第1回カドミウムに関する意見交換会(平成15年12月12日)
議事概要
日時 | 平成15年12月12日(金曜日)13時15分~15時45分 |
場所 | 農林水産省講堂 |
出席者 | 別添名簿のとおり |
議題 | 1.消費・安全局長あいさつ 2.議事「カドミウムの国際基準値案と我が国の現状について」 |
1.消費・安全局長あいさつ
本日は大変たくさんの方にリスクコミュニケーションの場にご参加頂きありがとうございます。7月1日に政府の食の安全・安心に関する施策の体系、組織が大きく変わりました。リスク評価を担う組織としまして、内閣府に食品安全委員会が設置されましたし、また、農林水産省、厚生労働省でも組織の改革がございました。両省を中心としてリスク管理を行う、分担していくということになったわけでございます。こういった役割分担の基にきちんと初期の機能を果たしていくためにはリスクコミュニケーション、関係者の方々との情報交換あるいは意見の交換を通じた相互理解が大変重要になっております。9月以来農林水産省では、個別のテーマについてリスクコミュニケーションを行っておりますが、本日はその一環として、今回のテーマの事柄からいたしまして厚生労働省との共催でのリスクコミュニケーションの場を設けたわけでございます。
カドミウムの国際基準値案と我が国の現状についてということで、こちらの方からご説明をいたしまして、今日は、消費者の方に加えて、生産者の方、流通業界の方、公衆衛生や土壌汚染の専門家の方にもご参加頂いております。それぞれの立場から十分な意見交換をして頂きたいと思います。
カドミウムの食品の規格につきましては、国際的な議論の場でありますコーデックスで議論が行われております。事務局からは事務局案というのが提示されており、これに対して各国から意見を述べる期限も迫ってきております。それについての意見もお聞かせ願えたらと今回の機会を設けた次第です。
本日の主旨は以上でございます。是非積極的な意見をいただきまして、この会が実りあるものになるように、また、それぞれのお立場でご意見があると思いますが、相互の理解が深まるような場にして頂きたいと思います。よろしくお願いいたします。
2.議事「カドミウムの国際基準値案と我が国の現状について」
(1)資料説明(2)パネルディスカッション
(姫田:農水)
今の説明について、まず最初に、用語で判らない部分など、例えば、「コーデックス」、「JECFA(ジェクファ)」、「ステップ3」や「暴露評価」という話があったと思うので、説明をお願いします。
(新本:農水)
「コーデックス」は説明いたしましたように、国際的な食品規格を検討する政府間機関です。
「JECFA」はFAOとWHOが合同設置している、科学的な専門家からなる会議、いわゆるリスク評価を行う専門家会議です。いわばコーデックス機関は基準値を検討するリスク管理機関、その前提となるリスク評価はJECFAでやるということ。国内で言えば、食品安全委員会がJECFAで、リスク管理機関である厚生労働省や農林水産省がコーデックス委員会という感じになります。
「暴露評価」ですが、暴露を摂取量と置き換えても良いかと思いますが、カドミウムの問題は、特定0の食品だけでなく、いろいろな食品に含まれているので、様々な食品から摂取されるトータルのカドミウムの量というものが健康影響との関係から議論されるべきで、そのトータルのカドミウムの摂取がどうかというものが暴露評価でして、これがさきほど7μg(マイクログラム)という健康影響の発現する目安とされている数字ですが、これと比べて実際の暴露量、摂取量がどうなのかという比較をするというものです。
ですから、まず米などの個別品目の基準値ありきではなく、トータルの食品でどうかというのを見ることになりますが、トータルの議論をする上では、個別の基準値をどうするのかというのを仮置きしないと議論できないので、仮置きの基準値を設定したときに健康影響で問題のない総摂取量であれば、仮置きされた基準値はトータルでも問題がないということです。
「ステップ3」ですが、コーデックス委員会のステップは8段階ということになっていまして、当初はデンマークが原案を作ったと申しましたが、それについて各国のコメントを求めます。
提案原案というもので途中ステップ3というものがあります。その後、熟度が上がるとステップ5ということで原案というかたちになります。国際的な部会での議論と総会での議論を往復した形でステップが上がっていくことになります。
カドミウムの基準値は、現時点ではステップ3です。通常だと、来年3月で次に挙げましょうとなれば、夏の総会で議論してステップ5になる。その翌年に、3月の部会でステップ5からステップ8にしていいということになれば総会で議論して最終的にステップ8でということで国際的な規格ということで採択されるということです。
(姫田:農水)
ステップというのは、コーデックスの中での国際的な基準を決めるときの全体の流れの段階と考えていただければ良いと思います。それでは、一般的なご質問を受け付けたいと思います。
(原:消費者)
香山先生のご研究についてお伺いしたいのですが、5地域について尿中カドミウムや骨密度の比較をされたということですが、血中カドミウム濃度で見ますと、地域Aにもかなり高い人がいるということで、こういう高い濃度の人は対照地域としては排除すべきではないでしょうか。
それから、高いということで比較している地域Eの方には逆に低い人がいる。米の濃度で比べても低い濃度の方もいる。やはり、地域A、地域Bという形で、どういう範囲の地域で比べているかはわかりませんが、もっと限定した形での本当に高い地域の人と低い地域の人という形で比べるべきでないか。
違いの出にくい比較になっていると思うのですが、食品衛生審議会に出された資料で拝見しますと、尿中カドミウム、骨密度共、地域Aと地域E、場合によっては地域Aと他の地域を比べてもそうですが、尿中のカドミウムが、地域Aに比べれば高くなっている。地域Eだと4割前後高くなっている。骨密度でいいましても、閉経後早期と閉経後晩期で比べると1割以上低くなっています。特に閉経後早期に関しては有意差もあるということで低くなっているという結果が得られてるわけですが、その結果についてはどうお考えになっているのかお伺いしたいと思います。
それぞれの因子との相関分析を行われて、どの因子が一番影響しているのかということで、年齢との相関が高かったということで、香山先生のご説明では米との相関は究めて無いという表現されていましたが、無いのか、少なかったのかということを明らかにして頂きたい。
香山先生に今求められている研究の目的というのは、米の濃度の高いところで影響が出ているか、出ていないかを調べることであって、何の影響が高いのかを調べるのではないので、本来、年齢ですとかその他の影響に関しては単なる交絡因子であって、排除すべきで比較すべきではないと思います。
そういう意味では、年齢との相関に比べてどうかということではなくて、米との相関、米のカドミウム濃度が高い地域で影響が出ていたのかいなかったのか、というところで評価していくべきだと思います。
(安田:消費者)
厚生労働省の薬事食品衛生審議会が我が国の修正案として新しい数値を出した根拠は、香山先生が行った5地域の研究結果を踏まえてということですか。今まで疫学調査など出ていますが、それらのデータを総合的に勘案するということではなくて、JECFAから依頼されたこの研究だけに依っているのでしょうか。
(香山:アドバイザー)
地域を分けて解析した方法なのですが、カドミウムについては、米の暴露が最も大きいということが明らかになっておりまして、A地域というのは、全く高いカドミウム米がみられていない地域です。A地域とまず最初にその他地域を比較しました。
次に最後の多変量解析では、モデルABCDとありましたが、1,306名を、すべての人をまとめて検討しています。地域を限ったわけではなく、全体として比較して多変量解析を行って、何が一番影響があったかを調べたわけです。
因子の中で偏相関係数というものを見て、人の数が増えてくると、偏相関係数で有意差を検討するということになりますので、検討を加えまして、血中カドミウムに換えたり、尿中カドミウムに換えていっていきますと、年齢のみが最終的に有意であるという検討結果になりました。
また、別の分析の仕方で、薬事食品衛生審議会で公表した資料ですが、尿中カドミウム濃度で4つに分けまして、2.5μg/gクレアチニンのグループなどに全ての被験者をそれぞれ分けていきまして、尿中カドミウムとβ2ミクログロブリン、α1ミクログロブリンの関係をみていきますと、明らかな有意の差はないという結論に達しました。
両方とも尿中クレアチニン濃度で割っていますので、クレアチニン補正の影響が大きくなり、全然何をみているのかがわからないとう結論になります。歳をとりますと、筋肉量がだんだん減ってきます。加歳の影響で筋肉量に比例する全体のクレアチニンの産生量が減ってきますので、それを若い人の筋肉がついてる人と、筋肉のやせ細った60~70歳の方とを同じ土俵で比較しているようなものでして、そのようなバイアスがかかったデータを眺めているというのが現実です。
それから、骨密度の問題ですが、骨というのは極めて多変量解析をしていくと、いろいろな因子で影響があるということがお解りになると思います。年齢であったり、ボディーマスインデックス(BMI)、これは体重をメートル表示の身長の二乗で割ったという指標でありますが、それ以外には、握力、カルシウムの摂取量であるとか、ビタミンDの摂取量であるとかいろんなパラメーターが関わってくるんだということが、お解りになると思いますし、カドミウムの暴露指標であります尿中カドミウムであるとか、血中カドミウムを個々の解析の中にそれぞれ入れているわけですが、それに含まれていないような地域B地域Eの何らかの特性、これはダミー変数として解析に入れているわけですが、この地域の何らかの習慣とか、日照時間であるとかそういうものが加わっている可能性があるわけです。
ですから、調査した地域ではカドミウム暴露による影響は骨密度にはまったく関係がない、明らかに断言できると思います。
(姫田:農水)
要するに二つの数字をただ単にみただけで比べても、他の要因が関っているんではないかということで、重回帰分析をされた結果をご説明されたわけですね。その中で実際に関係があることと、見ただけでひょっとしたら関係がありそうだということでも、そうじゃないこともあるのではないかというお考えですよね。
(香山:アドバイザー)
実際にいろんな要因で骨密度は決まっていますし、それから、尿中のクレアチニンというのもまた、体の産生する量が違うわけですね。そういういろんな要因が加わっているもの、重なっているものが現実のデータなのです。
それをどうやって、分けていくかという技術として多変量解析をしているのでありまして、それぞれの関連のある要因がぴったり同じ人を揃えることは決してできないわけで、人間の多様な要因と、多様な習慣の相関を削り落して解析するというのは、この方法しかないのです。
あと、例えばロジスティック回帰分析がいいという方もいらっしゃいますが、専門的になりますが、連続数の数値としてある情報をある一つのカテゴリーにまとめて解析をするとそれだけデータを失うわけでありまして、解析力が低くなってきます。それで出た結論が正しいと主張される先生もいらっしゃいますが、それは統計学的に考えてもおかしいと思います。
(太田:厚労)
今回、薬事・食品衛生審議会で国際的な対応を決めたわけですが、それにあたって香山先生のデータを考慮したかというのがご質問であったかと理解していますが、香山先生が実施されている日本の疫学調査は、疫学調査でございまして、基本的には耐容摂取量を検討するにあたって必要となるデータであるということで、それについては、現在、食品安全委員会で検討が行われているところです。
耐容摂取量について国内においては食品安全委員会のほうで検討いただいている段階ではありますけれども、そういった段階でもコメントをだす必要があるだろうということで、今回はJECFAで設定されている耐容摂取量を用いて、それと我が国のカドミウムの摂取量を比較して、さらに、コーデックス案と我が国の実態を踏まえた案でシミュレーションを行って明らかな差異がなく、両者とも健康保護を考えるにあたって、十分なものであると結論されたということです。
(姫田:農水)
山田さん、補足説明してもらえますか。
(山田:農水)
少々補足いたします。コーデックスのメンバーとしては先ほどご説明にあったように、169ヶ国あるわけですね。その全部が全部リスク評価ができるわけではございませんが、国によっては違う数字を出しているところもあるわけですね。コーデックスとしては違う数字をもとにリスク管理をするわけにはいきませんから、コーデックスの決定のもとになるのが、JECFAがだした耐容摂取量になるということなのです。
それがまず、一つで、もう一つはやはり同じようにコーデックスにコメントを出すからには、コーデックスで基準値を考えるのはこうですよ、というルールに従って出さないといけない、ということで、コーデックスのルールでしたら、サーベイランスとか、要するに実態調査の結果を使って、例えば、スライドの中にも裾野の長い山のような図がいくつかあったと思いますが、その中で合理的に達成できる一番低いところはどこか、そしてその時にそれよりも高い濃度のものに規制をかけたときに国民の健康が守られるか、ということで摂取量の評価をしているわけです。
それが良い、悪いを考えるときに7(μg)と比較するだけでなくて、例えば香山先生がされているような、かなり汚染が高いと思われるところの結果との比較と、そういうのもございますけれども、コーデックスのルールは、一応基準値は実態調査の結果のほうから推定するということになっております。
(姫田:農水)
よろしいでしょうか。では、瀬古さん、水原さんの順でお願いします。
(瀬古:消費者)
質問ですが、耐容摂取量7μgというのは決まっていて、さらに見直しがされるということはないか、ということと、今回修正案を出すということが採用される見通しについてはどうなっているのか、伺いたいと思います。
(水原:消費者)
質問というより意見に入ってしまいますが、よろしいでしょうか。
(姫田:農水)
では、(瀬古さんの質問に対し)先生にお答えいただいてからにしていただきましょう。
(香山:アドバイザー)
7μg/kg/weekが改定されるかに関しては、よくわかりません。これも暫定というのがついておりますので、将来は改定される可能性があります。実際には最初から変わってないというのが現状です。
これは更に数年後に、1週間当たりという単位になっていますが、それを再度見直そう、もう少し長い期間30日当たりの摂取量にしようという考えで、もう一度評価しましょうということが、今年の最後のサマリーにでておりますので、再度評価が行われることはあると思います。
ただ、付け加えになりますが、我々の行いました結果をみられて、7μgというもの、それにだいたい近いだろうというものを食べている集団が、かなり含まれている調査で影響が出ていないのは、少しの安全率はあるんだな、というふうに、実際にドキュメントを書いた方々は思われたようであります。
(中垣:厚労)
修正案採択の可能性についてご質問いただきました。先ほどご説明申し上げたとおり、各国のコメントは12月15日に締め切りになっております。従いまして、どのようなコメントがだされるのか、まったくわからない状況ですし、日本のコメントがどのようなかたちででるかについて、他国も知らないということです。
従いまして、そういう面から申し上げますと、現段階で、お答えするのは非常に難しい。また、コメントを出さなかった国々も3月の部会においていろいろな意見を述べるということも考えられますので、それもあわせて申し上げますと、現段階で申し上げることは非常に難しいということでございます。
(姫田:農水)
では、ご質問を安田さん、原さん、和田さんの順でお受けして、その後意見交換に移ります。
(安田:消費者)
コーデックスの基準案を他の国は知らないというご説明がありましたが、既に独自にカドミウムの米に対する基準を作っている国、例えば韓国が0.2、EUも0.2を採択し、発効させているということがありますよね。そういう国がこのコーデックスの規格が日本の案のように緩まったらどうなるのでしょうか。
(中垣:厚労)
コーデックスの基準と国内の基準、例えば韓国の基準、EUの基準との関係でございますが、今回のペーパー、資料1の2枚目の一番上のスライドでございますけれども、コーデックスの基準というのは、WTO条約、あるいはSPS協定に基づいて、それぞれの国々の基準の基本である。それよりも高い、つまり厳しい基準、仮にコーデックス基準が0.2ppmに決まった場合に、0.1ppmというより厳しい方向の国内基準を作るときには、科学的に正当な理由があるというような縛りが係っているわけでございます。
逆に申し上げますと、ゆるい基準、仮に0.2と決まったけれども、0.3とするというような場合には、コーデックスあるいはWTO条約、SPS協定上何の問題もないということでございます。
(安田:消費者) 貿易のために作っているんですよね、コーデックス規格というのは。輸出国よりも輸入国が厳しい基準を作った場合に、貿易の阻害となると。だからその場合には健康への安全性を配慮してから、貿易の障害にならない基準を作るという考えなわけですよね。
だったら日本が米の輸入国ならともかく、将来も米の輸入国になるつもりがないのに、日本が基準を緩めなくてはいけないという理由はないんじゃないですか。輸入国であればそういうことを考慮しなくてはいけないというのはWTO協定上説明はつくのかもしれない、私自身はこの考えには与しませんけれども。
(中垣:厚労)
まず、コーデックスの基準の位置付けですが、資料1の一番下のスライドにございますとおり、消費者の健康の保護と、安田さんがおっしゃりました公正な貿易の二つを目標といたしております。すなわち、消費者の保護が忘れられているわけでもなんでもございません。
二番目の問題として、輸入国、輸出国の問題をおっしゃったわけですけれども、輸入国だからどう、輸出国だからどうというような考え方は持っておりません。あくまで、消費者の健康保護を前提として、どういう基準であるべきか、ということを考えているわけです。
また、国内でどういう基準をつくるのか、ということについては、この資料の末尾でご説明申し上げたとおり、国内ではまず、リスク評価を今年の7月に発足いたしました食品安全委員会でやっていただいてるところでございますから、その国内のリスク評価の結果、これをいただいてそれから議論することだと考えております。
(姫田:農水)
では、原さんお願いします。
(原:消費者)
再び香山先生、先ほどの答弁も含めてなのですが、地域によって天候なりいろいろな風土が違うということは確かにあるかもしれませんが、そういうことでしたら、例えば地域Eのなかで、水系によってもカドミウムの濃度はぜんぜん違うといわれていますし、高いところと低いところを比較すればよいことではないか、と思うわけです。
多変量解析によって、どれが主因子であったかということは、今回の研究で本来求められていることと、ちょっとちがうのではないか、という印象を受けております。地域Eは具体的になぜ高くなったというふうに、香山先生は解釈していらっしゃるわけでしょうか。
失礼ながら、こういう結果によって、そういう解析でそうなったということをいわれても、地域Eが高かったという結果についてきちんと原因、カドミウムではなかったというようなことをおっしゃるのであれば、それを究明していただかないと単に実験計画が悪かったというふうにしか思えないので、きちんとその辺は解明していただきたい。
(姫田:農水)
原さんにお願いなのですが、今日はコーデックスに出す案について、広くご意見を伺いたいと思っておりますので、香山先生にお答えいただきますが、その後は直接ご質問いただくとかしていただきたいと思います。香山先生、お願いします。
(香山:アドバイザー)
これまでの研究は、非常に限られた調査しか行われてきてなかったわけですね。実際に今回、食糧庁のデータを参考にさせていただきまして、その地域のJAの協力を得て、こういう暴露を受けている人たちが、長年自分の生産してきたお米を食べていらした生産者であり、被害者であるかもわからない、ということを念頭に置いて、実際の一番高い暴露を受けている方々の健康がもっとも大事でありますので、これを調べるために我々は必死で研究をしてきたわけであります。
個々の解析の仕方は我々は非常に中立的な妥当な解析の仕方をやっていると、論文を投稿しても評価されておりまして、アクセプトになっております。骨密度に関してこのダミー変数という、地域特性というものを導入してどういう意味があるのか、ということを解析したわけですけども、それはその他諸々の項目というのは、骨密度に影響する項目というのはいろいろなものがありまして、例えばこのE地域は、例えばBMIも低めの方が多くて、お痩せになっている方が多くて、A地域は結構生活習慣病の方が多い、高脂血症も多いとかですね、かなり肥満率もあると。そういう意味では、農家の方ですけども現代日本人の傾向があります。
E地域はよく動かれている方が多いですね。ただ、今回栄養調査をしていて、栄養士がびっくりしてましたけども、この地域は昔、赤ちゃんに飲ませるものがなくて、米のとぎ汁を飲ませていたというくらい、本当に貧しかったんだなあと思われる地域です。
ですから、そういう昔の栄養の状態とか、今、調べることはできませんけれど、このような要因の総体としての調査研究結果ですね、そういうことの中に、個々の以外の、例えば骨密度に影響が考えられるであろう他のパラメーター、他の要因をいろいろ考えました。今一番妥当であろうと考えるカルシウムの摂取量、カロリー1キロ当たりのカルシウム摂取量であるとか、ビタミンDの摂取量という変数を統計解析に導入しております。
それ以外もいろいろ考えております。ただ、現時点での解析の段階ではわかりません。それがサイエンスをやってる者としての最大限のお答えです。
(姫田:農水)
それでは和田さん、その後、だいぶ時間も押しておりますので、意見交換に入りたいと思います。水原さんお願いいたします。
(和田:消費者)
「コーデックス委員会への対応等」の終わりのほうですが、「ALARAの原則」というのがでております。そしてここの丸の四つ目に「合理的に到達可能な範囲」という言葉がありまして、リーズナブル・アチ-バブルという言葉でだいたい見当はつくんですけれど、具体的にいうと「合理的」というのは、どういうことを考えるのか、ということを一点伺いたいと思います。
もう一つは事務的な質問ですが、今日ここに、4名の公募の方がいらしているということですが、全体で何名の応募があったかということを伺いたいと思います。
(姫田:農水)
6名の方が応募されまして、3名のアドバイザーの先生に見ていただきまして、4名の方にきていただきました。 あと「ALARAの原則」については中垣課長と新本さんと、補足的に農業者の方からお話があればいただきたいと思います。
(新本:農水)
「ALARAの原則」は環境汚染物質、毒素の関係でのルールでございまして、農薬とか意図的に使うものとは違って、汚染物質、環境中に自然にあるもの、かび毒などコントロールしにくいものについて、どう考えるかというのが基本でございまして、合理的に到達可能ということで、農薬だと撒き方で自分でコントロールできるんですけれども、非意図的に環境中にあるものを、どう整理するかという点で、原文では「現在の適正な技術で合理的に達成可能な範囲でできる限り低い値を設定」となっております。
今日も低減技術ということで、米の水管理とか、資材の投入で下げるというような技術もあるとご説明申しましたけど、確かにそういった技術でもある程度は下がるんですが、かといって限界がある。米で言えば0.1ppmになるケースもあるんだろうけれど、0.4とか0.5ppmにしか抑えられないというよなことがありまして、仮に米の基準値を0.2ppmに置くとすると、現在の適正な技術で到達可能かどうかとなりますと、それはできないということになります。
例えればそういったようなものでございまして、今回の基準値を考えるうえでは、現在のいろんな作物の濃度の分布の状況というものを、今回トータルで73品目、4万2千点、大部分は米でございますけれども、作物ごとに高いもの低いものがどのように分布しているか、一般的にどのような状況にあるのかということを、この原則の中の「通常の濃度域」というのがどこか、ということをまず調べました。
そういった「通常の濃度域」の分布の状況をみたうえで、一方で、現行の技術で対応が可能かどうか、と両者あわせもってみて整理したと、そういったかたちで今回の「ALARAの原則」を適応したと、そういうことでございます。
(姫田:農水)
生産者の方から、門傳さんいかがですか。
(門傳:生産者)
基準については科学的合理的な方法でやっていただいて、ということでしかないと思うんですね。ただ、そういったものについて、(作物を)作る我々であるとか、流通される方、販売される方、消費される方がどのように、きちんと、まあ、まさにリスクコミュニケーションですから、これをどのように受け止めるのか、という素地がいままではあまりなかったと思うんですね。
イメージが先行してまっている部分がそれぞれあったと思いますが、我々作り手からすると、自分の土壌がいったいどういうふうになっているのか、あとは栽培の方法等々、今は生産履歴の記帳等やっておりますので、そういうことをきちんとやることによって、更に、検査ですね、実際に自分の作っている米が今年はいくらだったのかとか、そういうことをきちんとやって、あとは法律なり手続きにのっとったかたちでやる、ということを我々とすると普及・啓蒙することがまず、第一と考えております。
(姫田:農水)
ありがとうございます。では、水原さん。
(水原:消費者)
一部質問も入りますけど、意見を述べさせていただきます。コーデックスに12月15日に日本のコメントを提出しなければならないということが先行しまして、現に修正案が出されておりますけども、私、先日12月10日の食品安全委員会の汚染物質専門調査会の傍聴にいきました。2回目だったんですが、1回目のときにカドミウムについての、ここにでておりますような資料、その前の厚生労働省からのいろんな食品中に残留するカドミウムの健康影響評価について、とかいろんなデータがでておりました。
2回目の10日の日に諮問されまして、これから食品安全委員会としての健康影響評価をやっていくということが決まりました。まだ、実際に今からワーキンググループなどをつくって、香山先生がいらっしゃいますけど、一番中心の方だということで、香山さんがいろんな部署に就かれましたが、そこでいまから行われようとしているわけですね。
特に残留基準がppmで、コーデックスが0.2といっているものを、0.4にするという修正案の基については今、説明がありまして、なぜ、0.4を出したかという根拠は示されましたけれど、その基になる研究のデータは、提出されました中間解析結果ですよね。
国立環境研究所総合研究官がおつくりになった「日本人のカドミウム暴露量推定に関する研究」ということでした。これの基になっていますのが、国民の栄養調査、それと農水省の行ないました汚染の調査の結果ということなんですけれども、それだけで私は修正を出すための、データの根拠にするのはどうであろうかと。私はもっと、汚染地域で今でも、富山あたりでは毎年シンポジウムが開かれておりまして、ずっと研究を続けていて研究発表も行なわれているわけですね。
そういうところにもいろんなデータがあるわけなんです。日本人の平均的なデータに基づいてだした結果というのが平均値としてありますが、日本人として一番問題になっているのは、現に日本が非常に汚染されている国であって、イタイイタイ病に代表されますように、いろんな方々が苦しんでいる状況があるわけです。
そういう視点でも、カドミウムの尿の検査などをしますと、だんだん減っているということがありますけど、そういうデータそのものを加算しながら、基準値の推定を日本としてやるべきではないか、というのが一つです。
それから、もうひとつは、食品安全委員会で、JECFAやいろんなデータに基づいて、日本の耐容摂取量をいまから推定されるそうですけれども、それによって、米のコーデックスの基準値が0.4という修正案を日本がだしていますけれど、それの基準値にそれが影響を与えるものかどうかということです。
私たち消費者からみると、なんでリスク評価をやっていないところで、リスク管理のほうが先行して行なわれているのか、というところが非常に単純な疑問です。私たちは食品安全委員会ができたときには、リスク評価をやってリスク管理があると説明されています。
ですけど今回の場合は、それが確かに基準値と許容量と違いますけれども、それがどういうふうに影響をあたえるのかですね。食品安全委員会は早急には結論がでないということでした。ですけども、2~3年先ということはないだろうとおっしゃいました。
食品安全委員会では、リスク管理の方でコーデックスに対応しているけれども、それとは別個に食品安全委員会のリスク評価をやっていこうということがいわれていたわけですね。そこの関係をお聞きしたいとおもいます。だって、リスク評価はだされていないわけです。
それが非常に消費者として疑問です。
それからもうひとつは、消費者の立場から、ppmとμgという単位ですね。これはコーデックスでもJECFAでも使っていますけど、このような単位使用に慣れていない消費者には、非常にわかりにくいわけです。これは国際的あるいは日本の考え方でどういうふうに考えたらよいのかです。
(姫田:農水)
全体論として厚生労働省からお願いします。あと、科学的な部分は山田総合調整官から答えます。
(中垣:厚労)
まず、三つご質問いただきました。
一点目でございます。基準値の検討にあたって、汚染地域のデータであるとか、平均的なデータであるとか、そういうものを考えるべきだ、というご主張だろうと解釈いたしました。この資料1の13ページ「カドミウム摂取量に関する研究報告」国立環境研究所の新田先生の報告でございます。
二番目にご質問いただいたように、リスク評価とリスク管理と今、水原さん正確に言っていただいたと考えておるんですが、いわゆる耐容量を評価するのがリスク評価であって、それから基準値の議論をしていくというのがリスク管理の議論になっていく。
先ほど山田さんの方からご説明があったように、国際基準を議論していくうえでは、このリスク評価というのは、JECFAという世界の専門家をWHOとFAOが共同して集めた会議で、決められた、このリスク評価結果がベースとなっていく。
単純に申し上げますと、JECFAが日本の食品安全委員会にあたって、コーデックスが日本の厚生労働省と農林水産省にあたる、と考えていただければいいんだろうと思います。ですから、汚染地域のデータであるとか、あるいは香山先生の今のご説明いただいたようなデータというのは、まさしくどのくらいの量で影響がでるか、というリスク評価に関わる部分でございまして、これらのデータは香山先生のデータももちろん、それ以外の過去日本でやられた膨大なデータがあるんですけれども、これはJECFAにはすべて提出した。
JECFAで数回にわたり議論をされたということでございます。一方、基準値をどう決めていくかというのが、この環境研の新田先生の報告で、10日の食品安全委員会あるいは9日の私どもの審議会でもご説明をいただいたんですけれども、このような手法、すなわち農産物の汚染の分布と、食品を食べる人、食べない人の分布を掛け合わせてやっていくというのが、今最も新しく世界的にやられている手法、例えばアメリカでもヨーロッパでも国際基準の場でもこのような手法が取られているところでございます。
そういう意味から申し上げますと、今回の手法というのは、我が国にとってはじめてやった手法ではあるかと思いますけど、世界的な今の最新の流れを踏んでいるんだろうと考えております。
二番目のご質問が、食品安全委員会のリスク評価が国際基準にどのような影響をあたえるか、ということでございますけれども、先ほど申し上げましたとおり、国際基準を議論していくうえでは、リスク評価はJECFAの議論が基礎となります。もちろん食品安全委員会のリスク評価の結果を、JECFAのほうにインプットしていくということを考えなければいけないのでしょうが、原則論を申し上げますと、国際基準を議論していくうえでは、あくまで、リスク評価はJECFAがベースになるんだということでご理解を賜ればありがたいと思います。
三番目のppmとμgとの関係ですが、これはなかなか答えづらいところがあって、ppmイコールμg/gということはご存知の上で議論していただいているんだろうと思いますし、我々できるだけどちらかを使うようにやっていきたいと思いますが、国際的な場で両方使われたりするもので、ごちゃ混ぜになっているところがあり、そういった意味では申し訳ないと思っております。
なお、二番目の質問で、食品安全委員会と国際基準との関係を申し上げたわけですが、国際基準への対応というのが今日のリスクコミュニケーションの主題ですけれども、国内基準をどうつくるかというのが、我々のもう一つの大きな宿題でございます。
国内基準をつくる際には、食品安全委員会のリスク評価がベースになります。水原さんご指摘のとおり、国内基準をつくる際には食品安全委員会のリスク評価をベースにいたします。食品安全委員会の国際基準を議論していくうえでは、JECFA、WHOとFAOがつくった国際専門家会議、ここのリスク評価がベースとなります。JECFAと食品安全委員会は、例えば食品安全委員会が議論される際に、JECFAの結果を参考にされるというような関係であるんだろうと考えます。
ただ、食品安全委員会というのは、中正公立、独立の機関ですから、そういう意味でJECFAと何かの関係で結ばれていると言うことはありません。
(水原:消費者)
質問ですが、リスク評価が非常に厳しく出ても、それによって、私たちが健康維持、そういう病気にならないということ、カドミウムの汚染によって健康障害が無いようにというのが一番リスク管理の基本だと思います。そのときに、リスク評価で今の耐容許容量が甘いのでもっと厳しくしろとなった場合には、国際的にJECFAで決める時に、強力に日本からの意見が反映されてそれがまた日本に返ってきて国内の基準値に反映すると、そういうことになるのでしょうか。
(姫田:農水)
山田総合調整官の方から少し説明させていただきます。
(山田:農水)
コーデックスとJECFAの関係について、補足したいと思います。もし、耐容摂取量7(μg)よりもすごく低い値になったときには、今までのシステム上、コーデックスでは基準値の見直しをします。当然、消費者、つまり食べている人の健康を守るという観点から見直しをします。
じゃあ、高くなったら、緩めたらいいのかというと、決してそうではなくて、実態調査の結果、ここまで低くできるよということを決めているので、それこそ農業の方法を変えて急に高くなったということがない限り、耐容許容量がグンと増えて10倍になっても、それにあわせて基準値も10倍と動くことはありません。ただ、見直して、もっときつくしないといけない場合、耐容許容量が低くなったら見直しするということがあります。
もしも、万が一、JECFAの耐容許容量がこのままで、コーデックスが何かしらの基準値を決めたとして、日本で、それより10分の1の耐容許容量が出たとすれば、それはリスク評価の結果として、コーデックスで決めている基準値よりも低い基準を採用するというのをちゃんと正当化できればWTOでも認められています。
単位のことなのですが、確かにわかりにくいのですが、コーデックスの表示の一般規格というのがあるのですが、その中にコーデックスでは、科学的用語でSI単位といわれているのですが、パリに本部があって、キログラムとかメートルとかを単位として、それに縮小・拡大時に付けてミリグラムとかマイクログラムと使うことが推奨されています。
中垣さんがおっしゃったのと同じページなのですが、評価の研究結果の表を見て頂くとわかりますように、摂取量の推定というのは、今までは平均値しか出せないので、そうではなくもっと実際の様子を調べられるようにということになっておりまして、この検討の仕方をやっているわけです。
したがって、裾野の方に行きますと、例えば、米や麦を沢山食べている人が偶然カドミウムの濃度の高い食品を食べたときの様子というのも含まれているわけでして、かなり現実に即していると思います。ただ、データが全部あるわけではありませんので、かなり仮定が入ってはいますが、平均値を出すよりも現実に近い結果が出せるということで、現在、先進国で主に使われていまして、コーデックスでは農薬の方にもこの方式を使おうという動きがあります。
(大石:食品安全委員会)
まず、今までの食品安全委員会における検討の状況は、先程のお話にもありましたが、これまでに2回、専門調査会をやりまして、評価を進めていく上での留意点などを今までに決めてきて、今後更に具体的にやっていこうということになっております。
JECFAとの関係ということですが、先程からありますように、国際機関ではJECFAがリスク評価を担当するところ、国内では食品安全委員会がリスク評価を担当するところということになるのですが、全く関係無いといいますと、例えばカドミウムについてでは、JECFAで何回か評価が行われていますので、そういった情報を検討の対象にするという意味では関係はあるということです。ただ、JECFAのメンバーに食品安全委員会から誰かが行くということではありません。
(姫田:農水)
他にご意見ございますでしょうか。
(瀬古:消費者)
私どもの会でもカドミウムについて話しあったのですが、コーデックスに対していろいろデータを提供していったりして積極的に関わっていくことについては賛成しています。お米で0.4ppmという修正案についても私どもの会では賛成するというメンバーが多いということを申し上げたいと思います。
コーデックスの修正案についてはそういった意見なのですが、国内基準がわかりにくいという問題があると思います。0.4ppm以上は、安全上問題ないけれども消費者感情を配慮して非食用にするという説明になっておりますが、その当たりが、0.4なのか1.0なのか安全な基準が見えにくい。
規制値がわかりにくくて、規制値の根拠もわかりにくいとなると食品への安全性への不信が生じる原因になると思いますので、なるべく早く整理していただきたいと思います。
(中垣:厚労)
おっしゃるとおりだと思います。食品安全委員会のリスク評価の結果がどのような形で出るのか、JACFAに比べて厳しい結果が出るのか、緩い結果が出るのかわかりませんが、いずれにしても食品安全委員会の結果を待って、ちゃんとした、しっかりしたものを作っていきたいと思います。
(姫田:農水)
他にご意見ございますでしょうか。
(蓮尾:消費者)
意見はほとんど出尽くされていると思いますが、科学的知見、データというところから離れたところで、国民の気持ちや考えで見ていきますと、国内の食品衛生法では1ppmという基準値のもとに米(玄米)が流通しており、その後国際規格の基準値をめぐっていく中で0.4か0.2かという議論がされて、実態に近いデータは何なのかという、一つの疑念があったことは否めません。それは、国内・国外を問わず、データ以外の大きな力、思惑が働くということがないのかどうかということです。
例えばコーデックスの基準値についても、国内基準値についても、そのようなデータに基づかないところで圧力が働くことがないのかどうかについては、全く不安がないということではありません。何故かといいますと、2分の1が米から摂取しているというカドミウムでもありますし、日本人の基本的な食料である米は、日本型食生活と食生活指針にも示されているように日本型食生活を提唱していく上で、米を中心にした食事ということを考えると、米と野菜というのは日本人の食に大きな位置を占める食料だと思うんですね。
そういう意味で、カドミウムの実態により近いデータというものが、国民に良く理解できる、納得できる根拠の上に立った数字であるということを自信を持って説明し、進めていただきたいと思います。
0.4ppmと0.2ppmという数字的な差がありますが、生産者がいわれている様に、我々は食の基本というのは農水産物にあると考えていますので、生産者が設定基準値をどのように納得していくのか、納得しているのか。又は自ら実感している数字があるのかどうか気にはなっていましたが、門傳さんがいわれたようなことであるのであれば、国民の健康を考えた場合は低い数値を持つということは、予定被害者を出さないという意味からも非常に大事なことなのではないかと思います。
7μgという数字も、尿細管機能異常という腎障害の出現する可能性が4%指摘されているという報告を2年くらい前に見たことがあるのですが、それは実際に研究が進み、検討、調査をされた場合には数字的には厳しく見直されるだろうと書いてあったので、調査結果によってはコーデックスの数字も変わってくるのではとおっしゃられたので、健康、環境を守ることを第一にあらゆる可能性を検討し、国民の納得する基準値を追求していただきたいと思います。
今日本の現状の中では香山先生の調査された数字がベストということでよろしいでしょうか。いろいろなカドミウムを研究されている先生がデータとか見解を述べていますが、今の現状としては世界的にも合意される調査のありかたと捉えてよろしいですか。
(新本:農水)
データの関係で、今回の摂取量推定の基礎データとして、ひとつは農産物のカドミウムの含有実態というデータ、73品目4万2千点やっているものを用いています。この調査の実施にあたりましては、国際的な分析の方法を用い、精度管理もきちんとした分析機関にお願いしています。どういう地域のサンプルを取るかということについても、例えば、米については50haごとに1点づつ取るとか、他の作物についても、国内では作付け実態に応じて均等になるように取っております。
そういう意味では、我が国の農産物のカドミウム含有量の全体的な実態を捉える上では、かなり精度の高いデータになっていると思います。例えば、米では3万7千点とっていますが、外国ではこれほどサンプルをとっているところはございませんで、せいぜい100点や200点くらいということで、これほどのデータ量を取ったということでデータの信頼性は高いと考えて良いのではないかと考えています。
(香山:アドバイザー)
先程も説明がありましたが、カドミウム問題が最も深刻であるのは日本であるというのは間違いありません。そのため、これだけのデータがそろったということであります。海外での調査では、これほどの暴露のあるところは無いということなので、これまでは職業暴露で影響が出たという論文や、非常に低いレベルでの影響を見ているという論文です。
我々がこれだけの暴露レベルのものを調べたというのは、世界にもあまり例がないとうことです。現時点で日本国内で最も暴露が高いのはE地域です。何故かというと、土壌改良がほとんど行われておりません。
ですから、あまり変わらない程度の米を食べてきた方々です。それも農家の人たちばかりです。このような調査は世界中でどこにもありません。それで、私たちはコツコツと皆さんに会って、説明をして、全てのデータを取って、それを公開して、できるだけ詳しい基礎のデータに近いものを提示しております。
私もJECFAで議論に参加してきましたが、このデータについて評価していただきまして、信用していただいています。ですから、まだ余裕があるなと、PTWIの7μgは、少しはいいのかなと、ドキュメントを作ったドキュメンティンググループも考えられました。
更に、土壌改良される前には高かったといわれている所ですが、そこも今年度調査しておりますし、富山県のイタイイタイ病の発生した地域でも150名ほどの調査をしております。その結果もおいおい出て参りますが、この地域では、土壌改良が終わっていますので、非常に低い濃度の暴露しか受けておりませんので、今回の調査ではかつての高い暴露の影響しかわかりません。
ですから、地域の方々もイタイイタイ病の調査とかいう受けとり方ではなく、栄養調査ですねという感じで、イタイイタイ病対策協議会の協力を得てやったにもかかわらず、あまり受診者が集まらなかったというくらいの温度差を感じました。
以上、このような状況で、最も高い暴露を受けている可能性のある方のフォローはちゃんとやっていきますし。将来にわたって色々な変化が出てくれば大変なことですので、きちんと公表して皆さんにお伝えすることが我々の責務だと思っております。
(中垣:厚労)
データを示してわかりやすく説明すべきだというご意見でございましたが、私どももそのとおりだと考えておりまして、資料3の5ページにQ&A形式で、できるだけ皆さんのご理解が得られるよう審議会でもお目通し願ったものを付けておりますので、ご参考にしていただければと思います。
(原:消費者)
3点ほど意見を申し上げます。1つは、カドミウムの健康影響については、学会でもいろいろ議論のあるところのように聞いてるということですね。実際に日本のカドミウムの濃度が高い地域、香山先生の調べられたE地域はそれにあたるのかもしれませんが、そういうところで、腎臓への影響が出ているのか出ていないのかということについては、学会でまだ議論があるように聞いています。
食品安全委員会を傍聴したのですが、その議論の時には影響あるのではないかという先生、イタイイタイ病の研究者の方にそういう意見を持たれている方がいると聞いておりますが、そういった意見をお持ちの先生が出てこられなくて、片肺飛行というか、そういう議論をそういう行政の審議の場でしないままで進めていいのかなというふうに思いました。
リスクコミュニケーションということで、こういう場を持っていただくのは有り難いですが、専門家の意見も聞いて議論していただくのもリスクコミュニケーションとして必要だと思います。現時点ではそういった議論がある中で、PTWIを一つの目安と考えざるをえないと思いますが、PTWIを超えるか超えないかというのが2点目です。
これは、厚生労働科学研究の中でも、先ほど報告のあった中でも95パーセンタイル値で0.2ppmでは週に体重1kgあたり6μg前後、0.4ppmにすると7μgに近い値になっています。これが、97.5パーセンタイル値ですと、0.2では7μg近くですが、0.4ppmにすると8μgくらいになるということで、5%近くの人が、7μgを超えるという可能性があるという解析結果ではないかと思います。
実際に、香山先生の先程の報告、各地域で暫定基準の許容基準を超える比率というのを出してましたが、実際の調査結果でも高い地域であれば、60%くらいの人がPTWIを超えているという地域もあるということがわかっているわけですから、0.4ppmの現行の基準ではPTWIを超える可能性があるということで理解したほうが良いのではないかと思っています。
3点目にALARA原則では、合理的な達成可能なできる限り低くということですので、それに基づいてできるだけ低くすべきではないかと思います。現在、0.2ppm超えているのが3%くらいですが、農林水産省を中心に低減対策の検討を一生懸命やっており、既に米に関してはある程度低くできるような対策もわかってきたと聞いております。
そういったものを生産者に励行してもらえれば0.2ppmというのは達成可能ではないかと思いますので、0.2ppmにしたほうが良いのではないかと思います。0.2ppmをクリアできないような水田に関しては、客土などの対策をしたり、減反を優先的にそちらに行って貰ったり、カドミウムを吸い上げにくいような作物に転換していただくとかも考えていただいたほうがよいと思います。
4番目として、日本の米の信頼性というものが問われているのではないかということで、米は日本の農業の基幹作物だと思うのですが、そういう意味では、生産者の方にとっても興味があるし、大事な問題として十分認識してもらっていると思いますが、日本が海外に対して、現在検討されているのはコーデックス基準の修正案ということですが、今後、国内の基準の方が国際基準より高いということになりますと、日本の米は外国から輸入される米、先程輸入されないじゃないかという話がありましたが輸入されてますよね、そういった外米、昔は味が落ちるという話もありましたが、最近はおいしい米も作られているようですので、そちらの方の米が安全だということになると、日本の農業にとって問題だと思います。
達成できないものであれば仕方ないと思いますが、達成可能であれば0.2を基準にしていただいて日本の米は安心して食べられるとしていただいた方が生産者にとって非常に良いことだと思いますので生産者の方もそういうことを考えていただきたいと思います。
(姫田:農水)
最初のお話については、私どもから香山先生にお願いしたわけですが、私どもとしては、JECFAの場でも活躍している国際的に認められていた先生として考えておりまして、どっち寄りということではなく、非常に科学者として優れている方で、きちんと科学をやっていらっしゃるということで選びましたので、むしろどちら側という方は排除させていただきました。どちら側という方は、どちらよりでも良くないのではないかと思っております。
(中垣:厚労)
2点目についてお答えします。今のご指摘というのは、新田先生のデータで分布を描くのですが、その時に、少ない方から何%のところを指標にして基準を作っていくかという基準の妥当性を判断していくかという、何%という部分です。この数字、今回95%を用いてそれを耐容量の7μg/kg/weekというのと比べております。
国際的にみますと、アメリカのFDAは90%を目安にすると明文化しております。90にすれば0.4よりもっとゆるく出来るだろうと思います。EUは、調べた限りでは明文の規程はございませんが、実例を見ますと95%というものが使われているようです。国際基準は、ケースによって若干違いますが、90%あるいは95%というのが使われています。そういう点から申し上げますと、国際的に見ても一番高い95%というのを今回は目安にして耐容量と比べたということから、必要十分なことをやってきたと考えております。
(山田:農水)
説明を追加したいのですが、この結果のグラフは、それぞれの人が、この状態をずっと毎日一生続けるということではありません。確率論的に、ある1点を取るとこうなっているということです。実際にパーセンテージの非常に高い方というのは、いろいろな食品を沢山食べる人が、偶然高い濃度の食品を食べているというもののかけ算を示したものです。確かに米は大きな袋で買うので、何日か続けて高い濃度のものを食べるかもしれませんが、次の袋は低いかもしれないわけです。
年によってもカドミウムの濃度の結果は非常に差が出ます。米は確かに一番大きな摂取源ではありますが、それは半分なわけです。他の摂取は他の食品から来ているということがありますので、しかも、我々にとってカドミウムというのは1日食べた、2日食べたというので毒性が出てくるものではなくて、JECFAの場合だと40年ということをいっているわけですから、常に高い濃度のもの食べつづけて影響がでるということがあるわけです。
この結果で、高いところに位置する人というのは、1日食べて問題があるという物質の場合には非常に大切です。もうひとつ、統計学的にこのグラフのしっぽの先側は、非常に誤差が大きくなってくる、どっちかというと、本当には無いかも知れないところまで取るようにしているわけです。つまり、より高く出てきて、安全弁をかけておく方が消費者の健康を守るためには良いからというので、わざとそうしているというのをご理解いただきたいと思います。
(今井:アドバイザー)0.2ppmにする対策が可能ではないかとお話がありましたが、全国でいろいろなカドミのプロジェクトをやっておりますが、土壌のカドミウム濃度がどのあたりになってくると、米中のカドミウム濃度をどの程度押さえられるかということの研究をずっとしています。これは、全国の農業試験場の協力を得まして、先程いわれましたように、0.2ppmでこれができるという自信はありません。
カドミウムの吸収というのは、非常に環境要因が大きく出るためです。同じ土地でも、米なら水管理の状態で、たまたまこの年に抑えられたとなっても、次の年に植えますとこれを超える可能性があります。現在、水管理や資材管理等は0.4ppm以下に下げるということを目標にやっているわけです。先程の客土その他というのは、非常に恒久的な対策です。例えば水管理や資材管理というのは、完全にはコントロールはできません。
ですから非常に厳密な状態で水管理、先程、出穂前後3週間ずつといいましたが、これでも十分ではありません。出穂以降、刈り取りまで田圃を水につけてということをしないと完全にはコントロールできない。しかし、これでは収穫ができませんし、米の品質も非常に悪くなります。そのようなところで、どこでギリギリのところか、この土壌条件なら出穂後3週間まで水を溜めていても実際に刈り取りができるなど、実際の米の栽培システムに無理が無いような形でできる土壌のカドミウム濃度というのはどのくらいかということを調べておりますが、その線引きがなかなかできない。
これは、いつ植えるか、米の品種が何か、水管理をどうするか、どの時期に植えるか、土壌がどのような土壌かなどによって全部異なります。いま、我々がやっていますのは、カドミウムの検査をするのに非常に時間がかかるわけですが、ハーベストをした後にロット検査をやったのでは間に合わない。1つ残ると出荷停止になってしまう。
そので、田圃で刈り取る1ヶ月くらい前に入って検査できないだろうかということをやっています。点数をこなすのも大変なことです。私たちの研究では、まず、土壌のタイプを分けまして、この地域に稲を植えると土壌の中のカドミウム濃度何ppmなら95%から99%が0.4ppmを超えないという線引きをやっています。この線引きが非常に難しい。
0.4ppmならなんとか押さえ込めます。さきほど、リーズナブル・アチーバブルというのを栽培体系、栽培技術からいいますと、なかなかリーズナブル・アチーバブルではありません。もし、原さんのおっしゃるような0.2でできるということに対しては、研究段階であるという話をしておりましたが、まず、低吸収新品種、これは品種間に差がありまして、米だと若干ぶれますが、麦や大豆はカドミウムを吸わない、吸うんですが種子まで持っていかないという品種がわかっております。
これも、どうも遺伝子的にコントロールされているのではないかということがわかってきております。ですので、現在の奨励品種の中にこういう遺伝子を組み込んでいくとか、掛け合わせることによって低吸収品種を作っていくということをやっております。
もうひとつは、植物にカドミウムを吸わせる方法です。吸わせたカドミウムは焼却処理をして、残ったものはセメント材料などにして外に出さないようにする。これを3年くらいやると、土壌中のカドミウムの濃度が下がって、安定して米を作れるようになるだろうと。これも試験段階でして、今現在やっているところでは、あるところまでは急速に下がるのですが、一定レベルまで下がると、途端に取れなくなる。何年で終了するのかという終点をどうやってみつけるかという研究をしています。
最後に、0.2ということになって、客土で行いましょうということになった場合は、客土に使用できる土壌はございません。つまり、1ppmを超えるというのは完全に汚染ですね。そうすると、土壌中の濃度は数ppm。ですが、0.4ppmを超えるものの土壌の中には、0.4ppmや0.5ppmくらい。これが0.2ppmになりますと、0.2ppm、0.3ppmになります。日本の耕地の非汚染土壌のカドミウム濃度は0.28くらいです。客土にする土壌を持ってくる先がない。そのため客土対策というものは使えません。
あくまで公害防止のために、1ppmで明らかに鉱山の影響を受けたとか、精錬所からホールアウトがあって非常に強度の汚染がある神通川流域だとか、イタイイタイ病が発生したような所は、客土は非常に効果があったわけです。ところが、コーデックスで議論している、0.2とか0.4ppmというのは、土壌がそもそももっているカドミウム濃度にほぼ対応します。
そうすると、山を崩して持ってきても、コーデックス対応のための客土土壌はなかなか手に入らないというのが現状です。
(佐藤:アドバイザー)
秋田県の場合は、ALARAの法則の中で、リーズナブルというのがありました。リーズナブルというのは、現実的、金銭的なことも含んだ実現可能なということがあると思います。例えば、0.2ppmということで今井部長が説明しましたが、現実的であるかどうかに関しては、まず現実的ではないと思います。
先程、約0.3ppmということで日本の土壌の平均カドミウム濃度をおっしゃっていましたが、私の県では0.4ppmが平均値です。そこに植えた作物は、作物によっては0.4ppmを超える可能性があります。これに客土すると、10アールあたりが500万円近くの金額になり、天文学的な数字になって、納税者の皆さんに未来永劫かなりの迷惑をかけるだろうと思います。
つまり現実的でないと思います。合理的で達成できる可能ということでALARAの法則なのですが、そういう意味では、我々が今まで狙ってきた0.4ppmであれば無理なく達成できると思います。0.2ppmであれば、日本国中、どこから出てもおかしくないですし、いつどこでどのような条件なのか予想もつかないような状態になります。おそらく、責任を全うすることができないのではないかと思います。もちろん努力は致します。
これは、米の問題だけでありません。ありとあらゆる食品に対して、0.2ppmとかの厳しい値をALARAの法則にあわせていく場合に、現実的な対応が可能かという点では、0.2ppmという形では納税者の皆様に、我々試験研究サイドでも、絶対できるという自信がないということで、ALARLの原則を守ることができない。
だとすれば、リーズナブルなところでご理解願えればありがたいと思います。
(安田:消費者)
今、生産者側の方から、現実的に0.4くらいでないと不可能だというお話がありました。確かに生産現場の方から、日本がカドミウムの汚染大国として日本全国が汚染されている状況の中では、そういうご発言が当然あるだろうと理解できるんですが、しかし、コーデックス規格が最終的に0.4にならずに0.2になるということだってあり得るわけです。EUも0.2に決めているわけですから。そういう情勢の中で、0.4という緩い基準の対応しかしていなかったら0.2になった場合にどうするのかということがあります。
それから日本が唯一自給している主食作物という米の位置付けがあるわけです。WTOカンクン閣僚会議にみるように、今関税を下げろという大変な圧力がある中で、国産米を食べ支えていかなければならない、輸入米は食べたくないという消費者の意識があるわけです。汚染対策はほんとに大変なことだけれども、これを真摯に取り組まないとですね、日本のお米はカドミウムで汚染されている、輸入米のほうが安全だと、もし、輸出国から宣伝がされた場合、国産米を守りきれなくなる部分がでてくると思うんですね。
確かに鉱山があったり、酸性土壌であったりということでカドミウムの汚染は避けられなかったということはありますけれども、ここは腹をくくって、きっちりとどこが何ppmの土壌汚染があるのか、隠さないですべて情報公開し、その上でこれこれの汚染除去の具体的な対応をとりますと、きちっと示すべきだと思います。
それから、汚染された作物の半分は米だとおっしゃいますが、米以外の豆とか、魚介類の汚染が高いわけです。魚介類の数字がここでは1.0として、軟体動物としてしかでていない。国民は水産食品もたくさん食べるわけですから、魚介類各々の汚染数値についてもモニタリングと情報公開が必要です。
飲料水も0.1mg/Lの基準があると思いますけど、飲料水からも我々はどのくらいとっているのか。食品と飲料水と口に入るものを総合的にそれぞれの食品ごとにきっちりとモニタリングをして情報公開と対応をしていくべきだと思います。
それから、日本の場合、過去の鉱山のツケということもあるのかもしれませんが、現在日本がカドミウムの消費大国であるという問題が大きい。世界で生産されるカドミウムの40%を消費しカドミ生産量は世界一なんですね。ニッカド乾電池はじめ、カドミウム製品の分別をして環境に放出しないことが大事です。食品分野だけではなくて、各省庁が総合的にカドミウム汚染をなくしていくという施策をあわせてやらないかぎり、この問題は日本中に大変な負債を背負わせることになると思います。
その辺のところもお願いしたいということです。国際基準がどうなるかというのは、0.4になるとは限らないですし、日本が世界最大の汚染国として、世界のお手本となる厳しい基準を策定し、税金を使うべきところはちゃんと使って対策をやるべきだと思います。消費者が国産の米を支持しなくなったら、もう、アウトでしょう。ですからカドミウム規制値を現実的な対応ということで留まっていれば、あとでひどい目に会うと思います。
(水原:消費者)
二つ申し上げたいと思います。情報公開と汚染原因の根絶の問題です。情報公開といいますのは、私どもにも食糧庁が98年に全国のカドミウム汚染の濃度分布の調査、3万7千250点やった調査結果は絶対に公開されませんでした。農業者の方のために、公開する前提ではないといわれましたけれども、結局は農業者の方にプラスに返っているかというと必ずしもそうではないと思うんです。
私たちもそのデータがわからないから、それを知って、消費者としてカドミウムの汚染についてどう対処するかということをやりたかったんです。日本消費者連盟はブックレットをつくったり、「消費者レポート」に載せたりしてきたんですが、その肝心のデータが非常に今まで公開になっていなかった。だから、これから先は許容量に基づいたいろんな調査とか、基準値についての調査を続けてほしいんですが、その情報公開をやってほしいということが一つ。
それから、もう一つはカドミウムの汚染の原因は昔の鉱山というようなものがありますけれども、今はニッカド電池ですね。カドミウム電池が原因ではないかということが強力に言われています。日本では今、カドミニウムは2千トン生産して、4千トンは輸入しております。そのうちのニッカド電池の生産されたものの70%は輸出しているわけなんですね。
そうしますと、日本が海外へベースとしてカドミウムを輸出していることになるわけです。私たち日本国内での今おっしゃったようなことはよくわかります。0.4というのは非常に対応として難しいということをいわれますけど、やはり私たちは0.2という厳しい基準を世界的な責任においても徹底すべきで、国内で0.4から0.2に達するそのやり方はそれこそリスク管理でできると思うんですよ。
私はやっぱり厳しい基準を作らなければ規制は結局緩いです。これは消費者からみて、行政の対応はすべてそうです。それで、あとから厳しい基準に切り替えていくわけですね。だから、カドミウムについての基準値は、何度も何度もコーデックスでもって、転々として0.2と今、出てきたのですから、私はここでやはり、日本としては0.2ということで、消費者としては要求したいと思います。
(和田:消費者)
私たちも、少なくとも米に関しては0.2というところでやれないかというのが本心です。それと、情報公開という点で、カドミウムに関しては本当に足りなかったし、遅かった。今日が始めてではないでしょうか。これだけ情報公開して、みんなの目に触れる形で議論するというのは。水原さんもおっしゃったように、97、98年のデータは出ませんでした。カドミウムに関して、非常に関心があるけれども、一体実態はどうなっているのかという不安感や不信感が蓄積されてきてしまったということです。
コーデックスに15日に返事を出すための12日、3日前ですよね。非常に残念だと思います。2、3年前にいろいろな学者の方のご発言が新聞などに出ています。これは、どちらが良いとかは言いませんが、一方、公表されていなくて、学者の方の意見はいろいろと出ていたわけです。それを一切省いてしまって、ということでは本当の理解というのは深まっていかないのではないかと思います。
どれに対して返事をしていただきとはいいませんけれど、やはりこれからの公開なりコミュニケーションというのは、そういうところまできちんと対応していくことが本当の意味でのコミュニケーションだと思います。
(中垣:厚労)まず、和田さんの方から今日は3日前というお話と、3人の方から情報公開のお話をいただきました。3日前ということについては、新田先生の研究結果を待っていたということもあって、このような機会になってしまったわけですが、情報公開の点も含めて、今後より一層、十分なコミュニケーションができるようなことも含めてやっていきたいと思います。
原さんの方からいろいろな先生の意見を聞くべきじゃないかというお話がありましたが、これもごもっともなことでございますし、昨年、今年やりました審議会の中では、いろいろな意見をお持ちの先生方から審議会の中で直接お話を伺う機会も設けているところでして、そういったいろいろなご意見をふまえつつ、国際的な原理原則に則って、今後ともやっていきたいと考えております。ありがとうございました。
(姫田:農水)
カドミウムの環境汚染について環境省からお願いします。
(龍口:環境省)
先程、ご意見のありました、環境放出の関係ですが、現在、先程の説明の中にもありましたが、環境への放出ということについては、環境省といたしましては、大気汚染防止法ですとか水質汚濁防止法、廃棄物の処理及び清掃に関する法律といった法律によって、カドミウムの大気なり水質への排出を規制して、さらなる汚染がおきないように施策を進めているところです。
先程出ましたニッカド電池についても、リサイクル法の中で再資源化製品に指定して、分別回収を進めているところです。今後とも、そういったことを通じまして、カドミウムによる環境汚染というものの防止に努めていきたいと思います。カドミウムの環境排出ということについては、化学物質排出移動量制度というものがございまして、略しましてPRTRといっておりますが、そういった制度の中で、例えば毎年、環境へどのくらい放出されたのかというようなことについても、量の把握につとめて、また、今後いろいろな施策を検討するにあたっての基本的な資料にしようと考えております。
(中川:農水)
2時間の予定の時間を超過しております。今日は、大変ご熱心な意見交換をしていただきまして、ありがとうございました。
今回のテーマは、非常に専門的な知識、あるいは用語自体も普段使われないものが多くありまして、そのためにわかりにくかった点もあったかと思います。時間の制約もございましたので、こちらからの答弁も十分でなかったとお感じの部分もあったかと思います。
この問題は、今回は12月15日に意見を提出するという一つの区切りというものがございまして、このような形になりましたが、まだまだコーデックスでの議論、国内で食品安全委員会で審議をいただいているプロセス、それぞれまだ節目節目がございます。
そういう際には、このような形でリスクコミュニケーションを更に重ねていきたいと思っております。
何人かの方々から情報公開の話がございました。すでに一部では出しているものもありますが、新しく食の安全・安心の確立のために、情報公開には全力上げて取り組むというのが私ども政府の基本的な姿勢でございます。7月1日以降、新しい組織のもとで、なによりも情報公開、それから関係者の方々とのリスクコミュニケーションをきちんとやってゆき、その上で合意形成を図っていくということが基本的な立場であるということを申し上げたいと思います。
今日は、大変多くの方々のご参加をいただきました。第1回目といたしましては、初期の成果が上がったのではないかと思っております。本当にありがとうございました。これからもよろしくお願いいたします。
お問合せ先
消費・安全局農産安全管理課
担当者:土壌汚染防止班
代表:03-3502-8111(内線4507)
ダイヤルイン:03-3592-0306