地域での食育の推進
企業・生産者団体・ボランティア等による食育
- 厚生労働省では毎年9月に食生活改善普及運動を展開しており、「食事をおいしく、バランスよく」を基本テーマに、野菜摂取量を350g以上にすることを目標とした「毎日プラス1皿の野菜」のほか、「おいしく減塩1日マイナス2g」、「毎日のくらしにwithミルク」に焦点を当て、地方公共団体や企業とともに全国的な運動を実施
「プラス1皿マーク」
「マイナス2gマーク」
「withミルクマーク」
「毎日くだもの200グラム運動」ロゴマーク
- 農林水産省では、生産者団体と協力し「毎日くだもの200グラム運動」による家庭や学校給食等における果物の摂取を促進
(事例)地域に根付く「食による健康づくり」活動
(第3回食育活動表彰 農林水産大臣賞受賞)
[岩手県]洋野町(ひろのちょう)食生活改善推進員協議会
- 岩手県洋野町(ひろのちょう)食生活改善推進員協議会では、「食による健康づくり」を目的とし、幼児への健康手づくりおやつの普及啓発、中学校での郷土料理づくり、地元の食材を使い、減塩・適塩などの工夫を凝らした料理教室などを主催
- 「食事バランスガイド」をベースに主食・主菜・副菜・乳製品・果物の適量が一目で分かる「バランス弁当箱」を活用したレシピ集の発行やイベントなどを通して、食べすぎ防止や家庭での食事バランス確認の定着を目指す。
減塩メニューを取り入れた
男性向け料理教室
地元食材を使ったバランス弁当
もっと詳しく知りたいときは令和元年度「食育白書」P104
農林漁業者等による体験活動
- 農林漁業体験は、自然と向き合いながら仕事をする農林漁業者が生産現場等に消費者を招き、一連の農作業等の体験機会を提供する取組
- 自然の恩恵を感じ、食に関わる人々の活動の重要性と地域農林水産物に対する理解の向上や、健全な食生活への意識の向上など、様々な効果が期待される。
- 農林水産省は、農林漁業体験の取組を広く普及するため、補助事業による教育ファーム等農林漁業体験活動への支援のほか、どこでどのような体験ができるかについて、情報提供等を行っている。
(事例)食と「いのち」のつながりを学ぶ体験プログラム
(第3回食育活動表彰 農林水産大臣賞受賞)
[山形県]有限会社蔵王(ざおう)マウンテンファーム
- 山形県の有限会社蔵王(ざおう)マウンテンファームでは、牧場を活動の場に、体験プログラムや紙芝居を活用した活動を実施
- 参加者に、酪農は「いのち」を作り、育て、それを売って社会へつなぐ仕事であり、人間は自然の「いのち」の恩恵を受けて生活していることを学習する機会を提供
- 酪農の仕事について紙芝居を使ってありのままを伝え、体験プログラムではニワトリの命を絶ち、食べ物にし、みんなで調理して食べるなど、自然のサイクルと人間との密接な関わりについて考えるきっかけとする。
- 今後、教材や指導書を含むこれまでの体験学習や出前講座の内容と教育効果を取りまとめた冊子の発行、新たな体験プログラムや教材、指導書の作成、後継者の育成や賛同者を増やすことを目指す。
牧場での牛と子供のふれあい体験
調理し、皆で「いただきます」
もっと詳しく知りたいときは令和元年度「食育白書」P125
食の循環や環境に配慮した食育
- 我が国の食料自給率は過去最も低い37%(カロリーベース)である一方、食品ロスが612万トン発生(食料自給率は平成30(2018)年度、食品ロスは平成29(2017)年度の値)
- 「食品ロスの削減の推進に関する法律」(食品ロス削減推進法)が、令和元(2019)年5月に公布され、同年10月1日に施行
- 農林水産省では、食品ロス削減への消費者理解を促進するため、小売業者等が利用可能なポスター等を作成し、全国の協力店等で啓発活動を実施
- 新型コロナウイルス感染症に関する緊急対応策として、学校給食で活用予定であった未利用食品の有効活用を図るため実需者等とのマッチングや、保管・配送料等の支援を実施
- 生産・流通・消費等の過程で発生する未利用食品について、食品企業や生産現場等からの寄附を受けて、必要としている人や施設等に提供するフードバンク活動が広がりつつあり、令和2(2020)年3月時点で国内で120団体が活動
小売店・外食店で掲示する
消費者向けポスター等
小売店・外食店で掲示する
消費者向けポスター等
[column]食品ロス削減月間に関する取組
食品ロス削減月間ポスター
- 「食品ロス削減推進法」において、「食品ロス削減月間」と定められた10月に、各省庁において様々な取組を実施
- 「食品ロス削減の日」である10月30日には、徳島県徳島市において、「第3回食品ロス削減全国大会」が開催され、先進事例発表や「ICTを活用した食品ロス削減」をテーマとしたトークセッション等を実施
もっと詳しく知りたいときは令和元年度「食育白書」P137,138
食文化の継承のための活動
- 食文化を大切にし、次の世代への継承を図るために、食育ボランティア、専門調理師等が、地域において様々な活動を行っている。
- 農林水産省では、地域固有の食文化を保護・継承していくための取組を開始。10道府県で開催した地域検討委員会において、各地域が選定する郷土料理の歴史や由来、レシピ等を調査し、農林水産省ウェブサイトで情報を発信
- 主に小学生を対象として、和食や郷土料理に関するお絵かきや和食文化の知識と技を競うイベント「第4回全国子ども和食王選手権」を開催
10道府県にて
選定された郷土料理
「第4回全国子ども和食王選手権」
(和食お絵かき部門)全国総合金賞受賞作品
「おばあちゃんとつくった きょうどりょうり」
(事例)食文化を大切に継承する「つなげよう宇和島(うわじま)の味」
[愛媛県]宇和島市(うわじまし)
- 宇和島市(うわじまし)では、第2次宇和島市食育プランにおいて「食を大切にし、健康で心豊かに生きる力を育む」を基本理念とし「食文化を大切に継承する」ための食育活動を推進
- 大人を対象とした「郷土料理講習会」に加え、小中高校生を対象とした「郷土料理出前講座」を実施
- 郷土料理への関心が低い若い世代への働きかけとして、幼児健診に訪れた保護者を対象に、郷土料理パンフレットの配布やパネル展示を行い、郷土料理に興味を持つきっかけづくりに。
中学生による郷土料理「ふくめん」の調理実習
もっと詳しく知りたいときは令和元年度「食育白書」P151
(事例)郷土料理「吉田(よしだ)のうどん」の後継者に
(第3回食育活動表彰 農林水産大臣賞受賞)
[山梨県]山梨県立ひばりが丘高等学校うどん部
- 「吉田のうどん」は山梨県富士吉田市(ふじよしだし)を含む郡内(ぐんない)地方で食べられてきた郷土料理
- 山梨県立ひばりが丘高等学校では、平成22(2010)年、「吉田のうどん」を広めようと授業の一環としてホームページを作成するなどの活動を開始。平成26(2014)年からはうどん部としてさらに活動の場を広げる。
- ホームページやフリーペーパー、SNS等のツールを活用した情報発信を行い、平成30(2018)年には高校生によるうどん店を開店
- 「吉田のうどん観光大使」として県内外でのイベントで出展するなど、積極的に魅力を発信
スーパーマーケット内で「吉田のうどん」開店
もっと詳しく知りたいときは令和元年度「食育白書」P153
食育推進運動の展開
食育の取組が全国で展開していくことを目的として、「食育活動表彰」を実施。その他にも各種の表彰を実施
第3回 食育活動表彰 受賞事例
1.公立大学法人青森県立保健大学(青森県)
学生と教員で構成される「おかず味噌汁健やか力向上委員会」では、大学生に必要な自炊習慣の定着や、地域住民の野菜摂取量の向上及び適正な食塩量の理解促進を目的に「おかず味噌汁」の普及活動を実施
「おかず味噌汁」とは、手軽に調理ができ、おかずにもなる具沢山の味噌汁のこと
大学の寮生に「おかず味噌汁」を食べる機会を提供するほか、地域の夏祭りや大学祭で「おかず味噌汁」を提供したり、ひとり親家庭の小中学生向け料理教室や、健康体操等を盛り込んだ独居高齢者向け試食会を実施したりなど、数多くのイベントを通じて地域住民と交流している。
万能「おかず味噌汁」
高齢者の方と健康体操
2.大阪いずみ市民生活協同組合(大阪府)
「食の安全」と「食育、食べることの大切さ」を学ぶ体験型ミュージアム「たべる*たいせつミュージアム」を運営。誰でも無料で利用でき、食に関わる親子向けの体験イベントや小学校の校外学習などが行われている。
様々なコンテンツを「食の安全ゾーン」、「食育ゾーン」、「ライブラリーゾーン」、「体験・ワークショップゾーン」に分けて展示
「食育ゾーン」では、消化の仕組みを学ぶ巨大な人体トンネルを始め、子供の“なぜ?”を引き出せるよう工夫
令和元(2019)年12月には、来館者が10万人を超えた。
企業と連携した体験イベント
(ウインナー作り)
ミュージアム(人体トンネル)を見学する小学生
3.気まぐれ八百屋だんだん(東京都)
子供が一人で安心して外食ができ、温かいごはんと具沢山の味噌汁をみんなで食べられる場所を地域で作ろうと、平成24(2012)年から「子供食堂」を開始
毎週木曜日に開店、毎回80 食程度を用意し、子供はワンコイン(1円でも、おもちゃの硬貨でも1枚)、大人は500円で食べられる。
ひとり親家庭や高齢者の孤立を防ぐためのセーフティネット、「居場所」としての機能も併せ持つ場所として、地域の情報収集と発信を行う。
みんなの居場所「だんだん」
みんなで囲む食卓は笑顔がいっぱい
4.元気さばえ食育推進会議(福井県)
「元気さばえ食育推進会議」は福井県鯖江(さばえ)市の食育推進計画を踏まえ、食に関わる各種団体や個人が連携し鯖江市の食育を総合的に推進することを目的に、平成23(2011)年に結成
学校給食畑活動では、児童が農家ボランティアの指導の下、野菜の植付けや収穫を体験
栄養教諭と各委員が連携し、小学校に講師を招き、学年に応じた食育に関する授業を行う。
学校給食畑での農業体験
食育に関する授業
もっと詳しく知りたいときは令和元年度「食育白書」1はP84、2はP99、3はP105、4はP121
その他の受賞事例を知りたいときは「第3回食育活動表彰事例集」(PDF)
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