事業者へのインタビュー:株式会社 明治
事業者へのインタビュー









株式会社 明治は、明治グループの食品事業を担う企業として、幅広い年代を対象に、牛乳・乳製品、菓子、栄養食品など多岐にわたる商品を展開しています。
この度、企業のCSR活動とSDGsの取組について、株式会社 明治のCSR推進部長・松岡伸次さんと明治ホールディングス株式会社IR広報部のCSRグループ長・今野友史さんにお話を伺いましたので、その内容をご紹介いたします。
写真右 明治ホールディングス株式会社 IR広報部CSRグループ長 今野 友史さん
私たちの願いは、「お客さまの気持ち」に寄り添い、日々の「生活充実」に貢献すること。
私たち明治グループは、「食と健康」のプロフェッショナルとして、 常に一歩先を行く価値を創り続けます。
SDGsを踏まえたビジョンづくり
明治グループは、2016年に創業100周年を迎えました。絶えず変化し続けるこの時代において、事業を通じて社会課題の解決に貢献することは、グループの大きなテーマです。 その具体策として、2018年、「明治グループCSR2026ビジョン」を策定しました。この中では「こころとからだの健康に貢献」「環境との調和」「豊かな社会づくり」の3つの活動テーマを掲げ、テーマ毎の活動ドメインを決定しています。 ビジョンの策定には約1年をかけ、SDGsを踏まえるとともに、事業を通じた取り組み、明治グループに対する社会からの要請などの観点から、明治グループらしい活動項目を選定しました。
SDGsの良い点は、経済、社会、環境にまたがるあらゆる課題を包括的に網羅している点、世界共通の普遍的な目標として位置づけられている点、誰一人取り残さないという基本理念に沿ってあらゆる人々に配慮した包摂性があるという点です。
企業にとっては、ビジネスチャンスの獲得と経営リスクの回避という2つの側面があり、社会課題の解決と企業成長の両立を目指すCSV(共有価値の創造)の取り組みにあたると考えています。
https://www.meiji.com/sustainability/stance/vision-creation/[外部リンク]
「こころとからだの健康」を
核としたビジネスチャンスの獲得
CSR活動を継続的に取り組むためには、経営としっかりリンクさせることが重要です。
当社は、事業を通じて「こころとからだの健康に貢献」することを目指しており、あらゆる商品が、社会課題の解決につながると感じています。
SDGsは開発途上国の問題として受け止められがちですが、日本にとっても重要な課題です。
例えば、乳酸菌やカカオ等素材の持つ健康機能を生かした商品、お客さまの低糖質、低脂肪など健康ニーズに対応した商品などを通じて、からだの健康課題に貢献したいと考えています。
また、当社独自の栄養研究と栄養設計技術を生かし、必要な栄養分をバランス良く摂取できる付加価値の高い商品を通じて、乳幼児や高齢者などの栄養摂取面での課題に貢献したいと考えています。
健康な食生活への貢献 |
健康志向商品の創出
付加価値型栄養商品の創出
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「こころとからだの健康に貢献」に 関する明治グループの社会課題とKPI |
赤字は社会課題におけるマテリアリティ (重要課題) |
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自然資本を守ることで
経営リスクを回避
当社の商品は、自然から得たもので生産されているため、自然資本は非常に重要な経営基盤です。このため、当社では地球環境を重要なステークホルダーと位置づけて、豊かな自然の恵みを将来にわたって持続的に享受できるよう、生物多様性の保全を重視しています。同様に、事業活動に伴い発生する負の影響(環境への負荷)をできる限り低減させることにも積極的に取り組んでいます。
特に、カカオ、パーム油、紙については、将来的な安定調達の点から、「明治グループ調達方針」と「調達ガイドライン」に基づき、取引先と協働で人権・環境に配慮した調達活動を推進しています。
具体的には、紙は2020年までに不法伐採に関与しない森林認証紙や再生紙など、環境に配慮した紙の使用を推進します。
パーム油は、2023年までに認証パーム油へ100%切り替えていくことを目標に、準備をすすめています。
また、カカオ豆は、2026年までにサステナブルカカオ豆の調達比率100%を目指して取り組んでいます。なお、サステナブルカカオ豆とは、カカオ農家支援を実施した地域で生産されたカカオ豆のことです。
世界全体のチョコレート消費量が増えている一方で、近い将来、主原料であるカカオ豆の生産が追いつかなくなるかもしれないと言われています。木が高齢化している、栽培に必要な苗木や肥料などが手に入りにくい、栽培技術に関する知識が周知されていないなど、カカオ農家を取り巻く環境には難しい問題があります。
そこで、当社は「メイジ・カカオ・サポート(MCS)」というカカオ農家支援活動に取り組んでいます。農家を取り巻く環境を改善することでカカオ豆生産を持続可能なものにしていく活動です。具体的には、収穫量を増やすための栽培方法や病虫害の管理方法などについて学ぶ勉強会を開催したり、栽培に必要な苗木の供給センターをつくったりしています。また、当社独自の発酵法を実践してもらい、高品質のカカオ豆を得られるような取り組みも行っています。さらには、井戸の整備や学校備品の寄贈、環境への配慮をした農法の応援など、カカオ農家やコミュニティの生活を支援する活動も行っています。
農家は、より多くの収入を手にして、安心してカカオ農業を続けていくことができ、当社は高品質なカカオ豆を調達して、おいしいチョコレートを消費者のみなさんにお届けし続けることができるのです。「メイジ・カカオ・サポート(MCS)」、それはチョコレート好きのお客様のために、当社の果たすべき大切な役割だと考えています。
また、当社はカカオ経済を持続可能なものにするために農家支援を行うNPOであるWCF(World Cocoa Foundation:世界カカオ財団)に加盟しており、WCFとの協働を通じたカカオ農家支援活動も実施しています。
https://www.meiji.co.jp/csr/procurement/introduction/[外部リンク]





SDGsに取り組んで良かったこと
(1)社会課題解決のための企業のポテンシャルを総点検
SDGsに取り組むに当たって、主要事業ごとに研究開発から原材料調達、製造、物流、販売、廃棄に至るまでのバリューチェーンにおける、SDGsに関連する正の影響と負の影響を点検しました。これを基に、各目標やターゲットごとに、会社として何ができるのかを整理しています。この結果、重点化すべき取組や、新たに取り組むべき課題(フードバンク活動等)を抽出することができました。
(2)事業リスクと企業責任を再確認
SDGsは世界が共通して取り組まなければならない課題を包括的に網羅していることから、あらためて事業リスクや企業責任を確認することができました。
例えば、人が生きていく上で不可欠な水は、限られた貴重な資源の一つです。地域的な影響を受けやすく、将来にわたって、必ずしも水資源が潤沢であるとは限りません。枯渇・汚染などのリスクを事前に回避するために、貴重な水資源を守らなければなりません。
そのため、2030年までに国内水使用量の20%以上の削減を目指す目標を設定しています。
また、世界全体での水資源の不足が懸念される中で、海外拠点においても、水資源の考え方や目標をしっかり決めていくことが重要だと考えています。
(3)社会との対話の必要性や価値を再認識
最近は、金融関係のESG担当者が増え、対話が活発になったと感じています。SDGsは国連で採択された目標であり、投資家の目線からも重視される取り組みではないでしょうか。
NGOやNPOはもちろん、子供たちも社会課題への関心が高いことから、世界の共通言語であるSDGsを用いた発信が重要だと感じています。
今後に向けて
~社会課題を「自分ゴト化」に~
本来、社員一人ひとりが世の中で起こっている社会課題を敏感に感じ取り、仕事を通じて、どのように解決できるか自発的に考えなければなりません。そのため、社会課題を「自分ゴト化」できるよう、社内全体で取り組む必要があります。
社内でのSDGsに対する理解を促進するために、社内イントラネットを活用して展開しているCSR講座で、昨年から6回に亘ってSDGs をテーマに取り上げています。また、今年は全国10ヶ所で管理職を対象に2020中期経営計画の説明会を開催しましたが、この中でもCSRに関する推進計画を説明し、SDGsに対する当社取り組みを紹介しています。今後も、さまざまな機会でSDGsに関して考える機会を設ける予定です。
また、明治グループの事業は豊かな自然の恵みの上に成り立っていることからも、「明治グループCSR2026ビジョン」では、 「2020年度までに国内全生産拠点(含むグループ会社)で生物多様性の保全活動を実施」する目標を掲げており、こうした活動に参加することで、社員にも自然に対する意識を養ってほしいと考えています。
明治ホールディングス株式会社の皆様、
インタビューのご協力
ありがとうございました。
企業が取り組むSDGsの一部です。
お問合せ先
大臣官房 新事業・食品産業部 新事業・食品産業政策課
代表:03-3502-8111(内線4139)
ダイヤルイン:03-6744-2065