鈴木農林水産大臣臨時記者会見概要
| 日時 | 令和7年12月11日(木曜日)16時31分~16時43分 於:本省会見室 |
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| 主な質疑事項 |
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冒頭発言
大臣
この度、与党でのご議論も踏まえまして、関係省庁との調整が整いましたので、先日(11月19日)も視察をさせていただきましたが、この「高水温等によるカキへい死被害への政策パッケージ」、これが取りまとめることができましたので、私の方から説明をさせていただければというふうに思います。
このカキのパッケージは、大きく言うと3つの柱で成り立っております。まず、一本目の柱は短期対策として、養殖業者の皆さんの経営継続支援ということになります。そして2点目が、これは現場でも相当多くの皆さんから言われましたが、やはり徹底した原因の究明をして欲しいという話でしたので、これについて取組をさせていただきます。ただ、これはここにも書かせていただきましたが、もしかすればすぐにわかるかもしれませんし、なかなか海のことですから、時間がかかる面もありますので、中長期の対策というふうに書かせていただきました。そして3点目が、この海洋環境の変化等に対応した持続的なカキ養殖の実現に向けた対策として、海洋環境、変化しておりますので、それでも持続的なカキ養殖の環境を作っていくべきということで中長期対策として、この三本の柱で取組をさせていただければというふうに思います。
では、まず1ページ目をご覧ください。皆さんのところにもお手元にあるかと思います。最初の短期対策、経営継続支援ということで、いくつか私の方から主要なところだけ、今日はご説明をさせていただきます。1点目は、このカキ養殖業者の資金繰りに対する支援ということになります。農林漁業セーフティネット資金の実質無利子化、そして民間資金に対する実質無担保・無保証人化ということをやります。そしてもう1個は、直接カキの事業者ではなくても、加工流通などカキ関連事業者の資金繰りに対する支援ということになります。これはセーフティネット貸付がありますし、また、民間資金に対する信用保証制度ということで取組をさせていただきます。これについては金融庁の方にもお願いをさせていただきまして、金融機関等へ融資の円滑化ということで、支援・お願いを要請をしていただいております。それと同時に、瀬戸内海の関係県、これはカキの養殖をしている県すべてに、関係支援機関に特別相談窓口を設置をいたします。ぜひ事業者の皆さんには、資金繰りなどご不安な点ありましたら、そちらの方にご相談をまずいただければありがたいというふうに思います。そして、皆さんのお手元にも2ページ目があると思います。次に、カキ養殖業者の損害・収入の補填ということになります。まずは養殖共済による損害の補填、それと同時に、特定養殖共済・積立ぷらすに入っている方には、最大で9割水準までカバーをすることができていますので、基本的にはここでまず補填をしていくということになります。それと同時に、国税について、なかなか税の支払、すぐに厳しいという方がいらっしゃれば、国税の支払猶予についても納税の猶予制度を運用させていただいて、対応していきたいというふうに思います。そしてまた、来期以降のカキ生産に係る資機材の調達支援ということで、新たないかだの新たな資材が必要ということになりますれば、この種苗生産業者や養殖業者による付着器等の資機材の共同購入を支援、そしてまた、環境変動対応のための養殖手法の転換等に関する資機材の共同購入を支援、これは補正予算の成立が前提となりますが、今日の時点で衆議院はまず通過をいたしましたので、今後参議院、しっかりと成立をさせて臨んでいきたいというふうに思っております。次のページお願いいたします。次は、これがまた結構重要な点かと思いまして、私自身も現場お伺いをして、たくさんの皆さん、特に技能実習の海外から来られた方もいらっしゃって、たくさんの皆さん働いておりましたので、やはり雇用維持に対する支援が大事かというふうに思っております。特に、この技能実習生に対する実習の継続、これに向けた支援をさせていただきます。技能実習の継続が困難になった場合の新たな受入れ先の紹介など、実習先の変更を支援をさせていただきます。そして新たな受入れ先が見つかるまでの間や、元の実習先での実習再開までの間、一定の期間、他の職種であったとしても、週28時間の就労を可能といたします。また飲食業など、カキ産業、大変幅広くありますので、様々な影響を受ける事業者の皆さんには、雇用調整助成金及び産業雇用安定助成金の周知徹底をさせていただきたいと思います。また、(資料の)一番下から2番目になりますけれども、広島県や市町村が、なかなかこの国の制度だけではかゆいところに手が届かないということもあろうかと思いますので、その場合、現場の自治体が様々事業者のニーズに応じてやっていただくのだというふうに思っておりまして、そこの取組についても国として支援をさせていただきます。ここにも書きましたが、地方公共団体が行う取組への国の予算事業によるバックアップということになります。これも補正予算が成立することを前提として取組をさせていただきます。
そして中長期の対策に移ります。2点目の、徹底した原因の究明ということで、この大量へい死の原因究明を、水産庁、水産研究教育機構、そして関係県の研究機関による「マガキ大量死に関する連絡協議会」を立ち上げをさせていただいておりますので、徹底した原因究明をそこで実施をしていきます。これについては、12月3日にもうすでに開催をされておりますので、これ定期的にやっていって、どのぐらいかかるか、正直学術的なこともありますのであれですけれども、しっかりやらせていただきたいと思います。
次のページお願いします。そして最後の3番目の柱であります。海洋環境の変化等に対応した持続的なカキ養殖の実現に向けた対策ということで、中長期対策ということになります。まず1点目は、この漁場環境の整備に向けた支援といたしまして、国と県、地元自治体、研究機関が連携をして、下水処理施設等から海域に栄養塩類を供給する取組を実施をいたしたいと思います。カキが育つ上では栄養素となる、特に窒素やリンといった栄養塩と言われるものが必要ですが、最近(海水が)なかなか綺麗になっちゃって、栄養塩が足りないのではないかというご指摘もありますので、これをしっかりとまずは供給をしていくということをやらせていただきます。そしてもう1点は、この地方公共団体と連携をいたしまして今、カキ殻は鳥インフルエンザ等もあって、本来であれば鳥の方に使われるべきものの、需要が減退しているという実情もありますので、漁場などで例えばカキ殻をどのように活用ができるか、これは公共事業なんかも含めて対応をさせていただきます。これも補正予算が成立すればということになります。そしてもう1点は、現場から言われているのは、このカキ殻の一時保管場所がなかなかないというご相談もありましたので、そこの確保に向けた支援も行います。自治体が行う、このカキ殻を漁港内に適切に一時保管するための用地の整備について、新規メニューで、補正予算で成立すれば対応させていただきたいと思います。そして、新たな環境変化に対応した新たな種苗や養殖方法の開発ということで、三倍体のカキ、そして人工の種苗の導入や、近年の漁場環境に応じた養殖方法実証の取組を支援をいたします。これも補正予算が成立した場合ですけれども、新規メニューとして対応させていただきます。あとは、三倍体カキの人工種苗生産施設の整備なんかについても補正予算で対応させていただきます。
大体そのような形で、最後に、これ重要なのでぜひ皆さんからもお願いをしたいのは、この特定養殖共済、先ほどもちょっと申し上げましたが、最大で積立ぷらす、9割まで補填をすることができます。できますれば、県や関係団体と連携をして、この特定養殖共済への加入・移行を強力に、これから1年、2年ということではなくて、しばらくの間しっかりとこれを推進をさせていただきたいというふうに思っております。まずは、このカキ対策パッケージ、今回まとめることができましたが、これが生産現場のカキ養殖業の皆さんに一刻も早く、まずしっかり説明ができるように、我々として、地元自治体と連携をして取組をさせていただきたいと思いますので、皆さんからもまたご指導いただければと思います。私からはまず冒頭、以上です。
質疑応答
記者
大臣として今回の問題への対応で特に意識した点と、大臣、説明の中でも原因究明には時間がかかるかもしれないとおっしゃっていましたが、今後の問題解決に向けて、対応をどう進めていきたいか伺わせてください。
大臣
私自身も先月の19日に、なるべく早くという思いで現地入りをさせていただきました。そうしたところ、水揚げしたカキのほとんどがへい死をしている状況、そしてまた来年も、来年本来は上げるべきだったものも現実としてはかなり厳しい状況というのをよく確認をさせていただきました。特にカキの養殖業の皆さんとお話をしましたら、やはり皆さん今までずっと取り組んできて、この状況というのが初めてだということで、大変困っていらっしゃるということもよく痛感をしたところであります。そうした皆さんに対して、見込んでいた(カキの)水揚げができなくなった皆さんにおいては、まずはやはり経営継続、これは広島を中心に瀬戸内海、特にカキ産業というのが本当に盛んで、そして関連産業も含めて、経済的にも大きいものがありますので、これを県と一緒に、地元自治体と一緒に支えていきたいということ、そのための当面の資金繰りの確保や雇用の維持など、しっかりと取り組まさせていただきたいというふうに思います。また、この政策パッケージ、スピード感を持って最大限関係省庁とも調整をさせていただきました。これをまず現場の皆さんによく知っていただいて、早急に活用いただけるようにしたいというふうに思います。そして原因究明については、なかなか海のことですから、一朝一夕に何かこれが特定の原因ですというのが果たして割り出せるのか、どうなのかということについて、専門家も多数現場にもこれからも行っていただきますので、これまでの様々な知見もありますから、そうしたこともしっかりと踏まえて、これは関係県としっかり連携をとって原因究明に当たっていって、そしてその先の展望というのが示せるようにしっかりやらせていただきたいと思います。
報道官
よろしいでしょうか。それでは大臣会見を終了いたします。
以上




