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農林水産省

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鈴木農林水産大臣記者会見概要

日時 令和7年10月28日(火曜日)8時31分~8時52分 於: 本省会見室
主な質疑事項
  • (大臣から)福島県出張について
  • 米価格に対する考え方について
  • 備蓄制度の在り方について

質疑応答

大臣

 本日、私からは1点ご報告があります。
 明日、29日水曜日に、根本副大臣、山下副大臣そして山本政務官とともに、福島県に出張させていただきます。東日本大震災の被災地における農林水産業の復興状況について、しっかりと視察をさせていただき、地元の関係者の皆さんと意見交換をさせていただきます。私は前、復興副大臣をやっておりましたし、その前の農林水産副大臣の際にも、福島、被災地の担当ということで、何度も何度も、これまで被災地に足を運んでまいりましたが、今回は、農林水産大臣として、改めて現場の状況を確認させていただきたいと思いますし、また、現場の生の声というのをお聞きをして、一日も早い農林水産業の再生に向けて、今後の取組を加速化をさせていただきたいというふうに思います。詳細は後ほどプレスリリースをさせていただきます。私から本日は以上です。


記者

 先週金曜(日)、スーパーの米価格、最新のPOSデータが公表されました。KSP-POSのデータでは、5キロあたりの価格が5週ぶりに上がって4,251円となっていまして、随意契約で備蓄米を出す前の最も高かった水準にかなり近づいています。一方で、少し長いスパンで見ると、9月以降は4,200円前後で推移している、高止まりともいえる状況です。大臣はこれまで、価格にはコミットしないとおっしゃっていますが、需給の安定を通して価格の安定化を図るともおっしゃっています。大臣から見て、現在の米価格、安定しているといえるのかどうか、政策的対応が必要なのかどうかも含めてお考えを聞かせてください。

大臣

 先週24日(金曜日)に公表いたしました10月13日から10月19日までのスーパー等での米の小売価格についてです。中小スーパーを主に対象とするKSP-POSは、109円上昇して4,251円。5キロ当たりということです。5週ぶりに上昇ということです。また、大手量販店を含む日経POSデータは、261円上昇して5キロ当たり3,711円。これは6週ぶりに上昇ということです。ドラッグストア等を含む小売店パネル調査は37円上昇し、4,247円。これは3週連続での上昇となります。3つのデータ全て上昇したのは6週ぶりということになろうかというふうに思っております。私自身は何度も申し上げておりますが、価格については、マーケットの中で決まっていくものであるため、大臣の立場で高い、もしくは安いというふうには申し上げませんけれども、スーパーマーケット、私もお邪魔をしますと、5キロで4,000円を切るお米がなかなか並んでいないということについては、よく認識をしております。特に食べ盛りのお子さんの多いご家庭や年金世帯の方々から、今の価格では購入がなかなか厳しいというお声も伺っているところでありますし、先日、私は山形新聞で記事を拝見いたしましたけれども、全国の世論調査でどのぐらいの価格帯が適切なのか、という調査というものも拝見をさせていただきました。それでは60%ぐらいの皆さんが3,000円台というお答えをしておりました。そうしたこともよく踏まえて今後、考えていきたいというふうに思いますが、現在の物価高騰への対応等としては、先週21日(火曜日)に、総理よりご指示のあった経済対策の中で、「重点支援地方交付金」により、地域のニーズを細かく把握をして、きめ細かく対応してまいりたいというふうに思っております。


記者

 最後にお話があった重点支援地方交付金での経済対策の件なのですけれども、大臣、お米券含めて対応というお話をされていましたが、元々所管は内閣府の方になるかと思うのですけれども、農水省としてどういうふうに関わっていくのか。メニューを示すだとか、どういうふうに関わっていくのかというところをお聞かせください。

大臣

 重点支援地方交付金。まさに、農林水産省のど真ん中の所管ということではありませんが、経済対策は政府全体として取りまとめるものでありますから、しっかり今、消費者の皆さんから特にご関心の高い、もしくはご懸念がたくさんある、これはお米に限らず、食料品全体が値上がりでという話もいただきますから、そうした点について、我々としてどういう対策ができるのか、政府全体の中で検討したいと思いますし、私として、これはお米券と前から申し上げておりますから、どういう使い方を私としてはしていただきたいというふうに思っているか、これについては、しかるべきタイミングで皆さんにもご説明をさせていただきたいと思います。


記者

 現状考えられているメニューとか、大臣の中でお考えというので言えるところはありますでしょうか。

大臣

 それはこれからお示しをさせていただきたいと思います。


記者

 もう1点、備蓄米についてなのですけれども、今、自民党の議論でも官民の備蓄、議論が進んでいると思いますが、そもそもこの民間備蓄をやるのかどうかというところのそもそものお考えと、やるとしたらメリット・デメリットを、大臣、どのように考えてらっしゃるのかというのをお聞かせください。

大臣

 備蓄についてご質問いただきましたが、政府備蓄米、これは10年に1度の不作、作況92という場合や、通常程度の不作、作況94が2年連続した事態にも対処し得る数量として、100万トンを保有することを適正水準と今、しているところであります。この度の、この一、二年の様々な事態も踏まえまして、今後の備蓄運営の在り方については、今般の備蓄米の売渡しに時間を要した等の課題もよく踏まえまして、機動性のある官民合わせた備蓄の仕組みも含め、今、与野党の先生方や現場の業界関係者等、様々な方のご意見を伺いながら議論を行っているところでありますので、これをまずしっかりとやらせていただいて、国民の皆様に対して、安心していただける新たな備蓄の在り方というのをしっかり示していきたいというふうに思います。


記者

 大臣としては、民間の備蓄をしてもらうというのも前向きに進めたいというお考えでしょうか。

大臣

 まさにこれは、これまでもご議論いただいているところでありますから、今、私の立場で言うというよりは、しっかりとそのご議論を踏まえて判断をしていきたいというふうに思います。先ほどの申し上げた機動性というところは、一つのポイントになろうかなと思っております。


記者

 民間備蓄の方が機動性はあるとお考えですか。

大臣

 そもそも民間備蓄と言われるものについては、米のものの所有権が政府にあるというわけではなくて、まさに民間備蓄ですから、民間にあるわけですから、その時点で一つの、この所有権を移さなければならないというプロセスについては省かれているというか一歩、消費者の現場に近いということでいえば、機動性があるというふうに言っていいのではないかと思います。ただ、政府備蓄も今回の事態を踏まえて、今までの政府備蓄の在り方でいいかどうかということについても、やっぱり議論をしっかりとして、改善できる点は改善をしなければならないと思います。特に今回の事態では、なるべく早く現場の皆さんに、消費者の皆さんに届けたいということでスタートしたにもかかわらず、なかなかスーパーの棚に並ぶというところまでは、かなりの時間を要したというのは事実だというふうに思いますから、そうした点も、政府備蓄であったとしても、どう改善ができるのか、これはしっかりやらせていただきたいと思っています。


記者

 備蓄制度の見直しで現状100万トン程度とされている水準についてお尋ねできればと思いますが、今回の放出では備蓄米が底をつきかけるような事態にもなっている中で、先の参院選の際には、石破首相が「もっと備蓄には余裕を持たなければなりません。」というような発言をされたりだとか、高市首相も食料安全保障に力を入れるような姿勢を示されているかと思います。大臣ご自身としては、この現状の100万トン程度の水準について、備蓄の水準についてどのようにあるべきとお考えかお聞かせください。

大臣

 先ほど何で100万トンなのか、100万トンあればどの事態に対処しうるのかということについては、先ほど申し上げましたので、これ以上そこについては申し上げません。ただ、その水準で果たして本当に国民の皆様にとって安心感のある水準なのかどうか。どのように変えるにしても制度を、必ず必要なのは消費者の皆さんにとって、この備蓄の制度というのが本当に役に立つものであって、そして日本の食料安全保障、これについて、安心感のあるというふうに捉えていただけるのかということについてよく踏まえて、今後検討させていただいて、しかるべき時期に、なるべく早く皆さんにお示しをさせていただきたいと思っています。


記者

 就任会見以降、石破政権の増産等、需要に応じた増産の関係の質問が相次いでいまして、関連でお尋ねなのですけれども、前政権の中では増産とセーフティネットがセットであるというようなことで、セーフティネットの強化について、重ねて説明、取り組んでいくという話がありました。大臣のセーフティネットへの考えと、またその前政権をどういうふうに引き継いでいかれるのかということについて教えてください。

大臣

 前政権からセーフティネットの議論がされているということについては、私自身も前の一国会議員としての立場でもよく存じ上げているところであります。食料・農業・農村基本計画において、水田政策の見直しについては、セーフティネットも含めて、水田活用の直接支払交付金を抜本的に見直しをして、作物ごとの生産性向上への支援へと転換することとしております。その中で、収入保険をはじめとするセーフティネットの在り方等については、その一環として、与野党をはじめとする関係者の皆様のご意見も聞きながら、検討を深めていくことになろうかというふうに思っております。私としては、これは前も何度も申し上げておりますが、基本的にはどの産業であっても特に米については、1年で1作という特性がありますから、セーフティネットの議論をする前にしっかりと需給の安定を図ることによって、価格の安定が図られて、結果として生産者の皆さんが先を見通せる環境を作っていく。そしてそれが消費者の皆さんにも受け入れていただけるような状況である、という環境を作るということが、まず第一だと思っております。その上で天候のリスクであったり、もしくは資材一つとってみても、国際情勢によってかなり振れるというリスクがありますから、そういったリスクに対してどういったセーフティネットがあるべきなのかということについては、しっかり考えて結論を出していきたいというふうに思います。


記者

 米の価格の高騰の要因の一つとされている、米の流通の複雑さについて認識を伺います。先日の報道各社のインタビューで、大臣は「流通が複雑だというふうに皆さんおっしゃいますけれども、本当にそうですか。これよく見たほうがいいですよ。まずそこです。」と発言されました。大臣は複雑ではないという認識だと受け止めたのですが、改めて考えをお聞かせください。

大臣

 米の流通については、従来からの大手集荷業者を通じた流通のほか、生産者の直接販売や大手集荷業者以外との取引の増加など、流通が多様化、そして細分化をしており、この流通の状況が必ずしも十分に把握できず、透明性が確保できなかったという点については、農林水産省として受け止めをしております。これを複雑と言うかどうかについては、様々なご意見があろうかと思いますが、もちろん流通ですから、様々な経路があるわけです。そして、インターネットがこれだけ当たり前になってきておりますから、私たちが全て把握できるというわけでもないというのも事実だと思いますがただ、これからは農林水産省として、この米の流通形態の変化を正確に把握をして、マーケットへの情報発信や対話を充実させていくために、流通構造の透明性の確保のための実態把握に向けた具体策について、与野党の先生方や流通関係者等のご意見もお聞きをしながら、検討を進めてまいりたいというふうに思っております。


記者

 端的に言うと、大臣は複雑であるとお考えなのかどうか。

大臣

 私たちが今まで、大きい流通だというふうにして認識をしてきたところから見れば、複雑化をしているというふうに思いますが、私個人として申し上げれば、インターネットの普及やそして、ふるさと納税など、様々な手法というのが、20年前になかったものが今、当然当たり前のように生産者の皆さんやってらっしゃいます。自治体もそういうふうに対応しておりますから、その20年前から見れば、複雑になったといえばそうだろうというふうに思いますが、私はその流れを見て複雑だというふうにはあまり認識をしておりません。個人としてはです。


記者

 もう1つは、昨年からの米の不足の問題について、政府備蓄米を放出すべきだった時期について、大臣の発言について伺います。先日の報道各社のインタビューでは、去年の春先から夏にかけてと発言されました。一方、昨日の民放の番組では、昨年の夏の段階で出すべきだったと話されています。時期について微妙なブレがありますけれども、改めてお考えをお聞かせください。

大臣

 しっかりと私の話を、もうちょっとよく聞いていただけると大変ありがたいなと思います。私の発言、全くブレていません。もう一度説明をさせていただきますが、昨年の春先から市場関係者の皆さんや、小売りの皆さん、あとお米屋さん、そういった皆さんから入荷ができない、もしくは入荷をしづらいという声をたくさんいただくようになりました。そして現実に夏の時点で、スーパーの棚に米が並んでいないという事態を招くこととなりました。ですから、そのシグナルをしっかりと受け取って、早めの対応ができていれば、スーパーの棚に米が並ばないという事態を防ぐことが、私はできたというふうに思っていますが、現実として、機動的な備蓄の運営がその時点ではできなかった、ということについては反省をしております。これについて発言がブレているというふうに私は認識をしておりません。


記者

 春先からと前回は言ったのに、昨日の時点では、春先から夏にかけてと言っているので。

大臣

 春先から足りないのではないか、もしくは現場では足りないというふうな感じであるという意見やシグナルをいただくようになりました。現実にスーパーマーケットの棚から米がなくなったというのが夏だった、というふうに私は認識をしています。


記者

 最後確認ですけれども、放出すべき時期は夏の段階だったという、そういう趣旨で理解しておけばよろしいですか。

大臣

 私が何度も申し上げている備蓄の、「足りないなら出す」という考え方からすれば、私たちの責任は、スーパーの棚に米が並んでいないという状況を生じさせないということが大事でありますから、そうだとすれば、実際にその並ぶまでのスピード感、この度でだいぶ学ぶことがありましたから、そういうことを踏まえれば、早く、早く判断をして、夏の時点でスーパーの棚に米が十分に並んでいるという状況を作るべきだったというふうに思っています。


記者

 今の米の価格水準、質問にあったように4,000円を超える水準で高止まりしている状況だと思うのですけれども、これいつまで続くのかという、懸念している、不安に思っている消費者も多いと思うのですけれども、この先の価格の見通しについては、大臣、どのようにお考えでしょうか。

大臣

 これは価格というのは、まさに需給のバランスとマーケットで決まるものですから、今後どのように推移していくかについて、私から推測や何かこういうふうになるのではないか、というようなことは、申し上げるべきでもないというふうに思っています。


記者

 昨日の民放の番組では、結構お話されていたように思うのですけれども。

大臣

 すぐに今の価格が下がるという状況は、私個人として、あえてご質問ですから申し上げますと、今の現状では難しいのではないかというふうに、すぐに来週や再来週という意味でこれを申し上げております。


記者

 それは、今の価格のこれまでの推移も含めて、そういう状況を見たときに、すぐには難しいのではないかと。

大臣

 これは私20年間、農林水産行政携わっておりますから、そうした私なりの知見も基にして、私なりにどういうふうに考えるかといえば、今すぐに価格がどんと下がっていくということは、現実的には難しいだろうというふうに思っています。今すぐにですよ。何度も言います、すぐに直近で下がるというのは難しい。


記者

 おっしゃったように、来週とかということですね。

大臣

 はい。


報道官

  よろしいでしょうか。それでは大臣会見を終了いたします。

以上