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農林水産省

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更新日:令和6年2月2日

担当:消費・安全局食品安全政策課

SPS委員会

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SPS措置に関する各国の協議の場を提供し、SPS協定の実施を確実にするための委員会(SPS委員会)が設置されています。

 

SPS委員会は、どのように行われているのでしょうか

設置の目的

SPS協定の実施状況を監視するとともに、SPS協定に関する各国間の協議を促進するために設置されています。

開催の頻度

SPS委員会は、1年に3回(3月、6又は7月、11月)、WTO本部(スイス・ジュネーブ)で開催されています。また、必要に応じて、特別会合が開催されます。

第1回会合は1995年4月に開催され、日本は第1回会合から参加しています。

参加者

全てのWTO加盟国が参加できます。各国政府は、在ジュネーブ政府代表部の職員や、食品安全や動植物検疫に関する業務に携わっている職員を派遣しています。なお、日本からは、在ジュネーブ政府代表部、外務省、厚生労働省、農林水産省などの職員が参加しています。

また、オブザーバーとして、食品規格委員会(コーデックス委員会)、国際獣疫事務局(WOAH)、国際植物防疫条約事務局(IPPC)、世界保健機関(WHO)、国際連合食糧農業機関(FAO)など、いくつかの国際政府間組織の代表が参加しています。

意思決定の方法

SPS委員会の意思決定は、全て「コンセンサス方式」(注)で行われます。

(注)会合出席国から正式な反対がない場合に全会一致で賛成が得られたとして採決する方式

使用言語

SPS委員会は、WTOの公用語(英語、フランス語及びスペイン語)によって行われます。会合ではこの3言語の同時通訳が入り、また、会議文書も3カ国語で用意されます(会合の直前に文書が提出される場合、会合までに翻訳が間に合わないこともあります)。

SPS委員会では、何について話し合われているのでしょうか

SPS委員会で継続的に議論されている主な議題は以下のとおりです。これらの議題以外にも、その時々の状況に応じて、議題が追加されることがあります。

情報提供

各国が、例えば検疫制度の大きな変更などの自国の取組みや他のSPS関連の会合で話し合われた内容などを情報提供します。

また、コーデックス委員会、WOAH及びIPPCが最近の活動を報告します。

特定の貿易上の関心事項(Specific Trade Concerns: STCs)

この議題では、輸出国が、ある輸入国のSPS措置が自国からの輸出に悪影響を与えていると考える場合に、その輸出国が懸念を提起し、輸入国の見解を求めることができます。

WTOの会合で提起することにより、同様の問題意識を持つ国の支持を受け、同席するコーデックス委員会、WOAHやIPPCと情報を共有したりすることができ、SPS措置に関連する貿易問題の解決促進の場として利用されています。

二国間の貿易に関する紛争解決のために、WTOには、「パネル」と呼ばれる仕組みを含む司法的手続である紛争解決手続きが定められていますが、この手続きを使って問題解決をしようとすると、数年といった長期間を要します。より簡便に貿易問題の解決を促進することを目的として本議題が設置されました。

WTO事務局は、これまでに提起された特定の貿易上の関心事項をまとめたデータベースを公開しています。

同等性

各国が許容してもよいと考えている食品安全や動植物の健康に関連するリスクの水準(注)は、その国が現に利用している方法以外にも様々な方法で達成することができる場合があります。例えば、ある病気を国内で発生させたくない場合、その病気の発生のない国からだけ製品を輸入するという方法の他にも、その病原体が完全に死ぬような処理(加熱や消毒)を行うことにより、十分達成できるかもしれません。

このような場合に、SPS協定は、ある国(A国)が、彼らの措置によって、ある国(B国)の要求する措置と同じレベルの安全性が保証できることを証明した場合には、B国は、自分達が要求してきた措置と同等の効果があるものとして、A国の措置を受け入れなければならないと規定しています(SPS協定第4条)。 このような考え方を「同等性、措置の同等(Equivalence)」と呼んでいます。

この議題では、各国が他国の措置を自国の措置と同等として認めたときに、その経験を報告することになっています。

(注)「適切な保護の水準(Appropriate Level of Protection, ALOP)」と呼びます。また、同じ意味で、「受け入れられるリスクの水準(Acceptable Level of Risk)」という言葉が使われることもあります。

地域主義

病気や害虫は、気候(寒冷である、乾燥している等)や地理的状況(海に囲まれている等)の影響を受けるため、発生している地域と発生していない(清浄)地域が存在します。また、このような発生状況の違いは、必ずしも政治的な境界(国境等)と一致しません。

SPS協定では、各国はこのような地域の特性を考慮して、産品の輸入に対する要件を調整しなければならないと規定しています(協定第6条「有害動植物又は病気の無発生地域及び低発生地域その他の地域的な状況に対応した調整」)。このような考え方を、国単位で貿易条件を設定する考え方と対比して、「地域主義(Regionalization)」)と呼んでいます。

例えば、高病原性鳥インフルエンザがある国で確認されたとしたら、通常、その国から生きた鳥や鶏肉を輸入している国は、その発生国全体からの輸入を停止します(下の左側の図)。しかし、その後、発生国が、病気が発生している地域と発生していない地域(無発生地域)を貿易措置等により区分し、無発生地域からの輸出を認めてほしいと要請した場合には、輸入国は、発生している地域だけを輸入停止し、それ以外の地域からは輸入を認めることを検討することになります(下の右側の図)。

地域主義の図の説明
この議題では、各国から自国内の特定の病害虫を根絶した宣言や発生状況の情報共有が行われています。

透明性の規定の実施

各国は、SPS措置を新しく制定・変更する場合に、それが他国の貿易に大きな影響を及ぼすおそれがあり、関連する国際基準(注)が存在しないか、その規制の内容が国際基準と異なる場合には、その規制案の内容を他国に事前に知らせなければなりません。これはSPS通報と呼ばれ、各国の政府からWTO事務局を通じて他のWTO加盟国に配布されます。その際には、一定期間、他国からの意見提出の機会を与えることになっています。

(注)国際基準:食品の安全についてはコーデックス委員会、動物の健康及び人獣共通伝染病についてはWOAH、植物の健康についてはIPPCが策定したものをいいます。

また、他の国からの情報請求に対応するための窓⼝(「照会所」と呼ばれます)を設置しなければなりません(協定第7条「透明性 (Transparency)」及び附属書B「衛⽣植物検疫上の規制の透明性の確保(Transparency of Sanitary and Phytosanitary regulations)」)。日本の照会所は、外務省経済局国際貿易課です。この議題では、事務局からSPS通報及びSTCsの実施状況を中心に分析をした年次報告書の発表や、透明性の規定を実施する際のガイドラインについての議論がされています。

参考:年次報告書の入手方法

「Document Symbol(⽂書番号)」の欄に、 ⽂書番号「G/SPS/GEN/804/*」(SPS通報に関する年次報告書)又は「G/SPS/GEN/204/*」(STCsに関する年次報告書)を⼊⼒し、「Search」をクリックすると過去の年次報告書を全て検索することができます(注)。

(注)2021年以降、両年次報告書は1つの文書にまとめられています。

参考:SPS通報の入手方法

ePingを使用すると、諸外国のSPS通報を容易に閲覧することが可能です。ePingは、SPS通報及びTBT通報のアラートシステムであり、国連経済社会局(UNDESA)、WTO及び国際貿易センター(ITC)により作成されました。ユーザー登録により、関心分野の通報を定期的に自動受信することができます。また、過去3年間の通報検索等が可能です。

特別のかつ異なる待遇の実施

WTOの各協定には、開発途上国に対する「特別のかつ(先進国とは)異なる待遇(Special and Differential Treatment、S&D)」として、義務の免除や緩和、経過措置、技術援助に関する条項があります。SPS協定においても、食品安全と動植物の健康に対する十分な体制を持たない開発途上国のニーズを考慮し、特定の義務の実施の免除や一定の猶予期間や経過措置を、S&Dとして講じることを検討するよう規定しています(SPS協定第10条)。

この議題では、S&Dを実効力のあるものとするための方策について議論されています。

技術援助

SPS協定では、各国(特に先進国)が、関連する国際機関を通じて、または2国間で、開発途上諸国に対する技術援助の提供を促進することを規定しています(協定第9条)。

FAO、WOAH、IPPC及びWHOなどの関連する国際機関は、食品安全、動植物の健康上の問題に関して開発途上諸国を援助するプログラムを有しています。また多くの国も、他の国に対する2国間の技術援助を実施しています。

この議題では、各国や国際機関が提供した(または各国が提供された)技術援助について報告が行われます。

SPS協定の運用及び実施に関する検討(レビュー)

SPS協定の運用や実施の状況を把握し、問題点があれば改善していくために、SPS委員会は4年に1度「検討(レビュー)」を⾏うことになっています (SPS協定第12条7、WTOドーハ閣僚会議決定(2001年11⽉))。

この議題では、4年に1度の検討報告や、その結果明らかとなった検討課題について議論が⾏われています。

現在のレビューの状況については、以下のページで確認できます。

国際基準の使用のモニタリング

この議題では、国際基準があるにも関わらず適用されていない問題や、国際基準がない又は国際基準が適切でないために貿易に大きな影響を与えている問題について、各国からの提起に基づいて議論が行われます。

その他

上述の議題の他にも、毎回、公式会合の⼀番最初に⾏われる「議題の採択」や、経済協力開発機構(OECD)などの「オブザーバー機関からの情報提供」などの議題があります。

SPS委員会で話し合われた結果を知りたい時には

議事録

WTO/SPS委員会事務局が、SPS委員会の公式会合の議事録(サマリーレポート)を作成し、ホームページに掲載しています(英語、フランス語、スペイン語の3ヶ国語)。以下のアドレスから検索、ダウンロードすることができます。

「Document Symbol(文書番号)」の欄に、SPS委員会会合の議事録の文書番号「G/SPS/R/*」を入力し、「Search」をクリックすると過去の会合の議事録を全て検索することができます。

SPSニュース

WTO/SPS委員会事務局が、SPS委員会会合でのホットトピックを中心に概要をまとめ、SPSニュースとしてホームページに掲載しています(英語、フランス語、スペイン語の3ヶ国語)。

お問合せ先

消費・安全局食品安全政策課

ダイヤルイン:03-5512-2291