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農林水産省

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鈴木農林水産大臣記者会見概要

日時 令和7年11月18日(火曜日)8時43分~9時02分 於:本省会見室
主な質疑事項
  • (大臣から)広島県出張について
  • (大臣から)都内区立小学校への視察について
  • 米価格の現状とその要因について
  • 日中関係が水産物輸出に与える影響について
  • カキの大量へい死について
  • SBS米の令和7年度入札について
  • 米国の相互関税における一部品目の除外について
  • クマ対策について

冒頭発言

大臣

   まず冒頭、本日、私から2点ご報告があります。1点目は広島県への出張についてであります。19日水曜日に、広島県において養殖カキのへい死の状況を視察をし、関係者と意見交換をさせていただきます。近年、高水温等による水産業への影響が深刻化をしておりまして、先週末は、青森県のホタテのへい死に関して、山下副大臣を現地に派遣をしましたが、今回は私自身もしっかりと視察をさせていただき、現場の漁業者の皆様と意見交換をさせていただきます。詳細については、この後プレスリリースをさせていただきます。
  そして2点目は、本日、都内の区立小学校に視察をさせていただきます。11月が「和食月間」となっておりまして、全国各地で様々な取り組みが行われております。その一環として、和食給食を推進をする「和食給食応援団」からお声掛けをいただきました。本日、東京都文京区の小学校を訪問し、和食給食の提供の取組を視察をさせていただきます。文京区は沖縄県うるま市と友好都市とのことから、食育事業として沖縄のもずくの学習が行われるとともに、もずくを使った和食給食「もずく丼」が提供される予定で、私も児童の皆さんと一緒に給食を食べさせていただく予定にしております。まず、冒頭私から以上です 。




質疑応答

記者

   米の価格について伺います。先週金曜日に発表されたKSP-POSでは、5キロの平均価格が4,316円と、2022年の調査開始以来最高値となりました。まずこの数字の受け止めと、要因どのように考えられているのか教えてください。

大臣

   まず、先週14日金曜日に公表した11月3日から11月9日までのスーパー等での米の平均小売価格は、まず、中小スーパーを主に対象とするKSP-POSは81円上昇し4,316円、これ5キロ当たりです。大手量販店を含む日経のPOSデータは1円低下して3,768円。そしてドラッグストア等を含む小売店のパネル調査は116円上昇して4,444円というふうな状態になっております。平均小売価格が上昇傾向にある主な要因としては、集荷競争により調達コストが著しく上昇した7年産米ですね、新米への置き換わりが進んでいるためとも考えております。なお、先週10日月曜日に米穀機構が公表した10月分の調査結果では、需給は現状でも緩和、指数が42ということで緩和をしているほか、向こう3ヶ月ではさらに緩和するとされているとともに、価格は現状では引き続き高いと見られているが、向こう3ヶ月では低下するとの見方が示されています。いずれにしても価格はマーケットの中で決まっていくものでありますので、大臣としての立場で何か申し上げませんが、引き続き、需給の安定をしっかりと図ることによって、価格の安定を図ってまいりたいと思っております。


記者

   日中関係について伺います。今月5日には北海道産ホタテの輸出が再開されるなど、水産物輸出に関して日中の関係が改善してきたように見られる矢先に、こういった急速に悪化してるような状況があります。現在の情勢が、再開した水産物輸出にどのような影響を与えるかとか、また、農水省としてこの事態をどのように見られているか、お答えください。

大臣

   まず、この件が今後の中国への水産物輸出に与える影響については、現状で、私から今予断をもってお答えをするということは差し控えさせていただきたいと思います。先日もお話をさせていただきましたが、この中国への水産物輸出は、これまでのところ、輸出関連施設の再登録申請を行った697施設のうち、再登録すでにされたものは3施設にとどまっております。科学的根拠に基づいて円滑な登録が行われるように、引き続き働きかけてまいりたいと思いますし、この他にも、残された十都県産の水産物の輸入規制の撤廃や、牛肉の対中輸出の再開についても、引き続き科学的根拠に基づき対応してまいりたいと思います。


記者

   カキの大量へい死の問題についてお伺いします。先週の金曜日の会見でですね、必要があれば大臣、政務三役を現場に派遣するということをおっしゃられて、早速の日程調整になって明日伺われるということですけれども、現場ではどういう点を重視して視察をされるのかということをお聞きしたいのと、あと、水産庁さん独自がカキ養殖の現場に聞き取りをされて、広島以外の県への影響であるとか、また逆に東北だとか三重だとか、その辺への影響はないであるとか、そういった全国的な状況も把握されているわけですけれども、改めて、この瀬戸内海で起きているカキの大量へい死という問題についてどう受けとめられるか、お伺いします。

大臣

   まず、水産庁が今、様々調査、現場としっかりとコミュニケーションとってやっておりますが、その状況をまず申し上げさせていただくと、まず広島県では、カキの水揚げ始まったばかりではありますが、東広島市、呉市などでは6から9割のへい死が発生しているという報告を受けているところであります。そしてまた、水揚げ前のということになりますが、岡山県や兵庫県等でも、一部でへい死が発生していると聞いております。しっかりまずこうした関係県とも連携をして、養殖カキの被害の全体像の把握に努めてまいりたいというふうに考えております。私自身、この度、明日ですかね、現場にお邪魔をさせていただきますが、私自身が行く意味としては、まず、やっぱり現場で頑張っていらっしゃる皆さんが、いざ揚げてみたら厳しい状況であったということについて、まず現場の状況、そして水産に関わる皆さんの受けとめ、そして、今年様々な要因で結果としてこういうことになっているのだと思いますので、それを現場で皆さんどのように感じてらっしゃるか、よくお伺いをさせていただきたいと思います。その上で、海洋環境というのはなかなか難しい面が当然ありますから、すぐにそこのコントロールを我々ができるというわけではありませんが、どんな手法が広島の皆さんにとって最も希望が見出せるものになるのかも含めて、しっかりと対応させていただきたいというふうに思っています。


記者

   輸入米についてお伺いしたかったのですが、今年度もSBS、10万トンの枠が全量落札となりまして、平均落札価格も過去最高となりましたが、このことに対する受け止めと、引き続き輸入米調達への関心の高さも伺えるかと思いますが、大臣としては国産米の需給の観点からはどのようにご対応されていかれたいか、お願いいたします。

大臣

   まず、先日14日に実施をした令和7年度の第4回SBS輸入の見積合わせにおきまして、契約予定数量20,004トンの全量が落札をされました。これによって本年度のSBS輸入枠の年間枠10万トンが全て全量落札されたということになります。昨年も12月に第4回目の入札を実施をいたしましたが、今年はそれよりも時期を前倒しをして行ったため、最速の11月に全量落札になったということになります。マークアップも全量が上限の292円に張り付いており、引き合いの強い状況が続いております。農林水産省としては、国内の米の価格が昨年に比べて上昇するというそういう中で、高水準のマークアップを支払っても、なお安価な外国産米の輸入が拡大しているということについては、しっかりと受け止めさせていただいておりまして、これからそういった皆さんに対しても、国内でしっかりと供給が可能になるように、我々として需給のバランスも含めて、努力をさせていただきたいというふうに思っております。


記者

   もう1点だったのですけれども、アメリカの相互関税で、牛肉だったり緑茶だったり、一部の農産物を除外するような大統領令が発表されましたが、この影響について農水省としてどのようにみてらっしゃるか、また、対応方針等がありましたらお願いします。

大臣

   現地時間の14日に米国が、総合関税の対象から一部の品目を除外する大統領令を発出し、その中に牛肉、そしてバナナ、緑茶などの農畜産物も含まれているということを承知をしております。我が国からの主要な輸出品目ということで言えば、まず牛肉について、これが低関税枠外の税率は現行の26.4%のままなのですけれども、枠内の税率が15%から、従来のキログラム当たり4.4セント(/kg)に変更になるということであります。実際に本年の低関税枠は全て使用済みということでありますので、実際にこの低関税の枠を使用できるのは来年1月以降ということになりますが、我々として、これはプラスにとらえております。そしてまた緑茶については15%から従来のこの無税、これ風味なしのものは無税、そしてまたは風味ありだと3.2%に変更ということになります。農林水産省としては、この大統領令の内容をまずしっかりと精査をした上で、米国向けの輸出が円滑に行われるよう、この19日に農林水産物食品の輸出に関わる事業者向けの説明会を開催をさせていただいて、適切に情報提供させていただきたいと思いますし、輸出は何よりも大事な私たちの国の第一次産業にとっての稼ぎの柱になってきておりますから、そうした動きがさらに後押しができるように努力させていただきたいと思います。


記者

   先ほど他の記者さんも聞いていたのですが、今回、高市さんの存立危機事態発言によって、観光など大きな打撃を受ける、試算で2.2兆円というような数値も一部識者の中から出ています。今、農林水産に関して直撃の話がないということなのですけれど、現状先ほど697ヶ所中3施設しかまだ通ってないということを含めて、なかなか見通しが厳しいんじゃないかなという気がしますが、総理の発言なので、なかなか大臣からこうだということは言えないと思うのですが、農林水産への影響、現時点で多分697施設が閉じたことで、多分400億円とかそのぐらいの損害が出てるという記憶があるのですが、現状どのぐらいかつてよりマイナスになってしまっているのか、今後、高市さんの発言によっての影響はどの程度出るというふうに見通しているか教えてください。

大臣

   まず、先ほども申し上げましたけれども、本件について今後中国への水産物輸出に与える影響、現状で何か私から予断をもってお答えするということは差し控えさせていただきます。もちろん、今、この再登録を進めている最中でありますから、これは我々としてはその科学的根拠でもって、輸出ができるということを先方とはやりとりをしておりますから、その方針は引き続き変わらず対応させていただきたいというふうに思っております。金額はですね、アルプス処理水放出前の2022年の輸出額では、中国が日本産水産物の輸出額が871億円で輸出先として第1位であり、そのうちホタテが467億、そしてナマコが98億、こういう感じであります。


記者

   それが今現状どうなったか。今金額が、現状はどのぐらい落ち込んでいるか。

大臣

   今の現状は、ほぼこれが0。あんまり中国向けはということには。


記者

   870億相当がまだ回復できていないと。

大臣

   871億全部ではないけれど。


記者

   800億近くという理解でいいですかね。

大臣

   いくらぐらいかな。


事務方

   今はまだ第一便が出たばかりですので、量としてはすごく少量です。ただその中国向けのものは他の国ですとか、他の地域に多角化という取り組みをしておりますので、全部が全部中国向けに回復するかどうかというのは不透明でございます。

記者

   今、直撃することがないと、交渉の過程の中で697施設のうち3施設と、今一生懸命、科学的根拠を含めて交渉しているということですが、今回の総理の発言を受けて、何かその交渉が中断するとか、向こう側から何か抗議がきているとか、そういった水面下の動きはないということですか。


大臣

   現状で何か今、私自身は聞いておりません。


記者

   あと、観光だけでなく、働き手のところに関しても、例えば中国からの働き手の方に対する何か一定の抑制がかかるとか、そういう動きも現状では今ないと。

大臣

   今のことについては、今時点で私が何か把握してるということはありませんが、今後もちろん様々なことが、様々あるんだというふうに思いますから、しっかりと現場の皆さん、困らないように我々対応させていただくと思います。


記者

   あと2点だけ。クマ対策、いろいろまだまだ被害が出ているということですが、農水省として今こういうことに取り組んでいる、全国的にこういうことを調べたらこういう結果が出てきたとかいうものがあればと。それから、需給見通し、3ヶ月後はだんだん価格帯も下がるような見通しが卸売業者から出たりはしているものの、最高値更新というのはやっぱ生活者にとっては、まだまだ苦しい生活が続いてしまうというイメージなんです。価格にコミットしないという発信を大臣が繰り返すのは分かるのですけれども、やはりなかなか、大臣がそれを言うことで、やっぱり下がらないのかなという懸念を持たれかねないような気がするのですけれど、その点はやはり価格に関しては、今後、消費者にとって向き合いやすい価格帯が望ましいとか、そういうことは発言としては言えないでしょうか。

大臣

   まず、クマ対策申し上げますと、先日のクマの閣僚会議でも決定をしたパッケージというのがあります。その中で農林水産省としては、この「とる」「まもる」「よせつけない」、この3本柱で対応させていただきますが、特に現場の猟友会の皆さんから言われることが一番多いことが何かといえば、クマ、なかなか取るのに困難であるということでありますから、今までのクマ1頭、大体8,000円という単価だったのですけれども、それを約2万円に増額をするということで対応させていただきますし、まだまだ罠もですね、もっと仕掛けたいとか、電気柵についても、一重じゃなくてやっぱり二重にした方がいいとか、そういったお声も現場から相当ありますので、そうしたことに対してしっかりと対応できるようにさせていただきたいというふうに思っています。
  そしてもう1点が、米の価格が、今、望月さんいろいろ予測も含めておっしゃっていただいたんだというふうに思いますが、私としては、何が一番今やらなければならないと思っているかと言えば、来年の、これから生産現場、生産来年どうしようかという話を検討する段階にありますから、まずしっかりとした需給見通しをお示しをして、そしてどういう生産であれば全体としての需給の安定と価格の安定が図られるのか、こういったことを現場の皆さんとはまずしっかりと共有させていただくということが一つと、もう一つは今すぐに、要はなかなかスーパーに行っても、今の価格だと手が届かない、もしくは買う量を減らしているという皆様に対して、やっぱりお答えをしていく必要があろうかと思っております。ですから、今総理から指示のあった物価高対策、この中で重点支援(地方)交付金、これを活用させていただいて、食料品の高騰対策ということでやらせていただければと思っております 。


記者

   それは今、食品に関しては特別枠を作ると出ていますけれども、お米券の配布とかが1個になり得る。だけれども、本当に困っている現場に直接渡すにはどうしたらいいかと。こないだ大臣、回答で備蓄米の放出みたいなことをおっしゃっていましたっけ。

大臣

   こども食堂とかフードバンクに関しては。


記者

   そこは等しくお米券を配布すると、本当に困っているところにきちんと行くのかという指摘はありますけれども、それはそういう、先週言ったようなやり方で対応したいということですか。

大臣

   基本的には、米の値段が今の状態だとなかなか手が届かないという皆さんが買える状態を作るというのがまず基本かと思います。これは今申し上げた経済対策の中で、物価高対策の中でやらせていただくことです。それともう1点は、現物としてやっぱりフードバンクの皆さんやこども食堂の皆さんで、なかなか現状として、もし「ない」ということであれば、引き続き、それは備蓄米の枠がありますから、そういうところで、これまでもこれは対応させていただいておりましたけれども、そのことについては引き続き、当然やらせていただくということです。





報道官

  よろしいでしょうか。それでは大臣会見を終了いたします。

以上