1 保育所における食育の推進
(1)子供の育ちを支える食育 -養護と教育の一体性の重視-
保育所における「食育」は、「保育所保育指針」(平成29年厚生労働省告示第117号)において、健康な生活の基本としての「食を営む力」の育成に向け、その基礎を培うことを目標としています。そして、子供が毎日の生活と遊びの中で、食に関わる体験を積み重ね、食べることを楽しみ、食事を楽しみ合う子供に成長していくこと等に留意し、保護者や地域の多様な関係者との連携及び協働の下で実施しなければならないとしています。
また、平成29(2017)年4月に策定した「保育士等キャリアアップ研修ガイドライン」では、専門分野別研修の一つとして「食育・アレルギー対応」分野を位置付け、その専門分野に関するリーダー的職員を育成することとしました。
(2)食を通した保護者への支援
子供の食を考えるとき、保育所だけではなく、家庭と連携・協力して食育を進めていくことが不可欠です。食に関する子育ての不安・心配を抱える保護者は決して少なくありません。保育所保育指針では、一つの柱として保護者に対する支援を重視しています。保育所には、今まで蓄積してきた乳幼児期の子供の食に関する知識、経験及び技術を「子育て支援」の一環として提供し、保護者と子供の育ちを共有し、食に関する取組を進める役割を担うことが求められています。
さらに、保育所は、「児童福祉法」(昭和22年法律第164 号)第48条の4の規定に基づき、保育所の行う保育に支障がない限りにおいて、地域の実情や当該保育所の体制等を踏まえ、保育所に入所していない子供を育てる家庭に対しても、子育て支援を積極的に行うよう努めることが期待されており、食を通した子育て支援として、次のような活動が展開されています。
<1>食を通した保育所機能の開放(調理施設活用による食に関する講習などの実施や情報の提供、体験保育等)
<2>食に関する相談や援助の実施
<3>食を通した子育て家庭の交流の場の提供及び交流の促進
<4>地域の子供の食育活動に関する情報の提供
<5>食を通した地域の人材の積極的な活用による地域の子育て力を高める取組の実施
食を通して保護者同士の交流の場の提供や促進を図っていくことで、保護者同士の関わりの機会が提供され、食に対する意識が高まることが期待されます。また、多くの保育所で、育児相談や育児講座等を通し、保護者の育児不安を軽減する活動が展開されています。
(3)子供の発育・発達を支援する食事の提供
近年は、保護者の就労形態の変化に伴い、保育所で過ごす時間が増加している子供も多く見られるようになり、家庭とともに保育所も、子供のための大切な生活の場となっています。そのため、保育所で提供される食事は乳幼児の心身の成長・発達にとって大きな役割を担っています。
厚生労働省では、乳幼児の発育・発達の過程に応じて、計画的に食事の提供や食育を実施できるよう、平成22(2010)年に「児童福祉施設における食事の提供ガイド」、平成24(2012)年に「保育所における食事の提供ガイドライン」を作成し、その普及啓発に取り組んでいます。
また、乳幼児期の特性を踏まえた保育所におけるアレルギー疾患を有する子供への対応の基本を示すものとして「保育所におけるアレルギー対応ガイドライン」を平成23(2011)年に作成し、各保育所で活用されています。その後、保育所保育指針の改定や関係法令等の制定が行われたこと、アレルギー疾患対策に関する最新の知見が得られたこと等を踏まえ、平成31(2019)年4月に同ガイドラインを改訂しました。具体的には、保育所におけるアレルギー対応に関する、子供を中心に据えた、医師と保護者、保育所のコミュニケーションツールとして「保育所におけるアレルギー疾患生活管理指導表」の位置付けを明確化するとともに、保育現場における食物アレルギー対応の重要性を踏まえ、構成の変更や記載内容の充実を図るなど、保育の現場における実用性を重視した内容に見直しました。
さらに、保育所を始めとする児童福祉施設の給食関係者を対象とし、子供の食を通じた健康づくりの推進を図るため、毎年「児童福祉施設給食関係者研修」を全国4か所で開催しています。令和元(2019)年度は、保育所におけるアレルギー対応等について情報共有を行いました。
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