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始まった食品事業者の取組:日本水産株式会社

sdgのロゴ 始まった食品事業者の取組

日本水産株式会社
ニッスイ森井さん 写真:日本水産株式会社 CSR部
部長  森井 茂夫さん
インタビューで取り上げたSDGs
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   日本水産株式会社は、「水の水道におけるは、水産物の生産配給における理想である。」を創業の理念として、必要不可欠なインフラである「水道」と同じレベルで水産物をあまねく供給することをめざし、水産品と、冷凍食品、缶詰・びん詰、機能性表示食品など水産物を幅広く活用した製品を扱う事業を行っています。
   この度、企業のCSR活動とSDGsの取組について、日本水産株式会社のCSR部長の森井茂夫さんにお話を伺いましたので、その内容を紹介いたします。

取材日:2019年1月16日(日本水産株式会社本社にて)
ニッスイのブラントイメージ

SDGsに至るまで  
~自然資本をベースとする
産業としての自覚~

   私たちの事業は、水産資源という自然資本をベースとして、食品を製造し必要とする方々にお届けするというものです。創業時から社会への貢献として、水産物を調達しお届けすることを続けることが、社会への貢献であり、新たに何か行うことが必要だとは考えおらず、CSRを掲げての活動は必要ないとも考えていました。
   しかし、世の中のCSR活動が活発化し、MDGsがSDGsに引き継がれる中、改めて経営の基盤としてCSRを位置づけるべきではないか?という意見が経営会議の中で取り上げられ、2015年からの中期経営計画で初めて、経営方針にサステナビリティの概念を取り入れることになりました。そして、CSRに根ざした経営を推進することを掲げ、2016年には、専任組織を設置しました。

ステークホルダーとともに
考えたCSR

   CSRに取り組むにあたり、まず他社や有識者、コンサルタントに話を聞くなど、ステークホルダーを定義するところから始めました。皆さんとの対話を通じてステークホルダー毎の課題を具体化し、2016年にCSR行動宣言を策定しました。

CSR行動宣言

   次に、重要課題(マテリアリティ)の特定を、5つのステップで行いました。

  • STEP1   SDGs等を参照しながら、ニッスイと関わりの深い29の社会課題を抽出。
  • STEP2   29の社会課題について、6つのステークホルダー(571名)に「『ニッスイ』は何に取り組むべきか?」などのアンケートを実施。ステークホルダーにとっての取り組むべき課題の重要度を抽出。
  • STEP3   29の社会課題について、経営陣のワークショップにより、事業での重要度を討議。各課題をプラス・マイナスや影響度の大きさにより総合評価。
  • STEP4   29の社会課題の重要度をマトリクス分析。
  • STEP5   マテリアリティ・マトリクスを示し、有識者とのダイアログを経て、取り組むマテリアリティを決定。

   これらの検討と平行して社内向け通信誌『CSR通信「聞こう!海の声」』を発行し、どのようにマテリアリティが検討されてきたかを社内に周知しました。さらにSTEP3の経営陣のワークショップでは、社長を含めた経営陣が自ら付箋を手に、白熱した議論をしたことで、CSRやSDGsにより強い意識を持つようになったと考えています。



重要課題
注)太字/下線箇所はマテリアリティとして特定した項目


マテリアリティの図

[関連サイト]https://nissui.disclosure.site/ja/themes/85(外部サイト)

SDGsへの取組から見えて来たこと~外部の意見の大切さ~

   SDGsの目標14として「海の豊かさを守ろう」が明記されていますが、これは我々の事業と非常に親和性が高いものです。SDGsありきでCSR活動を考えたわけではなく、マテリアリティを検討した結果、自然にSDGsに結びついているのですが、SDGsは、世の中全体で取り組むべき目標であり、この達成に向けて外部の意見を聞くことは、とても重要なことだと考えています。
   例えば、目標14には海洋環境の保全が位置づけられていますが、これまでは、海洋環境に与える負荷は、あまり強く意識していませんでした。しかし、重要課題分析の過程で、水産資源の持続性や養殖による環境負荷などにも目標を持って取り組むべきだという指摘があり、改めてこの問題を考える契機となりました。

取組の紹介
海洋環境の保全と持続可能な資源調達
   養殖では、給餌の際に海中に散逸しない固形配合飼料「EPペレット」、魚が食べたい時にのみ適量の餌を与える自動給餌制御システム「アクアリンガル」など海洋環境に配慮した給餌方法を採用し、これらのシステムの外部提供も始めました。こうした取組もあり、ブリでは世界で初めて、養殖魚等に与えられる認証であるASC認証を得ました。
   さらに、適切に管理され環境に配慮した持続可能な漁業に与えられるMSC認証を取得した水産物を利用した商品も発売しています。
   また、ニッスイとして、2016年の取引実績を対象に調査を行い、グループ会社が調達した主な魚(天然魚)の個々の資源状態について、魚種、漁獲海域、原産国、重量(原魚換算)を手がかりにFAOのデータを用いて調査しました。結果として全体の9割近くは、漁獲可能な範囲に留まっている「心配ない」状態で、4割近くがMSC等の認証品でした。しかしながら漁獲することに「心配がある」または、資源状況が「不明」となっているものも1割程度見受けられました。それらの魚種については、さらに資源回復計画や操業期間の制限等を行っているか確認し、2030年までに「心配がある」と「不明」の取り扱いがゼロとなる状態を目指しています。
ASC認証
ASC認証の魚
天然魚の資源状況

[資源調査結果]https://nissui.disclosure.site/ja/themes/87#44(外部リンク)

社員の参加~参加することで楽しさと意味を伝えたい~

   CSRへの取組を通して、改めて感じたのは、社員への認知がなかなか進まないことでした。これは、水産物の調達や、食品を生産し販売することで、社会に貢献しているという昔からの考えの影響もあったと思います。社員は、改めて何をしていけば良いのかわからず、実感が持てないのです。
   CSR部が方向性を決め、各組織に活動を求めて結果を報告させることは簡単ですが、無理に押しつけるやり方では長く続かないばかりか、何のための活動なのか、その意識も持てません。
   できるだけ社員一人ひとりが楽しく参加できる活動を企画し、参加のきっかけをつくり、実際に参加して貰った際には、その活動に、どの様な意味があるのか感じ、考え、理解してもらうなど、参加しただけで終わらせないようにしたいと考えています。

取組の紹介
活動の目的をわかりやすく
   ニッスイグループでは、全事業所の従業員で、河川敷や公園、町中などの清掃活動に取り組んでいます。陸のゴミが海まで流れ着くということを知り始めた活動ですが、参加者の意識は「清掃活動」に留まっていました。このため、活動時に着用するビブスを新調してSDGsの「14」のマークを入れ、横断幕にもそれを明示して、自分たちの活動が未来を変えるSDGsの取り組みに繋がっていることを感じてもらうようにしています。
地域清掃活動01地域清掃活動02
地域の清掃活動03
ビブス表ビブス裏

自分自身が楽しく食品ロス削減
   自ら実践できるSDGsとして、社内の宴会で食事を残さずに食べきり、食品ロスをなくす「宴会料理を食べ切ろう」という企画を2017年から始めました。きっかけは、農水省の食料産業局を訪問した際、壁一面に3010運動(最初の30分と最後の10分は食事タイム)の活動写真が貼ってあるのを見たことでした。そこで、新たにオリジナルのPOPを作るなど自分達の活動となるよう工夫しました。3010運動の実践に加えて、食品ロス削減の効果を実感できるように参加者一人当たり100円として国連WFP協会へ寄付を行う他、ニッスイ独自で作成したマイボックスでの持ち帰りなど、様々な工夫で食品を無駄にしないことを心がけています。
   また、水産缶詰が家庭で余りがちな食材の上位であることに着目し、一般の方を対象に「缶切り部」という活動を行っています。これは参加者が家庭で持て余している食材を持ちより、ニッスイの缶詰と組み合わせて、プロのシェフのアドバイスを受けながらその場で料理を行うものです。新たな掛け合わせによって食品の可能性を発見しながら楽しく食品ロス問題を考える企画で、缶詰を担当する部署の社員も参加してくれています。普段、使いきれない食材について、この様な機会を通じて、新しい活用の仕方を知ることで、消費に繋げてもらえればと考えています。
マイボックスの紹介
ニッスイ独自のマイボックスの紹介:社内報(CSR通信)より抜粋
缶切り部で使う食材
「缶切り部」で使う食材
缶切り部
「缶切り部」の活動の様子

健康に貢献~まず従業員から~

健康番付
EPA/AA比平均値健康番付

   社員の健康を守るため健康経営にも取り組み、2017年には「健康経営宣言」を発表し、健康への観点からも施策を打ち出しました。

ニッスイの「健康経営宣言」
   私たちニッスイグループは、従業員が最も重要な財産であると考え、「一人ひとりが、能力を充分に発揮できる姿」と「従業員とその家族のQOL(生活の質)の向上」を目指して、働く環境を整え、「こころと身体の健康」を積極的にサポートします。
   海の恵みを扱う企業として、健康的な食の提案とともに水産物由来の機能性成分を最大限に活用し、従業員と家族、さらに広くお客様にお届けすることで人々の健康に貢献します。

   ニッスイではEPA含有の特定保健用食品や機能性表示食品を製造していることから、それを社員の健康にも役立ててもらおうと、EPA/AA*比を定期健康診断の検査項目に取り入れています。診断結果を元に部署単位でEPA/AA比の平均値を算出して健康番付として発表し、競い合うことで社内全体が健康を目指す組織となるよう取り組んでいます。さらに、個人でも特に成績優良な社員の番付の発表を行っています。

EPA/AA比:EPA(エイコサペンタエン酸)とAA(アラキドン酸)の体内バランスを示す比率。循環器系疾患の発症との関連が示唆される。

   また、「Nカフェ」という新しい福利厚生制度・カフェテリアプランを導入し、従業員の健康増進や育児・介護の両立を支援しています。 これらの一連の活動について、社外からも評価いただき、日本政策投資銀行(DBJ)より「DBJ健康経営(ヘルスマネジメント)格付け」で最高ランクを獲得し、経済産業省と日本健康会議が特に優良な健康経営として認めている「健康経営優良法人2018」にも認定されました。

[関連サイト]https://nissui.disclosure.site/ja/themes/93(外部サイト)


   併せて、今年は経済産業省と東京証券取引所が共同で、従業員等の健康管理に経営的な視点で考え戦略的に取り組んでいる企業を選定している「健康経営銘柄2019」に選ばれました。
   ニッスイが、水産物を扱う企業として魚を中心とした食生活から健康づくりを拡大し、個人から部署へ、そして全社へ広がる健康経営のもと、働きやすい環境を創造したことが評価されました。

健康経営銘柄にて健康経営銘柄2019の記念写真健康経営銘柄2019ロゴ

http://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/healthcare/kenko_meigara.html(外部サイト)

今後の取り組みについて  
~パートナーシップの拡大を~

   現在の取組は、CSRの啓蒙を意識し社員が積極的に参加できる活動とすることを重視しています。その一方で、社員以外のステークホルダーに対して、まだ、当社の活動を十分伝えることが出来ていません。今後はその方法を模索していきたいと考えています。
   また、最近、特に海外の諸団体から水産資源や海洋環境の分野において、ニッスイが果たすべき役割へのご期待をいただく機会が増えています。更に、ステークホルダーとのコミュニケーションを重ね、当社ひとりよがりの取組とならないよう留意していきます。
   社会課題の解決は、当社だけで達成できるものではありません。SeaBOS(持続可能な水産ビジネスを目指すイニシアティブ)への参画などを始め、国内外の様々な企業、NGO・NPO、各国の政府各機関などとの連携、関連する様々な団体と広くコミュニケーションを行う中で、その内容を伝えると共に、CSR活動を深めていきたいと考えています。

日本水産株式会社の皆様、
インタビューのご協⼒
ありがとうございました。
※インタビューで扱った内容は
「貢献するSDGs」の一部です。
詳しくは以下のサイトをご参照ください。

お問合せ先

食料産業局企画課

代表:03-3502-8111(内線4135)
ダイヤルイン:03-6744-2064
FAX番号:03-3508-2417