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農林水産省

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働く人も企業もいきいき食品産業の働き方改革検討会(第三回)概要

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日時

平成30年2月21日(水曜日) 10:00~12:00

場所

農林水産省食料産業局第1・2会議室

出席者

大塚委員、小澤委員、佐藤委員、竹井委員、林委員、藤野委員、菊池委員代理

発言内容

卸売業・小売業における働き方の現状と課題の紹介。

  • 宮浦食品流通課長
    現状の課題として、卸売業・小売業ともに比較的労働時間が長い。小売業については、人手不足(欠員率)は非常に高く、年間の休日総数も少ない。労働集約的な作業が多い為、労働生産性も低くなっている。
    将来に向けた働き方の見直しとして、長時間労働対策では2交代制勤務の導入や作業効率を上げるためのボイスピッキングシステムの導入などが取り入れられている。
    また、現場の職員の声を把握するためアンケート調査を整理すると、人手不足や育成について多くの意見が挙げられていた。

食品流通業4社からのヒアリング。

  • 尾家産業株式会社
    業務用食品卸として、飲食店や医療・福祉施設・機内食などの中間卸を行っている。多くの人手を必要としており、顧客の要望により配送増加や深夜受注及び早期納品などが加速した。そのため、顧客へ物流コスト削減策への協力要請や配送回数の設定、他業者、野菜との共配、百貨店や新ビルへの共配など、プラットホーム化の提案推進、夜間ピッカーや配送人員の確保するために女性や外国人雇用を検討するなど、対応策の検討及び導入を始めている。
    働き方改革としては、業務改善アンケートの実施や、若い社員に制度を考えさせるジュニア・ボードPTを発足させた。また、2018年4月より有給休暇の計画取得制度として、半期毎に1日必須取得を実施する。労務管理では、定年の延長や育児休暇制度での変則的勤務の導入を実施し、従業員の定着を図っている。
  • 高松青果株式会社
    四国・高松の中央卸売市場で青果を扱っており、平均年齢が39歳の企業である。過去3年間で新入社員が9名入社したが退職者はゼロである。
    働き方改革の取組では、「55ホリデー」として、現在の連続有給休暇(5連続休暇:3営業日)から、8連続休暇取得(5営業日)を目指すため、業務の見える化や平準化に取り組む。
    業務上夜の作業が発生する場合は、在宅勤務を可能とすることで定刻より1時間程度早く一旦終業させ、在宅にて対応している。また、グループ対応することにより属人性を廃止し、労働生産性を向上させる。将来はAIの導入により、システムで解決できることを目指している。また、時間外労働の軽減や社員アンケートの実施により、社員の要望を反映し自分らしい生活を応援している。
  • 株式会社いなげや
    関東圏でスーパーマーケット140店舗を運営。課題として、規制緩和により拡大し続けた営業時間や厳しい人出不足の問題。高齢化・共働き・単身世帯の増加により「出来立てが食べたい」というニーズの増加が従業員の負担を高めている。さらに、最低賃金の引き上げなど人件費の増加や従業員の意識改革も課題であった。
    働き方改革として、作業面では、センター化の推進によって精肉・鮮魚の店内作業の削減やセミセルフレジの導入による人手削減の取組などを実施している。また、営業時間の見直しや定年、再雇用上限年齢の引き上げ、制度変更も行っている。その他、意識改革の取組としても管理職・階層別研修なども実施している。
    10年以上継続している取組としては、月間9日間公休取得及び年間の公休完全消化、年末3日間の総労働時間規制を行っている。
  • 株式会社シュン
    東京都練馬区を所在地とした、鮮魚小売業を営んでおり、鮮魚全般、干物などの水産加工品、お寿司、惣菜などを取り扱っている。
    職場の課題としては、師弟関係が存在する職場環境において上司よりも先に帰りづらい雰囲気があることや、魚の入荷量の変動により作業計画が立てづらいなど様々な課題がある。また、企業として手間をかけること価値を置いており、実際に手間のかかった商品の売り上げが伸びている。
    自動釣銭機の導入やクラウド勤怠管理の導入など省力化を図っている。
    人員不足の解消として、パートの活用と親子就労促進により、親子で働くスタッフが9組いる。また、年間休日の増加や会議時間・数の削減などの取組を行っている。

意見交換の内容については以下のとおり。

  • 小澤委員
    シュンさんに質問。高齢者が増加に対応した売り方の工夫としてどのような取組をされているか。
  • 大川戸氏
    お客様にも買いやすい対面販売が主流。年配のお客様に対してだけではないが、こちらの方からお客様に一次加工を承ったりもしている。
  • 小澤委員
    高齢者が人との対話が無くなってきているので、対面販売の必要性が増えつつあると言われている。会話・対話を踏まえた商店の必要性を改めて考えさせられた。
  • 小澤委員
    佐藤委員の発表で、建設的な労使環境についてお話があったが、現在労働組合の組織率が18%以下と下がってきているのではないか。また、大企業ほど所定労働時間時間が短いのはどのような理由が考えられるのか。
  • 佐藤委員
    組織率はおっしゃる通り17%ほどであり、ほとんどの企業に労働組合がない状態。このような中、労働組合があれば持続的に企業が発展するということではないという意識のもとでやっている。大手では、おそらく所定内労働時間の設定は短くしながらも、最終的に時間外が長くなっているところも多いのでは。働き方改革においては、残業を減らすということではなく、仕事の仕方自体や中身を、労使で共通認識を持って変えることが重要である。仕事を一つ増やすなら一つ減らすといったような仕組から変えることが労使の中でいかに共通認識を持って取り組めるかがポイント。
  • 藤野委員
    残業したい人としたくない人とはっきり色分けして見なければいけない。また、高齢化と人口減少で必要とされるビジネスモデル全体が変わってきており、淘汰される部門や事業所が出てくるのはやむを得ないかもしれないが、その中で労使一体となって協調姿勢を取っていくべき感じた。以前にも話したが、海外で食品価格が高く維持されているが、日本はとても安い。このようなことがどう成り立っているのか知りたい。
  • 大塚委員
    社会全体で働き方改革の根本的な課題に目を向けないといけない。各社の取組も大事だが、農水省としての消費者への注意喚起や、一気に価格を上げるための示し合わせなど、個別ではなく食品産業全体としての取組もそろそろ必要ではと思う。国として関わり、声を取りまとめていくといったことも働き方改革の前提として必要になってきているのではないか。
    また、大企業に限ったことかもしれないが、労働時間については現場とホワイトカラーでは違うのではないか。現場は効率化や工夫等を積極的に行ってきた背景があるが、ホワイトカラーでは時間の管理も甘く、効率化の意識が低いということがある。その違いも今後把握していく必要があると思う。
  • 企画課長
    ご指摘の通り、良いものを作れば報われる社会を作らなければいけない。付加価値の高い商品がしっかり売れるための取組が重要であり、今般食品産業で初めて下請ガイドラインを作成した。引き続き取り組んでまいりたい。
  • 林委員
    いなげやさんの発表について。小売や製造業は非正規労働者の割合が高い業種だが、短時間社員への社会保険の適用は非常に少ない。今年度から、500名以上の企業においては社会保険の短時間社員への適用が法律で定められ、それ以外は任意となる。社会保険の適用と、150万の配偶者控除の拡大が非正規の労働市場に与える影響はかなり大きいと実感している。就職した企業の社会保険の有無は自分自身のライフスタイルとかなり強く結びついている。統計を取るときは、非正規職員も社会保険への加入の有無で分けて取るなど、工夫が必要である。
  • 竹井委員
    林委員の話に関連するが、社会保険適用の拡大は大変なことで、外食産業ではお客様の数で労働時間が増える。加えて、社会保険の適用が大きな課題。パート職員の中で80時間を下回って働きたい方が多い場合、1人の仕事を2人でシェアするような形になり、そういう採用は人件費の面から難しい。都心においては時給も上がっているので、その辺りは考えていただきたい。
  • 菊池委員代理
    付加価値を上げることと、お客様にニーズに応えることが、時間や人の入れ替えがあると難しいと感じた。高松青果さんの常識を見直すという話は新しい発見だった。在宅勤務やどこでもオフィスなども取り入れたが、対面でないとコミュニケーションがとれないという常識を疑うことで、発想を変え、着眼点を変えていくことが大事かと思った。

(以上)

お問合せ先

大臣官房 新事業・食品産業部 新事業・食品産業政策課

代表:03-3502-8111(内線4136)
ダイヤルイン:03-3502-5742

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