第1章 食育推進施策等の現状
1 食育推進施策の基本的枠組
1 食育基本法
食育に関し、基本理念を定め、国、地方公共団体等の責務を明らかにするとともに、食育に関する基本的事項を定めており、平成17(2005)年7月に施行。
食育は、生きる上での基本であって、知育、徳育、体育の基礎となるべきものと位置付けられるとともに、様々な経験を通じて、「食」に関する知識と「食」を選択する力を習得し、健全な食生活を実践することができる人間を育てるもの。

2 食育推進基本計画
食育基本法では、農林水産省(平成27(2015)年度までは内閣府)に設置される食育推進会議が食育推進基本計画を作成することを規定(第26条)。
平成23(2011)年3月には過去5年間の食育に関する取組の成果と課題を踏まえ、「第2次食育推進基本計画」を決定。
「第2次食育推進基本計画」は、平成23(2011)年度から平成27(2015)年度までの5年間を対象とし、食育の推進に当たっての基本的な方針や食育の推進に当たっての目標値を掲げるとともに、食育の総合的な促進に関する事項として取り組むべき施策等を提示。

3 食育に関する施策の推進体制
内閣府は、平成17(2005)年より10年間、食品安全委員会、消費者庁、文部科学省、厚生労働省、農林水産省等の関係各省庁等との連携を図りながら、政府として一体的に食育を推進。
食育を国民運動として推進していくためには、国、地方公共団体による取組とともに、学校、保育所等、農林漁業者、食品関連事業者、ボランティア等の様々な立場の関係者の緊密な連携・協力が極めて重要。
内閣府で担当していた食育の推進を図るための基本的な施策に関する企画等の事務は、平成28(2016)年4月1日に全て農林水産省に移管。

2 食をめぐる意識と実践の現状
内閣府において、平成27(2015)年10月に全国の20歳以上を対象として「食育に関する意識調査」を実施。
1 国民の食育に関する意識
(1)食生活に関する意識や現在の食生活の実践状況
健全な食生活の実践の心掛け
日頃から健全な食生活の実践を心掛けている人は4人に3人。

栄養バランスに配慮した食生活の実践状況
主食・主菜・副菜をそろえて食べることが1日に2回以上、「ほぼ毎日」あると回答した人は約6割。
一方、若い世代は約4割であり、全世代よりも栄養バランスに配慮した食生活の実践状況が低い傾向

(2)第3次食育推進基本計画の目標に関連した国民の食生活に関する意識
食育への関心度<1>
食育に『関心がある』と回答した人は4人に3人。

食育への関心度<2>(関心のある内容について)
若い世代は、食事の正しい作法を習得することや、家族などと食卓を囲んだり、調理する機会を増やすことについて、他の世代よりも関心を持っている。


食育への関心度<3>(健全な食生活の実践の心掛け、主食・主菜・副菜をそろえて食べる頻度、食文化の継承の状況と、食育への関心度との関係)
食育への関心度が高い人ほど、健全な食生活の実践の心掛けやその実践状況が良況。

家族との共食
家族と一緒に暮らしている人のうち、「ほとんど毎日」家族と一緒に食事をとっているのは朝食では2人に1人、夕食では3人に2人。

地域等での共食
地域や所属コミュニティーで食事の機会があれば参加したい人は2人に1人。
また、食事会等へ参加した人の感想としては、「コミュニケーションを図ることができた」、「楽しく食べることができた」との回答が多い。
一方、食事会等へ「参加していない」と回答した人に、参加する条件を尋ねたところ、「友人や知人からの呼びかけ、誘いがあること」、「食事会等が参加しやすい場所で開催されること」、「食事会等が参加しやすい時間に開催されること」と回答した人が約半数。

朝食摂取<1>(頻度)
普段、朝食を「ほとんど毎日食べる」と回答した人は約8割。

朝食摂取<2>(朝食摂取頻度及び栄養バランスに配慮した食生活の実践と暮らし向きとの関係)
現在の暮らしにゆとりがあると感じている人ほど、朝食を「ほとんど毎日食べる」人が多く、栄養バランスに配慮した食生活を「ほぼ毎日」実践している割合が高い状況。

生活習慣病の予防や改善のための食生活の実践
生活習慣病の予防等に気をつけて食生活を『実践している』人は約7割。

生活習慣病の予防や改善のための食生活の意識と実践の乖離の実態
生活習慣病の予防や改善に関する具体的な食生活として、最も気をつけ、実践されていた内容は、「野菜をたくさん食べるようにすること」。
また、減塩や脂質の調整について『気をつけていない』と回答した人は4人に1人、『実践していない』と回答した人は3人に1人。

ゆっくりよく噛む食べ方
ゆっくりよく噛んで食べていると回答した人は2人に1人。

食文化を受け継ぐこと
郷土料理や伝統料理、作法などの食文化を受け継いでいると回答した人は約6割。

食文化を伝えること
郷土料理や伝統料理、作法などの食文化を受け継いでいると回答した人のうち、伝えていると回答した人は約7割。

食品の安全性に関する実践状況
食品の安全性について基礎的な知識を持ち、自ら『判断している』と回答した人は約7割。

2 食育推進施策の目標と現状に関する評価
平成27(2015)年度は、第2次食育推進基本計画(計画期間:平成23(2011)年度~平成27(2015)年度)に基づく取組の最終年。
数値目標として定められた11項目(13目標値)のうち、作成時の値に比べ改善した項目は下記6項目。
「1.食育に関心を持っている国民の割合」
「2.朝食又は夕食を家族と一緒に食べる「共食」の回数」
「5.栄養バランス等に配慮した食生活を送っている国民の割合」
「9.農林漁業体験を経験した国民の割合」
「10.食品の安全性に関する基礎的な知識を持っている国民の割合」
「11.推進計画を作成・実施している市町村の割合」

お問合せ先
消費・安全局消費者行政・食育課
担当者:食育計画班
代表:03-3502-8111(内線4576)
ダイヤルイン:03-6744-1971
FAX番号:03-6744-1974