このページの本文へ移動

農林水産省

メニュー

始まった食品事業者の取組:株式会社大井川茶園

sdgのロゴ 始まった食品事業者の取組

株式会社大井川茶園
大井川茶園の皆様
写真左から
SDGs推進室 次長 柴田史絵さん
室長 一氏秀樹さん
商品開発室 室長 松浦恵さん
インタビューで取り上げたSDGs
目標3のロゴ 目標7のロゴ 目標8のロゴ 目標9のロゴ 目標12のロゴ

   株式会社大井川茶園は、日本一の茶産地、静岡県中部に流れる日本でも有数の一級河川、大井川からその名を由来としています。その豊かな水源から、周辺の茶園は大井川の霧の水滴が雫となり、朝夕の寒暖の差がうまく調和して、旨味と深みのある濃い味わいの最高級茶葉を育み、皆様に商品を提供しています。
   この度、SDGs達成に向けた取り組みについて、株式会社大井川茶園のSDGs推進室、一氏秀樹さんにお話をお伺いしましたので、その内容を紹介いたします。

取材日:2020年10月1日 株式会社大井川茶園にて

大井川茶園に関わる
全ての皆さんに満足を

   流域の牧之原台地を中心に静岡県内の有力茶園の茶葉を、より多くのお客様に味わっていただきたいと考え、品種、土壌、栽培方法、製茶法について、絶え間ない努力を積み重ね、本物の美味しい商品を作り上げてきました。大井川茶園のお茶は、茶葉の味・香りが最も優れている時季(旬...しゅん)に摘み取った茶葉を丁寧に仕上げ、茶葉の持つお茶本来の味と香りを引き出しています。静岡茶ならではの味・香り、そして農家の皆さんが丹精込めた、新鮮さに満ち、真心が感じられる銘茶を、3つの企業理念のもと、お客様にお届けしています。

企業理念

   当社の企業理念は、「創新ダイナミズム、野心的イノベーション、トップスピード」、「日本の茶文化の振興が私たちの究極の命題」、「大井川茶園の目標の完遂と成功は私たちの誇り」の3つです。当社が推進するSDGsへの貢献は、この企業理念が根底にあります。

1.経営キーワードは「創新ダイナミズム」「野心的イノベーション」「トップスピード」
   お取引先様の満⾜度を上げるためには、ダイナミズム、イノベーション、トップスピードが不可欠であると考え、当社では、これを基本にしています。そして、この3つのキーワードをもとに、「行動による偶発⼒」、「進むことによって得られるチャンスや幸せ」、つまりセレンディピティの精神を大切しています。
   持続的な経営を行い、社会貢献を行うためには、お客様の求めるものを満たす商品を作らなければなりません。買いたくなるお茶を作るためには、お客様の発想を重視し、好みをマーケティングリサーチすることが必要です。
   当社の最大の財産である社員のボトムアップなしには会社の成長はありません。
   社員が最大限のパフォーマンスをし、会社を動かす原動力となってもらうため、そして、社会に貢献するためは、この3つのキーワード、そこから生まれるセレンディピティの精神が必要であると考えています。
2.日本の茶文化の振興が私たちの究極の命題
   当社は茶⽂化の振興と共に存在しており、その存続は茶⽂化の振興が不可欠であると考えています。
   例えば、煎茶を入れる際、一度湯飲みに湯を注いだ後、その湯を茶葉を入れた急須に移す「湯冷まし」は、「茶どころ」では常識で、湯飲みを温めるとともに適度に湯温を下げ、お茶がおいしく出ます。
   当社の商品を売る前に、先ずはお茶の淹れ方を知ってもらう必要があります。そのため「NPO法人茶食育をすすめる会」と連携をとり茶文化を伝えています。
3.大井川茶園の目標の完遂と成功は私たちの誇り
   当社の⽬標の完逐と成功があってこそ、多くの社会貢献ができると考えています。
   当社が日常の事業活動を通じて茶文化の振興・お茶の普及を行うことや、これまで積み重ねた技術、創造性によりイノベーションを起こし、社業を発展させることにより社会貢献を可能とする、また、それが当社の誇りになると好循環が生まれると考えています。

社会課題に関心を
持つことへの「気づき」

   社会の課題に関心を持つことの重要性を認識したのは、2011年の東日本大震災直後に開催したチャリティーイベントでした。もともと、同年の3月19日に会社を挙げて地元の方々へ向けた恒例の感謝祭を企画したのですが、3月11日を境に状況が一変、一気に自粛ムードが漂い、実際「中止すべき」との意見が出始めました。
   しかし、当社代表である雪嶋の「日本が大変な状況の今だからこそ、沈んでいてはいけない、前を向いて進まなければいけない。」との一言から、震災復興のチャリティーイベントとして開催しました。その結果、たくさんの方々が来場され、被災地へたくさんの寄付金を送ることができました。この社会貢献が原体験となり、「社会の課題に関心を持つことが重要である」との気付きを得ました。この経験があったからこそ、「誰も置き去りにしない」ことを強調するSDGsの基本理念に呼応できたと考えています。
   深刻な社会問題の解消や是正には、社会を形成する企業と個人が、共に手をとって努力をすることが不可欠です。私たち一人ひとりが、社会課題に関心を持ち、行動しなくては何も変わりません。2030年の世界を変え、その先の未来に引き継いでいくためには、社会課題を「自分ごと」として捉え、それぞれの活動、生活の中に置き換えていくことが大切だと考えています。

取組の紹介
健康の維持・増進と茶文化の振興
   人々の健康の維持・増進、日本の伝統文化の振興を目的として、当社代表の雪嶋が理事長を務める「NPO法⼈茶⾷育をすすめる会」と連携し、取引先や各種企業・団体・学校・福祉施設を対象として、「美味しいお茶の淹れ⽅教室」などの⾷育活動セミナーや、茶文化の啓蒙活動を実施しています。
   当社社員もこうした活動に参加していますが、物販は行わず、お茶の効用・価値を伝えながら日本の茶文化の再認識をしてもらいたい、そんな思いで行っています。今後は、より若年層に向けて⾏っていく考えです。また、小売店や飲食店など、様々な取引先のイベントに協力し、お茶に関する知識を学び五感で楽しめる場を提供していく予定です。さらに、文化的分野で活躍される作家や団体とのコラボレーションも予定しています。
お茶の会
癒しの禅プラチナ
お茶の会
取組の紹介
茶畑とお客様をつなぐ商品開発
   茶文化の振興を図るためには、お客様に買っていただける商品を作らなければなりません。また、お茶の品質はその地域の生葉の良し悪しに係わる部分が大きく、品質の高いお茶をお求めやすい価格で提供するためには、茶農家さんの協力が不可欠です。 当社は、蓄積されたお客様の率直な声やマーケットデータにより商品企画を行い、企画された商品に合う茶農家さんを選定し、商品の生産を行うというプロセスを徹底しています。このお客様と生産者の二つのユニットをつなぐユニットマーチャンダイジング(※1)により、お客様のニーズが迅速に具現化されることを目指しています。
※1)ユニットマーチャンダイジング
蓄積された消費者の率直な声やマーケットデータにより商品企画を行い、企画された商品に合う茶農家の選定を行うという理想の商品開発を行っています。消費者と販売元の距離が近づくユニットマーチャンダイジングで、企画段階においてもより具体的な商品イメージ・販売イメージを持っていただけます。消費者が求める商品企画とそれを実現する生産体制は多くの企業様にご支持いただき、数多くの商品開発の依頼をいただいています。
取組の紹介
女性活躍推進の商品開発
   これまで茶業界は、農場管理から流通にいたるまで、供給側は男性を中⼼とした職⼈気質の⽂化が横たわる職場環境でした。そのような中、当社は「⿅児島県産⾹輝園・川⼝姉妹の霧島茶」という商品を開発、令和2年9⽉に発売しました。これまでも⽣産者推しの商品は、⾃他ともに幾多も展開されていますが、20代で活躍する若⼿⽣産者姉妹を推す商品は業界初です。 このお⼆⼈から荒茶原料を仕⼊れ、買い⽀える、「誰でもやりがいを持ち活躍できる環境づくり」を⽀援できるというコンセプトです。これも、当社に蓄積されたお客様の率直な声やマーケットデータにより商品企画を⾏い、それらに合う⽣産者や原料を選定し、商品を作るというプロセスを徹底してきた成果であると考えています。
川口姉妹の霧島茶川口姉妹の霧島茶 一番摘み100g
川口姉妹の霧島茶川口姉妹の霧島茶100g
   なお、当社では、もともと⼥性社員スタッフが商品開発や品質管理、製造から物流といった業務をこなし、個々の意向を尊重しつつ得意分野を活かしながら活躍しています。当社においても、誰もがやりがいを持って働ける職場づくりの実現を⽬指しています。
取組の紹介
生産者とのコミュニケーション
   企画商品に最適な茶葉を茶農家さんに生産していただくためには、茶農家さんとのコミュニケーションが重要です。安⼼・安全な品質を確保するとともに茶農家さんの意欲向上にも繋げるため、密接な関係を構築し、相互に情報交換を行っています。
   今後は、⽣販協議や研修を定期的に実施していきたいと考えています。その他、茶⽣産の現場に取引先の視察を受⼊れたり、ひいては、アグリツーリズムや消費者向けの⾷育活動と絡めることもできないか、と思っています。
   ステークホルダー間の情報共有を充実し、産地~当社~販売先~消費者のリレーションを有機的に再構築し、信頼関係を強化していきたいと思っています。
取組の紹介
森を育てる商品開発
   当社のカートカン®緑茶飲料「癒しの禅」195gは、2つの商品特⻑を有しています。
   1つ⽬は、包材にカートカンを用いている点です。カートカンとは、缶の形をした、紙で作られた飲料容器です。このカートカンの原料の紙は、国産材を30%以上使用して、間伐材や端材などの国産木質バイオマス資源を積極的に活用しています。カートカンの原材料として国産木材の使用が増えれば、「植える」、「育てる」、「伐採する」というサイクルがスムーズに循環し、健全な森林が育ちます。また、国内の間伐材の有効利⽤、森林の間伐を促進することで、⽔資源保護の効果もあります。
   2つ⽬は、国連WFP協会が企画する「レッドカップキャンペーン 」を通じて、売り上げの⼀部を途上国の学校給⾷に寄付することです。
   お客様はカートカン飲料を飲むことで、森林を守り育てること、途上国支援に貢献できます。
カートカン緑茶飲料カートカン®緑茶飲料「癒しの禅」
レッドカップのロゴ「レッドカップキャンペーン」のロゴ
取組の紹介
SDGs私募債の発行
   このほか、社屋の屋根を利用して太陽光パネルを191ユニット設置・発電するなどの省エネルギーの推進、働き方改革、生産技術・品質・安全の管理改善など、SDGsに当てはめながら、次世代に引き継ぐ取組を行っていますが、2019年には、次のステージへの布石として、りそな銀行のSDGs推進私募債を発行しました。
   当社が国連大学サスティナブル高等研究所を寄付先として指定し、発行額5,000万円のうち、2%に当たる100万円をりそな銀行が寄付するもので、調達した資金はSDGs推進に関わる事業に活用しています。

SDGsはビジネスチャンス

   当社では、経営ビジョンにSDGsを取り込むことで、企業理念や経営ビジョンが社員や取引先と共有しやすくなったと感じています。今後も、SDGsを活用して、何を実現したいか、何のために行うのか、改善の余地はないのかなど、常に歩みを続けながら、地域に必要とされる企業、社会に貢献する企業として、持続的な経営を⽬指していきます。
   もともと、中⼩企業の事業には、SDGsに貢献していると言える取組が多く、SDGsを経営戦略に落とし込んでいくことで、ビジネスチャンスに繋がっていくのではないかと考えています。
   当社では、2018年12月にSDGs推進室を設置し、SDGsを推進する体制を整備しましたが、「SDGsは注目されているけれど、一体何をすれば良いのかわからない」という中小企業も少なくないと思われます。こうした声に応えようと、当社の取組を題材にした漫画『マンガでわかるSDGs』が発刊されました。SDGsの理解の一助となればと思っています。

SDGsの取組の課題

   SDGsを取り組む上での今後の課題としては、環境の変化に影響されることなく、啓蒙活動を停滞させることなく進めていくにはどうするか、SDGsの意義を社内で今⼀度正しく理解し、取組が陳腐化、形骸化することなく活性化させていくにはどうするか、という点だと思っています。
   そのためには、柔軟な対応が必要であり、セレンディピティを必然的に起こすべく、常に研ぎ澄まされた感覚を持つことが重要です。 1か所に留まることなく変化を恐れず、開拓精神をもって臨まなければなりません。 SDGsの求める多様性・普遍性・参画型・統合性・透明性・包摂性のある社会の実現のためにも、今後も地道に活動していきます。

株式会社大井川茶園の皆様、
インタビューのご協力ありがとうございました
※インタビューで扱った内容は
企業が取り組むSDGsの一部です。

お問合せ先

大臣官房 新事業・食品産業部 新事業・食品産業政策課

代表:03-3502-8111(内線4136)
ダイヤルイン:03-3502-5742
FAX番号:03-3508-2417