クロロプロパノール類及びその関連物質の種類と構造
更新日:2019年3月28日
クロロプロパノール類とは、プロパノール(炭素を3つもつ直鎖アルコール)に塩素が結合した物質の総称です。 水酸基(OH)を3つもつグリセリンも、プロパノールの一種です。 グリセリンの水酸基が塩素(Cl)に置き換わった物質は、置き換わった塩素の位置や数によって、プロパノールを基礎とした名前が付けられています。

遊離体
食品に含まれるクロロプロパノール類のうち、遊離体(他の物質と結合していないもの)は以下の4種類が知られています。 食品に含まれている量、毒性の種類や強さは、それぞれ異なります。
3-クロロプロパン-1,2-ジオール(3-MCPD)
(3番目の炭素に塩素(Cl)が結合し、1番目と2番目の炭素に水酸基(OH)が結合)
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2-クロロプロパン-1,3-ジオール(2-MCPD)
(2番目の炭素に塩素(Cl)が結合し、1番目と3番目の炭素に水酸基(OH)が結合)
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1,3-ジクロロ-2-プロパノール(1,3-DCP)
(1番目と3番目の炭素に塩素(Cl)が結合し、2番目の炭素に水酸基(OH)が結合)
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2,3-ジクロロ-1-プロパノール(2,3-DCP)
(2番目と3番目の炭素に塩素(Cl)が結合し、1番目の炭素に水酸基(OH)が結合) |
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また、関連物質として、エポキシド構造(2つの炭素と1つの酸素による環状構造)をもつプロパノールであるグリシドールがあります。グリシドールは、アクリルアミドの代謝物であるグリシドアミドと似た構造をしています。
グリシドアミドに関する情報は、アクリルアミドの健康影響をご覧ください。
グリシドール
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グリシドアミド
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※点線で囲んだ構造がエポキシドです。
エステル体
酸とアルコールの間で水(H2O)がとれてつながった結合をエステル結合といいます。クロロプロパノール類は、遊離体が脂肪酸とエステル結合でつながったエステル体で食品中に存在することがあります。この場合、遊離体の水酸基(OH)と脂肪酸のカルボン酸(COOH)から水がとれてエステル結合(-COO-)をしています。
脂肪酸には炭素の数やつながり方によって多くの種類があるため、クロロプロパノール類のエステル体も、結合する脂肪酸の数や種類によって多くの種類があります。3-MCPDや2-MCPDが脂肪酸とエステル結合した物質を、それぞれまとめて3-MCPD脂肪酸エステル類、2-MCPD脂肪酸エステル類といいます。
3-MCPD-1,2-脂肪酸ジエステル
(3番目の炭素に塩素(Cl)が結合し、1番目と2番目の炭素の水酸基に脂肪酸がエステル結合) |
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3-MCPD-1-脂肪酸モノエステル
(3番目の炭素に塩素(Cl)が結合し、1番目の炭素の水酸基に脂肪酸がエステル結合)
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3-MCPD-2-脂肪酸モノエステル
(3番目の炭素に塩素(Cl)が結合し、2番目の炭素の水酸基に脂肪酸がエステル結合)
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2-MCPD-1,3-脂肪酸ジエステル
(2番目の炭素に塩素(Cl)が結合し、1番目と3番目の炭素の水酸基に脂肪酸がエステル結合)
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2-MCPD-1-脂肪酸モノエステル
(2番目の炭素に塩素(Cl)が結合し、1番目の炭素の水酸基に脂肪酸がエステル結合)
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また、関連物質として、グリシドールと脂肪酸がエステル結合した、グリシドール脂肪酸エステル類があります。グリシドール脂肪酸エステル類も、結合する脂肪酸によって、多くの種類があります。
グリシドール脂肪酸エステル
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※Rは、炭素が鎖状につながった分子を示します。
お問合せ先
消費・安全局食品安全政策課
担当:化学物質管理班
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