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農林水産省

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小泉農林水産大臣臨時記者会見概要

日時 令和7年10月10日(金曜日)16時37分~17時21分 於: 本省会見室
主な質疑事項
  • (大臣から)令和7年産水稲の作付面積及び予想収穫量について
  • 米の増産が今後の米価格に及ぼす影響について
  • 米の民間在庫の増加と備蓄米の買戻し時期について
  • ふるい目幅ベースの予想収穫量を公表する意義について
  • 備蓄米の買取価格について
  • 令和7年産米の予想収穫量に対する評価について
  • 公明党の連立離脱に関する受け止めについて
  • 公明党との地方での協力の在り方について
  • 公明党の連立離脱による農政への影響について
  • 需給バランス以外のコメ価格上昇の要因について
  • 米対策集中対応チームについて
  • 今後の米価安定に向けたメッセージについて

質疑応答

大臣

  今日は再びお集まりをいただきましてありがとうございます。令和7年産の水稲収穫量調査について、9月25日現在の主食用米の予想収穫量が取りまとまりましたので、公表いたします。今回から新たに公表する、生産者が使用しているふるい目幅ベースでの主食用の予想収穫量は、715万3,000トンの見込みであり、前年産に比べ63万4,000トン増加となりました。この水準は、9月に示した生産量見通しも大きく上回るものであり、平成29年産以来、最高の予想収穫量となります。今回の収穫量の大幅な増加という結果は、これまで、全国各地の現場でお米を生産している農家の皆様が、猛暑や渇水、カメムシの被害などと闘い続けてきた、並々ならぬご努力の賜物であります。改めて心から感謝申し上げます。なお、今回公表した収穫量は、全国すべての地域で刈取りを終えたものではありませんので、今後の気象の推移等によって変動する可能性があります。引き続き、正確な収穫量の把握に努めてまいります。また、令和7年産の主食用米の作付面積は、6月末時点からさらに増加し、令和2年産以来最大の136.7万haとなりました。前年産実績との比較では10.8万haの増加であり、平成16年産以来最大の増加です。この10.8万haという数字は、作付面積が全国第1位の新潟県に相当する規模の増加となります。さらに今回の予想収穫量を前提とすれば、令和8年6月末の民間在庫量は約230万トンとなり、直近10年程度で最も高い在庫水準に匹敵します。収穫量、作付面積、民間在庫量のいずれにおいても、近年で最大の水準となります。生産者の皆さんにおかれましては、米価の下落への懸念もあろうかと思いますが、需給環境が大きく変化し、備蓄米の買入れ又は買戻しの環境が整った場合には、備蓄水準の回復に向けて、機動的・計画的に行ってまいります。また、米価の下落で米づくりが継続できないといった心配をせずに、安心して営農できるためのセーフティネットの在り方についても、令和9年度からの実施に向けて具体化を進めてまいりたいと考えています。消費者の皆さんにおかれましては、この約10年で最大の増産ですから、米が足りなくなる状況にはないことをご理解いただき、必要なときに必要なだけのお米を安心してお買い求めいただければと思います。この収穫量をもって需要を上回る十分な供給が確保され、不足感を払拭したと言える、新たな段階に入ったと捉えています。改めて、これだけのお米の生産をしていただいた生産者の皆様に感謝を申し上げ、我々農林水産省として、米の需給と価格の安定の実現に責任を果たす決意であります。本日、私からは以上です。


記者

  去年は新米が出たら価格は落ち着くと農水省は説明していましたが、6年産が出回っても価格は下がりませんでした。今年の予想収穫量は需要を大きく上回る数量となっていますが、この大幅な増産が今後どのように価格に影響を与えるとお考えか、また去年との違いもあわせてお伺いできればと思います。

大臣

  令和7年産の新米の生産は先ほど申し上げたとおり715万3,000トン、前年比63.4万トン増となったということで、この水準は昨年の予想収穫量の増加分18万トンを、はるかに上回るものであり、平成29年産以来最高の収穫量となる見込みです。さらに、今回の予想収穫量を前提とすれば、令和8年6月末の民間在庫量の見通しは約230万トンとなり、この場合、直近10年程度で最も高い在庫水準に匹敵をします。今後の価格や販売数量などの需給の動向については、引き続き注視が必要ですが、収穫量も民間の在庫量も昨年とは全く異なり、今回の調査結果を見れば、コメが足りなくなる状況にはないということを十分ご理解いただけるのではないかなというふうに考えています。農林水産省としても、生産者、消費者、そして流通関係者の皆さんに対してこういった情報提供をしっかり行い、冷静な対応を促すとともに、需要に応じた増産に向けた取り組みを進め、米の安定供給と安定価格の実現に努めてまいりたいと思います。先ほど申し上げたとおりでありますが、米価の安定に向けた新たな段階に入ったというふうに捉えています。


記者

  今度こそ米の値段が下がる。

大臣

  これは昨年、新米が出てくれば、下がるということを農林水産省として申し上げて、結果そうはならなかった。こういった経緯を考えれば、慎重な対応は必要だと思います。一方で、今ご指摘があったとおり、昨年との違いは、昨年はプラス18万トンとこれを3倍以上上回るということに加えて、作付面積も新潟県丸ごと、一県増えるぐらいの作付面積でもありますし、そして民間在庫も230万トン、この過去10年間で最大規模だと。こういった生産量、作付面積、民間在庫、このすべてにおいて、これだけの量というものを冷静に受け止めていただければ、間違いなく、昨年と比べても違うステージに入っているし、米価高騰が続いてる中で、令和の米騒動ともいわれていますけども、やはりこれだけの不足感を払拭をしなければ、米価の安定には繋がらないということを考えると、今回の生産者の皆さんのご努力によってこれだけの新米を出していただくっていうことは、需要を大きく上回るだけの十分な供給量を満たし、最終的に米価の安定に繋がっていく、そんな新たなステージに入ったとはいえるのではないでしょうか。


記者

  今回の収穫量について、農水省さんの方で9月に示されてる需給見通しに単純に数字で当てはめると下限でも200万トン、業界で適正とされている200万トンを超える数字になるかなと思うんですけれども。

大臣

  民間在庫ですか。


記者

  はい。冒頭でもおっしゃっていただいた産地からは米が余るんじゃないかというような懸念もこう数字上だけ見ると受け止められるかなと思うんですけれども、このコメ余りの懸念についてどのように考えていらっしゃるかということと、産地としてこの数字をどのように受け止めて欲しいというように考えていらっしゃいますでしょうか。

大臣

  まず、生産者の皆さんに対しては、先ほどの冒頭の発言でも申し上げたとおりです。やはり、これだけ米の量が出たということをもって、米価の下落への懸念もあろうかと思います。それに対しては、全中の山野会長もご発言をされていたように、機動的に備蓄米の対応などもしてもらいたいと申し上げておりました。今回、先ほどもう1回申し上げますけども、需給環境が大きく変化し、備蓄米の買入れまたは買戻しの環境が整った場合には、備蓄水準の回復に向けて、機動的・計画的に行ってまいりますというふうに申し上げたのは、まさに山野会長が機動的に行ってもらいたいという思いも受け止めているというメッセージを明確に送ったわけであります。これは5月に私が大臣に就任して以来、国会でもたびたびこのメッセージは申し上げておりました。そして生産者の皆さんにも、私は事あるごとに、これも直接、お話をさせていただいたとおりですので、令和9年度に向けたセーフティネットの具体化の作業、これも進めていきますので、安心して米づくりを続けていただける環境を必ず実現をする決意でありますので、メッセージは届けたいというふうに思っております。一方で、やはり、この米価の高騰が続く中で、外国産米が大量に国内に入ってきている。そしてまた、国内の消費者の皆さんも、米離れが懸念されるような米価高騰の水準が続く。こういったことは、生産者の皆さんも望んでいないわけであります。なので、これだけ不足感が、ある意味広がってしまった今のマーケットを安定化をさせるためには、一度、もう誰がどう見ても潤沢に供給量があると。こういう環境を作らなければ、この不足感というのはぬぐえないというふうに思っています。ですので、今回これだけの新米の量が出るということは、間違いなくこの米価の安定に向けて必要なプロセスを踏んでいる。こういったことのご理解も含めて、冷静に対応していただけるようにきめ細やかな、我々の政策発信も必要ですし、そしてまたこの状況に対して、生産者の皆さん、そして消費者の皆さんに双方に対して、冷静に受け止めていただく必要があるのではないかなというふうに思っております。


記者

  あの潤沢にあることが必要ということなんですけれども、備蓄米を機動的に計画的にやっていかれるというようなことで、もう少し具体的に例えば米価がどうなったらだとか、時期だったり規模だったりについてお考えはありますでしょうか。

大臣

  現時点でそれを申し上げるのはやはり早すぎるなというふうに思います。今日先ほど最新のPOSデータ、これも発表させていただきましたけども、二つの指標は4週連続、3週連続、こういった形で下がってるとはいえ、この下がり幅は、もう皆さんご存じのとおり、大きく下がってるわけではありません。そして三つのうちの一つは、価格は上がってるわけですよね。もうすでに高い価格で買い付けをしている、こういった方々も多くマーケットにはいらっしゃる中で、この新米の今日発表した数字をもって、いきなり下がるかといったら、なかなかそういう状況でもないというのが現実だと思います。ですので、マーケットの状況をよく見るっていう必要があるので、この備蓄米の水準を戻すというときに、マーケットの環境が整った場合には、という形を表現をしてるのは、よくそこは状況を見て判断しなければいけないことだと思います。


記者

  最後1点なんですけれども、今回からですね、ふるい目、生産者の実感に沿うようにということで1.8ミリ、1.9ミリの方の数字公表をされたかと思うんですけれども、一方で需給見通し等は今まで1.7ミリの方で示されてきたところかと思うんですけれども、この2種類の数字を出す意義についてどのようにお考えになってるかと、あと、今後この新しい数字についてですね、こちらも需給見通し等に反映させていくような、活用していくようなお考えがあるのかお伺いできますでしょうか。

大臣

  後段の需給見通しのときに、この1.7と1.85から1.9の、これどうするかっていうのは、今、部(局)内で検討中でありますので、適正な的確なメッセージが伝わるような形を今検討してるところだとご理解いただければというふうに思います。そして、今回の意義についてもご指摘がありましたが、今回、水稲収穫量調査においては、これまで主食用に供給し得る米の総量を把握するため、ふるい目1.7ミリ以上を基準として収量を集計したところですが、生産者の方々との意見交換を通じて、統計調査で使用する1.7ミリのふるい目と生産者の皆さんが普段使用しているふるい目の違いにより、調査結果が生産者の皆さんの実感と合わないことが明らかになったため、実感に近いデータとして、生産者ふるい目ベースの主食用の収穫量を新たに公表することとしました。生産者が収穫量として認識している数量を示すことで、実感との差が縮まって、統計データについての理解と調査結果に対する信頼性の確保に繋がる、そういうふうに考えています。


記者

  私も備蓄米についてお伺いします。先ほどのご説明で一定理解したんですけれども、備蓄米、例えばいつまでに適正水準に戻すかですとかその時期とか、あと25年産米での買戻しがない可能性もあるか、その点についてはどのようにお考えでしょうか。

大臣

  これはもう先ほど言ったとおりで需給環境が大きく変化し、その環境が整った場合に備蓄水準の回復に向けて、機動的・計画的に行っていくという基本的な考え方に変化はありません。まだ、このマーケットの状況というのは、今までもう高い高いと言われ続けてきた中で、価格も備蓄米の放出によって一定程度下がり、そしてそのあとにまた一定程度戻り、今は3つのデータのうちの2つは下がるけども一つは上がると。こういった経緯をたどっている中で、この新米の収穫量が、大幅に56万トンを上回るということをもって、新たなステージには入ったと思います。一方で、これがマーケットにどのような影響を与えるかっていうのは、もう少し見る必要があると思いますので、この63万トンをもって、すぐに(適正水準に)戻しますと、今言い切るべきではないというふうに思いますので、そこはご理解いただきたいと思います。


記者

  もう1点、仮に今、備蓄米として買入れをするとすれば、市場では非常に高い60キロ3万円とかになってますけれども、どういった水準での買取価格っていうのを検討されていかれるんでしょうか。

大臣

  いやまさに先ほど申し上げたとおりで、今直ちに買戻すっていうタイミング、局面ではまだないとは思いますが、いずれにしても需給環境が大きく変化をして、その環境が整った場合には、備蓄水準の回復に向けて、機動的・計画的に行っていく必要があるという基本的な考えに変わりはありません。ただ、マーケットの状況を見ていただければわかりますけども、今まだ一定の水準で高値で推移をしている中で、この63万トンという数字をもって、安定化に向けての新たなステージに、段階に入ったと捉えています。そういった中で、この備蓄米の水準っていうのが今後、生産者の皆さんにとっても関心事なのは重々理解をします。ただ、そこはマーケットの動きは昨年も含めて、農水省としても新米が出てくれば下がるんではないかといった見通しを言った中でそうならなかったということも謙虚に直視をしなければいけないと思いますので、今日の発表を受け、マーケットの動きも、また生産者の皆さんの受け止めも、消費者の皆さんの購買行動の変化など、こういったことはよく見ていかなければいけないというふうに思っています。


記者

  この発表の中でですね、単収10アール当たりの予想収量も前年産に比べて5キロ増加ということがありまして、あと、新たに作られた作況単収指数、2ページ目にはですね、前年の、6年度の101から1ポイントで102となっております。これだけ収量が増えたというのは作付面積の増加もひとえに大きいと思うんですが、この結果ってのは今年はこの収量増えたことは豊作と一言で言えるのでしょうか。

大臣

  この102っていうものは、作況単収指数で受け止めていただきたいメッセージというのは、前年と比べてどれぐらいかという、まさにこの数の部分。そこを受け止めていただきたいので、それをもって、あとはマーケットの皆さんに、間違いなく、昨年と比べても、過去9年間の中で最大出てるわけですから、それをそのまま受け止めていただきたいというふうに思っております。そして作付面積についても、全国の中で最大の新潟と同じぐらいの作付面積が増えていて、そして民間在庫量にしても、過去10年で最大の規模ですから、我々の1年前の「新米が出てくれば安くなる」ということがそうならなかったということをしっかりと受け止めれば、我々、これをもって軽々に新米がこれだけ出てくるから大丈夫です、ということは言うべきではないという判断をしています。ただ、昨年は18万トン増えますという中で、今回はそれを3倍以上超える量が出るわけですから、そこも含めてそのまま受け止めていただいて、結果として、消費者の皆さんの購買行動にも落ち着きが見られて、米価の安定に繋がっていく。こういった過程を歩んでいくスタートにはなっているのではないかなというふうには捉えています。


記者

  単純にプラス5キロという評価をもって、今お言葉としてはおっしゃられなかったんですが、「豊作」だとか、かつての作況指数の「やや平年を上回る」だとか、そういった評価はやはりちょっとしにくいということなんでしょうか。

大臣

  やはり作柄、こういったことに今まで馴染みがあったので、そういったことを求められるかもしれませんが、やはりこの新たな作況単数指数でそのまま受け止めていただきたいのは、やはり前年と比べてどうか、このことに対してしっかりと見ていただきたいという思いがありますので、やはりそこは、56万トンというふうに我々は予測をしましたが、それをはるかに上回る63万トンだっていうことと、作付面積の増加と民間在庫のこれだけの増加と、それをそのまま受け止めていただきたいと思います。


記者

  最後に一つお願いいたします。先ほど、新潟県に匹敵するほどの作付面積が増えですね、非常に多くのお米が市場に出回ることをおっしゃっておられまして、これまでも心理的な米が非常に多いということが重要だと、それが市場の重要なメッセージをおっしゃっていましたが、今回の予想収量というのはですね、市場に対して価格を下げるだけの十分なメッセージになったとお考えでしょうか。

大臣

  NHKの日曜討論に出たときに私の隣にいた荒幡先生が、これだけの不足感が出た後に、米価の安定につなげていくには、1回かなり増えたという環境を作ることが必然だと、必要だと、こういったお話をされたのをよく記憶をしています。そのお話からすれば、まさに今回の63万トンというのは、そのプロセスに入ったというふうに受け止めてもいいのではないでしょうか。この米価の高騰、令和の米騒動を何とか収束をさせるということにおいては、間違いなく生産者の皆さんの努力によって前向きな一歩を記した、そういった意味のある数字だと思っております。


記者

  政務の関係で恐縮です。先ほど公明党がですね、自公の党首会談で、26年にわたって、野党時代も含めればですね、協力関係を築いてきた連立関係の連立離脱を伝えました。本件への受け止めとですね、なぜこうした事態が起きたのか、このあたりの大臣の分析伺えますでしょうか。

大臣

  この会見が4時の予定だったのが少し遅れたのは、私も公明党斎藤代表、西田幹事長の会見をテレビで見させていただいたからです。まず現時点で申し上げるべきことは、この26年間、自公という枠組みの中で、様々な政策実現にご尽力、ご努力をいただいた、そのことに対する感謝と、そしてまた敬意を表すべきだと思います。一方で、現時点でまだ自民党のその受け止めについては、新執行部の方からも、まだコメントもない状況でありますので、そういったことも含めて、受け止めた上で、コメントは出すべきだろうと思いますので、現時点ではそこで留めておきたいと思います。


記者

  もう1点だけ。大臣、神奈川県連の会長でもありますけれども、例え連立を離脱した場合もですね、地方議会などでは自公、同じ会派組んでるケースもありますけれど、地方での協力のあり方ですね、この辺りはどう考えてらっしゃるか伺えますでしょうか。

大臣

  これは現場現場、地域地域での判断というものがこれから出てくるのではないかというふうには思います。ただ一方で、神奈川県など私の地元などの状況を申し上げれば、私は公明党の推薦を初当選以来、ずっと受けておりません。こういった中でも、公明党の皆さんから選挙の協力や、また応援の依頼などがあれば、私はそれを積極的に努めてまいりました。それは自公の連立の中での責務であるという思いです。そして、この連立かどうかということを問わず、公明党が一貫してずっと言ってきたことは、選挙協力も含めた関係性の構築というのは、基本的には人物本位であると、この人物本位ということを公明党の皆さんは大事にされてきたというふうに捉えています。今後も連立の仮に外であったとしても、人物本位での関係性というのは、続いていくところは続いていくのだろうというふうには思っております。


記者

  お米の収穫量のことでですね、今回大幅な増産ということですが、去年を振り返ると、去年も増産だったんだけれども、需要が大幅に増えたということで、不足感が生まれなかったということですが、今年というか今回はですね、需要の増加を見越しても、十分な増産量だということなんでしょうか。

大臣

  今回の需要見通しというのは711万トンということを考えたときに、それを上回るだけの供給量だということですから、先ほど申し上げたとおり、今回の数字というのは、需要を上回るだけの十分な供給が確保されていて、不足感を払拭したと言える、新たな段階に入ったと捉えています。


記者

  その上で先ほどから出ている備蓄米の買戻しのことで改めて確認させていただければと思うんですが、今後の環境を見る、マーケットを見るということですが、主に想定されてるのは米価、価格なんでしょうか。入札の備蓄米のときは価格ではなくて、いわゆる集荷業者の集荷不足に注目して備蓄米を放出していましたが、随意契約のときは価格に注目していたと思いますが、今回買戻しはやはり価格を見て買戻しを決めるということでしょうか。

大臣

  これは需給の環境が大きく変化をして、買戻し、また買入れの環境が整った場合に機動的・計画的に行うということで、今、具体的に申し上げるべきタイミングではないというふうに思います。やはり求められている今局面というのは、米価の安定ですから、今この局面でブレーキとアクセルを同時に踏むようなことっていうのは、マーケットに対して的確なメッセージを送ることにはならないというふうに思っています。今日の時点でしっかりと受け止めていただくべきメッセージというのは、過去9年間で最大の生産量が出る。そして過去を比べてもこの作付面積の10.8万ヘクタール増加というのは、最大の作付面積の新潟県丸ごと増える。これだけの面積が増えたこと、そして過去10年間で最大の民間在庫の量に匹敵する水準になる。このことをそのまま受け止めていただくことが、結果、消費者の心理にも安心感を与え、不足感を払拭できるだけの状況に持っていって、結果として生産者の皆さんも安心して米づくりを営むことができて、消費者の皆さんも、安心してお米を買い続けることができる環境に繋がると考えています。


記者

  もう不安に、つまり、現時点では安心は大分醸成されたということですが、あえて言うなら何か今後の不安というか課題というのは何かありますでしょうか。

大臣

  私、よく不安ビジネスだっていうふうに言うんですけど、これだけの今安心できる供給量を生産者の皆さんに出していただいたときに、今不安を言うべきかと言われれば、寄り添うべきなのは生産者の皆さんが努力をいただいたこれだけの生産量ですが、一方で、これだけ出たから、価格大丈夫かというふうに思っておられる生産者の皆さんの不安に寄り添うことは大事だと思います。ただ、消費者の皆さんにこの数字をもって何か不安はって言われたら、それは消費者の皆さんには、安心して必要なときに必要なだけお米を買い求めいただければ、もう需要を満たすだけの十分な供給量を農家の皆さんは出していただきましたと、こういったメッセージが現時点では的確なものではないでしょうか。


記者

  最後の1点だけなんですが、ちょっと政務にも絡んでしまうことなんですが、先ほど出た公明党の連立離脱のことなんですが、公明党は非常に農政にも詳しい精通した先生方も多くてですね、非常に自民党としても助けられた面も多かったと思うんですが、公明党が連立離脱することで、何か農政への悪影響というのは考えられますでしょうか。

大臣

  今現時点では、判断を早急に、この影響が出るというべきタイミングではないと思います。今私のもとで政務官は庄子政務官が公明党から入っていただいていますが、引き続き今仕事をしていただいている状況です。そして農政についてはですね、これは、公明党に限らず、野党の皆さんと大きな認識は変わらないんじゃないでしょうか。私も委員会などにも出ていますけども、この需要に応じた増産ということに対して、否定的な声はありませんし、そこは、今自公がこういった状況になったことで、農政の行方に対して不安視をする、そういった声があるとしたら、そこは私は公明党に限らず、多くの政党と基本的な方向性は一致を見ていると。こういったことを現場にも届けて安心していただきたいと、そして、石破政権として、残り何日かわかりませんけども、米価の安定、そして農林水産行政の安定に向けて全力を尽くして最後まで職責を果たしていきたいと、その決意をお伝えしたいと思います。


記者

  今回米の生産量はかなり増えましたけども、一方でその米価を見ると、やっぱり下がってないと、あまり下がってないってことで、もしかしたらですけど、この需給バランス以外に、コメの値段が上がっている要因があるんじゃないかと、そういう考え方を持ってもいいのかと思うんですが、小泉大臣としては今どういうお考えなのかお聞かせください。

大臣

  まず、今日発表している63万トンと、今価格が下がっていないっていうところは直接の関係ではないので、やはりタイムラグってのはそれなりにあると思いますからこれからをよく見ていきたいというふうに思います。そして今ご指摘のあった、これだけ過去9年の中で最大の生産量が出たとしてもなお、仮にマーケットに価格の影響がないということだとすると、この需給以外の要因があるのではないかっていうご指摘については、例えば何か想定されてるものっていうのは。


記者

  例えばですね、7万社の調査で実際に回答あった19%ぐらいでしょうか。かなり流通が、実際の届出と違ってるんじゃないかっていうことを感じてまして。これもう少し、もうちょっと実態を把握する必要があるんじゃないかと思います。そのあたり、JAの買い取り以外の、要するにJA以外の買取業者の価格がなぜ高値で買い取るのかっていうところまで、いわゆるスポット価格に繋がると思うんですけど、そこの原因をもうちょっと深掘りしないと本当のこの米価高騰の要因っていうのは、やっぱわからないんじゃないかなと。先ほど大臣は、今回出たからこれから米価ってのはどうなるかわからないっておっしゃいますけども、意向調査でもすでに56万トン前年より増えるというのは、もう再三、大臣おっしゃられてきてますので、今回でまた更に上積みされましたけども、実際は米価そこまで下がってないっていう認識は私はあるんですけども、そういうことを考えるとやっぱり需給バランス以外にも要因があるんじゃないかと思いました。

大臣

  私はその指摘は一定同感です。その同感だという一つは、我々農林水産省に対する信頼性。農林水産省は去年こう言ったけど違ったじゃないかということに対する、やはりご指摘に対して我々は謙虚に受け止めなければいけないってのが一つ。そしてもう一つが、流通の全容だったり実態をより精緻に把握すべきではないかというご指摘も、まさに同じような思いですので、流通の全体像をより透明にしなければならないということで今作業も進めているとおりです。そしてもう一つ、この需給バランス以外での要因を一つ挙げるとしたら、やはりこの消費者心理、これに対しての働きかけだったり、この心理を変えるということへの政策効果や政策メッセージというのは、かなり難しい、苦労した面ではあると思います。ですので、今まで仮に我々の予測が当たれば56万トン出ますというふうに言い続けたけども、そんなに価格に影響ないんじゃないですかっていうご指摘については、それだけ本当に農林水産省が言うほど出るのかなっていうふうに、我々の見誤った過去もありますから、そのようにまだまだ本当に今日の63万トンが出るまでは額面とおりは受け取らないぞっていうマーケットのプレーヤーがいたとしても、私はそのとおりなんだろうと。ただ、やはり今日からはステージが変わったんじゃないでしょうか。実際に63万トンが出て、農水省が言ってた56万トンに対しても本当かなと思っていたら、それをはるかに上回るものが出た。なので、今後のマーケットの状況をよく注視したいっていうのは、そういったことも含めた思いだということはご理解いただければ幸いです。


記者

 最後になりますけれども、大臣就任されてコメチームを作られて、地方農政局とか500人体制だったと思うんですが、石破政権があと間もなくですけども、小泉大臣が作られたコメの対策チームですね、今後どういうふうにしていくお考えなのかお聞かせください。

大臣

  これは本来、コメチームができない状況にしなければいけないというのが行政の責務だと思います。やはり農林水産省の中の仕事の大きな一つは、米価の安定と安定供給、これを実現をする。そして国民の皆さん、生産者の皆さん、消費者の皆さんがコメに対して不安を持つことのないような環境を常に実現をすること、これですから。そもそも、私が大臣になって、備蓄米の放出という事態に至らなければ、一番良かったと思います。生産者の皆さんに対しても、そのことで不安を与えてしまったっていうのは、なかなか長年、農家の皆さんの努力が、苦労が報われるだけの米価を実現できなかった、手取りを実現できなかった。そういった中で上がってきたと思ったら、ようやくその時に備蓄米を出すのかと、こういった思いを持たれた方々に対しては、その事態を招いてしまったことに対して、今でも申し訳なく思っています。ですから、これからもずっとコメチームがあり続けることというのは、米価の安定が実現できていない環境が続くということにもありますから、私は一刻も早くチームが元の農林水産行政の形に戻っていくことが一番望ましいことなんだろうというふうに捉えています。ただ今日の数字は、正常化、そこに向けた段階に1歩前に進んだというふうに捉えていいのではないかなというふうに思います。


記者

  お米についてなんですけれども、備蓄米の買戻しの時期、規模について言及すべきタイミングではないというお話をされました。ただお米業界を実際取材すると、やっぱりこれだけお米が出てくるっていう見通しが立つ中で、暴落に対する危機感っていうのがかなり今高まってる状況を実際感じます。そうすると、やはりこの暴落したときに、生産者もそうなんですけれども、いわゆる、もうすでに集荷をしてしまっている業者さん、中間業者さん、かなりいらっしゃると思うんですけど、この方たちに対するある意味今後の安定に向けたメッセージ性っていうのは、もう少し力強いものがあってもいいのかなとも思ったんですけども、そのあたり大臣どのようなお考えでしょうか。

大臣

  これはですね、これだけ不足感が出た後に安心してお米を買い続けることができ、生産者の皆さんも安心して営み続けることができることの両立というのは、やはりメッセージのタイミングもメッセージの強さもよく考えなければならないというふうに思っています。ただ、間違いなく言えることは、最終的に米価の安定に繋げる上で、十分に需要を満たすだけの供給量を出していただく。これを今回農家の皆さんに実現をいただいたわけです。このプロセスは安定化に向けて間違いなく必要で、メディアの皆さんの立場からすれば、高いときは高いといい、そしてこれだけの量が出ると安くなったらどうすんだと言いたくなる気持ちは十分分かります。一方で、これは安定化に向けた一つの過程を超えなければいけないっていう局面を、全体として見たときに、今この63万トンをもって、すぐに元に備蓄水準を今戻しますとか、あとはこの時点になったら戻しますっていうことが全体の米価安定に向けたプロセスの中で正しいことなのか。そういったことについては、よく少し時期を見ながら考えるべきだという行政側の対応としては、ご理解いただきたい面があるなというふうに思います。もちろん、不安に思っている方々に対応すべきだと思いますから、これは一貫して、環境が整った場合には備蓄水準を戻しますと、加えて、JAの山野会長がおっしゃったように、それを機動的にやって欲しいということに対して、機動的にやりますと明確にメッセージを発信しているのは、まさに今ご指摘の安心を届けたいっていう思いの表れでもあります。


記者

  もう1点なんですけども、これだけのコメの量が出てくるというメッセージ自体は、すでに今現実的には、JAも民間の集荷業者さんもですね、あと卸さんも含めて、かなり高値で確保してしまっているという状況がある中で、これだけのお米が出てきますよというメッセージを今出すっていうことは、そうした業者さんに対しては、どういったメッセージになるのか。また、このメッセージが価格に対してはどういう影響を及ぼすと大臣お考えかお聞かせください。

大臣

  まず、これ基本的なことなので申し上げますと、このタイミングというのは、例年のタイミングです。何か今のタイミングで、私の、大臣の独断で今日、米の、新米の収穫量を発表したというものではありませんので、そこは基本的なご理解をいただきたいというふうに思います。そして高値掴みをした方に対してどうするんだっていうことについては、やはり、そこは民間の皆さんが判断をする中で、我々が介入すべきところではないというふうには思いますので、まさに収穫量を持って、マーケットの皆さんでこれを受けて取引をする時期が来ると思います。そして、それは新米のこれだけの量を見た上で、価格の変化など、これもやはりマーケットが決めるべきことだと思いますが、そういったプロセスを経なければ安定化には繋がらないので、私としては今の質問のご趣旨っていうのはどのように受け止めたらいいのかなっていうのは、それは高値掴みをした方に対して何か支援をすべきだと言いたいのか。これはどういったご趣旨なのかなというのは思います。


記者

  支援も一つなのかもしれないというのは、この1年で主食が2倍の価格になるっていうのは、ある種、これまでのシステムに何かしら問題があった。農政の失敗ともしかしたら言えるのかもしれないんですけども、そうしたところの責任というのはやはり行政の側にはあるのではないかなと、一定あるのではないかなと思うので、今回高値で掴んでしまったら民間の判断だから、それは民間で判断することというのは少し無責任かなと思いましたけど、そのあたりいかがですか。

大臣

  そのご指摘は、私は当たらないというふうに思います。ただ一方で、1年間で、2倍、2.5倍に米価が上がってしまったっていうことに対して、政治がとるべき判断がある。こういった中での備蓄米の放出に繋がって、そのことで現場に大きな負荷をかけてしまったり、また生産者の皆さんに不安を与えてしまっているっていうことは当然ですし、消費者の皆さんにも、何でこれだけ高いんだろうか、この消費者の皆さんが安心してお米を買うことができない環境になってしまったと、このことの責任を我々農林水産省としては受け止めなければならないというのは事実です。そのとおりだと思います。ただ、今後正常化のプロセスの中を一つ一つの過程を進まなければいけない中で、今のご指摘の高値掴みをしてしまった方に対して、行政が何かできるのかっていうことについては、やはりそこは生産量も見て、収穫量も見て、最終的に値付けをするのがマーケットでありますから、そこは我々もよく注視をしたいと思いますし、必要な対応ができるところはもちろん考えたいと思いますが、まずそこは生産量、収穫量をよく受け止めていただいて、冷静に対応いただければというふうに思います。


記者

  今回これだけの生産量が出たことで、石破政権になってから需要に応じた増産っていうふうに政策転換したわけですけど、それは野党にも先ほど共有されてるってことでしたけど、こういった大きな流れが、今回これだけの生産量が出たことで、何か影響しないか、ブレーキがかかるのではないか、大臣のお考えをお聞かせください。

大臣

  これは需要に応じた増産という方向性を石破政権で出すタイミングは、作付をされた方々の中での判断にどこまで影響されたかっていうことはよくこれから見なければいけないとは思いますが、今後この増産の意向をどれだけの方が持たれるか、これはよく生産者の皆さんのご意向だったり、地域、産地のお考えもこれからよく聞かなければいけないと思います。その点も、この63万トンをもってマーケットがどのような変化が生まれるか、これによっても変わりますから、今後よく見ていくということに尽きるんだろうというふうに思います。


報道官

  よろしいでしょうか。それでは大臣会見を終了いたします。

以上