第3回(平成31年3月14日)議事録
1.開催日時
平成31年3月14日(木曜日)14時00分~16時05分
2.開催場所
第2特別会議室
3.出席者
(委員)雨宮宏司座長、荒井裕見子委員、黒田栄喜委員、竹川元章委員、平澤正委員、山岸順子委員、吉永悟志委員
(事務局)大臣官房統計部長、生産流通消費統計課長 ほか
4.議事
1.平成30年産水稲の作柄について
2.平成31年産水稲10a当たり平年収量(案)について
3.その他
5.議事録
〇石田生産流通消費統計課長補佐(総括)
定刻となりましたので、ただいまから平成30年度第3回目の水稲の作柄に関する委員会を開催させていただきます。
委員の皆様におかれましては、大変お忙しい中をご出席いただきまして誠にありがとうございます。本日の司会を務めさせていただきます生産流通消費統計課の石田でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
本日の委員会につきましては、平成31年産水稲の10a当たり平年収量につきまして皆様より意見を賜りたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
それでは、委員会の開催に当たり、大杉統計部長からご挨拶を申し上げます。よろしくお願いいたします。
〇大杉統計部長
大臣官房統計部長の大杉でございます。委員の皆様方、こんにちは。
年度末の大変お忙しい時期にもかかわらずお集まりいただきまして、改めて感謝申し上げたいと思います。
水稲作況調査に関連してでございますが、ご案内のとおり、平成30年産から行政による生産数量目標の配分を廃止したわけでございますが、したがって、米政策というものは需要に応じた主食用米の生産を行っていく、そのために、きめ細かな情報提供、あるいは、各都道府県の状況に応じてでございますけれども、備蓄米の価格を主食用米として販売した場合の価格に遜色のないレベルで政府が買い入れることで推進していく、また、実需者との間で播種前契約を進める、複数年契約を進めるといった形で進めていく必要があると考えているわけでございます。
統計部で実施をしております水稲作況調査についても、引き続き調査結果を提供していくことになるわけでございます。本日の議題にあります平成31年産水稲の10a当たり平年収量についてでございますが、これは作況指数を出すためのデータでありますけれども、そのほかにも農業災害補償制度の基準収量等、各種施策の基礎資料として活用されている重要なデータであります。委員の皆様方におかれましては、さまざまな見地から忌憚のないご意見をいただきたいと思っております。
まず、冒頭に情勢報告をさせていただきたいと思います。着席で話をさせていただきます。
農政改革が進んでおります。2016年11月に取りまとめました農業競争力強化プログラムを実現するという観点から、一昨年の通常国会で8本の法律を成立させることができたわけでございます。そのうち、一昨年8月1日には、農業競争力強化支援法が施行されております。森林・林業改革も進んでいます。昨年の通常国会では、森林経営管理法を含め、農林水産関係9本の法律が成立をしております。
今次通常国会には農林水産関係4本の法案を提出しておりますけれども、そのうちの1本が国有林野管理経営法の一部改正法案でございます。水産改革の方も進んでおります。一昨年4月28日に、その後10年程度を見通した新水産基本計画が閣議決定されまして、その末尾に、数量管理等による資源管理の充実や漁業の成長産業化等を強力に進めるために必要な施策について、関係法律の見直しを含め、引き続き検討を行うと記述がされたわけでございます。
これを受ける形で、規制改革推進会議水産ワーキンググループや与党、自民党の水産合同会議等での議論を経て、昨年6月1日の活力創造本部における活力創造プラン改訂として水産政策の改革について盛り込まれたところであります。昨年の臨時国会では、漁業法等の一部改正法が成立をしたところでございます。
通商関係の方に目を向けてみますと、一昨年11月10日にTPP11協定が大筋合意され、昨年3月4日に署名がされました。協定承認、関連法案の昨年の通常国会での審議を経まして、我が国は昨年7月6日に批准をしたわけでございますが、TPP11協定の発効規定に従いまして、昨年12月30日に発効しております。
一方、日EU・EPAの方でございますが、一昨年12月8日に交渉が妥結しまして、昨年7月17日に署名をしております。昨年の臨時国会で協定承認、それから関連法案、これはGI法改正法案でございますが、それらの審議を経て12月21日、外交上の公文の交換を行い、今年2月1日に発効しております。
こういった流れの中で、一昨年11月24日には、総合的なTPP関連政策大綱の改定が行われておりますし、その年の12月21日には日EU・EPA、そしてTPP11協定の政府統一影響試算、経済効果分析でございますが、これが公表されているわけでございます。
もともと内政と外交は一体でございます。各種の統計調査については、農林水産行政の改革に立脚した各種の政策改革の立案、それから実行フォローアップに貢献できるよう改革を進めてまいりました。統計部が所管する基幹統計、一般統計が28あるわけですが、その全てについて、以上申し上げたような観点から検証しまして、抜本的な見直しによる拡充を行うこととしたわけでございます。もちろん同時に今の統計データの利活用状況ですとか、あるいは他の行政データ等で代替することができるのではないかという代替可能性等も考慮しながら、統計調査の合理化も推進していくこととしているわけでございます。
統計調査の見直しによる拡充の代表例を少し紹介しますと、まず、2020年農林業センサスでございますが、家族経営体と組織経営体を合わせた全体としての労働力を把握しようと、これがなかなかこれまでできておりませんでしたので、家族経営体の世帯員と同様に、組織経営体の60日以上従事役員、構成員、こういう家族経営体の基幹的農業従事者に相当する概念を打ち立てまして、その性別、年齢、従事日数階層等を把握していこうと、また、家族経営体、組織経営体の常雇いについても性別、年齢等を把握していこうというものでございます。農業生産関連事業への従事状況も把握します。青色申告の実施、有機農業への取組、農業へのデータ活用といったことについても調査をしていきます。
次に、漁業センサスでございますが、漁業経営体調査に関しては、販売金額が大きい漁業種類ですとか、販売金額が大きい魚種を調査する等、漁業種類、魚種の把握を充実させていきます。また、団体経営体についても、経営主、船長、漁労長、機関長、養殖場長といった役職員の性別、年齢、従事日数等を新たに調べることとしたわけでございます。
他方、海面漁業地域調査に関してですが、従来934漁業を対象にしていたものを2,200程度の地元地区を対象とすることに改めまして、従来の漁業管理組織調査を統合する形で資源管理の取組の調査を充実させ、また、新たに、企業参入、漁業権放棄等を議題とする会合の開催状況ですとか、ブルー・ツーリズム等の活性化の地域活動を調査することとしたわけでございます。
それから、営農類型別経営統計調査、農畜産物生産費統計調査については、担い手層のデータを充実させ、経営政策に活用するという観点から、規模階層別の区切りを大規模階層で増加させ、個別経営の大規模階層と組織法人経営の標本数を拡充します。それから、個別経営体についても、組織経営体について従来からやっています農業生産関連事業を含めた全体の営業利益を取りまとめるようにします。また、組織法人経営の農畜産物生産費統計調査を実施していない品目が数多くございまして、二条大麦、六条大麦、てんさい、さとうきび、でん原ばれいしょ、なたね、生乳、肉専用種の肉用子牛、和牛肥育牛、乳用雄肥育牛、交雑種肥育牛等について、個別事例調査として実施することとしております。
さらに、食品流通段階別価格形成調査についてですが、青果物、水産物について、卸売市場、産地卸売市場を経由する場合における、消費者が最終的に購入する小売価格に占める生産者の受取価格の比率を出していたわけですが、こういった、卸売市場、産地卸売市場を経由しない流通経路も含めて販売形態ごとに把握するために、生産者に対する調査を追加して、流通経路別の生産者受取価格の割合を把握していこうというふうに改めるものでございます。
統計調査においても、技術革新を取り入れていくことは極めて重要でございます。統計部では、水稲作況調査において、地方統計職員等による水稲の草丈、株数、1株当たり茎数の出穂前の実測調査を行うほ場数の2割程度の削減を目指して、気象データ、人工衛星データを利用した水稲作柄予測手法について、2017年度、2018年度の検証結果によりまして標本数の削減を行っていこうというものです。2020年8月15日現在の水稲作況調査、遅場地帯から実施をしていこうと考えております。
また、地方統計職員等によるほ場での水稲の草丈、株数、1株当たり茎数、穂数、1穂当たりもみ数の出穂後の計測ですとか収穫期における、いわゆる坪刈り調査の作業を軽減する観点から、タブレット端末等でほ場を撮影して、AIを利用して画像解析を行う、これにより単収を測定する手法を開発しようということで、一昨年の12月から画像解析に関する先端技術を有する企業等との勉強会を実施しているところでございます。今後、民間事業者を選定してプロトタイプモデルを作成していく考えであります。
さらに、地方統計職員等による作物統計調査、特定作物統計調査の実測の作業を軽減する観点から、人工衛星画像データをAIにより解析し、農作物の種類ごとの作付面積を把握する手法の確立について、31年度予算で実施していこうと考えております。
加えて、筆ポリゴンにおける農地の形状、面積、地目の情報を毎年更新できるように、今は1年で5分の1、5年で一巡ということですけれども、毎年更新できるように、AIを使って人工衛星画像データの変化を特定する手法の開発に向けて産業技術総合研究所との勉強会を実施してきております。実証実験を昨年11月から開始しておりますが、今後民間事業者を選定してプロトタイプモデルを作成することとしております。
以上、情勢報告をさせていただきました。繰り返しになりますが、本日の委員会におきましては、委員の皆様方から様々なご意見を頂戴したいと思います。この委員会が実りのある場となるよう期待をいたしまして、冒頭のご挨拶とさせていただきます。どうもありがとうございました。
〇石田生産流通消費統計課長補佐(総括)
報道機関の皆様方にお伝えいたします。カメラ撮りにつきましてはここまでとさせていただきますので、これ以降の撮影はご遠慮願います。また、カメラ撮りのみの方はここでご退室願います。
なお、本日の委員会は、紙の席上配付は最小限としてタブレットパソコンにて資料をご覧いただく形にしております。席上には、議事次第、配付資料一覧、委員名簿、座席表の4枚を置かせていただいております。タブレットパソコンのデスクトップには資料No.1から5まで、参考の1、参考資料のNo.2-1、2-2を保存しております。なお、資料No.4につきましては、一部分委員限りで非公開の取り扱いとさせていただいておりますので、傍聴者の方は申しわけございませんが、非公開部分を除いた資料としておりますので、よろしくお願いいたします。資料に不足等がございましたら、お近くの事務局員にお知らせください。
また、本日もですけれども、タブレットの起動がうまくいかないということがございましたら、会議の最中でございましても事務局員にお知らせください。
なお、本日の委員会につきましては公開により開催いたします。また、議事録につきましても出席者の皆様に事前にご確認いただいた後に公表いたしますので、あらかじめご了承願います。
本日提案します平成31年産水稲10a当たり平年収量につきましては、本日のご議論を踏まえて私どもとして最終判断を行い、所要の手続を経て、明日15時を公表予定としております。それまでの間の情報管理にはくれぐれもよろしくお願いいたします。
それでは、これからの議事進行は雨宮座長にお願いいたします。よろしくお願いいたします。
〇雨宮座長
こんにちは、雨宮でございます。
委員の皆様、大変お忙しい中お集まりをいただいてありがとうございます。円滑な議事に努めたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
それでは、早速ですけれども、事務局から提出資料の説明をお願いしたいと思います。
まず、最初に平成30年産水稲の作柄についてお願いいたします。
〇吉村生産流通消費統計課長補佐(普通作物統計班)
作況調査を担当しております吉村でございます。本日もどうぞよろしくお願いいたします。
私からは、資料No.1の水稲の作柄についてという資料をご説明させていただきたいと思いますので、端末のほうのご用意をいただければと思います。
説明資料とは別に、委員の皆様のお手元には例年ではありますけれども、本年の調査結果や気象データ等を収録しました作柄及び被害状況という冊子をお配りしております。あわせまして、作況指数、収量、一等米比率等の累年データにつきまして、タブレット端末の資料2-1としてお付けしておりますので、必要に応じてご確認いただければと思います。
それでは、資料についてご説明させていただきます。表紙から次に移りまして、1枚目のスライドをご覧いただければと思います。1枚目のスライドは、全国と都道府県別の作況指数となります。30年産の全国平均の作況指数につきましては、ご案内のとおり98となったところですが、北海道、新潟県、秋田県、山形県、いわゆるお米の主要地帯の作柄が悪く、特に北海道におきましては作況指数90といった結果となったところです。
もう一枚スライドを動かしていただきまして、2ページ目、右下に2と書いてあるものをご覧ください。2ページ目からは、ブロック別の作柄の特徴を整理したものとなっております。
まず北海道についてですが、北海道は、低温・日照不足の影響により分げつが抑制され、穂数が少なくなったことによって全もみ数が少ないとなったことが作柄が不良となった最大の要因となりました。
次に東北ですが、東北は、先ほどの日本地図にもありますとおり、太平洋側と日本海側で作柄が分かれた年となったところです。日本海側の秋田県においては、登熟は平年並みであったものの、全もみ数がやや少ないとなった影響により、また、山形県においては、全もみ数は平年並みとなったものの、登熟がやや不良となったこと、こういった影響により東北全体として見れば作柄がやや不良となったところです。
続いて北陸となります。北陸につきましては、富山県は作況指数102、また、石川県、福井県は平年並みの作柄となったところですが、新潟県については、全もみ数がやや少ないとなったことに加えて、8月下旬以降の日照不足の影響により登熟が抑制されたこと、こういった結果から作況指数95の不良の年となったところです。
もう一枚スライドを進めていただきまして、関東になります。関東の各県については、田植期以降おおむね天候に恵まれたということもあり、もみ数も平年並み以上に確保され、全もみ数が多いことによります相反作用のほかにも、日照不足や登熟初期の高温の影響等が確認されているものの、栃木県、群馬県は作況指数102、その他の県においてもおおむね平年並みの作柄となったところです。
続いて、東海、近畿、次のスライドになりますけれども四国についてでございます。これらの地域は、全もみ数がおおむね平年並み以上に確保されたものの、8月下旬以降の日照不足の影響により登熟が抑制されたことから、作況指数はいずれも98となったところです。
また、4枚目のスライドになりますが、中国地域は平年並み、若干色が濃くなっている九州は102となり、九州は全もみ数が非常に多く確保されたということでこういった結果となったところです。
続いて5ページ目をご覧ください。
5ページ目は、9月3日に開催した第2回の委員会において、委員の皆様から頂戴した留意事項をまとめております。その際、1点目として、7月中旬以降の例年にない高温について、高温や水不足等が及ぼす影響に留意すべきとのご意見、2点目が、北海道の関係ですけれども、北海道については6月中旬から7月中旬の低温・日照不足の影響について、その後の気象条件も踏まえつつ、もみ数、登熟への影響を見きわめる必要があるとのご意見。3点目は、平成30年7月豪雨や台風等による作柄の影響について留意すべきとのご意見。そして4点目が、病害虫の発生状況に留意すべきとのご意見をいただいたところです。それぞれのご意見に対応する形で以下、資料を整理させていただいております。
まず、7月中旬以降の例年にない高温の影響ですが、5ページ目から8ページにかけて収量構成要素と気象データについて整理水稲の作柄に関する委員会して、最後の8ページ目の下段に簡単なまとめをしています。
北海道を除いて、田植期以降、おおむね天候に恵まれたことから、全もみ数は全国的に平年並み以上に確保されたところですが、他方、登熟については、もみ数確定期、本年産も9月15日現在で調査していますが、もみ数確定期の調査以降、全国的に作柄が低下基調となりました。これは8月下旬以降の日照不足の影響により登熟が抑制されたことが主な要因ととらえていますが、その中で高温の影響がどの程度の影響を与えたのかを調査結果から見きわめることは非常に難しいところです。
なお、生育ステージの早い茨城県、千葉県等におきましては、登熟初期に最低気温が高い日が多かった影響により、粒の肥大が抑制されたものと考えているところです。
続いて、9ページ目にお進みください。
9ページ目は、北海道の低温・日照不足の影響についてです。先ほどの作柄の概要の際もご説明したところでろですが、全もみ数が少ないとなったことが作柄が不良となった最大の要因です。一方で、登熟については、減数分裂期がおおむね高温で経過したことから稔実は平年並みとなり、粒の肥大・充実も9月以降の天候が順調に推移したため、登熟は平年並みとなったところです。
10ページへお進みください。
10ページ目は、台風等による作柄の影響を整理しています。まず、平成30年7月豪雨の影響についてですが、土砂流入等の発生したほ場において甚大な被害となったところですが、全体として見れば被害程度は限定的であったと考えております。また、その後の台風につきましても、局地的な被害は発生したところですが、被害程度は限定的であったととらえているところです。
最後に、11ページ目は、病害虫の発生の関係です。
本年産は、病害について平年を下回る被害となっており、虫害についてもカメムシ、ウンカ等の発生が平年に比べて少なく、大きな被害は確認されていないところです。
なお、今申し上げた簡単なコメントにつきましては、資料最後の12ページ目の下段に簡単にまとめをしています。30年産の水稲の作柄については非常に駆け足となりましたけれども、以上となります。
〇雨宮座長
ありがとうございました。
ただいま作柄の状況について説明がありましたけれども、皆様からご質問、意見等あれば適宜お願いいたします。
黒田先生、どうぞ。
〇黒田委員
東北全体として見れば秋田、山形の作柄が悪かったということで、東北全体としては99ということですけれども、太平洋側においても実際の収量を聞いてみると、例年に比べると必ずしも100と言われても実感がないということをよく聞きます。そのことの要因としては恐らく気象の経過、8月の中旬、9月上旬には、一時期天気がよかった時期はありますけれども、登熟全体として見ると全般的に登熟が必ずしも評価できるような日照を得られなかったのではないかと思います。実際、試験ほ場ということで小さい面積ですので全体を把握するには不足かとは思いますが、去年の収量調査の結果なんかを見ていても登熟は必ずしも平年並みとは行かなかったのではないかという感じはしています。それについては、全体として見れば問題ないということなんでしょうか。とりわけ太平洋側。
〇吉村生産流通消費統計課長補佐(普通作物統計班)
ありがとうございます。委員ご指摘のとおり、登熟が必ずしもよかった年であるという認識は持っておりません。やはり8月下旬以降、全国的に日照不足で経過しましたので、全もみ数がもともと確保された地域においては登熟が悪かったもののなんとか平年並みにとどまったととらえており、登熟はいずれにしましても良好な年ではなかったと認識しているところであります。
委員ご指摘にありましたとおり、今年は収量実感との差を非常に多くご指摘いただいたところで、国が出している公表結果と自分たちが持っている実感がかなり乖離があるといったご指摘を数多くいただいた年でありました。ただ、我々としましては、いい年も悪い年も実際に刈り取りを行った結果を最終的に整理させていただいておりますので、そこに調査方法に違いがあるとかはないわけです。やはりこういった前半はよかったんですけれども、後半失速して収量が伸び悩む年というのはこういったご意見を頂戴する機会が多いんだろうと思っていますが、まず一つは、地域によって違いはあるものの、平成23年産以降、平年並み以上の作柄が続いておりますので、地域においては作柄の良い直近年との比較でお考えになることもあるのではないかと思っています。
もう一点が、作況指数については、今ふるい目ベースで算出させていただいているところなんですけれども、ふるい目ベースにつきましては、農業地域ごとに9割以上の生産者の方が用いられているふるい目で設定しているところで、県別に見ていきますとより大きなふるいが使われているのももちろん実態としてありますので、そういった意味ではふるい目幅との関係で今年のように中米が多い年になると若干ギャップが生じてしまうのかなと。
もう一つ加えさせていただきますと、これは確たることではないんですけれども、米政策の見直しが行われまして、今年はその初年度の年となったところです。まず1つ目としましては、直接支払い交付金が廃止となったことと、あわせまして、飼料用米等の作柄調整の関係につきましても、28年度に制度が創設されて以来、初めての不作の年になったということで、この作柄調整は所得に直結することになりますが、飼料用米のデータがないため、どうしても作況指数を用いざるを得ないということで、そういった観点からも非常に作況指数に注目をいただいたんだろうと思っています。
そのような中で、先ほど申し上げたような2つの要因等によりまして、実感とのギャップがあるといったご意見を頂戴したものと考えているところです。
〇雨宮座長
現場の農家さんの実感とのギャップみたいなことを詳しく説明いただきましたけれども、今年のやはり気候の推移が非常に長い期間にわたってボディブローのようにじわじわと効いてきたというところがございますよね。北海道もそうですが、東北、それから北陸、それから太平洋側の必ずしも作柄がよくなかったところは穂数、分げつ、もみ数、それから登熟を見てみると非常にボディブロー的な影響のような感じがしますけれども、いかがでしょうか。何か今年の特徴的な。
〇吉永委員
今年夏の暑さで最高気温の更新があったりして、地域にもよると思うんですけれども、農家さんの実感というのはおそらくというか、農家さんの収量に対する実感というのは実際のコンバインに入ったところの実感の場合と、その後、調整して色彩選別機をかけて実際に出荷する部分の実感と両方とあると思うんですね。
後者の場合は、多分今年は高温だったので登熟未熟が多くて、歩どまりが悪かった場合があるかと思うので、そのイメージで作柄は平年だけれども、今年は出荷量としては実際の色選にかけた後の出荷量としては総体的には減ってしまったという実感を持たれている場合があるのではないかなというふうにちょっと思いました。
ただ、今ご説明いただいた5ページのところの例えば岩手、宮城とか東北太平洋側ですね。作況は101であれですけれども、品質的にも悪くはないんですよね。ということで、そこをちょっと矛盾というか、全国的なところではそういう品質低下が関係するのかなと私は思いますけれども、ただ、それは東北太平洋側には当てはまらないので、ちょっとまた違う要因もあるのかなとちょっと思いました。
以上です。
〇雨宮座長
ほかの委員の皆様、いかがでしょうか。
それでは、また気づかれたときにご質問、意見等お出しいただいても結構ですので、次に、平成31年産の水稲の10a当たり平年収量について、事務局から説明をお願いいたします。
〇北村課長補佐(解析班)
生産流通消費統計課の北村でございます。よろしくお願いいたします。では、座って説明させていただきたいと思います。
私からは資料2から5についてご説明いたします。まず資料2、水稲10a当たり平年収量の算定方法についてをご覧いただきたいと思います。
委員の皆様は既にご承知ですが、傍聴いただいている皆様もおられますので説明させていただきたいと思います。
1の平年収量の定義でございますけれども、平年収量につきましては、10a当たり平年収量はその年の気象の推移や被害の発生状況などを平年並みとみなして、実収量のすう勢をもとにして、その年に予想される10a当たり収量としております。ご留意いただきたい点につきましては、気象や被害を平年並みとみなすこと、過去の実収量、今回の算定では昭和54年から平成30年までの実収量をもとに算定されているというところでございます。
2の算定方式でございます。10a当たり平年収量は、昭和54年以降の10a当たり実収量をその年の気象や被害発生状況等を平年並みとみなし、補正した数値のすう勢をもとにしてその年に予想される1.70mmふるい目幅基準の10a当たり平年収量を作成するもので、結果として栽培技術の向上や品種構成の変化等は考慮されているというものでございます。
作成に当たりましては、スムージング・スプライン関数という回帰を用いて算定を行っているところでございます。また、毎年3月に、今回の会でございますけれども、有識者の意見を拝聴した上で決定しているところでございます。
なお、生産現場における米の生産流通実態等を踏まえまして、平成27年産よりこの算定方式で導き出された1.70mmふるい目幅基準の10a当たり平年収量をもとに、当該農業地域における9割以上の農家等が実際の選別に使用しているふるい目幅別の重量割合を乗じて、農家等が使用しているふるい目幅10a当たり平年収量を算定するよう改善を図ったところでございます。
平年収量の利活用については、3に書いてありますように、作柄の良否をあらわす作況指数の母数として使っているということと、そのほかに農作物の共済事業における共済基準単収の算定などに使われているところでございます。
平年収量の具体的な計算方法につきましては、次のページをご覧いただきたいと思います。先ほど申し上げましたとおり、算出のもとになりますのは10a当たり実収量ということで、1.70mm基準の昭和54年産から30年産までの実収量と、あと、気象補正を行いますので、気象庁からアメダスデータのご提供をいただきまして、それをもとに算出しているというところでございます。
一番上のグラフにありますように、昭和54年からの実収量があります。いろいろな冷害でありますとか、台風の被害でありますとか、さまざまな気象要因によりましてかなりでこぼこしているところでございます。そこにそのままスムージング・スプラインを引きますと、気象の影響を受けたトレンドの曲線になってしまいますので、これを回避するため、1の下の不規則な効果を除去する作業を行い、一旦補正収量を求めてスムージング・スプライン曲線で引くというやり方をしております。
気象効果を除去する際には、気象庁が観測しているアメダスデータを補正しております。実収量と平年値の差を用いて補正するということにしております。
なお、気温につきましては、温暖化の影響を反映させるため、北日本、東日本、西日本ごとに年ごとの上昇度を加味した平年値を採用しているところでございます。
この補正された数量というのが赤い丸印で引かれているものでございます。この補正されました実収量をもとにより滑らかな形でトレースするためにスムージング・スプライン関数を用いまして長期的すう勢を導き出す曲線を描き、翌年産の収量を予測したというところでございます。
導き出された平年収量が妥当であるか否かを近年の栽培技術や品種など、生産事情により検証しまして、丸3にありますように、本日ご提案申し上げます平年収量につきまして各知見をお持ちの委員の方からご意見を拝聴いたしまして、1.70mm基準の平年収量を決定してまいりたいというところでございますので、本日はよろしくお願いいたします。
それをもとに当該地域ごとに9割以上の農家が玄米選別に使用しているふるい目幅の重量割合を乗じて、農家等が使用しているふるい目幅の都道府県別10a当たり収量を決定していくこととなっております。
続きまして、資料No.3でございます。資料No.3をご覧ください。こちらが先ほど説明しました算定方法により導き出されましたふるい目幅1.70mm基準の10a当たり平年収量(案)というものになります。
全国値は1kg増の533kgとなります。今回全国値が1kg増加した要因といたしましては、作付面積が大きい新潟等の平年収量が増加したところによるものでございます。
なお、全国値の算出方法につきましては、今回変動した県と変動しなかった都道府県の平年収量を直近年の作付面積で加重平均を行い、算出しております。
次に、都道府県でございますが、前年産から変動があった都道府県は11県ございます。全ての県で増加となりました。青森県プラス2kg、岩手県プラス1kg、宮城県プラス2kg、福島県プラス1kg、群馬県プラス3kg、千葉県プラス2kg、新潟県プラス1kg、富山県プラス2kg、和歌山県プラス2kg、広島県プラス3kg、長崎県プラス2kgで、それ以外の都道府県については昨年と同じ平年収量となっております。
2ページ目をご覧ください。
今年産の主な増加した要因を整理しているところでございます。主な要因といたしましては、品種別作付面積割合の変動、全もみ数の増加等に寄与する栽培技術の普及・定着によるものでございます。
各県別の要因を説明したのがこの表になります。詳細につきましては、資料No.4で説明させていただきたいと思います。
3ページ目をご覧ください。左側には1.70mm基準ベースの平年収量、右側が農家等が使用しているふるい目幅ベースで導き出しました平年収量案ということになっております。
なお、1.70mm基準ベースの平年収量をもとに導き出しました農家等が使用しているふるい目幅ベースによる31年産の平年収量でございますけれども、全国値で前年同様の519kgとなっております。多くの農家の使用しているふるい目幅は平均値で使用しておりますので、1.70mm基準ベースで変動がなかった県の平年収量でも変動している県がございます。
続きまして、資料No.4の説明をさせていただきます。
資料No.4でございますが、資料の構成につきましては昨年と同様に、1として、近年の実収量と平年収量との関係、2として、品種別作付面積割合、栽培技術の動向、収量構成要素といった近年の生産事情の動向、委員限りの資料となりますが、3として、スムージング・スプラインの算出結果、4といたしまして、収量水準の動向といった構成になっております。
まず、青森県でございます。青森県につきましては、昨年に引き続き31年は2kg増加の592kgと算定されました。図1は近年の10a当たり収量と実収量との関係を示したものでございますけれども、平年収量を上回って推移しているという状況でございます。
2の生産事情でございます。品種別作付面積割合の動向をご覧いただきたいと思います。
グラフは25年から30年の品種別作付面積割合の動向をあらわしたもの、表は収量水準と各年の作付割合を示したものです。品種構成の動向を見ると、近年「つがるロマン」が減少傾向、「まっしぐら」が増加傾向となっております。
(2)では、栽培技術等の動向ということで、青森県につきましては、育苗箱全量施肥についての文字情報ですが、施肥後30日程度の肥効抑制期間で分げつが抑制され、慣行栽培に比べ穂数の減少傾向が強いことから、即効性肥料もあわせて施用する農家があるということであります。そのほかは記載のとおりでございます。
次のページ、表3は作柄表示地帯別の収量水準ということで、作付面積割合を示しております。大きな変化はございません。
近年の作柄でございますが、表4、最近の作柄を見ますと、全もみ数が多い状況となっております。表5の収量構成要素を見ますと、平成21年から25年と26年から30年の各5中3で比較した結果を見ますと、千もみ当たり収量は減少したものの、1平方メートル当たり全もみ数が3.6ポイント増加したため、10a当たり玄米重は0.8ポイント増加しております。全もみ数が増加した要因につきましてはなかなか評価するのが難しいんですけれども、気温等の関係もございますが、品種構成の変化、全もみ数を確保するための肥培管理、水管理等の技術の進展等があると考えております。
3のスムージング・スプラインの結果でございます。
これは、先ほど説明したスムージング・スプラインを用いて算出された1.70mmベースの平年収量の算出結果となります。結果は592kgとなり、前年の平年収量と比べプラス2kgという結果になっております。
4の収量水準の動向でございます。表6、7は先ほどの2の近年の生産事情で説明した表2の品種作付面積割合の動向、表3、作柄表示地帯別作付面積割合の動向に31年の見込み面積10a当たり収量試算値の対前年差を追加した表となっております。
表6の品種別作付面積割合の動向を見ますと、収量水準の高い「まっしぐら」が増加傾向にあります。また、近年、1平方メートル当たりもみ数が増加している等から収量水準は向上するものと見込まれたとしたところで、引き続き算定結果にありますようにトレンドとして増加していくというところを見込んだというところでございます。
全もみ数の増加の向上要因としておりますのは、先ほど申し上げたとおり、気象や品種構成等のものもございますけれども、肥培管理や水管理等の栽培技術の進展も全もみ数の増加に寄与しているということで、要すれば栽培技術の進展というものが全もみ数であらわされるのではないかということで、その全もみ数が増加していくということは収量の増加にもつながっていくと考えましてここに記述しております。ちょっとわかりづらい説明で申しわけございませんが、全もみ数の増加を記入している事由は以上でございます。
続いて、岩手県です。岩手県につきましても昨年に引き続き増加し、31年は1kg増の537kgと算定されました。図1を見ますと、実収量はおおむね平年収量を上回って推移しております。
2の近年の生産事情等でございます。品種別作付面積割合の動向を見ますと、「ひとめぼれ」が7割を占め、「あきたこまち」が減少傾向にあります。また、岩手県のオリジナル品種で収量水準が高い「銀河のしずく」の作付が増加しているという状況でございます。
(2)の栽培技術等の動向ということになりますけれども、記載のとおり安定生産と品質向上の指導がされているというところでございます。
次のページ、作柄表示地帯別の作付面積割合でございますが、大きな変化は見られないというところでございます。
近年の作柄でございますけれども、表4の最近の作柄を見ますと、近年は全もみ数が多い状況となっております。
表5、収量構成要素を見ますと、先ほどと同様な比較をいたしますと、1平方メートル当たり全もみ数が増加しているという結果になっております。
3のスムージング・スプラインの結果でございます。結果は537kgとなり、前年の平年収量と比べ1kg増という結果になっております。
続いて、収量水準の動向でございます。表6の品種別作付面積割合の動向を見ますと、収量水準の高い「銀河のしずく」が引き続き増加する見込みであること等から、収量水準は向上するものと見込まれているとしているところでございます。
続いて、宮城県です。宮城県につきましても昨年に引き続き増加し、31年産は2kg増加の536kgと算定されました。
近年の10a当たり収量等の水準でございます。図1を見ますと、実収量はおおむね平年収量を上回って推移しているというところでございます。
2の近年の生産事情でございます。品種の動向を見ますと、「ひとめぼれ」が7割を占め、近年収量水準の高い「つや姫」及び「萌えみのり」が増加傾向にあります。
(2)では栽培技術等の動向ということですけれども、高温による登熟不良及び異常低温による障害不稔による品質・収量低下を軽減させるため、遅植えを推進しているところであります。
次のページの作柄表示地帯面積割合を見ますと、大きな変化は見られないというところでございます。
近年の作柄でございます。表4、最近の作柄を見ますと、近年、全もみ数が多い状況となっております。表5、収量構成要素を見ますと、同様の比較をしますと、千もみ当たり収量は減少したものの1平方メートル当たり全もみ数が増加したため、10a当たり玄米重も増加しております。
3のスムージング・スプライン結果でございます。結果は536kgとなり、前年の平年収量に比べ2kg増となっております。
4の収量水準の動向でございます。表6の品種別作付動向を見ますと、「ひとめぼれ」は減少傾向であるものの、収量水準の高い「つや姫」及び「萌えみのり」が増加傾向であること、あわせまして近年、1平方メートル当たりの全もみ数が増加していることから、収量水準は向上するものと見込んでいるところでございます。
続いて、福島県です。福島県につきましても昨年に引き続き増加し、31年は1kg増の545kgと算定しているところでございます。
近年の10a当たり収量等の水準でございます。図1を見ますと、平年収量を上回って推移しているところでございます。
2の近年の生産事情等でございます。1の品種別作付面積割合の動向を見ると、「コシヒカリ」及び「ひとめぼれ」で約8割を占め、収量水準の高い「天のつぶ」が増加傾向にあります。
(2)の栽培技術の動向というところでございますけれども、記載のとおりでございます。
次のページ、作柄表示地帯別の動向でございますけれども、大きな変化は見られません。
(3)近年の作柄でございますが、表4を見ますと、近年は全もみ数が多い状況となっております。表5、収量水準の構成要素を見ますと、同様の比較をいたしますと、千もみ当たり収量は減少しておりますけれども全もみ数が増加しており、結果として玄米重が増加しております。
3のスムージング・スプラインの結果でございます。結果は545kgとなり、前年の平年収量と比べ1kg増となりました。
4の収量水準の動向でございます。表6の品種作付割合の動向を見ますと、収量水準の高い「天のつぶ」が増加傾向であること、近年、全もみ数が増加していること等から、収量水準は向上すると見込んでいるところでございます。
続いて、群馬県です。群馬県につきましては、28年以来3年ぶりの増加で、31年は3kg増加の498kgと算定されました。近年の10a当たり収量等の水準でございますが、図1を見ますと、実収量はおおむね平年収量を上回って推移しております。
2の近年の生産事情等でございます。品種別作付面積割合の動向を見ますと、収量水準の低い「ゴロピカリ」が減少し、収量水準の高い「ゆめまつり」が増加傾向にあります。
栽培技術等の動向ということになりますけれども、記載のとおり、高温に強い栽培方法での指導等が行われております。
次のページ、作柄表示地帯別作付面積割合でございますが、大きな変化は見られません。
近年の作柄でございますが、表4の最近の作柄を見ますと、全もみ数が多い状況となっております。
表5、収量構成を見ますと、同様の比較をいたしますと、千もみ当たり収量は減少したものの全もみ数が増加しているという状況でございます。
3のスムージング・スプラインの結果でございます。結果は498kgとなり、前年の平年収量と比べ3kg増となっております。
4の収量水準の動向でございます。表6の品種別作付割合の動向を見ますと、「ゴロピカリ」が減少傾向であるものの、収量水準の高い「ゆめまつり」が増加傾向であること、近年全もみ数が増加していること等から、収量水準は向上するものと見込んでいるところでございます。
続いて、千葉県です。千葉県につきましては、昨年に引き続き増加し、31年は2kg増加の542kgと算定されております。図1を見ますと、実収量は平年収量を上回って推移しております。
2の近年の生産事情でございます。品種別作付面積割合の動向を見ると、「コシヒカリ」が6割を占めており、近年は収量水準の高い「ふさこがね」及び「ふさおとめ」が増加傾向にあります。
栽培技術等の動向ということですけれども記載のとおりでございまして、もみ数確保の徹底が指導されているところでございます。
次のページ、作柄表示地帯別作付面積割合を見ますと、大きな変化は見られません。
近年の作柄でございますけれども、表4、最近の作柄を見ますと、全もみ数が多い状況となっております。
表5、収量構成要素を見ますと、同様の比較をいたしますと、千もみ当たり収量は減少したものの全もみ数が増加したため、10a当たり玄米重が増加しております。
3のスムージング・スプラインの結果でございます。結果は542kgとなり、前年の平年収量と比べ2kg増となっております。
収量水準の動向でございます。表6の品種別作付面積割合の動向を見ますと、収量水準の高い「ふさこがね」及び「ふさおとめ」が増加する見込みであること、近年、全もみ数が増加していること等から、収量水準は向上するものと見込んでいるところでございます。
続いて、新潟県です。新潟県につきましては、29年以来2年ぶりの増加で、31年産は1kg増の544kgで算定されました。近年の10a当たり収量の水準でございます。図1を見ますと、実収量は天候不順だった27年、29年、30年を除き、平年収量を上回っている状況でございます。
2の近年の生産事情でございます。品種別作付面積の動向を見ますと、収量水準の高い「ゆきん子舞」が増加傾向にあります。
栽培技術等の動向ということですけれども記載のとおりでございまして、品種に応じた登熟確保が可能な時期の田植え、早生品種の健苗育成と適期田植えによる初期分げつの確保、晩生品種の特性に応じた栽植密度の移植等の指導がされているところでございます。
次のページ、作柄表示地帯別作付面積割合の動向を見ますと、大きな変化は見られません。
近年の作柄でございますが、表4、最近の作柄を見ますと、全もみ数は29年、30年を除きおおむね多く、登熟は26年、27年を除きおおむね平年並み以上となっております。
表5の収量構成要素でございます。同様の比較をいたしますと、千もみ当たり収量は減少したものの全もみ数が増加しているという結果になっております。
表3のスムージング・スプラインの結果でございます。結果は544kgとなり、前年の平年収量と比べ1kg増となっております。
収量水準の動向でございます。表6の品種別作付面積の動向を見ますと、収量水準の高い「ゆきん子舞」が増加傾向であること、全もみ数が増加していることから、収量水準は向上するものと見込んでいるところでございます。
続いて、富山県です。富山県につきましては、29年以来2年ぶりの増加で、31年産は2kg増の542kgで算定されました。近年の10a当たり収量等の水準でございます。図1を見ますと、実収量は平年収量を上回って推移しております。
2の近年の生産事情等でございます。品種別作付面積の動向を見ますと、「コシヒカリ」偏重の是正から、収量水準の高い晩生種の「てんこもり」が増加傾向にあります。
栽培技術の動向ということになりますけれども、富山県につきましては、平成25年から栽植密度70株の確保、適期中干しによる根の健全化と過剰なもみ数の防止、出穂後20日間のかん水管理による稲体活力の維持、生育、気象条件に応じた穂肥施用等の指導がされているところでございます。
富山県については、作柄表示地帯は県のみとなっております。
近年の作柄でございます。表3の最近の作柄を見ますと、全もみ数はおおむね多く、登熟もおおむね平年並みの状況となっております。
表4の収量構成要素でございます。同様の比較をいたしますと、千もみ当たり収量は減少したものの全もみ数が増加したため、玄米重が増加しているという結果になっております。
3のスムージング・スプラインの結果でございます。結果は542kgとなり、前年の平年収量と比べ2kg増となっております。
4の収量水準の動向でございます。品種別作付面積割合の動向を見ますと、収量水準の高い晩生種の「てんこもり」が増加傾向であることと、あと、平成25年から植栽密度70株の確保が進んだ結果、1平方メートル当たり株数が増加し、全もみ数も増加している状況となっていることから、収量水準は向上するものと見込んでいるところでございます。
続いて、和歌山県です。和歌山県につきましては、22年以来9年ぶりの増加で、31年産は2kg増の497kgと算定されております。近年の10a当たり収量水準でございます。図1を見ますと、実収量はおおむね平年収量を上回って推移しております。
2の近年の生産事情でございます。品種別作付面積割合の動向を見ますと、近年収量水準の高い「きぬむすめ」が増加傾向となっております。
栽培技術等の動向ということですけれども記載のとおりでございまして、関係機関の移植時期、植栽密度、水管理、施肥方法の試験・研究の成果に基づく普及・指導、登熟期の高温回避のための遅植え指導がされているところでございます。
和歌山県については、作柄表示地帯は県のみとなっております。
近年の作柄でございますが、表4、最近の作柄を見ますと、全もみ数がおおむね多い状況となっております。
表5の収量構成要素でございますが、同様の比較をいたしますと、千もみ当たり収量は減少したものの全もみ数が増加したことにより、10a当たり玄米重は増加している状況でございます。
3のスムージング・スプライン結果でございます。結果は497kgとなり、前年の平年収量と比べ2kg増となっております。
4の収量水準の動向でございます。表6の品種別作付面積割合の動向を見ますと、収量水準が高い「きぬむすめ」が増加傾向であること、全もみ数が増加していること等から、収量水準は向上するものと見込んでいるところでございます。
続いて、広島県です。広島県につきましては、19年以来12年ぶりの増加で、31年産は3kg増の526kgで算定されております。1の近年の10a当たり収量等の水準でございます。図1を見ますと、実収量は平成28年以降、平年収量を上回って推移しております。
2の近年の生産事情でございます。品種別作付面積動向を見ますと、近年「ヒノヒカリ」が減少傾向にあり、収量水準の高い「あきさかり」が増加傾向にあります。
栽培技術の動向ということですけれども記載のとおりでございまして、広島県が作成した栽培基準に沿って肥培管理、水管理などの基本管理技術の高位水準化の指導が行われているところでございます。
次のページ、作柄表示地帯別の作付面積割合でございますが、南部地帯が減少し、北部地帯が増加傾向となっております。
近年の作柄でございます。表4の最近の作柄を見ますと、平成28年以降、登熟がよい状況となっております。
表5の収量構成要素を見ますと、同様の比較をいたしますと、広島の場合については全もみ数が減少したものの、千もみ当たり収量が増加しているという結果になっております。
3のスムージング・スプラインの結果でございます。結果は526kgとなり、前年の平年収量と比べ3kg増となっております。
4の収量水準の動向でございます。表6の品種別作付面積割合の動向を見ますと、収量水準の高い「あきさかり」が増加傾向であること等から、収量水準は向上するものと見込んでいるところでございます。
最後に、長崎県です。長崎県につきましては、29年以来2年ぶりの増加で、31年産は2kg増の482kgで算定されました。近年の10a当たり収量の水準でございます。図1を見ますと、実収量が上回って推移しております。
近年の生産事情等でございます。品種別作付面積割合の動向を見ますと、「ヒノヒカリ」への集中を避けるため、ヒノヒカリが減少傾向にあり、収量水準の高い「ニコマル」及び「なつほのか」が増加傾向にあります。
栽培技術等の動向でございますが、記載のとおり、品質に加え食味に重点を置いた栽培技術について、今後各地に導入している成分分析計の数値結果をもとに、改善技術の普及・徹底を図る。穂肥につきましては、水稲の生育状況に応じた分肥体系による施肥の推進をしているところでございます。
次のページの作柄表示地帯別作付面積の動向でございます。壱岐・対馬及び収量水準の低い地帯につきましては、作付面積割合が減少傾向にあり、収量水準の高い南部地帯の作付面積割合が増加傾向となっています。
近年の作柄でございますが、表4、最近の作柄を見ますと、平成28年、登熟が悪いものの全もみ数が多い状況となっております。
表5、収量構成要素でございますが、同様の比較をいたしますと、千もみ当たり収量は少なかったものの全もみ数が増加し、玄米重が増加するという結果になっております。
3のスムージング・スプライン結果でございます。結果は482kgとなり、前年の平年収量と比べ2kg増加となっております。
4の収量水準の動向でございます。品種別作付面積割合の動向を見ると、「ヒノヒカリ」が減少傾向にあるものの、収量水準の高い「にこまる」及び「なつほのか」が増加傾向にあること、全もみ数が増加していること等から、収量水準は向上するものと見込んでいるところでございます。
以上、変動のありました県における主な要因を挙げさせていただきましたが、参考までにそれ以外の変動のなかった都道府県の生産事情につきましても、資料No.5に記載しております。そのほか参考資料2-1、2-2がございますが、資料No.5とこちらの参考資料につきましては、説明を割愛させていただきます。
簡単ではありますが、私からの説明は以上でございます。
〇雨宮座長
ありがとうございました。
ただいま平年収量について事務局からの説明がございました。31年産の水稲の10a当たり平年収量につきましては、ただいまの事務局案に対する委員の皆様の意見を踏まえて農林水産省のほうで決定するとされております。委員の皆様からご意見、ご質問等がありましたらよろしくお願いします。
どうぞ、荒井委員、お願いします。
〇荒井委員
ちょっと個別ではないんですけれども、全国レベルで考えると年々少しずつですけれども収量水準が向上していると思われるんですけれども、近年で言えば収量が600kg超え、多くて700kgというような業務加工用のものが結構水稲の品種が出てきていますけれども、一部ではかなり普及が進んできているように思われるんですけれども、このような収量レベルの高い品種の普及拡大が進んでいくと、単収の向上へどの程度影響しているのかなというところが少し疑問なんですけれども、影響はある程度あると考えるのか、それとも今回お示しいただいたように、コシヒカリを初めとする主要品種の栽培面積がかなりを占めていることを考えると、いまだそういう単収のものの業務加工用の水稲の収量向上への影響力は小さいと考えているのか、その点について、もしわかれば教えていただきたいんですけれども。
〇雨宮座長
事務局、よろしいですか。
〇北村課長補佐(解析班)
今のご質問の件でございますが、業務用の品種がどのような影響になっているかというところでありますけれども、それにつきましては、品種の作付面積割合動向の見込みというところを見ていただきたいんですけれども、青森で、この中には主なものしか記載していないんですけれども、その中で面積割合が一定程度ありますと、そこは反映されているということでございます。それが徐々に普及されてきますと、その影響というものも徐々に反映されてきますけれども、それが突然一気に入ってくるというふうになりますと、そこはこのスプラインでは反映しきれませんので、そのときにはまた委員の皆様からご意見等を賜りながら、その反映をどうするかということは検討していかなければいけないと思っております。
〇雨宮座長
結果として反映されるということだと思います。1問目はよろしいですか。
いくつかご質問があるようでしたが、よろしいですか。
では、黒田委員、お願いします。
〇黒田委員
本来であれば、11日の締め切りまでに意見として出さなければいけなかったんですけれども、ちょっと時間的なこともありましてちょっと教えていただきたいと思います。岩手とか群馬かな、あと新潟については、収量構成要素の一番下のところの10aの収量が21年から25年の5中3と、26年、30年の5中3の比較で、100を超えているところが大体はそれぞれの収量レベルが1kgから2kg、ないしは3kgぐらい上がっているということかと思います。先ほど話した岩手、群馬と新潟については、各県の表5の収量構成要素のところで示されている玄米収量の比率で見ると、マイナス0.7ですか、新潟だとマイナス1.4、群馬だとマイナス0.8というようなところで収量が、群馬についてはプラス3kgというような結果になりますということかと思います。確かに全もみ数は広島を除いて各県とも3%~4%ぐらい県によっては増えていると、それがベースになって登熟が平年並みに期待できるということで、各県ベースで2kgないしは3kgぐらい、多いところだと3kgぐらいプラスになりますよということなんですけれども、収量構成要素上の玄米収量が5中3、それぞれの5年間のうちの3年平均で見て少しマイナスになっているようなところでも単収が上がるというような評価というのは今までも大体そういうような形で評価されていたんでしょうか。
あと、広島については収量構成要素のところを見ると、5中3の21年から25年と26年から30年の玄米収量ベースで見るとプラマイゼロということですけれども、全もみ数はマイナス1.4ポイントぐらいになっていて、確かに千もみ収量はもみ数の減を補って余りあるぐらい増えているということで単収レベルはプラス3と評価したということですが、その辺かなり細かい判断されているということなんでしょうか。
〇雨宮座長
表5の収量構成要素の実績と平年収量との関係かと思いますが、事務方。
〇北村課長補佐(解析班)
ご指摘のとおり、ここのところの評価というのは非常に難しくて、我々もどう評価していくかというところで少し考えさせていただいていたんですけれども、この収量構成要素の中には気象要因というものも多く入っておりますので、それを置いてどのように考えていくかということで少し考えさせていただいたというところでございます。
その場合に、品種構成の変化で、例えばもみ数の計数が多い品種が入ってきたりとか、あるいは青森にあったとおり、過去の施肥のところで少しもみ数確保するために即効性の肥料を与えたりするというところで、もみ数を大分確保するような技術というものが普及してきたんではなかろうかということで、全もみ数のほうについては今後もそういう技術で確保されていくので、少し収量の向上要素として考えられるのではないかと判断したところでございます。
ちょっと千もみのほうにつきましては、気象、日較差等の影響等もありますので、ちょっとそこら辺までは考えられなかったというところで、全体と玄米重はマイナスになっているんですけれども、全もみ数がプラスになっているところについては今後も確保されていけば収量は上がっていくんじゃないかということで要因として挙げさせていただいたというところでございます。
〇黒田委員
そうすると、去年の8月中旬ぐらいから9月の後半ぐらいまで、ある半旬ないしは中旬なら中旬、平年よりも日照時間が長かったと、でも、その前、あるいはその後の半旬ないしは10日の日照不足みたいなことが繰り返されて、登熟歩合が下がるような話になると随分違った結果になるということも考えなければいけないんじゃないかと思います。ただ、平年並みの気象経過で推移するということを言われると確かにもみ数が、ある意味では分げつ期の穂数が疎植にもかかわらず1穂数が同じか、あるいは少し増えているという県が多いということで、全もみ数は着実に少し、一、二%かもしれませんけれども、増えるということが見込めるということで、あと、登熟が平年並みで推移するということであれば、各県でも青森だと「まっしぐら」ですか、県としても収量水準が今までの品種なんかに比べるとかなり評価の高い品種になっているかと思いますが、それが作付面積としても増えていることを見込んでいるということであればわかるような気がします。ただ問題なのは10aの玄米収量、収量構成要素から推定される玄米収量を前半の5年と、後半の5年で比較したときに、マイナスになっているようなときにあえてプラスと評価するというのは、後でいろいろ問題が起こるような気がするんですけれども、ただ、技術的なところを評価してこうされているということであればわかりますけれども。
〇雨宮座長
何か補足ありますか、事務方、よろしいですか。
〇北村課長補佐(解析班)
黒田先生のおっしゃるとおり、技術的な面を評価して入れておりますので、ちょっと気象は平年並みということを考えさせていただいておりますので、この収量構成要素の結果と若干異なる考え方かもしれません。
〇雨宮座長
黒田先生、よろしいですか。
平澤委員、どうぞ。
〇平澤委員
スムージング・スプラインで予測したということで、恐らく傾向としてはこのとおりだと思います。そうなりますと、稲作技術として確実にレベルが上がっているということが示されていると思いますが、技術の改善内容がどの辺のところにあるのかというのが大変気になります。共通するのはもみ数が増えているというお話でしたけれども、もみ数の中で特に穂数が増えているところが大部分で、穂数を増やす要因としては植付け株数と1株穂数になりますけれども、株数が増えているのは富山県で、あとの県は同じか、あるいは少し減っています。そうすると、株数は減っているにも、関わらず穂数を増やすことで収量を上げているということ、収量構成要素はお互いに関係しますので、そんなにすぐには言えませんけれども、でも、確実に穂数を増やす、ほかを減らさないで確実に穂数を増やしている、1穂当たりもみ数が減っていますけれども、その分は穂数で相殺することで収量が増えているということになります。作柄委員会に出させていただいて、いつも当該年の予測をするときに、穂数の確保というのが本当にできるのかどうかが議論になりますが、6月の気象条件がなかなかすぐれない年が多くありますが、そのような中でも穂数を確保しているということは、やはりある種の技術が全国的に確立されているというような印象を受けます。品種によっているだけではないとこの資料からは思われますが、稲作技術としてどの辺のところが全国的に定着しているのかについて、ご検討なさっていたらお聞きしたいと思います。近年、株数が減っているということが言われています。実際収量の上がっている多くの県で株数は増えていない、先ほど言いましたように減っています。
〇北村課長補佐(解析班)
全国的な動きというのは押さえていないんですけれども、全国的に多分緩効性肥料が普及してきておりまして、初期のほうは抑えて後半伸びるようなものがあると思われるんですけれども、青森にありますように、例えば肥培ですと即効性肥料を少し先にやるとか、そういうところで肥培管理でやっていくというようなところでは聞いております。
そういった技術も緩効性肥料の普及とともに出てきているということも踏まえまして、平澤先生がおっしゃったとおりの状況ではないかという、もみ数を、穂数を増やしていくというような感じだというふうには思っております。
〇平澤委員
吉永委員、あるいは荒井委員、実際生産の場面を見ていていかがですか。
〇吉永委員
直接的なあれじゃないんですけれども、関連して先ほど黒田先生から平成21から25と26から30の比較したときにというお話があったんですけれども、気象のトレンドというのはどういうふうに評価されているんですか。前のやつはそのときの気象の、前のこの場合、平成21から25と26から30は気象のトレンド、もととなるトレンドは違うんですね。21から25のほうが前のときのトレンドなので、温度的にはちょっと低いということになるんじゃないかと。
つまり、もみ数への影響というのは栽培技術だけじゃなくて気象の影響が入ってきていると思うんですけれども、それも反映されていると考えているのではないかというふうに思うんですが、特に東北、北海道で最近作況が、今年は北海道が悪かったですけれども全般にいいと。それは5月、6月全般的に気温が高めで穂数が増えやすくてもみ数が確保されやすいというトレンドがあると。それが反映されているということです。平年の条件で気象災害とかがなかったときの収量のトレンドを示しているというお話でしたけれども、気温的な徐々に変化していくあれは、突発的に台風があったとか、冷害があったというのは取り除かれていると思うんですけれども、気象が全般的に高めになってきているということは反映されているというふうに考えていいんですよね。
〇雨宮座長
反映されるというのは、この表の5がですか。表の5の数字。
〇吉永委員
例えばそうですね。例えば、表の5で行けば、21から25の場合の平年の条件と。
〇雨宮座長
この数字と平年の気候をどう見るかというようなことですかね。
〇吉永委員
同じ物を使っているのかどうかと、26から30、21から25と26から30は気象のもととなる気象条件というのは同じ条件を想定して比較しているのかどうかと。
〇北村課長補佐(解析班)
そこまでは想定していなくて、収量構成要素のものは気象効果がそのまま入ったもので、毎年のものが入ったものでやっていますので、平年といいますか、気象効果を除いてあるというようなことはしておりません。ということでよろしいでしょうか。
〇吉永委員
平年収量を出すときの。
〇北村課長補佐(解析班)
スプライン自体は収量構成要素で。
〇吉永委員
表5がトレンドと合ってないというご指摘に対しては。
〇北村課長補佐(解析班)
そのとおりでございます。
〇吉永委員
そういうことですよね。
〇北村課長補佐(解析班)
スプラインのほうは平年並みということで、温暖化の気象効果も入れています。
〇吉永委員
だから、徐々にその平均がずれていっているわけですよね。
〇北村課長補佐(解析班)そ
うです。おっしゃるとおりです。
〇吉永委員
ということは、最近の東北、北日本での生育前半の傾向というのは反映されているということですよね。その結果がもみ数の増加というところに入っている。もちろん品種が変わったり栽培条件というところもありますけれども、気象の変化をもとにしたもみ数増加、収量増加が見込まれるので平年収量の増加もそれに伴う増加が見込まれることでこのプラスがついているということですね。だから、岩手県で言えば21年から25年と26年から30が違っていても全体の気温のトレンド、あるいは品種や栽培条件のトレンドというのがもみ数が増加するトレンドになっているという評価ということですね。整理できているようなできてないような。
〇山岸委員
結果的になっているという話ですね。
〇吉永委員
要は、表の5そのものの数値を見て、図の……
〇雨宮座長
だから、平年の気候で推移したときの数値のトレンドとこの実態のトレンドとのギャップの説明みたいなのが本当は要るかもしれないですね。
〇北村課長補佐(解析班)
そこまでの検討はまだできていないというところでございます。
〇吉永委員
ただ、結果としてはもみ数増加には、増加の要因としては栽培条件、品種だけではないという、気象のその変化が反映されたものというふうに解釈してよろしいですか。ありがとうございました。
〇雨宮座長
山岸委員、どうですか。
〇山岸委員
今のディスカッション、私も非常に不思議じゃないかと思っていたところがあるんですね。株数が全国的に減少していて、皆さん何を心配していたかというと、穂数が多分減って、もみ数が増えて登熟が減るんじゃないかみたいなことを多分教科書的に考えていたと思うんですけれども、そうじゃないかもしれないんですけれども、1平方メートル当たりの有効穂数というのはかなり多く確保されていて、そのための栽培指導というお話だったんですけれども、私もちょっと指導の内容は何なのかというのをちょっと非常にお聞きしたかったのがあるんですけれども、あんまり具体的には把握されていないというようなお話でした。
気象要因というのが、今吉永先生のご指摘でちょっとあったかくなっているというのが入っているということであればちょっと納得しているところもあります。ただ、10年ぐらいそんなに変わりますかね。去年の北海道を見ていますと穂数が圧倒的に足りないで、やっぱり低温のせいというのを理解しますと、全体的には上がっていくのかなというのでちょっと納得しています。ただ、ちょっと最近何年間か、登熟歩合にバツがついているところがすごく多い気がしていて、それはちょっと気にはなっています。これでいいのかなみたいなところがちょっとあって、それだけはちょっとつけ加えさせていただきたいと思います。
〇雨宮座長
一応トータルとしての傾向は大体このような形でというようなご理解でよろしゅうございますか。
竹川委員、どうぞ。
〇竹川委員
先ほどの気温のトレンドですけれども、この前半の5年と後半の5年は必ずしも後ろが高いとは限りません。なので、一個一個確認しながらやらなきゃいけないということなのかなと思いました。100年前の気候と比べれば上がっているといえますが、変動の周期があるので10年間の前後半では必ずしもそうはならないし、東北の太平洋側とかは、夏に関してだけ言えば温暖化トレンドも明瞭ではないので、そういう地域差もあるかなというふうな感想ですけれども思いました。
〇雨宮座長
5年の5中3の比較と、それから、スプラインで補正をしていく際の気象の補正をどうやっているかと、そこもちょっと影響してくるのかなという感じはしますけれども、何か事務方補足ありますか。
〇北村課長補佐(解析班)
今、委員からご指摘のありましたスプラインで用いる気象の変化と、収量構成要素の気象の関係がリンクしていないので少しわかりづらくなっているんだと思われますので、そこはどうしていくかということは難しいところなんですけれども、うまく説明できるような形にはさせていただきたいとは思います。
〇黒田委員
その場合、せっかく前半5年、後半5年のうち収量が両端は特にプラス、あるいはマイナスに引っ張るような年まで考慮する必要はないんだろうと思います。せっかく5中3という形で平均的な収量を実現した3年間を特定しているわけですよね。3年間の気象の傾向だけでも、例えば分げつ期全体の時期ごとにやるとなかなか大変だと思いますけれども、6月なら6月、地域によっても違ってくるのでなかなか作業が増えて大変かと思いますが、茎数が確保されると言われるような期間、1カ月とか1カ月半ぐらいの、3年なら3年、前半と後半の傾向を基本的に押さえるというようなことは、今のアメダスの情報だとそれほど大変ではないんじゃないかなというようなこともありますので、もしその辺も考慮して平年収量を算定するときの参考にしてもらえれば結構精度は上がってくるのではないかと思います。
〇雨宮座長
黒田委員おっしゃったように、スプラインで出す数値を補強するものとして、せっかくこの収量構成要素、10年前の5年と最近の5年で比較の数字などもありますから、そこに少し気象的な説明が加えられるようなことも少し事務方にご検討いただければと思います。
ほかに何か委員のほうからございますでしょうか。
平澤委員、どうぞ。
〇平澤委員
いろいろ指摘されていますが、この平年収量が上がった理由についてご説明いただいた内容は公表されるんですか。
〇北村課長補佐(解析班)
はい。
〇平澤委員
そうですか。そうするとなおさら。
〇北村課長補佐(解析班)
理由は、公表されます。
〇平澤委員
そうすると、やはり……
〇雨宮座長
資料3のレベルで公表するんですか。
〇平澤委員
資料3ですか。
〇雨宮座長
資料3の2ページですかね。だから、もし何か全もみ数への言及もありますので、もし委員からご指摘ありましたら。
〇吉永委員
生産事情のところは、品種の動向とか、あるいは一部栽植密度のところに言及されていて、これはきっちりした統計のデータに基づいた内容のもとにつくられた文言なので、この範囲では全く問題ないというふうに思います。
あと、資料4のほうの細かいところへ行くと、夜間かん水がどうこうとか、そういった話が入ってくるとちょっとあれだと思うんですけれども、この資料3のほうはよろしいのではないかと私は思います。
〇雨宮座長
資料4の細かい分析につきましては、委員からいろいろご指摘をいただきましたので、そういうところを少し反映できる部分は反映して、来年からの補強材料にして、もう少し理解しやすいようなものを事務方のほうでご検討いただければと思います。
資料3のベースでの要因ということでは、主な生産事情による要因ということでよろしゅうございますか。
本日は全委員ご出席ですね。
〇北村課長補佐(解析班)
はい。
〇雨宮座長
ご意見はよろしゅうございますか。
平澤委員、どうぞ。
〇平澤委員
平年収量の利用のされ方についてお伺いしたいのですが、今日の議論は1.70mmの厚さでの平年収量を出しているわけですけれども、実際のふるい目幅での収量が生産計画を立てるときに大きく関わってくるように思いますが、実際のふるい目幅に基づいた平年収量は変わらない。平年収量の増加はゼロですよね、31年度は。そうすると、平年収量の増加は1.70mmベースでは1kg、実際のふるい目幅ベースではゼロということで、国で生産計画を立てるわけではなくなっていますが、実際の全国の実態としてこの数値をどのように使って生産計画を立てているのか、実態がわかれば教えていただければと思います。
〇吉村課長補佐(普通作物統計班)
正確にお答えになれないかもしれませんけれども、当然まず我々が1.70mmベースをターゲットにしているのは、食用に供するものとして、おおむねそれに合致する基準が1.70mm単位以上ということで、米政策のほうを見てみますと、主食用米の需給見通し、この見通しを立てる上では1.70mmベースで全て政策が動いておりますので、そういった意味では1.70mmベースの数値は必要なんだろうと。
作況指数、これ現在はふるい目ベースで出すようになっておりますけれども、作況指数が直接的に使われているということになってまいりますと、今生産調整の制度が見直されまして、以前言っていました主食用米の地域単収、これが飼料用米、加工用米のほうにスキームが移ることとなっておりまして、特に飼料用米につきましては、その年の作柄の変動状況を反映して交付金が交付されるという仕組みになっておりますので、標準的な単収があって、その標準的な単収がとれれば8万円、プラスマイナス150kgで5.5万円から10万円ちょっとまで幅がある交付金が出されるんですけれども、この作柄の調整に関しても1.70mmベースの単収と平年収量を用いて当該年の作柄の状況を判定されるということになっております。
ただ、作況指数が直接的に何かに利用されているかといいますと、指数として言えば直接的に用いられているものはないんだろうと思っております。ただし、国としましては、生産調整の取り組みを地域ごとにやっていくという中において、どれだけ詳しい情報を提供していくことができるのかということが大事になってまいりますので、そういった意味では生産者の方々の実感に伴った数字をどう提供していくのか、また、来年以降の地域単位での見通しを立てる際に、計画をする上でどういった数字の提供のあり方が必要なのか、そういったものも検討しながら数字の情報提供の充実には努めていきたいと思っております。
ちょっと回答になっておりませんけれども、1.70mmベースについては当然活用されていると。ふるい目ベースの作況指数についてもう一度確認して、もし具体的な利活用がこういったものがあるということであれば、後ほどまた改めて補足させていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
〇平澤委員ふ
るい目幅の平年収量は今日の資料にあるような形で公表されているんですか。
〇吉村課長補佐(普通作物統計班)
ふるい目ベースの平年収量は公表しております。
〇平澤委員
わかりました。ありがとうございます。
〇雨宮座長
荒井委員、どうぞ。
〇荒井委員
今日、ご報告いただいた収量とか収量構成要素の調査の結果とか、被害状況の調査の結果があるんですけれども、これ非常に重要な過去からずっとあるデータなんですけれども、今後10年後、20年後を考えたときに、この調査が継続されて行われるかというと非常に難しいというか、労力的に非常にかかるということで難しくなってくるかと思うんですけれども、先ほど一番初めのほうにご説明いただいたように、収量や栽培面積についてはAIを導入したようなことも、導入するような計画もあるということをおっしゃっていたんですけれども、将来的にこの作況指数を出すような調査においてもそういうAIの導入とかを考えられていらっしゃるのでしょうか。
〇雨宮座長
当然、技術の進歩を取り入れてというようなお話かと思いますけれども、事務方、どうぞ。
〇吉村課長補佐(普通作物統計班)
冒頭、大杉統計部長からご紹介がありましたが、おっしゃるとおり、このお米の調査、かなり伝統芸能となっており、真夏の炎天下の中で調査員の方、職員が田んぼをかけ分けて入っていって、穂数、もみ数を手作業で数えるという作業を行っていますのでそういった労力的な面、または精度向上が図れれば標本数の縮減等、そういった面からでもフィードバックされる部分があろうかと思っています。そういった観点から、2つの観点からアプローチしており、1つは予測の関係になりますが、我々も8月、9月、10月と千もみ当たり収量を予測するに当たってはアメダスデータを使って予測を行っていますが、これに人工衛星の気象データ、植生指数、こういったデータを加えることによってより確度の高い予測ができるのではないかということを考えているところです。今年度まで2年かけて委託事業者と研究を行ってきたところでありまして、その結果を踏まえまして、できれば実装するような形で精度の向上と効率化を図ってまいりたいと考えています。
もう一点が、収量構成要素をどう押さえていくかということになってくるわけですが、穂数、もみ数等をタブレット端末等を使って撮影することによって、それをAIのディープラーニングにより、穂数、もみ数がどの程度あるかを計測する。最終的には単収がどの程度あるのかということを開発することができないかということで、これは予算事業として既に公表されておりますが、来年から3か年かけてそういった単収把握のための画像解析技術の開発に着手したいと考えているところです。
〇大杉統計部長
直接関係ないことを含めて若干補足させていただきます。先ほど吉村が説明しました2つの局面というのは、わかりやすく言えば、前者の方は、出穂前に現在地方統計職員が行っている実測調査について、調査を行う箇所数を減らして対応することができないかどうかという観点から、人工衛星データを利用した水稲作柄予測手法を過去2か年の検証結果を踏まえてやっていこうというものです。
後者の方は、出穂後の、穂数、1穂当たりもみ数まで計測する、刈取調査をするという作業の中で、これも地方統計職員等がやっているわけですけれども、ほ場を撮影してAIに解析させて、それで単収の測定を補完していこうと、こういう話でございます。いずれも技術革新を導入した統計調査の効率化、あるいは精度向上というふうにご理解をいただければと思います。
それから、何人かの委員の方から実感と公表された作況指数との間に乖離があるという話をよく聞くという御指摘がありました。私も現場からそういう話を聞いているんですが、どうやら2種類ありそうです。
1つは、10月15日現在の作況指数、これはいわゆる坪刈りをほぼ終えて、つまり、千もみ当たり重量というのを実測した段階のものだということなんですけれども、これが実感に合わないという話。それからもう一つは、9月15日現在の作況指数が10月15日現在のそれと比べると、いわゆる坪刈りをやって千もみ当たり重量を実際に計測しているケースが少ない段階での予測に基づいた、9月15日現在の作況指数が、あまり当たっていないんじゃないかという見方。そういう2種類の声を聞いております。
前者の方については、今私どもが思っていますのは、標本が偏っているんじゃないかというような議論がないわけではないんですけれども、相当数の作況標本筆について坪刈りをした結果で出していますので、その作柄表示地帯の作況指数としては妥当なものが出ているんじゃないかと思っています。実感と違うという話を聞けば、それはその人の10a当たり収量が平均から乖離しているということであって、その作柄表示地帯全体の平均を表しているという話をしているところです。
ただ、後者の方については、つまり、9月15日現在の作況指数については、予測の手法に関して改善の余地があると思っておりますので、私どもとしてもしっかりと勉強していかなければならないと思っています。
先ほど話が出ましたけれども、東北太平洋側、宮城県の穀倉地帯である北部では、9月15日現在の作況指数が103であったにもかかわらず、10月15日現在の作況指数が101に落ちているわけですね。その後気象条件が平年に比べ大きく変わったとは思えないのに、2ポイントも落ちるなんていうことは考えられないというような批判をいただいています。予測について改善の余地があるという認識は私ども持っていますので、しっかりと勉強していきたい、研究していきたいと思っています。
何人かの委員の方からお話があったことに関連してコメントさせていただきました。
〇雨宮座長
部長、ありがとうございました。
それでは、よろしゅうございますか。大体委員の皆様からのご意見一巡したようでございますので、事務局案につきまして事務局のほう、どうでございましょうか。よろしゅうございますか。
〇窪田統計課長
熱心にご議論いただきありがとうございました。
事務局から提案させていただきました平成31年産水稲の10a当たり平年収量ですけれども、少なくともこの資料No.3レベルではおおむねご了解いただいたものというふうに思われますので、最終的にはただいまいただきましたご意見を踏まえまして、速やかに我々として判断し、決定してまいりたいと考えております。
その後、事務手続を行いまして、明日15日に公表したいと思いますので、それまでの間は情報管理についてはくれぐれもよろしくお願いできれば思いますので、どうぞよろしくお願いします。
〇雨宮座長
ありがとうございました。
議事では最後に(3)その他となっておりますが、事務局から何かございますでしょうか。よろしいですか。
それでは、議事を終了いたします。皆様、ご苦労さまでした。マイクを事務局にお返しします。
〇石田生産流通消費統計課長補佐(総括)
委員の皆様におかれましては、熱心なご議論をいただき、大変ありがとうございました。
以上をもちまして、平成30年度第3回目の水稲の作柄に関する委員会を終了とさせていただきます。
どうもありがとうございました。