このページの本文へ移動

農林水産省

メニュー

水稲の作柄に関する委員会(平成29年度第1回)議事概要

1 開催日時

平成29年8月4日(金曜日)  14時00分~17時45分

2 開催場所

農林水産省 第2特別会議室

3 出席者

【委員】
雨宮宏司座長、黒田栄喜委員、竹川元章委員、中園江委員、平澤正委員、山岸順子委員、吉永悟志委員

【ヒアリング対象者】
生産者

  • 佐野 彰俊 (北海道)
  • 小林 達樹  (有)まんま農場 代表取締役(岐阜県)
  • 植田 儀一郎  農事組合法人市原地区布引営農組合副組合長(滋賀県)

県担当者

  • 藤田 雅久 北海道農政部生産振興局技術普及課上川農業試験場 駐在上席普及指導員
  • 山田 隆史 岐阜県農政部農業経営課地域支援係技術主査
  • 徳田 裕二 滋賀県農業技術振興センター農業革新支援部主幹

【事務局】
大臣官房統計部長、生産流通消費統計課長 ほか

4 議事概要

第1部は生産者及び県担当者から本年の水稲の生育・作柄、栽培管理状況等の説明を受けた後、委員との質疑応答・意見交換を行った。主な内容は、次のとおり。


(1)本年の気象と生育・作柄の状況について

  • 北海道では、春先の天候が順調で作業はやや早めに進み、は種作業・育苗・移植・活着と順調に進んだが、6月が低温・日照不足となり初期生育は良くなく、初期茎数はやや少なかった。7月に入り天候が良くなったことから、回復してきている状況ではあるが、地域により生育に差があり、特に旭川以北では茎数が少なく、もち米においては9割程度となっており、穂揃いが悪く遅れているところ。近年発生している高温による白未熟粒も今のところは少ないのではないかと考えているが、今後の台風の影響を懸念しているところである。
  • 岐阜県では、中山間地域ではコシヒカリを中心としているが、5月上中旬の移植ではあまり影響がなかったが、5月下旬からの移植では6月の低温の影響により、分げつが進まず茎数が少なかったり、草丈がやや短かった。その傾向を6月以降も引きずっており、7月は高温で推移しやや回復したものの、茎数がやや少ない状況である。なお、出穂は高温で推移したため2日程度早かった。平坦部ではハツシモが中心となっており、6月移植が中心となるため大きな初期生育への影響はあまりなく、7月に入って日照がやや少なかったところがあるが、草丈がやや伸びて葉色がやや濃いめに推移している状況。なお、6月の時点で一部渇水があったが、降雨の影響で回復しているところ。また、ごく一部の地域でいもち病が発生している状況である。
  • 滋賀県では、田植期に天候が安定しており苗の活着が非常に良かったことにより茎数が多い状況となっているが、草丈はやや短く推移している。なお、移植直後の高温により還元障害が発生し、生育が遅れた地域もごく一部あるが、全体的には順調に経過している。気温の推移は、5月は高く、6月に入ると平年を下回り、7月は平年を2℃程上回っており、生育が進んだり停滞したり進んだりを繰り返している。病害虫について、いもち病はほとんど発生しておらず、カスミカメムシ類は過去5年の中で一番多く発生している状況なので注意喚起を生産者に行っている。出穂期は早生品種は4日程度早く、通常お盆の少し前に出穂する中生品種は1週間程度早くなっている状況で、生育が早いということを実感しているところ。高温が続くと白未熟粒や胴割れが発生するので心配している。

(2)稲作技術の展開方向が作柄・収量に及ぼす影響について

ア 疎植化、施肥体系の変化等の稲作技術の展開が作柄及び収量に及ぼす影響について

  • 疎植について、中山間地では気温が低めであるため、ある程度株数を植えないと必要な茎数が確保出来なくなるので、従来の栽植密度を維持している。
  • 疎植は試験的にやってみたが、初期生育が良くないと分げつが足りないので6月の天候頼みだった。条件次第であるが、初期生育が良いところでは、通常より収量が多くなる場合もある。

イ 規模拡大、コスト削減、新品種の導入等経営の方向性が作柄及び収量に及ぼす影響について

  • 密播は一部では導入されてきているのではないか。
  • 一昨年までは直播面積を増やしてきていたが、出芽が不安定で雑草が多かったため、移植栽培に戻し本年は面積が減った。一度、移植栽培に戻してしまうと、直播栽培には戻せないだろうと感じているところ。
  • 湛水直まき(鉄コーティング)を試験的に導入したが、発芽が良かった。少しずつやっていけるのかなという目処がたった感じ。
  • コスト削減の面で、疎植化はこれからの課題であると認識している。技術的には理解出来るが、まだ農家の理解が追いついていない状況なので、通常の栽植密度を継続しているところ。

(3)主食用米の需要が減少しているなかで、飼料用米の導入も含め、水田経営をどのように考えていくのかについて

  • 飼料用米だけではなく加工用米を拡大していきたいと考えている。
  • 中山間地域では良食味の米生産をやっていくしかないと考えている。これから日本を支えてくれる若い人々においしいお米を食べていただいて、将来、米農家を支えてくれる消費者になってもらいたいという思いで頑張っていきたい。
  • 水稲・麦・大豆を中心に、JAとの連携を図る中で飼料用米の話が出てくれば導入したいと考えているが迷っているところ。また、園芸作物も水田経営に入れて地域の雇用も図りながら地域農業に還元していきたい。

第2部は統計調査の的確な実施や今後のあり方等に関して、生産者と質疑応答・意見交換を行った。生産者からの主な意見は、次のとおり。

  • 調査のタイミングは、夏場より税務申告が終わったあたりの時期の方がデータを整理しているので回答しやすいと思う。また、青色申告をやっている人などは年度(4月~翌年3月)より、暦年(1月~12月)の方がわかりやすいと思う。
  • 国からの依頼より、市町村などの地元自治体からの依頼の方が身近なので回答しなければという気持ちになる。
  • 調査に協力したこともあるが、その結果がどう集計(発表)されたかは生産者のところには届かない。回答した生産者に調査結果を還元すれば少しは協力も得られやすくなるのではないか。

PDF形式のファイルをご覧いただく場合には、Adobe Readerが必要です。
Adobe Readerをお持ちでない方は、バナーのリンク先からダウンロードしてください。

Get Adobe Reader