第2回 2025年農林業センサス研究会 議事録
1. 日時
令和4年9月22日(木曜日) 10時~12時
2. 場所
農林水産省第2特別会議室
3. 出席者
(委員)
安藤 光義、池田 絹子(Web)、古閑 久美子(Web)、小寺 恵子(Web)、高橋 大志(Web)
竹田 麻里(Web)、坪谷 利之(Web)、橋口 卓也(Web)、山﨑 美穂(Web)
(農林水産省)
大臣官房統計部長 センサス統計室長 他
4. 議事
(1) 農林業経営体調査における主な調査項目の見直し(案)について
(2) 農山村地域調査(農業集落調査)の廃止について
(3) 第1回研究会における委員意見に対する見解及び対応方向について
(4) その他
○中根センサス統計調整官
それでは、定刻となりましたので、ただいまから第2回2025年農林業センサス研究会を開催いたします。
委員の皆様におかれましては、大変お忙しい中御出席いただきまして、誠にありがとうございます。また、本日は林委員が所用により欠席となっておりますので、御報告をさせていただきます。続きまして、お手元の資料の確認をさせていただきます。
議事次第の下段の方に資料一覧を記載しておりますので、御覧いただきながら御確認をお願いいたします。
まず、資料1といたしまして農林業経営体調査の調査項目の見直しについて、
資料1-1、令和5年度全国要望文(抜粋)、
資料1-2、リアル行政手続きリポートBOXに寄せられた意見(抜粋)、
資料1-3、主な調査項目の見直し(案)【削除する調査項目】、
資料1-4、主な調査項目の見直し(案)【簡素化する調査項目】、
資料1-5、主な調査項目の見直し(案)【新規追加する調査項目】、
資料1-6、主な調査項目の見直し(案)【拡充する調査項目】、
資料2、農山村地域調査(農業集落調査)の廃止について、
資料2-1、中山間地域等直接支払制度中間年評価【第4期対策】(平成30年6月)の抜粋、
資料2-2、地域の農業を見て・知って・活かすデータベース、
資料2-3、農業集落調査の廃止に対する委員提案による新たな調査方法の検討について、
資料3、第1回2025年農林業センサス研究会における委員意見に対する見解及び対応方向について、
参考資料1、2020年農林業センサス農林業経営体調査票、
参考資料2、2020年農林業センサス農山村地域調査票(農業集落用)、
以上となっております。よろしいでしょうか。
それでは、議事に入ります前に清水センサス統計室長より一言御挨拶を申し上げます。
清水センサス統計室長
おはようございます。センサス統計室長の清水です。
本日は安藤座長、それから、各委員の皆様におかれましては大変お忙しい中、御都合をつけていただきまして、第2回の研究会への御出席ありがとうございます。
本日の研究会ですけれども、1点目が農林業経営体調査の調査項目の見直しについて、それから、2点目が農業集落調査の廃止についてという大きくこの2点について委員の皆様方に御議論いただきたいと考えております。
1点目の経営体調査の調査項目ですが、参考資料にもお付けしておりますが、現行の調査票は非常に項目が多く、10ページを超えている調査票になっております。そういったこともありまして、調査に御協力いただく調査対象の皆様方、それから、調査を実施いただいております都道府県、市町村の職員の皆様方、こういった方々から毎年調査の簡素化について要望書もいただいているところです。ただ一方で、新たな施策の展開に必要となる調査項目の追加をして欲しいという要望も非常にたくさんございます。そのあたりの両者を総合的に検討して、より適切な調査票にしていきたいと考えております。
本日御出席いただいております坪谷委員、山﨑委員は実際に調査にも御協力いただく方々ですし、それから、池田委員におかれましては、県として調査を実施していただくという立場でもございますので、是非こういった農林業経営体の調査票の見直しについても御意見をいただければと考えております。
それから、2点目の農業集落調査の廃止についてですが、前回7月28日の第1回研究会で次回2025年農林業センサスに向けた検討方向の一つとして調査の廃止ということを提案させていただいたところです。当日の研究会でも委員の方々から継続の意見をいただきましたし、その後、中山間地域フォーラムやいろいろな学会等からも継続を求める御意見をいただいているところでございます。ただ、前回は廃止の方針のみを提起させていただいたということで、そもそもどういう理由で廃止ということを提起したのかということが十分に御説明できておりませんでした。そういうこともありまして、一部の要請や意見の中には誤った見解に基づいて継続を求めているということもございました。
一方で、私どもとしても、大学の先生、研究者の方々がどのように利活用されているかを検索はしているのですが、具体的にどこで使われているかという詳細がよく把握できないという部分もございます。そういったこともございまして、本日の研究会においては、まずは私どもがこの調査の実施に当たって課題となっているところを丁寧に御説明させていただき、また、委員の皆様方からは私どもが代替案としてお示ししている活かすデータベースの利用では何が困るのかというところを具体的にお教えいただきながら今後の検討を進めていきたいと考えております。お昼までの限られた時間ではございますが、本研究会において有意義な御意見をいただけますことをお願いしまして挨拶とさせていただきます。よろしくお願いいたします。
中根センサス統計調整官
それでは、これから議事に入っていただきたいと思います。安藤座長、よろしくお願いいたします。
安藤座長
それでは、お手元の議事次第に沿って議事を進めたいと思います。
進め方ですが、前回と同様、議事ごとに事務局からの説明を受け、その後、各委員から
御質問、御意見をいただいて、一定の取りまとめを行った上で次に進めることにしたいと思います。
議事の(1)農林業経営体調査における主な調査項目の見直し(案)について、事務局より資料の説明をお願いいたします。
東課長補佐(農林業センサス統計第1班担当)
それでは、農林業経営体調査の調査項目の見直しにつきまして、前回の研究会で検討の方向性につきましてはざっくりとではございましたけれども、御説明をしましたが、本日は資料1から資料1-6で具体的な調査項目の見直し案について御説明したいと思います。まず、資料1を御覧いただければと思います。見直しの背景としましては、農林業経営体調査は都道府県及び市町村を通じて実施しておりますけれども、政府統計の中でも調査項目が極めて多く、前回2020年では11ページの調査票となっていたこともあり、都道府県及び市町村の皆様から調査の簡素合理化について強い要望が毎年寄せられているといった状況でございます。また、MAFFアプリに一般の方から御意見をいただけるというものがございまして、そこのリアル行政手続きリポートBOXに、内容からすると農林業センサスに携わられた市町村の職員の方ではないかと思われますが、次回センサスに向けては調査項目の簡素化などを求める御意見が寄せられております。
資料1-1と資料1-2がそれぞれ簡素合理化を求める御要望、御意見の抜粋でございます。このような状況を踏まえ、2025年センサスの実施に向けましては、省内の政策部門と統計部門に調査結果の利活用状況を把握した上で、行政上の利活用が低調な調査項目につきましては削除、又は、簡素化するといった方向で考えております。詳細は後ほどまとめて御説明をしますけれども、一方で、同様に省内の政策部門と統計部門から政策の推進に必要な調査項目の新規の追加要望も把握しまして、中でもここに記載をしてございますが、一つ目としましては、基本計画の策定や政策目標等に必要な指標、それから、二つ目としましては、直接的な財政支出の基礎数値として活用するものや法令上で利用が位置づけられているもの、2ページになりますけれども、三つ目としましては、標本調査の母集団の情報として必要な情報であること、それから、四つ目としましては、今後の施策立案・推進の根幹となるような活用のされ方をするもののいずれかに該当することが確認されたものにつきまして、新規追加、又は拡充することを考えております。資料1-3から1-6が削除、簡素化、新規追加、拡充、それぞれの詳細になっております。資料1-3から順に御説明いたします。
資料1-3が削除する調査項目でございます。2点ございまして、一つは地域の集落営農組織への参加状況、こちらにつきましては、別途毎年集落営農実態調査を実施して集落営農の状況を把握しており、農林業センサス結果の行政上の利活用は低調であることが確認できましたので、削除したいと考えています。それからもう一つ、下の方になりますが、青色申告の継続年数の把握でございます。こちらにつきましては、青色申告に関する項目のうち申告を行っているか否かの項目は引き続き調査をすることとしますが、2020年センサスの調査結果と2025年のセンサス結果を接続することで青色申告の継続年数につきましては把握することが可能となりますので、こちらについては削除したいと考えております。
次に、資料1-4を御覧いただければと思います。こちらは簡素化する調査項目でございます。1ページ目、常雇い人数の把握方法につきまして、前回2020年センサスでは人ごとに性別、生年月を把握する調査項目としていましたが、多くの常雇いのいる経営体ですと、なかなか記入が大変だと。それから、審査を行う市町村の担当者につきましても審査も大変だということで多大な御負担をおかけしていましたので、右側下段にありますように、まずは常雇いの合計人数を男女別に把握した上で、2ページになりますが、その内訳として男女別に年齢階層別に把握する方法に簡素化したいと考えております。
それから、3ページから5ページにわたりますが、農業生産関連事業に従事した日数につきまして、前回2020年センサスでは内部労働、常雇い、臨時雇いについてそれぞれ異なる方法で人数や従事日数を把握していましたが、行政上の利活用状況を踏まえまして、これを3ページの右下段にありますように、内部労働力と雇用労働力としてそれぞれ農業生産関連事業に従事した人数と、農業生産関連事業のみに従事した人が明確になるように、そのうち農業には従事しなかった人数を把握するように簡素化したいと考えております。なお、農業生産関連事業に係る従事日数につきましては、項目としては削除になるということでございます。
それから、飛んで6ページになります。農作業の受託に関する項目につきまして、水稲作とさとうきび作については、従前、作業ごとに面積を把握しておりましたが、行政上の利活用状況を踏まえ、左側の上段にあるさとうきび作の項目の把握をやめ、右側にあるように受託の有無のみを把握する方法に簡素化したいと考えております。水稲作も同様に受託の有無の項目に追加してございますが、水稲作については引き続き作業ごとの受託面積を把握したいと考えております。
それから、7ページ、ここからは林業の部門となりますが、まずは調査票の読み替え方式を廃止したいと考えております。これは読み替えだと記入者の負担があったということもございまして、それぞれに項目を立てていきたいと考えております。その上で、内部労働力につきましては人ごとの把握をやめ、男女別に人数を把握します。それで、8ページになりますが、その内訳として男女別に従事日数別の人数を把握する方法に簡素化したいと考えております。
なお、これは前々回、2015年のセンサスと同じ把握方法を採用したいと考えております。また、9ページから10ページになりますが、常雇いにつきましては農業と同様の課題がございましたので、同じように常雇いの合計人数を男女別に把握した上で、10ページになりますが、その内訳として男女別に、年齢階層別に把握する方法に簡素化したいと考えております。資料1-4は以上です。それから、次に資料1-5を御覧いただければと思います。
こちらは新規追加する項目でございます。2点ございまして、一つは輸出の実態を把握するということで、農産物の販売金額と主に農産物加工を想定していますが、農業生産関連事業の売上金額のうち輸出の割合を新たに把握したいと考えております。輸出は複雑かつ多様な形態で取り組まれているという実態もございまして、中には数量は分かるけれども金額は分からないとか、またその逆もあるかと思いますが、未記入を防止するとともに、そういった様々な形態があるといった実態も把握可能となるように、輸出を行っている、行っていないに分けた上で、輸出を行っている方で金額や数量を把握している方につきましては、輸出の割合を記入していただこうと考えております。明確に輸出用として出荷されている方であれば悩まずに御回答いただけるのではないかと思っておりますが、国内仕向けの販売も行っている事業者を経由している場合や複数の品目で輸出している方など様々だと思いますし、それぞれ販売方法が異なる場合など少し判断に迷いそうなケースにつきましては、別途配布をします記入の仕方等で補足をしたいと考えております。
もう一つは、再造林を推進する上で必要となります保有山林における立木販売した実面積とそのうち主伐面積を新たに把握したいと考えております。新規追加を予定している項目については以上です。次に、資料1-6を御覧いただければと思います。
こちらは拡充する調査項目でございます。こちらも2点ございまして、一つは有機農業に取り組んでいる実面積、それから、作付け栽培品目を追加したいと考えております。前回2020年センサスでは、取組の有無と取り組んでいる品目ごとの作付延べ面積を把握しておりましたが、施策の取組目標は実面積であることに加え、多くを占めると思われる牧草等の飼料作物の動向も把握する必要があることから圃場の実面積の把握を考えております。また、有機農業は輸出との関連性が高いということもございまして、品目別の作付け栽培面積に輸出戦略品目でありますお茶を追加したいと考えております。
2ページになりますが、もう一つ、農業経営におけるデータ活用について、前回2020年センサスでの設問の内容が少し言葉足らずといいますか、分かりにくかったのではないかということもございまして、設問の内容が記入者に分かりやすく伝わるような改善、少し具体を入れて伝えるような改善を考えております。また、データ活用には御自身が主体となって行うもの以外でもデータ分析を活用した外部のサービスやサポートを利用しているケースもございますので、その部分についてはこれまで把握されておりませんでしたので、併せて追加したいと考えております。以上です。
安藤座長
ありがとうございました。ただいまの事務局からの説明について御質問、御意見をいただきたいと思います。カメラに向かって挙手をお願いいたします。いかがでしょうか。それでは、山﨑委員、お願いいたします。
山﨑委員
資料ナンバー1-6の有機農業に取り組んでいる実面積及び作付け品目を追加ということなんですけれども、この有機農業と一括りに言いましても、農業で生産している方なんですが、認証を受けた有機農業を把握したいのか、それとも有機農業と一括りに言うと、自称有機農業という人たちもこの「有機農業に取り組んでいる」に丸をつけると思うんですけれども、そこまで分けた把握なのか、それとも大まかな括りなのか御意見をお伺いしたいと思います。
安藤座長
山﨑委員、ありがとうございました。有機農業の定義についてですが、いかがでしょう。
清水センサス統計室長
山﨑委員、ありがとうございます。只今、山﨑委員が御指摘いただいたところが実は非常に私どもとしても課題に思っているところであります。この有機については前回のセンサスで初めて把握したところです。
我々としては、認証を取られている方は当然含まれるし、認証を取られていない方でも、自然農法などで同様に化学肥料なり農薬を一切使わずに生産されている方も把握したいと考えています。
ただ、この回答をいただく経営体の皆さんからすると、そこの定義がうまく伝わりきれず、前回2020年センサスでは、御発言のあった自称有機農業のような減農薬栽培や一部化学合成された資材を使用したという方も入っておりました。それは、前回の2020年センサスで有機に取り組んだという経営体が6万7,000経営体ほどおられましたが、その方をサンプル抽出して別途アンケートを取ったところ、やはりそういった化学肥料や農薬を使用しているという方がかなりの割合入っておられましたので、今回、調査項目の見直しとして実面積を追加しますが、それと併せて、調査票のデザインについて、民間事業者に委託して、そういった定義がしっかりと回答いただく方に伝わるような調査票となるよう、記入の注意として書くことも含めて検討したいと思っております。
安藤座長
山﨑委員、よろしいでしょうか。
山﨑委員
ありがとうございました。そうすると、ここでは認証を受けている有機農業に関しての有機農業に取り組んでいるということの回答を求めているんですか。
安藤座長
お願いいたします。
清水センサス統計室長
認証を受けている方以外も含めて把握したいと考えています。今考えている定義としましては、有機農業とは化学的に合成された肥料及び農薬の両方を使用しない農業で、有機JASの認証を受けていない場合でも有機農業に該当します。なお、有機質肥料については化学肥料が含まれているものもあることから、単に有機質肥料を使用しているというだけでは有機農業には該当しない点に留意してください。それから、いわゆる減化学肥料、減農薬栽培については少量であっても化学的に合成された肥料や農薬を使用しているので、有機農業には該当しません。という内容を考えていますが、この定義をどういうふうに調査対象者にお伝えするのかというのは、今後民間事業者の方々とも連携しながら工夫したいと考えておりますので、こういったことをお伝えする中で有機農業に取り組んでいる方に御回答いただきたいと考えております。
山﨑委員
ありがとうございました。分かりました。
安藤座長
ありがとうございました。そうしますと、次の委員会では具体的な文面が提出され、それでよいかどうかという検討がもう一度行われるという理解でよろしいですかね。
清水センサス統計室長
今日は資料1-3から6まで御提案させていただきましたが、あくまで現時点のたたき台ですので、今日の御意見、それから、私どもの更なる検討を深めたものについては、再度、次回もう少し分かるようにお示ししたいと思っております。
安藤座長
ありがとうございました。それでは、坪谷委員、お願いいたします。
坪谷委員
今の発言に関連しますが、現場では栽培期間中、農薬不使用という表示はできるんですよね。ただし、有機と名のるには何かしらの認証機関の認証がないと有機と名のれないはずなんですよ。だから、多分山﨑委員が言われたのは、そこをどう区分けするかということになるような気がします。自分では有機に取り組んでいるつもりなんだけれども、認証を受けていないのは有機と名のれない括りになっているわけですから、やっぱり取り組んでいる場合でも認証を受けていますか、受けていませんかという区分けが必要になるんじゃないかなという気がします。栽培期間中、農薬不使用というのは認証を受けていないということで有機は名のれませんよということを結構分かっていない人がかなりいると思うので、それもちょっと詰めた方がいいと思います。以上です。
安藤座長
貴重な御意見ありがとうございました。今の点、いかがでしょう。また次回に向けて検討していく重要な論点だったと思います。
清水センサス統計室長
ありがとうございます。私どもも前回の結果をみますと、只今の坪谷委員の御指摘のところが少し不透明になっていて、その自称有機農業と言われている方々がかなり多く入っていることもありますので、次回のセンサスに向けては、坪谷委員から御提案いただいたように、まずは認証を受けているか受けていないかを聞いた上で、認証を受けていないけれども、それに相当することを行っているということを聞くというところも含めて、再度検討を深めたいと思います。ありがとうございます。
安藤座長
よろしいでしょうか。ありがとうございました。ほかに御意見いかがでしょう。2人おりましたね。どちらからいきましょうか。事務局の方で指定した方にいたします。では、上からということで、高橋委員からお願いいたします。
高橋委員
高橋です。私からは資料1-5ですかね。輸出の話があったと思うんですけれども、金額等々かな。これは輸出というと、どの地域というのがちょっと気になることであるんですが、どの地域に輸出するか実際調べるのが実質的には難しいのか、それとも何か別なところでそういう情報があるのか、そこがちょっと気になったので教えていただければと思って手を挙げました。
安藤座長
ありがとうございます。新規項目なので、いろいろと御意見が出るところかと思いますが、それでは、お願いいたします。
清水センサス統計室長
高橋委員、ありがとうございます。
この輸出については非常に複雑な輸出系統があり、本来はそこを網羅的に把握したいというのが最終的な目標ではあるのですが、この間、いろいろな生産者の方にも御意見を伺ったりしているのですが、流通経路や輸出の形態も複雑で、そこを簡単に把握することができないということがあります。実は今回農林業センサスで提案していますが、先行的に検討を進めています漁業センサスでも今回1-5でお示ししているものと同じ項目で把握してほしいという輸出・国際局の要望もあって、同じ項目で把握しようとしているのがまず1点です。
その中で、当初、まずは経営体で輸出を行っているかどうかのみを聞こうとしました。実はそれすら今は統計がなくて、まずは一次段階の生産者のところで輸出を行っているかどうか、どれぐらい輸出に関わっているのか等を把握して欲しいということで考えたところですが、漁業センサス研究会の委員から、せめて直接輸出されているのか、貿易業者などを通じて輸出している、いわゆる間接輸出なのかぐらいは把握した方がいいのではないかという意見が出され、まずその案を検討したところです。
その調査項目について現場の方でもいろいろとお聞きしたところ、坪谷委員も含めていろんな方から直接・間接というよりも、やはりエンドユーザーを経営体が把握しているのかしていないのかというところを把握すべきではないかという御意見もいただきましたので、その把握の方法としてここにお示ししている金額、数量を経営体が把握しているかしていないかというところまでをまずは把握したいと思っております。本当は、その先の高橋委員から御指摘のあった輸出先はどこかということまで把握できればいいのですが、次回のセンサスでは、まず経営体の段階で輸出に関してどこまで把握をしているのかを調査したいと考えています。これと並行して、センサスではないのですが、農業協同組合調査という調査が別途ございまして、そちらの方で農協として輸出をしているかどうか、どれぐらい輸出しているかを把握しようと思っております。輸出先を把握する方法としては、センサスや農業協同組合調査で輸出している経営体なり農協が分かりますので、そこでサンプル抽出して、別途調査を実施することはできると思うので、センサスの中では、ここにお示しした項目でどうかと思っています。実はこの項目の表現や設問自体、これで正確に把握できるのかという点について、坪谷委員や山﨑委員は立派に輸出されているので、どういう聞き方をしても多分お答えできると思うのですが、中にはあやふやで、恐らく輸出されているが、そこまでは把握していないなど、いろいろな方がおられるので、是非御意見をいただければと思っております。
安藤座長
高橋委員、よろしいでしょうか。輸出先までは難しいということです。
高橋委員
分かりました。ありがとうございます。
安藤座長
ありがとうございました。それでは、池田委員、お願いいたします。
池田委員
群馬県統計課の池田です。農林業センサスの調査につきましては、市町村調査員、あと調査を受ける皆さんから全てにおいて大変な調査だったということが言われておりまして、調査の簡素合理化という方向性を今回出していただいている点は大変望ましいことというふうに考えております。その中で、今回資料1-4の2ページのところで、今までは個別に生年月などを入れるというような書き方をされていたのを年齢を区切った人数で記入する調査票になっているんですけれども、記入する側とすると、年齢換算というのが結構大変かなというようなところがありまして、ただ単に年齢区分を書くだけということではなくて、生年月を併記していただくことは可能なんでしょうか。
安藤座長
ありがとうございます。記入がしやすいレイアウトにどうやって仕上げていくかという点にも関わってくるかと思います。いかがでしょう。
清水センサス統計室長
池田委員、ありがとうございます。
今資料ナンバー1-4のところで御意見をいただいたわけですが、まずは、この間いろいろな県、市町村の方から御意見をいただいているのは、前回資料の1ページ目の左にあるとおり、4人までは人別に書けたのですが、4人を超えると補助表という別表に書いていただくこととしておりました。経営体の多くは1枚程度で終わるのですが、中には何十人、何百人と雇用されている経営体があって、それを人別に生年月と性別を書くのが大変だということで、実は報告漏れもたくさん当初はございまして、10月に公表しようと考えていたのですが、それから半年かけて更に県、市町村の方にお願いして照会していただいてデータを作ったという経緯もあるので、私どもとしては、まずその方法については改めないといけないと思ったところです。今回提案しているのは、そういう人別ではなく年齢別にということで2ページ目の表になっているのですが、ここに生年月を書くとなると、個人経営体とか雇用者数が数名のところはそれでもできると思うのですが、結局何十人、何百人と雇用されている経営体にとっては、それはかなりの負担にもなるので、ここに5歳区切りで書こうとしても、結局記入していただく方は生年月日から換算していただかないといけないわけですが、そこまでは報告を求められないのと、結局補助表が必要になってくるので、現時点としてはこの2ページ目のような把握を考えているところです。
少し御意見と違いますかね。この横に生年月を書けるようにすればいいのではないかという御意見に聞こえましたので、数名の場合は多分可能だと思うのですが、数十人、数百人という経営体では難しいと考えているところです。
安藤座長
池田委員、いかがでしょうか。ご質問の趣旨に対する正確なお答えになっていますでしょうか。
池田委員
調査基準日を中心に年齢を書くということになると、結構年齢換算が面倒くさいかなというようなことが考えられたので、いつからいつまで生まれはここの欄ですというようなのが分かるといいのかなというふうに思ったものですので、パソコンとかを使える方だと年齢換算は簡単だと思うんですけれども、年の途中を基準日にして年齢を出すというのは結構大変な作業になるのかなということが心配されたものですので、そういったことをお話ししました。
安藤座長
ありがとうございます。2月1日時点の年齢というのを記入するのは大変なので、昭和何年何月生まれの方は何歳になるということを一覧できるような補助表があると有り難いということなのかもしれません。いかがでしょう。
清水センサス統計室長
すみません。最初趣旨がよく理解できずに、よく分かりました。これから具体的には検討したいと思うのですが、今おっしゃっているのは、例えば、この2ページ目の表で、今は15歳から19歳としか書いていないのですが、例えば、この下に平成何年生まれから何年生まれの方というふうに、書いておいて、それを我々の方で集計するときに、それは15歳から19歳だというようにすればいいのではないかということでよろしいですかね。そういう対応だと記入者も一々記入者の方が年齢換算していただかなくても、雇用されている方の生年月日によって何年生まれから何年生まれの方が男子何名、女子何名ということを回答できるかなと今思いましたので、とっさに考えたことですので、それを補助表にするのか、この調査票の中に年齢を書きこんでしまうのかというのも含めて検討させていただきたいと思います。
池田委員
了解いたしました。
安藤座長
ありがとうございます。
池田委員
それと、また別件になるんですけれども、前回の調査では農業と林業の項目について、共通項目については読み替えをするというようなことだったかなと思うんですけれども、今回はその調査票の読み替え方式というのは基本的に廃止するということでよろしいんでしょうか。
安藤座長
お願いいたします。
清水センサス統計室長
前回は回答いただく林業経営体の皆様にとっては大変失礼な調査票になっていましたので、今回はしっかりと農業は農業、林業は林業、それから、生産関連は生産関連というように区分して書いていただけるようにしたいと考えております。そうするとページが増えますので、今回資料1-4で簡素化できるところはしっかり簡素化をさせていただければと思っております。ただし、資料1-4の簡素化する項目もかなり多いようですが、調査票上は簡素化しますが、公表する統計表といいますか、調査結果についてはそれ程減るものはありません。廃止ではないので、そういうことも工夫しながら枚数を少しでも減らしたいと思っております。その上でしっかりと林業は林業で、林業の方はここに御記入くださいというように書きたいと思っております。
安藤座長
池田委員、よろしいでしょうか。
池田委員
了解いたしました。また、前回の調査票のときには読み替え方式とか黄色い枠で囲ってあったりだとかで調査の必須で答える項目というのが分かりづらくて、必須項目でありながら記入漏れが多発するというようなことがあったんですけれども、今回は読み替えがなくなったということで調査の必須で回答する項目というのは分かりやすくなるんでしょうか。
安藤座長
お願いいたします。
清水センサス統計室長
実は、前回までは調査票のデザインを我々職員で考えていたところもあり、先ほどの有機農業もそうですが、いろいろな定義を一生懸命書こうとして注意書きがあり過ぎて、今おっしゃったようにかえって回答いただかないといけないところが漏れたりというものがありましたので、今回はこちらも資料1-4などでお示ししています項目を御検討いただいた後、民間事業者に調査票のデザインを委託しようと思っております。そうすると、今お聞きした色具合や必ずお答えいただかないといけない項目、定義などの書き方といったデザインについて、それから、項目の並びの順番なども含めて漏れがないように、調査回答をいただく方にとって分かりやすい調査票にデザインを変えたいと思っております。只今御指摘いただいたような漏れや紛れがないように工夫をしたいと思いますので、そちらはまたいずれこの検討会でも新旧で御覧いただいて御意見をいただければと思っております。
池田委員
了解いたしました。ありがとうございました。
安藤座長
ありがとうございました。資料1についてはよろしいでしょうか。それでは、橋口委員、お願いいたします。
橋口委員
橋口です。聞こえておりますでしょうか。
安藤座長
大丈夫です。
橋口委員
それでは、幾つか発言させていただきたいと思いますけれども、まず資料1-3、集落営農のことが書かれておりますけれども、これは確かにどういった集落営農に参加しているのかというあたりの集落営農の実態が不明ですので、これは妥当かなと思うんですけれども、一方で集落営農調査もされていますけれども、是非そちらとリンクできるような工夫というのをどこかでやっていただけないかなというふうに願っております。それが1点目です。
それから、2点目としまして雇用労働力の把握、先ほども年齢をどうやって把握するかとかというのが話題になっておりましたけれども、こういった形で男女別、年齢別に把握するというのも、これも前回の結果を踏まえて妥当だというふうに思うんですけれども、その際に集落営農の中には役員なのか労働力なのかというあたりの性格がそんなに余り違いがないような組織もあるんじゃないかと思うんです。今回いただいた資料では必ずしも明確ではないんですけれども、場合によっては団体経営体の役員の従事日数あるいは年齢の把握、そこも合わせて調査票の工夫ということを御考慮いただけないかなというふうに思います。
併せて言いますと、年齢区分が今5歳刻みになっていますけれども、このあたりも刻みが小さいほど記入する側は御苦労が多くなると思いますので、5歳というのが妥当なのか。
確かに高齢者かどうかという区分として65歳ないし75歳というのがあるので、そこを考えると5歳刻みになっちゃうのかなと思うんですけれども、例えば若い層はもうちょっと刻みを大きくするとか、いろいろそういうことも含めて御考慮いただければなと思います。これが大きい2点目です。
それから、3点目としまして、前回の調査票で農業経営といいましょうか、自営農業という表現だったでしょうか、個人経営の場合には。それから、農業生産関連事業ということで、これが二つ分かれて労働力のところで把握しようというのがあったんですけれども、この二つの自営農業そのものと、それから、農業生産関連事業、この実際の仕事の内容というのが明確に区別がつくのかなというあたりですね。概念上は区別がついても実際の作業として同じ日に流れ作業みたいな形でされるという場合もあると思いますし、そこが果たしてうまく仕分けできるのかなというあたりも含めて御考慮いただけないかなと。場合によっては、農業生産関連事業につきましてはまた調査項目が後の方でありますので、例えばそこでもう一回どのぐらいそこに従事していたか聞くとか、いろんなパターンもあり得るのではないかなということも含めて、御考慮いただければなというふうに思います。これが3点目です。
それから、最後4点目なんですけれども、先ほど輸出のことも話題になりましたけれども、2020年センサスでは農業生産関連事業の中で海外の輸出という調査項目がありまして、これで海外の輸出があるというふうに答えていた経営体が全国で400ぐらいでした。今回はもうちょっと定義も変わると思いますけれども、一体どのぐらいの経営体がこの輸出のところにあるというふうに回答されるという、ざっくりとでも見通し、そういったのがありますでしょうか。と申しますのは、なかなか把握自体が難しいという中で、センサスのような全数調査で聞くというのに果たしてフィットする項目なのかなというようなことを思っておりまして、輸出が重要だということで調べたいということであれば、もうちょっと別なルートを使って調べる。そしたら金額、数量あるいは輸出先とか輸出形態とか、そういったことまで詳しく調べられるのではないかなという気もいたします。
最後については意見のような形だったんですけれども、以上です。多くの点にわたりまして恐縮ですけれども、以上です。
安藤座長
ありがとうございました。4点ありましたが、いかがでしょう。
清水センサス統計室長
まず、1点目のセンサスと集落営農実態調査とのリンクについてですが、過去には一度、2015年センサスのときにデータをリンクしたことはあるのですが、その後行っていません。それで次回の第3回研究会では高橋委員にもお世話になると思うのですが、データの高度利用について御議論いただきたいと思っておりまして、過去に経済センサスとリンクしたこともあるのですが、それでは不十分だということもあろうかと思いますので、そのときにも改めて御意見をいただければと考えております。
それから、労働力のうち、特に集落営農の役員と雇用の中間というか、記入する際に明確に区分できないのではないかという点については、全体の調査票をどこかの段階でお示しする中で改めて御意見をいただきたいと思っております。年齢も確かに5歳、10歳でもいいのではないかといった御意見もありますが、橋口委員もおっしゃったとおり、特に65歳についてはやはりどうしても必要だということ、センサスが5年周期になっておりますので、様々なデータをその後分析するときにも5歳区切りが非常に分析しやすいということで今は5歳にしておりますが、かなり項目が増えるので、若いところは10歳でもいいのではないかなど、その辺は更に検討を進めたいと思っております。
それから、雇用労働力について生産関連と分けた方がよいのではないかという点も、私どもとしてもやはり分けた方がいいのではないかと思っております。特に前回、生産関連事業の従事日数は最初に聞いて、後で活動実態を聞いていたため、整合していない経営体もかなり見られたことから、今回は農業は農業、生産関連は生産関連、林業は林業というように分けた中でお聞きし、さらに、そのうち農業だけに従事された人数、生産関連事業だけに従事された人数も把握できるように工夫をしたいと思っており、こちらも調査票の形に整理して改めて提示させていただければと思っております。
それから、最後輸出の関連ですが、先ほど400経営体とおっしゃったとおり、我々としても恐らく100万経営体に聞いても何十万も出てくる項目ではないと思っておりますが、実はこれまでの国会等の議論でも、輸出を増やすというのはよいが、それがどのぐらい経営体のところに寄与しているのかと問われたときに何もデータがないということがございまして、まずは全経営体を対象に調査するセンサスにおいて取り組んでいる経営体がどれだけおられるのかということを把握したいと考えています。
なので、先ほど高橋委員から更にもう少し深く輸出先まで聞いた方がよいのではないかという御意見もありましたが、その部分については今後検討するということで、今回は極力項目を絞る中で、まずは百数万の経営体の中にどれだけ輸出されている経営体がおられるのかというのを把握したいと考えております。
以上です。
安藤座長
橋口委員、よろしいでしょうか。
橋口委員
どうもありがとうございました。また調査票の全体像が出てきたあたりで御意見を言わせていただくかもしれませんけれども、その際はよろしくお願いいたします。ありがとうございました。
安藤座長
ありがとうございました。よろしいでしょうか。1につきましてはここで終了にしたいと思います。また、林委員は今日御欠席ですが、林業関係につきましては、林委員からのご意見等も踏まえて、調査票に反映するようにしていただければと思っております。それでは、続きまして、議事の(2)の農山村地域調査(農業集落調査)の廃止につきまして事務局より資料の説明をお願いいたします。
角谷課長補佐(農林業センサス統計第2班担当)
私の方から農業集落調査の廃止について御説明をさせていただきます。
前回の研究会では、調査の廃止についてのみ御提案をしたところですけれども、その理由については口頭でのみでしたので、改めて資料を使って詳しく御説明をさせていただきたいというふうに思います。
資料2を御覧ください。2020年の農業集落調査につきましては、約14万の農業集落の調査対象者、農業集落の事情に精通している者ですね、この方の情報を市町村から受けるなどして調査対象者名を把握した上で、民間事業者から郵送調査により調査を実施しているところです。これで回答が得られなかった調査対象者に対しては、統計調査員を活用して調査票を回収し、統計調査員でも回答が得られなかった調査対象者又は調査対象者が特定できなかった農業集落については、地方農政局の職員が調査を実施する手法を取って実施したところです。
しかしながら、近年、各自治体が定める個人情報保護条例によりまして、精通者といいますか、その名簿が出せないといった自治体が増えまして、調査対象者の把握が困難な状況になっております。具体的には、前回のセンサスでは450市町村、農業集落でいいますと、全体の4割近くになりますけれども、5万集落について調査対象者の情報提供が受けられなかったため、そこで、地方農政局の職員がJA等へ行きまして、農村の支部局長などでしょうか、そういう者の情報提供を働きかけまして、何とか4万4,000集落について調査対象者を把握したところです。それでも把握できなかった6,000以上の農業集落につきましては、地方農政局の職員が調査対象者を探し出したりとか、自治会が集まる会合などに行ってその場で調査をしたり、集落の状況を把握していますその地域の出身者の市町村職員などを見つけまして、調査を依頼するなどして何とか全数調査を実施したというのが2020年のセンサスの状況となります。2ページを開いていただいて3番になりますが、一方で農業集落調査結果というのはこれまで日本型直接支払制度の政策評価等に活用されてきました。具体的に言いますと、資料が2-1になりますが、これは中山間地域等直接支払制度で政策評価に関する資料になります。この資料の中で農業集落調査を使った制度の効果分析が行われていたというものになります。資料2の2ページに戻りまして3番のところになりますが、このように政策評価等に使われていますが、農業集落調査を廃止しますと、確かに寄合回数ですとか地域資源の保全状況の活動については把握ができなくなりますが、これまでと同様に農業経営体調査の農業集落結果は引き続き提供は可能ですし、この集落別データの充実を進めています地域の農業を見て・知って・活かすDB、これを活用することによって農業集落の実情については詳細に把握・分析が可能となっています。では、この地域の農業を見て・知って・活かすDB、活かすDBと言わせていただきますが、これについて説明させていただきます。
資料2-2を御覧ください。
この活かすDBですが、2005年からのセンサスデータを掲載しております。そのほか、国勢調査、経済センサス、中山間地域等直接支払制度などの結果を農業集落単位に編集して提供していて、これらデータと地図ソフトを使うことで紙面にもありますように、農業集落単位の分析結果を用いて、塗り潰しなどで表した地図などを作成することができます。
次に2ページ目になりますが、活かすDBに掲載されていますセンサスデータの項目について一覧表で掲載をしております。御覧のとおりこれだけ多くのセンサス結果について、農業集落単位のデータとして活かすDBに掲載をしておりまして、これはホームページの方で公開をしている状況になっています。
資料2の2ページに戻りまして4のところですが、このように個人情報保護条例によって調査対象の把握自体が困難なこととか、農業集落の実情は活かすDBを活用することで把握が可能なこと、これらを踏まえまして、第1回目の研究会におきまして農業集落調査を廃止する方針を示したところです。
5のところになりますけれども、前回の研究会におきまして委員の方から農業集落の廃止を代替する方法について幾つか御提案をいただきました。研究会後に出された意見について検討したところではありますが、結果としてはいずれの提案についても農業集落調査を代替する手法としてはなかなか難しいと考えているところです。
具体的な検討結果については、資料2-3を使って御説明したいと思います。資料2-3を御覧ください。
1点目としまして、総務省と国土交通省が合同で実施している調査があり、7万5,000集落を対象に100項目の調査が実施されているので、市町村に聞くことで調査が実施できるのではないかという提案でございました。この調査については総務省にも確認をしたところですが、調査はアンケートとして実施しているもので、集落の人口ですとかガソリンスタンドの有無だとか、市町村の担当者が把握しているデータによって記入できるものとなっています。そのため、結果的には不明という回答も一定程度ある調査となっております。対しまして農業集落調査ですが、集落ごとに寄合回数ですとか寄合の議題、地域資源の保全状況など詳細な項目を調査しております。市町村の職員が農業集落から聞き取らない限り回答はできないことから、市町村が調査対象にはなり得ないものと考えております。
2点目です。市町村へ調査を委託すれば実施できるのではないかという御提案でした。市町村へ委託するには、まず総務省や都道府県、市町村等と調整をした上で統計法施行令を改正し、地方公共団体が処理する事務として委託する必要がございます。ただ、既にこの法定委託事務で行っている農林業経営体調査については、地方公共団体の方から大幅に簡素化するように要望を受けている状況ですので、この状況で新たに調査を委託するということは不可能に近いのではと考えているところです。
資料2ページになります。多面的機能支払交付金制度に取り組んでいる地域であれば、参加組織の代表者に聞けば調査ができるのではないかという御提案でした。どれぐらいの農業集落で多面的機能支払交付金制度に取り組んでいるのかを調べたところ、全国14万集落のうち約7万集落で取り組んでいることが分かりました。逆に取り組まれていない農業集落が半分あることになります。この取り組まれていない農業集落では調査が実施できないことになります。農業集落調査は全ての農業集落を対象に実施する必要がありますので、この調査手法としては適切ではないと考えております。
次に、農業集落精通者の多くが農業経営体や客体候補者名簿に記載されている者であれば、その中から農業集落精通者を選定すれば調査が実施できるのではないかという御提案でした。前回の研究会ではその状況について数字を把握していなかったので、今回調べたところ、農業集落精通者のうち農林業経営体の対象者となっている者は約4割でした。また、農林業経営体以外で客体候補者名簿に記載されている方、自給的農家などが該当すると思いますが、この方は約3割でした。残り3割がこれ以外の方になります。この客体候補者名簿に記載のない3割の方については、農業集落精通者に関する基本的な情報が得られないという課題は結局解決できないということになります。
加えまして、現行調査における客体候補者名簿には誰が農業集落精通者なのかという情報は書かれていないことから、客体候補者名簿から農業集落精通者を特定することができないと考えております。
最後に3ページを御覧ください。
農業集落ごとに精通者を設定することが困難であれば、例えば10集落の単位だとか旧市町村単位だとか広い単位で設定すれば調査ができるのではないかという御提案でした。区画の大小にかかわらず、農業集落精通者を設定するには市町村から情報を得ないと農業集落精通者を把握できないことは変わらないため、現行調査における課題解決にはならないものと考えております。また、広域で農業集落精通者を設定しようとしても農業集落ごとに寄合の回数など細かいことを把握している方はいないのではないかと考えております。
なお、現行調査でも複数農業集落をまとめて農業集落精通者を設定することを可能としていますが、そのような農業集落精通者はほとんどいないという状況になっております。
以上が前回、委員の方々から御提案いただいた農業集落調査方法の代替案についての検討結果になります。資料の説明は以上で終わります。
安藤座長
ありがとうございました。資料3に前回の委員会での御意見とそれに対する事務局からの回答も記されており、その中の農業集落調査の廃止に関する部分を整理したものが資料2-3になると思いますが、ただいまの事務局からの御説明につきまして委員の皆様方から御質問、御意見をいただければと思いますが、いかがでしようか。
それでは、橋口委員、お願いいたします。
橋口委員
どうも御説明ありがとうございました。これは大変重要な提起をしていただいているので、いろいろと申し上げたいことはあるんですけれども、まず最初に農業集落調査の重要性ということについて少し申し上げたいと思うんですけれども、直近の基本計画でも農村政策充実化の具体的な取組として農村の実態や要望について農林水産省が中心になって都道府県や市町村、関係府省や民間とともに現場に出向いて直接把握し、把握した内容を調査・分析した上で課題の解決を図る取組を継続的に実施するというふうに計画にも書かれております。この実態把握の対象ということで重要なのがやはり集落コミュニティ、地域コミュニティの機能がどうなっているのか、そういうことじゃないかなというふうに思います。やはりこれについては、個別集落について把握するということが極めて重要で、この農業集落調査というのはその基盤となるということで、これを廃止するということは正に基本計画の内容を自ら掘り崩すということになってしまうのではないかなと危惧しております。
今の農業集落調査に関して、近年の変化を見ますと、2015年に前回と比べて言わば充実化が図られております。その際には政策及び施策との関連性が非常に強いということ、それから、各集落の実態を明らかにすることによって実情に合わせたきめ細かい施策の展開や効果の検証が可能となる、そのためには全数調査をやはり実施する必要がある。実はこれは農水省さん自身が、2015年センサスを検討した際の統計委員会の産業部会で述べておられることであります。加えて、人・農地プラン等の個々の地域に密着した施策が推進されており、集計値や事例としての利用だけでなく、個別の農業集落データとして提供し利用が図られることが重要だと、こういうことも農水省御自身で強調しておられたことで、確かに私もそうだというふうに思います。
その人・農地プランにつきましては、正に今、法定化も行われて、それから農村RMOの推進あるいは最適土地利用対策の導入や拡充など今農水省が進めておられる政策の中では、集落とか地域の話合いということも重視されておりまして、そんな中、この集落事情の精通者が分からないという状況をそのままにしておいて、こういった政策の推進は可能なのかなという疑問も出てきます。そうなると基本計画とも矛盾するし、現在進められている政策の推進の方向性とも齟齬があるのではないかなという気がいたします。これは直接の御説明に必ずしも関わらない一般的なことだったかもしれませんけれども、集落調査の重要性ということについて述べさせていただきました。
今直接御説明があったこととの関係で言うと、中山間地域等直接支払いの中間年評価のものをお示しになって、こうした集落の実情については地域の農業を見て・知って・活かすDBで代替可能ではということをおっしゃっていましたけれども、正に資料2-1の内容は農業集落調査結果そのものがいろんなところで活用されていて、この農業集落調査が廃止されますと、これが正に把握できなくなるという逆に農業集落調査が必要ですよという御説明になっているのではないかなというふうに思ったということも付け加えさせていただきたいと思います。ほかにも申し上げたいことがありますが、ちょっと長くなりましたので、取りあえず一旦ここで区切らせていただきます。
安藤座長
橋口委員、ありがとうございました。今の橋口委員からの御意見につきまして、事務局の方からお願いいたします。
清水センサス統計室長
ありがとうございます。
只今の御意見についてですが、我々としても集落調査をやめたくてやめるわけではなくて、できることならば、これまで続けてきた調査なので続けて行きたいと思っていますし、2015年センサスで拡充したり2020年センサスのときは郵送化をしたりしてきたように、どうにか調査を継続したいという思いはありながらも、前回2020年センサスの研究会のときにも、実は一方でこういう個人情報の問題があって大変なことになっているんだということは提起もさせていただいていたと思うんです。その上で、その時々で可能な範囲でできることをやってきたんですが、2020年センサスをやったところ、先ほど御説明したとおり3分の1、5万集落で個人の情報が取れないということは調査として成り立たなくなってきているので、今回廃止を提案させていただいたという経緯でございます。
また、これまでこの研究会以外にもいろんな学会とか中山間地域フォーラムからも御要請いただいているんですが、その中で一部誤解があるのは、この農業集落調査をやめると、例えば集落の固有名詞みたいなところも分からなくなるとか、それから、活かすデータベースでこれまで積み上げてきているんだけれども、こういうものも連結できなくなるというふうな認識の下で御意見とか御要望をいただいているところもあるのですが、ここはちょっと誤解でして、全国14万の農業集落については、5年ごとのセンサス時には調査員の配置の検討がありますので、仮にこの農業集落調査が廃止になっても前回の集落の範囲なり名称について、各市町村に再確認をして変更があれば変更するということは続けていきます。
さらに、次回2025年農林業センサスの新たな農業集落の名称なりエリアにひもづいた経営体のデータについては継続若しくは充実をしていくということがございますので、この集落調査を廃止すれば集落の実態が全て分からなくなるので継続を求めるという御意見に対しては、そうではないということを今回も資料2の2ページ目の3のところでご説明しています。我々としても農業集落調査はこういう事情で廃止を提案させていただいておりますが、一方でこういった集落結果というのはやはり重要なので、ここのデータについてはますます充実をしていきたいという代替案でどうでしょうかという提案をさせていただいているところです。取りあえず以上です。
安藤座長
ありがとうございました。橋口委員、よろしいですかね。よろしくないのかもしれませんが。
橋口委員
取りあえず承りました。資料2-1については、すみません、もう一回どういった趣旨なのか。先ほど申し上げましたようにむしろ資料2-1のデータが取れなくなっちゃうわけですよね。寄合ですとか地域資源の保全とか地域外との連携とか。この資料2-1はどういう趣旨の資料でしょうか。こういったものが取れなくなるので、是非続けていただきたいというふうにむしろこちらとしては申し上げたいところなんですけれども。
安藤座長
お願いします。
清水センサス統計室長
ありがとうございます。この2-1の趣旨ですけれども、この後こちらからもお伺いしたいところはあるのですが、利活用について私どもとしても集落調査を廃止するに当たって、やはり利活用上、本当にどこまでお困りになるのか検討しました。まず農村振興局としてはこの資料2-1にあるように、具体的にどう使っているのかということをお示ししたところです。それを踏まえて農村振興局としても、何もこれが取れなくなるので、この農業集落調査の廃止についてもろ手を挙げて賛成というわけでは当然ございません。できるならば継続はして欲しいのだけれども、統計実施体制の実態を踏まえるとやむを得ないというふうに言っていただいているところです。
ちょっと飛びますけれども、資料3を御覧いただいて、資料3の7ページ目、よろしいですかね。資料3の7ページ目の一番下、前回、安藤座長から農村振興局との調整はどうですかという御意見があったときに口頭でお答えしましたけれども、ここに書いているとおり、農村振興局としても当然日本型直接支払制度の評価に活用されていますので、調査を継続してほしいというのは、それはもう大前提はあるのですけれども、この調査の体制上の問題、個人情報の問題ですけれども、そういう調査体制上の問題があるのでやむを得ないという見解をいただいているところです。その裏には前回お伝えしたとおり、地方農政局職員もいなくなるということも当然あるんですけれども、そういう前提です。
ただ、この資料2-1にあるとおり、実際にこういった評価に使われているので、農村振興局としては必要に応じて別途調査を行う。これはなかなか統計部でも調査はできないので、統計調査ということではないけれども、例えばアンケートを行うとか、制度に取り組まれているところにお聞きするとかということだと思われますが、そういうことをして代替すると聞いているという参考です。省内でも完全に分かったということではなくて、利用はされているけれども、代替案も含めながら御理解をいただいているということをお伝えするための資料です。そういう意味でお付けしたところです。
「ただし」以降ですけれども、そういうことも含め統計部としても、この資料2にあるデータ自体は取れなくなるのですけれども、別途活かすデータベースで更にこれまでできていなかったような詳細な分析も、評価に使えるような分析を今連携しながら検討を進めているところでございます。そういう意味で、参考ということで資料2を付けております。
安藤座長
橋口委員、よろしいですか。
橋口委員
ありがとうございました。
安藤座長 ありがとうございました。それでは、ほかの委員の皆様方、いかがでしょう。それでは、竹田委員、お願いいたします。
竹田委員
御説明ありがとうございました。聞こえていますでしょうか。
安藤座長
聞こえています。
竹田委員
調査の実施に関して、前回私も申し上げました意見も含めまして詳細に御検討いただきまして、ありがとうございました。今回の説明ですと、より詳細に調査の実施が難しい要因として市町村からの調査対象者の情報が得られない、名簿が得られないという御説明があったかと思います。約5万集落から名簿が得られないというのはかなり大変な事態だというふうに思っております。その理由として各市町村が定めております個人情報保護条例がそういったことの背景にあるという御説明だったと思うんですけれども、これは総務省の方に確認をしますと、一般的な議論としては、法律と条例ですと、法律の方が優先されると。それがこの農林業センサスにおいてどのように具体的に適用されるのかというのは私ども素人が考えるよりも農林水産省と総務省の間で確認していただくような事項かとは思うんですけれども、そういったことも含めまして、この統計法と個人情報保護条例の関係に関わる部分について、市町村の御理解も含めて総務省の公式の見解というものを確認していらっしゃるのかどうかという点をまず確認させていただきたいと思います。
その上でなんですけれども、現在、私もこの問題の専門家というわけではないので、もしかしたら誤った事態の把握かもしれませんけれども、民間も含めて多様な個人情報保護の規定があるというふうに聞いておりまして、個人情報保護法制2,000個問題みたいな問題があると伺っていまして、それを踏まえて令和3年の法改正により共通ルールを設けるということになったと聞いておりまして、それが地方自治体については令和5年4月から施行されるような、そういうスケジュール感で動いているのではないかという情報も聞いております。そういう意味では、2025年センサスを実施されるときには、この個人情報保護条例の関係の事態が改善をしている可能性もあるのではないかと考えられるのですが、こういった情報も含めまして、もし仮に個人情報保護条例の適用外になって名簿が得られるということになれば、これまでどおり調査が可能と道も開けるのではないかと思うので、そのあたりの是非、総務省さんの見解も含めて御確認をいただきたいと思うのですが、この点についてまずいかがでしょうか。
安藤座長
ありがとうございました。個人情報保護に関する総務省の見解と、地方自治体に対しては新しい共通ルールができますが、そうした状況に対して事務局としてはどのように考えていらっしゃるかということだと思いますが、いかがでしょう。
清水センサス統計室長
個人情報保護法と統計法の関係について、統計法に基づいて個人の方からいただいた調査票情報については整理がされておりますが、今回は調査票情報ということではなくて名簿のリストを下さいということですので、統計法との関係で総務省に聞いてもそこの見解はないと思っております。我々はいろんな状況の中で把握できるリスト、名簿を集めて、それを基に調査を行うということですので、そこは確認というよりも、従来からそういう仕切りでやっているので、統計法との関係で今回取れないということではないというのが1点と、あと、個人情報保護条例では、現時点で統計で専ら使ってもいいんですよと書いている条例は36%の市町村しかないということで、これが新ルール、共通ルールが示されてもすぐに変わるものかどうかは確認が必要です。なお、いずれにしても、そのルールに基づいて情報を提供するかどうかは最終的には市町村の判断になりますので、現行の方法はかなり厳しいというふうに判断しております。
安藤座長
ありがとうございました。竹田委員、いかがでしょうか。
竹田委員
1点目の御説明について、名簿情報に関して総務省さんの見解をいただく必要はないというところが専門家ではないので、ちょっとよく分からなかったんですが、もう少し補足的に説明していただけないでしょうか。
安藤座長
事務局、いかがでしょうか。
清水センサス統計室長
先ほど言った調査した結果についての整理というのはあるのですが、これは簡単に言うと個人情報を名簿として使うので出してくださいということになりますので、そうすると、統計法ということではなくて、あくまでそれはそれぞれの市町村、市役所が定めている個人情報保護条例に基づくしかないという判断ですので、それは統計法との関連ではないという判断をしておりますので、総務省に聞いてもそれ以上の見解はないと思います。最終的にはやはり個人情報を保有されている市町村、県もそうですけれども、その方々の判断になるんですが、その際にはそれぞれが定められている保護条例に基づいて判断をすることになるので、それ以上のことを統計法があるからといって提供義務を課すことにはならないということになります。
安藤座長
ありがとうございました。竹田委員、いかがでしょう。
竹田委員
ありがとうございます。そうなりますと、客体候補者名簿等で農業集落調査ではなくて農林業経営体調査の方ですけれども、客体候補者名簿等の住所等の個人情報を得るわけですけれども、そのあたりについても名簿情報自体については、住所情報については、今は統計法に基づいて、もし経営体が個人情報を出したくないといった場合でも統計法に基づいてそれを出していただきたいというふうに言うことはできないというふうに、要は統計法では調査客体、集落精通者であれ農林業経営体であれ、住所情報を出すということを統計法で規定しているわけではないということでしょうか。
安藤座長
今の点、いかがでしょうか。
清水センサス統計室長
ちょっと今日厳密な資料を持ってきていないので、間違っていればまた訂正させていただきますが、これまでの判断として経営体調査の名簿については客体候補名簿などを持っていますが、こちらは調査実施者である農水省、私どもが持っていますので、行政記録情報として管理は適切に行っているということにしております。
一方で、回答いただいた調査情報については、こちらは統計法に基づいてデータを収集した情報ですので、こちらも個人情報ですけれども、そちらは統計法に基づいてしっかりと管理をしているということになります。
安藤座長
竹田委員、いかがでしょうか。
竹田委員
ちょっとまだ私自身の理解不足で疑問はあるんですが、この点ばかりに時間を使うわけにはいきませんので、一旦この点はこれで終わらせていただきたいと思います。
安藤座長
ありがとうございます。それで、今の点につきましては、次回の委員会までにもう少し精査して事務局の方で回答を用意してもらうようにしたいと思います。竹田委員、それでよろしいでしょうか。
竹田委員
そうしていただけると大変有り難いです。
安藤座長
引き続き御意見があると思いますが。
橋口委員
ちょっとよろしいでしょうか。
安藤座長
では、今の点に関してですね。
橋口委員
はい。私自身とても1,700の市町村を全部調べられるわけじゃないので、自分がこれまで訪問したりとかという個人的に心当たりのある市町村を複数、三つか四つだったでしょうか、各市町村の個人情報保護条例を調べたところ、専ら学術研究又は統計の作成のために利用し、又は提供する場合で本人の利益を不当に侵害するおそれがないと認めたときは個人情報を提供しますよと。要するに、例えば自治会長さんのお名前だとか住所だとか連絡先とか、そういうふうにも読めるんですけれども、こういった私が調べたところはたまたま四つ、五つ、全て同じような条例、そういう規定になっていたんですけれども、それは先ほどの室長さんの御説明だと36%ぐらいしかないと、そういうことだったんでしょうか。
その36%のところしかそういう条例がない、しかし、提供してくれそうな条例はないんだけれども、逆に提供いただいた市町村の数はもっと多かったと思うんです。提供いただけなかったところは、市町村長名で例えば公印とかも使ってこういう依頼が来たんだけれども、農水省さんのこういう御依頼には絶対に応えられませんとはっきりとそういう拒否の回答までいただいているということなのか、何となく御担当者の間でやっぱりちょっと今回は出せないとか、何か口頭でやり取りが行われているんじゃないかと、これは勝手な臆測ですけれども、はっきりと文書で、市町村長名で提供できませんみたいな拒否回答を明確にいただいた結果、450市町村5万集落の情報が得られなかったのか、そのあたりはかなり突き詰めていらっしゃるのかどうかはいかがでしょうか。
安藤座長
資料2の把握自体が困難ということに関してより詳細な御説明がいただければということになるかと思いますが、いかがでしょう。
清水センサス統計室長
只今の個人情報のところについて補足させていただきますと、橋口先生がおっしゃるとおり、そもそも個人情報保護条例では目的外の利用ができないという前提がある中で、ただしとして、先ほどの学術とか専ら統計作成のために用いる場合は提供してもいいと明記されているのが市町村で約36%ぐらいです。その次の段階として、統計ではないんですけれども、例えば国とか県とかいわゆる公共性のあるところからの要請に応じて、それは市町村の判断として出してもいいという場合には出せるという今度は条文があります。それに基づいて出していただけるかどうかというのが、これは農政局の職員がお願いに行っていただいている部分です。それで、どうにか5万集落以外のところはいただいているというところになっております。
あとは何でしたか。
安藤座長
農業集落に精通している者の情報を得られないのは、公式にこうした状況だから断られているといったことになっているかどうかですね。
清水センサス統計室長
あとは先ほどの専ら統計と書いていない部分についても判断が要るので、文書をいただきたいというところに文書を出しておりますし、それ以外のところの駄目なものは出せませんと言われるところについては、条例に基づいてと言われると出せないということで、もう一度簡単に言うと、全市町村に対して、これは支局の対応によるんですけれども、一律的に公文書で全部文書を出しているわけではなくて、直接出向いて依頼をしていると。その上で文書が必要だというところには公文書を出していただいているというやり方でして、お願いをして集めているところです。
安藤座長
橋口委員、いかがでしょうか。
橋口委員
これも本当に素人的な発想なんですけれども、個人情報といっても、その方の年齢だとか職業だとか所得だとか、そういう情報じゃなくて、この方が集落情報精通者ですというせいぜい住所とお名前と連絡先の電話番号ぐらいでしょうか、その情報も450市町村が明確な拒否回答として市町村長名で農水省に対して私どもは出せませんというふうに、そういう市町村はそんなにいっぱいあるのかなというような単純な思いなんですけれども、加えて、とは言ってもやっぱり個人情報保護の趣旨からしても、出せないという方がどちらかというとおかしいのではないかと。そういう趣旨からすると、先ほど竹田委員から御説明があったように、その事態が改善する見通しが先ほど室長さんはないというふうにおっしゃったんですけれども、それが本当にないのかということも含めてもうちょっと御検討というか、あるいは私どももそれはもう仕方ないねと納得するような情報をいただければなというふうに思います。今すぐにというわけではございませんので、また次回でも結構ですし、また後ほどでも結構ですので、この点をお願いしたいと思います。
安藤座長
ありがとうございました。市町村からもう少し協力を得られないのでしょうか、そのための働きかけ等はできないのでしょうかという御意見だったように思いますが、いかがでしょう。
清水センサス統計室長
ありがとうございます。只今の橋口委員の件に関して、ちょっと次回までにまず条例の条文はどういうものがあって、そういう市町村が幾つあってということをお示しするのと、名簿情報を依頼するときに各農政局の方でどういった手法で取ったのか、それから、5万集落についてはどういうことをもって駄目となったのかというあたりの整理できるものを整理して、次回お示ししたいと思っています。
安藤座長
橋口委員、それでよろしいですかね。
橋口委員
あと、すみません、何度も恐縮ですけれども、統一ルールというんでしょうか、共通ルール、民間では既にもう去年から施行されているらしいんですけれども、それが地方自治体についても今度の4月から施行されると。そこの見通しですね。先ほど室長さんはそれでも暗いというふうにおっしゃったんですけれども、本当に暗いのかということも含めて、もうちょっと詳しく御説明いただければと思います。
安藤座長
いかがいたしましょうか。この点については次回の委員会で詳細なご説明をいただけるということになるのでしょうか。
清水センサス統計室長
次回委員会のときに先ほどの個人情報保護法なり条例と統計法の関係とか、只今おっしゃった共通ルールの話とか、あとは実態も含めてちょっと資料が整理できるものを整理したいと思っております。
安藤座長 橋口委員、次回送りということになりますが、よろしいですか。ありがとうございました。それでは、竹田委員、続きの発言があると思いますが、よろしいですか。
竹田委員
それでは、すみません。時間をたくさん使っていただいて有り難いんですが、先ほど室長さんの方からも利用の実態みたいなところについてという逆に御提案もあったかと思うんですけれども、先ほど来触れていただいておりますように、この間第1回のセンサス研究会で廃止の方向性が提案された後、9月14日に中山間地域フォーラムの方から継続に関する意見書が農林水産省に提出されたというふうに伺っておりまして、また、9月16日に林業経済学会の方からも集落調査の継続を求めるアピールということで、こちらは学会のホームページに掲載されているかと思いますけれども、このような形で統計利用者から継続を求める声ということが届いているかと思います。
また、今週に入りまして公開された集落調査を継続させるための署名サイトというのが立ち上がっておりまして、そこでは現時点で400名を超える研究者や自治体関係者、ジャーナリスト、あと、農林業の関係者の方々が継続の署名をされていて、その情報がウェブサイトから見ることができる状況にございます。そういう意味で、研究においても特に署名サイトで署名されていらっしゃる先生方や自治体関係者の方々等を見ていただくと、必ずしも農業にかかわらず歴史でしたり社会学でしたり地理学でしたり環境学でありましたり、経済学の中でも開発経済であったり地域経済であったり、実に幅広い分野の研究者の方々が参画してこの調査の継続というのを求めていらっしゃいます。そういう意味で多様な分野の研究者の方々もこの調査を直接・間接に利用しているからこそ、こういった関心を持って署名されているのだというふうに私自身は理解しております。
そういう意味で、具体的にどういった活用事例があるのかというところについて私自身も整理をしているところなんですけれども、今まで農水省の方で整理してなかなか見つからなかったというふうな先ほど御説明もあったかと思うんですけれども、そのあたりについて現状をまず詳しく教えていただけないでしょうか。
安藤座長
事務局の方で把握している集落センサスについての活用状況について御説明をお願いしたいということですが、いかがでしょう。
清水センサス統計室長
竹田委員、ありがとうございます。私どもとしましても、この集落調査を廃止するとなると、当然調査結果を利用されている方がお困りになるので継続という意見になるということは承知をしておりましたので、これを検討する際に利活用について一定の調べはしております。その中で、まず行政上の利活用としては先ほど資料2-1でお示しした農村振興局について使っていますということは把握しております。そのために橋口委員からこれは逆行しているという話もございましたが、私どもとしては使われているということも示した方がいいということで示したところです。これはあくまで行政上の省内での利活用です。
あとは大学の先生とか研究されている方々がどう使われているかというところが正直私どもが分からないところです。先ほどから個人情報の共通化の話もあって、改善するのではないかということも聞いておりますときに私は無理ですと言ったのは何も断言したわけではなくて、現状としてなかなか来年、再来年の実査に向けては難しいということを申し上げただけで、この時点で集落調査について廃止を決定しているわけではなくて御意見を伺っているので、そこはちょっと誤解のないようにお聞きいただきたのですが、その上で資料2の2ページ目の3のところに利活用も踏まえて活かすデータベースの話をさせていただいております。
それで、農業集落調査を仮に廃止することになると、その代替案というのが必要になるのであれば手当てしないといけないということは当然あります。先ほど竹田先生がおっしゃったとおり中山間地域フォーラムとか、林業学会はアピール文なので直接要請文をいただいているわけではないですが、署名サイトが動いていることも承知しております。その中で、まず1点目、利活用でお困りになるという、集落名の区域なり名称がなくなるのではないかということをもって反対されている方については、そこは継続をいたします。
それから、活かすデータベースなりいわゆる昔で言う集落カードとか、それから、RESASのことも触れておられましたが、こういったデータについては引き続き提供が可能なので、そういったことが支障にはならないだろうと思っています。支障になるとすると、集落調査票で把握している寄合の回数だとか議題だとか、こういう項目はなくなりますので、そこは支障があるかなと思いまして、私どももちょっとよく研究されている方々のデータというのがなかなか検索できないんですが、2020年の集落調査結果を公表して2年になるので、こういうもので論文とかを書かれているものがないのかと、ネット検索しましたが、ちょっと検索がまだ甘いのかもしれないですが、現時点でそういったもので分析されたものが見つからなかったということもあり、いろんな学会とかフォーラム等から研究者が使っているんだというふうにおっしゃっている具体的な論文なり研究成果というのが私どもではちょっと把握できていないところもありまして、是非そういう把握し切れていない状況においては、この資料2の3に書いているとおり集落調査を廃止しても実態が分からなくなるわけではなくて、活かすデータベースで集落ごとのデータはより充実していくので、これで代替できるのではないかという私どもの現時点での思いです。
でも、竹田先生がおっしゃるとおり実はこういういろんな研究者の方が、今要請とか意見書とかをいただいている中にあるとおり、具体的に使われるとすると、そこについてもしっかりと私どもは考えて、従来どおりの何も変えずにそのまま実行してほしいと言われても、そこはちょっと正直難しいとは思うのですけれども、その利活用によっては、「活かすデータベースでもって代替です。以上。」ではなくて、もう少し何か考えられないのかということを検討しないといけないと思いますので、是非竹田委員とか橋口先生におかれましては、具体的に研究者の方で何か論文とか使われているというものの実例を教えていただけると、今後私どもが代替案とかを検討するときに非常にどこまで、これはやはりこういう先ほどから御説明しているとおり現行の調査は非常に負担が大きいので、それを今後も継続するとなると、それに見合うやはり成果というのは求められますので、そういう上で難しい中でも何かしら考えていこうという負担に対して、実際なくなると研究されている方々がどこでお困りになるかという具体例を是非教えていただきたいと。その上で今後の方策を検討していきたいと思いますので、是非この点はよろしくお願いしたいと思っております。
安藤座長
竹田委員、いかがでしょう。
竹田委員
ありがとうございます。今日はちょっと詳細な議論が時間の関係もあってできないかと思うんですけれども、まず2020年の結果につきましては公表されたのが2021年6月ということで、さらに、活かすデータベースのような形で集落単位で情報が出たのが10月ということなので、査読を経るような形での論文が今はばんばん公開されるような、そういう状況には余りまだない。活用していらっしゃる先生方は今一生懸命論文を書かれたり査読のプロセスなんかにあったりすると思いますので、そういう意味で2020年のセンサスの結果というのを使った分析というのはなかなかすぐに出てくるような状況にはないかと思うんですが、例えば一般向けですとか学生向けに対してこういった農村ですとか農林業に対して理解を求めるようなある種テキスト的な本が出ておりまして、最近ですと、2021年に生源寺眞一先生が書かれました21世紀の農学という本があるんですけれども、そこの中でも1章を割いて地域の協同力が支える農林水産業ということで、正にこの2020年のセンサスの農業集落調査の結果を使って農林水産業がどういうふうに地域によって支えられているかということを書いていらっしゃる本もありますし、中山間地域フォーラムで編集されて出されました中山間地域ハンドブック、2022年に出ていますけれども、こちらにも同様に集落の状態ということで、一般の方にもこういった集落が農林業を支えているということを分かりやすく記したような、そういった形での活用もございます。
研究面でも学術論文等で主に資源管理ですとか、そういった地域の資源管理がどうなされているかということによって農業がどんな影響を受けるかといった、そういった視点からの様々な活用がございまして、今ちょっとここで全てを申し上げることはできないんですけれども、そういう意味で正に日本の農業のこれは特殊性なのかもしれないんですけれども、農業集落におけるいろんな機能というのが農村ですとか農業とどう関わっているかということを分析するというのが一つの重要な論点でありまして、これがこれからどう変わっていくかというところも含めまして、農業集落調査が廃止されてしまうとそれができなくなってしまう。それは農村の分析だけではなくて農業の分析にも影響するというふうに考えておりまして、そういう意味で農業集落調査がなくなるということは非常に重大な影響を研究においても及ぼし得るというふうに思っておりますので、具体的な個々の論文についてはまた次回までにこちらでも御提供できる情報については御提供させていただきたいと思っております。以上でございます。
安藤座長
竹田委員、ありがとうございました。今の竹田委員からのご説明ですが、事務局の方でコメントなどがあればお願いいたします。
清水センサス統計室長
ありがとうございます。いろんな学会とかフォーラム等からも要請に来ていただいて、そういうふうに皆さん研究されている方も重要なデータなんだということはお聞きしておりますので、繰り返しになりますけれども、次回に向けてこれから代替案等を検討するに当たっては、具体的に2020の結果がまだ世の中に論文等で出ていないという状況は理解いたしましたので、例えば前回の2015年のデータでも結構なんですけれども、そういったものがどういった論文等で、今学生さん向けのテキストだとか一般の国民向けにも出されているということも申し訳ございません、承知しておりませんでしたが、そういったことをちょっと教えていただいた上で、それに向けてかなりの負担を強いながらもどこまでやるのかというのも検討したいと思いますので、是非具体的なところ、私どもでも引き続き検索はしたいと思うんですけれども、ちょっと限界もありますので、是非お示しいただければと思っております。
安藤座長
ありがとうございました。
かなり時間を取ってしまいましたが、今、橋口委員から手が挙がっております。橋口委員、お願いいたします。
橋口委員
何度も大変恐縮ですけれども、先ほどの竹田委員の御発言で言われていたよに、あるいはまた統計を御担当の皆様には釈迦に説法だと思うんですけれども、私たちがこの情報がなくなると論文が書けなくなるから困るという意味合いは、仕事がなくなるとか仕事ができなくなるとかそういうような意味合いではもちろんございませんで、日本の農業・農村あるいは場合によっては海外との比較ということも含めて、そういう実態の把握、課題の析出あるいは今後の見通し、そういうものが厳しくなるのではないかというような意味合いですので、それは困るというニュアンスですね、その点は御理解いただければなと思います。
ちょっと時間も押しておりますけれども、今発言させていただきましたので、もう一点補足させていただきたいんですけれども、先ほど特に政策との関係、農水省が進めておられる施策との関係で農業集落調査の重要性ということを申し上げたつもりなんですけれども、特に今新しい動きが農村では起こっていて、田園回帰もそうですし、あるいはポストコロナ社会ということで今後の動きがどうなるのかというのを見通す上でも、この2025年の農業集落調査がなくなるというのは、何ともそこが途絶えてしまう。しかも、基幹統計からなくなるというものが容易に復活するということは非常に難しいんだと思います。したがって、今非常に重大な岐路に立っているという認識で私どもも長々と議論させていただいているということをほかの委員の方も含めて御理解いただければ幸いです。
その上で最後に具体的にといいましょうか、御検討いただければ有り難いんですけれども、第1回のときにお示しいただいたこの研究会の開催計画の案では、各回の議論の状況に応じ適宜臨時の研究会を開催する、また、必要に応じて専門委員の招集又は現地実態調査を実施、そういうことも書かれております。以前は農林業センサスにオブザーバーとして臨時に委員の方を招いて事情聴取みたいなことを行ったこともたしかあったと思いますし、ちょうど先ほど漁業センサスが話題になっておりましたが、漁業センサスの方は去年の10月から来年の3月にかけて、予定された研究会5回、しかも、1年半ぐらいかけてじっくりと議論されているようであります。どういう事情かは存じ上げませんけれども。したがいまして、今農林業センサスも農業集落調査の廃止という非常に重大な問題が提起されているということでもありますので、拙速にならないように先ほど申し上げた臨時の研究会を含めて十分に議論できるようにお願いしたいと思います。ありがとうございました。
安藤座長 ありがとうございました。慎重に議論する必要があるということから、専門の方を臨時委員あるいは参考人としてお呼びして御意見を伺うような場を設けたり、あるいは回数は一応定められてはいますが、農業集落センサスの廃止をめぐっての委員会を例えばもう1回開催することはできないでしょうかという御提案だったと思いますが、事務局の方はいかがでしょうか。
清水センサス統計室長
ありがとうございます。
冒頭おっしゃいました論文が書けなくなると仕事がなくなるとおっしゃっているとか、それは絶対思っておりませんので、そこは私どもも十分理解した上で御意見をいただいておりますので、改めて申し上げたいと思います。それから、臨時の研究会を開くかどうかにつきましては、まだこの後3回目、4回目がございますので、その中でどうしても議論が足りないということになればまた検討したいと思うんですが、まだちょっと今日は2回目ですので、それは御意見として必要に応じて、できないということではございませんので、考えたいと思っております。
あと、オブザーバーとかを呼ぶかどうかにつきましても、御意見についてはこの間先ほど竹田委員からもありましたとおり、いろんな学会とか要請に今日午後も来られますけれども、いろんな方から聞いておりますので、それでも足りないということであればですが、まずは先ほどお願いした利活用について私どもも調べますけれども、ここが今後の議論の、具体的にどういうふうに使われているんだというところが今後の論点になろうかと思いますので、その辺は私どもも十分に橋口先生、竹田先生からも教えていただきながら整理して、それでも足りない、別の論点も当然出てくるかと思いますので、そういうときには先ほどの臨時の研究会も含めて必要に応じてまた考えたいと思いますが、現時点ではこの研究会がまずは意見をお聴きする場ですけれども、それ以外でもいろんな方から要請に来ていただいていますので、その際にも意見交換させていただいておりますので、対応をしていきたいと思っております。ありがとうございます。
安藤座長
ありがとうございました。橋口委員、よろしいでしょうか。
橋口委員
もう一点、大変恐縮ですが、先ほど私が申し上げた計画に書いてあった専門委員の招集とか臨時の研究会は、必ずしも研究者の人ということだけじゃなくて、現地での市町村の方とかも含めて農業集落調査の必要性あるいは農業集落調査を実施するに当たっての市町村側の体制の問題とか、先ほどの個人情報の問題をクリアする可能性はあるのかないのかとか、もうちょっと幅広い意味で申し上げたつもりですので、それも含めて今後可能であれば御検討いただければと思います。
安藤座長
ありがとうございました。事務局の方はよろしいですか。御意見を承ったということですので、橋口委員、ありがとうございました。
それでは、会議終了時刻の12時が近づいてまいりました。御意見はまだまだあるとは思いますが、この農業集落調査の廃止につきましては、結論は出ないまま、いろいろな意見が出たということで、次回に持ち越しということにさせていただきたいと思います。
議事の(3)の第1回研究会における御意見に対する見解及び対応方向については、資料1と資料2の説明の中でかなりの部分、御回答ややり取りがありましたので、こうしたご意見とこのような回答があったということの本当の簡単な確認で終えたいと思いますが、どういたしましょうか。事務局の方で御説明されますか。それとも省略してしまってもよろしいでしょうか。資料3に皆様から前回出していただいた御意見とそれに対する回答がありますので、後で御参照いただければと思っております。よろしいですかね。
まだ、たくさんの御意見があると思いますし、座長としても本当は意見を申し述べなければいけないのかもしれませんが、時間の関係もありますので、このあたりで第2回目の研究会を終了させていただければと思います。
気づかずに、すみませんでした。坪谷委員、お願いします。
坪谷委員
すみません。2020年のセンサスから農業機械、いわゆる農機具の所有とかが外れていますよね。この前、あるシンポジウムで実は米菓工業会の社長とお会いしました。米菓工業会が設備投資をするときは稼働率を一番に考えるんだと。農業の現場ではどうですかというふうに聞かれたんですね。これはかなり大事なことだと思います。今我々が使っているトラクター、田植機に至っては数百万、コンバインに関しては1,000万を超える機械を使っているわけですね。それは規模の大小に応じて多少差があるとはいえ、小さい農家は田植機なんかは1日か2日使わないんですね。そういうのを果たして持っていて本当に農業と言えるのかというこれはかなり大事なことだと思うので、次までにちょっと御検討いただけないですかね。お願いします。
安藤座長
次回に向けての宿題をいただきました。農業機械についての取扱いについてです。
清水センサス統計室長
ありがとうございます。この農業機械については前回2020年センサスのときに行政上の利活用を省内の利用部局と協議の上、落としたわけですけれども、只今改めて委員の方からもそういう御提案をいただきましたので、次回に向けて省内でもよく検討した上で改めて御回答させていただきたいと思います。
安藤座長
坪谷委員、よろしいでしょうか。次回に御回答があるということです。ありがとうございました。
それでは、本当にまだ御意見はあると思いますけれども、ここでこの第2回目の研究会を終了させていただければと思います。
最後の議事で「その他」が設けられておりますが、こちらにつきましては事務局の方から何かございますでしょうか。
東課長補佐(農林業センサス統計第1班担当)
それでは、私の方から時間がない中で恐縮ですけれども、1点だけ御連絡をいたします。
次回11月を予定しております第3回研究会の日程でございますが、事前に皆様に御予定をお伺いしたところ、皆さんお忙しく全員が揃う日というのは限られてしまう状況でございます。11月の中下旬で考えていきたいと思っていたのですが、現時点で皆さんの予定の入っていない日となりますと、11月8日火曜日若しくは12月6日火曜日しか空いていないといった状況です。その両日を候補日として、いずれかで進めていきたいと思っております。早ければ1か月半後になりますので、近いうちに改めて皆様にお知らせし、御予定をお聞きしたいと思っておりますが、まずは11月8日か12月6日の両日を予定に入れておいていただければと思いますので、よろしくお願いいたします。以上です。
安藤座長
次回の日程が示されたということですので、よろしくお願いいたします。
この後は進行を事務局の方に戻させていただければと思います。ありがとうございました。
中根センサス統計調整官
本日は貴重な御意見をいただきまして、ありがとうございました。本日いただきました御意見につきましては、事務局の方で今後検討させていただきまして、次回の研究会の方で回答させていただきたいと思います。
また、事務局の方からもありましたが、11月8日、12月6日のどちらかで次回の研究会を予定したいと思いますので、詳細な日時につきましては日程調整の上、改めて御連絡させていただきます。お忙しいとは存じますけれども、よろしくお願いいたしたいと思います。
それでは、最後になりますが、当室、清水センサス統計室長より一言御挨拶を申し上げます。
清水センサス統計室長
本日は安藤座長、委員の皆様、長時間にわたり熱心な御議論をありがとうございました。農林業経営体調査につきましては、いろいろな御意見をいただきました。今回は調査票を全体の形式でお示しできなかったので、いただいた御意見や御指摘も踏まえながら更に検討を深めて、より分かりやすいように次回提示したいと考えております。
それから、農業集落調査についてもいろいろと御意見をいただきましたが、私どもとしても代替案についてどこまでできるかということを検討したいと思います。そのために具体的にどのように利活用されているかということも私どもでも検証したいと思いますが、是非委員の皆様方からも教えていただきながら、それを踏まえて今お示ししている代替案以外に何ができるのかということを検討し、次回の研究会でお示しできればと思っております。
また、引き続き3回目、4回目とございますが、熱心な御議論を是非よろしくお願いしたいと思います。本日は大変ありがとうございました。
中根センサス統計調整官
それでは、これをもちまして第2回2025年農林業センサス研究会を閉会させていただきます。皆様、ありがとうございました。
(2) 農山村地域調査(農業集落調査)の廃止について
(3) 第1回研究会における委員意見に対する見解及び対応方向について
(4) その他
○中根センサス統計調整官
それでは、定刻となりましたので、ただいまから第2回2025年農林業センサス研究会を開催いたします。
委員の皆様におかれましては、大変お忙しい中御出席いただきまして、誠にありがとうございます。また、本日は林委員が所用により欠席となっておりますので、御報告をさせていただきます。続きまして、お手元の資料の確認をさせていただきます。
議事次第の下段の方に資料一覧を記載しておりますので、御覧いただきながら御確認をお願いいたします。
まず、資料1といたしまして農林業経営体調査の調査項目の見直しについて、
資料1-1、令和5年度全国要望文(抜粋)、
資料1-2、リアル行政手続きリポートBOXに寄せられた意見(抜粋)、
資料1-3、主な調査項目の見直し(案)【削除する調査項目】、
資料1-4、主な調査項目の見直し(案)【簡素化する調査項目】、
資料1-5、主な調査項目の見直し(案)【新規追加する調査項目】、
資料1-6、主な調査項目の見直し(案)【拡充する調査項目】、
資料2、農山村地域調査(農業集落調査)の廃止について、
資料2-1、中山間地域等直接支払制度中間年評価【第4期対策】(平成30年6月)の抜粋、
資料2-2、地域の農業を見て・知って・活かすデータベース、
資料2-3、農業集落調査の廃止に対する委員提案による新たな調査方法の検討について、
資料3、第1回2025年農林業センサス研究会における委員意見に対する見解及び対応方向について、
参考資料1、2020年農林業センサス農林業経営体調査票、
参考資料2、2020年農林業センサス農山村地域調査票(農業集落用)、
以上となっております。よろしいでしょうか。
それでは、議事に入ります前に清水センサス統計室長より一言御挨拶を申し上げます。
清水センサス統計室長
おはようございます。センサス統計室長の清水です。
本日は安藤座長、それから、各委員の皆様におかれましては大変お忙しい中、御都合をつけていただきまして、第2回の研究会への御出席ありがとうございます。
本日の研究会ですけれども、1点目が農林業経営体調査の調査項目の見直しについて、それから、2点目が農業集落調査の廃止についてという大きくこの2点について委員の皆様方に御議論いただきたいと考えております。
1点目の経営体調査の調査項目ですが、参考資料にもお付けしておりますが、現行の調査票は非常に項目が多く、10ページを超えている調査票になっております。そういったこともありまして、調査に御協力いただく調査対象の皆様方、それから、調査を実施いただいております都道府県、市町村の職員の皆様方、こういった方々から毎年調査の簡素化について要望書もいただいているところです。ただ一方で、新たな施策の展開に必要となる調査項目の追加をして欲しいという要望も非常にたくさんございます。そのあたりの両者を総合的に検討して、より適切な調査票にしていきたいと考えております。
本日御出席いただいております坪谷委員、山﨑委員は実際に調査にも御協力いただく方々ですし、それから、池田委員におかれましては、県として調査を実施していただくという立場でもございますので、是非こういった農林業経営体の調査票の見直しについても御意見をいただければと考えております。
それから、2点目の農業集落調査の廃止についてですが、前回7月28日の第1回研究会で次回2025年農林業センサスに向けた検討方向の一つとして調査の廃止ということを提案させていただいたところです。当日の研究会でも委員の方々から継続の意見をいただきましたし、その後、中山間地域フォーラムやいろいろな学会等からも継続を求める御意見をいただいているところでございます。ただ、前回は廃止の方針のみを提起させていただいたということで、そもそもどういう理由で廃止ということを提起したのかということが十分に御説明できておりませんでした。そういうこともありまして、一部の要請や意見の中には誤った見解に基づいて継続を求めているということもございました。
一方で、私どもとしても、大学の先生、研究者の方々がどのように利活用されているかを検索はしているのですが、具体的にどこで使われているかという詳細がよく把握できないという部分もございます。そういったこともございまして、本日の研究会においては、まずは私どもがこの調査の実施に当たって課題となっているところを丁寧に御説明させていただき、また、委員の皆様方からは私どもが代替案としてお示ししている活かすデータベースの利用では何が困るのかというところを具体的にお教えいただきながら今後の検討を進めていきたいと考えております。お昼までの限られた時間ではございますが、本研究会において有意義な御意見をいただけますことをお願いしまして挨拶とさせていただきます。よろしくお願いいたします。
中根センサス統計調整官
それでは、これから議事に入っていただきたいと思います。安藤座長、よろしくお願いいたします。
安藤座長
それでは、お手元の議事次第に沿って議事を進めたいと思います。
進め方ですが、前回と同様、議事ごとに事務局からの説明を受け、その後、各委員から
御質問、御意見をいただいて、一定の取りまとめを行った上で次に進めることにしたいと思います。
議事の(1)農林業経営体調査における主な調査項目の見直し(案)について、事務局より資料の説明をお願いいたします。
東課長補佐(農林業センサス統計第1班担当)
それでは、農林業経営体調査の調査項目の見直しにつきまして、前回の研究会で検討の方向性につきましてはざっくりとではございましたけれども、御説明をしましたが、本日は資料1から資料1-6で具体的な調査項目の見直し案について御説明したいと思います。まず、資料1を御覧いただければと思います。見直しの背景としましては、農林業経営体調査は都道府県及び市町村を通じて実施しておりますけれども、政府統計の中でも調査項目が極めて多く、前回2020年では11ページの調査票となっていたこともあり、都道府県及び市町村の皆様から調査の簡素合理化について強い要望が毎年寄せられているといった状況でございます。また、MAFFアプリに一般の方から御意見をいただけるというものがございまして、そこのリアル行政手続きリポートBOXに、内容からすると農林業センサスに携わられた市町村の職員の方ではないかと思われますが、次回センサスに向けては調査項目の簡素化などを求める御意見が寄せられております。
資料1-1と資料1-2がそれぞれ簡素合理化を求める御要望、御意見の抜粋でございます。このような状況を踏まえ、2025年センサスの実施に向けましては、省内の政策部門と統計部門に調査結果の利活用状況を把握した上で、行政上の利活用が低調な調査項目につきましては削除、又は、簡素化するといった方向で考えております。詳細は後ほどまとめて御説明をしますけれども、一方で、同様に省内の政策部門と統計部門から政策の推進に必要な調査項目の新規の追加要望も把握しまして、中でもここに記載をしてございますが、一つ目としましては、基本計画の策定や政策目標等に必要な指標、それから、二つ目としましては、直接的な財政支出の基礎数値として活用するものや法令上で利用が位置づけられているもの、2ページになりますけれども、三つ目としましては、標本調査の母集団の情報として必要な情報であること、それから、四つ目としましては、今後の施策立案・推進の根幹となるような活用のされ方をするもののいずれかに該当することが確認されたものにつきまして、新規追加、又は拡充することを考えております。資料1-3から1-6が削除、簡素化、新規追加、拡充、それぞれの詳細になっております。資料1-3から順に御説明いたします。
資料1-3が削除する調査項目でございます。2点ございまして、一つは地域の集落営農組織への参加状況、こちらにつきましては、別途毎年集落営農実態調査を実施して集落営農の状況を把握しており、農林業センサス結果の行政上の利活用は低調であることが確認できましたので、削除したいと考えています。それからもう一つ、下の方になりますが、青色申告の継続年数の把握でございます。こちらにつきましては、青色申告に関する項目のうち申告を行っているか否かの項目は引き続き調査をすることとしますが、2020年センサスの調査結果と2025年のセンサス結果を接続することで青色申告の継続年数につきましては把握することが可能となりますので、こちらについては削除したいと考えております。
次に、資料1-4を御覧いただければと思います。こちらは簡素化する調査項目でございます。1ページ目、常雇い人数の把握方法につきまして、前回2020年センサスでは人ごとに性別、生年月を把握する調査項目としていましたが、多くの常雇いのいる経営体ですと、なかなか記入が大変だと。それから、審査を行う市町村の担当者につきましても審査も大変だということで多大な御負担をおかけしていましたので、右側下段にありますように、まずは常雇いの合計人数を男女別に把握した上で、2ページになりますが、その内訳として男女別に年齢階層別に把握する方法に簡素化したいと考えております。
それから、3ページから5ページにわたりますが、農業生産関連事業に従事した日数につきまして、前回2020年センサスでは内部労働、常雇い、臨時雇いについてそれぞれ異なる方法で人数や従事日数を把握していましたが、行政上の利活用状況を踏まえまして、これを3ページの右下段にありますように、内部労働力と雇用労働力としてそれぞれ農業生産関連事業に従事した人数と、農業生産関連事業のみに従事した人が明確になるように、そのうち農業には従事しなかった人数を把握するように簡素化したいと考えております。なお、農業生産関連事業に係る従事日数につきましては、項目としては削除になるということでございます。
それから、飛んで6ページになります。農作業の受託に関する項目につきまして、水稲作とさとうきび作については、従前、作業ごとに面積を把握しておりましたが、行政上の利活用状況を踏まえ、左側の上段にあるさとうきび作の項目の把握をやめ、右側にあるように受託の有無のみを把握する方法に簡素化したいと考えております。水稲作も同様に受託の有無の項目に追加してございますが、水稲作については引き続き作業ごとの受託面積を把握したいと考えております。
それから、7ページ、ここからは林業の部門となりますが、まずは調査票の読み替え方式を廃止したいと考えております。これは読み替えだと記入者の負担があったということもございまして、それぞれに項目を立てていきたいと考えております。その上で、内部労働力につきましては人ごとの把握をやめ、男女別に人数を把握します。それで、8ページになりますが、その内訳として男女別に従事日数別の人数を把握する方法に簡素化したいと考えております。
なお、これは前々回、2015年のセンサスと同じ把握方法を採用したいと考えております。また、9ページから10ページになりますが、常雇いにつきましては農業と同様の課題がございましたので、同じように常雇いの合計人数を男女別に把握した上で、10ページになりますが、その内訳として男女別に、年齢階層別に把握する方法に簡素化したいと考えております。資料1-4は以上です。それから、次に資料1-5を御覧いただければと思います。
こちらは新規追加する項目でございます。2点ございまして、一つは輸出の実態を把握するということで、農産物の販売金額と主に農産物加工を想定していますが、農業生産関連事業の売上金額のうち輸出の割合を新たに把握したいと考えております。輸出は複雑かつ多様な形態で取り組まれているという実態もございまして、中には数量は分かるけれども金額は分からないとか、またその逆もあるかと思いますが、未記入を防止するとともに、そういった様々な形態があるといった実態も把握可能となるように、輸出を行っている、行っていないに分けた上で、輸出を行っている方で金額や数量を把握している方につきましては、輸出の割合を記入していただこうと考えております。明確に輸出用として出荷されている方であれば悩まずに御回答いただけるのではないかと思っておりますが、国内仕向けの販売も行っている事業者を経由している場合や複数の品目で輸出している方など様々だと思いますし、それぞれ販売方法が異なる場合など少し判断に迷いそうなケースにつきましては、別途配布をします記入の仕方等で補足をしたいと考えております。
もう一つは、再造林を推進する上で必要となります保有山林における立木販売した実面積とそのうち主伐面積を新たに把握したいと考えております。新規追加を予定している項目については以上です。次に、資料1-6を御覧いただければと思います。
こちらは拡充する調査項目でございます。こちらも2点ございまして、一つは有機農業に取り組んでいる実面積、それから、作付け栽培品目を追加したいと考えております。前回2020年センサスでは、取組の有無と取り組んでいる品目ごとの作付延べ面積を把握しておりましたが、施策の取組目標は実面積であることに加え、多くを占めると思われる牧草等の飼料作物の動向も把握する必要があることから圃場の実面積の把握を考えております。また、有機農業は輸出との関連性が高いということもございまして、品目別の作付け栽培面積に輸出戦略品目でありますお茶を追加したいと考えております。
2ページになりますが、もう一つ、農業経営におけるデータ活用について、前回2020年センサスでの設問の内容が少し言葉足らずといいますか、分かりにくかったのではないかということもございまして、設問の内容が記入者に分かりやすく伝わるような改善、少し具体を入れて伝えるような改善を考えております。また、データ活用には御自身が主体となって行うもの以外でもデータ分析を活用した外部のサービスやサポートを利用しているケースもございますので、その部分についてはこれまで把握されておりませんでしたので、併せて追加したいと考えております。以上です。
安藤座長
ありがとうございました。ただいまの事務局からの説明について御質問、御意見をいただきたいと思います。カメラに向かって挙手をお願いいたします。いかがでしょうか。それでは、山﨑委員、お願いいたします。
山﨑委員
資料ナンバー1-6の有機農業に取り組んでいる実面積及び作付け品目を追加ということなんですけれども、この有機農業と一括りに言いましても、農業で生産している方なんですが、認証を受けた有機農業を把握したいのか、それとも有機農業と一括りに言うと、自称有機農業という人たちもこの「有機農業に取り組んでいる」に丸をつけると思うんですけれども、そこまで分けた把握なのか、それとも大まかな括りなのか御意見をお伺いしたいと思います。
安藤座長
山﨑委員、ありがとうございました。有機農業の定義についてですが、いかがでしょう。
清水センサス統計室長
山﨑委員、ありがとうございます。只今、山﨑委員が御指摘いただいたところが実は非常に私どもとしても課題に思っているところであります。この有機については前回のセンサスで初めて把握したところです。
我々としては、認証を取られている方は当然含まれるし、認証を取られていない方でも、自然農法などで同様に化学肥料なり農薬を一切使わずに生産されている方も把握したいと考えています。
ただ、この回答をいただく経営体の皆さんからすると、そこの定義がうまく伝わりきれず、前回2020年センサスでは、御発言のあった自称有機農業のような減農薬栽培や一部化学合成された資材を使用したという方も入っておりました。それは、前回の2020年センサスで有機に取り組んだという経営体が6万7,000経営体ほどおられましたが、その方をサンプル抽出して別途アンケートを取ったところ、やはりそういった化学肥料や農薬を使用しているという方がかなりの割合入っておられましたので、今回、調査項目の見直しとして実面積を追加しますが、それと併せて、調査票のデザインについて、民間事業者に委託して、そういった定義がしっかりと回答いただく方に伝わるような調査票となるよう、記入の注意として書くことも含めて検討したいと思っております。
安藤座長
山﨑委員、よろしいでしょうか。
山﨑委員
ありがとうございました。そうすると、ここでは認証を受けている有機農業に関しての有機農業に取り組んでいるということの回答を求めているんですか。
安藤座長
お願いいたします。
清水センサス統計室長
認証を受けている方以外も含めて把握したいと考えています。今考えている定義としましては、有機農業とは化学的に合成された肥料及び農薬の両方を使用しない農業で、有機JASの認証を受けていない場合でも有機農業に該当します。なお、有機質肥料については化学肥料が含まれているものもあることから、単に有機質肥料を使用しているというだけでは有機農業には該当しない点に留意してください。それから、いわゆる減化学肥料、減農薬栽培については少量であっても化学的に合成された肥料や農薬を使用しているので、有機農業には該当しません。という内容を考えていますが、この定義をどういうふうに調査対象者にお伝えするのかというのは、今後民間事業者の方々とも連携しながら工夫したいと考えておりますので、こういったことをお伝えする中で有機農業に取り組んでいる方に御回答いただきたいと考えております。
山﨑委員
ありがとうございました。分かりました。
安藤座長
ありがとうございました。そうしますと、次の委員会では具体的な文面が提出され、それでよいかどうかという検討がもう一度行われるという理解でよろしいですかね。
清水センサス統計室長
今日は資料1-3から6まで御提案させていただきましたが、あくまで現時点のたたき台ですので、今日の御意見、それから、私どもの更なる検討を深めたものについては、再度、次回もう少し分かるようにお示ししたいと思っております。
安藤座長
ありがとうございました。それでは、坪谷委員、お願いいたします。
坪谷委員
今の発言に関連しますが、現場では栽培期間中、農薬不使用という表示はできるんですよね。ただし、有機と名のるには何かしらの認証機関の認証がないと有機と名のれないはずなんですよ。だから、多分山﨑委員が言われたのは、そこをどう区分けするかということになるような気がします。自分では有機に取り組んでいるつもりなんだけれども、認証を受けていないのは有機と名のれない括りになっているわけですから、やっぱり取り組んでいる場合でも認証を受けていますか、受けていませんかという区分けが必要になるんじゃないかなという気がします。栽培期間中、農薬不使用というのは認証を受けていないということで有機は名のれませんよということを結構分かっていない人がかなりいると思うので、それもちょっと詰めた方がいいと思います。以上です。
安藤座長
貴重な御意見ありがとうございました。今の点、いかがでしょう。また次回に向けて検討していく重要な論点だったと思います。
清水センサス統計室長
ありがとうございます。私どもも前回の結果をみますと、只今の坪谷委員の御指摘のところが少し不透明になっていて、その自称有機農業と言われている方々がかなり多く入っていることもありますので、次回のセンサスに向けては、坪谷委員から御提案いただいたように、まずは認証を受けているか受けていないかを聞いた上で、認証を受けていないけれども、それに相当することを行っているということを聞くというところも含めて、再度検討を深めたいと思います。ありがとうございます。
安藤座長
よろしいでしょうか。ありがとうございました。ほかに御意見いかがでしょう。2人おりましたね。どちらからいきましょうか。事務局の方で指定した方にいたします。では、上からということで、高橋委員からお願いいたします。
高橋委員
高橋です。私からは資料1-5ですかね。輸出の話があったと思うんですけれども、金額等々かな。これは輸出というと、どの地域というのがちょっと気になることであるんですが、どの地域に輸出するか実際調べるのが実質的には難しいのか、それとも何か別なところでそういう情報があるのか、そこがちょっと気になったので教えていただければと思って手を挙げました。
安藤座長
ありがとうございます。新規項目なので、いろいろと御意見が出るところかと思いますが、それでは、お願いいたします。
清水センサス統計室長
高橋委員、ありがとうございます。
この輸出については非常に複雑な輸出系統があり、本来はそこを網羅的に把握したいというのが最終的な目標ではあるのですが、この間、いろいろな生産者の方にも御意見を伺ったりしているのですが、流通経路や輸出の形態も複雑で、そこを簡単に把握することができないということがあります。実は今回農林業センサスで提案していますが、先行的に検討を進めています漁業センサスでも今回1-5でお示ししているものと同じ項目で把握してほしいという輸出・国際局の要望もあって、同じ項目で把握しようとしているのがまず1点です。
その中で、当初、まずは経営体で輸出を行っているかどうかのみを聞こうとしました。実はそれすら今は統計がなくて、まずは一次段階の生産者のところで輸出を行っているかどうか、どれぐらい輸出に関わっているのか等を把握して欲しいということで考えたところですが、漁業センサス研究会の委員から、せめて直接輸出されているのか、貿易業者などを通じて輸出している、いわゆる間接輸出なのかぐらいは把握した方がいいのではないかという意見が出され、まずその案を検討したところです。
その調査項目について現場の方でもいろいろとお聞きしたところ、坪谷委員も含めていろんな方から直接・間接というよりも、やはりエンドユーザーを経営体が把握しているのかしていないのかというところを把握すべきではないかという御意見もいただきましたので、その把握の方法としてここにお示ししている金額、数量を経営体が把握しているかしていないかというところまでをまずは把握したいと思っております。本当は、その先の高橋委員から御指摘のあった輸出先はどこかということまで把握できればいいのですが、次回のセンサスでは、まず経営体の段階で輸出に関してどこまで把握をしているのかを調査したいと考えています。これと並行して、センサスではないのですが、農業協同組合調査という調査が別途ございまして、そちらの方で農協として輸出をしているかどうか、どれぐらい輸出しているかを把握しようと思っております。輸出先を把握する方法としては、センサスや農業協同組合調査で輸出している経営体なり農協が分かりますので、そこでサンプル抽出して、別途調査を実施することはできると思うので、センサスの中では、ここにお示しした項目でどうかと思っています。実はこの項目の表現や設問自体、これで正確に把握できるのかという点について、坪谷委員や山﨑委員は立派に輸出されているので、どういう聞き方をしても多分お答えできると思うのですが、中にはあやふやで、恐らく輸出されているが、そこまでは把握していないなど、いろいろな方がおられるので、是非御意見をいただければと思っております。
安藤座長
高橋委員、よろしいでしょうか。輸出先までは難しいということです。
高橋委員
分かりました。ありがとうございます。
安藤座長
ありがとうございました。それでは、池田委員、お願いいたします。
池田委員
群馬県統計課の池田です。農林業センサスの調査につきましては、市町村調査員、あと調査を受ける皆さんから全てにおいて大変な調査だったということが言われておりまして、調査の簡素合理化という方向性を今回出していただいている点は大変望ましいことというふうに考えております。その中で、今回資料1-4の2ページのところで、今までは個別に生年月などを入れるというような書き方をされていたのを年齢を区切った人数で記入する調査票になっているんですけれども、記入する側とすると、年齢換算というのが結構大変かなというようなところがありまして、ただ単に年齢区分を書くだけということではなくて、生年月を併記していただくことは可能なんでしょうか。
安藤座長
ありがとうございます。記入がしやすいレイアウトにどうやって仕上げていくかという点にも関わってくるかと思います。いかがでしょう。
清水センサス統計室長
池田委員、ありがとうございます。
今資料ナンバー1-4のところで御意見をいただいたわけですが、まずは、この間いろいろな県、市町村の方から御意見をいただいているのは、前回資料の1ページ目の左にあるとおり、4人までは人別に書けたのですが、4人を超えると補助表という別表に書いていただくこととしておりました。経営体の多くは1枚程度で終わるのですが、中には何十人、何百人と雇用されている経営体があって、それを人別に生年月と性別を書くのが大変だということで、実は報告漏れもたくさん当初はございまして、10月に公表しようと考えていたのですが、それから半年かけて更に県、市町村の方にお願いして照会していただいてデータを作ったという経緯もあるので、私どもとしては、まずその方法については改めないといけないと思ったところです。今回提案しているのは、そういう人別ではなく年齢別にということで2ページ目の表になっているのですが、ここに生年月を書くとなると、個人経営体とか雇用者数が数名のところはそれでもできると思うのですが、結局何十人、何百人と雇用されている経営体にとっては、それはかなりの負担にもなるので、ここに5歳区切りで書こうとしても、結局記入していただく方は生年月日から換算していただかないといけないわけですが、そこまでは報告を求められないのと、結局補助表が必要になってくるので、現時点としてはこの2ページ目のような把握を考えているところです。
少し御意見と違いますかね。この横に生年月を書けるようにすればいいのではないかという御意見に聞こえましたので、数名の場合は多分可能だと思うのですが、数十人、数百人という経営体では難しいと考えているところです。
安藤座長
池田委員、いかがでしょうか。ご質問の趣旨に対する正確なお答えになっていますでしょうか。
池田委員
調査基準日を中心に年齢を書くということになると、結構年齢換算が面倒くさいかなというようなことが考えられたので、いつからいつまで生まれはここの欄ですというようなのが分かるといいのかなというふうに思ったものですので、パソコンとかを使える方だと年齢換算は簡単だと思うんですけれども、年の途中を基準日にして年齢を出すというのは結構大変な作業になるのかなということが心配されたものですので、そういったことをお話ししました。
安藤座長
ありがとうございます。2月1日時点の年齢というのを記入するのは大変なので、昭和何年何月生まれの方は何歳になるということを一覧できるような補助表があると有り難いということなのかもしれません。いかがでしょう。
清水センサス統計室長
すみません。最初趣旨がよく理解できずに、よく分かりました。これから具体的には検討したいと思うのですが、今おっしゃっているのは、例えば、この2ページ目の表で、今は15歳から19歳としか書いていないのですが、例えば、この下に平成何年生まれから何年生まれの方というふうに、書いておいて、それを我々の方で集計するときに、それは15歳から19歳だというようにすればいいのではないかということでよろしいですかね。そういう対応だと記入者も一々記入者の方が年齢換算していただかなくても、雇用されている方の生年月日によって何年生まれから何年生まれの方が男子何名、女子何名ということを回答できるかなと今思いましたので、とっさに考えたことですので、それを補助表にするのか、この調査票の中に年齢を書きこんでしまうのかというのも含めて検討させていただきたいと思います。
池田委員
了解いたしました。
安藤座長
ありがとうございます。
池田委員
それと、また別件になるんですけれども、前回の調査では農業と林業の項目について、共通項目については読み替えをするというようなことだったかなと思うんですけれども、今回はその調査票の読み替え方式というのは基本的に廃止するということでよろしいんでしょうか。
安藤座長
お願いいたします。
清水センサス統計室長
前回は回答いただく林業経営体の皆様にとっては大変失礼な調査票になっていましたので、今回はしっかりと農業は農業、林業は林業、それから、生産関連は生産関連というように区分して書いていただけるようにしたいと考えております。そうするとページが増えますので、今回資料1-4で簡素化できるところはしっかり簡素化をさせていただければと思っております。ただし、資料1-4の簡素化する項目もかなり多いようですが、調査票上は簡素化しますが、公表する統計表といいますか、調査結果についてはそれ程減るものはありません。廃止ではないので、そういうことも工夫しながら枚数を少しでも減らしたいと思っております。その上でしっかりと林業は林業で、林業の方はここに御記入くださいというように書きたいと思っております。
安藤座長
池田委員、よろしいでしょうか。
池田委員
了解いたしました。また、前回の調査票のときには読み替え方式とか黄色い枠で囲ってあったりだとかで調査の必須で答える項目というのが分かりづらくて、必須項目でありながら記入漏れが多発するというようなことがあったんですけれども、今回は読み替えがなくなったということで調査の必須で回答する項目というのは分かりやすくなるんでしょうか。
安藤座長
お願いいたします。
清水センサス統計室長
実は、前回までは調査票のデザインを我々職員で考えていたところもあり、先ほどの有機農業もそうですが、いろいろな定義を一生懸命書こうとして注意書きがあり過ぎて、今おっしゃったようにかえって回答いただかないといけないところが漏れたりというものがありましたので、今回はこちらも資料1-4などでお示ししています項目を御検討いただいた後、民間事業者に調査票のデザインを委託しようと思っております。そうすると、今お聞きした色具合や必ずお答えいただかないといけない項目、定義などの書き方といったデザインについて、それから、項目の並びの順番なども含めて漏れがないように、調査回答をいただく方にとって分かりやすい調査票にデザインを変えたいと思っております。只今御指摘いただいたような漏れや紛れがないように工夫をしたいと思いますので、そちらはまたいずれこの検討会でも新旧で御覧いただいて御意見をいただければと思っております。
池田委員
了解いたしました。ありがとうございました。
安藤座長
ありがとうございました。資料1についてはよろしいでしょうか。それでは、橋口委員、お願いいたします。
橋口委員
橋口です。聞こえておりますでしょうか。
安藤座長
大丈夫です。
橋口委員
それでは、幾つか発言させていただきたいと思いますけれども、まず資料1-3、集落営農のことが書かれておりますけれども、これは確かにどういった集落営農に参加しているのかというあたりの集落営農の実態が不明ですので、これは妥当かなと思うんですけれども、一方で集落営農調査もされていますけれども、是非そちらとリンクできるような工夫というのをどこかでやっていただけないかなというふうに願っております。それが1点目です。
それから、2点目としまして雇用労働力の把握、先ほども年齢をどうやって把握するかとかというのが話題になっておりましたけれども、こういった形で男女別、年齢別に把握するというのも、これも前回の結果を踏まえて妥当だというふうに思うんですけれども、その際に集落営農の中には役員なのか労働力なのかというあたりの性格がそんなに余り違いがないような組織もあるんじゃないかと思うんです。今回いただいた資料では必ずしも明確ではないんですけれども、場合によっては団体経営体の役員の従事日数あるいは年齢の把握、そこも合わせて調査票の工夫ということを御考慮いただけないかなというふうに思います。
併せて言いますと、年齢区分が今5歳刻みになっていますけれども、このあたりも刻みが小さいほど記入する側は御苦労が多くなると思いますので、5歳というのが妥当なのか。
確かに高齢者かどうかという区分として65歳ないし75歳というのがあるので、そこを考えると5歳刻みになっちゃうのかなと思うんですけれども、例えば若い層はもうちょっと刻みを大きくするとか、いろいろそういうことも含めて御考慮いただければなと思います。これが大きい2点目です。
それから、3点目としまして、前回の調査票で農業経営といいましょうか、自営農業という表現だったでしょうか、個人経営の場合には。それから、農業生産関連事業ということで、これが二つ分かれて労働力のところで把握しようというのがあったんですけれども、この二つの自営農業そのものと、それから、農業生産関連事業、この実際の仕事の内容というのが明確に区別がつくのかなというあたりですね。概念上は区別がついても実際の作業として同じ日に流れ作業みたいな形でされるという場合もあると思いますし、そこが果たしてうまく仕分けできるのかなというあたりも含めて御考慮いただけないかなと。場合によっては、農業生産関連事業につきましてはまた調査項目が後の方でありますので、例えばそこでもう一回どのぐらいそこに従事していたか聞くとか、いろんなパターンもあり得るのではないかなということも含めて、御考慮いただければなというふうに思います。これが3点目です。
それから、最後4点目なんですけれども、先ほど輸出のことも話題になりましたけれども、2020年センサスでは農業生産関連事業の中で海外の輸出という調査項目がありまして、これで海外の輸出があるというふうに答えていた経営体が全国で400ぐらいでした。今回はもうちょっと定義も変わると思いますけれども、一体どのぐらいの経営体がこの輸出のところにあるというふうに回答されるという、ざっくりとでも見通し、そういったのがありますでしょうか。と申しますのは、なかなか把握自体が難しいという中で、センサスのような全数調査で聞くというのに果たしてフィットする項目なのかなというようなことを思っておりまして、輸出が重要だということで調べたいということであれば、もうちょっと別なルートを使って調べる。そしたら金額、数量あるいは輸出先とか輸出形態とか、そういったことまで詳しく調べられるのではないかなという気もいたします。
最後については意見のような形だったんですけれども、以上です。多くの点にわたりまして恐縮ですけれども、以上です。
安藤座長
ありがとうございました。4点ありましたが、いかがでしょう。
清水センサス統計室長
まず、1点目のセンサスと集落営農実態調査とのリンクについてですが、過去には一度、2015年センサスのときにデータをリンクしたことはあるのですが、その後行っていません。それで次回の第3回研究会では高橋委員にもお世話になると思うのですが、データの高度利用について御議論いただきたいと思っておりまして、過去に経済センサスとリンクしたこともあるのですが、それでは不十分だということもあろうかと思いますので、そのときにも改めて御意見をいただければと考えております。
それから、労働力のうち、特に集落営農の役員と雇用の中間というか、記入する際に明確に区分できないのではないかという点については、全体の調査票をどこかの段階でお示しする中で改めて御意見をいただきたいと思っております。年齢も確かに5歳、10歳でもいいのではないかといった御意見もありますが、橋口委員もおっしゃったとおり、特に65歳についてはやはりどうしても必要だということ、センサスが5年周期になっておりますので、様々なデータをその後分析するときにも5歳区切りが非常に分析しやすいということで今は5歳にしておりますが、かなり項目が増えるので、若いところは10歳でもいいのではないかなど、その辺は更に検討を進めたいと思っております。
それから、雇用労働力について生産関連と分けた方がよいのではないかという点も、私どもとしてもやはり分けた方がいいのではないかと思っております。特に前回、生産関連事業の従事日数は最初に聞いて、後で活動実態を聞いていたため、整合していない経営体もかなり見られたことから、今回は農業は農業、生産関連は生産関連、林業は林業というように分けた中でお聞きし、さらに、そのうち農業だけに従事された人数、生産関連事業だけに従事された人数も把握できるように工夫をしたいと思っており、こちらも調査票の形に整理して改めて提示させていただければと思っております。
それから、最後輸出の関連ですが、先ほど400経営体とおっしゃったとおり、我々としても恐らく100万経営体に聞いても何十万も出てくる項目ではないと思っておりますが、実はこれまでの国会等の議論でも、輸出を増やすというのはよいが、それがどのぐらい経営体のところに寄与しているのかと問われたときに何もデータがないということがございまして、まずは全経営体を対象に調査するセンサスにおいて取り組んでいる経営体がどれだけおられるのかということを把握したいと考えています。
なので、先ほど高橋委員から更にもう少し深く輸出先まで聞いた方がよいのではないかという御意見もありましたが、その部分については今後検討するということで、今回は極力項目を絞る中で、まずは百数万の経営体の中にどれだけ輸出されている経営体がおられるのかというのを把握したいと考えております。
以上です。
安藤座長
橋口委員、よろしいでしょうか。
橋口委員
どうもありがとうございました。また調査票の全体像が出てきたあたりで御意見を言わせていただくかもしれませんけれども、その際はよろしくお願いいたします。ありがとうございました。
安藤座長
ありがとうございました。よろしいでしょうか。1につきましてはここで終了にしたいと思います。また、林委員は今日御欠席ですが、林業関係につきましては、林委員からのご意見等も踏まえて、調査票に反映するようにしていただければと思っております。それでは、続きまして、議事の(2)の農山村地域調査(農業集落調査)の廃止につきまして事務局より資料の説明をお願いいたします。
角谷課長補佐(農林業センサス統計第2班担当)
私の方から農業集落調査の廃止について御説明をさせていただきます。
前回の研究会では、調査の廃止についてのみ御提案をしたところですけれども、その理由については口頭でのみでしたので、改めて資料を使って詳しく御説明をさせていただきたいというふうに思います。
資料2を御覧ください。2020年の農業集落調査につきましては、約14万の農業集落の調査対象者、農業集落の事情に精通している者ですね、この方の情報を市町村から受けるなどして調査対象者名を把握した上で、民間事業者から郵送調査により調査を実施しているところです。これで回答が得られなかった調査対象者に対しては、統計調査員を活用して調査票を回収し、統計調査員でも回答が得られなかった調査対象者又は調査対象者が特定できなかった農業集落については、地方農政局の職員が調査を実施する手法を取って実施したところです。
しかしながら、近年、各自治体が定める個人情報保護条例によりまして、精通者といいますか、その名簿が出せないといった自治体が増えまして、調査対象者の把握が困難な状況になっております。具体的には、前回のセンサスでは450市町村、農業集落でいいますと、全体の4割近くになりますけれども、5万集落について調査対象者の情報提供が受けられなかったため、そこで、地方農政局の職員がJA等へ行きまして、農村の支部局長などでしょうか、そういう者の情報提供を働きかけまして、何とか4万4,000集落について調査対象者を把握したところです。それでも把握できなかった6,000以上の農業集落につきましては、地方農政局の職員が調査対象者を探し出したりとか、自治会が集まる会合などに行ってその場で調査をしたり、集落の状況を把握していますその地域の出身者の市町村職員などを見つけまして、調査を依頼するなどして何とか全数調査を実施したというのが2020年のセンサスの状況となります。2ページを開いていただいて3番になりますが、一方で農業集落調査結果というのはこれまで日本型直接支払制度の政策評価等に活用されてきました。具体的に言いますと、資料が2-1になりますが、これは中山間地域等直接支払制度で政策評価に関する資料になります。この資料の中で農業集落調査を使った制度の効果分析が行われていたというものになります。資料2の2ページに戻りまして3番のところになりますが、このように政策評価等に使われていますが、農業集落調査を廃止しますと、確かに寄合回数ですとか地域資源の保全状況の活動については把握ができなくなりますが、これまでと同様に農業経営体調査の農業集落結果は引き続き提供は可能ですし、この集落別データの充実を進めています地域の農業を見て・知って・活かすDB、これを活用することによって農業集落の実情については詳細に把握・分析が可能となっています。では、この地域の農業を見て・知って・活かすDB、活かすDBと言わせていただきますが、これについて説明させていただきます。
資料2-2を御覧ください。
この活かすDBですが、2005年からのセンサスデータを掲載しております。そのほか、国勢調査、経済センサス、中山間地域等直接支払制度などの結果を農業集落単位に編集して提供していて、これらデータと地図ソフトを使うことで紙面にもありますように、農業集落単位の分析結果を用いて、塗り潰しなどで表した地図などを作成することができます。
次に2ページ目になりますが、活かすDBに掲載されていますセンサスデータの項目について一覧表で掲載をしております。御覧のとおりこれだけ多くのセンサス結果について、農業集落単位のデータとして活かすDBに掲載をしておりまして、これはホームページの方で公開をしている状況になっています。
資料2の2ページに戻りまして4のところですが、このように個人情報保護条例によって調査対象の把握自体が困難なこととか、農業集落の実情は活かすDBを活用することで把握が可能なこと、これらを踏まえまして、第1回目の研究会におきまして農業集落調査を廃止する方針を示したところです。
5のところになりますけれども、前回の研究会におきまして委員の方から農業集落の廃止を代替する方法について幾つか御提案をいただきました。研究会後に出された意見について検討したところではありますが、結果としてはいずれの提案についても農業集落調査を代替する手法としてはなかなか難しいと考えているところです。
具体的な検討結果については、資料2-3を使って御説明したいと思います。資料2-3を御覧ください。
1点目としまして、総務省と国土交通省が合同で実施している調査があり、7万5,000集落を対象に100項目の調査が実施されているので、市町村に聞くことで調査が実施できるのではないかという提案でございました。この調査については総務省にも確認をしたところですが、調査はアンケートとして実施しているもので、集落の人口ですとかガソリンスタンドの有無だとか、市町村の担当者が把握しているデータによって記入できるものとなっています。そのため、結果的には不明という回答も一定程度ある調査となっております。対しまして農業集落調査ですが、集落ごとに寄合回数ですとか寄合の議題、地域資源の保全状況など詳細な項目を調査しております。市町村の職員が農業集落から聞き取らない限り回答はできないことから、市町村が調査対象にはなり得ないものと考えております。
2点目です。市町村へ調査を委託すれば実施できるのではないかという御提案でした。市町村へ委託するには、まず総務省や都道府県、市町村等と調整をした上で統計法施行令を改正し、地方公共団体が処理する事務として委託する必要がございます。ただ、既にこの法定委託事務で行っている農林業経営体調査については、地方公共団体の方から大幅に簡素化するように要望を受けている状況ですので、この状況で新たに調査を委託するということは不可能に近いのではと考えているところです。
資料2ページになります。多面的機能支払交付金制度に取り組んでいる地域であれば、参加組織の代表者に聞けば調査ができるのではないかという御提案でした。どれぐらいの農業集落で多面的機能支払交付金制度に取り組んでいるのかを調べたところ、全国14万集落のうち約7万集落で取り組んでいることが分かりました。逆に取り組まれていない農業集落が半分あることになります。この取り組まれていない農業集落では調査が実施できないことになります。農業集落調査は全ての農業集落を対象に実施する必要がありますので、この調査手法としては適切ではないと考えております。
次に、農業集落精通者の多くが農業経営体や客体候補者名簿に記載されている者であれば、その中から農業集落精通者を選定すれば調査が実施できるのではないかという御提案でした。前回の研究会ではその状況について数字を把握していなかったので、今回調べたところ、農業集落精通者のうち農林業経営体の対象者となっている者は約4割でした。また、農林業経営体以外で客体候補者名簿に記載されている方、自給的農家などが該当すると思いますが、この方は約3割でした。残り3割がこれ以外の方になります。この客体候補者名簿に記載のない3割の方については、農業集落精通者に関する基本的な情報が得られないという課題は結局解決できないということになります。
加えまして、現行調査における客体候補者名簿には誰が農業集落精通者なのかという情報は書かれていないことから、客体候補者名簿から農業集落精通者を特定することができないと考えております。
最後に3ページを御覧ください。
農業集落ごとに精通者を設定することが困難であれば、例えば10集落の単位だとか旧市町村単位だとか広い単位で設定すれば調査ができるのではないかという御提案でした。区画の大小にかかわらず、農業集落精通者を設定するには市町村から情報を得ないと農業集落精通者を把握できないことは変わらないため、現行調査における課題解決にはならないものと考えております。また、広域で農業集落精通者を設定しようとしても農業集落ごとに寄合の回数など細かいことを把握している方はいないのではないかと考えております。
なお、現行調査でも複数農業集落をまとめて農業集落精通者を設定することを可能としていますが、そのような農業集落精通者はほとんどいないという状況になっております。
以上が前回、委員の方々から御提案いただいた農業集落調査方法の代替案についての検討結果になります。資料の説明は以上で終わります。
安藤座長
ありがとうございました。資料3に前回の委員会での御意見とそれに対する事務局からの回答も記されており、その中の農業集落調査の廃止に関する部分を整理したものが資料2-3になると思いますが、ただいまの事務局からの御説明につきまして委員の皆様方から御質問、御意見をいただければと思いますが、いかがでしようか。
それでは、橋口委員、お願いいたします。
橋口委員
どうも御説明ありがとうございました。これは大変重要な提起をしていただいているので、いろいろと申し上げたいことはあるんですけれども、まず最初に農業集落調査の重要性ということについて少し申し上げたいと思うんですけれども、直近の基本計画でも農村政策充実化の具体的な取組として農村の実態や要望について農林水産省が中心になって都道府県や市町村、関係府省や民間とともに現場に出向いて直接把握し、把握した内容を調査・分析した上で課題の解決を図る取組を継続的に実施するというふうに計画にも書かれております。この実態把握の対象ということで重要なのがやはり集落コミュニティ、地域コミュニティの機能がどうなっているのか、そういうことじゃないかなというふうに思います。やはりこれについては、個別集落について把握するということが極めて重要で、この農業集落調査というのはその基盤となるということで、これを廃止するということは正に基本計画の内容を自ら掘り崩すということになってしまうのではないかなと危惧しております。
今の農業集落調査に関して、近年の変化を見ますと、2015年に前回と比べて言わば充実化が図られております。その際には政策及び施策との関連性が非常に強いということ、それから、各集落の実態を明らかにすることによって実情に合わせたきめ細かい施策の展開や効果の検証が可能となる、そのためには全数調査をやはり実施する必要がある。実はこれは農水省さん自身が、2015年センサスを検討した際の統計委員会の産業部会で述べておられることであります。加えて、人・農地プラン等の個々の地域に密着した施策が推進されており、集計値や事例としての利用だけでなく、個別の農業集落データとして提供し利用が図られることが重要だと、こういうことも農水省御自身で強調しておられたことで、確かに私もそうだというふうに思います。
その人・農地プランにつきましては、正に今、法定化も行われて、それから農村RMOの推進あるいは最適土地利用対策の導入や拡充など今農水省が進めておられる政策の中では、集落とか地域の話合いということも重視されておりまして、そんな中、この集落事情の精通者が分からないという状況をそのままにしておいて、こういった政策の推進は可能なのかなという疑問も出てきます。そうなると基本計画とも矛盾するし、現在進められている政策の推進の方向性とも齟齬があるのではないかなという気がいたします。これは直接の御説明に必ずしも関わらない一般的なことだったかもしれませんけれども、集落調査の重要性ということについて述べさせていただきました。
今直接御説明があったこととの関係で言うと、中山間地域等直接支払いの中間年評価のものをお示しになって、こうした集落の実情については地域の農業を見て・知って・活かすDBで代替可能ではということをおっしゃっていましたけれども、正に資料2-1の内容は農業集落調査結果そのものがいろんなところで活用されていて、この農業集落調査が廃止されますと、これが正に把握できなくなるという逆に農業集落調査が必要ですよという御説明になっているのではないかなというふうに思ったということも付け加えさせていただきたいと思います。ほかにも申し上げたいことがありますが、ちょっと長くなりましたので、取りあえず一旦ここで区切らせていただきます。
安藤座長
橋口委員、ありがとうございました。今の橋口委員からの御意見につきまして、事務局の方からお願いいたします。
清水センサス統計室長
ありがとうございます。
只今の御意見についてですが、我々としても集落調査をやめたくてやめるわけではなくて、できることならば、これまで続けてきた調査なので続けて行きたいと思っていますし、2015年センサスで拡充したり2020年センサスのときは郵送化をしたりしてきたように、どうにか調査を継続したいという思いはありながらも、前回2020年センサスの研究会のときにも、実は一方でこういう個人情報の問題があって大変なことになっているんだということは提起もさせていただいていたと思うんです。その上で、その時々で可能な範囲でできることをやってきたんですが、2020年センサスをやったところ、先ほど御説明したとおり3分の1、5万集落で個人の情報が取れないということは調査として成り立たなくなってきているので、今回廃止を提案させていただいたという経緯でございます。
また、これまでこの研究会以外にもいろんな学会とか中山間地域フォーラムからも御要請いただいているんですが、その中で一部誤解があるのは、この農業集落調査をやめると、例えば集落の固有名詞みたいなところも分からなくなるとか、それから、活かすデータベースでこれまで積み上げてきているんだけれども、こういうものも連結できなくなるというふうな認識の下で御意見とか御要望をいただいているところもあるのですが、ここはちょっと誤解でして、全国14万の農業集落については、5年ごとのセンサス時には調査員の配置の検討がありますので、仮にこの農業集落調査が廃止になっても前回の集落の範囲なり名称について、各市町村に再確認をして変更があれば変更するということは続けていきます。
さらに、次回2025年農林業センサスの新たな農業集落の名称なりエリアにひもづいた経営体のデータについては継続若しくは充実をしていくということがございますので、この集落調査を廃止すれば集落の実態が全て分からなくなるので継続を求めるという御意見に対しては、そうではないということを今回も資料2の2ページ目の3のところでご説明しています。我々としても農業集落調査はこういう事情で廃止を提案させていただいておりますが、一方でこういった集落結果というのはやはり重要なので、ここのデータについてはますます充実をしていきたいという代替案でどうでしょうかという提案をさせていただいているところです。取りあえず以上です。
安藤座長
ありがとうございました。橋口委員、よろしいですかね。よろしくないのかもしれませんが。
橋口委員
取りあえず承りました。資料2-1については、すみません、もう一回どういった趣旨なのか。先ほど申し上げましたようにむしろ資料2-1のデータが取れなくなっちゃうわけですよね。寄合ですとか地域資源の保全とか地域外との連携とか。この資料2-1はどういう趣旨の資料でしょうか。こういったものが取れなくなるので、是非続けていただきたいというふうにむしろこちらとしては申し上げたいところなんですけれども。
安藤座長
お願いします。
清水センサス統計室長
ありがとうございます。この2-1の趣旨ですけれども、この後こちらからもお伺いしたいところはあるのですが、利活用について私どもとしても集落調査を廃止するに当たって、やはり利活用上、本当にどこまでお困りになるのか検討しました。まず農村振興局としてはこの資料2-1にあるように、具体的にどう使っているのかということをお示ししたところです。それを踏まえて農村振興局としても、何もこれが取れなくなるので、この農業集落調査の廃止についてもろ手を挙げて賛成というわけでは当然ございません。できるならば継続はして欲しいのだけれども、統計実施体制の実態を踏まえるとやむを得ないというふうに言っていただいているところです。
ちょっと飛びますけれども、資料3を御覧いただいて、資料3の7ページ目、よろしいですかね。資料3の7ページ目の一番下、前回、安藤座長から農村振興局との調整はどうですかという御意見があったときに口頭でお答えしましたけれども、ここに書いているとおり、農村振興局としても当然日本型直接支払制度の評価に活用されていますので、調査を継続してほしいというのは、それはもう大前提はあるのですけれども、この調査の体制上の問題、個人情報の問題ですけれども、そういう調査体制上の問題があるのでやむを得ないという見解をいただいているところです。その裏には前回お伝えしたとおり、地方農政局職員もいなくなるということも当然あるんですけれども、そういう前提です。
ただ、この資料2-1にあるとおり、実際にこういった評価に使われているので、農村振興局としては必要に応じて別途調査を行う。これはなかなか統計部でも調査はできないので、統計調査ということではないけれども、例えばアンケートを行うとか、制度に取り組まれているところにお聞きするとかということだと思われますが、そういうことをして代替すると聞いているという参考です。省内でも完全に分かったということではなくて、利用はされているけれども、代替案も含めながら御理解をいただいているということをお伝えするための資料です。そういう意味でお付けしたところです。
「ただし」以降ですけれども、そういうことも含め統計部としても、この資料2にあるデータ自体は取れなくなるのですけれども、別途活かすデータベースで更にこれまでできていなかったような詳細な分析も、評価に使えるような分析を今連携しながら検討を進めているところでございます。そういう意味で、参考ということで資料2を付けております。
安藤座長
橋口委員、よろしいですか。
橋口委員
ありがとうございました。
安藤座長 ありがとうございました。それでは、ほかの委員の皆様方、いかがでしょう。それでは、竹田委員、お願いいたします。
竹田委員
御説明ありがとうございました。聞こえていますでしょうか。
安藤座長
聞こえています。
竹田委員
調査の実施に関して、前回私も申し上げました意見も含めまして詳細に御検討いただきまして、ありがとうございました。今回の説明ですと、より詳細に調査の実施が難しい要因として市町村からの調査対象者の情報が得られない、名簿が得られないという御説明があったかと思います。約5万集落から名簿が得られないというのはかなり大変な事態だというふうに思っております。その理由として各市町村が定めております個人情報保護条例がそういったことの背景にあるという御説明だったと思うんですけれども、これは総務省の方に確認をしますと、一般的な議論としては、法律と条例ですと、法律の方が優先されると。それがこの農林業センサスにおいてどのように具体的に適用されるのかというのは私ども素人が考えるよりも農林水産省と総務省の間で確認していただくような事項かとは思うんですけれども、そういったことも含めまして、この統計法と個人情報保護条例の関係に関わる部分について、市町村の御理解も含めて総務省の公式の見解というものを確認していらっしゃるのかどうかという点をまず確認させていただきたいと思います。
その上でなんですけれども、現在、私もこの問題の専門家というわけではないので、もしかしたら誤った事態の把握かもしれませんけれども、民間も含めて多様な個人情報保護の規定があるというふうに聞いておりまして、個人情報保護法制2,000個問題みたいな問題があると伺っていまして、それを踏まえて令和3年の法改正により共通ルールを設けるということになったと聞いておりまして、それが地方自治体については令和5年4月から施行されるような、そういうスケジュール感で動いているのではないかという情報も聞いております。そういう意味では、2025年センサスを実施されるときには、この個人情報保護条例の関係の事態が改善をしている可能性もあるのではないかと考えられるのですが、こういった情報も含めまして、もし仮に個人情報保護条例の適用外になって名簿が得られるということになれば、これまでどおり調査が可能と道も開けるのではないかと思うので、そのあたりの是非、総務省さんの見解も含めて御確認をいただきたいと思うのですが、この点についてまずいかがでしょうか。
安藤座長
ありがとうございました。個人情報保護に関する総務省の見解と、地方自治体に対しては新しい共通ルールができますが、そうした状況に対して事務局としてはどのように考えていらっしゃるかということだと思いますが、いかがでしょう。
清水センサス統計室長
個人情報保護法と統計法の関係について、統計法に基づいて個人の方からいただいた調査票情報については整理がされておりますが、今回は調査票情報ということではなくて名簿のリストを下さいということですので、統計法との関係で総務省に聞いてもそこの見解はないと思っております。我々はいろんな状況の中で把握できるリスト、名簿を集めて、それを基に調査を行うということですので、そこは確認というよりも、従来からそういう仕切りでやっているので、統計法との関係で今回取れないということではないというのが1点と、あと、個人情報保護条例では、現時点で統計で専ら使ってもいいんですよと書いている条例は36%の市町村しかないということで、これが新ルール、共通ルールが示されてもすぐに変わるものかどうかは確認が必要です。なお、いずれにしても、そのルールに基づいて情報を提供するかどうかは最終的には市町村の判断になりますので、現行の方法はかなり厳しいというふうに判断しております。
安藤座長
ありがとうございました。竹田委員、いかがでしょうか。
竹田委員
1点目の御説明について、名簿情報に関して総務省さんの見解をいただく必要はないというところが専門家ではないので、ちょっとよく分からなかったんですが、もう少し補足的に説明していただけないでしょうか。
安藤座長
事務局、いかがでしょうか。
清水センサス統計室長
先ほど言った調査した結果についての整理というのはあるのですが、これは簡単に言うと個人情報を名簿として使うので出してくださいということになりますので、そうすると、統計法ということではなくて、あくまでそれはそれぞれの市町村、市役所が定めている個人情報保護条例に基づくしかないという判断ですので、それは統計法との関連ではないという判断をしておりますので、総務省に聞いてもそれ以上の見解はないと思います。最終的にはやはり個人情報を保有されている市町村、県もそうですけれども、その方々の判断になるんですが、その際にはそれぞれが定められている保護条例に基づいて判断をすることになるので、それ以上のことを統計法があるからといって提供義務を課すことにはならないということになります。
安藤座長
ありがとうございました。竹田委員、いかがでしょう。
竹田委員
ありがとうございます。そうなりますと、客体候補者名簿等で農業集落調査ではなくて農林業経営体調査の方ですけれども、客体候補者名簿等の住所等の個人情報を得るわけですけれども、そのあたりについても名簿情報自体については、住所情報については、今は統計法に基づいて、もし経営体が個人情報を出したくないといった場合でも統計法に基づいてそれを出していただきたいというふうに言うことはできないというふうに、要は統計法では調査客体、集落精通者であれ農林業経営体であれ、住所情報を出すということを統計法で規定しているわけではないということでしょうか。
安藤座長
今の点、いかがでしょうか。
清水センサス統計室長
ちょっと今日厳密な資料を持ってきていないので、間違っていればまた訂正させていただきますが、これまでの判断として経営体調査の名簿については客体候補名簿などを持っていますが、こちらは調査実施者である農水省、私どもが持っていますので、行政記録情報として管理は適切に行っているということにしております。
一方で、回答いただいた調査情報については、こちらは統計法に基づいてデータを収集した情報ですので、こちらも個人情報ですけれども、そちらは統計法に基づいてしっかりと管理をしているということになります。
安藤座長
竹田委員、いかがでしょうか。
竹田委員
ちょっとまだ私自身の理解不足で疑問はあるんですが、この点ばかりに時間を使うわけにはいきませんので、一旦この点はこれで終わらせていただきたいと思います。
安藤座長
ありがとうございます。それで、今の点につきましては、次回の委員会までにもう少し精査して事務局の方で回答を用意してもらうようにしたいと思います。竹田委員、それでよろしいでしょうか。
竹田委員
そうしていただけると大変有り難いです。
安藤座長
引き続き御意見があると思いますが。
橋口委員
ちょっとよろしいでしょうか。
安藤座長
では、今の点に関してですね。
橋口委員
はい。私自身とても1,700の市町村を全部調べられるわけじゃないので、自分がこれまで訪問したりとかという個人的に心当たりのある市町村を複数、三つか四つだったでしょうか、各市町村の個人情報保護条例を調べたところ、専ら学術研究又は統計の作成のために利用し、又は提供する場合で本人の利益を不当に侵害するおそれがないと認めたときは個人情報を提供しますよと。要するに、例えば自治会長さんのお名前だとか住所だとか連絡先とか、そういうふうにも読めるんですけれども、こういった私が調べたところはたまたま四つ、五つ、全て同じような条例、そういう規定になっていたんですけれども、それは先ほどの室長さんの御説明だと36%ぐらいしかないと、そういうことだったんでしょうか。
その36%のところしかそういう条例がない、しかし、提供してくれそうな条例はないんだけれども、逆に提供いただいた市町村の数はもっと多かったと思うんです。提供いただけなかったところは、市町村長名で例えば公印とかも使ってこういう依頼が来たんだけれども、農水省さんのこういう御依頼には絶対に応えられませんとはっきりとそういう拒否の回答までいただいているということなのか、何となく御担当者の間でやっぱりちょっと今回は出せないとか、何か口頭でやり取りが行われているんじゃないかと、これは勝手な臆測ですけれども、はっきりと文書で、市町村長名で提供できませんみたいな拒否回答を明確にいただいた結果、450市町村5万集落の情報が得られなかったのか、そのあたりはかなり突き詰めていらっしゃるのかどうかはいかがでしょうか。
安藤座長
資料2の把握自体が困難ということに関してより詳細な御説明がいただければということになるかと思いますが、いかがでしょう。
清水センサス統計室長
只今の個人情報のところについて補足させていただきますと、橋口先生がおっしゃるとおり、そもそも個人情報保護条例では目的外の利用ができないという前提がある中で、ただしとして、先ほどの学術とか専ら統計作成のために用いる場合は提供してもいいと明記されているのが市町村で約36%ぐらいです。その次の段階として、統計ではないんですけれども、例えば国とか県とかいわゆる公共性のあるところからの要請に応じて、それは市町村の判断として出してもいいという場合には出せるという今度は条文があります。それに基づいて出していただけるかどうかというのが、これは農政局の職員がお願いに行っていただいている部分です。それで、どうにか5万集落以外のところはいただいているというところになっております。
あとは何でしたか。
安藤座長
農業集落に精通している者の情報を得られないのは、公式にこうした状況だから断られているといったことになっているかどうかですね。
清水センサス統計室長
あとは先ほどの専ら統計と書いていない部分についても判断が要るので、文書をいただきたいというところに文書を出しておりますし、それ以外のところの駄目なものは出せませんと言われるところについては、条例に基づいてと言われると出せないということで、もう一度簡単に言うと、全市町村に対して、これは支局の対応によるんですけれども、一律的に公文書で全部文書を出しているわけではなくて、直接出向いて依頼をしていると。その上で文書が必要だというところには公文書を出していただいているというやり方でして、お願いをして集めているところです。
安藤座長
橋口委員、いかがでしょうか。
橋口委員
これも本当に素人的な発想なんですけれども、個人情報といっても、その方の年齢だとか職業だとか所得だとか、そういう情報じゃなくて、この方が集落情報精通者ですというせいぜい住所とお名前と連絡先の電話番号ぐらいでしょうか、その情報も450市町村が明確な拒否回答として市町村長名で農水省に対して私どもは出せませんというふうに、そういう市町村はそんなにいっぱいあるのかなというような単純な思いなんですけれども、加えて、とは言ってもやっぱり個人情報保護の趣旨からしても、出せないという方がどちらかというとおかしいのではないかと。そういう趣旨からすると、先ほど竹田委員から御説明があったように、その事態が改善する見通しが先ほど室長さんはないというふうにおっしゃったんですけれども、それが本当にないのかということも含めてもうちょっと御検討というか、あるいは私どももそれはもう仕方ないねと納得するような情報をいただければなというふうに思います。今すぐにというわけではございませんので、また次回でも結構ですし、また後ほどでも結構ですので、この点をお願いしたいと思います。
安藤座長
ありがとうございました。市町村からもう少し協力を得られないのでしょうか、そのための働きかけ等はできないのでしょうかという御意見だったように思いますが、いかがでしょう。
清水センサス統計室長
ありがとうございます。只今の橋口委員の件に関して、ちょっと次回までにまず条例の条文はどういうものがあって、そういう市町村が幾つあってということをお示しするのと、名簿情報を依頼するときに各農政局の方でどういった手法で取ったのか、それから、5万集落についてはどういうことをもって駄目となったのかというあたりの整理できるものを整理して、次回お示ししたいと思っています。
安藤座長
橋口委員、それでよろしいですかね。
橋口委員
あと、すみません、何度も恐縮ですけれども、統一ルールというんでしょうか、共通ルール、民間では既にもう去年から施行されているらしいんですけれども、それが地方自治体についても今度の4月から施行されると。そこの見通しですね。先ほど室長さんはそれでも暗いというふうにおっしゃったんですけれども、本当に暗いのかということも含めて、もうちょっと詳しく御説明いただければと思います。
安藤座長
いかがいたしましょうか。この点については次回の委員会で詳細なご説明をいただけるということになるのでしょうか。
清水センサス統計室長
次回委員会のときに先ほどの個人情報保護法なり条例と統計法の関係とか、只今おっしゃった共通ルールの話とか、あとは実態も含めてちょっと資料が整理できるものを整理したいと思っております。
安藤座長 橋口委員、次回送りということになりますが、よろしいですか。ありがとうございました。それでは、竹田委員、続きの発言があると思いますが、よろしいですか。
竹田委員
それでは、すみません。時間をたくさん使っていただいて有り難いんですが、先ほど室長さんの方からも利用の実態みたいなところについてという逆に御提案もあったかと思うんですけれども、先ほど来触れていただいておりますように、この間第1回のセンサス研究会で廃止の方向性が提案された後、9月14日に中山間地域フォーラムの方から継続に関する意見書が農林水産省に提出されたというふうに伺っておりまして、また、9月16日に林業経済学会の方からも集落調査の継続を求めるアピールということで、こちらは学会のホームページに掲載されているかと思いますけれども、このような形で統計利用者から継続を求める声ということが届いているかと思います。
また、今週に入りまして公開された集落調査を継続させるための署名サイトというのが立ち上がっておりまして、そこでは現時点で400名を超える研究者や自治体関係者、ジャーナリスト、あと、農林業の関係者の方々が継続の署名をされていて、その情報がウェブサイトから見ることができる状況にございます。そういう意味で、研究においても特に署名サイトで署名されていらっしゃる先生方や自治体関係者の方々等を見ていただくと、必ずしも農業にかかわらず歴史でしたり社会学でしたり地理学でしたり環境学でありましたり、経済学の中でも開発経済であったり地域経済であったり、実に幅広い分野の研究者の方々が参画してこの調査の継続というのを求めていらっしゃいます。そういう意味で多様な分野の研究者の方々もこの調査を直接・間接に利用しているからこそ、こういった関心を持って署名されているのだというふうに私自身は理解しております。
そういう意味で、具体的にどういった活用事例があるのかというところについて私自身も整理をしているところなんですけれども、今まで農水省の方で整理してなかなか見つからなかったというふうな先ほど御説明もあったかと思うんですけれども、そのあたりについて現状をまず詳しく教えていただけないでしょうか。
安藤座長
事務局の方で把握している集落センサスについての活用状況について御説明をお願いしたいということですが、いかがでしょう。
清水センサス統計室長
竹田委員、ありがとうございます。私どもとしましても、この集落調査を廃止するとなると、当然調査結果を利用されている方がお困りになるので継続という意見になるということは承知をしておりましたので、これを検討する際に利活用について一定の調べはしております。その中で、まず行政上の利活用としては先ほど資料2-1でお示しした農村振興局について使っていますということは把握しております。そのために橋口委員からこれは逆行しているという話もございましたが、私どもとしては使われているということも示した方がいいということで示したところです。これはあくまで行政上の省内での利活用です。
あとは大学の先生とか研究されている方々がどう使われているかというところが正直私どもが分からないところです。先ほどから個人情報の共通化の話もあって、改善するのではないかということも聞いておりますときに私は無理ですと言ったのは何も断言したわけではなくて、現状としてなかなか来年、再来年の実査に向けては難しいということを申し上げただけで、この時点で集落調査について廃止を決定しているわけではなくて御意見を伺っているので、そこはちょっと誤解のないようにお聞きいただきたのですが、その上で資料2の2ページ目の3のところに利活用も踏まえて活かすデータベースの話をさせていただいております。
それで、農業集落調査を仮に廃止することになると、その代替案というのが必要になるのであれば手当てしないといけないということは当然あります。先ほど竹田先生がおっしゃったとおり中山間地域フォーラムとか、林業学会はアピール文なので直接要請文をいただいているわけではないですが、署名サイトが動いていることも承知しております。その中で、まず1点目、利活用でお困りになるという、集落名の区域なり名称がなくなるのではないかということをもって反対されている方については、そこは継続をいたします。
それから、活かすデータベースなりいわゆる昔で言う集落カードとか、それから、RESASのことも触れておられましたが、こういったデータについては引き続き提供が可能なので、そういったことが支障にはならないだろうと思っています。支障になるとすると、集落調査票で把握している寄合の回数だとか議題だとか、こういう項目はなくなりますので、そこは支障があるかなと思いまして、私どももちょっとよく研究されている方々のデータというのがなかなか検索できないんですが、2020年の集落調査結果を公表して2年になるので、こういうもので論文とかを書かれているものがないのかと、ネット検索しましたが、ちょっと検索がまだ甘いのかもしれないですが、現時点でそういったもので分析されたものが見つからなかったということもあり、いろんな学会とかフォーラム等から研究者が使っているんだというふうにおっしゃっている具体的な論文なり研究成果というのが私どもではちょっと把握できていないところもありまして、是非そういう把握し切れていない状況においては、この資料2の3に書いているとおり集落調査を廃止しても実態が分からなくなるわけではなくて、活かすデータベースで集落ごとのデータはより充実していくので、これで代替できるのではないかという私どもの現時点での思いです。
でも、竹田先生がおっしゃるとおり実はこういういろんな研究者の方が、今要請とか意見書とかをいただいている中にあるとおり、具体的に使われるとすると、そこについてもしっかりと私どもは考えて、従来どおりの何も変えずにそのまま実行してほしいと言われても、そこはちょっと正直難しいとは思うのですけれども、その利活用によっては、「活かすデータベースでもって代替です。以上。」ではなくて、もう少し何か考えられないのかということを検討しないといけないと思いますので、是非竹田委員とか橋口先生におかれましては、具体的に研究者の方で何か論文とか使われているというものの実例を教えていただけると、今後私どもが代替案とかを検討するときに非常にどこまで、これはやはりこういう先ほどから御説明しているとおり現行の調査は非常に負担が大きいので、それを今後も継続するとなると、それに見合うやはり成果というのは求められますので、そういう上で難しい中でも何かしら考えていこうという負担に対して、実際なくなると研究されている方々がどこでお困りになるかという具体例を是非教えていただきたいと。その上で今後の方策を検討していきたいと思いますので、是非この点はよろしくお願いしたいと思っております。
安藤座長
竹田委員、いかがでしょう。
竹田委員
ありがとうございます。今日はちょっと詳細な議論が時間の関係もあってできないかと思うんですけれども、まず2020年の結果につきましては公表されたのが2021年6月ということで、さらに、活かすデータベースのような形で集落単位で情報が出たのが10月ということなので、査読を経るような形での論文が今はばんばん公開されるような、そういう状況には余りまだない。活用していらっしゃる先生方は今一生懸命論文を書かれたり査読のプロセスなんかにあったりすると思いますので、そういう意味で2020年のセンサスの結果というのを使った分析というのはなかなかすぐに出てくるような状況にはないかと思うんですが、例えば一般向けですとか学生向けに対してこういった農村ですとか農林業に対して理解を求めるようなある種テキスト的な本が出ておりまして、最近ですと、2021年に生源寺眞一先生が書かれました21世紀の農学という本があるんですけれども、そこの中でも1章を割いて地域の協同力が支える農林水産業ということで、正にこの2020年のセンサスの農業集落調査の結果を使って農林水産業がどういうふうに地域によって支えられているかということを書いていらっしゃる本もありますし、中山間地域フォーラムで編集されて出されました中山間地域ハンドブック、2022年に出ていますけれども、こちらにも同様に集落の状態ということで、一般の方にもこういった集落が農林業を支えているということを分かりやすく記したような、そういった形での活用もございます。
研究面でも学術論文等で主に資源管理ですとか、そういった地域の資源管理がどうなされているかということによって農業がどんな影響を受けるかといった、そういった視点からの様々な活用がございまして、今ちょっとここで全てを申し上げることはできないんですけれども、そういう意味で正に日本の農業のこれは特殊性なのかもしれないんですけれども、農業集落におけるいろんな機能というのが農村ですとか農業とどう関わっているかということを分析するというのが一つの重要な論点でありまして、これがこれからどう変わっていくかというところも含めまして、農業集落調査が廃止されてしまうとそれができなくなってしまう。それは農村の分析だけではなくて農業の分析にも影響するというふうに考えておりまして、そういう意味で農業集落調査がなくなるということは非常に重大な影響を研究においても及ぼし得るというふうに思っておりますので、具体的な個々の論文についてはまた次回までにこちらでも御提供できる情報については御提供させていただきたいと思っております。以上でございます。
安藤座長
竹田委員、ありがとうございました。今の竹田委員からのご説明ですが、事務局の方でコメントなどがあればお願いいたします。
清水センサス統計室長
ありがとうございます。いろんな学会とかフォーラム等からも要請に来ていただいて、そういうふうに皆さん研究されている方も重要なデータなんだということはお聞きしておりますので、繰り返しになりますけれども、次回に向けてこれから代替案等を検討するに当たっては、具体的に2020の結果がまだ世の中に論文等で出ていないという状況は理解いたしましたので、例えば前回の2015年のデータでも結構なんですけれども、そういったものがどういった論文等で、今学生さん向けのテキストだとか一般の国民向けにも出されているということも申し訳ございません、承知しておりませんでしたが、そういったことをちょっと教えていただいた上で、それに向けてかなりの負担を強いながらもどこまでやるのかというのも検討したいと思いますので、是非具体的なところ、私どもでも引き続き検索はしたいと思うんですけれども、ちょっと限界もありますので、是非お示しいただければと思っております。
安藤座長
ありがとうございました。
かなり時間を取ってしまいましたが、今、橋口委員から手が挙がっております。橋口委員、お願いいたします。
橋口委員
何度も大変恐縮ですけれども、先ほどの竹田委員の御発言で言われていたよに、あるいはまた統計を御担当の皆様には釈迦に説法だと思うんですけれども、私たちがこの情報がなくなると論文が書けなくなるから困るという意味合いは、仕事がなくなるとか仕事ができなくなるとかそういうような意味合いではもちろんございませんで、日本の農業・農村あるいは場合によっては海外との比較ということも含めて、そういう実態の把握、課題の析出あるいは今後の見通し、そういうものが厳しくなるのではないかというような意味合いですので、それは困るというニュアンスですね、その点は御理解いただければなと思います。
ちょっと時間も押しておりますけれども、今発言させていただきましたので、もう一点補足させていただきたいんですけれども、先ほど特に政策との関係、農水省が進めておられる施策との関係で農業集落調査の重要性ということを申し上げたつもりなんですけれども、特に今新しい動きが農村では起こっていて、田園回帰もそうですし、あるいはポストコロナ社会ということで今後の動きがどうなるのかというのを見通す上でも、この2025年の農業集落調査がなくなるというのは、何ともそこが途絶えてしまう。しかも、基幹統計からなくなるというものが容易に復活するということは非常に難しいんだと思います。したがって、今非常に重大な岐路に立っているという認識で私どもも長々と議論させていただいているということをほかの委員の方も含めて御理解いただければ幸いです。
その上で最後に具体的にといいましょうか、御検討いただければ有り難いんですけれども、第1回のときにお示しいただいたこの研究会の開催計画の案では、各回の議論の状況に応じ適宜臨時の研究会を開催する、また、必要に応じて専門委員の招集又は現地実態調査を実施、そういうことも書かれております。以前は農林業センサスにオブザーバーとして臨時に委員の方を招いて事情聴取みたいなことを行ったこともたしかあったと思いますし、ちょうど先ほど漁業センサスが話題になっておりましたが、漁業センサスの方は去年の10月から来年の3月にかけて、予定された研究会5回、しかも、1年半ぐらいかけてじっくりと議論されているようであります。どういう事情かは存じ上げませんけれども。したがいまして、今農林業センサスも農業集落調査の廃止という非常に重大な問題が提起されているということでもありますので、拙速にならないように先ほど申し上げた臨時の研究会を含めて十分に議論できるようにお願いしたいと思います。ありがとうございました。
安藤座長 ありがとうございました。慎重に議論する必要があるということから、専門の方を臨時委員あるいは参考人としてお呼びして御意見を伺うような場を設けたり、あるいは回数は一応定められてはいますが、農業集落センサスの廃止をめぐっての委員会を例えばもう1回開催することはできないでしょうかという御提案だったと思いますが、事務局の方はいかがでしょうか。
清水センサス統計室長
ありがとうございます。
冒頭おっしゃいました論文が書けなくなると仕事がなくなるとおっしゃっているとか、それは絶対思っておりませんので、そこは私どもも十分理解した上で御意見をいただいておりますので、改めて申し上げたいと思います。それから、臨時の研究会を開くかどうかにつきましては、まだこの後3回目、4回目がございますので、その中でどうしても議論が足りないということになればまた検討したいと思うんですが、まだちょっと今日は2回目ですので、それは御意見として必要に応じて、できないということではございませんので、考えたいと思っております。
あと、オブザーバーとかを呼ぶかどうかにつきましても、御意見についてはこの間先ほど竹田委員からもありましたとおり、いろんな学会とか要請に今日午後も来られますけれども、いろんな方から聞いておりますので、それでも足りないということであればですが、まずは先ほどお願いした利活用について私どもも調べますけれども、ここが今後の議論の、具体的にどういうふうに使われているんだというところが今後の論点になろうかと思いますので、その辺は私どもも十分に橋口先生、竹田先生からも教えていただきながら整理して、それでも足りない、別の論点も当然出てくるかと思いますので、そういうときには先ほどの臨時の研究会も含めて必要に応じてまた考えたいと思いますが、現時点ではこの研究会がまずは意見をお聴きする場ですけれども、それ以外でもいろんな方から要請に来ていただいていますので、その際にも意見交換させていただいておりますので、対応をしていきたいと思っております。ありがとうございます。
安藤座長
ありがとうございました。橋口委員、よろしいでしょうか。
橋口委員
もう一点、大変恐縮ですが、先ほど私が申し上げた計画に書いてあった専門委員の招集とか臨時の研究会は、必ずしも研究者の人ということだけじゃなくて、現地での市町村の方とかも含めて農業集落調査の必要性あるいは農業集落調査を実施するに当たっての市町村側の体制の問題とか、先ほどの個人情報の問題をクリアする可能性はあるのかないのかとか、もうちょっと幅広い意味で申し上げたつもりですので、それも含めて今後可能であれば御検討いただければと思います。
安藤座長
ありがとうございました。事務局の方はよろしいですか。御意見を承ったということですので、橋口委員、ありがとうございました。
それでは、会議終了時刻の12時が近づいてまいりました。御意見はまだまだあるとは思いますが、この農業集落調査の廃止につきましては、結論は出ないまま、いろいろな意見が出たということで、次回に持ち越しということにさせていただきたいと思います。
議事の(3)の第1回研究会における御意見に対する見解及び対応方向については、資料1と資料2の説明の中でかなりの部分、御回答ややり取りがありましたので、こうしたご意見とこのような回答があったということの本当の簡単な確認で終えたいと思いますが、どういたしましょうか。事務局の方で御説明されますか。それとも省略してしまってもよろしいでしょうか。資料3に皆様から前回出していただいた御意見とそれに対する回答がありますので、後で御参照いただければと思っております。よろしいですかね。
まだ、たくさんの御意見があると思いますし、座長としても本当は意見を申し述べなければいけないのかもしれませんが、時間の関係もありますので、このあたりで第2回目の研究会を終了させていただければと思います。
気づかずに、すみませんでした。坪谷委員、お願いします。
坪谷委員
すみません。2020年のセンサスから農業機械、いわゆる農機具の所有とかが外れていますよね。この前、あるシンポジウムで実は米菓工業会の社長とお会いしました。米菓工業会が設備投資をするときは稼働率を一番に考えるんだと。農業の現場ではどうですかというふうに聞かれたんですね。これはかなり大事なことだと思います。今我々が使っているトラクター、田植機に至っては数百万、コンバインに関しては1,000万を超える機械を使っているわけですね。それは規模の大小に応じて多少差があるとはいえ、小さい農家は田植機なんかは1日か2日使わないんですね。そういうのを果たして持っていて本当に農業と言えるのかというこれはかなり大事なことだと思うので、次までにちょっと御検討いただけないですかね。お願いします。
安藤座長
次回に向けての宿題をいただきました。農業機械についての取扱いについてです。
清水センサス統計室長
ありがとうございます。この農業機械については前回2020年センサスのときに行政上の利活用を省内の利用部局と協議の上、落としたわけですけれども、只今改めて委員の方からもそういう御提案をいただきましたので、次回に向けて省内でもよく検討した上で改めて御回答させていただきたいと思います。
安藤座長
坪谷委員、よろしいでしょうか。次回に御回答があるということです。ありがとうございました。
それでは、本当にまだ御意見はあると思いますけれども、ここでこの第2回目の研究会を終了させていただければと思います。
最後の議事で「その他」が設けられておりますが、こちらにつきましては事務局の方から何かございますでしょうか。
東課長補佐(農林業センサス統計第1班担当)
それでは、私の方から時間がない中で恐縮ですけれども、1点だけ御連絡をいたします。
次回11月を予定しております第3回研究会の日程でございますが、事前に皆様に御予定をお伺いしたところ、皆さんお忙しく全員が揃う日というのは限られてしまう状況でございます。11月の中下旬で考えていきたいと思っていたのですが、現時点で皆さんの予定の入っていない日となりますと、11月8日火曜日若しくは12月6日火曜日しか空いていないといった状況です。その両日を候補日として、いずれかで進めていきたいと思っております。早ければ1か月半後になりますので、近いうちに改めて皆様にお知らせし、御予定をお聞きしたいと思っておりますが、まずは11月8日か12月6日の両日を予定に入れておいていただければと思いますので、よろしくお願いいたします。以上です。
安藤座長
次回の日程が示されたということですので、よろしくお願いいたします。
この後は進行を事務局の方に戻させていただければと思います。ありがとうございました。
中根センサス統計調整官
本日は貴重な御意見をいただきまして、ありがとうございました。本日いただきました御意見につきましては、事務局の方で今後検討させていただきまして、次回の研究会の方で回答させていただきたいと思います。
また、事務局の方からもありましたが、11月8日、12月6日のどちらかで次回の研究会を予定したいと思いますので、詳細な日時につきましては日程調整の上、改めて御連絡させていただきます。お忙しいとは存じますけれども、よろしくお願いいたしたいと思います。
それでは、最後になりますが、当室、清水センサス統計室長より一言御挨拶を申し上げます。
清水センサス統計室長
本日は安藤座長、委員の皆様、長時間にわたり熱心な御議論をありがとうございました。農林業経営体調査につきましては、いろいろな御意見をいただきました。今回は調査票を全体の形式でお示しできなかったので、いただいた御意見や御指摘も踏まえながら更に検討を深めて、より分かりやすいように次回提示したいと考えております。
それから、農業集落調査についてもいろいろと御意見をいただきましたが、私どもとしても代替案についてどこまでできるかということを検討したいと思います。そのために具体的にどのように利活用されているかということも私どもでも検証したいと思いますが、是非委員の皆様方からも教えていただきながら、それを踏まえて今お示ししている代替案以外に何ができるのかということを検討し、次回の研究会でお示しできればと思っております。
また、引き続き3回目、4回目とございますが、熱心な御議論を是非よろしくお願いしたいと思います。本日は大変ありがとうございました。
中根センサス統計調整官
それでは、これをもちまして第2回2025年農林業センサス研究会を閉会させていただきます。皆様、ありがとうございました。