鈴木農林水産大臣記者会見概要
| 日時 | 令和8年4月3日(金曜日)8時46分~9時04分 於:本省会見室 |
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| 主な質疑事項 |
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冒頭発言
大臣
本日、私から1点、ご報告がございます。
本日の閣議におきまして、「重要品種の育成及びその種苗の生産の振興に関する法律案」、通称、気候変動等対応品種法案、そして、「種苗法の一部を改正する法律案」、そして、「主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律の一部を改正する法律案」、この3つの法律案が閣議決定されました。
まず、気候変動等対応品種法案は、温暖化などの気候変動や農業者の減少など、農業をめぐる情勢の変化に対応するため、高温や病害虫に強く、多収などの特徴を有する重要品種の育成と、迅速な生産現場への普及を図るための計画認定制度を創設するものであります。次に、種苗法改正法案は、我が国で育成された新品種につきまして、育成者権の保護強化のため、存続期間を10年延長するとともに、品種登録前の種苗の輸出に関する差止請求制度を創設するなど措置をするものであります。また、食糧法改正法案は、今般の米価高騰の要因及び政府備蓄の売渡しの対応を検証する中で、農林水産省が多様化する流通実態を的確に把握できていなかったことや、政府備蓄の売渡手続に時間を要し、機動性を欠いたということが、そういう課題が明らかになったところであります。
このような課題に対応いたしまして、米の安定供給を確保するため、外食・中食を含め流通業者の取引実態を幅広く把握するとともに、官民を挙げた備蓄体制を構築し、備蓄米の機動的放出を可能とすることとしたところであります。また、米の需要を拡大し、これに応じた生産を推進するため、従来の米の需要の減少を前提とした生産調整に関する規定を見直すこととしたところであります。3法案、一日も早い成立を目指して尽力をしてまいりたいと思います。本日、私からは以上です。
質疑応答
記者
イラン情勢についてお伺いします。肥料原料を販売しているJA全農は、このままイラン情勢の緊迫化が長期化した場合、秋の作付け用の肥料の値上げは避けられないという見通しを明らかにしました。これについての受け止めと、政府として今後の対応の方向性を教えてください。
大臣
先月30日の全農の会見で、本年6月以降に販売する秋作業に使用する肥料の価格について言及したとの報道については、承知をしております。全農においては、例年5月末頃に、秋作業に使用する肥料の卸売価格を公表しているところであります。特に、中東が主産地域の尿素の国際価格が上昇する中で、その価格動向に影響を及ぼす可能性を述べたものというふうに受け止めさせていただいております。まず申し上げておかなければならないことは、生産者が春作業に使用する肥料については、現状として影響はないというふうに認識をしておりますが、私たちとしましては、秋作業以降に使用する肥料価格の動向は注視をさせていただき、いずれにしても、農業者の皆様が安心して経営を継続いただけるように、引き続き、緊張感を持ち万全の対応をしてまいりたいというふうに考えております。特に価格動向も当然そうですが、価格以前に供給がなければいけませんので、供給についても万全を期してまいりたいというふうに考えております。
記者
先日(31日)、総合物流施策大綱が閣議決定されまして、農林水産業分野でも物流の効率化とサプライチェーンの強靱化、二項目挙がっていたと思うのですけれども、この2点についての大臣の現在の問題意識と、それから今後注力していこうとする施策の方向性をちょっとお聞かせください。
大臣
物流面、特に農産品については、鮮度を保持しながら消費地に運ばなければならないものもたくさんあろうかというふうに思います。そういう中で、現在、人手不足の環境の中で、物流の安定性、これからの持続可能性というのが、まさに私たちの業界にも問われている課題であるというふうに思っております。まずは、当然、荷役に携わる皆さんの負担の軽減、これを産地の現場でいかに進めていけるか、例えば箱詰めだったものをコンテナに変えるとか、そうしたことは産地側の対応としてやらなければならないというふうに考えておりますし、同時に、特に遠隔地においては、共同で集出荷をする場所を決めて、そこに要は物流の拠点として対応していただくというようなことも必要かと思いますし、また基本、農産品は特にトラック輸送が、農産品に限らずほとんどトラックの輸送がメインを占めておりますが、遠隔地については鉄道であったり、また船であったり、使えるものをしっかりとこれからさらに活用していくということが大切かというふうに思っております。我が省としても、国土交通省と一緒にこの物流の効率化、更に持続可能性の担保に向けて努力させていただきたいと思います。
記者
サプライチェーン等は輸出を意識したものという文言もあったのですけれども、輸出、強化されていくという方針からおっしゃられておりますが、そことの関連でサプライチェーンについて、一言いただけるとありがたいです。
大臣
特に今、私たち、輸出の食品については5兆円の目標に向かって、努力をしている最中でありますが、ただやはり、その時に産地からいかにコストを抑えて海外に出せるかということを、重点的に考えていかなければならないというふうに思っております。そう考えますと、今現状、基本的には船で出すこと、もしくは航空便で出すということになりますが、船で出す場合は、大きな港にまずは持ってこなければならないという課題がありますから、そこについて、今後、地方の港の活用の在り方、そうしたことも考えていかなければならないと思いますし、空港についても同様かと思います。これまで、海外の例えばですけれども、お隣の国の空港経由で行っていたものなんかもたくさんあろうかと思いますが、そういったものはできれば成田空港、こうしたものを活用して、物流を国内から直接海外に出すようなことが可能になるように、生産現場の皆さん、またこれ流通や卸、そういった皆さんとも一緒に輸出商社とも取り組んでいきたいというふうに考えております。
記者
先日アメリカが公表した、貿易の障壁の報告書に関してお伺いをしたかったのですけれども、日本への生鮮じゃがいもの輸出解禁に向けて協議が進んでいるとの言及がありましたが、害虫のリスク評価が進んでいるということでしたが、こちらの事実関係についてお伺いをしたいのと、農水省としての受け止めについてお伺いさせてください。
大臣
今お話のあったものについては、これは米国側の文書でありますから、その内容の逐一について、コメントすることは差し控えさせていただければと思います。ただその上で申し上げますと、米国産の一般流通用の生鮮ばれいしょにつきましては、2020年に輸入解禁要請があったところであります。現在、日本とアメリカの両国の検疫の部局間でWTO SPS協定に基づきまして、科学的な協議を行っているところであります。農林水産省としては、これは病害虫の侵入による国内産地への影響が生じさせてはならないというふうに考えておりますから、当然そういう影響が生じないように、今後ともしっかり科学的に議論、協議してまいりたいというふうに考えております。
記者
本日、閣議決定された種苗法の改正案について伺いたいのですけれども、優良品種の海外流出というのは、非常に以前からも懸念する声はあったかと思います。今回の改正案について、大臣が期待することや意義について伺えないでしょうか。
大臣
種苗法の一部を改正する法律案でありますけれども、まず具体的な内容としては、育成者権、これの存続期間を10年間延長することといたします。その結果、果樹などは40年間、その他の植物は35年、こういうことになります。それと同時に、やはりこれまで課題だったのは、この品種登録前に種苗が海外に流出をしてしまう可能性について、これについて法的な、何かあれができなかったという課題がありますので、この品種登録前の種苗の輸出に関する差止請求制度を創設することとします。また、輸出前の種苗の保管状態に育成者権の効力を及ぼすなど、育成者権者の保護の強化のための措置を講ずるものであります。
こうした措置によりまして、新品種を知的財産としてしっかりと保護をしていって、また産地形成や海外への輸出促進につなげていくことが重要であるというふうに考えております。やはり種苗、特に新しい種苗をいかにして新しい品種を生み出して、いかにそれをマーケットに受け入れていただくか、特にこの気候変動で中々新しい種苗の必要性というのが今まで以上に高まっている中で、やはり開発した皆さんがしっかりと守られていくということは大事かと思いますし、同時に日本の今後の農産品の、これは海外展開を考えた時にも、種苗が流出をして結局海外で大量に生産されて競争力を失うということであっては全くならないというふうに思いますから、そういった過去の事例を繰り返さないように、今回、改正法案出させていただいております。
記者
食糧法の改正案に関して伺います。需要に応じた生産というのを明記されるかと思いますが、国際情勢の変動などやインバウンドの増減など米の需要予測は困難になることが予想されるかと思います。インバウンドに限らず、不測の事態というのは往々にして起こることかと思いますが、こうした状況への対応はどのように進める方針でしょうか、教えてください。
大臣
この米の需要の変動要因といたしましては、主に日本の人口は予測しておりますので、これはそんなにぶれるものではありません。そして、家計の購入量、そしてもう一つはインバウンド需要、こういった大きく言うとその3つが考えられるというふうに思っております。こうした実情を踏まえまして、より精度の高い需要見通しとするため、昨年9月に示した米の基本指針では、これらを考慮した需要の算定方法に見直しを行ったところであります。さらに、本年3月の食料・農業・農村政策審議会の食糧部会において、こうした算定方法を踏襲しつつ、直近のこれは要するにとう精数量、精米にする数量、これは実数として把握が事業者によってはしっかりできておりますので、そのとう精数量や人口、そして精米歩留り、これらの値を反映させた需要見通しに更新をしたところであります。農林水産省として、引き続き、作付意向など生産量の動向や、またこのインバウンドも含めた需要量の変動、これインバウンドも数値がしっかり把握できますので、そうした傾向なんかもできる限り正確に把握をして、この需給の動向に関する一層精緻な情報の提供に努めていきたいというふうに考えております。
記者
食糧法改正案の需要に応じた生産の文言について、私の方からもお聞かせいただきたいと思います。文言を入れた意義について、大臣のお考えをもう一度お聞かせください。いわゆる需要の増減に応じた政策ということになるかと思うのですけれども、いわゆる減反政策で使われていた言葉をもう一度使うということで、一部では生産調整が続き価格を維持するという政策も変わりはないのではないかという指摘もございます。こういう指摘に対してどうお答えいただけるか、ご意見をいただければと思います。
大臣
需要に応じた生産の法定化を今回させていただきますが、まずご理解をいただきたいことは、今回、同時にこの生産調整方針に関する規定は廃止をすることになります。まさにこの生産調整方針に関する規定が米の需要減少、これを要するに主食用の国内需要の減少というのを前提とした上での生産調整ということでありましたから、その規定自体をまず廃止をします。私たちこの需要というのは、輸出や米粉、そして酒米や様々な用途の米というのがありますが、この需要をしっかりと開拓をして、そして輸出促進、生産性向上などに関する施策など、生産の持続的な発展を図る施策を講じることを、これも合わせて法律上位置付けをしますので、皆さんおっしゃるように需要に応じた生産がイコール生産調整なんだということには全くなりませんし、逆に需要は基本的には伸ばしていく、そこに応じた生産を行っていただくと。ただ、それは、様々な用途の米について、これもちろん主食用も含めて、需要をできる限り伸ばすことを政府が全面的に努力をさせていただくということになります。
記者
イラン情勢の緊迫化が酪農乳業に与える影響について伺います。燃料費や包装資材の高騰により、牛乳だったりヨーグルトだったり、乳製品の生産や出荷への支障を心配する声が出ています。こうした酪農現場周辺への懸念の声や、上がってきている報告に対する大臣の受け止めと今後の対応方針を教えてください。
大臣
ヨーグルトを含む牛乳乳製品を製造する乳業におきましては、物流・品質保持のために、プラスチック容器やフィルムなどの石油由来の包材が広く使用されているところであります。これらの乳製品を製造する乳業者からの聞き取りによりますと、「直近ですぐに影響はないものの、一部の包材では、調達先から5月納品分から値上げを打診された」との事例があったというふうに報告を受けているところであります。また、牛乳を作る酪農の現場では、搾乳や飼料の生産において、灯油や軽油などを使用するほか、生産した飼料の包材にマルチなどの石油由来の製品が用いられているところであります。今、生産者団体からの聞き取りを行ったところでありますが、現時点で生産活動に大きな支障が出ているとの報告は聞いておりません。また、このほか、生乳の集出荷を担う一部の運送事業者からは、集送乳経費の上昇や生乳の中継拠点であるクーラーステーションでのエネルギー使用について、懸念の声があるというふうに伺っております。農林水産業・食品産業の現場では、石油や石油由来の製品が広汎に使用されておりますため、引き続き、どのような分野でどのような影響があるのか、迅速な情報収集に努めてまいりたいというふうに考えております。当然、様々な資材で、これは石油、またナフサ由来のものというのはたくさんありますから、影響が全くないということではありませんので、その辺、よく注視をして、供給にまずは万全を期して参りたいというふうに考えております。
報道官
よろしいでしょうか。それでは大臣会見を終了いたします。
以上




