小泉農林水産大臣記者会見概要
日時 | 令和7年8月5日(火曜日)8時43分~8時59分 於: 本省会見室 |
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主な質疑事項 |
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冒頭発言
大臣
本日私から2点ご報告があります。
先般、気象庁から8月以降も高温が続くとの予想が公表されており、農林水産省としてもスピード感、危機感を持って被害防止に当たる必要があります。このため、都道府県の担当者を対象としたオンライン会議を本日14時45分から開催し、改めて高温対策やカメムシ防除の徹底を図ることといたしました。この際、渇水に対する人、もの、お金の3本柱の支援についても改めてお知らせすることとしております。なお、事態の重要性に鑑み、私から直接会議の出席者の皆様に対し協力をお願いすることとしております。詳細については、この後プレスリリースによりお知らせいたします。
2点目も関連しますが、笹川副大臣の現地視察についてであります。今般、渇水・高温に加え、水稲の収量への影響が懸念されるカメムシ等の病害虫について、本日、笹川副大臣を埼玉県行田市に派遣をして、防除の状況について視察を行ってもらう予定です。詳細につきましては、この後プレスリリースによりお知らせいたします。本日は、冒頭私からは以上です。
質疑応答
記者
昨日発表された全国のスーパーのコメの価格が10週ぶりに前週比で上昇に転じました。下げ止まりということなのか、受け止めをお願いいたします。
大臣
今ご指摘のありましたPOSデータは、前週まで9週以上連続で下落が続いていたと。その中で、今回は40円上がったということなので、下げ止まりというのは、現時点ではまだ言い過ぎなのかなというふうに思います。私はよく踊り場に近い状況かもしれないと、他のデータも100円までいかないぐらいの上昇幅という状況ですので、この状況をよく見ておきたいというふうに思います。ただピークを見れば、POSデータのピークは4,260円ですから、今回の3,625円、この40円上がったっていうのは、9週連続続いてきたトレンド、この価格っていうのは、やはり備蓄米の効果が出ている状況が続いているということだと思いますので、今後、備蓄米の出庫の量も増えてきていますので、それがどのようにマーケット、そして価格に動きが出てくるか、これはよく注視をしていきたいと思っています。
記者
日米関税交渉について伺います。先週金曜日にファクトシートがアメリカから出されて、それを拝見したところなんですけれど、今まで日本の関税率について、15%以下のものは15%に、それ以上のものはそのままにというような政府から説明があったと思うんですけれど、ファクトシートを見たところ、そういうふうに直接書いてあるものがEUではそういうふうに読み取れたんですけれど、日本の説明については若干そうじゃないのかなと読み取れるような、部分もあったかと思うんですけれど、それについて実際の内容としてはどういうのが正しいのか、お願いします。
大臣
今ご指摘の部分については、アメリカ政府が発表した大統領令の内容の詳細について、引き続き確認中ではありますが、8月7日以降、日本に対するアメリカの相互関税は、既存の関税率が15%以上の品目には課されず、15%未満の品目には既存の関税率も含めて15%が課される、という認識について、日米間に齟齬がないことを、政府としてアメリカ側に確認済みであります。
記者
コメの価格がちょっと上がったわけですけれども、大臣の備蓄米放出は、コメの価格下げに大きく貢献しているのは間違いないと思いますし、消費者の方々、イコール有権者の方々ですけれども、大半の支持を強く受けていると思うんですけれども、ただ一方で、備蓄米本来の危機に備えるというような役割はあるわけで、どこかの段階で備蓄米の蓄えを増やしていくということが必要になってくるのかと思うんですけれども、それがいつ頃を考えておられるのかと、今年度について言えば、新米出てきた後どのくらいのペースで、どのぐらいのトン数で、買っていかれるというようなことを、現時点でお考えがあるのかどうか、教えていただけますか。
大臣
今の点につきましては、再三、国会の中でも答弁をさせていただいているんですけど、放出をした量の同量、マーケットの環境が整った時に戻していきたいと、回復をさせていきたいというお話はしています。ですので、いつという決め打ちとかはありませんけども、おっしゃるとおり、備蓄米の水準を本来の水準に戻していく。これはマーケットの状況が整った時に、やらなければいけないことだと思っています。ですので、そこの状況はこれから良く見ながら適切に対応していきます。
記者
今日、夕方、コメの関係閣僚会議があると思うんですが、これまで総理から、コメの価格が上がったことへの検証を、農水省として求められていたと思うんですが、先日の食糧部会で拡大した調査の結果を報告されていますけど、これで農水省としては検証作業は一旦終わりというか、もう結論が出て、つまり今回の関係閣僚会議は節目になる会議という位置付けなのかということを確認させていただければと思います。
大臣
節目という意味ではそのとおりです。1つの節目になると思います。令和の米騒動とも言われている、米価高騰はなぜ起きたのか、どのような要因があったのか、これを我々なりの調査も含めて、検証が一定整いましたので、今日の時点で、コメの関係閣僚会議において発表させていただきます。一方で、これですべての検証は終わりかという点につきましては、今日の節目を迎えた後も、検証作業でより時間もかかる部分もあると思うので、深い検証作業、また要因の、また消費の実態というものがどのようになっているか、そこの把握については、もう今日をもってすべてがわかっているので、これからはやりませんということではない、ということはお伝えしておきたいと思います。インバウンドの動向、そして、ふるさと納税でお米を返礼品として購入するというか、そういった形になって、量も相当になってきた。そして様々、流通の関係も多様化をしてきている。いろんな変化があって、特にコロナのあとも、様々な行動変容が世の中にも起きているので、こういったことも含めて、現時点でこれは言えるというところを発表させていただくと。そういったところでも、私は今日の発表を踏まえれば、かなり農水省自身にとってもしっかり自分たちの今までの見通しがどうだったのか、こういったことについても虚心坦懐に向き合って、発表させていただく予定ですので、この後、その正確な情報発信にも努めたいと思いますし、それを受けて、この国民的な関心事になった米価高騰というのが、こういうことだったのかと。そういったことが結果として、なぜこれだけ不足感がマーケット全体、そして消費者の皆さんにとっても広がったのかということに対しての理解が進んで、この後の新米が出てくるシーズンに向けて、わからないまま突入するのではなくて、米価高騰の要因がわかった状況で、新米の時期を迎えるっていうのは、私は生産者、消費者、流通関係者、すべての関係者にとって、不安感が一定程度払拭をされ、前に向いた改善点など、こういった方向性について向き合える、一つのターニングポイントになるんではないかと思っております。
記者
(コメの)需給の予想が国の予想よりも多かったっていうことがありましたけど、この需給・供給の予想はずれっていうのは、米騒動の原因の一端として国が認めたということでいいんでしょうか。また今年からその増産をするっていう体制に完全に切り替えるということでいいんでしょうか。
大臣
今2点ご質問いただきましたけども、どのような検証をしたのかは正式にコメの関係閣僚会議、今日の午後に行われますから、そのあとに丁寧にお話をさせていただきたいというふうに思っています。そして、今ご指摘の国の見通しなどについても、我々しっかりと向き合いましたので、そういったことも含めて、検証作業を進めてまいりました。今日の会議の後の説明を聞いていただければと思います。2点目につきましては、もう1点、2点目なんでしたっけ。
記者
事実上の減反っていうのを廃止して、今年から増産体制に切り替えるということでいいんでしょうか。
大臣
そこについてもコメの関係閣僚会議で総理からメッセージがありますので、それを受けて、私からはその後のご説明をさせていただければと思います。この増産については、大変ありがたいことに、青森県からも増産の方針を直接伝えられたり、そしてまた、昨日は山形県の副知事も私の元に来られましたけども、つや姫、雪若丸、こういった銘柄米についても増産をしていきますと、こういったお話がすでに届いています。こういった意欲をもってコメを今まで以上に作っていこうと、こういった方々の背中を押すような方向性をやらなければいけないということは今までも申し上げていましたし、今日の検証を踏まえた今後の農政の方向性につきましても、改めて総理の方からメッセージが出ると思います。
記者
随意契約の備蓄米についてお伺いします。配送の遅れによって8月の売り切りが難しい事業者がキャンセルをしている例もあるということで、聞き取りを行うということは先日のぶら下がりでもおっしゃっていましたが、その状況について可能な範囲でお伺いしたいと思います。また、それに関して、その申し込み状況はホームページで随時公表しているため、申込が全体でいくらあったのか、またキャンセルがいくらあったのかという総量は、公表しないと担当者からお伺いしたんですけれども、今後の備蓄米の運用方法を検討するためにも、総量も公表すべきじゃないかと思うんですが、お考えをお願いします。
大臣
今、備蓄米のキャンセルについては、6月11日に受付開始をした小売業者向け、そして6月20日に受付開始した外食・中食・給食事業者向け、こちらにつきましては、これまでのキャンセル数量が約1万トンということになっております。またすでに受付が終了している大手小売向けや、米穀小売・中小小売向けについても、数量確定後にキャンセルの要望が出ていて、これまでのキャンセル数量は約1万9千トンということになります。これらを合わせますと、現時点において、全体備蓄米の随契備蓄米の確定数量、約30万トンの約1割、約2万9千トンのキャンセルが生じているということであります。現在行っている事業者からのヒアリングを踏まえて、今後の対応策についてできる限り速やかに決めるように検討していきたいと思います。ヒアリングについては、昨日からヒアリングを行っていて、例えばどういった声が届いているかというと、随意契約米は手堅く売れていて、令和7年産の早場米の売れ行きも順調だという声や、地域によっては、随意契約米がまだ少量しか入荷しておらず、一定(程度)、そういった不満の声などもあるということも伺っています。この他、買受業者からは8月末までという販売期間が延長されると、新米の価格に影響が出るなど、さまざまなご意見があります。ですので、今日、そして明日連続してヒアリングを行う予定でありまして、こうした最新の状況を把握した上で、対応策を検討していきたいと考えております。
記者
約1割がキャンセルになったと。この数量的な部分については大臣の受け止めはいかがでしょうか。
大臣
これはまず出庫がやはり、より実需者の望むだけのスピード、そして量、これに追いついていないと。こういった状況の中で、現場の出庫の関係や物流の関係の皆さんには最大限の努力をしていただいていると思います。私は今回5月以降ずっと備蓄米のオペレーションに携わっていて毎日コメチームとも情報交換、意見交換していますけども、やはりこういった点も含めて、万が一の事態に備蓄米を放出するという本来のこの備蓄米の役割ということを考えたときに、この今回の教訓を今後に向けて、政策の強化や改善など、大いに生かす材料は出てきているなと思います。できる限り出庫の速度、量、こういったことも引き続きよく見ながら的確に対応していきたいと思います。
報道官
それでは、それでは大臣会見を終了します。
以上