このページの本文へ移動

農林水産省

メニュー

山形県庄内町・日下部新エネルギー係長に聞く

再エネインタビュー
風車の点検風車の点検をする日下部係長

庄内町(しょうないまち)は、山形県の北西部に位置し、人口約2万人、面積約250km2の農業を基幹産業とする中山間地域です。霊峰月山(がっさん)から庄内平野の水田地帯に至る南北に長い地形で、春から夏は奥羽山脈と新庄盆地を吹き抜けてくる東南東の局地風「清川だし」や、冬には日本海側から北西の季節風が吹き付ける内陸部の平地としては稀な強風地帯です。

町では、農作物に被害を与え、時には大火の原因にもなり、厄介なものとして敬遠されてきた強風を、いち早く再生可能エネルギーとして利用してきました。

町の取組について庄内町環境防災課日下部(くさかべ)新エネルギー係長にお話を伺いました。
(聞き手:東北農政局経営・事業支援部食品企業課)

庄内町は、平成17年に余目町(あまるめまち)と立川町(たちかわまち)が合併してできた町です。 
町営風車の簡易な定期点検は、役場職員がはしごを登って自分たちで行っています。

地域特性を活かし自治体初の売電用風車を導入

庄内町(旧立川町)の風力発電は、昭和55年度の風車で発電した電力を温室ハウスの暖房に利用する実証事業が始まりです。昭和63年の「ふるさと創生事業」を契機とする地域おこし運動の中、町民の話し合いにより「風」をキーワードにした地域づくりを進めることになりました。

平成5年には、観光振興や売電を目指し、最先端のアメリカ製風車の導入に向けて、町の職員が国などの関係機関と度重なる論議を重ね、当時の自治体としては最大級となる風車(100kW×3基:「シンボル風車」)の導入を実現しました。

この風車で発電した電力は、先ずは温室ハウスへの供給やシンボル風車のライトアップの照明等に活用され、残りは東北電力に売電しました(電力会社による独自の余剰電力購入)。その先進的な取組は、「風を売る町」などの見出しで、メディアに数多く取り上げられ「風の町立川」の名前が全国に広まり、平成14年にはNHK「プロジェクトX」でも紹介されました。また、同年には、中速風域(年間平均風速5.2m/s:地上高 15m)における大型風車の事業性を実証することを目的に、町営風車(1,500kW×1基)が建設され、現在も稼働を続けています。

農山漁村再エネ法活用した新たな風力発電事業の導入

シンボル風車シンボル風車   現在は撤去済み

平成21年、地元企業が風力発電事業への参入を計画しましたが、法規制や電気の系統連系の問題や、事業者の所有地や町有地に事業適地が見つからないことから実現できませんでしたが、平成26年5月施行された「農山漁村再生可能エネルギー法」(以下「法」という。)により、従来は転用不許可である第1種農地であっても、一定の要件を満たすことで再生可能エネルギーの導入のために活用できるようになり、庄内町において風力発電事業の機運が再び高まりました。

平成26年7月には庄内町に法に基づく協議会を設置し、活発な議論を経て、平成27年9月に町が「基本計画」を作成、公開しました。基本計画では発電設備の整備を促進する区域としてa~dの4地区を定めていますが、その中の1地区(d地区:最上川風力発電所)では令和元年7月に設備が稼働しており、全量を東北電力に売電しています。残り3地区は令和3年中に完成し、稼働開始の予定です。

協働型の発電事業で地域の活性化



最上川風力発電所最上川風力発電所
トルコギキョウ
新庁舎に飾られたトルコギキョウ
町では花き栽培を振興している

庄内町は平成18年に、独自に新エネルギー推進委員会を設置して再生可能エネルギーに取り組んできました。この推進委員会をベースに農業委員会や森林組合等をメンバーに加え、協議会へ改組しています、法の施行後間もない頃には、協議会メンバーに法の理念やメリット等を分かりやすく、工夫を凝らした説明に努めました。

町ではいずれの発電事業の場合でも、協議会で発電事業導入に向けての技術面や資金調達方法等の事業性評価を行い、発電事業者を選定をしてきています。協議会のメンバーが事業者選定に関与することで、地域住民には安心感も生まれていると思います。

最上川風力発電所(d地区)の発電事業者は、発電設備の近隣の農道等の地域の環境整備や、発電設備敷地内での花き栽培事業者にビニールハウス建設への支援を行うことにより、地域貢献に努めて頂いています。

風力発電を全国へ

庄内町は、平成6年に風をテーマにした地域活性化を目指し全国12市町村による第1回風サミットを開催しました。平成8年には国内の風力発電の開発、普及を推進することを全国に呼びかけ、「風力発電推進市町村全国協議会」が結成されました。このように自治体による風力発電の魁(さきがけ)として、国内の風力発電普及に貢献してきました。

また、これら一連の活動から平成7年に国内初となる民間企業6社による売電会社である株式会社山形風力発電研究所が設立されました。研究所は、平成10年に旧立川町の出資により第3セクター「株式会社たちかわ風力発電研究所」となり、風力発電所の運転・管理も担い、庄内町の風力発電の発展に貢献しています(平成29年4月に全株式をエコ・パワー株式会社(現コスモエコパワー株式会社)へ譲渡)。

町の再エネ、省エネ活動の継続と推進

ウインド―ム立川ウィンドーム立川
町民節電所キャラ町民節電所キャラクター
「エコパパ」、「エコリン」、「エコプー」

庄内町では、平成5年のシンボル風車導入後に、風を感じ、風を理解する場所として整備された「ウィンドーム立川」での再エネに関する教育活動や、「町民節電所」、「小中学校省エネチャレンジ事業」での省エネ教育に継続して取り組んでいます。

子供を通して各家庭(親や祖父母)にも再エネ・省エネの意識が浸透しており、町としては再エネと省エネを活動の「両輪」として今後も推進していきたいと考えています。

「町民節電所」は、省エネルギーの実施を積み重ねることで、発電所を建設したのと同じになるという考え(ネガワット)による取組です。多額のコストをかけて発電所を増やす必要が少なくなるため、節電(省エネ)に努めることで、電力会社・顧客・環境が共にメリットを受けることができます。 

日下部係長、インタビューのご協力
ありがとうございました。

お問合せ先

大臣官房環境バイオマス政策課再生可能エネルギー室

担当者:再生可能エネルギー地域普及班
代表:03-3502-8111(内線4340)
ダイヤルイン:03-6744-1507
FAX番号:03-3502-8285