小泉農林水産大臣記者会見概要
日時 | 令和7年10月10日(金曜日)10時35分~10時55分 於: 本省会見室 |
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主な質疑事項 |
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質疑応答
大臣
本日、私からは1点、ご報告がございます。令和6年度の食料自給率についてでありますが、カロリーベース自給率は前年度並みの38%、生産額ベース自給率は前年度比+3ポイントの64%となりました。カロリーベース自給率については、春先の天候不順の影響により小麦の生産量が減少したことがマイナス要因となる一方で、主食用米と砂糖の生産量の増加がプラス要因となり、前年度並みとなりました。生産額ベース自給率については、米、野菜、畜産物の国内価格が上昇したことがプラス要因となりました。詳細はこの後プレスリリースをいたします。本日、私からは以上です。
記者
食料自給率についてお伺いします。今大臣おっしゃってくださったようにカロリーベースで4年連続38%と横ばいなんですが、こちらは政策効果が出ているのか受け止めを伺いたいのと、あと30年度に45%に引き上げる目標を掲げていると思いますが、達成見通しについて教えてください。
大臣
現実には論争にならなかったというのは、それだけ共通の認識が基本的にはあるということだと評価すべきではないかなというふうに思っています。日農さんからも総裁選のアンケートが来て、あなたは増産ですか、それとも需要に応じた生産ですかという、こういうシンプルな問いだったのですけれども、私はもちろん増産に丸をつけたのですけれど。これは、需要に応じた増産という回答がないという、選択肢が、こういったところだったので、そう答えるという、よくアンケートにあることです。なので、基本的に全員一致してるのは、需要に応じた増産ということに対しての否定的なことはないのではないでしょうか。
記者
増産に関係してちょっと教えていただきたいのですけれども、大臣、以前輸出を拡大して、いざというとき、国内で足りないときに、その輸出分をバッファとして活用できるというようなご発言があったかと思うのですけれども、実際、輸出に取り組まれている農家の方に取材をしますと、海外のお客さんもやっぱり大事でですね、国内が足りないからといってそれをキャンセルしたら、それは信用問題に関わるんだというようなことをおっしゃる方もおられました。大臣改めて、バッファとして活用するということは可能なのか、お考えをお聞かせください。
大臣
政策効果があるか、出ているかっていうことですけども、食料自給率は平成10年度に40%となって以降、ほぼ横ばいで推移していますが、これは我が国の主食である米の1人当たり消費量の減少等が自給率の減少要因となる一方で、これまで増産に取り組んできた小麦や大豆では、平成10年度から大幅に生産量が増加し、自給率の上昇に寄与するなど、政策効果は一定程度出た上での結果だというふうに受け止めています。目標についても今、お尋ねがありましたが、2030年度を目標とする基本計画に基づいて、輸入依存度の高い小麦、大豆等の生産性向上を図るほか、米について、輸出を含めた国内外の需要拡大や生産性向上を図ることによって、国内農業生産を増大させることとしており、食料自給率の向上を目指していきたいと思います。
記者
今の自給率について関連でお伺いします。食料・農業・農村基本計画では、今までのカロリーベースと、生産額ベースに加えてですね、摂取カロリーベースという自給率を新たに設けることになって発表になると思います。その一方で、これまで公表してきた自給力指標はなくなるということで、それぞれの狙いというか、政府としての見直す狙いを教えてください。
大臣
これまで公表してきた食料自給力指標は、その時点で存在する農地や労働力を前提に、食生活パターンを変化させた場合にどの程度国民にカロリーを供給することができるのかを試算したものでありますが、この指標については、肥料や農薬等の生産資材を制約なく使用可能と仮定しており、現実的ではないとの議論もあったところです。このため、今年度閣議決定された食料・農業・農村基本計画においては、食料自給力指標に替えて、国内の農地や労働力等の生産基盤や肥料等の生産資材の確保についての具体的な目標を設定し、これらの目標値への達成度を毎年度評価・公表することを通じ、食料自給力の確保を図ることとしています。また、摂取熱量ベース自給率についてもお尋ねがありましたが、実際に摂取している熱量に占める国内供給熱量の割合を示したものに近い数値を示すこととなり、一定程度食品ロスの影響も除いた数値としての意義があると考えています。
記者
政務的な話ですが、この間(7日)の火曜日に(閣議後大臣会見に)来なかったので、小泉さん総裁選では高市氏に敗れたということで29票差ということです。今回の結果、どういうふうに受け止めているかということと、取材をしていますと、シャインマスカットを含めたアピールも兼ねて、ASEANの会合に行かれて、そのことに17時間の滞在、永田町に居なかったということが結果として、これが足を引っ張ってしまったんじゃないかという指摘あります。一方でシャインマスカットについては賛否両論出ていましたので、小泉さんとしては総裁選さなかに出たことについて、今振り返ってみて、どういうふうに思っているかということ、そして現在、高市総裁から要職への起用についての打診が現時点であるかということと、今、今日のニュースになっております公明党が今、高市総裁のもとでは組みにくいということで、離脱を示唆するような発言等々がいろいろ出てきております。公明党が自民党と連立をしないとなると、これかなり自公政権にとっては打撃になると思いますが、現時点でこれははっきりはしませんが、こういった今、報道等が出ていることをどう受け止めているか教えてください。
大臣
1点目、総裁選の結果をどう受け止めているかということでありますが、これは結果がすべてを物語っていると思います。私に足りないものがあり、届かなかったと。その中で大変ありがたく思っているのは前回、昨年議員票においては75票ということで1位をいただいて、今回議員の数が減ってもなお80票という大変多くの議員の皆さんからお支えをいただいたと。一方で党員票について昨年3位ということで、決勝に届かずということでありました。この中で今回2位ということで、前回は地元の神奈川県のみ1位という結果でありましたけども、大変多くの全国の仲間たちの働きかけも含めて、支えていただいた結果、3分の1の党員票を獲得できるところまで、私を押し上げていただいたことが、決勝まで私をあの舞台に上げてくれたということで、私としては、自分に足りなかったものをしっかりと見つめ直し、そして、また支えてくれたすべての皆さんに対する感謝を忘れずに、次に向けて、これを糧にここからまた頑張りたいというふうに思っております。2点目が海外公務、この関係ですが、これはもう当初から石破総理からも閣僚が出る場合は、しっかりと公務を両立させるようにという指示のもとです。これについていろんな声があるのかもしれませんけれども、それは農水大臣として総裁選の日程があろうとも、しっかりと公務をこなすのは当然のことだと思います。(高市総裁からの要職は、)現時点ではありません。そして4つ目が、今の公明党さん。これは政治状況については、私は詳細を把握している立場ではありませんので、特に私が今コメントすることはありません。
記者
今回小泉さんは、事前の予測では100票を議員票が上回るんじゃないかという指摘もありました。蓋を開けてみたときに、報道等出ていますけど、やっぱり麻生議員の動きが、結果として党員・党友の支持を尊重した票を入れろという、これは誰に入れろとは言っていないんですが、麻生さんの投票日前日、数日前ぐらいからの発信が結果として、高市票に流れていったと、特に決選ですね。茂木さんも総裁選の後に、麻生さんには恩義があると。そして小林さんも、高市さん側に入れたということをおっしゃいました。これは私から見ても、派閥は本来解体されるべきで、麻生派だけが残っており、そしてその派閥のトップである麻生さんが結果として今でも、自民党の高市内閣が麻生内閣と言われるような人事構成になってしまっている。これは結局何も変わってないんじゃないかという、私も含めて国民のやはり有権者たちも、ひどい失望も今根強いと思います。これは党の中でのことですが、取材をしていますと麻生さんは進次郎さんがもし総裁になった場合に、お父様の純一郎さんが85歳の中曽根さんに引退勧告を突き付けたときと同じような目に、ご自身が引退に追い込まれるんじゃないかと。これは確かに取材をしていると周囲に懸念を示したという声もあります。ちょっとその一言言えば、麻生さんに対してどうかというのは言いづらいんですが、自民党としてやはり変わらないんじゃないか、というふうに今見えてしまっている、この高市人事ということについて、小泉さん自身がどう思うのかちょっと言いづらいところ、たくさんあるかもしれませんのでお話できる範囲でいいのでお願いいたします。
大臣
もちろん人事は選ばれた総裁の専権事項ですから、私がコメントすることではありません。そして総裁選の間にどんなことが実際にあったのかというのは、これはデマも、そして真実も玉石混交の中で、情報戦、心理戦が行われるものです。そういったことについて、一つ一つ論評すべきではないというふうに思いますし、戦った当事者の私からすれば、結論、様々な分析は見聞きしますけれども、そして私もしますが、党員票を取れていればよかっただけで、それを十分とることができなかった。そのことに対して、しっかりと自分が直視をすると、こういったことが一番前向きな一つの総括なんではないでしょうか。
記者
今の関連でもあるんですけれども、高市さんになって党役人事があり、かなり露骨な論功行賞になっていると思います。小泉さんは総裁選を通じて、自民党の一致結束を訴えてきた立場ですけれども、そこからご覧になって一般論でもいいので、今それをどう見ていらっしゃるか。そして、総裁選において、最後も党の一致団結を訴えてらっしゃいましたよね。最後決選投票の演説で。そこでもう少し政策話をしていればよかったのではないか。全体を通じてそういう指摘はあるわけですけれども、それについてどう思いで、仮にその政策を訴えていたとしたら、どの部分を一番訴えたかったか。そして最後に、アベノミクスなんですけれども、今、高市総裁が決まり月曜から147円1ドル、147円がいきなり150円になり、今153円になっています。これまたインフレが加速するのは必至です。小泉さんは、私はアベノミクスの大規模な異次元の金融緩和と言われるものが、今の物価高の背景にあると思いますけれども、資金をじゃぶじゃぶにしたことで。このアベノミクスが今のインフレに与えている影響をどう思うか。ご自身これからも、一議員として、政策に貢献されていくと思いますけれども、アベノミクスをどうすべきか、どう総括し、そこからどう脱却するのか、続けるのか、そこを小泉さん自身としてどうお考えかお聞かせください。
大臣
1つ目(党役員)人事については、これはやはり選ばれた方の専権事項ですと、それ以上のことはコメントすべきではないというふうに思います。
記者
偏っていることについてもコメントされませんか。
大臣
これはもう人事は選ばれた方がやるものだと思います。そして、最後の5分間の決選での演説につきましても、この政治の世界というのは、タラレバを語ればきりがありません。そういったことについても向き合いながら、いろんな声も私も拝聴しながら、しかし、やはり総裁選の中で党員投票、この中でルールの中でそれを十分に積み上げることができず、高市さんの方が取ったのは間違いありません。そういったところについてしっかり直視すべきだろうというふうに思っています。
記者
政策として一番訴えたかったことは何ですか。
大臣
これは政策として訴えてきたことは、ずっとこの総裁選期間中はインフレ対応型の経済運営に変えるべきだと、これを中心に訴えてまいりました。物価高の対策についても、ガソリンの暫定税率の廃止、そして所得税制についても、物価や賃金の上昇に合わせて基礎控除等を引き上げるべきだと。そういったことに加えて、地方に対して、産業集積、こういったことに対しても、日本の生産力、供給力を増やしていくことで、日本の成長軌道に乗せていくと、こういったことを語ってまいりました。それと最後の点のアベノミクスの評価が、私は関係すると思っていますが、安倍総理は一貫してデフレからの脱却、これを政権の最優先課題の一つに据えて、日銀とのアコードも含めて、金融政策と、そして財政政策を両輪で、また3本の矢で考え方を整理されて、経済運営を果断に取り組まれてきたと承知をしています。私も安倍政権での環境大臣を務めていました。そして今回、私が訴えていたことは、そのデフレ脱却からようやく安倍総理の時代を経て、経済状況がデフレ局面からインフレ局面に移りゆく中で、経済運営の形を、まさにそのインフレ局面の形に変えていかなければいけないというところまで運んでこられた、その功績っていうのは、私はあるんだろうというふうに評価をしています。
記者
そこから脱却すべきということでしょうか。
大臣
その礎のもとに、インフレ対応型に十分なっていない経済政策、経済運営全体を閾値とか、そしてまた、公的指数の見直しとか、公定価格とか、様々な部分がありますので、そういったところは政府全体として、より強化して見直していかなければいけないというのが私の訴えでした。
記者
大臣ご自身のお気持ちとして農水大臣、続投したいということはあるんでしょうか。石破総理が決断した大きな政策転換、米増産を引き続き、取り組んで、食料安保上にもプラスだということで、ぜひ続けたいというお気持ちはないんでしょうか。
大臣
人事については、したいとか、私の個人的な思いではなくて、総裁、また総理、人事権者が決めるべきことだと思います。一方で、私が5月から石破政権の農水大臣として、特に米に注力をしてきた中では、本当に農水省の職員がついてきてくれて、この激動の日々を支えてくれたことに対して、私は感謝の気持ちでいっぱいであります。今日の午後、改めてこの新米の収穫量も出たところですから、そこに対しての記者会見を改めてやらせていただきますが、この石破政権の中で最大の課題の一つであった米の価格高騰、令和の米騒動とも言われますが、この収束をさせなければいけないという、こういった大きな仕事に農水省の職員と一緒になって日々議論しながらできたこと。これは私の中で、ものすごく大きな人生の中での財産になっています。これからもその感謝の思いを忘れず、どのような立場になっても、農水省の取組が日々どれだけ汗をかいて必死に仕事をしているかというのは、生産者の皆さんに消費者の皆さんにも国民の皆さんに伝わるように、どのような立場であっても努力をしたいと思います。
記者
党内融和を総裁選で訴えられて、この会見でも繰り返し石破さんと会ったときに伝えたとおっしゃいましたが、党内融和の意味でも、大臣が続投して米増産政策を引き継ぐという、メッセージを発することが重要なような気がするんですが、その点はいかがでしょうか。
大臣
まさか横田さんに応援されるとは思いませんでした。ありがとうございます。その思いだけ認めさせていただきます。
記者
最後に麻生人事と言われていることに対して、これも解党的出直しとかですね、党内融和といったことと、真逆にですね、古き自民党に戻っただけという印象を受けるんですが、その辺の受け止めはどうなさっているんでしょうか。
大臣
それはまさに新しく選ばれた総裁が作り上げていくのが、新たな自民党と国民の皆さんに信頼回復という形で取っていただけるかどうか、これはまさに党一丸となって取り組まなければいけないと思っています。
記者
冒頭の食料自給率に戻るんですが、38%というカロリーベースの数字に対して大臣の率直な受け止めをお伺いしたいのがまず1点と、今回については、米の消費量が増えたことがカロリーベースに影響を与え、米の価格が上がったことが生産額にも影響を与えていて、今後の米政策が食料自給率にも影響を与えていくと思うんですが、(食料)自給率の向上に向けて米政策から見て、輸入米が増えれば自給率が下がる可能性もありますし、そのあたりの見通しというか見解をお願いします。
大臣
詳しくは正確に収穫量が出た後の方が、いろいろお話はしやすいなというふうには思いますが、過去、平成12年(度)以降見ていれば40%というのが平成21年(度)のカロリーベースの自給率で、それ以来40%を超えていないということを考えると、この1%を伸ばすのがいかに大変なことかっていうのは率直に感じています。そのことについても、担当の部局とも議論をさせていただきましたけども、やはり寄与度として高いのは米。この米の消費がいかに増えていくか。これが今回の食料自給率、今日発表したものについては、最近の予想よりも実は米の需要はあったという、こういったことが十分には反映されている時期のものではないので、今後、来年の自給率発表などで語るべきなのかもしれませんが、私としては、やはりこれから、いかに米の需要を増やしていけるか。これは、お米という形だけではなくて米粉も含めて、いろんな新規需要も含めた開拓、そして拡大策っていうのが、私は極めて重要なことなんだろうというふうに思っています。より詳細については、今日の新米の収穫量、こういったことが反映されてから、発表されてからの方がいいのではないかなというふうに思います。
報道官
よろしいでしょうか。それでは大臣会見を終了いたします。
以上