鈴木農林水産大臣記者会見概要
| 日時 | 令和7年11月21日(金曜日)8時46分~9時20分 於:本省会見室 |
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| 主な質疑事項 |
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冒頭発言
大臣
私からは2点、報告がございます。
1点目はアグリビジネス創出フェアについてです。農林水産省では11月26日(水曜日)から28日(金曜日)まで、東京ビッグサイトにて「アグリビジネス創出フェア2025」を開催をいたします。今年は、「スマート・スタートアップ 先端技術で未来を拓く農林水産業イノベーション」をテーマに、企業や大学等118団体が出展をし、農林水産・食品分野の最新の研究成果を紹介をいたします。特に今回は、先端技術の社会実装を推進するため、出席者と来場者のマッチングを促す取組を強化をしており、コーディネーターによる相談対応や、スマート農業等のテーマごとに関連ブースをめぐるマッチングツアーを実施をいたします。この他にも76本のセミナーなど様々な企画を行いますので、是非とも多くの皆様に会場に足を運んでいただけますとありがたいというふうに思います。
そしてもう1点は、私からのお願いになります。普段はここでお水をいただくところでありますが、今日は地元山形の牛乳になります。例年、寒さが増す季節になりますと、牛乳の消費が極端に落ちる傾向にあります。牛乳として消費されない分は、ヨーグルトなどの乳製品に加工されますが、近年、その需要も振るっておりません。年末は特に学校がお休みになりますと、その需要というのも、ある種学校での消費というのがなくなります。そしてただ一方で、牛はちょうど涼しくなってきて、乳量も順調という傾向にありますので、そこに需給ギャップというのが生じるということが、この冬場の課題というふうになっております。牛乳の安定供給を確保していくためには、牛乳やヨーグルトの需要回復が急務でありますが、そのためには、まず多くの皆さんに、このことについて知っていただくことが重要であります。酪農・乳業界では「牛乳でスマイル・プロジェクト」のもとで様々な情報発信に取り組んでいますが、私自身も昨日の参議院の農林水産委員会でも、大体3杯ぐらいいただきましたけれども、率先して牛乳をいただき、ヨーグルトを食べることで酪農家の皆さんを応援をしてまいりたいと思いますので、ぜひ皆様にもお力をいただけたらありがたいと思います。ここでもう一度(牛乳を)いただきます。間違いなく、山形のいつも飲んでいる牛乳でした。消費者の皆様にはぜひ、特に寒くなるこの時期に、ホットミルクや、牛乳やヨーグルトを使った煮込み料理など、牛乳の消費拡大、ご協力をよろしくお願いいたします。私からは以上です 。
質疑応答
記者
中国が、日本産水産物を事実上輸入停止したことについてお聞かせください。一昨日(19日)もぶら下がりでお話してくださったように、昨日の農林水産委員会でもお話しされたかと思います。改めてこの事実関係と、受けとめ、今後の対応について教えてください。
大臣
まず、繰り返しになってしまいますが、日本産水産物の輸入を停止するとの内容を中国政府から連絡を受けたという事実はございません。ただ、政府といたしましては、中国による日本産水産物の輸入規制について、昨年9月に日中両政府で発表した、日中間の共有された認識をしっかりと実施をしていくことが何より重要であると考えており、引き続き中国側に対して、現在申請中の輸出関連施設の速やかな再登録を含む輸出の円滑化を働きかけていくとともに、残された10都県産の水産物の輸入規制の撤廃等を強く求めていきたいと考えております。
記者
今もおっしゃってくださったかと思うのですけれども、事実上、輸入停止の通達はなかったと。ただ、その中身を読み進めていくと、実際、事実上の輸入停止なのかなとは思うのですけれども、その辺はいかがでしょうか。
大臣
先ほどから申し上げているとおりでありますが、第一便となる輸出が実施されたことを受けまして、中国側と技術的なやりとりを継続している状況であります。その逐一については、技術的な話も含めて、中身については、私からは差し控えさせていただきたいと思います。
記者
私から3点お願いします。1点目の米の相対価格についてです。相対価格は今回、過去最高を更新しました。米の供給量が大きく増えるという見通しの中で、取引を前倒す動きが過去最高の価格の一因との見方もあるのですが、大臣としては、供給量が大きく増える見通しの中で高止まりしているという理由をどう考えているのでしょうか。
大臣
まず、令和7年産米の10月の相対取引価格が、60キロ当たり3万7,058円と、前の月と比べまして163円の上昇となりました。これについては、7年産米の新米について、かねてからの、これは集荷をするときのそれ以前からのということになりますが、かねてからの不足感から、集荷競争により集荷の価格が著しく上昇したことが原因というふうに考えております。その上で、集荷業者と卸売業者との間で、これを反映した価格での取引が10月も継続していたものと受けとめております。ただ一方で、先週10日月曜日に、米穀機構が公表した10月分の調査結果では、需給は現状でも緩和をしているほか、向こう3ヶ月では更に緩和するとされているとともに、価格についても現状では引き続き高いと見られているが、向こう3ヶ月では低下するとの見方が示されているものであります。いずれにしても価格はマーケットの中で決まっていくものであり、引き続き、私としては、需給の安定を通じて、結果として価格の安定が図られるよう、努力をさせていただきたいと思います。
記者
2点目です。朝日新聞さんのインタビューで、石破前総理が米について言及されていて、例えば石破前総理は米について「余裕を持った生産をした上で米価を下げて、その上で所得を保障する政策に変更するべき」ですとか、あるいは需要に応じた生産という考え方については、「莫大な税金を使って米の価格を維持する生産調整は正しくない」というような回答をされていましたが、特にこの2点について、鈴木大臣はどうお考えでしょうか。
大臣
まずは、石破前首相のインタビュー記事、私も拝見をさせていただきました。それぞれ様々な考えがあるということでありますから、そのことについて、私の立場からコメント、今のご質問についてコメントすることはありません。
記者
3点目です。畑作物のゲタ対策についてなのですけれども、2026年産から単価の改定となる中で議論が進んでいると思いますけれども、そもそもこの生産コストが近年かさんでいる中で、現場から算定方式自体がちょっと実態に即していないんじゃないかという声もありますが、2027年度からの水田政策とも少し絡むと思いますが、大臣としてどういうふうな方向性で、今回の改定ですとか、中長期的な単価設定の考え方、どうお考えでしょうか。
大臣
まず、畑作物の直接支払交付金、ゲタ対策は、農業の担い手に対する経営安定のための交付金の交付に関する法律、担い手経営安定法に基づき、標準的な生産費と標準的な販売価格との差額の補填を図ることを旨として、交付単価を定めるというふうに、法律上そういうふうに書かれているところであります。現在、この2026年産からの単価改定の検討を進めておりますが、確かに今おっしゃっていただいたように生産現場の皆さんからは、足元の物価高騰による生産費の上昇をしっかりとこれは加味をして欲しいといった声や、意欲ある生産者を後押しするような対策を措置して欲しいといった、そういうお声が大変多くお聞きをしております。こうした声に私たちとしてもでき得る限り応えられるように、関連対策を含めた必要な措置について、今まさに検討を進めているところであります。
記者
24日から、ワシントン条約の締約国会議が始まります。ニホンウナギに関する議題は、資源量が十分かということと、あと、類似性の有無が争点で、国際社会の中で判断は割れていますが、勝算はどこにあるとお考えかということと、改めて大臣として、各国に主張したいことがあればお伺いできればと思います。
大臣
まず、我が国としてこのニホンウナギについては、資源管理が徹底をされているということ、そして十分な資源量が確保され、絶滅のおそれは全くないということ。こういうことから、ウナギ属全種の附属書2(2は実際はローマ数字表記)掲載については、当然反対の立場であります。そして我が国の立場が、理解が関係国に広がるように、引き続き政府一丸となって全力を尽くしていく所存であります。昨日も、在京の大使館の皆様にお声がけをさせていただきまして、在京の大使館向けの説明会を、私が主催者となって開催をさせていただきました。全体で57の国から74名、これは多くの大使の皆さんにも自らお越しをいただいたところでありますが、その皆さんの前で山下農林水産副大臣から、この科学的根拠に基づいて、我が国の主張が正しいということ、そして、それについて丁寧にご説明をさせていただきましたところ、多くの皆さんから日本の立場に支持を表明するといったお声もありました。そうした動きをしっかりともっと広がるように、これは現場での対応というのも必要になってくるかと思いますが、最大限努力をさせていただきたいと思っております。
記者
関連で、国内市場は大半を輸入に頼っていて、その中でも中国からの割合が大きいです。対中国という意味では、足元では水産物の輸出入に関する動きがありますが、このEUの案が採用された場合、中国に輸出国としての許可書の発行も求められますが、この案が通ればという仮の話でありますけれども、中国側との歩調というのはどのようにして合わせていくのかというところのお考えをお願いします。
大臣
まず、今現状では、このEU側の提案が否決をされるように、当然、全力を尽くすということでありますから、そこから先の話については、今の段階で何か私の方から申し上げることはありませんが、ただ、やはり肝心なことは、ウナギというのは、日本の食生活の中では大変大切な、ある種季節ものということも含めて食文化であるというふうに思っておりますから、この結果いかんによって私たちの国のウナギのこの文化について、何かマイナスというのが生じることのないように、それは万全の対応をさせていただきたいと思っております。
記者
幹事社からも質問ありました、日中の輸出に関してなのですけれども、一昨日(19日)のぶら下がりで、大臣は生産者に寄り添った対応について言及されましたが、それは金銭的なのか、例えば相談窓口の設置なのか、どういったものを想定されているかということと、あと、先ほど第一便が出発したというご発言もありましたが、ホタテやナマコについて、今現状すでに中国の税関を通過しているかどうか、状況を教えてください。
大臣
まずこれまで、ホタテを初めとしたものの輸出先については、様々な困難がありましたので、そうしたことも踏まえて、輸出先の転換、そして多角化などの支援策を進めてきております。今後とも必要に応じて、これは今回の事案どうこうではなく、しっかりと事業者の皆さんがやっていけるように、我々としては販路開拓などの支援を続けていきたいというふうに考えております。そして、今現状でどこに何がものがあるかということでありますが、今時点でどこに何があるかというのは把握をしておりませんが、通関が終わったということについては私としては聞いておりません。
記者
中国政府が、日本産水産物の輸入の事実上停止に踏み切ったことに関して伺います。台湾有事をめぐる存立危機事態に関する首相答弁に端を発した形となりますが、台湾の頼清徳(らいせいとく)総統は、20日、Xに「きょうの昼食はお寿司と味噌汁です」と言って、「#(ハッシュタグ)鹿児島産のブリと北海道産のホタテ」というふうに書き込みされていまして、あとは安全保障のトップのジョセフ・ウーさんも、同日、「北海道のホタテは私の大好物。痛風もものともせずに食べますよ!日本に行く準備をしている人も多いですね。羨ましい」という書き込みをされました。魚介類の消費によって日本を支援する姿勢を見せたと見られますが、大臣も青年局長時代、2年前の8月に訪台され、副総統時代の頼さんと会談されるなどご面識があったかと思います。こういう、今回のような事態での台湾、友人としての暖かいメッセージに対する受けとめを教えてください。
大臣
私としては、どんな方であれ、世界中の皆さんが日本のこの品質の高いおいしい食について、本当に大変愛していただいて、たくさん消費をいただいて、その結果として、私たちの国の農林水産業がしっかりと稼ぐことができるという構造になることが大変歓迎すべきだというふうに考えておりまして、これからも輸出拡大、そして訪日をされる皆さんが国内でおいしいものを食べていただける、そういうことが増えていくように努力をさせていただきたいと思っております。
記者
あと、先ほどの記者さんの質問と関連で伺いたいのですけれども、処理水の話から始まって、輸出の多角化といいますか、進められてきたと思うのですけれども、日本の水産物の輸出を東南アジア等々に多角化する上での課題というところ、難しさというところというのは、大臣としてどういうふうに認識されていますでしょうか。
大臣
これは水産物に限った話ではないというふうに思いますけれども、やはり食べ方とか食文化とか、そのものに対するやっぱりご理解、そして特に水産物の場合、お刺身で食べれば生ものということになりますから、そうしたことへの衛生管理とか、必要なことというのが出てくるのだというふうに思っております。一歩一歩、どこの国であったとしても、多くの皆さんにこれはご理解をいただいて、そしてもっと輸出が進むように努力をさせていただきたいと思います。
記者
中国の水産物輸入停止について、高市総理がどういうスタンス・姿勢で臨むのかお聞きしたいのですけれども。存立危機事態発言は問題だったと非を認めて、反省、謝罪、日中関係改善の打開策を打ち出していくという立場なのか、あるいは非を認めず、小野田大臣のように、「何か気に入らないことがあったらすぐに経済的威圧をしてくる国に依存しすぎることはリスクがある」と、中国に水産物を買ってもらわなくても、日本観光しなくてもいいかのような、火に油を注ぐような発言だと思うのですが、高市さんはどちらの立場なのでしょうか。非を認めて関係改善に努めるのか、小野田大臣のように経済的威圧をかけてくる国からの脱却を図ると、そういう立場なのか、どっちなのでしょうか。
大臣
どっちの立場というよりも、まず私から申し上げたいことは、この日中間の、特に日本産水産物の中国への輸出ということについては、我々として科学的根拠に基づいて、この規制の撤廃も含めて働きかけをこれまでしてきているところでありますから、それを粘り強くやっていくということ以上でも以下でもないというふうに考えております。
記者
高市さんは非を認めているのですか、今回の発言について。問題発言だったと、今後はこういうことはしないと、日中関係や改善に努めると、そういう発言はあったのですか、閣議で。
大臣
私からは今申し上げた以上でも以下でもございません。
記者
高市さんのスタンスを聞いているのですが。高市政権の今後の進め方にかかってくるので。
大臣
横田さんに分かっていただきたいのは、私は今、農林水産大臣としてこの記者会見に臨んでおりますから、農林水産大臣としての答えに終始させていただきたいと思います。
記者
閣内の小野田大臣の中国、経済的威圧発言、別に中国に依存しなくてもいいという、こういう発言が閣内から出るのは、水産関係の輸出について弊害・デメリットになるんじゃないかと、問題発言だというふうにはお感じにならないのでしょうか。
大臣
先ほども申し上げましたけれども、私たち農林水産省としては、この事業者の皆さんがしっかりとこれからも経営が成り立っていけるように、様々な支援を引き続きやらせていただきたいと思いますし、もちろん事業者の皆さんからも、私自身もお話をよく伺っていきたいというふうに思っております。
記者
それにデメリットになる余計な発言を、高市さん、小野田大臣がしたというご認識はないのでしょうか。
大臣
私が農林水産大臣の立場で、他の閣僚の発言について何か言うことはございません。
記者
養殖カキの大量死の問題で、大きく2点お伺いさせていただきます。1つ目は、先般、大臣がまさに広島の漁業現場に視察に行かれたことについてです。事前に聞き取りなど、調査である程度知っている部分もあったとは思うのですけれども、実際に現場を見て、事業者のお話を聞いて、そこでの率直な感想であるとか、お気づきになった点などありましたら、現場でも聞かれたかもしれないですけれども、改めてお聞かせください。
大臣
先日19日(水曜日)に、広島の東広島市、お邪魔をさせていただきました。私自身の目で実際に水揚げをしたカキのへい死の状況というのを拝見させていただきましたが、お話にはもちろん伺っておりましたけれども、実際目で見れば、そして口の開いたカキを手に取ってみれば、あれは2年間海の中にいて、ようやく水揚げかという時だったわけですから、本当に、私はカキの生産者の皆さんの立場に立てば、言葉も正直ありませんでした。そして本当に厳しい状況であるということを、よく自分自身としても、理解をさせていただいたところであります。私も森尾さん(早田原漁業協同組合代表理事組合長)のお話、あそこで伺って、2つ、特に現場に行って気づいた点があるとすれば、まず今年の水揚げの分だけではなくて、来年水揚げを予定されているまだ小さいものも、あれもほとんどある種へい死をしているという状態であったということ。つまり何かというと、来年の水揚げ分も、今時点でなかなか見通しが正直言って厳しいということを、よく認識をさせていただきました。そしてもう1つは、牡蠣小屋ですかね、あそこは。カキの作業場でたくさんの皆さんが働いていました。そしてその中には、おそらく海外から働きに来られた皆さんもあの場に何人もいらっしゃいました。当然、通年雇用でそこで働いていらっしゃるのだと思いますので、これから実際に出荷するものがないということであれば、その雇用なんかも含めて、そこで働いている皆さんの雇用も含めて、どういう形で支援ができるか、それをしっかり考えたいというふうに思っております。
記者
2点目は、まさに今、最後の方でおっしゃられた支援のことなのですけれども、すでに地元の自治体であるとか地元の国会議員さんから、国にいろんな要望が上がっています。中には激甚災害の指定であるとか、今国会での補正予算が求められている支援なんかもあるのですけれども、現場に行かれて検討の期間としてまだ短いことは承知なのですが、現段階で可能と考えている具体的な支援があれば教えてください。また、この支援、スピード感を持ってやっていくことが必要と考えるのですけれども、大臣の中で支援策等を打ち出す時期の見通し等、スケジュール感があればお聞かせください。
大臣
まず、意見交換においても様々なご意見をいただいたところでありますし、今朝も閣議前の場所で、平口法務大臣から、平口先生も広島でありますから、現状についてしっかり対応していただきたいという話も、平口先生からも私はいただいたところであります。そういったこともよく踏まえまして、まずはこの資材費の支払いや、来年以降の出荷の再開に向けて、共済や融資という、すでにある制度というのもありますので、まず、今ある制度でどのような支援がどこまでできるのかをしっかり整理をした上で、国・県・市が連携をとって、カキ養殖事業者の皆様の経営を支えていけるように対応させていただきたいと思います。これは農林水産省の制度だけではなくて、他省庁にまたがるものもあるというふうに私としては考えておりますので、パッケージとして、生産現場の皆さんが、先が見通せるような対応というのを、できる限り早く打ち出させていただきたいというふうに思っております。そしてもう1点は、現場でいただいたやっぱりお話の中で大変印象的だったのは、60年ぐらいですかね、カキ生産されていた方のお話でしたけれども、やっぱり60年やっていてここまでの事態というのは初めてだというお話でしたので、その原因究明、おおよそこういうことじゃないかという、海水の高温が長い期間続いたというのと、雨が降らなかったことによって塩分濃度が大変に上がってしまったということで、三倍体のカキについてもへい死率が変わらなかったという話なのかもしれませんが、そこの点について、国の研究機関ありますから、しっかりと原因究明をして、どうすれば今後同じ事態があったときにも対応が可能になるかということも含めて、ちょっと時間がかかることもあるかもしれませんが、対応させていただきたいと思っています。
記者
最後の、国の機関含めた原因究明ということなのですけれども、現地に入って調査することもということを現地の答弁でお答えされていますけれども、例えばそれについての目途、年内とか何かあったりしますでしょうか。
大臣
今まさに調整をしておりますので、水研機構(国立研究開発法人 水産研究・教育機構)の専門家の皆さん初め、もしくはうちの研究機関でなくても、大学の先生なんかで知見のある方がいらっしゃるかもしれませんので、誰にお願いするかも含めて早急に調整をして、できる限り早く現場にも行っていただこうというふうに考えています。
記者
経済対策についてお伺いします。お米券などによる食料品支援枠を設けることが盛り込まれることについて、1点目が、これを大臣としてどう受けとめているか、また2点目が、事務コストが高いとか米の価格が高値で推移するという懸念を示す専門家もいますが、こうした指摘についてはどのようにお考えか、お願いします。
大臣
まず今日、経済対策を閣議決定をすることになります。まず経済対策については、農林水産分野に関し、1点目は、この物価高対応として、「重点支援地方交付金」を通じた、お米券をはじめとする食料品の物価高騰に対する支援、これが含まれております。そして2点目は、食料安全保障の確立に向けて、農業構造転換の推進、農林水産物・食品の輸出拡大、力強い林業、そして水産業の強靱化などに関する施策が盛り込まれる予定になります。その施策の実現のために、補正予算が編成されることとなっているので、引き続きしっかりと対応させていただきたいと思っております。その上で、お米券の配布は、私といたしましては、今の価格では思うようにお米を買えないといった方々に対して、少しでも心置きなく必要な量、十分な量ご購入いただけるということを、それによって期待をしているところであります。その上で、中長期的には米の需要の安定が図られ、結果として米の価格が安定をしていくということが重要と考えております。事務コストやこの負担感については、各自治体においてできる限り負担感なく、やりやすいやり方で、そしてスピーディーに、やはり届くようにやっていただければというふうに考えておりますし、農林水産省としても様々なご指摘、当然あるところでありますから、自治体の皆様にも円滑にこういったことが、お米券に限らず食品バウチャーでやるところもあれば、ポイントを使うというところもあると思います。それぞれのやり方で、何かご相談に乗ることがあればしっかりと乗ってまいりたいと思いますし、様々な事例というのを、しっかり全国の皆さんにも共有させていただきたいというふうに思っております。
記者
支援の拡充をすると、出産費用の補助でも、補填をするとやっぱり値上がりするといったような現象もありましたし、米の価格が下がらない、下がりにくくなる要因になるのではないかという懸念についてはいかがでしょうか。
大臣
様々なご指摘が当然あると思いますが、まず、私たちとしてはやらなければいけないのは、今すぐに、困っている皆さんに何ができるかという観点で言えば、お米券をはじめ、食品の価格高騰に対する負担感を和らげることではないかなというふうに思っております。
記者
先ほどワシントン条約の質問が出た際に、昨日、57の大使館が自主的に集まってくださって、ご説明を大臣からされたということなのですけれども、これは、お声掛けは在京どれぐらいの大使館にされていたのかというのがもし分かれば。
報道官
事務方にお問合せください。
記者
養殖カキの大量死の関係で伺います。支援を検討する上での根拠となる、その被害の全容、これ瀬戸内海沿いの広島、兵庫、岡山と、非常に被害、広域にわたっているわけですけれども、その全体像、全容の確認・把握というものを、どういったスケジュール感で行っていくお考えか。それから、たちまちの緊急支援としては、やっぱり地元漁業者への金銭的な補償というものも、選択肢の1つには入るのでしょうか。
大臣
広島に限らず、岡山でも、そして兵庫でも、そして昨日は大阪の方からも実はご連絡をいただいたところであります。そしてまた、瀬戸内海の対岸である四国地方にもカキの生産やっておりますから、幅広くやっているところでありますし、水揚げの時期が若干ずれているというか、早かったり遅かったりということがありますので、そういうこともよく踏まえて、でき得る限り早く、全容というのを把握させていただきたいと思っております。その上で、金銭的な支援というか、支援のあり方については、よく現場の生産者の皆さんのお話を聞きながら、何をすることが結果として今後のカキ生産にとって希望が見出せるものになるのかという観点を踏まえて、現状の制度も融資なんかも含めて多々ありますので、そうしたことも含めて対応させていただきたいと思っております。
記者
もう1点、この被害が3年4年と長期化した場合、今あるカキの品種を改良するとか、あるいはカキをやめて、もう全く違うものを養殖するとか、漁業者にとっても環境変化に応じて転換を迫られるということも可能性の1つとしては想定されると思うのですけれども、そういう被害が長期化した場合の国の経営支援というようなことも、今後検討する余地というものはあるのでしょうか。
大臣
これは養殖の世界ではなくて、例えば天然の魚を取っていらっしゃる皆さんにとっても、海の環境変化によって、本来だったら取りたい魚種がその漁場で取れなくなったという事態が、ここ数年、特に多数起こっております。そうしたときに、魚種を、要は転換をするということに対する支援というのはもうすでに行っておりますので、そうしたスキームをよく踏まえてやりたいというふうには思っておりますが、ただ、今の時点で、現場に伺った感じで皆さんのお話を伺えば、すぐに何かそれを違う方向に向けていくという感覚ではなかったのかなというふうに思っておりまして、むしろ特に、広島はカキの生産でいえば日本の過半数を超えている大産地でありますから、今まで培ってきた生産現場の皆さんのご努力や、誇りや、そうしたものも感じる機会になりましたので、そうした皆さんの気持ちを第一に考えて、どういった対策が必要なのかについてはやらせていただきたいと思っています。
報道官
よろしいでしょうか。それでは大臣会見を終了いたします。
以上




