご指摘のところは、水産庁においても、事業者の輸出予定魚種や時期等の意向調査を実施をして、その結果を踏まえた国の検査結果を策定して、昨日、検査を希望する事業者の募集を開始したところだというふうに聞いています。今後、検査機関と協力をして、順次検査を進めていきますが、さらにより多くの事業者が早急に検査を進められるように、ストロンチウムの迅速な分析手法の導入や体制の構築など、準備の加速化を水産庁には指示したところであります。事業者数は300ということであります。


記者

  先ほど閣僚会議において、総理がコメを令和7年産から増産を進めていくというお考えを示されたと聞いております。直近、令和7年産、8年産について、どのようにどの程度の増産を進めていくお考えなのか伺います。

大臣

  総理から今ご指摘のあったとおり、私に対しての指示がいくつか出ています。手を緩めることなく、米価の安定、これを進めよということや、今回の価格高騰の要因や対応について検証せよと。そして、消費者の皆様が安定的にコメを買えるようにするとともに、意欲ある生産者の皆様の所得が確保され、不安なく増産に取り組めるような、新たなコメ政策への転換を図るための取組を進めていくために、私と官房長官を中心に取り組むようにということの指示でありました。今回総理からのメッセージでかなり増産についての強い思いを発信をされました。増産という言葉を、今回、2回繰り返しをして表明された思いというのは、やはり今までの農政からの転換を、明確に産地の皆さん、生産者の方にお伝えをしたい、これは総理の思いだと思います。そのことを受けて、今回、特に意欲ある生産者の皆様の所得が確保されるようにしたいと。こういったことと、消費者の皆さんが安心してお米を買える、そういった環境の実現。このことを達成をしていくという課題を課されたと思っていますので、具体的に今後増産に取り組むというふうにすでに表明をしている自治体も一部あります。
  そして、私も継続的に、知事、そして首長さん、お会いをしますが、明日は青森県の知事ともお会いをする予定です。青森県も、今増産に向けた前向きな取り組みをされていると、こういったことも直接お話を伺う予定でありますので、こういった今すでに増産に向けて取り組んでいる自治体の背中を押す。こういったことに加えて、すでにもう作付をして、今後は収穫だと、その農家さんにとっては、令和8年産、これをどうしようかということの声についても、今日は明確に総理から、これからは増産だという方向を明確に打ち出されたということを受けて、作りたい、作付面積を増やしたい、こういった意欲を持っている方々に、安心して農作業に当たっていただく、そんな見通しが私は一つ出たというふうに思っています。そして合わせて、これは新米が出てくる時期以降に、マーケットに向けても、これから増えていくんだなと。この需給に対する、少しこれは今までと違うぞと、こういったところのメッセージがマーケットに向けても出たことというのは、私は非常に重要なことだと思いますので、そんなふうに受け止めていただいて、新潟のご地元の米どころですから、そういった米どころの皆さんにも、今日のメッセージをそのように前向きに受け取っていただければなと思います。



記者

  増産といったときに、主食用米のことでしょうか。それとも加工等も含めたコメ全体のことでしょうか。コメ全体だとすると、どういったところに増産の余地があるとお考えでしょうか。

大臣

  これはコメ全体の総量については、すでに2030年のKPIで、今の700万トン台から800万トン台に増やすということはもう位置付けてあります。そういったことも含め、関係者の様々な声を伺わなければいけませんが、いずれにしても今、この主食用米というものが、国民の皆さんの最大の関心事になっているときに、そこがしっかりマーケットに出てくる、こういった方向性に背中を押していく。一方で、大切に守らなければいけない加工の関係、例えば今日もこの後、日本酒業界の会長さんともお会いをしますけども、そういったものを守っていくために、酒米をどういうふうに供給する体制や、それを後押しできることを、我々としても考えていくかというのは、私は両立可能だと思っておりますので、そんな方向性で後押しができればと思っています。


記者

  今の関係閣僚会議の関連で、すでに農水省では令和9年度から水田政策を見直したものを実施するという計画を立ててらっしゃいますけれども、これを前倒しするということなのかどうかというのを確認させてください。

大臣

  これは前倒しの表明ではなくて、今後、令和9年度からの水田政策の大きな転換に向けて、まず、今の令和7年産、そして来年の8年産、こういった方向に向けての総理の想い、これを明確に打ち出していただいたということです。そういった中で、令和9年度から、例えばこの直接支払の話とかをどうするのかとか、セーフティーネットづくりをどうするのかということは並行して議論を進めてまいります。


記者

  今の質問に関連して、令和9年のを何で前倒しないんでしょうか。総理の思いであれば、そのまま実現するということであれば、当然前倒しを検討してもおかしくないと思うんですが、それをやらない理由を教えてください。

大臣

  これは、与野党ともに国会の中でも決議も出ています。令和9年度以降の水田政策の大きな転換に向けて、与野党の提案についても、垣根を越えてよく検討するようにということがありますので、これを前倒せということは、私にはそこまで今大きな声ではなく、むしろこの見直しの中での農家の皆さんが安心して営農が続けられるような、支え方、セーフティーネットづくり、こういったことについてよく議論を深めてもらいたい。そういった声が現場の声としては多いのではないかなというふうに感じています。


記者

  (立憲民主党の)野田代表は囲みで直接聞いたら、小泉大臣が令和9年と言っているというのは遅すぎるというふうにはっきり断言しているんですが、改めて野田代表含め、野党の関係者に聞いて、すぐにでもコメ増産に舵を切る、そのための施策を前倒しするということを確認されるお考えはないんでしょうか。

大臣

  おそらく組織の中でコミュニケーションがとれてないんでしょうね。そういった声は国会ではないですからね。立憲民主党の議員からも、前倒して、例えば来年からいきなり見直すという声は受けていませんよ。


記者

  そうですか。直接、野田代表に確認されるとかは。

大臣

  野田代表が衆議院・農林水産委員会の方に質問に立たれて、私は直接やりとりをさせていただきましたが、野田代表からその点についての質問は一切ありません。


記者

  わかりました。改めて確認してみます。






報道官

  それでは、それでは大臣会見を終了します。

以上