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農林水産省

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第3回 (平成29年3月15日) 議事録

1. 開催日時

平成29年3月15日(水曜日) 14時56分~16時12分

2. 開催場所

農林水産省第3特別会議室

3. 出席者

(委 員) 雨宮宏司座長、黒田栄喜委員、竹川元章委員、中園江委員、平澤正委員、山岸順子委員、吉永悟志委員
(事務局) 大臣官房統計部長、統計部生産流通消費統計課長ほか

4. 議事

  1. 平成28年産水稲の作柄について
  2. 平成29年産水稲10a当たり平年収量(案)について
  3. その他

5議事録

〇西本生産流通消費統計課長補佐(総括)(以下「総括担当課長補佐」という。)
定刻より若干早いですけれども、ただいまから平成28年度第3回水稲の作柄に関する委員会を開催させていただきます。
委員の皆様におかれましては、大変お忙しい中ご出席いただきまして誠にありがとうございます。
私、本日の司会をさせていただきます生産流通消費統計課の西本でございます。
どうぞよろしくお願いいたします。
本日の委員会につきましては、平成29年産水稲の10a当たり平年収量につきまして皆様より意見を賜りたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
それでは、委員会の開催に当たり、佐々木統計部長からご挨拶を申し上げます。

〇佐々木統計部長
座長及び委員の皆様方におかれましては、年度末の大変お忙しい中だと思いますけれども、お集まりをいただきまして、改めて感謝を申し上げる次第でございます。
今年度最後の作柄委員会ということでございます。
前回の会合以降の若干の動きをご報告申し上げますと、昨年11月にさらなる農業の競争力強化と、それから農業者の所得の向上を図るために、農業競争力強化プログラムというものが取りまとめられました。
これに基づいて、今年に入りましてからそれぞれに盛り込まれていた中身を法改正が必要なものについては必要な法案化を図りまして、順次国会に提出をし、審議待ちの状況というふうになっているところでございます。
具体的な中身といたしましては、生産資材価格の引き下げをどうやって図っていくかということでありますとか、あるいは農産物の流通・加工構造をどうやって合理化していくかということ。
さらには、報道等でも大変話題になりましたけれども、生乳の流通改革をどう実行に移していくかといったこと。
さらには土地改良制度の見直し、収入保険制度の導入といったことなどなど、生産から流通・加工段階まで、幅広い面での構造改革を確実に実現をしていこうということにしているわけでございます。
また、米政策の改革につきましては、今年29年産米の生産数量の目標等が行政による最後の配分ということになるわけでございます。
これまで深掘りの作業等も含めまして、さまざまなトレーニングを現地の方々にはこなしてきていただいたというところなわけでございますけれども、30年産以降、行政による配分に頼らずとも、生産者の方々自らの経営判断によりまして、需要に応じた生産が行われていくように、引き続ききめ細かい情報提供を私どもとしては進めていきたいと思っているところでございます。
本年は、これらの改革を含めた農政改革の確実な実現や、これまで進めてきた攻めの農林水産業の一層の推進によりまして、農林水産業の成長産業化、強い農林水産業と美しく活力ある農山漁村の実現といったことに向けまして、農林水産省が一丸となりまして全力で取り組むこととしております。
私ども統計関係の組織につきましては、これらの農政改革に対応した必要となる農林水産関係のデータを提供していくことが強く求められているところでございます。
統計の業務に携わる人間は、先刻来ご報告しておりますように、職員が減少しており、かつまた年齢が高いほうにシフトしてきたということでございまして、職員で米の作柄を調査するという体制が困難になったことから、一昨年から専門調査員の方々に現場での実査をお願いするというふうな体系に切り替えてきたわけでございます。
これまでのところ、大きなトラブルなく、おかげさまで経過してきているところでございますけれども、今後さらに状況の変化があり、かつまた職員の減少がさらに見込まれるという中にありましても、引き続き質の高い、信頼性のある統計データを整備・提供していくことができますように、新しい技術の導入も含めまして、新たな観点からの体制づくりを図っていかなければいけないと考えているところでございます。
そういう状況の中で、本日の議題でございますけれども、平成29年産水稲の10a当たりの平年収量につきましてご審議をいただくわけでございます。
平年収量は先刻ご案内のとおりでございますけれども、水稲収穫量調査の中で作況指数を算定する基礎資料となっている他に、米穀の需給見通しでありますとか、あるいは農業災害補償制度における基準収量など、さまざまな施策の基礎資料として活用されている重要なデータであると認識しているところでございます。
そのありようについて事務局からご報告を申し上げ、忌憚のないご意見を幅広い観点から頂戴したいと思っておりますので、この後よろしくお願い申し上げます。

〇総括担当課長補佐
カメラ撮りはここまでとさせていただきますので、これ以降の撮影はご遠慮願います。
また、カメラ撮りのみの方はここでご退席願いますので、よろしくお願いいたします。
それでは、議事に入ります前に、配付しております資料のご確認をお願いいたします。
議事次第、座席表、配付資料といたしまして資料No.1から5と参考1から3をお配りしております。
資料に不備等があれば事務局までお申し付けください。
なお、資料No.4につきましては、委員限りで非公開の取り扱いとさせていただいておりますので、傍聴の方には後ほど配付させていただきますが、会議後に資料No.4を回収させていただきますので、よろしくお願いいたします。
資料のほうはよろしいでしょうか。
なお、本日の委員会につきましては公開により開催いたします。
また、議事録につきましても出席者の皆様に事前にご確認をいただいた後に公表いたしますので、あらかじめご了承願います。
本日提案します平成29年産水稲10a当たり平年収量につきましては、本日のご議論を踏まえて私どもとして最終判断をし、所要の手続を経て、明日15時公表を予定しております。
それまでの間の情報管理にはくれぐれもよろしくお願いいたします。
それでは、これからの議事進行は雨宮座長のほうにお願いいたします。

〇雨宮座長
皆さん、こんにちは。
座長を仰せつかっております雨宮でございます。
委員の皆様、大変お忙しい中、本委員会へのご出席、ありがとうございます。
それでは、早速、議事次第に沿いまして議事を進めさせていただきたいと思います。
まず、議事の1番が28年産水稲の作柄についてということでございます。
事務局から説明をお願いします。

〇三橋生産流通消費統計課長補佐(普通作物統計班)
普通作物統計班の三橋でございます。
よろしくお願いいたします。
それでは、私のほうからは資料No.1の平成28年産水稲の作柄についてという資料に基づいてご説明をさせていただきたいと思います。
なお、この資料の他に参考資料といたしまして、28年産水稲の調査結果でありますとか気象データ等につきましては、参考資料の2及び3ということでお配りさせていただいておりますので、必要に応じてご確認のほうをいただければと思います。
それでは、資料No.1ですけれども、1枚めくっていただきまして1ページ目でございます。
全国都道府県別の作況指数の一覧を載せているところでございます。
28年産の水稲の特徴ですが、沖縄県を除きますと、全ての県で作柄が平年並み以上ということで、全国の作況指数は103という結果になっています。
2ページ目はブロック別の作柄の特徴を整理しております。
まず、北海道でございますけれども、作況指数は102、東北が103、北陸が107、関東・東山が101ということで、全もみ数はおおむね確保されまして、登熟につきましても一部で影響が見られましたが、おおむね良好であったということでございます。
特に北陸の作況指数が107ということで高くなっているわけでございますけれども、北陸4県の10a当たり収量、いわゆる単収でございますけれども、こちらにつきましては4県、いずれも過去最高の単収となったという結果でした。
その次でございますけれども、東海以西、近畿、中国、四国、九州でございます。
こちらにつきましては、6月に日照不足の影響が少し見られましたけれども、その後は天候がおおむね順調に推移いたしまして、全もみ数のほうはおおむね平年並み以上確保できたということに加えまして、登熟につきましても8月下旬以降が若干日照不足ということで、一部、九州等ではその影響が見られましたが、おおむね順調に推移した結果、作柄につきましては平年並み、ないしやや良ということでございました。
なお、沖縄県につきましては記載のとおり、低温、それから台風等の影響で作況指数が95という結果になったということでございます。
1枚めくっていただきまして、3ページ目でございます。
前回、第2回目の委員会で先生方からいただきました留意事項につきまして、上のほうに4点ほど整理させていただいております。
まず1点目が早場地帯におきまして出穂後の高温や寡照が登熟や品質に及ぼす影響について留意すべき。
それから2点目でございますけれども、西日本の遅場地帯におけるもみ数等への影響を見きわめる必要があるとのご意見。
3点目が台風による倒伏に伴う作柄への影響に留意すべきとのご意見。
そして4点目が病害虫の発生状況について留意すべきというご意見をそれぞれいただいたところでございます。
これらご意見に対応する形で、その下にそれぞれの調査結果等を整理させていただいております。
まず、早場地帯におけます8月中旬以降の寡照によります登熟や品質への影響でございますけれども、3ページから4ページの表をご覧いただければと思いますが、田植え期以降につきましては、8月中旬ごろまでは比較的、日照時間、平均気温ともに平年を上回って推移をしたというところでございまして、1m2当たり全もみ数の欄を見ていただきますと、対平年比というところの数字が並んでおりますが、ほとんど100を上回って推移したところでございます。
一方、8月中旬、それから9月中旬以降でございますけれども、日照不足傾向というところで、9月の日照時間がちょっとグレーがかった感じになっておりますけれども、日照不足傾向でございましたが、気温のほうを見ていただきますと比較的高目で推移したということ。
それに加えまして、特に東北地方が中心でございますけれども、適度な降雨もあったということで、結果といたしまして刈り取りが遅くなったということで、登熟期間が長く確保できたということで、千もみ当たり収量の対平年比を見ていただきますと、平年を上回る県が多くなったということでございます。
次に、1枚めくっていただきまして5ページ目でございます。
5ページは遅場地帯での8月以降の高温によるもみ数や登熟への影響について整理したものです。
近畿以西の地域におきましては、6月が若干、日照不足傾向であったということでございますが、8月中旬まではおおむね順調に推移をしたということで、その後も平均気温は高目に推移いたしまして、一部の地域で8月下旬以降が日照不足によりまして登熟への影響がありましたけれども、全もみ数につきましては多くの地域で平年を上回りまして、作況指数を見ていただきますと、ほとんどの県で100を上回る結果ということになりました。
次は6ページ目でございます。
台風の影響を整理しております。
28年に発生いたしました台風でございますけれども、8月中旬以降は連続的に日本へ接近・上陸をしておりましたが、千葉県等の一部でその影響が見られましたが、全般的に見ますと台風による被害というのは比較的軽微な状況であったということが言えます。
最後、7ページ目でございます。
7ページは病虫害の発生による作柄への影響を整理しております。
昨年9月20日に発表されました病害虫発生予報におきましては、いもち病や斑点米カメムシ類の発生がやや多く見込まれる地域があるとの予報が出されておりました。
しかしながら、まず、いもち病につきましては九州等の一部でやや多く見られたという結果がございますけれども、適切な防除等によりまして被害は限定的になったというところでございます。
それから、またカメムシにつきましても、一部の県ではその品質への影響等々が見られましたけれども、全国的には大きな被害にはならなかったという結果になっています。
以上、ちょっと駆け足になって恐縮ですが、28年産水稲の作柄の総括的な説明をさせていただきました。

〇雨宮座長
ありがとうございました。
今、事務局から説明がありましたけれども、本年度の作柄の経過等を、順を追って説明をいただきましたが、何かご質問等ございますでしょうか。
よろしいでしょうか。
それでは、本日の委員会の本題に当たります2番目の29年産水稲の10a当たり平年収量についてご議論いただきたいと思います。
それでは、まず事務局から説明をお願いします。

〇北村課長補佐(解析班)(以下「解析班担当課長補佐」という。)
解析班の北村でございます。
本日はよろしくお願いいたします。
私からは資料No.2から4についてご説明いたします。
まず、資料No.2、水稲10a当たり平年収量の算定方法についてという資料をご覧いただきたいと思います。
改めてご説明させていただきたいと思います。
1の定義のところにございますように、その年の気象の推移や被害の発生状況などを平年並みとみなし、実収量のすう勢をもとにして、最近の栽培技術の進歩の度合いや作付変動等を考慮し、その年に予想される10a当たり収量というものを作成しているところでございます。
この値が3の利活用にありますように、作況指数の計算の基準、分母になっている他、農作物共済がございますが、その時に基準収量の基として使われているところでございます。
2の算定方式につきましては、2枚目をご覧いただきたいと思います。
10a当たり平年収量の算定の基になりますのは、1.70ミリふるい目基準の10a当たり実収量ということで、昭和54年から平成28年産までの実収量と、全国で約1,300カ所のアメダスデータを気象庁のほうからご提供いただきまして、それを基に各都道府県別に算出しているところでございます。
一番上の1の図にありますように、昭和54年からの実収量がこの折れ線グラフにあるような変動をしたとします。
いろいろな冷害でありますとか、台風の被害でありますとか、さまざまな気象要因等によりまして、かなりでこぼこになっているところでございます。
これをアメダスデータで気象による不規則な変動要因を除去いたしまして、仮に平年並みの気象であった場合には、これだけの収量だろうということで補正したものが2の段に出て参りますグラフの赤い折れ線グラフということになります。
このアメダスデータは6項目ありまして、気温が平均気温と最高気温と最低気温の3項目、それに日照時間から導き出された日射量、それと降水量と風速は最大風速です。
この6つの要因を出穂前の40日と出穂後の40日という2つに分けまして、12個のパラメータでそれぞれの過去の実収量を補正しております。
その補正されました単収をもとに、より滑らかな形でトレースするためにスプライン関数を用いまして、長期的なすう勢を導き出す曲線を描き、翌年産、今年の場合は29年産になりますけれども、収量を予測しております。
2段のグラフの黒い曲線になりまして、右端の赤い点が29年産を示すということになります。
その値を栽培技術や作付品種構成等の変化等の最近の稲作事情等によりまして検証しまして、3にありますように、本日ご提案申し上げます平年収量につきまして、どのような要因によって上昇傾向にあるか、下降傾向にあるかなどにつきまして、各知見をお持ちの委員の方からご意見を拝聴しまして、最終的に決定して参るということであります。
それから、1.70ミリ基準の平年収量をもとに、当該地域毎に多くの農家が玄米選別に使用しているふるい目幅の重量割合を乗じて、農家等が玄米選別に使用しているふるい目幅の都道府県別10a当たり平年収量を決定していくことになっております。
この出し方につきましては、農業地域毎に過去5年で最も多く使用しているふるい目幅につきまして、都道府県別に過去7カ年中、最高と最低を乗じた5カ年のふるい目幅の重量割合を1.70ミリ基準の平年収量に乗じて算出しております。
続きまして、資料3をご覧いただきたいと思います。
これが先ほど説明しました算定方式により導き出されました1.70ミリ基準の平年収量の案というものでございます。
全国値は27年以来2年ぶりに1kg増加し、532kgとなりました。
今回、全国値が1kg増加した要因といたしましては、作付面積が大きい北海道や新潟県の平年収量が増加したことによります。
なお、全国値の算出方法につきましては、今回変動した都道府県と変動しなかった都道府県の平年収量を直近年の水稲作付面積で加重平均を算出しております。
次に、都道府県でございます。
前年産から変動があった都道府県は14都道府県ございます。
増加した都道府県としてご覧の11都道府県となります。
減少した都道府県として3県、ご覧のような都道府県となります。
それ以外の府県は前年と同じとなっております。
今年産の特徴的な主な要因といたしましては、北海道、東北などの北日本が昨年に引き続き増加しております。
このことは近年の北日本における作柄が良好であることが色濃く反映されているものと思われます。
それ以外の各県別の要因のポイントを裏面に整理しておりますが、説明は後ほど資料No.4で説明させていただきたいと思います。
次の1枚紙でございますが、左側には委員の方からご意見を踏まえて公表を予定しております従来から公表の1.70ミリベースの平年収量、右側が農家等が使用しているふるい目ベースで導き出しました平年収量となっております。
なお、農家等が使用しているふるい目ベースによる29年産の平年収量は、全国値で518kgとなっております。
都道府県値はその農業地域において多くの農家等が使用しているふるい目幅で算出しておりますので、1.70ミリ基準で変動がなかった府県の平年収量でも変動している府県があるということになります。
続きまして、資料No.4の関係に移りますが、それぞれの県においてどういった要因があるかということをポイントを挙げて各県別にご説明いたします。
北海道につきましては、29年産は5kg増加し、546kgとなっております。
4年連続の増加でございます。
2の品種構成のところをご覧いただきたいと思います。
表は収量水準が分かっていて、作付割合が変動すると10a当たり試算値が変動するというものになっているところでございます。
動向をみますと、近年「きらら397」から「ななつぼし」でありますとか、「ゆめぴりか」などの品種に移行がみられるということでございます。
業務用に適した高収量品種である「そらゆき」の作付けの増加が見込まれているところでございます。
このことから、収量水準をわずかに増加が見込まれるところでございます。
続きまして、次のページでは栽培技術等の動向ということになりますけれども、北海道は特徴的なところがございまして、全国的には稚苗植え、中苗植えというものが一般的なわけですけれども、北海道は成苗移植が約7割、中苗植えが約3割ということで、成苗植えが増えてきておりまして、こういったところが収量の安定確保につながっているというふうに考えているところでございます。
また、近年の登熟期間における平均気温が安定しており、千もみ当たり収量も上昇傾向であります。
これらのことを踏まえて、収量水準は上昇傾向にあるとみているところでございます。
続いて、青森県でございます。
青森県につきましては、昨年に続き増加となり、29年産は3kg増加の589kgとなっております。
2の品種構成をみますと、近年、「つがるロマン」が減少し、「まっしぐら」が増加になっております。
なお、特Aの「青天の霹靂」は作付けを限定していることから、増加が少なくなっているところでございます。
次のページになります。
地帯別の作付面積割合に変動がみられるところでございます。
これをみますと、比較的水準の高い津軽地帯が増加傾向、収量水準の低い南部・下北地帯では減少傾向となっております。
これは飼料用米への転換等によりまして減少にあるというところでございまして、また、近年の登熟期間における平均気温が安定しており、冷害もなく、千もみ当たり収量も上昇傾向であるところでございます。
これらを踏まえ、収量水準は上昇傾向にあるとみているところです。
続いて、岩手県です。
岩手県につきましては、昨年に続き1kg増の535kgとなっております。
2の品種構成をみますと、品種別の作付面積割合に変動がみられるところで、比較的収量の高い「ひとめぼれ」が増加する傾向にあり、また、比較的収量水準の高い「銀河のしずく」が増加傾向にあり、収量水準は増加が見込まれます。
次のページですが、岩手県につきましても近年の登熟期間における平均気温が安定しており、千もみ当たり収量も上昇傾向であるところでございます。
これらを踏まえまして、収量水準は上昇傾向にあるとみているところです。
続いて、宮城県です。
宮城県につきましては前年に引き続き増加となり、29年産は2kg増加の533kgとなっております。
2の品種構成の動向をみますと、宮城県では「ひとめぼれ」が約8割を占めておりますが、近年、それよりも収量水準が高い「つや姫」が増加傾向にあり、収量水準はわずかに増加が見込まれます。
次のページですが、宮城県につきましても近年の登熟期間における平均気温が安定しており、千もみ当たり収量も上昇傾向であるところでございます。
このようなことから、収量水準は上昇傾向にあるとみているところでございます。
続いて、福島県です。
福島県につきましては、27年以来、2年ぶり1kg増加し、543kgとなっております。
次のページをご覧ください。
地帯別作付面積の動向をみますと、収量水準の高い会津地帯が増加傾向にあり、こういった要因も収量水準の上昇につながっているとみております。
また、福島県につきましても近年の登熟期間における平均気温が安定しており、千もみ当たり収量も上昇傾向であるところでございます。
このようなことから、収量水準は上昇傾向にあるとみているところでございます。
続いて、千葉県です。
千葉県につきましては、26年以来、3年ぶりに3kg増加し、538kgとなっております。
次のページをご覧ください。
千葉県は早場米なので、早く出荷したいところですが、近年、出穂期が早まるということで、登熟が安定し、千もみ当たり収量も上昇傾向であります。
このようなことから、収量水準は上昇傾向にあるとみているところでございます。
続いて、東京都です。
東京都につきましては、23年以来、6年ぶりに3kg増加して、414kgとなっております。
品種動向をご覧ください。
品種構成の動向をみますと、収量水準の低い「ひとめぼれ」が減少傾向にあり、一方、収量水準が高い「あきたこまち」が増加傾向にあることから、収量水準の上昇につながっているとみております。
続いて、新潟県です。
新潟県につきましては、昨年に引き続き増加となり、29年産は2kg増加の543kgとなっております。
品種動向をご覧ください。
主力品種である「コシヒカリ」が約7割を占めておりますが、一方、収量水準の高い「こしいぶき」が増加する傾向にありまして、また、作期の分散を図るため、比較的収量水準の高い「新之助」が増加傾向にあります。
これらのことから、収量水準は増加が見込まれます。
次のページをご覧ください。
栽培技術等の動向をみますと、一定程度の密植も重要ということで、過度な疎植を控えることが徹底されたことにより、1m2当たり有効穂数が増加傾向にあることから、1m2当たり全もみ数が増加傾向にあり、この辺が安定した収量につながっていると思われます。
このようなことから、収量水準は上昇傾向にあるとみているところでございます。
続いて、富山県です。
富山県につきましては、10a当たり平年収量については、昨年に引き続き1kg増加し、540kgとなっております。
品種の動向をご覧ください。
主力品種である「コシヒカリ」が約8割を占めておりますが、高温登熟で品質が安定し、かつ比較的高収量である早生種の「てんたかく」や晩生種の「てんこもり」への転換が図られており、収量水準は増加が見込まれます。
次のページをご覧ください。
栽培技術の動向をみますと、初期茎数の確保の観点から、栽植密度を坪当たり70株の確保が指導されてきていることにより、株数が増加傾向にあることから、1m2当たり全もみ数が増加傾向にあります。
このようなことから、収量水準は上昇傾向にあるとみているところでございます。
続いて、石川県でございます。
石川県につきましては、21年以来、8年ぶりに1kg増加し、520kgとなっております。
品種構成をご覧ください。
主力品種の「コシヒカリ」が約7割を占めておりますが、「コシヒカリ」偏重の是正から、収量水準が高い「ゆめみづほ」が増加傾向にあります。
このことから、収量水準は増加が見込まれます。
次のページでございます。
地帯別の動向でございますけれども、比較的収量水準の高い加賀地帯が増加傾向にあり、比較的収量水準の低い能登が減少傾向にあります。
こういった要因も収量水準が上昇する要因とみております。
このようなことから、収量水準は上昇傾向にあるとみているところでございます。
続いて、長野県です。
長野県につきましては、26年以来、3年ぶりに2kg減少して619kgとなっております。
次のページをご覧ください。
栽培技術の動向をみますと、疎植が進み、株数の減少により1m2当たり全もみ数が減少傾向にあります。
このようなことから、収量水準が下降傾向にあるのではないかとみております。
続いて、香川県です。
香川県につきましては、15年以来、14年ぶりに3kg減少し、496kgとなっております。
品種動向をご覧ください。
「ヒノヒカリ」と「コシヒカリ」で8割を占めています。
「ヒノヒカリ」が減少し、「おいでまい」が増加する傾向にあり、収量水準は減少が見込まれております。
次のページでございます。
栽培技術の動向をご覧ください。
疎植栽培が進み、株数の減少により、1m2当たり全もみ数が減少傾向にあります。
このようなことから、収量水準は下降傾向にあるとみているところでございます。
続きまして、福岡県です。
福岡県につきましては、昨年に続き減少となり、29年産は1kg減少の496kgとなっております。
2の品種動向をみますと、高温耐性品種であります「実りつくり」への作付誘導が進められておりますが、比較的収量水準の高い「ヒノヒカリ」等から、比較的収量水準の低い「元気つくし」等への作付面積の変動がみられ、収量水準は減少しております。
このようなことから、収量水準は下降傾向にあるとみております。
続きまして、最後に長崎県でございます。
長崎県につきましては、27年以来、2年ぶりに1kg増加し、480kgとなっております。
九州の周りの県と違いまして、長崎は離島を抱えていることから、その地帯の作柄により平年収量が周りの県と違う傾向となっておりまして、長崎県を除きました九州はマイナス傾向というところでございます。
次のページ、作柄表示地帯別の動向をご覧ください。
比較的収量水準の低い北部地帯、五島地帯の作付面積割合が減少傾向にあり、収量水準の高い南部地域の作付面積割合が増加傾向にあり、これらのことから、収量水準は上昇傾向にあるとみているところでございます。
資料ナンバー5については省略させていただきたいと思います。
私からの説明は以上でございます。

〇雨宮座長
ありがとうございました。
ただいま事務局から説明いただいた案に基づいて、委員の皆様のご意見を踏まえて、平成29年産水稲の10a当たり平年収量を農林水産省の方で決定するということでございます。
委員の皆様からご意見、ご質問などがありましたら、順次お願いしたいと思いますが、どなたからでもどうぞ、よろしくお願いします。
山岸委員、お願いします。

〇山岸委員
疎植のことなんですけれども、疎植栽培が増加傾向になって収量が減ったと伺っているところと、それから疎植が何か抑えられてか、あるいは少し増えたかで収量が上がったというようなお伺いをされているところがあるんですけれども、疎植栽培というのは結構全国的な傾向かと思っていたんですけれども、香川県は16株で、長野は18で、減ったといっても大分違うような気もするんですけれども、その辺の傾向はやっぱり疎植が進むと減る傾向にあるという考え方でよろしいですか。

〇解析班担当課長補佐
一概には疎植栽培が進むと収量的に減るというわけではなくて、やはり補償作用がございますので、一概に言えるわけではございませんけれども、過度な疎植になりますと収量が減ってくるということで、香川県等については指導よりも若干低く疎植が進んでいるということで、減少傾向がみられるということで、現地からは聞いております。

〇雨宮座長
他にいかがでしょうか。
黒田先生、お願いします。

〇黒田委員
最近、各県で業務用米あるいは中食用米、そういうところを目指した品種開発に力が注がれています。
例えば、品種の能力として収量レベルが500のところが540~550位に向上したとすると、それが県で広く栽培されるようになった場合、何%ぐらいの作付になると県レベルの収量を引き上げることに働くのかというのは、過去の事例を見ると判るのではないでしょうか。
従来に比べて作付面積が動いた時に、収量レベルの高い品種を導入したことにより、県平均の単収にどの程度反映されるかは推定することはできるのではないでしょうか。
というのは、岩手の場合だと、昨年度から「銀河のしずく」が栽培され始め、今年度から本格的に栽培されるようになりました。
ただ、栽培するに当たっては、かなり特定の生産者に的を絞るような取り組みがなされているようです。
当面の取り組みとしては、技術レベルが高いところに普及し、品種の評価を高めるということは的を得ているのかもしれませんが、そうすると、従来のようにそう簡単には収量レベルが高いから県全体に一気に拡がるようなことはちょっと考えにくいようなところがあります。
過去の事例として、収量レベルの高い品種の普及に伴う県単収への貢献は、大体どれくらいになっているのでしょうか。

〇解析班担当課長補佐
実際にどのぐらいの面積が普及したかについては把握していないところでございます。
この表につきましては、水準をみるということで、見込みの作付面積の割合だけしかみておりませんので、実際の現場における普及面積とかということは考慮していないというところでございまして、申し訳ございませんが、どのぐらいの面積が普及したら県全体のそういうものに上がっていくかということは把握していないところでございます。

〇黒田委員
過去において、例えば冷害年ですと、翌年、あるいは次の2年目ぐらいの時に大きく品種が入れかわる事例が多かったんじゃないかと思います。
そうすると、そういう時に県全体の収量レベルがどう変わったのかということは、過去の事例として分かるようなケースはないでしょうか。
それらが参考になれば、これから各県で県独自の品種を育成して、それが10%ぐらいになるとプラスに働くとか、分かってくるのかなという気がするのですが。

〇解析班担当課長補佐
ご指摘の点につきましては、過去の事例をみまして、今後の資料作成に活かしていきたいと考えております。

〇春日生産流通消費統計課長(以下「生産流通消費統計課長」という。)
補足させていただきますと、表の3というのが各県毎にございますけれども、これはそれぞれの品種毎の都道府県における平均的な収量水準に作付面積割合を掛けて、それが一番下にありますけれども、対前年に比べてその品種の影響によってどう収量水準が変わるかということを表しておりますが、それは岩手県でいきますと、28から29年にかけては0.4kgの増加要因があるということです。
ただ、これは県全体のものですので、厳密に言いますと収量水準が高い地域で多く増えれば、これ以上にもっと増えるし、そうでなければそれほど寄与はしないということになりますが、我々、地帯別でどんな品種構成になるかまでは把握ができておりませんで、このぐらいにとどめざるを得ないということになります。
県によりまして特定の品種、例えば岩手県ですと「銀河のしずく」というのが今後増えていくと思われますけれども、これはいわゆる業務用ではなくて、むしろ特Aという高品質の種類というふうに聞いておりますので、急激に作付けが増えるようなことは多分ないと思っております。
岩手県におきましては、そういった品種構成の要因もさることながら、どちらかというと東北の太平洋沿岸でのやませの影響が基本的になくなっている。

〇黒田委員
そうでないと、単収の増にはつながらないですか。

〇生産流通消費統計課長
そうですね。

〇黒田委員
局所的には、あるかも知れませんね。

〇生産流通消費統計課長
ええ。
それで天候が非常に安定していて、これが千もみ当たり収量の増加に寄与しているということで、今回2年連続で1kg上げてはどうかという提案をさせていただいているところでございます。

〇雨宮座長
お米の用途は、確かに黒田委員おっしゃるように、業務用の用途が増えていますので、各県の戦略としても業務用対応をどうしていくかということで、売り方はもちろんですが、生産部門でもいろいろと工夫がこれからなされていく。
今のところ極端に収量の大きな品種を大々的に作付けするというようなことにまだなっていませんから、全体の収量を引き上げるまではいってないと思いますけれども、今後少しそういうところも注視をしていく必要があるのかなという気がいたします。
他にご意見いかがでしょうか。
平澤委員、どうぞ。

〇平澤委員
資料4につきましては意見、それから資料5、本日はご説明いただきませんけれども、質問がありますので、させていただきたいと思います。
各県の平年収量の上げ幅、あるいは下がる県については特に意見はありませんが、理由につきましての記述を少し考えていただいたほうがいいと思われる点がありますので、申し上げたいと思います。
例えば、13ページの東京のところをご覧いただければと思います。
3番の技術水準の動向で、番号を振って整理されておりますが、1番目は平年収量に対する近年の収量の推移、それから2番目が品種構成、それから3番目が収量構成要素からみた時の収量の動向の説明となっていると思いますが、東京の場合はちょっと分かりにくい記述があります。
他の県でもいくつかありますけれども、東京を例にして申し上げますと、1番目のところは平成22年以降、比較的順調に推移している。
これだと大変分かりにくいので、恐らく平年収量に比べて近年は高めに推移しているということになると思います。
それから、3番目のところも近年の登熟期間における平均気温が安定している。
これもやはり収量構成要素からするとよく分からないので、これはなくても良いと思います。
特に入れたい記述があれば、もう少し収量構成要素、あるいは収量にかかわる内容の変化を載せないと分からないと思います。
ご検討いただきたいと思います。
これは公表されますので、分かりにくい記述ですと少し困ると思います。
それから、次は質問ですけれども、資料5について、各都道府県の栽培技術指導方針というのが記載されておりますが、長野県をみますと、コスト削減のための疎植栽培等の指導が行われているという記述がありますけれども、私が疎植傾向について認識しておりますのは、労力などの問題で、全体として疎植にせざるを得ない、そういった条件の下で生産者が取り組んでいる。
研究者や技術指導者のほうは、それに対してどの程度疎植が可能かという検討を行い、何とかその傾向をつかもうとしていて、特に県として疎植を奨励しているというのは余り聞いたことがありませんでした。
何年か前に長野県にこの作況委員会が調査に行った時も、やはり現場として疎植の傾向があって、これがどのような影響を及ぼすことになるのか、研究者の方、技術の方、少し懸念しているようであった印象を受けました。
それがこういうふうに現在は変わってきているのかと、この資料を拝見して思いました。
最近はそういうふうな技術の認識の仕方がされているのかをお聞きしたいと思います。

〇解析班担当課長補佐
我々、平年収量の取りまとめに当たりまして、都道府県とか農業団体から栽培技術等に係る指導方針等を聞いているところでございますけれども、その中で長野県につきましては、低コスト稲作の推進というものを進めておりまして、疎植だけではなく、直播栽培の推進とか、施肥の効率化によるコスト削減とかというものがありまして、その中の1つとして疎植栽培の推進というものが挙げられているということで、報告が上がってきているところでございます。
もう1点の資料の書き方につきましては、資料4につきましては今回非公開となりますが、今後改めさせていただきたいと思います。
以上でございます。

〇平澤委員
4については、これは内容は非公開ですか。

〇解析班担当課長補佐
はい。
今回は非公開とさせていただきました。

〇生産流通消費統計課長
昨年は公開したんですが、一部の協力していただいている団体のデータにそもそも非公開のデータが含まれていまして、今回からはこの資料4そのものについて非公開扱いにさせていただいております。

〇平澤委員
分かりました。
公開、非公開、いずれにしても収量のすう勢の解析ですので、もう少し正確に。

〇生産流通消費統計課長
そうですね。
そこは丁寧な書き方にしていきたいと思っています。

〇雨宮座長
では、吉永委員、どうぞ。

〇吉永委員
2つご質問があります。
1つ目は先ほど来の品種のことなんですけれども、私、委員をさせていただいて3年目ぐらいなんですけれども、よく見ていて、はたと気づいたんですけれども、平年収量というのは次年度の収量の予測というか、そういう形なんですね。

〇生産流通消費統計課長
そうです。

〇吉永委員
そうすると、品種の話になると、次年度は例えば他種品種がさらに増えることが予想されていたら、それを盛り込まれているということですね。

〇生産流通消費統計課長
盛り込んで、考えるということです。

〇吉永委員
はい、分かりました。
ありがとうございます。
それに関して、先ほど資料4は非公開ということであったんですけれども、そういう意味で見ると、ちょっと記述で現時点で気になったのが、新潟県の「こしいぶき」ですか。
ある程度長いレンジで見ると、「こしいぶき」は上がっているんですね。
「コシヒカリ」にかえて。
私はちょっとたまたま新潟にいるものですから、それを感じているんですけれども、ぐっと上がってきたんですけれども、ここ数年値崩れというか、ちょっと値段も下がったことでここ数年下がっていて、次年度ちょっと下がりそうな感じなので、この記述、収量水準の高い「こしいぶき」は増加傾向にあるというのがどうかなというのが私のほうの指摘、15ページがあります。
それが1つ目です。
あと2つ目は、算定方法のほうでちょっと教えていただきたいところなんですけれども、あくまで、昨年すごくとれたというのは気象がよかったからとれた。
平年収量というのはあくまで平年的な気象の場合ということで補正されるということですけれども、通常、平年値というと、今だと1980年から2015年ですか、かと思うんですけれども、そこの平年に補正する時の気象の条件というのは、この場合はいつの条件になっているんでしょうか。
かなり1990年代ぐらいから平年値といいますか、気象、温暖化傾向が進んできて、平年値も上がる傾向にあると思うんですけれども、とるところの平年値によって平年差というのが何か変動するのかなと思ったり、その点を教えていただけたらと思います。

〇解析班担当課長補佐
補正の方法は平均値からの補正ということですので、昭和54年からの平均値からとっている。
補正につきましては、昭和54年からのアメダスデータということでございまして、それの平均からずれている、ずれていないというところでとっているところで、まずアメダスデータをもらいましたら、平均値を出すわけですので、それで補正しているという式になっておりますので、通常、気象庁が使われる平年値とは若干違うということでございます。

〇吉永委員
でも、昭和54年なら30年か。

〇生産流通消費統計課長
38年ぐらいに。

〇吉永委員
直近まで入った平均。

〇解析班担当課長補佐
そうですね。

〇吉永委員
分かりました。
ありがとうございます。

〇解析班担当課長補佐
それともう1点の「こしいぶき」の関係でございますけれども、「新之助」も増加しているというところでございますけれども、やはり「こしいぶき」の増加ということが新潟の収量水準を上げている要因ということを踏まえまして記述させていただいたところでございます。

〇雨宮座長
よろしゅうございますか。
中園委員、どうぞ。

〇中園委員
生産事情の中身を見ますと、特に北のほうの収量が上がっているところで、割とどの県でも登熟期間における平均気温が安定しているという基準が漏れなく入っているんですが、これは、例えば図3のグラフが各県についていますけれども、どういう根拠というか、そういうのをお聞きしたいんですけれども。
例えばこの赤い線がありますね。
これが有意に上昇していないということでこういう判断をされているのか、また別の判断基準があるのか、もしありましたら教えていただきたいんですけれども。

〇解析班担当課長補佐
この点につきましては、図3の平均気温のところの赤い線でございますけれども、プラス・マイナス40日間の平均気温をとっているところでございますけれども、ここが、例えば冷害みたいに下がったりとかいうことがなく、安定しているというところで安定しているという表現を使わせていただいているところでございます。

〇中園委員
そうしますと、何ていうのかな、全体で線を引っ張っちゃうと、どの県も安定しているということになっちゃいますよね。
ことさらにこれを記述している県と、ない県があるというのがよく分からないので、何か変動係数とかそういうので出せたらすっきりするかなと思うんですけれども、難しいですか。

〇解析班担当課長補佐
もう1つの記述している内容としまして、通常のただ安定しているというところと、あと、北のほうにつきましては千もみ収量が上がっている要因として安定していると記述しているところでございまして、そのところで若干上向きというところで記述させていただいているところでございます。

〇雨宮座長
どうぞ。

〇山岸委員
温度のお話が出ていたところなので、1点お聞きしたいなと思っているのは、千葉県で出穂期が早まっている。
収穫期は変わらないから登熟期間が長くなっているというのがあるんですけれども、いや、温度を見ますと、登熟後期の温度がプラス・マイナス40日とか登熟前期より低い県がかなり多いんですけれども、千葉県の場合は登熟後期の温度もかなり高くて、何で登熟期間が延びたのかなというのを疑問に、温度も高いのに延びているのかなとちょっと疑問で、もし何か分かっているのでしたら教えていただきたいなと思います。

〇解析班担当課長補佐
申し訳ございません。
ここのところ、ご指摘のとおりでございまして、「長く」という表現だと好ましくないということで、他の委員の方からもご指摘いただきまして、「安定している」という表現に書き直させていただいているところでございまして、登熟期間が長くというのは、雨が長く降ったりとか、そういう要因もございましたので、ここは「長く」という表現を改めさせていただきまして、「安定している」という表現に変えさせていただいたところでございます。
ご説明が遅くなりまして、申し訳ございません。

〇山岸委員
いえ、すみません。

〇生産流通消費統計課長
なぜ登熟期間が長くなったのかというのは、我々もよく分からないんですけれども、想定されることは稲刈りの日をあらかじめ皆さん決めておられて、毎年この時期に稲刈りをする。
一方、天候が非常に気温も高くて推移しているものですから、出穂だけはどんどん早くなってきていて、結果として登熟期間が長くなっているということが1つの要因として考えられるのかなとは思っています。

〇雨宮座長
品質的には影響ないわけ。

〇生産流通消費統計課長
いや、品質はむしろいいんだと思うんです。
そもそも早刈り傾向で、早く出したほうが高く売れるので、早刈りのところは少し米が青っぽくても刈っちゃうという傾向があったと思うんです。

〇山岸委員
じゃ、これぐらい遅い方が品質はいい。

〇生産流通消費統計課長
遅ければ遅いほど、量もとれるし、品質もよくなるんですが、そうなると他県と競合してしまって値段が下がる、そことの兼ね合いなんだろうかと思っています。

〇山岸委員
分かりました。

〇雨宮座長
他にいかがでしょうか。
竹川委員、どうぞ。

〇竹川委員
先ほどの平年値云々でちょっと確認じゃないんですが、式の中身が分からないので、分かりませんけれども、基準はどこにあってもよくて、その年の変動はその基準に比べて気温とか気象の良さ、どこのレベルにありますかというのが分かればいいのかなというイメージがあったんですが、それでいいのか悪いのかよく分からないなら、それでも。
僕のほうが整理ができないのが1つなんですが、それが1つ。
その気象の要素をとった残りでこういう経年変化をとって、スプライン関数をとって、単純にそれが延長して29年にするのではなくて、28年のその値はさらにそこに品種だとか何かその作付がどう寄与しているかという、私にとってはよくわからない関数だか式なんかがあってということなんですかね。
今年の作付面積だの品種の割合は、何かそれぞれの県の動向からまた別のことで推測して、それを当てはめるみたいな。
すみません、分かっていただけたらうれしいんですけれども、そういう理解でいいですか。

〇解析班担当課長補佐
算定方法でございますけれども、その年の平均から気温とかがどのくらいずれているかという、何日間かありますので、その気温からずれているかということで算定しているというところでご理解いただけるんでしょうか。

〇竹川委員
それを除去したものをベースにしていますというのが多分、このグラフなんだと思います。

〇解析班担当課長補佐
そうですね。
赤いグラフになります。

〇竹川委員
例年変動は相当小さくなって、気温だけじゃないと思うんですが、気温の変動がほとんど現れなくなって。

〇解析班担当課長補佐
除去されているということです。
このパラメータ中にあるんですけれども、気温の平均、最高、最低と、日照時間と降水量と風速というものとで、出穂前、出穂後中このパラメータ使いまして、どれが影響しているかということで補正をしているところでございます。

〇竹川委員
そうですか。
素人目に見ればそれはただ29年に延長すればいいのかなと。
1つの数字が。

〇解析班担当課長補佐
算出式は延長しているだけでございます。
出された結果につきまして、算定方法の流れ図を見ていただきたいと思うんですけれども、2の算出までは機械的にやってしまいます、プログラム上で。
ですから傾向値というものは出てくるわけでございます。
それを踏まえて、我々としては先ほど来ご説明しました栽培技術とか品種動向で、その傾向値が合っているかどうかということを検証して、今回平年収量としてお示ししているということでございますので、今回の場合につきましては検証した結果、生産事情等によって変更しておりませんので、計算した値をそのままお示ししているというところでございます。

〇雨宮座長
よろしゅうございますか。
完全には計算の中身が分からないところもありますが、他にご意見いかがでしょうか。
平澤委員。

〇平澤委員
先ほどから登熟期間の平均気温の議論が出ていますが、確かに気温だけで片づけるのは簡単かもしれませんが、各県の技術の指導方針を見ますと、かなり土づくりとか、いろいろと生産量を高めるような努力もされていますので、その辺もやはり技術の中に明文化する必要があると思います。
容易でないかもしれませんが、少しそのようなニュアンスを入れて、技術者、生産者が努力していることも分かるような形で記述していただくと大変よろしいんでないかと思っていますが、いかがでしょうか。

〇解析班担当課長補佐
この資料につきましては、委員からのご指摘のとおり、定性的な部分は今、記述してないところでございますけれども、収量にかかわるバックボーンとしてあるような定性的なものにつきましては、記述させていく方向で検討したいと思っております。

〇雨宮座長
確かに、平澤委員おっしゃるように、土づくりから始まって、茎数確保をどういうふうに各県やっていくかとか、非常にきめ細かい指導なり農業者の生産管理の努力がありますから、そういう中で少し現場でのヒアリングでもいろいろと特徴的なところは拾っていくような努力もしていかなきゃいけないなということで、事務局よろしいでしょうか。

〇生産流通消費統計課長
資料5のほうには、栽培指導方針のところには土づくりとか、そういったところも書いているんですけれども、資料4のほうにはそういった記述がちょっと抜けている部分も確かにあると思います。
今後そういった資料の作り方等では工夫をしたいと思っています。

〇雨宮座長
黒田委員、どうぞ。

〇黒田委員
千もみ当たりの収量が右肩上がりで上がっているという形の説明が多いんですけれども、青森の4ページに載っかっている、岩手も宮城も福島もですけれども、平成9年から15年ぐらいのところと、それ以降という形で見ると、それ以降は結構横にえいやと引っ張ったほうが、千もみの収量の推移としては妥当なのかなというような気がするんですけれども。
結局、平成9年から15年ぐらい。
まあ15年は東北の場合だと大きな冷害で千もみ収量自体がくんと下がっているということですけれども。
あと、それ以降、平成16年辺りからの動きということで見ると、そんなに右肩上がりに上がっているようには見えないというか、見ないほうがいいんじゃないかなというような気がしていたんですけれども、その辺は。
平成9年から見ると確かに上がっているようには見えなくはないと思うんですけれども。

〇解析班担当課長補佐
委員のご指摘のとおり、その点を調べましたところ、福島等につきましては横ばいになっているというところで、その他の北海道、青森、岩手、宮城では16年からトレンドを見てもわずかながら上昇しているところは確認しているところでございます。
福島等につきましては、確かにご指摘のとおり、横ばいではございますけれども、やはりここは長期的な観点で見て、平年収量を決めておりますので、長期的トレンドで見ているところで、この期間ということで見ているところでございます。

〇雨宮座長
その他、ご意見いかがでございましょうか。
よろしゅうございましょうか。
ちょっと委員からも今後のことについてのご指摘などもありましたので、また順次改善すべきところは改善していただくとして、取りあえず29年産の10a当たり平年収量につきましてはご意見一巡したようでございますので、事務局のほうはいかがでございましょうか。

〇生産流通消費統計課長
我々、資料作成に当たりまして、多少文章等で、ちょっと言葉が足りないようなところもございまして、大変申し訳ないというふうには思っておりますが、今後の反省として資料づくりに生かしていきたいと思っております。
先生方には熱心にご議論いただきまして、ありがとうございました。
提案させていただきました29年産水稲の10a当たり平年収量につきましては、おおむねご了解が得られたものと思っております。
最終的には今回いただきましたご意見等も踏まえて、私どもとして決定をいたしまして、公表に向けていきたいというふうには思っております。
それで、本日は公開でこの委員会を開催しておりますけれども、平年収量の公表におきましては、委員会が終了後、事務的な手続を行いまして、明日の15時に公表するという形にしたいというふうに思っております。
従いまして、それまでの間はこの数字につきましては案の段階ということでございますので、情報管理につきましてはくれぐれもよろしくお願いしたいというふうに思っております。
私からは以上でございます。

〇雨宮座長
最後に、議事の3番、その他ということですが、事務局から何かありましょうか。
特段ないということですので、それでは議事を終了いたしまして、マイクを事務局にお返ししたいと思います。
どうも皆様ありがとうございました。

〇総括担当課長補佐
委員の皆様におかれましては、熱心なご議論をいただき、誠にありがとうございました。
なお、冒頭お願いしたとおり、傍聴者におかれましては資料No.4を回収させていただきますので、よろしくお願いいたします。
それでは、以上をもちまして平成28年度第3回目の水稲の作柄に関する委員会を終了とさせていただきます。
どうもありがとうございました。