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農林水産省

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小泉農林水産大臣記者会見概要

日時 令和7年9月2日(火曜日)10時30分~10時44分 於: 本省会見室
主な質疑事項
  • (大臣から)8月6日からの大雨被害への支援等について
  • 台湾による日本産食品の輸入規制の撤廃について
  • コメの店頭価格の見通しについて
  • 水田政策の見直しについて
  • 野党の農業政策について
  • コメの概算金等の報告について

冒頭発言

大臣

   本日、私からは1点ご報告があります。8月6日から続いた大雨による被害に対して、被害状況の迅速な把握のため、8月25日には私が鹿児島県に、山本大臣政務官が熊本県に、また8月29日には滝波副大臣が富山県に、それぞれ被災現場を訪問したところです。これら被害状況の調査結果等を踏まえて、地域の実情に応じた追加支援を講じることを決定し、本日付けで通知を発出いたします。まず、大雨によって広範囲が浸水したことにより、トラクター等の農業用機械や、農業用ハウスの加温器等に被害が生じました。特に熊本県は畳の原料である「いぐさ」の日本一の生産地ですが、ここでも収穫機や畳表(たたみおもて)を織る織機(しょっき)に浸水被害が生じました。こうした被害のあった農業用機械等に対して、修繕や再取得を支援いたします。
  また、冬から春に出荷されるトマトの全国シェアの約3割を占める熊本県では、まさにトマトの苗の定植が行われる時期に大雨被害を受けました。熊本県だけで、トマトやイチゴ等の苗が100万本以上被害にあったと報告を受けています。早急に新たな苗を準備する必要があることから、苗の購入経費や追加の防除・施肥、被害のあった農作物残さの撤去等を支援いたします。
  さらに、今回の大雨被害については、激甚被害(※正しくは、激甚災害)の指定見込みが公表され、農地や農業水利施設等の災害復旧においては、国の負担のかさ上げにより、自治体を財政面でしっかり支援することとしています。営農者への融資支援の面でも、5年間で最大2%の金利負担の軽減や債務保証に係る保証料の免除といった措置を講じます。
  これらの支援の詳細については、この後、農林水産省のホームページにて公表いたしますが、通常の支援策に加え、本日決定した被害状況に応じたきめ細やかな追加支援を併せて行うことで、被災地の農林水産業の1日でも早い再開に向けて支援してまいります。本日、私からは以上です 。




質疑応答

記者

  台湾による日本産食品の輸入規制の撤廃についてお伺いします。福島第一原発事故を受けて続いていた日本産食品の輸入規制を全て撤廃すると、台湾当局が方針を示しました。福島など5つの県産食品に義務付けていた放射性物質検査報告書などの添付が不要になるということです。意見公募の上で正式決定することになりますが、台湾当局の動きについての受け止めをお伺いします。

大臣

  今お話がありましたとおり、8月29日、台湾において日本産食品に対する輸入規制措置を廃止する案がパブリックコメントにかけられたと承知しています。これが実施されることになれば、被災地の復興にとっても大きな後押しとなりますので、前向きな動きとして受け止めています。こういったことも含めて、日本産の水産物・食品、これに対する非科学的な規制などが残っている地域・国で撤廃されるように、引き続き取り組みを進めていきたいと思います。今回のことは間違いなく、被災地の皆さんにとっても、大きな背中を押される一歩だと思います。

記者

  もう1点は米です。昨日発表されたスーパーの米価格は3週ぶりに下落となりました。11週連続で3,000円台ですが、対前年度比では4割高く、高水準が続いていて、新米が本格的に出回れば高騰する可能性も指摘されています。米の価格動向をどう見ていらっしゃいますでしょうか。

大臣

  最近ずっと踊り場ではないかということを申し上げているとおりの今の状況だとは思います。今回、先週に比べて28円低い3,776円ということで、私が大臣になったときの平均が4,200円ですから、そこから比べれば一定の価格が低下した水準を保てているとは思いますが、これから新米が出てきて、今の概算金の状況なども見ていれば、新米自体の一定の価格が高い水準にあるということは事実だと思います。一方で、これは新米と備蓄米というのは全く別物ですから、こういった状況も冷静に受け止めていただく上で、改めて申し上げたいのは、この新米が出てくる9月、10月、こういった時期だけで判断するのではなくて、新米が出てきてからのシーズンということで考えてみれば、一昨日のNHKの日曜討論で私の隣で共演していただいた荒幡先生も言っていたとおり、農水省の推計では順調にいけば56万トン追加で出てくる。そして荒幡先生は悪くても50万トン出るのではないかというふうに言っておられましたよね。仮にそのとおりだとすれば、この追加で約50万トン出るというシーズンというのは、過去5年間で最大、そして今備蓄米も、同じ量ぐらいを出しているっていうことですから、数字をもって冷静に見れば、間違いなく、量としては、不足感を払拭できるような数字が、受け止められるのではないでしょうか。ですので、新米が出てきた、新米がいくらかっていう報道が今、相当毎日やられていますが、その最初の新米の価格だけでない、この新米が新しく出てきてからのこの1年の全体の総量としてどれぐらいを見込まれるかということを考えれば、私は一定の価格の落ち着き、こういったことに繋がり、米の安定価格の実現、そして安定供給ということに向けて、正常化への一歩に繋がる可能性はあるというふうに思っています。ただ、これは農水省の反省として申し上げれば、今までも見通しを誤ったこともありますから、カメムシの被害、そして高温の影響、こういったことについても緊張感を持って、最終的に収穫量が確定をするところをもってしないと、見通しをあまり楽観的なものに置くわけにもいかないなと、全体を少し慎重に見ながら対応していきたいと思います。

記者

  石破総理が米増産を表明する一方で、大臣が減反政策1年継続を言うのは、これは言行不一致・二枚舌と、多くの国民、野党は批判するのではないかと思うのですが、野党の政策、農業政策、直接支払、農業・農家への所得補償を立憲民主党・国民民主党は要求してますけれども、こういう野党の農業政策を取り込む、盛り込む考えはないという立場なんでしょうか。

大臣

  まず前段で横田さんがこの1年間の、おそらく水活(水田活用の直接支払交付金)の予算を要求をしているっていうことをもって、この増産と減反の齟齬というふうにお話をされてるのではないかなと思いますけども、これについては、前回の記者会見で、あれは土屋さんへの、私はお答えだったと思いますが、水張り5年っていうルールの中で、8年度までは水活の形をしっかり続けた上で、9年度からの新しい米政策への転換へと繋げていく、ここを前倒しにしろっていう要求は農家の方からもあまりなく、むしろ混乱なく繋いでいくために、継続すべきは継続する、こういった対応も大事なことだというふうに受け止めてますので、そこは今、概算要求について野党からも批判があるっていうことは、私は直接は伺ったことはありません。それと後段の部分について、横田さんがおっしゃったのはどういうことでしたっけ。

記者

  野党は直接支払。

大臣

  野党の案をのむ気はないかってことですね。

記者

  全部の分ではなくてもいいと思うんですが、一部盛り込んでですね、今まで大臣は野党の要求をのむと、予算が大きすぎるんじゃないかと、農水省の予算の半分ぐらいを占めるんじゃないかというふうに批判・否定的でしたけど、だったら農水省自体の予算を大幅にアップしてですね、野党の考えを一部盛り込むという選択肢もあるとは思うんですが、そういうお考えはないんでしょうか。

大臣

  今回も予算要求はルールの中で要求できる目一杯を要求したつもりです。そういった中で野党が言っている中で、耳を傾けるべきは傾けたいとは思います。ただ、これはむしろ横田さんに、以前も私は立憲民主党にしても、国民民主党にしても、そちらの記者会見に行っていただきたいというふうに申し上げたのは、今1.2兆円かけてやると言っている立憲の「食農支払」の具体的な中身も分かりません。そして国民民主党がやると言っている「食料安保支払」も具体的なものは分かりません。ですので、具体的なものが分からないうちに、軽々に大臣としてお答えをするわけにはいきませんので、もし横田さんの機会があれば、具体的な中身も野党にも聞いていただきたいと思います。

記者

  大臣は情報収集されてないんですか。どうせ与党過半数割れですから、野党の要求を一部のまないと予算通らないという危機感から、当然、立憲・国民・参政党あたりと意見交換、情報収集されてるのかと思ったんですが、やってないんですか。

大臣

  今はまだそういう段階にないですよね。ただ現時点で分かる情報を収集した上で申し上げれば、具体的なことを詰めている情報はまだ出ていません。そして、参政党についても横田さんがこの前自給率100%と言いましたけれども、これは自給率を上げていくという方向性については、大きな方向性としては共有できると思います。ただ、それを今40%無い自給率を全体として100%というところに持っていくということについては、様々な議論をしなければいけないので、これからしっかりと、最終的に少数与党の中でどのように野党の皆さんのご理解も得ながら政治を前に進めていけるか。ここについては横田さんが言うとおり、我々も耳を傾けるべきところはあると思います。ただその上では、詳細な制度の中身についても、どういうふうに先方がお考えかというのも示していただかないと、なかなか噛み合った議論にはならないのかなと、そういうふうに思っています。

記者

  ありがとうございます。ちなみに参政党は米について100%と言ってますので、自給率。

大臣

  私は参政党の公約見てますけど、米ではなくて全体としての自給率を100%を目指すというふうに、私は書いてあると承知をしています。米はもう今ほぼ100%ですから。

記者

  先日、農水省が出された集荷業者への通知について伺います。先日、農水省は集荷業者に対して、米の買取価格であったり概算金を報告するように通知を出されたと承知しております。この通知についてなんですけれども、改めてその目的と、集めたそういうデータをどのように使われるのか、活用されるのか、公表されるのかお聞かせください。

大臣

  これは農水省として、令和7年産米の流通状況や価格の動向の実態把握の一環として行ったものです。毎月の相対取引価格の報告を求めている集荷業者を対象に、食糧法第52条に基づいて、集荷時の概算金や買取価格に関する報告を求めることとして、8月18日に通知を発出したところです。なお、どのように情報活用するのかというご質問もありましたが、報告対象者の経営に関わるものでもありますので、これは慎重に取り扱うこととしているので安心していただきたいと思います。

記者

  具体的な公表の頻度であったりとか、公表の仕方というのは、現時点でどのようなことを検討されているんでしょうか。

大臣

  これは把握をした上で、慎重に考えたいとは思います。ただ現時点で、例えばJAグループの中によっては、概算金を公表してるところもあれば、公表しないという方針でやられてるところもあります。ただ、公表しないというJAグループの地域であっても、結果、農家さんは知っていて、そこからすぐ漏れているのが実態なんですよね。なので、今回報告を正式にいただくという形をとりましたけれども、基本的に新聞やテレビや、いろんなところで報道されている各地の概算金、こういったものはすでに周知の事実でもあると思います。我々農水省としては、やはり今回の米価高騰の中でしっかりと、米に関する流通全体の動き、こういったことも含めて、やはり情報の精度、また質、量、こういったものを上げていかなければならないと。そういった中で、できる限り関係者の皆さんにはご協力をいただきたいという思いもあります。ただもちろんその扱いは経営にも関わるものですから、慎重に取り扱うことにしますので、そこはご安心いただければと思います。



報道官

  よろしいでしょうか。それでは会見を終了します。

以上