第19回公共サービス改革法に基づく民間委託統計調査に関する技術検討会 議事要旨
1. 日時
令和6年1月24日(水曜日)15時00分~16時20分
2. 場所
農林水産省統計部第1会議室(北別館3階、ドア番号 北314)
3. 出席者
(委員) 安倍澄子座長、助川正文委員、土屋隆裕委員
(事務局)統計部 統計企画管理官、経営・構造統計課、生産流通消費統計課
4. 議題
農業物価統計調査における民間競争入札実施要項(案)について
内水面漁業生産統計調査における民間競争入札実施要項(案)について
5. 配布資料
- 議事次第(PDF:99KB)
- 参考1-1 民間競争入札実施事業 農業物価統計調査業務の評価について(PDF:507KB)
- 参考1-2 民間競争入札実施事業 内水面漁業生産統計調査業務の評価について(PDF:438KB)
6. 議事及び要旨
(1)事務局から農業物価統計調査の第5期事業(契約期間:令和6年9月から令和12年3月)、内水面漁業生産統計調査の第5期事業(契約期間:令和6年11月から令和11年8月)に関する民間競争入札実施要項(案)について説明、質疑を経た後、実施要項(案)についての修正は座長の一任を得た。
委員からの質疑は以下のとおり。
(2)質疑の概要(〇は委員からの意見等。→は事務局からの回答。)
- 農業物価統計調査における民間競争入札実施要項(案)について
〇 事業の実施状況について、官民競争入札等監理委員会からは、一者応札のため競争性の確保が課題との評価だが、事業者は専門的知識を有さず調査内容に詳しくない中で調査を実施しており、調査自体は難しくないと思われる。事業者側からすれば調査実施上のどのような難しさが応札のネックとなっているのか。
→ 事業者へのヒアリング結果では、全国規模であることや、毎月3,000程度の調査客体に調査票を配布し、その後回収して審査を行い報告するといった一連の作業が大変な労力と感じているようである。
〇 事業者は調査客体から提供される情報を回収するだけであり、また、統計調査は全国的に実施するものとの認識もあると思うので、調査規模や調査客体の多いことが応札のネックになっているとは考えにくい。むしろ全国的な調査の実施が可能な事業者が少ないということが考えられるのではないか。
→ 全国的な調査を実施可能な事業者は多くないと認識している。年1回の調査に比べ、全国的に毎月数千という調査客体を調査するとなると規模感が大きく、人手のやり繰りも毎月必要になるため、このような面が応札の障壁になっていると考えている。
〇 大規模の調査を実施できる事業者が少ないことから一者応札になったということであれば、競争性確保のための対応策といっても難しいのではないか。
〇 難しい課題であるが、市場化テストでは競争性の確保の点が重視されており、考えられる対応策への取組は重ねていく必要がある。
〇 事業者の負担軽減を図るため調査客体数を減らすことは可能なのか。
→ 負担軽減も必要と認識しているが、精度や品質の確保等を勘案し調査客体を設定していることから、調査客体を大幅に減らすことは困難と考えている。
〇 一事業者で調査に対応するのではなく、規模は小さくとも2者、3者の複数の共同事業体で応札することが可能であることを実施要項に記載することは可能か。
→ 可能であり実施要項にも記載している。ただし、共同事業体は、一事業者では有していない必要な業務を他の事業者が補完するための仕組みであり、統計調査の場合、複数で応札するということはあまり想定していない。
〇 大規模調査に対応可能な事業者が多くないといった現状を考えると、今回の実施要項では、例えば調査品目の縮減を予定しているなど事業者負担の軽減が図られると思われるが、競争性の確保対策として抜本的な改善には繋がりにくく、引き続き一者応札の状況が継続してしまう可能性があると感じる。
〇 これまで地方農政局が実施していた調査客体の補充選定業務を新たに事業者が担当する方向で見直しを予定しているようであるが、これは事業者の業務負担が増えることに繋がり、場合によっては、安易に選定しやすい調査客体ばかり補充してしまうことも考えられる。事業者の業務として追加するのであれば、定められたプロセスを適正に管理しながら着手していくことが必要である。
→ 指摘については十分に理解している。地方農政局で実施していた時のノウハウなどを事業者に共有しながら円滑に実施できるよう、手順を実施要項に細かく記載するとともに、サポートを徹底していく。
〇 現行調査のオンライン回収率はどのくらいか。
→ 年々上がってきてはいるが令和4年調査で9%である。
〇 オンラインもやりづらい面があり、書いて郵送する方が早いように思うが、全国規模でオンラインによりデータが集まればかなりの効率化に繋がる。
→ 調査票に記入しFAXで送付した方が楽という方もいるが、やはりオンラインの方が様々な面で効率化に繋がる。今回の実施要項でも全調査客体にオンラインの活用を働きかけることにより、一定程度オンライン回収率も増えると考えており、積極的にオンライン化の取組を推進していきたい。
〇 オンライン化によりデータの入力ミスなどが増えることも想定できるため、審査を適切に実施する必要がある。
〇 オンライン化の普及率が8割程度になれば人手を減らすことが可能となり、業務負担に対する事業者の認識も変わってくると思う。
〇 オンライン調査は、特に数字の桁違いの入力ミスが見受けられる。手書きの場合はカンマを打って桁数を確認できるが、オンラインだと例えば「0」が続いている場合など見誤ることが少なくない。オンライン化を進めるのであれば、見やすい調査画面、調査票の設計等が必要になってくると考える。一方で、オンライン化により事業者負担を軽減するということであれば、このような点に気を付けつつオンライン調査に移行していくことにより、入札に参加する事業者を少しでも増やしていくことに十分繋がると考える。
〇 落札者決定ための評価基準だが、技術点を高く評価すると専門性を要求されているような感じを持ち、一者応札の要因になっているのではないか。
→ 技術点の評価として求めているのは、統計の専門性というより、調査票を調査客体に配布・回収し、間違いがないか審査を実施して報告するとう一連のプロセスを確実に出来るかどうかというところを重視しており、このことから技術点が高くなっている。 - 内水面漁業生産統計調査における民間競争入札実施要項(案)について
〇 内水面漁業生産統計調査もオンライン化を進めるのか。調査員が現場に行って調査を実施するなどの手間も事業者が参入しない要因であると考える。
→ 既にオンライン調査も実施しているが、調査客体に高齢の方が多いなど普及率は低い。令和3年調査は1%に満たず、令和4年調査が3.6%の結果となっており、その殆どが会社経営が多い養殖業である。現在、全数調査を実施しており、これまでのオンライン回収率等を見る限り、全ての調査客体へのオンライン報告用のID・パスワードの配布は時期尚早と考えている。
〇 うなぎ(養殖うなぎの収穫量及びしらすうなぎの採捕量)に関しては、行政データの活用に移行する方向で見直しを予定しているとのことだが、従前の統計データとの接続性に問題は生じないのか。
→ 過去の行政データとこれまで実施してきた調査票で調べたデータを突合し検証した結果、差異がないことを確認し今回変更することとした。
〇 実施要項では、入札の総合評価において「業務遂行に当たり内水面漁業に関する基本的な知識を有しているか」と専門性を求めているが、最初からこのような基本的知識を有している事業者はおらず、新規事業者の参入を妨げるのではないか。
→ 調査を実施するに当たり、調査客体への調査内容の説明や照会対応時には適切に対応できる体制を整えておく必要があるため、調査に関する専門用語への理解等、基本的知識を習得していただくこととしている。なお、必ずしも入札時に基本的知識は必要としておらず、今回の実施要項には、業務開始までに知識を習得するよう記載している。 - 共通
〇 実施要項は項数が多く、内容を読んで理解することが事業者にとっては非常にハードルが高いと思う。全て理解しないと応札できないものと考える事業者もいると思われ、新規事業者の参入を妨げることになっているかもしれない。事業者には最終的に実施要項を全て理解してもらう必要はあるが、参入のハードルを下げる観点からも、実施要項の簡易版を作成し、ひと先ずはポイントだけを理解していただくということが良いのではないか。
〇 調査のイメージが湧くような簡易版を作成すれば良いのではないか。
→ 実施要項の見せ方も含め、新規事業者が調査の内容をイメージしやすい形を検討したい。
以上