このページの本文へ移動

農林水産省

メニュー

始まった食品事業者の取組:カゴメ株式会社

sdgのロゴ 始まった食品事業者の取組

カゴメ株式会社
カゴメ本社にて集合写真
インタビューで取り上げたSDGs
目標1のロゴ目標2のロゴ目標3のロゴ目標4のロゴ目標5のロゴ目標8のロゴ目標9のロゴ目標10のロゴ 目標17のロゴ

   カゴメ株式会社は、トマトを中心とする野菜の飲料や調味料等を製造する他、国内外で原料農産物や種苗の生産を行っています。そして、これまで培ってきたトマトや健康への知見をさまざまな社会課題の解決に活かし、持続的に成長できる強い企業を目指しています。
   この度、企業のCSR活動とSDGsの取組について、カゴメ株式会社東京本社の経営企画室広報グループ部長・鶴田秀朗さん、経営企画室広報グループ課長・北川和正さん、品質保証部環境システムグループ専任課長・杉野友昭さんにお話を伺いましたので、その内容を紹介いたします。

取材日:2019年6月21日 カゴメ株式会社東京本社にて
写真左    カゴメ株式会社東京本社 経営企画室 広報グループ 部長 鶴田 秀朗さん
写真中央 カゴメ株式会社東京本社 経営企画室 広報グループ 課長 北川 和正さん
写真右    カゴメ株式会社東京本社 品質保証部 環境システムグループ 専任課長 杉野 友昭さん

「カゴメのありたい姿」と
長期ビジョンの実現に向けて

   カゴメのビジネスの特徴は、畑(農業)から始まり、食卓までつながっている点です。モノづくりのベースとなる畑の土壌管理や生産者の支援、種苗の開発、原料の調達、加工、商品の販売までを担い、お客様の健康寿命の延伸に貢献するというビジネスモデルを持っています。
   2015年にカゴメの「ありたい姿」として、「食を通じて社会課題の解決に取り組み、持続的に成長できる強い企業になる」ことを掲げました。この背景には、企業として持続的に成長していく上で、世の中の変化に対応して、その変化をビジネスチャンスとして捉えて成長していきたいという考えがあります。特に、10年後の社会と環境の姿を経営陣で議論した結果、「健康寿命の延伸」「農業振興・地方創生」「食糧問題」をカゴメが関わるべき社会課題であると捉え、事業を推進しています。
   また、ありたい姿とともにカゴメの長期ビジョンを示しており、一つ目の長期ビジョンとして、2025年までに「トマトの会社」から「野菜の会社」になることを掲げています。カゴメと言えばトマトの印象が強いと思いますが、健康寿命の延伸に貢献するためにはトマト以外の野菜も摂取する必要があることから、お客様の野菜へのニーズにも応えられる企業になって社会に貢献することを目指しています。例えば、商品ごとの野菜量をもとに、売り上げを野菜量に換算するシステムがあり、KPI( Key Performance Indicator:重要業績評価指標)にもなっています。
   二つ目の長期ビジョンとして、今後20年~25年後(2040年頃)までに社員から役員まであらゆる階層の女性比率を50%以上とすることを目指しています。2015年当時、カゴメの従業員に占める女性の割合は、全体の2割程度と低い状況でした。しかし、世の中の男女は半々であり、お客様も当然そうです。今後のビジネスにおいては、女性の視点がより重要になると考え、それを経営に反映できるような人事制度の確立に努めています。具体的には、2016年度から新入社員の半数以上が女性となるような採用を行い、今では新卒の6~7割が女性です。また、リテンション(確保、定着)を高めるために、働き方改革を進め、多様な人材が活躍できるような取組に力を入れています。
   これらのことを考えた際にSDGsが起点となっていたわけではありませんが、ビジョンや事業の一つひとつが密接にSDGsに関わっているので、つながりは意識しています。特に、今はSDGsに対する社会の関心が高まり、投資家もSDGsをベースとして企業を評価していますので、カゴメの事業をステークホルダーに伝える時の「ものさし」としてSDGsが重要だと考えています。

現場の力が地域との連携に
大きく貢献

   カゴメでは、健康寿命の延伸に向けて成人1日あたりの野菜の摂取量を350グラムにすることを目指していますが、これは一社単独では達成できないことです。一方、多くの自治体が健康寿命の延伸や農業の振興に取り組んでおり、SDGsの観点からも当社と同じ方向を向いています。このことから、カゴメの各地の営業拠点が中心となって、2019年6月までに15府県5市1町1団体と協定を結び、地元の農産物を使用した商品の展開やレシピの共同開発、食育やトマトの栽培指導など、地域の農業振興や健康づくりに積極的に取り組んでいます。
   2018年3月に神奈川県と「連携と協力に関する包括協定」を結び、県民の方々が主体的に未病改善に取り組めるよう「保育園等での食育プログラムの実施」や「かながわ学校給食夢コンテストの実施」など野菜摂取促進に向けた取組を進めてきました。さらに、2019年6月に「野菜摂取促進策2019」を共同で発表し、野菜好きの子供を増やす取組や、20-30代の野菜摂取の機会づくりを実施しています。
   現在、現場におけるSDGsの認知は、それほど高いものと言えず、個別の目標について従業員向けの啓蒙活動を行っているわけではありませんが、事業そのものがSDGsに深く結びついており、現場の活動が社会課題に大きく貢献しているということは、従業員にも認識されていると思います。

神奈川県との連携と協力に関する包括協定の締結
<具体的な連携事項>

  1. 未病()を改善する取組に関すること
  2. 神奈川の農畜水産物及びその加工物の販売及び活用に関すること
  3. 共生社会の推進に関すること
  4. 教育の振興に関すること
  5. 災害対策に関すること
  6. その他県民サービスの向上・地域社会の活性化に関すること
未病:「未病」とは、健康と病気を二分論の概念で捉えるのではなく、心身の状態は健康と病気の間を連続的に変化するものとして捉え、この全ての変化の過程を表す概念
宮城県との協定カゴメの紹介2カゴメの紹介3神奈川県との協定カゴメの紹介5カゴメのトマト畑
取組の紹介
地域を元気にする体験型野菜テーマパーク
   2019年4月26日、長野県富士見町に「カゴメ野菜生活ファーム富士見」を開園しました。当施設の近くには、もともとカゴメ富士見工場という野菜飲料の製造工場があり、その工場の周辺には、およそ10ha(東京ドーム約2個分)の遊休農地が存在していました。当社がこの土地をうまく有効活用できないか地元の方に相談したことをきっかけに、農業・農産物加工事業と連携したこの施設が誕生しました。当施設は、野菜について学んだり、実際に野菜を育て収穫したり、収穫した野菜を使って調理することができる体験型野菜テーマパークで、食育に近い形で、多くの人をこの地域に惹きつけ、楽しんでいただけるような観光施設です。また、農業生産における環境配慮の観点から、隣接する工場で排出した水や熱エネルギーを農場で活用する計画です。これまでの「モノ(商品)」を販売するだけでなく、「コト(サービス)」を提供することにより、「健康寿命の延伸」「農業振興・地方創生」「食糧問題」といった事業活動を通じて取り組む3つの社会課題につなげていきたいと考えています。
野菜生活ファーム外観(正面入り口)カゴメ野菜生活ファーム外観(正面入り口)
野菜生活ファーム中庭テラスカゴメ野菜生活ファーム中庭テラス
野菜生活Farm敷地図カゴメ野菜生活ファーム周辺図
カゴメ野菜生活ファーム富士見構想概念図カゴメ野菜生活ファーム富士見構想概念図

「畑から」にこだわって
世界のパートナーとめざすSDGs

   一般的に農業から1次加工までの過程は、種の開発や最終段階のブランド製品などに比べ、高い収益は望めません。しかし、畑(農業)からの取組は、創業時からのカゴメの重要なモノづくりの姿勢であり、その姿勢を新規に開拓する海外市場でも活かせないかと考えました。
   セネガルは、トマトを沢山食べる地域ですが、栽培が上手くいかず、大量に海外から輸入しています。そこで、現在、カゴメが現地の土地を借り、長年培ってきた栽培・営農技術を現地で雇用した人々に教えています。この取組を通じて、地産地消を促進し、雇用の拡大や所得の向上にも貢献し、最終的には同国でのトマト産業の活性化を目指しています。こうして、トマト生産を振興することは、その国のためになることはもちろん、カゴメの事業領域拡大というビジネスチャンスにつながることを期待しています。

ビジネスモデル
セネガルのトマト畑セネガルのトマト畑

一人ひとりの「働きがい」
について考える

   これまでの日本の働き方は、夜遅くまで残り仕事をするというスタイルが優秀な社員の姿であると認識されてきたと思います。しかし、現在、カゴメでは、決められた時間の中で高い成果を上げた従業員が評価されることを経営トップが訴えており、この考え方が全社的に浸透しております。2017年度に約1,980時間だった年間総労働時間は、2018年度は約1,930時間となり、2020年には1,800時間()までに削減することを目指しています。短い時間で成果をあげるための手段として、徹底したペーパーレス化や会議時間の短縮を進めるとともに、従業員一人ひとりのスケジュールを管理するタイムマネジメントの積極的な活用や、各自の業務でのKPIの設定などにより、業務の効率化や課・チーム単位の生産性の向上を図っています。
   また、従業員それぞれの視点を活かし、多様な人材が働き続けることができる仕組みづくりと社内の意識改革推進を目指しています。2018年10月までの3年間の時限組織として設置されたダイバーシティ推進室と全事業所の代表者からなる「ダイバーシティ委員会」が中心となり、その役割を担いました。ダイバーシティの本質はコミュニケーションにあると考え、立場の異なる人同士のコミュニケーションが活性化するようなイベントを開催したり、各事業所におけるダイバーシティを阻害するような要因を議論し、解決につなげています。

1,800時間・・・224日(休日と有給20日を除く労働日数)×1日8時間労働

ダイバシティ委員会 ダイバーシティ委員会
新・ダイバーシティ経営企業100選平成29年度「新・ダイバーシティ経営企業100選」に選定されました

自然を、おいしく、楽しく。
~カゴメらしいSDGsを目指して

   カゴメは、農業に根差した会社であるため、畑の段階から販売までのすべての場面でSDGsに貢献できると考えています。従業員にとっても社会に貢献していることを実感することで、働きがいにも大きく影響を与えています。

寺田社長のオム検の様子寺田直行社長がオムライス検定を受検している様子

   また、カゴメ独自の取組もSDGsに深く結びついています。例えば、社内資格である「オムライス検定(通称:オム検)」もその1つです。この検定では、オムライスに関する知識や調理技術、そしてオムライスの素晴らしさを世の中に広める発信力を審査します。3級から2級、そして1級へとレベルに従ってステップアップできるというものです。検定取得の有無が、人事上の昇格要件にも使われていることから、約2000名のカゴメ社員のうち、3級取得者は900名近くいます。また、1級は11名と、ごく少数の社員のみが取得できる難関なレベルとなっています。味や見た目の良いオムライスを作ることはもちろん、オムライスを通じて何を伝えたいかをプレゼンテーションする力も試されます。
   このオム検はトマトケチャップの代表的なメニューであるオムライスに関する知識と調理技巧の向上を目的に始まりましたが、男性の家事参加というダイバーシティの観点からも注目を集めています。カゴメは、ダイバーシティの推進に積極的な企業が集まる「イクボス企業同盟」の一員ですが、同じ同盟に参加する企業の方を招いてオムライス作りを教えたこともあります。オムライスが上手にできると非常に達成感があって盛り上がることから、一緒につくることで自然とコミュニケーションが活発化するのも魅力のひとつです。

トマト苗定植「野菜を好きになる保育園 ベジ・キッズ」による
トマト苗定植の様子

   この他、「野菜を好きになる保育園 ベジ・キッズ」を2019年4月に東京本社のすぐ近くに開設しました。この保育園の第一の目的は、従業員の「キャリア形成」と「仕事と家庭の両立」を支援することですが、あわせて、東京都中央区の地域の方に保育園をご利用いただくことで、社会課題の解決の一助になればと考えました。カリキュラムには、トマトを育てたり、給食で食べる野菜の皮をむいたり、泥を落としたり、小さい頃から野菜のおいしさ、楽しさ、大切さを伝え、子どもたちの知的好奇心を刺激する狙いとなっています。
   これらカゴメだからこそ創出できる価値を社会に提供し、社会課題を解決していくことで持続可能な成長を続け、サステナブルな社会と共存し続けることを目指しています。

カゴメ株式会社の皆様、
インタビューのご協力ありがとうございました。
※インタビューで扱った内容は
企業が取り組むSDGsの一部です。

お問合せ先

食料産業局企画課

代表:03-3502-8111(内線4135)
ダイヤルイン:03-6744-2064
FAX番号:03-3508-2417