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農林水産省

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小泉農林水産大臣記者会見概要

日時 令和7年8月26日(火曜日)10時47分~11時05分 於: 本省会見室
主な質疑事項
  • (大臣から)今般の大雨被害への対応について
  • (大臣から)福島県への出張について
  • コメの店頭価格の見通しについて
  • 未引渡しの随意契約米の意向確認について
  • 中国向け水産物の輸出再開について
  • 自民党総裁選の前倒しについて
  • 随意契約米の引取希望について
  • 農家への所得補償について
  • 食料自給率について

冒頭発言

大臣

  本日、私から2点ご報告があります。まず1点目ですが、8月6日から続く大雨により、亡くなられた方々にお悔やみを申し上げるとともに、被害に遭われたすべての方々に心よりお見舞いを申し上げます。農林水産関係でも大きな被害が出ていることから、昨日、私自身が鹿児島県に、山本政務官が熊本県にそれぞれ現地訪問をし、被害状況の調査を行いました。被災地では農地・農業用施設や林道の被害に加えて、農業用機械や苗などの浸水被害が多数生じており、山本政務官からも同様の報告を受けています。私からは、農業用機械等の再建・修繕や、営農再開に向けた種苗の確保等に向けた支援について早急に検討するよう指示をしたところです。引き続き、現場の声をよくお聞きし、被災農業者の方々に寄り添った支援を行ってまいります。
  2点目は、福島県への出張についてであります。明後日28日に「第31回原子力災害からの福島復興再生協議会」に出席し、東日本大震災からの復興・再生に向けて、地元の関係者と意見交換をするため、福島県に出張いたします。あわせて、米政策の今後の検討に向けて、稲作農家との意見交換も行います。詳細は、この後プレスリリースいたします。本日冒頭私からは以上です。




質疑応答

記者

  昨日発表された最新の米価格のデータについてお伺いします。米価格が2週連続の値上がりとなりましたが、新米が出回り始めたことも影響していると見られます。こちらの価格の受け止めをお願いいたします。

大臣

  今最新の価格、2週連続上がったということで、前週に比べて67円高いということで3,804円になります、5キロあたり。このデータについては、今ご指摘があったとおり、新米の出回り等を背景として販売数量に占める政府備蓄米を含むブレンド米等の比率が低下傾向であること、こういったことも要因として考えられると思っています。これから新米の出回りが本格化していくことから、今後の価格や需給の動向を、今までも踊り場に近いような状況にあるというふうに申し上げていますが、引き続き動向は注視をしていきたいと思います。


記者

  随意契約米について伺います。先週、販売期間を延長するという発表されたかと思うんですけれど、その際に国からの引き渡しがまだ済んでいない10万トンについて、キャンセルするか、引き渡しを求めるか、意向調査されるというふうにおっしゃってたと思うんですけれども、今、その調査の状況はどうなのかということと、それを踏まえて、もし、今後引き渡しのスケジュール感の目途とかありましたらお願いします。

大臣

  まず、引き渡し分をまだ引き渡していない買受者251社には、8月20日にまずメールで確認を、連絡を行った上で、個別に電話をして意向確認を進めているところであります。現時点、8月25日の12時時点でありますが、213社の意向を確認できています。その213社のうち、引き続き全量を配送希望が199社、そして全量キャンセル希望が7社、一部キャンセル・一部配送希望が7社ということで、圧倒的に、引き続き全量を配送希望されているということは現時点では確認をできています。なお、キャンセル希望の総量については、現在精査中ですので取りまとめ次第、公表したいと思います。


記者

  今月24日に処理水を排出してから2年となりました。中国とは水産物の輸出再開に向けた取り組みが進んでいるかと思いますが、具体的な再開時期は見えていますでしょうか。また、アメリカとは相互関税の税率を15%とする中で、中国への輸出はどの程度回復するとお考えでしょうか。

大臣

  令和5年8月のALPS処理水の海洋放出に伴って提出されていた37道府県の日本産水産物の中国向け輸出は、本年5月30日、中国政府と技術的要件について合意し、再開されることになりました。6月29日に中国政府が、日本産水産物の輸入解禁に関する公告を発表した後、中国による輸出関連施設の再登録手続きが開始され、現在3施設が登録されていると承知をしています。また、初回輸出前に必要な放射性ストロンチウム及びトリチウム検査について、8月末以降、順次、検査結果が出る見込みであります。その後、通関関係の手続きや各種証明書の手配が済み次第、輸出が再開される予定であります。引き続き、中国側に速やかな再登録を働きかけるなど、迅速かつ円滑な輸出の再開に向けて官民一体で取り組んで参ります。


記者

  中国への輸出再開できたときには、どの程度、以前と比べて回復するとお考えでしょうか。

大臣

  今、予断を持ってそこを申し上げる段階にはないと思います。もちろん輸出ができなかった間に新たなサプライチェーンの構築に努力をされた現場の事業者の皆さん、そして行政の皆さん、そういった中で、今までとは違う商流が一部あるかもしれません。もちろん、これから輸出解禁された後には、その市場を獲りに行きたいと。こういったこともあると思いますから、そこは動き出しながら把握に努めたいと思います。


記者

  お米の話題が先ほどから出ていまして、お米の増産に対する国民の期待というのが非常に高まっているというのは、報道各社の世論調査でも出ていて、それが石破政権の支持率回復、首相の続投支持にも繋がっているようにも見えますが、一方で自民党内では、やはり選挙に負けたことへのダメージが大きくて、政策を前に進めるためにも、改めてやはり総裁選を前倒しするべきじゃないかという声も出ていますが、大臣、改めて、総裁選を前倒しすべきかどうかっていう考えを教えてください。

大臣

  もちろん、今党内の様々な声は、この選挙結果を真摯に受け止めた、責任ある自民党としての判断が必要である、この声に対しては、私はそのとおりだと思います。一方で、国民の皆さんが求めているものは、目の前の政策課題を前に進めてもらいたい。特に、やはり物価高っていうのが、最近の消費者物価指数を見ても上がっていますから、改めてこの備蓄米の延長の決定も含めてですね、2,000円じゃないと買えないっていう方々、そういった方々のことが私の頭の中にもありましたから、この選挙の争点にもなった給付をするのか、それとも減税をするのか、こういったことについて国民の皆さんの関心が非常に高いっていうことを踏まえた、やはり政治の課題を前に進める姿を国民の皆さんにお見せしなければならない。そこを私は大臣としての責任感から、職責の中で、それを全うしたい、実現に向けて動きたいと、そういった思いで米政策を進めて参りました。今、ご指摘のあったとおり、最近の世論調査を見ていると増産に向けては、これは読売新聞だったと思いますけど、8割を超える増産という政策に対する支持、やはりこの圧倒的な支持は、政策を進める立場としては大変心強く思っています。国民の皆さんのご支援、そしてご理解がなければ大きな政策転換はできませんので、この方向性に支持があるという理由は何なのか、こういったこともよく分析が必要だと思いますが、やはり私はこの米価高騰、令和の米騒動とも言われていますが、なかなかこう、一進一退というか、難しい状況にある中で、この増産の方向性の中で、米価を安定させるっていう中長期な見通しも示さなければ、目の前の短期的な備蓄米という手段だけでは解決がしないっていう思いの中で、やはり中長期に向けて増産のメッセージが必要だろうと私も考えましたし、きっと今回の世論の皆さん、前向きに受け止めていただいているのも、やはり今までのように、需給をタイトに持っていって米価を維持するというところ、そういったことだけではなくて、やはりこれだけ需給が少し振れると、大きな国民的な混乱や不安にも繋がりかねないような政策は、やはり見直す時期がきているんではないか。この米の価格を安定化させるためにも、やはり、もっと作るべきだ、こういったことへの一定の理解っていうものがあることが、私は一因ではないかなと思いますので、もちろんその中で農家さんの、ご不安とかも一定あると思いますので、昨日の鹿児島県でも意見交換をさせていただいたように、明後日の福島県でも米農家の皆さんともお会いをして、できる限り丁寧に、なぜ今このような政策を転換する時期に来ているのか、我々の思いも多くの方々に直接、しっかりとお伝えさせていただければと思っています。


記者

  政策を前に進めるためには自民党総裁選を前倒しすべきじゃないかという声もありますけれども、むしろ逆に、やはりこういう米政策転換という大きな時期に差しかかっている中では、自民党総裁選の前倒しはすべきではないということでしょうか。

大臣

  もうこれは極めて政治的には重い話ですから、最終的には総理、そして自民党の総裁である石破総理が、そういった声も含めて、どのように受け止め、そして判断されるか、そういったことが、私は今重要なんだろうというふうに思っています。いずれにしても、石破内閣の一員として、今これだけ大きな政策を動かしているときですから、その政策遂行に私はしっかりと職責を全うしたいと思います。


記者

  先ほど備蓄米の販売延長の話がありまして、まだ引き渡しを受けてない業者のうち、199社が現段階で全量引き取り希望ということで、圧倒的に多いというお話だったと思います。新米の価格、新米の出回りも受けてですね、平均価格がちょっと上がっているんじゃないかという話もある中で、圧倒的に多くの事業者が引き取りを希望しているというこの状況について、大臣の受け止めをお願いいたします。

大臣

  私もできる限り、備蓄米販売されている事業者からも、現場の状況を、お客さんの動き、これを把握に努めているんですけれども、ある方から聞いた話は、もう売ればすぐ売り切れると。こういった声も聞いています。そして、今の新米の状況を見ていますと、軒並み概算金が高く出てますので、新米の価格は去年と比べても相当高い。こういった中でやはり、お米の価格を気にせずに買える方がいる一方で、随意契約の2,000円じゃないと買えない。そういった苦しい状況の方々にとって、今ここで備蓄米をすべて引き上げるというような環境には私はない。そういったふうに改めて思っています。一方で、やはり中長期を見れば備蓄米に限りがあることも事実です。だからこそ、増産という方向性の中で、もちろん需要に応じた増産でありますが、米はしっかり出てくるんだ、こういった見通しが世の中と共有されて、購買行動も落ち着き、結果、価格も安定化してくる、こういった方向性に中長期でもっていかなければいけないっていう思いで進めていますので、最近の世論で増産に向けた圧倒的な支持があるということについては、価格の安定に向けての一つのいい材料だと思います。やはり消費者心理っていうものが、この米価高騰には一定の影響がありますから、私はそんなふうに受け止めています。


記者

  米増産の表明を受けてですね、石破さんの。農家への所得補償、これを前倒しするお考えはないのでしょうか。2年後の令和9年ではなくて、来年からやるぐらいの前倒しのお考えはないんでしょうか。

大臣

  今、政策的には概算要求をまとめる段階に入ってきていて、その予算で対応できるところ、そしてまた、今収入保険のあり方の見直し、またセーフティネット、横田さんがおっしゃる補償という話もありますが、今野党からも聞いていると、むしろその補償という言葉よりも直接支払、こういった形で言っていますよね。この直接支払は、今政府もやっていますし、また今後、見直すべきところは見直す必要があると思いますので、その中で固めていくところかなというふうに思います。農家の方とも意見交換をしていても、やはり今後の見通し、目の前のことだけじゃなくて、中長期で安定した米づくりができる環境の中でしっかりと議論をした上で、セーフティネットづくりをやってもらいたいという声が届いていますので、そこはしっかりと議論を深めたほうがいいなと、現場とも一定理解を深めるという時間も持ちながら、まず農水省としてはこう考えているということをお示しをしながら、様々、与野党いろんな声もあると思いますから、また生産者の皆さんの声もあると思いますから、しっかりと共有していただけるような、そういったプロセスも大事だろうと思っています。


記者

  そういう声を受けて、直接支払を来年からすぐやるという可能性もあるというふうに理解してよろしいでしょうか。

大臣

  基本的なことになるんですけども、直接支払はすでにやっているんですね。その直接支払はやっていますが、野党からは、今の直接支払とは違う、直接支払の提案も出てきています。ただこれは、農水省の全体の予算の半分以上を使えという立憲の「食農支払」や、今の5、6倍の財源規模になる国民民主の「食料安保支払」など、額はとにかく積めと言われますが、詳細設計は明らかにはなっていませんので、今後、そういったことも、どのようなお考えなのか、しっかりとやりとりをする必要があるだろうと思います。


記者

  最後に、食料自給率の目標値と達成年度のお考えをお聞きしたいのですが。ちなみに参政党は、米の自給率に関しては5年間で100%にするということを言っているんですが、大臣のお考えをお聞かせください。

大臣

  自給率、その数字だけを見ればですね、上がった方が、それは食料安全保障上良いとはいえるかもしれませんが、一方で自給力っていう考え方からすると、自給率だけ見ていてもいけないっていう面もあります。ただ、参政党が米の自給率100%ということを掲げるっていうことは、それだけ農林水産業を大事に思ってくれているということであると思いますので、これからの時期、大きな転換点を迎える米政策ですから、心一つに、頭合わせて、政治も行政も現場も、みんな一つに新たな方向に向かっていくぞっていうふうに進めたいと思いますので、もしお考えを伺う機会があれば、どういった形で、5年間で100%に持っていこうとしてるのか、そんな具体的なお考えもお伺いできればと思います。


記者

  政府としては具体的な数値目標は今のところはないという理解でよろしいわけですね。

大臣

  すでに自給率目標などは出している面もありますけれども、やはり今、この局面で自給率目標はこれです、という前に、米の問題で問われてることは、いかに安定的な米価を実現をするために、今新たな歩みを始めたときに、生産者の皆さんの共感と、そして消費者の皆さんからしても安心して買えるという環境を実現できるかどうか、そういったところがちゃんと実現できて、ようやくそういったことについても、より具体的な話ができるんじゃないですかね。



報道官

  よろしいでしょうか。それでは会見を終了します。

以上