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農林水産省

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第1回 (平成27年8月5日) 議事概要

1 開催日時

平成27年8月5日(水曜日)13時00分~15時30分

2 開催場所

農林水産省 第1特別会議室

3 出席者

【委員】
染英昭座長、黒田栄喜委員、竹川元章委員、中園江委員、平澤正委員、山岸順子委員、吉永悟志委員

【ヒアリング対象者】
〇生産者
五十嵐 壽 雄 農事組合法人青山農場 代表理事 (山形県)
前 川 正 次 (株)前川農産 取締役会長 (三重県)
滝 田 常 生 (有)こおげ農業開発センター 代表取締役(鳥取県)
〇県担当者
柴 田 康 志 山形県農林水産部農業技術環境課作物技術専門員
山 川 智 大 三重県農林水産部農産園芸課農産振興班主幹
栃 本 義 博 鳥取県農林水産部農業振興戦略監生産振興課課長補佐(水田作物担当)

【事務局】
大臣官房統計部長、生産流通消費統計課長 ほか

4 議事概要

生産者及び県担当者から本年の水稲の生育・作柄、栽培管理状況等の説明を受けた後、委員との質疑応答・意見交換を行った。主な内容は、次のとおり。

(1) 本年の気象と生育・作柄の状況について

〇山形県では4月下旬以降、高温、多照、少雨で推移したことから、初期生育は非常に良かったが、個人差が平年より大きくなっているようである。出穂最盛期は8月3日頃とみられ、平年より3日ほど早くなっている。7月下旬以降高温が続いていることから、県では、高温対策に関する情報提供を行っている。また、今後も小雨が続く場合は水不足が懸念される。高温対策としては、かけ流し等の水管理が有効であるが用水が限られているので、他の生産者に迷惑がかからない範囲で対応している。穂肥については高温対策として有効であることは認識しているが、食味への影響があることから、遅い穂肥は実施していない。

〇三重県では、4月下旬から5月にかけて高温・多照で推移したことから、初期生育は良好となったが、6月の低温・寡照で生育が停滞したことから、生育状況はおおむね平年並みとなり、穂数も平年並みになると見込まれている。7月中旬以降気温が高くなっており、三重県の主力であるコシヒカリ等の早期米への影響が懸念される。高温対策としては、出穂期に追肥(耐暑肥)を施用するよう指導しているところであるが、大規模農家では緩効性の肥料がかなり入ってきており、これにより高温対策を行っている。

〇ふるい目幅を見直すことについて、しばらくの間は利用者に対して誤解を招かないようにその旨を公表物に記載するなど、周知徹底するための対応をとる必要があるのではないか。

〇鳥取県では、5月中旬の田植期以降天候に恵まれ生育は順調だった。6月から7月上旬にかけて低温・寡照傾向であったが、7月中旬以降は高温・多照に推移していることから、草丈はやや短め、茎数は多め、生育速度については早生品種が平年並み、中生品種は平年並みから3日程度の遅れとなっている。なお、一部地域でいもち病の発生が見られるほか、カメムシの発生が平年より多くなっている。高温対策としては、時期が多少遅れても良いので2回目の穂肥を実施するよう指導している。なお、基肥一発施肥体系もかなり普及してきているが、穂肥時期に葉色が低下する場合は、2回目の穂肥施用を指導している。

 

(2) 稲作技術の展開方向が作柄・収量に及ぼす影響について

ア 疎植化、施肥体系の変化等の稲作技術の展開が作柄及び収量に及ぼす影響について

〇疎植化については、1坪当たり50 株程度までの疎植であれば単収に対する影響はあまりない。ただ、それ以上に疎植化すると、雑草が多くなり水管理等がしにくくなるほか、収量や品質への悪影響が懸念される。また、茎数が確保しにくい品種等は、疎植にすることで単収に影響が出るので疎植には向かないのではないか。

〇直播については、播種後の水管理が難しい、土質等の環境によっては直播に向かない、台風等の強風により倒伏しやすいという課題があげられた。また、こうした課題のほか、専用の機械を購入しなければならないということもあり、誰でもできる技術とはならないのではないかという意見がある一方で、大規模生産者を中心に増えてきており、今後も広まっていくのではないかという意見もあった。

〇鉄コーティング種子の使用やV型直播は、初期の水管理を適切に行い苗立ち数を確保することや雑草管理を適切に行えば、安定的に収量や品質を確保することが可能である。

イ 規模拡大、コスト削減、新品種の導入等経営の方向性が作柄及び収量に及ぼす影響について

〇規模拡大による生産コストの削減について、次のような意見が上げられた。

  • オペレーターを時間で交替し、機械を1日中動かすことで稼働率を上げるとともに、既存のカントリーエレベーターを活用することで設備投資に係る経費を節約している。
  • 設備投資を行い作業を機械化した上で、年間を通して水田をフル活用(米、麦、大豆、飼料用稲(WCS)、飼料用麦、飼料用米を栽培)したり、飼料用麦の栽培中(立毛間)に飼料用稲を播種する栽培を行っている。
  • 畜産農家から提供される牛糞堆肥を積極的に活用するほか、米の乾燥・調製を自前で行うことで施設の利用料を節約している。

 

(3) 主食用米の需要が減少しているなかで、飼料用米の導入も含め、水田経営をどのように考えていくのかについて

〇約4割の耕地を転作している中で、大豆のブロックローテーションを行っているが、このままでは連作障害が発生する懸念があるので、今後は転作作物として飼料用米を導入することも考えている。なお、大豆から飼料用米に転換すると、用水の使用量が増加するので、十分な用水の確保を行う必要がある。

〇飼料用米の作付が増えると、畑作物で転作するよりも、水の使用量が増加するのが課題である。また、現在、飼料用稲(WCS)や飼料用米は麦後に作付けしているが、飼料用米は収量によって補助金の額が変わることもあり、収量を安定的に確保することが課題である。

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