鈴木農林水産大臣記者会見概要
| 日時 | 令和7年11月4日(火曜日)10時57分~11時14分 於: 本省会見室 |
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| 主な質疑事項 |
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冒頭発言
大臣
私からは今朝、「外国人の受入れ・秩序ある共生社会に関する関係閣僚会議」が開催をされたところであります。総理から関係閣僚に対してご指示がありました。我が省に対しては、外国人による不動産保有の実態を把握するため、森林の土地、これ林地ですね、ここの取得時において、国籍を把握する仕組みを検討するようにとのご指示でありました。外国人による土地取得は、国民の関心の高い重要な問題であると認識しておりますので、農林水産省として、総理の指示に従いまして、速やかに検討を進めてまいりたいというふうに考えております。冒頭、私からは以上です。
質疑応答
記者
先週金曜、お米の小売価格について、最新のPOSデータが発表されました。3つの指標のうち、1つは値下がり、2つは値上がりという結果でした。総じて言うと、銘柄米を中心に高止まりしているようにも見えます。大臣はかねてから、価格そのものについては高い、安いは言及しないということをおっしゃられていますが、需給の安定を図ることを通して、結果的に食糧法に書いてあるような価格の安定を図るとはおっしゃっています。となると、価格の安定というのは何をもって判断するのか。現状価格は安定しているといえるのかどうかというのを、改めて見解を教えてください。
大臣
昨日も、私自身も近くのスーパーマーケット、お邪魔をさせていただきました。それで、鍋の材料を買いに行ったのですけれども、当然一緒に米の棚、どういう状況かということについても自分自身でも拝見をさせていただきました。実際には新米がたくさん並んでおりましたが、価格については、大体4,000円台のものから5,000円のものというのが太宗であったかなというふうに思います。これについて、消費者の皆様からやはりもう少しリーズナブルなものがあっていただきたいというお話も直接、様々な場面でいただいておりますので、そうした状況が作れるように、我々として、これから取組をさせていただきたいというふうに思っております。基本的には我々としては、需給の安定、これが基本だというふうに思いますから、その結果として、様々なニーズの皆さんにお応えができるような、価格帯の米が生産をされて、そしてそれが消費者の皆さんの手元まで届く。この状況が私たちにとっての需給の安定であり、価格の安定であるというふうに認識をしております。
記者
念のため確認なのですが現状、つまりマーケットが暴れていて価格が暴走しているということなのか、それとも価格はそうじゃなくて安定しているということなのか、その辺りの認識はどうでしょうか。
大臣
現状でいうと多様なニーズ、多様な価格帯のものに対するニーズには、残念ながら応えきれてないということだろうというふうには認識をしておりますが、どの価格帯がどうこうということについて、私の立場からは申し上げることはありません。
記者
2点あります。1点は冒頭、外国人政策についての閣僚会議ですけれども今、林地の話ありましたけれども、農地の取得、あるいは外国人労働力の関係、それについては何か検討項目には入っていないのか、よろしくお願いします。
大臣
今先ほど私、林地の話、森林の土地ということでご説明をさせていただきましたが、農地については、令和5年9月から農地を取得する際に許可申請、これを許可が必要なわけですけれども、その申請書に国籍を書いていただくということになっておりますから、今時点ではそういうふうに把握するすべがあるということで対応ができているというふうに思います。林地については、この仕組みがまだございませんので、そうしたことについて、今後速やかに検討してまいりたいというふうに思っております。
記者
外国人労働力については何か検討項目はない(のでしょうか)。
大臣
これは外国人労働力の話は、総合的に全ての分野に関わる話でありますから、そういう意味では検討すべきだと思いますが特段、農林水産分野にというご指示では今回ありませんでした。
記者
もう1点あります。備蓄米の買入れについてですけれども、来年産で21万トン買入れをする方針を示されていますけれども、買入れする場合、入札で行うと思いますが、その中でやはり先高感があると、なかなか入札への参加、不調に陥りやすいという構造があると思いますけれども、その点をどのように打開していくというか、解決しながら予定している数量を確保していくつもりなのかお答えください。
大臣
先週の10月31日に開催をいたしました、食糧部会においてお示しをしたとおり、令和8年産の備蓄米の政府買入れについては、21万玄米トンを予定をしているところであります。もちろん、主食用米の価格が高い水準にとどまれば、予定数量の入札に至らないということも懸念をされるわけですが、従前から政府備蓄米は相場の変動にかかわらず、一定の価格が保障された上で作付ができるというメリットもあるところであります。その上で、個々の生産者が経営判断を行う上での備蓄米を、作付をしていただけるかどうかという選択肢を考えていただける材料というふうに考えております。我々といたしましては、備蓄米、今かなり放出をして、いざというときの備蓄米がある種、国としては持っていないという状況でありますから、でき得る限りこの21万トンはしっかりと買入れができるように今後検討していきたいというふうに思いますし、そうしたメッセージも出させていただきたいというふうに思っております。
記者
今ほど備蓄米の話が出たので関連でお伺いしたいのですが大臣、就任以来、備蓄米に関しては、足りなければ出す、足りていれば出さないという非常にシンプルなポリシーを示されています。よく考えるともう一パターンあろうかと思いまして、多すぎる、余剰感がある場合ですね、民間在庫に。足りなければ出す、足りていれば出さない、多すぎる場合にはどんなポリシーをお持ちでしょう。
大臣
大変大事な、これはご質問かというふうに思っています。まず備蓄米の私の考え方でありますけれども、今おっしゃっていただいたとおり、需給のバランスの中で、全体として供給が足りないという状況であれば放出をしますし、足りているという状況であれば放出をしないというのがまず基本です。その上で生産が豊作すぎて、例えば過剰感があるという状態のときにどうするかということでありますが、これは過去の、我々農林水産省が戦後とってきた備蓄の運用の考え方、そしてそれによる反省、これも踏まえますと、政府として過剰感が出たから備蓄米をそこで市場から買い入れるということをしますと、それは結果としては、どんどんどんどん買入れをしてくれということに生産現場は思いますから、そういう誤ったある種メッセージ、これは結果として財政負担を伴いますし、ある意味で言えばそのメッセージは需給のバランスを崩すということにもなっているという、逆の意味になっていると思いますので、私としては過剰感のある場合に備蓄米を買い入れるというオプションを持っておくというスタンスはとり得ません。
記者
反省とおっしゃるのは、かつて余剰米処理ということで3兆円かかったことがありますけれども、それを指しているということですか。
大臣
おっしゃるとおりです。
記者
現状については、その余剰感というのは生じているのか、それとも生じる見込みがあるというふうにお考えでしょうか。
大臣
今時点で、先日お示しをした需給見通しに基づけば、来年の6月末の民間在庫量というのが、ここ10年では最大という値をとることになります。そういう意味で言えば、十分、供給が確保されているというふうに考えておりまして、去年生じてしまった不足感というものがしっかりと解消されて、むしろ市場には十分に在庫があるという状況になろうかと思います。それ以上に余剰かどうかについては、今の時点で何か申し上げるということはありません。
記者
石破さんについて伺いたいのですけれども、(10月)28日には地元の中国新聞のインタビューで、石破さんが高市政権における米の増産方針への転換に関して、不愉快だなどと不快感を示されました。前首相がこういった形、このタイミングで極めて強い言葉で批判するというのはすごく珍しいなと思うのですけれども、石破さんの特異なパーソナリティというところもあるかなと思うのですけれども、何でこうプリプリと石破さんが怒ってしまったのかというところを受け止められていますか。要因と受け止めを伺えればなと思います。
大臣
石破総理のお気持ちについて、私から何かコメントをするという立場にはないというふうに思います。
記者
何か要因とか、石破さんが怒ってしまったことに関して、何かこう、鈴木さんとしまして思い当たる節とかはないですか。
大臣
石破(前)総理から直接言われているわけでもありませんので、私から今日この場でコメントすることはありません。
記者
先週の会見で大臣は、増産トレンドではあるんだということと、あと米の不足感は、今のお話だと今後解消されていくだろうと。ただやはり先週も最高値の5キロ4,523円という数字が出たり、やっぱり消費者の側からすると、もう全く高止まり感が、高止まらないということで、大臣自身はいつぐらいから、価格にはコミットしないということですが、やはり消費者目線では、どのぐらいの価格にいつぐらいからなっていくことが望ましいと思っているのか。それから今日の朝日新聞が、かなり農政に関しても記事を書かれていますけれども、これ読みますと今、大臣が言い始めているその需要に応じた生産という話は、これまで農水省の減反政策の決まり文句だったと指摘されています。減反政策にやはり戻るということなのか、いやそれとはまた少し違うんだということなのか、その点もお聞かせいただきたいのと、あと最後1点が、洋服の一部のインタビューの動画を配信見ましたけれども、お米の価格と洋服の価格のことを比較して並べているところがあって、野党の小西さんなんかは、食糧法というものについて、大臣が理解していただけているのかという指摘していました。洋服価格と米というのは、やはりかなり違うものだと思うのですが、その点についてもお願いいたします。
大臣
まず需要に応じた生産、まずご理解いただきたいのは、いつぐらいに価格がどういうふうになっていくか、このスーパーマーケットに並ぶ価格が消費者の皆さんにとってどうなるかということについては、私の方から何かコメントすることというのは、正直言って適切ではないというふうに思いますので、そこについてはコメントをしませんが、ただやはり今の価格帯ではなかなか買う量が減らさざるを得ないとか、そういったお声があるのも事実だというふうに思いますので、できるだけ早くそうした皆さんに何らかの安心感というのができるように、我々としてもそういう方向で、そのためのある種は需要に応じた生産、そして安定性というのが大事だというふうに思っております。
そしてもう1点、減反政策に戻るのかということでありますが、減反政策というのはどういう政策かと申しますと、全国一律で、要するに主食用の米をこのぐらい減らしてくださいというのを北海道から九州・沖縄まで一律で、主食じゃなくて別のものに振り替えてくださいというのを、ある種、国がかなり強制力を持って指導して、そういったことをやってきたのが減反政策だったというふうに考えています。現状はどういう政策かと言えば、国は全体の需給の見通しは示します。なので、来年は例えばこのぐらいの水準の生産量というのが、需給のバランス上は適正ではないかというのは示させていただきますが、そこから先、各都道府県、もしくは生産者の皆様でどのぐらいの主食用の生産をするかというのは事実上、今はもう自由になっておりますので、そういった意味で減反政策に戻るということはあり得ません。
そして最後に、先日の取材の中で、私が洋服のこととお米を比べたということの趣旨について申し上げます。これは何も別に私、洋服ということだけを申し上げたのではなくて、それぞれどんなものであったとしても、国内で生産ということに携わっている皆さんが当然いて今、国産のものであれば、国産の働いてくださる皆さんがいて、私たちが購入することができるということかなというふうに考えております。これ、お米についても全くそのとおりであります。そういう中で、いくらいくらが適正みたいな話を政治の側、もしくは行政の側が申し上げるというのは、やはりその生産者側の立場に立ったときに、果たしてそれはどうなんだろうかというような気持ちで、私自身その説明をさせていただいたつもりです。もちろん、様々な皆さんからご指摘のとおり、米は主食でありますし、主要食糧(の需給及び価格の安定に関する法律)のこの法律があるものでありますから、政府の責任というのも、もちろんあるものであるということは十分理解をしています。その上で、我々は政策をやっていくというふうに思っております。
記者
先ほどの質問の中で大臣、今の米の価格というのが、多様な価格帯のニーズには応えていないと思うとおっしゃったと思います。今そういう状況になってしまっているのは、どうしてだと大臣お考えになりますでしょうか。あとちょっとこれまでの質問と被るかもしれませんが、そういった状況をこう変えていくためには、どのような策が必要だと思われますでしょうか。
大臣
今はスーパーに行けば、新米の価格がもうご存じのとおりだというふうに思っています。これは、もちろんなぜそうなっているのかということについて申し上げれば、昨年、不足感というかまさにスーパーの棚に並ばないという事態を我々の農林水産省の需要の見立てが、これは甘かったことによって生じさせてしまった。この反動で結果として、今みたいな事態を私は招いているというふうに思っております。ですので、今後、この需給の見通しもしっかりもう少し精緻なものとして示しますし、また需要の把握についても、今までのようにトレンドで何となくこうでしたということではないやり方で予測をさせていただきます。そうしたことをやることによって、こういう価格の大幅なブレというのが生じないようにするのが我々の責任かと思っています。
報道官
よろしいでしょうか。それでは大臣会見を終了いたします。
以上




