鈴木農林水産大臣記者会見概要
| 日時 | 令和7年10月24日(金曜日)11時22分~11時44分 於: 本省会見室 |
|---|---|
| 主な質疑事項 |
|
質疑応答
記者
大臣、これまでに需要に応じた生産が原則と何度もおっしゃられているかと思うのですけれども、来年の生産量を今調整されているというところで、需要を賄えている数字だと思います。ただ、大臣もおっしゃっているように、天候に左右されたりして、仮に不足感が出て、去年と同じようなことが仮に起きることもあるかと思うのですけれども、少しバッファを持たせて調整するなど、そういった考えがあるのかお聞かせください。
大臣
来年の需要の見通しということで、今日党の方にもお示しをして、ご議論を今まさにいただいているところだというふうに思っております。今おっしゃったご指摘は、本当に全くそのとおりだと私自身も思っていまして、様々な今後天候リスクも含めてあるというふうに思っておりますから、そうしたことも考えて、全体で皆さんに、これは生産現場の皆さんと、また消費者の皆さんのこともしっかりと考えて、どの水準が我々として、需給のバランスを保つ、そしてまたそれが、安定的な価格になるという意味で適切なのかということで判断をさせていただいて、今後食糧部会、お諮りをさせていただきたいというふうに思います。
記者
2点目ですけれども、お米券の配付などの考えも示されていますが、価格にコミットしないという承知をした上で、生産者のためにも、再生産可能な価格というところで、ある程度米の高値を保ったほうがいいという考えでしょうか。
大臣
まずお米券、ちょっと趣旨をご説明をさせていただきますと、現在の物価高騰への対応等として、21日に高市総理大臣より経済対策の指示が出たところであります。具体的には、足元の物価高に対しては、総理指示で示された、重点支援地方交付金により、地域のニーズにきめ細かく対応していくこととなっています。私がお米券について発言したものは、必要な地域において、すでに重点支援(地方)交付金で対応しているところもある訳なので、そうした地域をこれからも物価高対策の中で後押ししていくという趣旨で申し上げたものであります。その上で、お米の値段が再生産可能な水準であるべきなのかどうかというご質問でありますけれども、ある程度高値という言い方がどの辺を指しているかは、まずよくわかりませんが、私としては基本的には、生産者の皆さんが再生産可能な価格というのが、まず1つの指標になろうかというふうに思っています。ただ、それ以上に大切だというふうに思いますのは、消費者の皆さんに、これは消費者と言っても、様々な消費者がいますから、様々な立場の皆さんで、そこの価格帯を受け入れていただけるかどうかということも考えなければならないと思いますので、その範囲内の中で、最後はマーケットで決まっていくと思いますし、そこに対して国の責任は、やはり需給の安定。足りないという事態だけは起こさないように努めていくということが大事かと思います。
記者
スルメイカについてお伺いします。昨日のグループインタビューで、小型するめいか釣り(漁業)に対し、留保枠を他の漁法から振り分けることも検討すると発言ありました。この留保分を振り分ける場合、小型スルメイカの採捕停止命令というのは、そもそも出さないのか、または命令は出すものの、その後命令を解除するお考えがあるのかということと、また、留保分を振り分ける場合はいつ頃になるのか、この点についてお願いします。
大臣
今般、この小型するめいか釣り漁業の漁獲量が、これが大臣管理漁獲可能量4,900トンを超過をしたことから、令和8年3月末までスルメイカの採捕を停止する命令を今月末までに発出をすることとしたところであります。現在、漁業種類ごとの漁獲可能量の消化状況というのを確認をしながら、今おっしゃっていただいた、国の留保分5,700トンのうち、他の漁業種類への配分見込みから振り替えるための調整を進めております。この調整がつく場合に、11月5日の水産政策審議会の資源管理分科会に諮問をさせていただきまして、速やかに振替を実施することとなりますが、これをもって、採捕停止命令の解除を検討することが可能になるかどうか、現時点で予断を持って申し上げる状況にはないというふうに考えております。 昨日の、少し私のお話に補足をさせていただければ、現場の漁業者の皆さん、上限が来ちゃうということについて、おそらく情報面で十分ではなかったのではないかという話も、私の耳にも入ってきております。そうした皆さんの置かれた状況、こういったこともよく考えながら、これから様々な判断をさせていただきたいというふうに思っています。
記者
その5日の会議の中で留保分をプラスしても、今漁獲しているものよりも枠が下回っていたら命令は続くという、そういう理解でいいんでしょうか。
大臣
現状で、予断を持って申し上げることはできません。
記者
2点大きく伺いたいと思います。1点目は、有明海再生に関連してなのですけれども、本年度から加速化対策の交付金が始まっているのは承知しているのですけれども、漁業者の中には、厳しい現状が続いているということで、開門調査を望む声というのも依然としてありまして、非開門を前提とした有明海再生を目指すという大臣談話を今後も踏襲されるかという部分と、鈴木大臣、(農林水産)副大臣時代に佐賀を訪れられて、漁業者の方とも意見交換をしたと山下副大臣に伺っておりまして、現地視察、今から海苔の漁期も始まりますので、なかなか受け入れも難しいのかもしれませんが、そういったご意向があるのか、という部分で伺えたらと思います。
大臣
まず諫早湾干拓事業をめぐっては、これまでの大臣談話に沿いまして、開門によらない有明海の再生を目指す、この考えであります。私自身の現地訪問については、国会日程等を勘案しながら、今後必要に応じて検討してまいりたいというふうに思います。特に佐賀県選出の山下さんが、副大臣になっていただきました。山下さんには、かねてからこの有明海再生加速化対策の実現にご尽力をされたというふうに承知をしておりまして、山下副大臣ともしっかりコミュニケーションして、協力をしながら、有明海の再生、進めてまいりたいというふうに思います。なお私にとっては、昨年のこれは6月になりますけれども、(農林水産)副大臣という立場でありましたけれども、この公務でいけば、なかなか本音ベースのお話も聞けないのかなという問題意識もありまして、山下さんと話し合って、政務の活動として、私たちと同世代の漁業者の皆さんが、有明海において将来どういう展望を描いているのか、こういうお話を、是非ゆっくり聞きたいということでお邪魔をさせていただきました。そういったこともよく自分自身も踏まえまして、これから現場の皆さんに寄り添って現地にも、是非行ける機会があれば考えたいというふうに思います。
記者
また米の話に戻ってしまうのですけれども、日本テレビが200名ほどの生産者の声を集めた結果、生産者からの「需要に応じて生産を調整することで、価格が下がりにくくなりメリットがあると思うが、日本の将来を考えると「増産」すべきと思う。どうするのか生産者に対しては、はっきり答えて欲しい。」という、そういう声が聞かれています。今後増産方向に行くのか、主食用米の減産も含めて調整する方向に行くのか、改めてですけれども大臣の考えをお聞かせください。
大臣
本当に米について、こんなに皆さんが熱心にご質問いただくことは、多分これまでこんなになかったので、米を愛する私としては、本当にうれしいなと思っています。農林水産省としては、これは私としても、でありますけれども、まず2030年の生産量、これを791万トンから818万トンに増大をさせるという基本計画の目標の下で、「需要に応じた生産」を進めるというこれまでの方針に変わりはありません。なので、そういう意味で言えば、今の水準よりも減るということではなくて、増えていくということになろうかというふうに思います。私は就任会見でも申し上げましたが、生産者の皆さんから見て、安心して先の見通せる農政を実現をすることが重要であるというふうに考えております。特に米づくりは、1年1作ですから、各生産者が需要に応じた生産を行うことができるように、1年1年というのは、正直様々なブレというのがあるのだというふうに思っています。毎年毎年、同じように増産ができるかどうかについては、これは消費者の皆さんがどのぐらい消費をしていただけるか、そして輸出がどのぐらい、さらに伸ばすことができるか、こういったことを踏まえて需要というのが決まってまいりますから、そうしたことも踏まえて来年はどうあるべきか、というのは需給見通しの中でお示しをしていきたいというふうに思っています。
記者
2点あるのですけれども、1点目が今朝、自民党の委員会に大臣ご自身も出席されて、価格にコミットしないというご発言の真意についてご説明されました。このご説明のされた意図について改めてお伺いしたいと思います。
大臣
今朝の委員会にも、多分来ていただいたのだと思いますけれども、私としての趣旨というのは、直接備蓄米を出し入れすることによって、価格に影響を与えるということをやるのではなくて、トータルとして需給の安定を図ることによって、結果として価格の安定が図られる。この手法が少し違うというようなことが、なかなか皆さんの報道ベースで、見出しで伝わってない部分、むしろ誤解を受けてる部分もあるのかなというご指摘が何人かの先生方からありましたので、せっかく今日は、この米の政策の議論をする場でありましたので、少し誤解をされてる方がいるとすれば、そうではないようにという趣旨で、発言をさせていただきました。
記者
米の価格について、消費者が受け入れられる価格なのかとか、そういった価格については大臣自身も注視されて、政策の検討材料にはされるという理解でよろしいでしょうか。
大臣
私が、いつもいつも会見で申し上げておりますけれども、どの価格帯だったら、どういう需要に結びつくのか。これも一つのポイントだというふうに私は思っていまして、政府がどの価格帯が良いとか悪いとかを言うべきではないと思いますが、様々な需要がどのような形であるのか、これはよく分析をして、今後そうしたことも参考にしながら、米政策の在り方というのを検討したいというふうに思います。
記者
細かくて恐縮なのですが、価格にコミットしないというご発言のこれまでのご発言の修正とか撤回ではなく、真意を説明されたと。なので、備蓄米で価格を上下させるのではなく、需給の安定によって。その上で、この今の4,000円台というお米の平均価格については、高いか低いかはさておき、消費者の受け入れられる価格帯に当たるのかについては改めてになるのですが、大臣としてはどのようにお考えでしょうか。
大臣
これについては、様々なご意見があるというふうに私は承知をしておりますし、実際私自身に対しても、もちろん私の家も含めて、私の妻も含めてお米を買いますから、買ったときにどう感じたかということについては、いろんなお話を伺っています。そうした自分自身での受け止めも含めて、これから皆さんのご期待に沿えるようにやりたいというふうに思います。
記者
ミニマム・アクセス米についてもお伺いしたいと思います。一般MA米は、9月、10月はアメリカからの中粒種の割合がほとんどを占めていて、アメリカ産のお米の輸入割合が増えています。日米首脳会談も近いとされていますけれども、先の日米合意に基づいて、アメリカ産の中粒種を指定して増やしているという理解で、今の現状よろしいでしょうか。
大臣
一般MA米の輸入については、国内実需者のニーズ、そして輸出国の生産状況や輸出余力、これら国内外の需給動向等を勘案をして、入札により実施をしております。アメリカ産の中粒種、これは従前より味噌、そしてお米のお菓子、おせんべいとか、こうしたもの向けに国内実需者から一定の需要があるほか、今年度はミニマム・アクセス以外の民間貿易による米の輸入の大部分をアメリカ産が占めるなど、国内のニーズがあることから、米国産の産地指定入札を増加をさせているところであります。
記者
アメリカ産中粒種を指定して、中粒種が不作のときにとか、今備蓄も減っている状態なので、一般MA米についても中粒種を増やしている状況というのはある(のでしょうか)。
大臣
MA米については、大凶作等の事態が生じ、政府備蓄米や民間在庫を活用してもなお、供給が不足する場合に活用することとしており、これを踏まえて、今年度、一般MA米のうち中粒種の量を相当増やすこととしています。
記者
地域計画についてお伺いします。就任会見のときは、実際に将来展望を持って議論に参画している人が、しっかり議論をして描けているというものは少ないのだろうというお話がありましたけれども、改めて、地域計画の今の策定状況の実態に対する問題意識と、あと会見では私たち自身は、私たち自身というのは農水省がということだと思うのですが、第三者として出向いて行って、それぞれ地域の人の立場を考えながら関与していきたいみたいなご発言がありましたけれども、具体的に農水省として地域計画の策定にどう関与していくのか、考えがあれば教えてください。
大臣
本年4月末までに全国の約1万9千地区で策定をされた「地域計画」は、地域の皆さんの話合いをベースに、基本的には策定をいただいたところだというふうに認識をしています。ただ一方で、現場にお邪魔をして実際どうだったのか、そういったお話をさせていただくと、地域には様々な思いを持つ農業者の方や地権者の方がいます。そしてまた、世代間でも将来の地域の農業に対する意向が異なるということもあります。そうしたことから、地域計画の協議の場において、思ったことがなかなか言えなかったとか、もしくは本来は自分は行きたかったのに行けなかったとか、そういった声も実際私は聞いております。なので、就任会見で申し上げたとおり、今後これからブラッシュアップが必要になりますから、私たち自身が現場に出向いて、どういった利害対立、様々な意見の相違、これに対して我々がどこまで調整できるかはやってみないと分かりませんけれども、一つ一つこれは、それぞれの地域の難しさというのは、日本全国それぞれ違いますから、人間関係もそれぞれ違うというふうに思いますから、また現地の役場の皆さんも相当努力をされて、地域計画をやっていただいているので、そうした皆さんが少しでも助かるように、農林水産省として、現場の課題解決につながる地域計画となるような提案をしていきたいというふうに思っております。
記者
昨日のテレビ各社とのグループインタビューで、価格については多層化しているということで、そして米については、不足している場合に備蓄米の放出を出すと、価格に対してではないと、といった場合に昨今あの、このグループインタビューの中で、備蓄米など安い価格を求める方々にとってのそういった米が非常に不足しているとおっしゃっていました。大臣もご覧なったことがなかったと。そういった意味で、備蓄米が今後、安い方が求めるその安い米が足りないときに、再度備蓄米を出していくというお考えはおありでしょうか。
大臣
私が就任会見で申し上げましたとおり、今備蓄米の在り方、党の方でも本質的なご議論していただいておりますけれども、政府備蓄米についての基本は、量が足りていなければ売り渡す、量が足りていれば売り渡さない。これが私としての基本的な考え方で、そうした考えに基づいて、私は運用すべきではないかというふうに考えております。他方で、やっぱりこの現在の米価格、これでは購入が厳しいという声もたくさんあるのも事実でありますから、そうした多様なニーズにしっかりと応えていけるような多様な生産、これを確保することは重要というふうに考えております。また現在の物価高騰への対応として、21日の総理からの指示のあった経済対策、この中で農林水産省としても、この重点支援交付金をはじめ、様々な検討を進めて今後具体化していきたいと思います。
記者
多様な生産ということをおっしゃったのですが、多様な生産というと、その安いお米とかそういったことも含めた多様な生産という理解でよいですか。
大臣
まさに今おっしゃったこと、そのとおりだと思います。様々な条件によって、もしくは生産方法によって生産コストというのがかなり変わってきます。そうしたことも踏まえて、どこだったらどうした取組ができるのか、こういうことを考えるのも大事だと思います。
記者
小泉前大臣は、米増産は食料安保上もプラスだと言うのに対して、鈴木大臣は、それを継続しようとしないと方針転換しようとしているのですが、台湾有事のときに、シーレーン封鎖で食料の輸入が途絶えたときに、日本人の多くが餓死しかねないという専門家が指摘しているのですけれども、こういうリスクはどうお考えになっているのでしょうか。
大臣
横田さんからご質問いただくことになる日が来て大変、今日は光栄に思っています。私としては、基本的にはまず、需要に応じた生産、これが基本だろうというふうに思っています。ただ、様々な安全保障上のリスクというのは、特に昨今高まっているというふうに言われておりますから、そうした場合においても、しっかりとした備蓄の運営、これをやることによって、私はしっかりと対応ができていくものだというふうに思っておりますし、それをやるのが農林水産省の責任であると思っております。
報道官
よろしいでしょうか。それでは大臣会見を終了いたします。
以上




